JP5926983B2 - 鉄筋連結装置および鉄筋連結方法 - Google Patents
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Description
そこで、鉄筋の外周のフシをネジ状にし、継手の内周には上記ネジ状のフシと噛み合う雌ネジを設け、更に上記継手の端部をナットでロックすることが考えられる。この場合、2本の鉄筋のうち何れか一方には、他方の鉄筋との対向端部からナット及び継手を順次ねじ込んでおき、2本の鉄筋を一列に配置した後、継手を一方の鉄筋から他方の鉄筋に跨るように移動させ、その後、ナットを締め込むのが一般的と考えられる。しかし、そうすると、ナットを継手とは別途に、しかも継手よりも深く一方の鉄筋にねじ込んでおく必要がある。また、継手のナットの在庫管理等を別々に行なう必要がある。
前記雄ネジ山と噛み合い可能な雌ネジ山を内周に有して、前記第1、第2鉄筋の互いに対向する端部の外周間に跨る筒状の継手と、
前記継手の第1鉄筋側の端部に締め付けられるナットと、
前記継手及び前記ナットを相対回転不能に、かつ該相対回転不能状態を解除可能に仮止めする仮止め手段と、
を備えたことを特徴とする。
これによって、鉄筋の連結作業に際して、継手とナットを一体に回して鉄筋にねじ込むことができる。したがって、鉄筋連結作業の施工性を向上できる。ナットを締め付ける際は、仮止め状態を解除することで、ナットを継手に対して相対回転させることができ、ナットを確実に締め付けることができる。また、継手とナットの在庫状況等の管理をまとめて行なうことができる。
前記継手及び前記第2ナットを相対回転不能に、かつ該相対回転不能状態を解除可能に仮止めをする第2の仮止め手段と、
を更に備えていることが好ましい。
これによって、第2のナットをも継手と一体的に回して鉄筋にねじ込むことができる。したがって、鉄筋連結作業の施工性を一層向上できる。第2ナットを締め付ける際は、継手と第2ナットの仮止め状態を解除することで、第2ナットを継手に対して相対回転させることができ、第2ナットを確実に締め付けることができる。継手の両端部にそれぞれナットを締め付けることで、継手を確実にロックでき、ひいては2本の鉄筋を確実に連結できる。
内周に雌ネジ山が形成された筒状の継手と、前記継手の第1鉄筋側の端部に設けられるナットを、仮止め手段にて互いに相対回転不能に仮止めされた状態で前記第1鉄筋にねじ込み、
次に、前記継手及びナットを前記仮止め状態で前記第2鉄筋に向かうように回して、前記継手を前記第1鉄筋から前記第2鉄筋に跨らせ、
次に、前記仮止め手段による仮止め状態を解除するとともに前記ナットを前記継手に締め付けることを特徴とする。
これによって、鉄筋の連結作業に際して、継手とナットを一体に回して鉄筋にねじ込むことができる。したがって、鉄筋連結作業の施工性を向上できる。ナットを締め付ける際は、仮止め状態を解除することで、ナットを継手に対して相対回転させることができ、確実に締め付けることができる。
これによって、第2のナットをも継手と一体的に回して鉄筋にねじ込むことができる。したがって、鉄筋連結作業の施工性を一層向上できる。第2ナットを締め付ける際は、継手と第2ナットとの仮止め状態を解除することで、第2ナットを継手に対して相対回転させることができ、確実に締め付けることができる。継手の両端部にそれぞれナットを締め付けることで、継手を確実にロックでき、ひいては2本の鉄筋を確実に連結できる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る鉄筋連結構造1を示したものである。鉄筋連結構造1は、建築分野又は土木分野における鉄筋コンクリート構造物などに適用される。鉄筋連結構造1は、2本の鉄筋10,20と、鉄筋連結装置3を備えている。鉄筋10,20は、上記鉄筋コンクリート構造物の例えば柱部の主筋を構成している。これら鉄筋10,20が、軸方向を鉛直に向けて、一直線上に配置されている。第1鉄筋10は相対的に上側に位置し、第2鉄筋20は相対的に下側に位置している。
