JP5930360B2 - アンダーランプロテクタ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の衝突時に他の車両のもぐり込みを防止するとともに、他の車両が受ける衝撃荷重を緩和するアンダーランプロテクタの構造に関する。
特開2000−296743号公報には、車両の車幅方向に沿って配設されるプロテクタと、シャシフレームに固着されるブラケットと、該ブラケットとプロテクタとの間に介設される衝撃エネルギ吸収装置を備えた衝撃吸収型フロントアンダーランプロテクタが記載されている。衝撃エネルギ吸収装置は、中空円筒状のFRPエネルギ吸収体とこれを被包する管状体とからなり、衝撃力が衝撃エネルギ吸収装置に作用すると、管状体及びFRPエネルギ吸収体は、軸線方向に撓み、FRP吸収体は、圧潰して衝撃エネルギを吸収する。
特開2000−296743号公報
しかし、車両の前方に他の車両が衝突する際の態様は必ずしも一様ではなく、衝撃エネルギ吸収装置の軸線方向を前後方向に一致させて配置した場合であっても、衝撃荷重が常に衝撃エネルギ吸収装置の軸線方向に沿って入力するとは限らない。このため、衝撃エネルギ吸収装置の圧潰時の変形挙動(変形モード)が安定せず、衝撃エネルギ吸収量が低下して、他の車両が受ける衝撃を十分に緩和することができなくなるおそれがある。
そこで本発明は、他の車両が前方に衝突した際の衝撃エネルギを、エネルギ吸収体の安定した変形挙動によって確実に吸収し、他の車両が受ける衝撃を好適に緩和することができるアンダーランプロテクタ構造の提供を目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明のアンダーランプロテクタ構造は、アンダーランプロテクタと、アンダーランプロテクタブラケットと、エネルギ吸収体と、ガイド部材と、移動規制手段とを備える。アンダーランプロテクタは、車両の車体フレームの前方又は後方の端部下方で車幅方向に延びる。アンダーランプロテクタブラケットは、アンダーランプロテクタの後方又は前方で車体フレームに固定される。エネルギ吸収体は、前後方向に直線状に延びる筒状であり、アンダーランプロテクタの後面又は前面に固定される一端と、アンダーランプロテクタブラケットの前面又は後面に固定される他端とを有する。ガイド部材は、エネルギ吸収体の内側を挿通して前後方向に直線状に延びるガイド部を有し、ガイド部は、アンダーランプロテクタの後面又は前面に固定される。移動規制手段は、車体フレームに固定され、ガイド部の移動方向を前後方向に規制する。エネルギ吸収体は、周方向に等ピッチの凹凸を有する断面形状である。
上記構成では、前方又は後方から車両に他の車両が衝突し、アンダーランプロテクタに衝撃荷重が入力すると、アンダーランプロテクタにそれぞれ固定されたエネルギ吸収体とガイド部とがアンダーランプロテクタによって後方又は前方に押圧され、車体フレームに対して固定されていないガイド部は、アンダーランプロテクタとともに移動する。一方、エネルギ吸収体は、アンダーランプロテクタの後面又は前面に固定される一端と、車体フレームに固定されたアンダーランプロテクタブラケットの前面又は後面に固定される他端とを有しているので、アンダーランプロテクタとともに移動せず、アンダーランプロテクタからの押圧により座屈変形をおこす。この座屈変形時において、エネルギ吸収体の内側にはガイド部が挿通し、且つガイド部の移動方向が移動規制手段によって前後方向に規制されるので、エネルギ吸収体は、ガイド部の外周面に沿って前後方向から確実に圧潰される。このように、衝突の態様(衝撃荷重の入力位置や入力方向)による影響を受け難い状態でエネルギ吸収体が変形するので、エネルギ吸収体の圧潰時の変形挙動(変形モード)が安定する。
エネルギ吸収体は、座屈波数が多い形状特性を有することが好適である。座屈波数とは、最終的に発生する座屈波形のピークの数であり、座屈波数が多いほど細かく蛇腹状に変形するので、座屈波数が多い形状特性を有するエネルギ吸収体では、座屈時のエネルギ吸収体の内側への突出量の増大が抑制され、エネルギ吸収体の内周面の過度な狭小化が生じ難い。このため、エネルギ吸収体が座屈する際に、エネルギ吸収体の内周面とガイド部の外周面との干渉が抑制され、エネルギ吸収体の座屈変形が円滑に進行し、エネルギ吸収体の圧潰時の変形挙動が安定する。従って、車両に他の車両が衝突した際の衝撃エネルギを、エネルギ吸収体の安定した変形挙動によって確実に吸収することができ、他の車両に与える衝撃を好適に緩和することができる。
