JP5981814B2 - ジベル及び該ジベルを用いた鋼床版補強方法 - Google Patents

ジベル及び該ジベルを用いた鋼床版補強方法 Download PDF

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本発明は、鋼部材の表面にコンクリート部材又はモルタル部材を一体に接合するために用いるジベル、及び、該ジベルを用いた鋼床版補強方法に関するものである。
橋梁や高架道路を構成する床版の1つに鋼床版がある。かかる鋼床版は、鋼板製としてあるデッキプレートの下面側に縦リブと横リブを取り付けて補強し、該補強されたデッキプレートの上側にアスファルト舗装を設けてなる構成としてある。
この種の鋼床版では、経年変化に伴う疲労や損傷の発生が懸念されており、そのために、上記のような鋼床版の疲労や損傷を補うための手法として、たとえば、デッキプレートの上側の既設のアスファルト舗装を撤去した後、上記デッキプレートの上側にコンクリート層又はモルタル層を一体に設けることにより該デッキプレートを補強し、しかる後、上記コンクリート層又はモルタル層の上側に、アスファルト舗装を設けるようにする手法が考えられている。
ところで、上記鋼板製のデッキプレートの上面に上記コンクリート層又はモルタル層を一体化させた合成構造を形成する場合のように、鋼部材の表面にコンクリート部材又はモルタル部材を一体化させてなる鋼コンクリート合成構造(鋼部材とモルタル部材との合成構造も含む)を形成する場合は、鋼部材とコンクリート部材又はモルタル部材との間での剪断方向の相対的なずれや、該各部材同士が互いに離反する方向の相対的なずれを防止する必要がある。
なお、鋼コンクリート合成構造のずれ止めとしては、スタッドジベル(頭付きスタッド)が広く一般的に使用されている。
かかるスタッドジベルを使用する場合は、鋼部材の表面におけるコンクリート部材又はモルタル部材の接合個所に、複数のスタッドジベルを溶接により植設し、次いで、上記鋼部材の表面にコンクリート又はモルタルを上記スタッドジベルを覆うように打設し、硬化させてコンクリート部材又はモルタル部材を形成させるようにしてある。これにより、上記鋼部材に植設してある各スタッドジベルがコンクリート部材又はモルタル部材に埋め込まれるようになるため、上記コンクリート部材又はモルタル部材に埋め込まれたスタッドジベルにより該コンクリート部材又はモルタル部材の相対変位を拘束させることで、上記鋼部材とコンクリート部材又はモルタル部材の相対的なずれを防止して両者を一体化できるようにしてある。
又、鋼床版のデッキプレートの表面にコンクリート層又はモルタル層を一体に接合するための手法の1つとしては、鋼床版のデッキプレートの表面に、樹脂製のジベルを接着剤により接着し、その後、上記樹脂製のジベルを覆うように繊維補強モルタル(繊維補強セメント複合材料)を打設して、上記デッキプレートとその上側で形成させる繊維補強モルタル層を上記樹脂製のジベルを介して一体に連結させるようにする手法が従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
鋼床版のデッキプレートの表面にコンクリート層又はモルタル層を一体に接合するための別の手法としては、鋼床版の全面に接着剤を塗布し、該接着剤が塗布された鋼床版上にコンクリートを打設することにより、鋼床版とその上側で形成させるコンクリート層とを上記接着剤により接着することで、一体化させるようにする手法が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特許第4276527号公報 特開2007−162417号公報
ところが、従来のジベルは、前記した構成のもので、溶接や接着剤以外の手段により鋼部材に植設して、鋼部材と、その表面側に形成させるコンクリート部材又はモルタル部材との相対的なずれを効率よく防止した状態で一体化させることができるようにしたものはない。
そのため、従来のジベルでは、以下のような問題が生じる。
すなわち、鋼床版のデッキプレート上に敷設されるアスファルト舗装の通常の厚み寸法は80mm程度であることから、前述したように鋼床版のデッキプレートの補強を目的として該デッキプレートの上側にコンクリート層又はモルタル層を一体に設ける場合、該コンクリート層又はモルタル層の厚み寸法と、その上側に設けるアスファルト舗装の厚み寸法の和を、従来の鋼床版にてデッキプレート上に設けられていたアスファルト舗装の厚み寸法と同様の80mm程度にするためには、上記コンクリート層又はモルタル層の厚み寸法は40mm程度に設定する必要がある。
この場合、鋼コンクリート合成構造のずれ止めとして広く使用されているスタッドジベルは、汎用のものは呼び長さが最低でも40mm程度となっているため、この汎用のスタッドジベルを上記鋼床版のデッキプレートに植設した状態では、該デッキプレートの上側に40mm程度の厚み寸法で形成するコンクリート層又はモルタル層に埋没させることが困難であり、たとえ、該コンクリート層又はモルタル層に埋没させることができたとしても、スタッドジベルの頭部の先端から上記コンクリート層又はモルタル層の上面までの間に、被り厚さを確保することが難しいというのが実状である。
又、上記汎用のスタッドジベルは、通常、呼び長さが小さいものは軸径が細くなっているため、呼び長さが小さいスタッドジベルほど、一点当たりの剛度が低くなる傾向がある。更に、上記のように鋼床版のデッキプレートに植設したスタッドジベルを用いて該鋼床版の上側に接合するコンクリート層又はモルタル層との剪断方向のずれ止めを図る場合、スタッドジベルの軸径が細い場合は、コンクリート層又はモルタル層における上記スタッドジベルの軸部の周囲に位置する部分に応力集中が生じ易い。しかも、上記スタッドジベルは、その頭部が円柱形状としてあって、該頭部における鋼床版に臨む側となる軸部寄りの端面と外周面との間のコーナ部が、ほぼ直角の断面形状となっていることから、上記コンクリート層又はモルタル層にて上記コーナ部に接する部分にも応力集中が生じ易い。そのために、汎用のスタッドジベルにて呼び長さが小さくて軸径が細いものは、ずれ止めとしての強度があまり高くないというのが実状である。
