JP5926580B2 - 有機電界発光素子、有機電界発光素子用材料、並びに、該素子を用いた発光装置、表示装置、照明装置及び該素子に用いられる化合物 - Google Patents

有機電界発光素子、有機電界発光素子用材料、並びに、該素子を用いた発光装置、表示装置、照明装置及び該素子に用いられる化合物 Download PDF

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Description

本発明は有機電界発光素子、有機電界発光素子用材料、並びに、該素子を用いた発光装置、表示装置、照明装置及び該素子に用いられる化合物に関する。
有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
近年、燐光発光材料を用いることにより、有機電界発光素子の高効率化が進んでいる。しかしながら、実用化に際し、耐久性などの観点で改善が求められている。
これに対し、トリフェニルアミンのフェニル基どうしが連結して縮環し、カルバゾール環を形成した構造の化合物を発光層のホスト材料として用いた有機電界発光素子が知られている。
特許文献1には、トリフェニルアミンの2つまたは3つのフェニル基どうしが連結して縮環した構造の化合物を発光層のホスト材料として用い、りん光発光材料と組み合わせた有機電界発光素子が記載されており、同文献の実施例からは駆動電圧、発光効率および耐久性に優れることが読み取ることができる。
特許文献2にはトリフェニルアミンの2つのフェニル基どうしが連結して縮環した構造の化合物が記載されており、発光層のホスト材料として用いることで発光効率が良好であり、低駆動電圧の有機電界発光素子を提供できることが記載されている。
特許文献3には、トリフェニルアミンの2つまたは3つのフェニル基どうしが連結して縮環した構造の化合物を発光層のホスト材料として用い、りん光発光材料と組み合わせた有機電界発光素子が記載されており、同文献の実施例からは駆動電圧、発光効率および耐久性に優れることが読み取ることができる。
一方、有機電界発光素子を駆動させると、駆動に伴って駆動電圧の上昇が生じることが知られている。この駆動に伴う駆動電圧の上昇は部分的なクエンチャー生成および微小な結晶化などに起因していると想定されるものであり、避けることはできないのが実情であったが、極力抑制することが望ましいものである。
国際公開WO2011/088877号公報 特開2010−087496号公報 国際公開WO2011/042107号公報
これに対し、本発明者らが特許文献1〜3に記載された有機電界発光素子の特性を検討した結果、駆動に伴う駆動電圧上昇の抑制の観点からは不満が残るものであり、また、耐久性にも不満が残るものであることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、駆動に伴う駆動電圧の上昇が抑制され、耐久性に優れる有機電界発光素子を提供することである。
本発明者らが鋭意検討した結果、インドロカルバゾール(indoro [3,2,1−jk]carbazole)骨格を単結合で2〜3個連結した化合物のうち、分子構造に対象中心を有さない化合物を用いることで、駆動に伴う駆動電圧の上昇が抑制され、駆動電圧、耐久性に優れる有機電界発光素子が提供されることを見出した。
すなわち、前記課題を解決するための具体的な手段である本発明は下記のとおりである。
[1] 基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記有機層の少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(1)
(一般式(1)中、Aは下記一般式(2)で表される1価の基であり、Dは下記一般式(3)で表される1価の基であり、Bは下記一般式(4)で表される2価の基であり、nは0または1を表す。ただし、nが0である場合には、AとDは結合部位を含めて互いに点対称でない。)
(一般式(2)中、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表し、その他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−RAまたは窒素原子を表す。*はnが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。RAは水素原子または置換基を表し、複数のRAは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(3)中、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表し、その他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−RDまたは窒素原子を表す。#はnが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。RDは水素原子または置換基を表し、複数のRDは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(4)中、XB1〜XB11のうち1つがC−*を表し、XB1〜XB11のうち他の1つがC−#を表し、その他のXB1〜XB11はそれぞれ独立にC−RBまたは窒素原子を表す。*はAとの結合部位を表す。#はDとの結合部位を表す。RBは水素原子または置換基を表し、複数のRBは同一であっても異なっていてもよい。)
[2] [1]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(2)中、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表し、その他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−RAを表し、RAは水素原子または置換基を表すことが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(3)中、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表し、その他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−RDを表し、RDは水素原子または置換基を表すことが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物中、前記Aが下記一般式(5)で表される基であり、前記Dが下記一般式(6)で表される基であり、前記Bが下記一般式(7)で表される基であることが好ましい。