また、前後方向と直交するエネルギ吸収体の断面形状は、複数の谷部と複数の山部とが周方向に繰り返して連続するように凹凸状に曲折する形状であって前後方向に沿って一様に設定されてもよい。
上記構成では、プレス成形等によって平板状の金属板を複数の直線状の谷部と複数の直線状の山部とが繰り返して連続する波板状に加工し、波板状の金属板を筒状に曲折してその両端縁同士を接合することによって、座屈波数が多い形状特性を有するエネルギ吸収体を容易に形成することができる。
また、エネルギ吸収体の内周面のうち複数の谷部の内面には、ガイド部の外周面との間隙を埋めるとともに外周面に対する摺動抵抗を低減させる加工が施されてもよい。
上記構成では、エネルギ吸収体の谷部の内面には、ガイド部の外周面との間隙を埋める加工が施されているので、車両走行中の振動等に起因したエネルギ吸収体とガイド部との衝突によるガタツキや摩耗等の発生を防止することができる。また、上記加工は、ガイド部とエネルギ吸収体との摺動抵抗を低減させるので、エネルギ吸収体の変形挙動の安定化に寄与する。さらに、上記加工は、エネルギ吸収体の谷部の内面とガイド部の外周面との間にのみ施せばよいので、ガイド部の外周面やエネルギ吸収体の内周面の全周に亘って加工を施す場合と比較して、エネルギ吸収体の内側への変形領域を拡げることができ、エネルギ吸収体の変形挙動の安定化に寄与する。
本発明のアンダーランプロテクタ構造において、アンダーランプロテクタブラケットは、車体フレームの車幅方向の端部に固定され、アンダーランプロテクタは、エネルギ吸収体の一端よりも車幅方向外側に延びる延長部を有し、ガイド部材は、連結部を有する。連結部は、ガイド部の後端又は前端から車幅方向外側に曲折されて前方又は後方へ延び、アンダーランプロテクタの延長部に固定される。

アンダーランプロテクタの延長部は、その車幅方向内側でエネルギ吸収体及びアンダーランプロテクタブラケットを介して車体フレームに片持ち梁状に支持されるので、前方又は後方から車両の外端部に他の車両が衝突する低オーバーラップ率の衝突が発生し、アンダーランプロテクタの延長部に衝撃荷重が入力すると、延長部には、エネルギ吸収体の一端を支点とした曲げ応力が発生する。このような曲げ応力は、エネルギ吸収体に対して前後方向への押圧力として効率良く入力せず、エネルギ吸収体によって衝撃エネルギを十分に吸収ができない可能性がある。
この点に関し、上記構成では、アンダーランプロテクタの延長部にはガイド部の後端又は前端から車幅方向外側の前方又は後方へ延びる連結部が固定され、ガイド部の移動方向は前後方向に規制されるため、アンダーランプロテクタの延長部に入力した衝撃荷重は、連結部を介してガイド部に後方又は前方への引張り力として作用する。この引張り力によってガイド部が後方又は前方に移動すると、エネルギ吸収体がアンダーランプロテクタによって前後方向に押圧される。すなわち、アンダーランプロテクタの延長部に入力した衝撃荷重は、連結部及びガイド部を介して前後方向の押圧力としてエネルギ吸収体に伝達される。このため、延長部に入力した衝撃エネルギをエネルギ吸収体の変形によって効率よく吸収することができ、延長部の車幅方向内側への曲げ変形が抑制される。従って、低オーバーラップ率の衝突が発生し、アンダーランプロテクタの延長部に衝撃荷重が入力した場合であっても、エネルギ吸収体の安定した変形挙動によって衝撃エネルギを確実に吸収し、他の車両に与える衝撃を好適に緩和することができる。また、延長部の曲げ変形が抑制されるので、他の車両のもぐり込みを有効に防止することができる。
本発明によれば、車両に他の車両が衝突した際の衝撃エネルギを、エネルギ吸収体の安定した変形挙動によって確実に吸収し、他の車両が受ける衝撃を好適に緩和することができる。
本発明に係わるフロントアンダーランプロテクタ構造を備えたキャブオーバートラックの模式側面図である。 本発明に係わるフロントアンダーランプロテクタ構造の斜視図である。 図2のIII−III断面図である。 圧潰したエネルギ吸収体の外観を示す斜視図である。 エネルギ吸収体の谷部の内面とガイド部の外周面とを部分的に接触させた一実施形態の説明図である。 エネルギ吸収体の谷部の内面とガイド部の外周面とを部分的に接触させた他の実施形態の説明図である。 本発明に係わるリアアンダーランプロテクタ構造を備えたキャブオーバートラックの模式側面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方を、図中INは車幅方向内側をそれぞれ示している。また、以下の説明における前後方向は、車両の前後方向を意味し、左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