そのために、上記鋼床版のデッキプレートに呼び長さの小さいスタッドジベルを植設して、該デッキプレートの上側に設けるコンクリート層又はモルタル層とのずれ止めを図る場合、上記デッキプレートとコンクリート層又はモルタル層との間に作用する剪断力に耐えてずれ止めを図ることができるようにするためには、上記デッキプレートに植設するスタッドジベルの本数を多くする必要がある。したがって、部材点数が嵩むと共に、スタッドジベルの植設のための溶接作業に手間と時間を要するという問題がある。
なお、以上の点に鑑みると、スタッドジベルとして、全長が短くて軸径が太い外形のスタッドジベルを用いるようにすれば、上記のような問題はいずれも解消できると考えられるが、この場合であっても、該スタッドジベルの植設のための溶接作業に多くの手間と時間を要するという問題が生じてしまう。
更に、デッキプレートにおける上記スタッドジベルの溶接個所は、一度熱が作用することになるため、該デッキプレートにおける亀裂の起点になる虞が懸念される。
特許文献1に示された手法によれば、鋼床版のデッキプレートの上面に樹脂製のジベルを接着剤により接着した状態で、該デッキプレートの上側に上記樹脂製のジベルが埋め込まれた繊維補強モルタル層を形成させることができるとされている。
ところで、一般に、接着剤は、引っ張り力(剥離させる方向の力)と剪断力が同時に作用する場合に接着強度が低下し易い。しかし、上記鋼床版のデッキプレートと樹脂製のジベルとの接着部分には、上記デッキプレートと繊維補強モルタル層との間の相対的な剪断方向のずれと、上記デッキプレートと繊維補強モルタル層が相対的に離反する方向のずれの力が一緒に作用するようになるため、上記デッキプレートと樹脂製のジベルとの上記接着剤のみによる接着部分の耐力が不足する虞がある。
又、接着剤は、施工時の接着強度の発現に温度依存性があり、環境の影響を受けやすいため、品質の確保が難しいという問題もある。
更に、上記樹脂製のジベルは、頭部に樹脂により突起を形成してあるが、樹脂製であるために強度を得にくく、よって、上記鋼床版のデッキプレートと繊維補強モルタル層を相対的に離反させる方向の力に対する耐力が低いというのが実状である。
特許文献2に示されたものは、鋼床版の全面に接着剤を塗布し、その上にコンクリートを打設することで、形成されるコンクリート層と上記鋼床版とを上記接着剤により接着して一体化させるものであるため、上記鋼床版に対する接着剤の塗布に際し、予め上記鋼床版の表面を全面に亘ってケレンする作業が必要になる。したがって、そのケレン作業に要する手間や時間が嵩むと共に、コストが嵩むという問題がある。
そこで、本発明は、鋼部材と該鋼部材に一体に接合するコンクリート部材又はモルタル部材とのずれ止めを図ることができると共に、上記鋼部材に接合するコンクリート部材又はモルタル部材の厚み寸法が比較的小さい場合であっても、上記ずれ止めの効果を良好に図ることができ、更には、鋼部材に対する取り付けに要する労力と時間を軽減することができる等、上記した従来の問題点を解消できるようにするジベル、及び、該ジベルを用いた鋼床版補強方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、軸心方向の一端寄りに、鋼部材に設けた下穴にねじ切りと螺合による結合を行うためのタッピングボルト部を備え、該タッピングボルト部を、軸心方向他端部に工具嵌合部を備えた全ねじのタッピングボルト部材とし、該タッピングボルト部の軸心方向他端側に、ナット本体の軸心方向片側端部に周方向外方へ張り出すフランジ部を備えてなるフランジ付きナットを、該フランジ部が上記タッピングボルト部材の軸心方向他端寄りに位置する姿勢で螺着させてなる構成を有するジベルとする。
、上記構成において、上記タッピングボルト部材に螺着させる上記フランジ付きナットのナット本体を胴部とする構成とする。
、請求項1又は2記載のジベルを、鋼床版のデッキプレートに設けた下穴に上面側からねじ込んで、該デッキプレートの上面に上記ジベルを設置し、次いで、上記デッキプレートの上側に、上記ジベルを埋没させるようにコンクリート又はモルタルを打設し、硬化させて、上記ジベルを埋め込んでなるコンクリート層又はモルタル層を形成させるようにする鋼床版補強方法とする。
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)本発明のジベルは、鋼部材に予め設けた下穴に、表面側からタッピングボルト部をねじ込んで該鋼部材の表面に設置することができる。このように鋼部材の表面側に設置されたジベルを埋めるようにコンクリート又はモルタルを打設して形成させるコンクリート部材又はモルタル部材と、上記鋼部材とは、剪断方向の相対的なずれや、互いに離反する方向の相対的なずれを効率よく防止した状態で一体化させることができる。
(2)又、本発明のジベルは、鋼部材に接合するコンクリート部材又はモルタル部材の厚み寸法が、従来の汎用のスタッドジベルは適用できないような小さい厚み寸法である場合にも、被り厚さを容易に確保することができる。
(3)更に、本発明のジベルは、呼び長さが小さい汎用のスタットジベルに比して、軸径を太くすることが容易にできて、一点当たりの剛度を高めることができるため、上記鋼部材とコンクリート部材又はモルタル部材とのずれ止めの効果を良好なものとすることができる。
(4)鋼部材に本発明のジベルを取り付ける作業は、該鋼部材の表面側からのみの施工で実施することができる。又、タップを用いてボルト穴を予め加工する(形成する)作業は不要であり、更には、スタッドジベルを植設する場合のような溶接作業をなくすことができることから、鋼部材に対するジベルの設置作業に要する手間と時間を軽減することができる。