(一般式(5)中、RA1〜RA11のうち1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)。
(一般式(6)中、RD1〜RD11のうち1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。AまたはBとの結合部位ではないRD1〜RD11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
(一般式(7)中、RB1〜RB11のうち1つがAとの結合部位を表し、他の1つがDとの結合部位を表し、AまたはDとの結合部位ではないRB1〜RB11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
[5] [4]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(5)中、RA2、RA5およびRA10のうちいずれか1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことが好ましい。
[6] [4]または[5]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうちいずれか1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことが好ましい。
[7] [4]〜[6]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(7)中、RB2がAとの結合部位またはCとの結合部位を表し、RB5またはRB10がAとの結合部位およびCとの結合部位のうち残りの一方を表すことが好ましい。
[8] [4]〜[7]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうち少なくとも1つが、それぞれ独立に置換または無置換のアリール基(ただし、該アリール基は置換基としてさらにアリール基を有する場合を除く)、置換または無置換のヘテロアリール基または置換または無置換の環数2〜5のオリゴアリール基を表すことが好ましい。
[9] [4]〜[8]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(5)中、前記BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11がいずれも水素原子を表すことが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)中、nが0であることが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記発光層が燐光発光材料を少なくとも一種含むことが好ましい。
[12] [11]に記載の有機電界発光素子は、前記燐光発光材料が、下記一般式(E−1)で表されるイリジウム錯体であることが好ましい。
(一般式(E−1)中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。
1はZ1と窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。
1はZ2と炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E1は1〜3の整数を表す。)
[13] [12]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(E−1)で表されるイリジウム錯体が下記一般式(E−2)で表されることが好ましい。
(一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−REを表す。
Eは水素原子又は置換基を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E2は1〜3の整数を表す。)
[14] [1]〜[13]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
[15] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
[16] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
[17] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
[18] 下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
(一般式(1)中、Aは下記一般式(2)で表される1価の基であり、Dは下記一般式(3)で表される1価の基であり、Bは下記一般式(4)で表される2価の基であり、nは0または1を表す。ただし、nが0である場合には、AとDは結合部位を含めて互いに点対称でない。)
(一般式(2)中、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表し、その他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−RAまたは窒素原子を表す。*はnが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。RAは水素原子または置換基を表し、複数のRAは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(3)中、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表し、その他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−RDまたは窒素原子を表す。#はnが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。RDは水素原子または置換基を表し、複数のRDは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(4)中、XB1〜XB11のうち1つがC−*を表し、XB1〜XB11のうち他の1つがC−#を表し、その他のXB1〜XB11はそれぞれ独立にC−RBまたは窒素原子を表す。*はAとの結合部位を表す。#はDとの結合部位を表す。RBは水素原子または置換基を表し、複数のRBは同一であっても異なっていてもよい。)