図1に示すように、本実施形態に係わる車両1は、キャブ2が概ねエンジン(図示省略)よりも前方に位置するキャブオーバー型の車両であり、車両1の前部には、アンダーランプロテクタ構造3を備えている。このアンダーランプロテクタ構造3は、車両1の左右に対称的に設けられて、共通のアンダーランプロテクタを左右で支持する。なお、左右のアンダーランプロテクタ構造3はほぼ同様の構成を有するため、以下では左側について説明し、右側の説明を省略する。
図2に示すように、アンダーランプロテクタ構造3は、メインフレーム(車体フレーム)4と、フロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)5と、フロントアンダーランプロテクタブラケット6と、エネルギ吸収体7と、ガイドパイプ(ガイド部材)8とを備えている。
メインフレーム4は、車両1の車幅方向両側で車両前後方向に延びており、クロスメンバ10によって、左右各メインフレーム4の前端部間が連結されている。
フロントアンダーランプロテクタブラケット(以下、FUPブラケットと称す)6は、ブラケット部11とガイドブロック部(移動規制手段)12とを有する。ブラケット部11は、上部11aによって車体フレームの左側面に固定され下方に延びている。ブラケット部11の下部11bの左側面には、ガイドブロック部12が前後方向に延びて固定されている。すなわち、ガイドブロック部12は、FUPブラケット6を介してメインフレーム4に固定されている。ガイドブロック部12の前部は断面略矩形の直方体形状であり、前部の中央部分には前後方向に挿通する断面円形の挿通孔(移動規制手段)13が設けられている。ガイドブロック部12の挿通孔13の内径は、後述のガイドパイプ8のガイド部15を挿通し、前後方向に移動可能なように、ガイド部15の外径よりも大きく設定されている。ガイドブロック部12の後部には、ガイドブロック部12の前部の右側面に連続する右側面を有するストッパ(移動規制手段)14が前後方向に延びている。ストッパ14の左側面には、挿通孔13の内周面と連続する略半円形状の内面を有し車幅方向左側に開口するU字状の溝部14aが前後方向に延びて形成されている。
エネルギ吸収体7は、図2及び図4に示すように、本体19と前板(エネルギ吸収体7の一端)20と後板(エネルギ吸収体7の他端)21とを有しており、FUPブラケット6とフロントアンダーランプロテクタ(以下、FUPと称す)5との間に介設されている。本体19は、両端が開口する薄肉の金属によって形成される筒状であり、前後方向に直線状に延びている。前後方向と直交する本体19の断面形状は、周方向に複数の谷部22と複数の山部23とが繰り返し形成される凹凸形状であり、この断面形状は、前後方向に沿って一様に設定されている。図3に示すように、本実施形態では、6組の谷部22と山部23とが周方向に等間隔に形成されているが、谷部と山部の数は6組に限定されない。また、谷部22の内面22aは、本体19の中心軸を中心とする内接円24にほぼ接している。内接円24の直径は、本体19が圧潰する際に、後述のガイドパイプ8のガイド部15の外周面に沿った前後方向への移動が可能となるようにガイド部15の外径よりも大きく設定されている。本体19は、プレス成形等によって平板状の金属板を複数の直線状の谷部と複数の直線状の山部とが繰り返して連続する波板状に加工し、この波板状の金属板を筒状に曲折してその両端縁同士を接合することによって形成される。前板20と後板21とは矩形板状であり、それぞれの中央部には本体19の谷部22の内接円24と略同一の内径を有する貫通穴が形成されている。前板20の後面は、本体19の中心軸に前板20の貫通穴の中心を合わせて本体19の前端部に固定される。前板20の前面は、FUP5の後面に固定されてFUP5を支持している。後板21の前面は、本体19の中心軸に後板21の貫通穴の中心を合わせて本体19の後端部に固定される。後板21の後面は、ガイドブロック部12の挿通孔13の中心軸に後板21の貫通穴の中心を合わせてガイドブロック部12の前面に固定されている。
FUP5は、エネルギ吸収体7に支持される基部17と基部17よりも車幅方向外側に延びる延長部18を一体的に有し車幅方向に延びる板状である。FUP5の基部17は、左右のエネルギ吸収体7及びFUPブラケット6を介してメインフレーム4によって両端を支持され、基部17から延びる延長部18は、エネルギ吸収体7及びFUPブラケット6を介してメインフレーム4によって片持ち梁状に支持されている。