(5)又、この鋼部材に対する本発明のジベルの設置作業は、鋼部材に、スタッドジベルの溶接による植設作業のような熱が作用することがないため、本発明のジベルの設置個所が鋼部材の亀裂の起点となることを防止することができる。
(6)更に、鋼部材に対する本発明のジベルの設置部分は、接着剤によるものではないため、該設置部分の耐力を高めることができると共に、環境の影響を受けることなく安定した品質を得ることができる。又、本発明のジベル自体を強度の高いものとすることができる。
(7)更に又、本発明のジベルを鋼部材に設置する場合は、上記特許文献2に示されたような鋼部材の表面全面のケレン作業は不要なため、このようなケレン作業を行う場合に比して、手間と時間、更には、設置作業に要するコストを削減することができる。
(8)本発明の鋼床版補強方法は、鋼床版のデッキプレートと、該デッキプレートに接合するコンクリート層又はモルタル層との接合個所について、上記(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)における鋼部材とコンクリート部材又はモルタル部材との接合個所について得られる効果と同様の効果を得ることができる。これにより、上記デッキプレートに対して上記コンクリート層又はモルタル層を一体化させることができて、鋼床版のデッキプレートの補強を行うことができる。
本発明のジベルの実施の一形態を示すもので、(a)は鋼部材に取り付ける前の状態を示す概略側面図、(b)は(a)のA−A方向矢視図、(c)は鋼部材に取り付けた状態を示す概略側面図である。 本発明の実施の他の形態として、図1のジベルの応用例を示すもので、(a)はジベルを構成するタッピングボルト部材に螺着させたフランジ付きナットと鋼部材の表面との間にスリーブを介装させた構成を示す一部切断概略側面図、(b)はジベルを構成するタッピングボルト部材に螺着させたフランジ付きナットと鋼部材の表面との間に座金を介装させた構成を示す一部切断概略側面図、(c)はタッピングボルト部材として、長手方向の途中位置に節を備えた形式のタッピングボルト部材を用いた構成を示す概略側面図である。 本発明の実施の更に他の形態として、ジベルの別の構成を示すもので、(a)は鋼部材に取り付ける前の状態を示す概略側面図、(b)は(a)のB−B方向矢視図、(c)は鋼部材に取り付けた状態を示す概略側面図である。 本発明の実施の更に他の形態として、図3のジベルの変形例を示すもので、(a)(b)はそれぞれ異なる形状の胴部を備えた構成を示す概略側面図である。 図3のジベルを用いて実施する鋼床版の補強方法を示すもので、(a)は鋼床版のデッキプレートにジベルを設置した状態を、(b)はデッキプレートの上側に繊維補強モルタル層を接合した状態を、(c)は繊維補強モルタル層の上側にアスファルト舗装を設けた状態を、それぞれ示す概略切断側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1(a)(b)(c)は本発明のジベルの実施の一形態を示すものである。
すなわち、本発明のジベルは、図1(a)(b)(c)に符号1で示すもので、全ねじのタッピングボルト部材2と、該タッピングボルト部材2のねじ部に螺着したフランジ付きナット3とから構成されている。
上記タッピングボルト部材2は、軸心方向の一端側がねじ立て用端部4としてある。且つ軸心方向の他端面には、その中心に、該タッピングボルト部材2を鋼部材8に穿設した下穴9に上記ねじ立て用端部4側より強制的にねじ込む際に回転力を付与する工具を嵌合させるための工具嵌合部としての工具嵌合穴5が設けてある。この工具嵌合穴5は、図1(a)(b)(c)では、図示しない回転工具のヘックスビット(六角レンチ)を嵌合させるための六角穴として示してある。なお、該工具嵌合穴5は、該タッピングボルト部材2のねじ込みに用いる回転工具のビット等を嵌合させて回転力を伝えることができるようにしてあれば、該ビット等の形式に応じて、十字穴、すり割り、ヘックスローブ、その他、任意の工具嵌合穴5を採用してよいことは勿論である。
これにより、上記タッピングボルト部材2は、鋼部材8に穿設してある下穴9に、ねじ立て用端部4側より差し込み、この状態で上記工具嵌合穴5に嵌合させた工具より回転力を付与することで、鋼部材8の下穴9に雌ねじを刻設しながら、該雌ねじに該タッピングボルト部材2の軸心方向一端部のねじ部を螺合させることで、鋼部材8に、該タッピングボルト部材2の軸心方向一端部を結合できるようにしてある。
上記フランジ付きナット3は、ナット本体6の軸心方向の片側端部に一体に具備したフランジ部7を備えた構成としてあり、該フランジ部7が上記タッピングボルト部材2の他端寄りに位置する姿勢で、上記ナット本体6を上記タッピングボルト部材2のねじ部に螺着させるようにしてある。
ここで、本発明のジベル1の寸法について説明すると、図1(c)に示すように、上記タッピングボルト部材2の全長Lは、鋼部材8に設けた下穴9にねじ立て用端部4側よりねじ込んで、該タッピングボルト部材2自体を鋼部材8に固定するために必要とされるねじ込み寸法Mと、後述するように鋼部材8の表面に接合する図1(c)に二点鎖線で示す如きコンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nとの和から、該コンクリート部材又はモルタル部材10の形成時に本発明のジベル1に対して必要とされる被り厚さPを引いた寸法に設定するようにしてある。