[第1ねじ込み工程]
図4(a)に示すように、鉄筋連結装置3を、継手30及びナット40,50が鑞材71,72にて仮止めされた状態で、第1鉄筋10の下端(第2鉄筋20との対向端)から第1鉄筋10にねじ込む(第1ねじ込み工程)。このとき、例えば継手30に回転力を直接加える。すると、ナット40,50も継手30と一体になって回転する。ナット40,50は、第1鉄筋10から回転方向とは逆向きに摩擦抵抗を受ける。しかし、この摩擦抵抗では鑞材71,72が破壊されることがなく、継手30とナット40,50の仮止め状態を維持できる。したがって、継手30を回すだけで、継手30と一緒にナット40,50をも確実に第1鉄筋10にねじ込むことができる。これによって、第1ねじ込み工程の施工性を高めることができる。
雄ネジ山11と雌ネジ山31,41,51との間には十分な遊びがあるから、上記摩擦抵抗を小さくできる。したがって、継手30及びナット40,50の上記仮止め状態を確実に維持できるとともに、ねじ込みトルクを低減できる。
第1ねじ込み工程では、第1鉄筋10の下端部がナット50よりも少し突出するまで、鉄筋連結装置3を第1鉄筋10にねじ込むことが好ましい。
次に、図4(b)に示すように、第1鉄筋10を、施工現場に設置済の第2鉄筋20の上方に第2鉄筋20と一直線になるように鉛直に配置する(配置工程)。第2鉄筋20の上端部には、ナット50をねじ込んでおく必要が無い。
次に、図5(a)に示すように、鉄筋連結装置3を、継手30及びナット40,50が仮止めされた状態のままで、第1ねじ込み工程とは逆方向に回して、第2鉄筋20に向けて下降させる。そして、図5(b)に示すように、ナット50を第2鉄筋20に移し、かつ、継手30を第1鉄筋10から第2鉄筋20に跨らせる。この第2ねじ込み工程では、例えば継手30に回転力を直接加える。すると、ナット40,50も継手30と一体になって回転する。ナット40,50は、第1鉄筋10又は第2鉄筋20から回転方向とは逆向きに摩擦抵抗を受ける。しかし、この摩擦抵抗では鑞材71,72が破壊されることがなく、継手30とナット40,50の仮止め状態を維持できる。したがって、継手30を回すだけで、継手30と一緒にナット40,50をも確実に回転させて下降させることができる。これによって、第2ねじ込み工程の施工性を高めることができる。
雄ネジ山11,21と雌ネジ山31,41,51との間には十分な遊びがあるから、上記第2ねじ込み工程における摩擦抵抗を小さくできる。したがって、継手30及び40,50の上記仮止め状態を確実に維持できるとともに、ねじ込みトルクを低減できる。
次に、図5(c)に示すように、上下のナット40,50をそれぞれ継手30に向けて締め付ける。この締め付けトルクによって、鑞材71,72が破壊(粉砕)されて、継手30とナット40,50との仮止め状態が解除される。これによって、ナット40,50をそれぞれ継手30に対して確実に相対回転させて締め付けることができる。一旦、締め付け方向とは逆向きにナット40,50にトルクを掛けて鑞材71,72を破壊したうえで、ナット40,50を締め付けてもよい。更に、破壊した鑞材71,72を除去したうえで、ナット40,50を締め付けてもよい。
図1に示すように、次に、グラウト61をグラウト孔32から継手30の内部に注入する。このグラウト61が、継手30の内周と鉄筋10,20との間の隙間に充填される。更に、グラウト61は、第1ナット40の内周と第1鉄筋10との間の隙間、及び第2ナット50の内周と第2鉄筋20との間の隙間にも充填される。そして、第1ナット40のネジ穴の上端部からグラウト61が漏れ、かつ第2ナット50のネジ穴の下端部からグラウト61が漏れる。これによって、グラウト61が鉄筋連結装置3内に十分に行き渡ったことを確認できる。この時点で、グラウト61の注入を停止する。グラウト61は、やがて固化する。このようにして、2本の鉄筋10,20を、鉄筋連結装置3を介して連結することができる。