ガイドパイプ8は、ガイド部15と連結部16とを一体的に有する円管状である。ガイド部15は、その前端がFUP5の後面に固定され、エネルギ吸収体7の内側とガイドブロック部12の挿通孔13とを挿通し、ガイドブロック部12後部のストッパ14の溝部14aに沿って前後方向に延びている。連結部16は、溝部14aに露出したガイド部15の後端15bから車幅方向外側に向かって略V字状に曲折して前方に延び、その前端がFUP5の延長部18の後面に固定される。ガイド部15が挿通孔13を挿通することによって、ガイド部15の移動方向が前後方向に規制される。また、ガイド部15がストッパ14の溝部14aに沿って前後方向に延びることによって、ガイド部15に対して車幅方向内側に向かう押圧力が作用した際に、この押圧力がストッパ14によって受け止められ、ガイド部15の車幅方向内側への移動が規制される。
図3及び図4に示すように、エネルギ吸収体7とガイド部15とは、エネルギ吸収体7の内側にガイド部15が挿通されることによって2重管を形成している。エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aに接する内接円24の直径は、ガイドパイプ8のガイド部15の外径よりも大きいので、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aとガイド部15の外周面15aとの間には間隙が存在する。谷部22の内面22aには、ガイド部15との間隙を埋める緩衝材25が貼着されている。緩衝材25には、エネルギ吸収体7及びガイド部15の振動を吸収し且つ摩擦抵抗の小さい樹脂等が使用される。緩衝材25は、各谷部22の内面22aの前後方向の全域に連続して設けてもよく、前後方向に間欠的に設けてもよい。
本実施形態では、前方から車両1に他の車両が衝突し、FUP5に衝撃荷重が入力した場合は、FUP5に固定されたエネルギ吸収体7とガイド部15とFUP5の延長部18に固定された連結部16とがFUP5によって後方に押圧される。ガイド部15と連結部16とは、一体的に連結してガイドパイプ8を形成しており、共にメインフレーム4に対して固定されていないので、FUP5とともに移動する。一方、エネルギ吸収体7は、その一端が前板20によってFUP5の後面に固定され、他端が後板21によってFUPブラケット6の前面に固定されているので、FUP5とともに移動せず、FUP5からの押圧により座屈変形をおこす。この座屈変形時において、エネルギ吸収体7の内側にはガイド部15が挿通し、ガイド部15の移動方向は、FUPブラケット6に固定されたガイドブロック部12の挿通孔13を挿通することによって前後方向に規制される。このため、エネルギ吸収体7は、ガイド部15の外周面15aに沿って前後方向から確実に圧潰される。このように、衝突の態様(衝撃荷重の入力位置や入力方向)による影響を受け難い状態でエネルギ吸収体7が変形するので、エネルギ吸収体7の圧潰時の変形挙動(変形モード)が安定する。また、エネルギ吸収体7は、座屈波数が多い形状特性を有しており、圧潰時には、図4に示すように、前後方向に細かく蛇腹状に変形するので、エネルギ吸収体7の内側への突出量の増大が抑制され、エネルギ吸収体7の内周面の過度な狭小化が生じ難い。このため、エネルギ吸収体7が座屈する際に、エネルギ吸収体7の内周面とガイド部15の外周面15aとの干渉が抑制され、エネルギ吸収体7の座屈変形が円滑に進行し、エネルギ吸収体7の圧潰時の変形挙動が安定する。従って、車両1に他の車両が衝突した際の衝撃エネルギを、エネルギ吸収体7の安定した変形挙動によって確実に吸収することができ、他の車両に与える衝撃を好適に緩和することができる。
また、前方から車両1の外端部に他の車両が衝突する低オーバーラップ率の衝突が発生し、FUP5の延長部18に衝撃荷重が入力した場合は、延長部18がメインフレーム4に対して片持ち梁状に支持されているので、延長部18には、FUP5が固定されているエネルギ吸収体7の一端を支点とする曲げ応力が発生する。このような曲げ応力は、エネルギ吸収体7に対して前後方向への押圧力として効率良く入力せず、エネルギ吸収体7によって衝撃エネルギを十分に吸収できない可能性がある。この点に関して、本実施形態では、FUP5の延長部18の後面に、ガイド部15の後端15bから延びる連結部16の前端が固定されているので、FUP5の延長部18に入力した衝撃荷重は、連結部16を介してガイド部15の後端15bに作用し、ガイド部15の後端15bを車幅方向内側の斜め後方に押圧する。この押圧力の前後方向に向かう成分は、ガイド部15を後方へ移動させるように作用し、車幅方向内側に向かう成分は、ガイド部15の後端15bを車幅方向内側に押圧して車幅方向内側に移動させるように作用する。