具体的には、たとえば、上記鋼部材8の厚み寸法が15mmであって、該鋼部材8に固定するために必要とされるタッピングボルト部材2のねじ込み寸法Mが、板厚寸法とほぼ等しく、且つ該鋼部材8に接合するコンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nが40mm、該コンクリート部材又はモルタル部材10の形成時に上記本発明のジベル1に対して必要とされる被り厚さPが15mmの場合、上記タッピングボルト部材2としては、その全長Lが、40mmのものを用いるようにすればよい。
更に、上記タッピングボルト部材2は、鋼部材8の表面に本発明のジベル1を埋め込ませたコンクリート部材又はモルタル部材10を形成させた状態で、上記コンクリート部材又はモルタル部材10における該タッピングボルト部材2の周囲に位置する部分の応力集中を防ぐという観点から考えると、外径はできるだけ大きいことが望ましい。たとえば、上記タッピングボルト部材2としては、外径が12〜16mm程度としてあることが望ましい。
上記フランジ付きナット3は、上記タッピングボルト部材2のねじ部に螺着可能な雌ねじ部(図示せず)を備えたものを適宜選定して用いるようにすればよい。
以上の構成としてある本発明のジベル1を使用する場合は、予め、図1(a)に示したように、鋼部材8の表面におけるコンクリート部材又はモルタル部材10を接合すべき領域に、本発明のジベル1のタッピングボルト部材2をねじ込むための下穴9を、該タッピングボルト部材2の外径よりもやや小さい径で板厚方向に貫通させて穿設しておく。該下穴9は、上記鋼部材8の表面に対して垂直な方向に穿設してあるものとする。又、該下穴9は、上記鋼部材8表面におけるコンクリート部材又はモルタル部材10の接合領域に、本発明のジベル1の設置が所望される数及び配置(配列)に応じて設けておくようにする。
本発明のジベル1は、タッピングボルト部材2とフランジ付きナット3を分離させた状態で現場に搬入する場合は、先ず、上記鋼部材8の各下穴9に、個別のタッピングボルト部材2を、工具嵌合穴5に嵌合させた図示しない工具を用いてねじ立て用端部4側よりそれぞれねじ込んで結合する。
次いで、上記のようにして鋼部材8の各下穴9に、個別のタッピングボルト部材2の軸心方向の一端部を固定した後は、該各タッピングボルト部材2のねじ部における軸心方向他端寄り個所に、フランジ付きナット3を、フランジ部7とは反対側の軸心方向端部側から螺着させて取り付けて、図1(c)に示すように、本発明のジベル1を現場で形成させるようにする。
なお、上記鋼部材8の下穴9に対して上記タッピングボルト部材2をねじ込んで固定する作業は、該タッピングボルト部材2のねじ部に上記所定の姿勢としたフランジ付きナット3を取り付けて本発明のジベル1を予め構成させた状態で、行うようにしてもよい。
上記鋼部材8に取り付けた本発明のジベル1における上記フランジ付きナット3は、図1(c)に示すように、上記タッピングボルト部材2のねじ部の軸心方向他端に寄せた位置に配置させるようにすればよい。
上記鋼部材8の表面におけるコンクリート部材又はモルタル部材10の接合領域に対する本発明のジベル1の取り付けを行った後は、上記鋼部材8の表面の上記所定の領域に、所定の組成のコンクリート又はモルタルを、上記本発明のジベル1を覆うように打設し、その後、硬化させることにより、図1(c)に二点鎖線で示すように、上記鋼部材8に取り付けてある本発明のジベル1を埋め込ませた状態のコンクリート部材又はモルタル部材10を、上記鋼部材8に接合した状態で形成させるようにする。
これにより、上記鋼部材8に取り付けられ且つ上記コンクリート部材又はモルタル部材10に埋め込まれた本発明のジベル1により、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10が互いに剪断方向にずれる挙動、及び、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10が互いに離反する方向にずれる挙動が防止されるようになる。
この際、本発明のジベル1では、タッピングボルト部材2として、外径の大きいものを用いるようにすることにより、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10との間に剪断方向のずれを生じさせるような荷重が作用する際に、上記コンクリート部材又はモルタル部材10における該タッピングボルト部材2の周囲に位置する部分に生じる応力集中を、軽減させることができるようになる。
しかも、上記本発明のジベル1におけるフランジ付きナット3は、通常、ナット本体6における鋼部材8寄りに配置されている端面と外側面との間のコーナ部、及び、フランジ部7における鋼部材8寄りに配置されている端面と外周面との間のコーナ部が、それぞれ鈍角の断面形状になっているため、上記コンクリート部材又はモルタル部材10における上記フランジ付きナット3の上記各コーナ部に接する部分に対する応力集中も抑制することができるようになる。
更に、本発明のジベル1では、鋼部材8に固定したタッピングボルト部材2における上記鋼部材8より離反する側の端部に、本発明のジベル1における胴部として機能する該ナット本体6が、タッピングボルト部材2の断面形状よりも大きな平面形状を有する状態で設けてあり、更に、該ナット本体6の上記鋼部材8より離反する側の端部に、更に外周に張り出すフランジ部7を備えたフランジ付きナット3が設けてあるため、上記コンクリート部材又はモルタル部材10の上記タッピングボルト部材2の周囲に位置する部分は、鋼部材8より離反する方向へ変位しないように拘束されるようになる。このため、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10が互いに離反する方向にずれる挙動が効率よく防止されるようになる。
このように、本発明のジベル1によれば、鋼部材8に設置してある本発明のジベル1を埋めるようにコンクリート又はモルタルを打設して形成させるコンクリート部材又はモルタル部材10と、上記鋼部材8とを、剪断方向の相対的なずれや、互いに離反する方向の相対的なずれを効率よく防止した状態で一体化させることができる。