さらに、鉄筋連結装置3より上側の鉄筋10は、外周の雄ネジ山11によってコンクリートとの付着性を高めることができ、かつ鉄筋連結装置3より下側の鉄筋20は、外周の雄ネジ山21によってコンクリートとの付着性を高めることができる。この結果、鉄筋10,20の主筋としての機能を充分に発現できる。
また、継手30及びナット40,50は、高精度を要求されることがなく、安価に製造できる。鑞材71は継手30及びナット40,50を仮止めする程度の接合力があればよいから、鑞付け作業を簡単に済ますことができる。
鉄筋連結装置3は全体として一体に管理できる。継手30とナット40,50を別々に管理する必要が無い。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態を示したものである。この形態では、鉄筋連結前の連結装置3において、鑞材71,72が、継手30及びナット40,50の突き当て部の外周面に設けられている。上側の鑞材71(第1仮止め手段)は、継手30とナット40との間に跨っている。継手30とナット40は互いに直接的に当接されている。下側の鑞材72(第2仮止め手段)は、継手30とナット50との間に跨っている。継手30とナット50は互いに直接的に当接されている。鑞材71は、継手30及びナット40,50の全周にわたって環状に設けられているが、継手30及びナット40,50の周方向に間隔を置いて複数箇所にスポット状に設けられていてもよい。継手30とナット40,50とは同じ断面形状であることが好ましい。
図7は、本発明の第3実施形態を示したものである。この実施形態の第1仮止め手段81及び第2仮止め手段82は、それぞれ凹部83と凸部84とによる凹凸嵌合手段にて構成されている。継手30の端部の外周面には1又は複数の凹部83が設けられている。凹部83は、ナット40,50側とは反対側に向かうにしたがって深くなる楔形の空間になっている。複数の凹部83は、互いに継手30の周方向に好ましくは等間隔ごとに配置されている。
なお、凸部84の形状は適宜改変できる。
図8は、本発明の第4実施形態を示したものである。この実施形態の鉄筋連結装置3における第1、第2仮止め手段は、継手30及びナット40,50とは別体の仮止め部材91,92にて構成されている。各仮止め部材91,92は、細い金属線にて構成され、主部93と、この主部93に対して略直交する一対の掛止部94とを有して、大略コ字状(C字状)になっている。主部93と掛止部94との角度(内角)は、直角に限られず、鋭角でもよく、鈍角でもよい。掛止部94の先端部は、外方かつ反対側に折り曲げられている。
なお、締め込み工程に先だって、掛止部94を掛止孔96,97から引き抜いたり、主部93を切断工具で切断したりすることで、仮止め部材91,92による継手30及びナット40,50の仮止め状態を解除し、そのうえで、ナット40,50にトルクを掛けて締め込むことにしてもよい。
例えば、上下に一直線に並んだ2本の鉄筋のうち、下側の鉄筋が「第1鉄筋」を構成し、上側の鉄筋が「第2鉄筋」を構成していてもよい。
第1鉄筋10及び第2鉄筋20は、鉛直に限られず、水平に配置されていてもよい。第1鉄筋10及び第2鉄筋20は、柱部の主筋に限られず、梁部の主筋を構成していてもよい。第1鉄筋10及び第2鉄筋20が、鉛直及び水平に対して斜めになっていてもよい。
仮止め手段は、粘着テープでもよい。この粘着テープは、ナットへの締め付けトルク程度の力で容易に剥離又は破断できることが好ましい。
3 鉄筋連結装置
10 第1鉄筋
11 第1の雄ネジ山
12 ネジ形成領域
13 平坦部
20 第2鉄筋
21 第2の雄ネジ山
23 平坦部
30 継手
31 雌ネジ山
32 グラウト孔
40 ナット
41 雌ネジ山
50 第2のナット
51 雌ネジ山
61 グラウト
71 第1鑞材(仮止め手段)
72 第2鑞材(第2の仮止め手段)