しかし、車幅方向内側に向かう押圧力は、ガイドブロック部12のストッパ14によって受け止められ、ガイド部15の後端15bの車幅方向内側への移動が規制される。このため、FUP5の延長部18に入力した衝撃荷重は、ガイド部15に対する後方への引張り力として作用し、ガイド部15は、ガイドブロック部12の挿通孔13及びストッパ14の溝部14aに沿って後方へ移動する。ガイド部15が後方に移動すると、エネルギ吸収体7がFUP5によって前後方向に押圧される。すなわち、FUP5の延長部18に入力した衝撃荷重は、連結部16及びガイド部15を介して前後方向の押圧力としてエネルギ吸収体7に伝達される。このため、延長部18に入力した衝撃エネルギをエネルギ吸収体7の変形によって効率よく吸収することができ、延長部18の車幅方向内側への曲げ変形が抑制される。従って、低オーバーラップ率の衝突が発生し、FUP5の延長部18に衝撃荷重が入力した場合であっても、エネルギ吸収体7の安定した変形挙動によって衝撃エネルギを確実に吸収し、他の車両に与える衝撃を好適に緩和することができる。また、延長部18の曲げ変形が抑制されるので、他の車両のもぐり込みを有効に防止することができる。
また、エネルギ吸収体7は、平板状の金属薄板をプレス成形等により複数の直線状の谷部と複数の直線状の山部とが繰り返して連続する波板状に加工し、この波板状の金属板を筒状に曲折してその両端縁同士を接合することによって、容易に形成することができる。
また、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aには、ガイド部15の外周面15aとの間隙を埋める緩衝材25が貼着されているので、車両走行中の振動等によるガタツキや磨耗等の発生を防止することができる。また、緩衝材25は、ガイド部15の外周面15aとエネルギ吸収体7の谷部22の内面22aとの摺動抵抗を低減させるので、エネルギ吸収体7がガイド部15の外周面に沿って圧潰する変形挙動の安定化に寄与することができる。さらに、緩衝材25は、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aとガイド部15の外周面15aとの間にのみ貼着すればよいので、ガイド部15の外周面15aやエネルギ吸収体7の内周面の全周に亘って緩衝材を貼着する場合と比較して、エネルギ吸収体7の内側への潰れ変形領域を拡げることができ、エネルギ吸収体7の変形挙動の安定化に寄与することができる。
なお、エネルギ吸収体7の形状は、本実施形態の形状に限定されず、座屈波数の多い形状特性を有していればよい。すなわち、本実施形態のエネルギ吸収体7は、前後方向と直交する断面形状が周方向に複数の谷部22と複数の山部23とが繰り返し形成される凹凸形状であり、この断面形状が前後方向に一様に設定されているが、例えば、前後方向に断続的に設定されている形状等であってもよい。
また、本実施形態のガイドパイプ8は、ガイド部15と連結部16とを有するが、両者のうち連結部16を省略してもよい。この場合、前方から車両1に他の車両が衝突し、FUP5に衝撃荷重が入力すると、エネルギ吸収体7は、ガイド部15の外周面15aに沿って前後方向から確実に圧潰し、衝突の態様(衝撃荷重の入力位置や入力方向)による影響を受け難い状態で変形する。また、エネルギ吸収体7の座屈変形もガイド部15の外周面15aに沿って円滑に進行する。このため、エネルギ吸収体7の圧潰時の変形挙動(変形モード)が安定する。従って、車両1に他の車両が衝突した際の衝撃エネルギを、エネルギ吸収体7の安定した変形挙動によって確実に吸収することができ、他の車両に与える衝撃を好適に緩和することができる。
また、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aは緩衝材25を貼着せず、エネルギ吸収体7の谷部22の形状を、谷部22の内面22aとガイド部15の外周面15aとを部分的に接触させる形状としてもよい。具体的には、例えば、図5に示すように、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aに、ガイド部15の外周面15aに向かって部分的に突出する凸部26を設けてもよく、あるいは、図6に示すように、谷部22をガイド部15の外周面15aに向けて湾曲させる等の加工を施してもよい。また、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aとガイド部15の外周面15aとを部分的に接触させるこれらの加工は、各谷部22の内面22aの前後方向の全域に連続して設けてもよく、前後方向に間欠的に設けてもよい。