この際、本発明のジベル1は、鋼部材8の表面におけるコンクリート部材又はモルタル部材10の接合領域に設けてある下穴9に、タッピングボルト部材2の軸心方向の一端部をねじ込む作業によって取り付けることができるため、該鋼部材8に本発明のジベル1を取り付ける作業は、鋼部材8の表面側からのみの施工で実施することができる。又、タップを用いてボルト穴を予め加工する(形成する)作業は不要であり、更には、スタッドジベルを植設する場合のような溶接作業をなくすことができることから、鋼部材8に対する本発明のジベル1の植設作業に要する労力と時間を軽減することができる。又、この鋼部材8に対して本発明のジベル1を植設する作業は、従来のスタッドジベルの溶接による植設作業のような熱が作用することがないため、本発明のジベル1の設置個所が、鋼部材8の亀裂の起点となることも防止することができる。
又、本発明のジベル1は、全ねじのタッピングボルト部材2と汎用のフランジ付きナット3から構成することができるものであり、上記タッピングボルト部材2として、長さLが小さいものを選定することで、上記鋼部材8に接合するコンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nが、従来の汎用のスタッドジベルは適用できないような小さい厚み寸法Nである場合にも、本発明のジベル1で必要とされる被り厚さPを容易に確保することができると共に、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10とのずれ止めの効果を良好に図ることができる。
更に、上記タッピングボルト部材2は、外径が大きいものを使用することにより、呼び長さが小さい汎用のスタットジベルに比して軸径を太くすることが容易にできて、本発明のジベル1の一点当たりの剛度を高めることができると共に、上記鋼部材8に接合させたコンクリート部材又はモルタル部材10における本発明のジベル1の周囲に位置する部分での応力集中を軽減させることができる。このため、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10とのずれ止め効果は、良好なものとすることができる。
本発明のジベル1は、タッピングボルト部材2及びフランジ付きナット3を共に鋼製のものとすることにより、本発明のジベル1自体を強度の高いものとすることができる。よって、前述した特許文献1に示された手法、すなわち、鋼部材に樹脂製のジベルを接着剤によって接着する手法を採る場合に生じていたような問題をいずれも回避することができて、鋼部材8に対する本発明のジベル1の設置部分について、耐力を高めることができると共に、環境の影響を受けることなく安定した品質を得ることができる。
更に、上記鋼部材8の表面に本発明のジベル1を取り付ける際には、該鋼部材8の表面に対するケレン作業が不要になる。
よって、これらのことによっても、本発明のジベル1では、鋼部材8に対する取り付けに要する労力と時間の軽減化を図ることができ、更には、設置作業に要するコストを削減することができる。
上記において、本発明のジベル1は、フランジ付きナット3を、タッピングボルト部材2のねじ部における軸心方向他端寄り位置に単に螺着させた構成のものとして説明したが、この状態では、上記フランジ付きナット3が、上記コンクリート又はモルタルの打設前に作業者や工具や機材の接触によって外力を受けたり、打設されるコンクリート又はモルタルより外力を受けたりすると、上記タッピングボルト部材2に対して締める方向や緩める方向に容易に回転して、該フランジ付きナット3の上記タッピングボルト部材2の軸心方向に対する取付位置が変位することが考えられる。
そのため、上記鋼部材8の表面に取り付けた本発明のジベル1にて、上記したようなフランジ付きナット3のタッピングボルト部材2の軸心方向に対する取付位置の変位を防止することが求められる場合には、該本発明のジベル1は、図2(a)(b)(c)に示すような構成としてもよい。
すなわち、図2(a)に示すものは、上記鋼部材8に軸心方向の一端部を固定したタッピングボルト部材2の外周に、先ず、円筒状、あるいは、円筒の内周面に上記タッピングボルト部材2のねじ部に螺合可能な雌ねじを設けてなるスリーブ11(なお図2(a)では、円筒状のスリーブ11が示してある)を、上記鋼部材8に突き当たるように嵌めるようにする。その後、上記フランジ付きナット3は、上記タッピングボルト部材2のねじ部に、上記スリーブ11に突き当たる位置まで締め込むようにしてある。
又、図2(b)に示すものは、上記鋼部材8に軸心方向の一端部を固定したタッピングボルト部材2の外周に、先ず、単数又は複数枚の座金12を嵌め(図2(b)では、一例として3枚の座金12を嵌めた状態が示してある)、その後、上記フランジ付きナット3を、上記タッピングボルト部材2のねじ部に、上記座金12を鋼部材8との間に介装させた状態で締め込むようにした構成としてある。なお、上記のように複数の座金12を使用する場合は、外径が異なる座金12を用いるようにしてもよい。この場合は、鋼部材8に近接する側に配置される座金12よりも、鋼部材8より離反する側に配置される座金12の外径が大きくなるように配置して、積層配置される各座金12により、上記鋼部材8に臨む段差部が形成されるようにすることが望ましい。
更に、図2(c)に示すものは、タッピングボルト部材2として、軸心方向一端部から前記した鋼部材8の下穴9へのねじ込み寸法M(図1(c)参照)分、離れた位置に、外周側に突出する形状の節13を、鋼部材8とフランジ付きナット3との間に所望される離隔寸法に応じた軸心方向寸法で備えてなる形式のタッピングボルト部材2を用いるようにしてある。かかる節付きのタッピングボルト部材2を使用する場合は、先ず、軸心方向の一端部を鋼部材8の下穴9に、節13が突き当たる位置までねじ込むようにし、その後、上記フランジ付きナット3を、該タッピングボルト部材2のねじ部に、上記節13に突き当たる位置まで締め込むようにすればよい。このようにしても、上記フランジ付きナット3は、上記タッピングボルト部材2の軸心方向他端側の鋼部材8より離れた位置に配置できるようになる。