[19] [18]に記載の化合物は、前記一般式(2)中、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表し、その他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−RAを表し、RAは水素原子または置換基を表すことが好ましい。
[20] [18]または[19]に記載の化合物は、前記一般式(3)中、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表し、その他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−RDを表し、RDは水素原子または置換基を表すことが好ましい。
[21] [18]〜[20]のいずれか一項に記載の化合物は、前記一般式(1)で表される化合物中、前記Aが下記一般式(5)で表される基であり、前記Dが下記一般式(6)で表される基であり、前記Bが下記一般式(7)で表される基であることが好ましい。
(一般式(5)中、RA1〜RA11のうち1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)。
(一般式(6)中、RD1〜RD11のうち1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。AまたはBとの結合部位ではないRD1〜RD11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
(一般式(7)中、RB1〜RB11のうち1つがAとの結合部位を表し、他の1つがDとの結合部位を表し、AまたはDとの結合部位ではないRB1〜RB11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
[22] [21]に記載の化合物は、前記一般式(5)中、RA2、RA5およびRA10のうちいずれか1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことが好ましい。
[23] [21]または[22]に記載の化合物は、前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうちいずれか1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことが好ましい。
[24] [21]〜[23]のいずれか一項に記載の化合物は、前記一般式(7)中、RB2がAとの結合部位またはCとの結合部位を表し、RB5またはRB10がAとの結合部位およびCとの結合部位のうち残りの一方を表すことが好ましい。
[25] [21]〜[24]のいずれか一項に記載の化合物は、前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうち少なくとも1つが、それぞれ独立に置換または無置換のアリール基(ただし、該アリール基は置換基としてさらにアリール基を有する場合を除く)、置換または無置換のヘテロアリール基または置換または無置換の環数2〜5のオリゴアリール基を表すことが好ましい。
[26] [21]〜[25]のいずれか一項に記載の化合物は、前記一般式(5)中、前記BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11がいずれも水素原子を表すことが好ましい。
[27] [18]〜[26]のいずれか一項に記載の化合物は、前記一般式(1)中、nが0であることが好ましい。
本発明によれば、駆動に伴う駆動電圧の上昇が抑制され、駆動電圧、耐久性に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
また、本発明によれば、更に、該有機電界発光素子を用いた発光装置、表示装置及び照明装置を提供することができる。
本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す概略図である。 本発明に係る発光装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る照明装置の一例を示す概略図である。 本発明に好ましく用いることができる化合物1の1H−NMRチャートである。 本発明に好ましく用いることができる化合物2の1H−NMRチャートである。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記有機層の少なくとも一層に前記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。このような構成により、本発明の有機電界発光素子は、駆動に伴う駆動電圧の上昇が抑制され、駆動電圧、耐久性に優れる。
いかなる理由に拘泥するものでもないが、耐久性の向上については以下のように想定される。ここで、劣化素子後の分解物解析の結果、フェニルカルバゾールはカルバゾールのNとフェニル基のCの間の結合が切れることが報告されている(J.Appl.Phys. 2007, 101, 024512)。本発明者らは耐久性を悪化させる原因は上記の結合開裂にあると予測した。そこで、結合開裂を抑制するため、または結合開裂後の再結合を促進する目的で、基本骨格としてインドロカルバゾールおよびその類似構造を含む化合物を選択したところ、フェニルカルバゾール構造を有するものと比較して耐久性に関して大きな改善効果が見られた。
また、特許文献1や特許文献3に記載されているフェニルカルバゾールをジメチルメチレン架橋させた構造について(後述の比較化合物2、3などの構造)、耐久性を評価したところ、前記一般式(1)で表される基本骨格としてインドロカルバゾールおよびその類似構造を含む化合物の方が耐久性に優れることがわかった。上記の理由について、詳細には分かっていないが、架橋部位のC−C結合が切れた後に発生するラジカルが比較的安定であるため結合開裂が起こりやすくなっており、また、再結合が起こりにくくなり、そこから生じるラジカル連鎖反応によるクエンチャー生成による耐久性劣化が原因ではないかと想定している。