81 第1凹凸嵌合手段(仮止め手段)
82 第2凹凸嵌合手段(第2の仮止め手段)
83 凹部
84 凸部
84a 基端部
91 第1仮止め部材(仮止め手段)
92 第2仮止め部材(第2の仮止め手段)
93 主部
94 掛止部
96,97 掛止孔
Claims (6)
- 外周に雄ネジ山状のフシが形成された異形鉄筋からなる第1鉄筋と第2鉄筋を軸方向に連結する鉄筋連結装置であって、
前記雄ネジ山状のフシと余裕をもって噛み合い可能な雌ネジ山を内周に有して、前記第1、第2鉄筋の互いに対向する端部の外周間に跨る筒状の継手と、
前記雄ネジ山状のフシと余裕をもって噛み合い可能であり、かつ前記継手の第1鉄筋側の端部に締め付けられるナットと、
前記継手及び前記ナットを相対回転不能に、かつ該相対回転不能状態を解除可能に仮止めする仮止め手段と、
を備え、前記仮止め手段が、前記継手と前記ナットの対向端面どうし間に介在された層状の鑞材であることを特徴とする鉄筋連結装置。 - 外周に雄ネジ山が形成された第1鉄筋と、第2鉄筋とを、軸方向に連結する鉄筋連結装置であって、
前記雄ネジ山と噛み合い可能な雌ネジ山を内周に有して、前記第1、第2鉄筋の互いに対向する端部の外周間に跨る筒状の継手と、
前記継手の第1鉄筋側の端部に締め付けられるナットと、
前記継手及び前記ナットを相対回転不能に、かつ該相対回転不能状態を解除可能に仮止めする仮止め手段と、
を備え、
前記仮止め手段が、前記継手とナットのうち一方に設けられた凸部と、前記継手とナットのうち他方に設けられて前記凸部が嵌る凹部とを含むことを特徴とする鉄筋連結装置。 - 前記継手の第2鉄筋側の端部に締め付けられる第2のナットと、
前記継手及び前記第2ナットを相対回転不能に、かつ該相対回転不能状態を解除可能に仮止めする第2の仮止め手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋連結装置。 - 外周に雄ネジ山状のフシが形成された異形鉄筋からなる第1鉄筋と第2鉄筋を軸方向に連結する鉄筋連結方法であって、
内周に前記雄ネジ山状のフシと余裕をもって噛み合う雌ネジ山が形成された筒状の継手と、前記継手の第1鉄筋側の端部に設けられるとともに前記雄ネジ山状のフシと余裕をもって噛み合うナットを、これら継手及びナットの対向端面どうし間に介在された層状の鑞材からなる仮止め手段にて互いに相対回転不能に仮止めされた状態で前記第1鉄筋にねじ込み、
次に、前記継手及びナットを前記仮止め状態で前記第2鉄筋に向かうように回して、前記継手を前記第1鉄筋から前記第2鉄筋に跨らせ、
次に、前記鑞材を破壊することによって前記仮止め状態を解除するとともに前記ナットを前記継手に締め付けることを特徴とする鉄筋連結方法。 - 外周に雄ネジ山が形成された第1鉄筋と、第2鉄筋とを、軸方向に連結する鉄筋連結方法であって、
内周に雌ネジ山が形成された筒状の継手と、前記継手の第1鉄筋側の端部に設けられるナットを、仮止め手段にて互いに相対回転不能に仮止めされた状態で前記第1鉄筋にねじ込み、前記仮止め手段が、前記継手とナットのうち一方に設けられた凸部と、前記継手とナットのうち他方に設けられて前記凸部が嵌る凹部とを含んでおり、
次に、前記継手及びナットを前記仮止め状態で前記第2鉄筋に向かうように回して、前記継手を前記第1鉄筋から前記第2鉄筋に跨らせ、
次に、前記凸部を破断することによって前記仮止め状態を解除するとともに前記ナットを前記継手に締め付けることを特徴とする鉄筋連結方法。 - 前記継手の第2鉄筋側の端部には、第2のナットを第2の仮止め手段にて前記継手に対し相対回転不能に仮止めしておき、前記継手を前記第1鉄筋から前記第2鉄筋に跨らせた後、前記第2仮止め手段による仮止め状態を解除するとともに前記第2ナットを前記継手に締め付けることを特徴とする請求項4又は5に記載の鉄筋連結方法。
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