なお、図2(a)(b)(c)において、図1(a)(b)(c)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
上記図2(a)(b)(c)にそれぞれ示した構成では、上記フランジ付きナット3を上記タッピングボルト部材2に対して上記スリーブ11又は座金12又は節13に突き当たる位置まで締め込んだ状態とすることにより、該フランジ付きナット3の自由な回転が抑制されるようになるため、本発明のジベル1にて、上記フランジ付きナット3のタッピングボルト部材2の軸心方向に対する取付位置が変位することを防止できるようになる。
次に、図3(a)(b)(c)は、本発明の実施の他の形態として、ジベルの別の構成を示すものである。
すなわち、本実施の形態のジベルは、図3(a)(b)(c)に符号1Aで示すもので、軸心方向の一端側にタッピングボルト部14を備える。該タッピングボルト部14の軸心方向他端側には、該タッピングボルト部14よりも大径の胴部15を一体に設け、該胴部15の軸心方向他端部の外周に、外方へ張り出すフランジ部16が設けてある。更に、軸心方向の他端面には、その中心に、図1(a)(b)(c)に示した工具嵌合穴5と同様の工具嵌合穴5が設けてある。
上記タッピングボルト部14は、軸心方向一端部に、図1(a)(c)に示したタッピングボルト部材2のねじ立て用端部4と同様のねじ立て用端部4を備える。
上記タッピングボルト部14の軸心方向寸法は、図1(c)に示したタッピングボルト部材2におけるねじ込み寸法Mと同様の寸法に設定してある。
上記胴部15は、たとえば、軸心方向一端部より他端側に向けて拡径する円錐台形状としてある。
更に、上記フランジ部16は、図1(a)(b)(c)に示したフランジ付きナット3のフランジ部7と同様の断面形状としてある。
これにより、後述するように鋼部材8の表面に本実施の形態のジベル1Aを埋設した図3(c)に二点鎖線で示す如きコンクリート部材又はモルタル部材10を形成させた状態では、該コンクリート部材又はモルタル部材10の上記胴部15の周囲に位置する部分を、該胴部15外周面の軸心方向に対する傾斜、及び、該胴部15の上記鋼部材8より離反する側の端部で更に外周に張り出すフランジ部16の存在に起因して、鋼部材8より離反する方向へ変位しないように拘束することができるようにしてある。このため、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10が互いに離反する方向にずれる挙動が効率よく防止されるようになる。
又、上記フランジ部16では、図1(a)(b)(c)に示した実施の形態におけるフランジ付きナット3のフランジ部7と同様に、上記コンクリート部材又はモルタル部材10における該フランジ部16に接する部分に対する応力集中を抑制することができるようにしてある。
本実施の形態のジベル1Aは、図3(c)に示すように、上記胴部15の軸心方向寸法(胴部15の一端面から上記工具嵌合穴5が設けてある軸心方向他端面までの距離寸法)Qが、鋼部材8の表面に接合する図3(c)に二点鎖線で示す如きコンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nから、該コンクリート部材又はモルタル部材10の形成時に本実施の形態のジベル1Aに対して必要とされる被り厚さPを引いた寸法に設定するようにしてある。
具体的には、たとえば、上記鋼部材8に接合するコンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nが40mm、該コンクリート部材又はモルタル部材10の形成時に上記本実施の形態のジベル1Aに対して必要とされる被り厚さPが15mmの場合、上記胴部15の軸心方向寸法Qは、25mmに設定するようにすればよい。
その他、図1(a)(b)(c)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
以上の構成としてある本実施の形態のジベル1Aを使用する場合は、図3(a)に示すように、鋼部材8におけるコンクリート部材又はモルタル部材10の接合領域に、図1(a)に示したと同様の下穴9を予め設けておき、該下穴9に、本実施の形態のジベル1Aにおけるタッピングボルト部14を、工具嵌合穴5に嵌合させた図示しない工具より付与する回転力により、ねじ立て用端部4側よりねじ込んで結合する。この際、上記タッピングボルト部14は、上記胴部15の軸心方向一端面が鋼部材8の表面に当接するようになるまで上記下穴9にねじ込むようにすればよい。
これにより、図3(c)に示すように、本実施の形態のジベル1Aが、上記鋼部材8に固定されるようになる。
その後は、上記鋼部材8の表面の上記所定の領域に、所定の組成のコンクリート又はモルタルを、上記本実施の形態のジベル1Aを覆うように打設し、その後、硬化させることにより、図3(c)に二点鎖線で示すように、上記鋼部材8に取り付けてある本発明のジベル1Aを埋め込ませた状態のコンクリート部材又はモルタル部材10を、上記鋼部材8に接合した状態で形成させるようにする。
これにより、上記鋼部材8に取り付けられ且つ上記コンクリート部材又はモルタル部材10に埋め込まれた本実施の形態のジベル1Aにより、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10が互いに剪断方向にずれる挙動、及び、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10が互いに離反する方向にずれる挙動が防止されるようになる。