さらに、蒸着直後には結晶構造のような規則性を有していないアモルファスな有機薄膜でも、経時またはある一定以上の高温下で保存することによって、一部または大部分にわたり結晶化する場合がある。このような結晶化は有機電界発光素子において、短絡などを招き、ダークスポットが生成する原因になる。その結果、キャリアバランス変化が起こり、有機電界発光素子の輝度は低下、すなわち、耐久性の悪化を招くことになる。このような結晶化は分子の対称性とガラス転移温度に関係していることを、本発明者らは実験結果から推察した。すなわち、分子の対称性が高いほど結晶化が起こりやすく、対称性が低いほど結晶化を引き起こしにくいと考えた。これに対し、本発明ではインドロカルバゾール骨格を単結合で2〜3個連結した化合物において、結合部位を含めて互いに点対称でないような非対称構造とすることによって、結晶化を防止し、耐久性を向上させたものである。
次に、いかなる理由に拘泥するものでもないが、駆動に伴う駆動電圧の上昇の抑制については以下のように想定される。フェニルカルバゾールをジメチルメチレン架橋させた構造では耐久性悪化原因と同様の理由で、クエンチャー生成によるキャリアバランス変化や電荷トラップ準位ができることで、駆動電圧の上昇が大きい。
また、結晶化を起こしやすい素子においても、局地的な結晶化によって、短絡を招き、その結果、キャリアバランス変化や電荷トラップ準位ができることで、電圧上昇を招く。
本発明の有機電界発光素子の構成は、特に制限されることはない。図1に、本発明の有機電界発光素子の構成の一例を示す。図1の有機電界発光素子10は、基板2上に、一対の電極(陽極3と陰極9)の間に有機層を有する。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様について、有機層、基板、電極、保護層、封止容器、駆動方法、発光波長、用途の順で詳細に説明する。
<有機層>
本発明の有機電界発光素子は、前記電極間に配置された有機層を有し、前記有機層の少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を含む。
前記有機層は、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、透明電極上に又は半透明電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記半透明電極上の全面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子における、有機層の構成、有機層の形成方法、有機層を構成する各層の好ましい態様および各層に使用される材料について順に説明する。
(有機層の構成)
本発明の有機電界発光素子では、前記有機層が、電荷輸送層を含むことが好ましい。前記電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子では、燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有し、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。このとき、前記一般式(1)で表される化合物が、発光層のホスト化合物として用いられることが好ましい。さらに、本発明の有機電界発光素子では、前記有機層が、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有すことがより好ましい。但し、本発明の有機電界発光素子は、前記有機層が発光層とその他の有機層を有する場合であっても、必ずしも明確に層間が区別されなくてもよい。
これらの有機層は、それぞれ複数層設けてもよく、複数層設ける場合には同一の材料で形成してもよいし、層毎に異なる材料で形成してもよい。
(発光層)
前記発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。但し、本発明における前記発光層は、このようなメカニズムによる発光に必ずしも限定されるものではない。本発明の有機電界発光素子における発光層は、前記一般式(1)で表される化合物に加え、少なくとも一種の燐光発光材料を含有することが好ましい。
本発明の有機電界発光素子における前記発光層は、前記一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましく、前記一般式(1)で表される化合物をホスト材料として用いて燐光発光材料の混合層とした構成でもよい。前記燐光発光材料の種類は一種であっても二種以上であってもよい。前記ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。前記ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、前記発光層は、電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましく、前記発光層のホスト材料として前記一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい態様である。ここで、本明細書中、ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。
以下、前記発光層の材料として、前記一般式(1)で表される化合物、前記燐光発光材料、前記一般式(1)で表される化合物以外のその他のホスト材料について順に説明する。なお、前記一般式(1)で表される化合物は、本発明の有機電界発光素子において前記発光層以外に用いられてもよい。例えば、正孔輸送材料や電子ブロック材料として用いられることが挙げられる。
(I)前記一般式(1)で表される化合物
本発明の有機電界発光素子は、前記有機層の少なくとも一層が下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
一般式(1)
(一般式(1)中、Aは下記一般式(2)で表される1価の基であり、Dは下記一般式(3)で表される1価の基であり、Bは下記一般式(4)で表される2価の基であり、nは0または1を表す。ただし、nが0である場合には、AとDは結合部位を含めて互いに点対称でない。)