この場合であっても、エネルギ吸収体7の谷部22によってガイド部15が周方向に複数箇所で支持されるので、エネルギ吸収体7とガイド部15との衝突によるガタツキや摩耗等の発生を防止できる。また、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aとガイド部15の外周面15aとの接触面積が小さいので、エネルギ吸収体7の谷部22の内面22aとガイド部15の外周面15aとの摺動抵抗が低減される。また、上記加工は、エネルギ吸収体7の谷部22にのみ施せばよいので、緩衝材25を貼着する場合と同様にエネルギ吸収体7の内側への潰れ変形領域が確保される。従って、エネルギ吸収体7の変形挙動の安定化に寄与することができる。
また、ガイドブロック部12のストッパ14の左側面の形状は、本実施形態のU字溝形状に限定されず、連結部16を介してガイド部15の端部15aに入力する衝撃荷重の車幅方向内側に向かう押圧力を受け止めて、ガイド部15の端部15aの車幅方向内側方向への移動を規制し、前後方向への移動は許容する形状であればよく、例えば、平面形状等であってもよい。
また、ガイド部15の移動方向の前後方向への規制は、本実施形態に限定されず、例えば、ガイド部15の外径よりも大きな内径を有し、FUPブラケット6の左側面に両端部が上下方向に固定されるU字状部材を前後方向に複数個配置して、この複数のU字状部材の内側をガイド部15が挿通することによって、ガイド部15の移動を前後方向に規制する等であってもよい。
また、ガイドブロック部12を、FUPブラケット6を介してメインフレーム4に固定ぜず、メインフレーム4に直接固定してもよい。
また、連結部16の形状は、ガイド部15の後端15bから車幅方向外側に曲折して前方に延びてFUP5の延長部18に固定される形状であれば上記略V字状に限定されず、例えば、略U字状等であってもよい。
また、本実施形態では、アンダーランプロテクタ構造3を、車両1の前方に配置されるFUP5に適用したが、図7に示すように、車両1の後方(車体フレームの後部下方)に配置されるリアアンダーランプロテクタ30に適用することも可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
本発明は、貨物車両などの大型車両のアンダーランプロテクタ構造として広く適用可能である。
1 車両
3 アンダーランプロテクタ構造
4 メインフレーム(車体フレーム)
5 フロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)
6 フロントアンダーランプロテクタブラケット(アンダーランプロテクタブラケット)
7 エネルギ吸収体
8 ガイドパイプ(ガイド部材)
12 ガイドブロック部(移動規制手段)
13 挿通孔(移動規制手段)
14 ストッパ(移動規制手段)
15 ガイド部
15a ガイド部の外周面
16 連結部
18 延長部
22 谷部
22a 谷部の内面
23 山部
30 リアアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)

Claims (1)

  1. 車両の車体フレームの前方又は後方の端部下方で車幅方向に延びるアンダーランプロテクタと、
    前記アンダーランプロテクタの後方又は前方で前記車体フレームに固定されるアンダーランプロテクタブラケットと、
    前記アンダーランプロテクタの後面又は前面に固定される一端と、前記アンダーランプロテクタブラケットの前面又は後面に固定される他端とを有し、前後方向に直線状に延びる筒状のエネルギ吸収体と、
    前記アンダーランプロテクタの後面又は前面に固定され、前記エネルギ吸収体の内側を挿通して前後方向に直線状に延びるガイド部を有するガイド部材と、
    前記車体フレームに固定され、前記ガイド部の移動方向を前後方向のみに規制する移動規制手段と、を備え、
    前記エネルギ吸収体は、周方向に等ピッチの凹凸を有する断面形状であり、
    前記アンダーランプロテクタブラケットは、前記車体フレームの車幅方向の端部に固定され、
    前記アンダーランプロテクタは、前記エネルギ吸収体の一端よりも車幅方向外側に延びる延長部を有し、
    前記ガイド部材は、前記ガイド部の後端又は前端から車幅方向外側に曲折されて前方又は後方へ延び、前記アンダーランプロテクタの延長部に固定される連結部を有する
    ことを特徴とするアンダーランプロテクタ構造。
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