この際、本実施の形態のジベル1Aでは、上記コンクリート部材又はモルタル部材10の内部に埋設される胴部15が、上記タッピングボルト部14よりも径が大きくなるようにしてあるため、上記鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10との間に剪断方向のずれを生じさせるような荷重が作用する際に、上記コンクリート部材又はモルタル部材10における該胴部15の周囲に位置する部分に生じる応力集中を、軽減させることができるようになる。
このように、本実施の形態のジベル1Aによれば、図1(a)(b)(c)の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
次いで、図4(a)(b)は、本発明の実施の更に他の形態として、それぞれ図3(a)(b)(c)に示したジベル1Aの変形例を示すもので、図3(a)(b)(c)の実施の形態と同様の構成において、胴部15を、軸心方向の一端側から他端側に拡径する円錐台形状とする構成に代えて、図4(a)に示すように、軸心方向に径寸法が変化しない円柱形状の胴部15aを備えた構成としてもよい。
又、図4(b)に示すように、胴部15bは、軸心方向の途中位置より鋼部材8に近接して配置される側の軸心方向一端寄りを円柱形状とし、上記途中位置よりも軸心方向他端寄りを、上記軸心方向一端寄りに比して径寸法が大となる円柱形状として、軸心方向の途中に、鋼部材8に臨む段差部17を形成してなる構成としてもよい。なお、かかる構成とする場合は、コンクリート部材又はモルタル部材10に応力集中が生じることを避けるために、上記段差部17の外周端縁は、外周面と滑らかに連続するよう面取りを行うことが望ましい。
図4(a)(b)において、その他の構成は図3(a)(b)(c)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
図4(a)、図4(b)のジベル1Aによっても、図3(a)(b)(c)の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図5(a)(b)(c)は、図3(a)(b)(c)に示した本発明のジベル1Aを用いて行う鋼床版の補強方法を示すものである。
すなわち、上記鋼床版の補強方法を実施する場合は、先ず、図5(a)に示すように、既設の鋼床版18におけるデッキプレート19上より既存の図示しないアスファルト舗装を撤去する。
次に、鋼部材としての上記デッキプレート19の上面(表面)における上記図示しないアスファルト舗装が撤去された領域を、コンクリート部材又はモルタル部材としての繊維補強モルタル層20の接合領域として、該領域に、後の工程で上記本発明のジベル1Aの設置対象となる個所に応じて、所望の数及び配置(配列)で下穴9(図3(a)参照)を穿設しておく。
次いで、上記デッキプレート19の各下穴9に、図5(a)に示すように上記本発明のジベル1Aにおけるタッピングボルト部14をねじ込んで、該デッキプレート19の上面に、本発明のジベル1Aを設置する。
この際、上記本発明のジベル1Aは、胴部15の軸心方向寸法が、後の工程で形成する繊維補強モルタル層20の厚み寸法から、該繊維補強モルタル層20の形成時に本発明のジベル1Aに対して必要とされる被り厚さを引いた寸法となるように設定してあるものとする。
上記のようにしてデッキプレート19上に本発明のジベル1Aの設置が終了した後は、図5(b)に示すように、上記デッキプレート19の上面における繊維補強モルタル層20の接合領域に、該領域に設置してある本発明のジベル1Aを埋没させるように所定の厚さでコンクリート又はモルタルとしての繊維補強モルタルを打設し、その後、硬化させて、上記本発明のジベル1Aを埋め込ませてなる繊維補強モルタル層20を形成させる。
なお、上記繊維補強モルタル層20は、上記鋼床版18のデッキプレート19の補強のために必要とされる強度、剛度等の性能が得られるようにしてあれば、その配合や混合してある繊維の種類は適宜定めるようにしてよい。
これにより、上記デッキプレート19とその上側に形成された上記繊維補強モルタル層20が、本発明のジベル1Aを介在させた状態で接合される。このため、該接合部分では、上記鋼部材であるデッキプレート19と、コンクリート部材又はモルタル部材である繊維補強モルタル層20同士の間での剪断方向の相対的なずれや、デッキプレート19と繊維補強モルタル層20同士が互いに離反する方向の相対的なずれが効率よく防止された状態で、該デッキプレート19と繊維補強モルタル層20を一体化させることができるようになる。
その後、上記デッキプレート19に一体に接合された上記繊維補強モルタル層20の上側に、図5(c)に示すように、アスファルト舗装21を設けて、上記既設の鋼床版18に対する補強工事を完了する。
なお、図5(a)(b)(c)において図3(a)(b)(c)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
以上の鋼床版補強方法によれば、既設の鋼床版18におけるデッキプレート19と、その上面に接合する繊維補強モルタル層20との接合個所に本発明のジベル1Aを介在させることにより、上記デッキプレート19と繊維補強モルタル層20について、図3(a)(b)(c)の実施の形態における鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10と同様のずれ止めの効果、及び、応力集中を軽減させる効果を得ることができる。
よって、上記デッキプレート19に対して上記繊維補強モルタル層20が一体化されることにより、該デッキプレート19の補強を行うことができ、該デッキプレート19と繊維補強モルタル層20の一体化された構造の上側に、アスファルト舗装21を施工することにより、上記鋼床版18の補強を図った上で、その機能を回復させることができる。