(一般式(2)中、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表し、その他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−RAまたは窒素原子を表す。*はnが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。RAは水素原子または置換基を表し、複数のRAは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(3)中、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表し、その他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−RDまたは窒素原子を表す。#はnが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。RDは水素原子または置換基を表し、複数のRDは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(4)中、XB1〜XB11のうち1つがC−*を表し、XB1〜XB11のうち他の1つがC−#を表し、その他のXB1〜XB11はそれぞれ独立にC−RBまたは窒素原子を表す。*はAとの結合部位を表す。#はDとの結合部位を表す。RBは水素原子または置換基を表し、複数のRBは同一であっても異なっていてもよい。)
前記一般式(1)中、nは0または1を表し、0であることが好ましい。
前記一般式(1)中、nが0である場合には、AとDは結合部位を含めて互いに点対称でない。ここで、「結合部位を含めて」互いに点対称でないとは、前記一般式(1)に例えば、以下の構造の化合物が含まれることを意味する。
以下の構造の化合物は、前記一般式(1)においてn=0であり、一般式(2)で表される1価の基であるAにおいてXA2がC−*を表し、XA1およびXA3〜XA11がC−Hであり、一般式(3)で表される1価の基であるDにおいてXD5がC−#を表し、XD1〜XD4およびXD6〜XD9がC−Hである。この化合物は、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表し、その他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−Hを表し、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表し、その他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−Hを表しているため、この化合物のAとDは*と#の位置以外は同一構造であるが、*と#の位置(すなわち結合位置)が異なっているため、本明細書ではAとDは「結合部位を含めて」互いに点対称でないとして扱う。
前記一般式(2)で表される1価の基Aについて説明する。
一般式(2)中、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表す。XA2、XA5およびXA10のうちいずれか1つが、C−*を表すことが好ましい。
一般式(2)中、C−*を表すXA1〜XA11以外のその他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−RAまたは窒素原子を表す。
Aは水素原子または置換基を表し、複数のRAは同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(2)中、RAが表す置換基としては、それぞれ独立に下記置換基群Aを挙げることができ、該置換基は更に置換基を有してもよい。前記更なる置換基としては、前記置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
《置換基群A》
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜14であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、m−ビフェニル基、p−ビフェニル基、トリフェニレニル、m−ターフェニル基、p−ターフェニル基、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、スルホ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
A1〜XA3に含まれる前記RAとしては、それぞれ独立に前記置換基群Aの中でも水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヘテロアリール基、シアノ基、アルコキシ基、が好ましく、水素原子、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
A1〜XA3に含まれる前記RAが表すアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜5であり、メチル基が好ましい。
A1〜XA3に含まれる前記RAが表すアリール基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜18であり、例えばフェニル基、キシリル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基などが挙げられ、フェニル基が好ましい。
A1〜XA3に含まれる前記RAが表すアミノ基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜24、特に好ましくは炭素数1〜15であり、ジフェニルアミノ基が好ましい。
A1〜XA3に含まれる前記RAが表すヘテロアリール基は、好ましくは環員数5〜30、より好ましくは環員数5〜20、特に好ましくは環員数5〜15であり、例えばピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、ピラジル基、ピリダジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基などが挙げられ、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル基が好ましい。
A1〜XA3に含まれる前記RAが表すアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜3であり、メトキシ基が好ましい。
A1〜XA3に含まれる前記RAは、上述のとおりさらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。前記RAが有していてもよいさらなる置換基は、さらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。