なお、図示してないが、上記図5(a)(b)(c)に示した鋼床版補強方法を実施する際に、図3(a)(b)(c)に示したジベル1Aに代えて、図1(a)(b)(c)の実施の形態のジベル1、又は、図2(a)(b)(c)のいずれかの構成のジベル1、又は、図4(a)(b)のいずれかの構成のジベル1Aを用いてもよいことは勿論である。この場合も、上記図5(a)(b)(c)で説明したと同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図1(a)(b)(c)の実施の形態、及び、図2(a)(b)(c)の実施の形態のジベル1を構成するタッピングボルト部材2は、軸心方向他端面に工具嵌合穴5を備える構成に代えて、該タッピングボルト部材2の軸心方向他端部の外周面に、端面が多角形状となるよう面取りした工具嵌合部を備えた構成としてもよい。
図1(a)(b)(c)の実施の形態、及び、図2(a)(b)(c)の実施の形態のジベル1を構成するフランジ付きナット3は、図面上、六角ナットの形式のナット本体6を備えたものとして示したが、ナット本体6の外形は六角ナットに限定されるものではない。
図3(a)(b)(c)の実施の形態、及び、図4(a)(b)の実施の形態のジベル1Aは、胴部15,15a,15bの外周に断面が多角形状となるように面取りした工具嵌合部を備える構成としてもよい。この場合、軸心方向他端面の工具嵌合穴5は、省略した構成としてもよい。
図4(b)の実施の形態のジベル1Aにおける胴部15bは、軸心方向の一端側から、他端側に向けて、径寸法が順次大きくなる3つ以上の円柱形状の部分が一体に繋がった形状として、2つ以上の段差部17を備えた構成としてもよい。
本発明のジベル1,1Aは、鋼部材8にコンクリート部材又はモルタル部材10を一体に接合して両者の剪断方向や離反する方向のずれ止めを図ることが求められる個所であれば、鋼床版18のデッキプレート19と該デッキプレート19の上側に補強のために接合する繊維補強モルタル層20との接合個所以外の任意の鋼部材8とコンクリート部材又はモルタル部材10との接合個所に適用してよい。
又、鋼部材8とこれに接合するコンクリート部材又はモルタル部材10との位置関係は、必ずしも鋼部材8の上側にコンクリート部材又はモルタル部材10が配置されていなくてもよい。したがって、鋼部材8とこれに接合するコンクリート部材又はモルタル部材10との位置関係はいかなる配置であってもよい。
本発明のジベル1,1Aは、上記コンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nに制限を受けることなく適用してよい。したがって、図1(a)(b)(c)の実施の形態、及び、図2(a)(b)(c)の実施の形態のジベル1におけるタッピングボルト部材2の軸心方向寸法(全長L)が、上記コンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nに応じて、その厚み寸法Nから必要とされる被り厚さPを引いた寸法に、鋼部材8の下穴9にねじ立て用端部4側からねじ込むことが必要とされるねじ込み寸法Mを足した寸法となるように適宜設定すればよい。同様に、図3(a)(b)(c)の実施の形態、図4(a)(b)の実施の形態のジベル1Aでは、胴部15,15a,15bの軸心方向寸法Qが、上記コンクリート部材又はモルタル部材10の厚み寸法Nに応じて、その厚み寸法Nから必要とされる被り厚さPを引いた寸法になるように適宜設定すればよい。
図5(a)(b)(c)の実施の形態の鋼床版補強方法は、ジベル1Aを設置した後の鋼床版18のデッキプレート19上に繊維補強モルタル層20を接合する場合について示したが、コンクリートの打設により形成させるコンクリート部材としてのコンクリート層、又は、モルタルの打設により形成させるモルタル部材としてのモルタル層であれば、いかなる組成のコンクリート層又はモルタル層を上記デッキプレート19の上側に接合する場合にも適用してよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1,1A ジベル
2 タッピングボルト部材(タッピングボルト部)
3 フランジ付きナット
4 ねじ立て用端部
5 工具嵌合穴(工具嵌合部)
6 ナット本体(胴部)
7 フランジ部
8 鋼部材
9 下穴
10 コンクリート部材又はモルタル部材
14 タッピングボルト部
15,15a,15b 胴部
16 フランジ部
18 鋼床版
19 デッキプレート
20 繊維補強モルタル層(コンクリート層又はモルタル層)

Claims (3)

  1. 軸心方向の一端寄りに、鋼部材に設けた下穴にねじ切りと螺合による結合を行うためのタッピングボルト部を備え、
    該タッピングボルト部を、軸心方向他端部に工具嵌合部を備えた全ねじのタッピングボルト部材とし、
    該タッピングボルト部の軸心方向他端側に、ナット本体の軸心方向片側端部に周方向外方へ張り出すフランジ部を備えてなるフランジ付きナットを、該フランジ部が上記タッピングボルト部材の軸心方向他端寄りに位置する姿勢で螺着させてなる構成を有する
    ことを特徴とするジベル。
  2. 上記タッピングボルト部材に螺着させる上記フランジ付きナットのナット本体を胴部とする
    請求項1記載のジベル。
  3. 請求項1又は2記載のジベルを、鋼床版のデッキプレートに設けた下穴に上面側からねじ込んで、該デッキプレートの上面に上記ジベルを設置し、
    次いで、上記デッキプレートの上側に、上記ジベルを埋没させるようにコンクリート又はモルタルを打設し、硬化させて、上記ジベルを埋め込んでなるコンクリート層又はモルタル層を形成させるようにする
    ことを特徴とする鋼床版補強方法。
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