A4〜XA11に含まれる前記RAとしては、それぞれ独立に前記置換基群Aの中でも水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヘテロアリール基、シアノ基、アルコキシ基が好ましく、水素原子、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、、水素原子が特に好ましい。
A4〜XA11に含まれる前記RAが表すアルキル基の好ましい範囲は、XA1〜XA3に含まれる前記RAが表すアルキル基の好ましい範囲と同様である。
A4〜XA11に含まれる前記RAが表すアリール基の好ましい範囲は、XA1〜XA3に含まれる前記RAが表すアリール基の好ましい範囲と同様である。
A4〜XA11に含まれる前記RAが表すアミノ基の好ましい範囲は、XA1〜XA3に含まれる前記RAが表すアミノ基の好ましい範囲と同様である。
A4〜XA11に含まれる前記RAが表すヘテロアリール基の好ましい範囲は、XA1〜XA3に含まれる前記RAが表すヘテロアリール基の好ましい範囲と同様である。。
A4〜XA11に含まれる前記RAが表すアルコキシ基の好ましい範囲は、XA1〜XA3に含まれる前記RAが表すアルコキシ基の好ましい範囲と同様である。
A4〜XA11に含まれる前記RAは、上述のとおりさらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。前記RAが有していてもよいさらなる置換基は、さらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。特に、XA4〜XA11に含まれる前記RAがアリール基を表す場合には、さらにアリール基(さらにアリール基を置換基として有していることも好ましい)を置換基として有することも好ましく、例えばRAがビフェニル基またはターフェニル基を有することが挙げられる。
C−*を表すXA1〜XA11以外のその他のXA1〜XA11のうち、CRAの個数は1〜10個であることが好ましく、5〜10個であることがより好ましく、8〜10個であることが特に好ましく、9〜10個であることがより特に好ましく、9または10個であることがさらにより特に好ましく、10個であることがよりさらにより特に好ましい。
A1〜XA11のうち窒素原子の個数の好ましい範囲はCRAの個数によって定まる。XA1〜XA3のうち窒素原子の個数は0〜2個であることが好ましく、0または1個であることがより好ましく、0個であることが特に好ましい。XA4〜XA7のうち窒素原子の個数は0または1個であることが好ましく、0個であることがより好ましい。XA8〜XA11のうち窒素原子の個数は0または1個であることが好ましく、0個であることがより好ましい。
また、C−*を表すXA1〜XA11以外のその他のXA1〜XA11のうち、RAが置換基であるCRAの個数は、0〜8個であることが好ましく、0〜3個であることがより好ましく、0または1個であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
A1〜XA11のうちRAが置換基であるCRAの位置は、XA2、XA5およびXA10であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(2)中、XA1〜XA11のうち1つがC−*を表し、その他のXA1〜XA11はそれぞれ独立にC−RAを表し、RAは水素原子または置換基を表すことが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物中、前記Aが下記一般式(5)で表される基であることがより好ましい。
一般式(5)中、RA1〜RA11のうち1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
一般式(5)におけるRA1〜RA11の好ましい範囲は、前記一般式(2)におけるXA1〜XA11がCRAを表す場合の各RAの好ましい範囲と同様である。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(5)中、RA2、RA5およびRA10のうちいずれか1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(5)中、前記BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11がいずれも水素原子を表すことが好ましい。
前記一般式(2)で表される1価の基であるAの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
次に、前記一般式(3)で表される1価の基Dについて説明する。
一般式(3)中、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表す。XD2、XD5およびXD10のうちいずれか1つが、C−#を表すことが好ましい。
一般式(3)中、C−#を表すXD1〜XD11以外のその他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−RDまたは窒素原子を表す。
Dは水素原子または置換基を表し、複数のRDは同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(3)中、RDが表す置換基としては、それぞれ独立に前記置換基群Aを挙げることができ、該置換基は更に置換基を有してもよい。前記更なる置換基としては、前記置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
D1〜XD3に含まれる前記RDとしては、それぞれ独立に前記置換基群Aの中でも水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヘテロアリール基、シアノ基、アルコキシ基が好ましく、水素原子、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、水素原子、アリール基が特に好ましい。
D1〜XD3に含まれる前記RDが表すアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜3であり、メチル基が好ましい。
D1〜XD3に含まれる前記RDが表すアリール基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜18であり、例えばフェニル基、キシリル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基などが挙げられ、フェニル基が好ましい。
D1〜XD3に含まれる前記RDが表すアミノ基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜24、特に好ましくは炭素数1〜15であり、ジフェニルアミノ基が好ましい。
D1〜XD3に含まれる前記RDが表すヘテロアリール基は、好ましくは環員数5〜30、より好ましくは環員数5〜20、特に好ましくは環員数5〜15であり、例えばピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、ピラジル基、ピリダジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基などが挙げられ、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル基が好ましい。
D1〜XD3に含まれる前記RDが表すアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜3であり、メトキシ基が好ましい。
D1〜XD3に含まれる前記RDは、上述のとおりさらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。前記RDが有していてもよいさらなる置換基は、さらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。特に、XD1〜XD3に含まれる前記RDがアリール基または環員数6のヘテロアリール基を表す場合には、さらにアリール基(炭素数6〜18であることが好ましく、例えば、フェニル基、トリフェニレニル基を挙げることができる。但し、さらに置換基を有する場合はアリール基を除く)またはオリゴアリール基を置換基として有することも好ましい。本明細書中、前記オリゴアリール基とは、2以上のアリール基が単結合を介して結合した基を意味し、2〜7のアリール基が単結合を介して結合した基であることが好ましく、2〜5のアリール基が単結合を介して結合した基であることがより好ましく、2または3のアリール基が単結合を介して結合した基であることが特に好ましい。また、前記RDが表すオリゴアリール基を構成するアリール基は、フェニル基であることが好ましい。前記オリゴアリール基はさらに置換基を有していてもよく、例えばシアノ基を置換基として有していることが好ましい。
D1〜XD3に含まれる前記RDが置換基を有するアリール基または置換基を有する環員数6のヘテロアリール基の場合、該置換基としてはRDが置換もしくは無置換のビフェニル基、または、置換もしくは無置換のターフェニル基を有することがより特に好ましく、置換ビフェニル基または置換もしくは無置換のp−ターフェニル基を有することがさらにより特に好ましい。
D4〜XD11に含まれる前記RDとしては、それぞれ独立に前記置換基群Aの中でも水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヘテロアリール基、シアノ基、アルコキシ基が好ましく、水素原子、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、水素原子、アリール基で置換されたアリール基またはヘテロアリール基が特に好ましく、水素原子またはアリール基で置換されたアリール基がより特に好ましい。
D4〜XD11に含まれる前記RDが表すアルキル基の好ましい範囲は、XD1〜XD3に含まれる前記RAが表すアルキル基の好ましい範囲と同様である。
D4〜XD11に含まれる前記RDが表すアリール基の好ましい範囲は、XD1〜XD3に含まれる前記RAが表すアリール基の好ましい範囲と同様である。
D4〜XD11に含まれる前記RDが表すアミノ基の好ましい範囲は、XD1〜XD3に含まれる前記RAが表すアミノ基の好ましい範囲と同様である。
D4〜XD11に含まれる前記RDが表すヘテロアリール基の好ましい範囲は、XD1〜XD3に含まれる前記RAが表すアリール基の好ましい範囲と同様である。
D4〜XD11に含まれる前記RDが表すアルコキシ基の好ましい範囲は、XD1〜XD3に含まれる前記RAが表すアルコキシ基の好ましい範囲と同様である。
D4〜XD11に含まれる前記RDは、上述のとおりさらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。前記RDが有していてもよいさらなる置換基は、さらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。特に、XD4〜XD11に含まれる前記RDがアリール基または環員数6のヘテロアリール基を表す場合には、さらにアリール基(但し、さらに置換基を有する場合はアリール基を除く)、オリゴアリール基またはアシル基を置換基として有することも好ましい。XD4〜XD11に含まれる前記RDが置換基を有するアリール基または置換基を有する環員数6のヘテロアリール基の場合における該置換基としてのアリール基とオリゴアリールの好ましい範囲は、XD1〜XD3に含まれる前記RDが置換基を有するアリール基または置換基を有する環員数6のヘテロアリール基の場合と同様である。アリール基の置換基としてアシル基をさらなる置換基として有する場合、該置換基としてのアシル基の好ましい範囲は、炭素数1〜30のアシル基であり、より好ましくは炭素数1〜18のアシル基であり、特に好ましくは炭素数6〜12のアシル基であり、より特に好ましくはベンゾイル基である。
C−#を表すXD1〜XD11以外のその他のXD1〜XD11のうちCRDの個数は1〜10個であることが好ましく、5〜10個であることがより好ましく、8〜10個であることが特に好ましく、9〜10個であることがより特に好ましく、9または10個であることがさらにより特に好ましく、10個であることがよりさらにより特に好ましい。
D1〜XD11のうち窒素原子の個数の好ましい範囲はCRDの個数によって定まる。XD1〜XD11のうち窒素原子の個数の好ましい範囲は、XA1〜XA11のうち窒素原子の個数の好ましい範囲と同様である。
また、C−#を表すXD1〜XD11以外のその他のXD1〜XD11のうちRDが置換基であるCRDの個数は、0〜8個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましく、1または2個であることが特に好ましく、1個であることがより特に好ましい。
D1〜XD11のうちRDが置換基であるCRDの位置は、XD2、XD5およびXD10であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(3)中、XD1〜XD11のうち1つがC−#を表し、その他のXD1〜XD11はそれぞれ独立にC−RDを表し、RDは水素原子または置換基を表すことが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物中、前記Dが下記一般式(6)で表される基であることがより好ましい。
一般式(6)中、RD1〜RD11のうち1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。AまたはBとの結合部位ではないRD1〜RD11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
一般式(6)におけるRD1〜RD11の好ましい範囲は、前記一般式(3)におけるXD1〜XD11がCRDを表す場合の各RDの好ましい範囲と同様である。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうちいずれか1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうち少なくとも1つが、それぞれ独立にアリール基(ただし、該アリール基は置換基としてさらにアリール基を有する場合を除く)、ヘテロアリール基または環数2〜5のオリゴアリール基を表すことが好ましい。
前記一般式(3)で表される1価の基であるDの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
その次に、前記一般式(4)で表される2価の基Bについて説明する。
一般式(4)中、XB1〜XB11のうち1つがC−*を表し、XB1〜XB11のうち他の1つがC−#を表す。XB2、XB5およびXB10のうちいずれか1つがC−*を表すことが好ましく、XB2、XB5およびXB10のうちC−*以外のいずれか1つがC−#を表すことが好ましい。
*はAとの結合部位を表す。
#はDとの結合部位を表す。
一般式(4)中、C−*およびC−#を表すXB1〜XB11以外のその他のXB1〜XB11はそれぞれ独立にC−RBまたは窒素原子を表す。
Bは水素原子または置換基を表し、複数のRBは同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(4)中、RBが表す置換基としては、それぞれ独立に前記置換基群Aを挙げることができ、該置換基は更に置換基を有してもよい。前記更なる置換基としては、前記置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
B1〜XB3に含まれる前記RBとしては、それぞれ独立に前記置換基群Aの中でも水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヘテロアリール基、シアノ基、アルコキシ基が好ましく、水素原子、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましい。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜3であり、メチル基が好ましい。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアリール基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜18であり、例えばフェニル基、キシリル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基などが挙げられ、フェニル基が好ましい。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアミノ基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜24、特に好ましくは炭素数1〜15であり、ジフェニルアミノ基が好ましい。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すヘテロアリール基は、好ましくは環員数5〜30、より好ましくは環員数5〜20、特に好ましくは環員数5〜15であり、例えばピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、ピラジル基、ピリダジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基などが挙げられ、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル基が好ましい。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜3であり、メトキシ基が好ましい。
B1〜XB3に含まれる前記RBは、上述のとおりさらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。前記RBが有していてもよいさらなる置換基は、さらに置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。
B4〜XB11に含まれる前記RBとしては、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヘテロアリール基、シアノ基、アルコキシ基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアルキル基の好ましい範囲は、XB1〜XB3に含まれる前記RBが表すアルキル基の好ましい範囲と同様である。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアリール基の好ましい範囲は、XB1〜XB3に含まれる前記RBが表すアリール基の好ましい範囲と同様である。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアミノ基の好ましい範囲は、XB1〜XB3に含まれる前記RBが表すアミノの好ましい範囲と同様である。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すヘテロアリール基の好ましい範囲は、XB1〜XB3に含まれる前記RBが表すヘテロアリール基の好ましい範囲と同様である。
B1〜XB3に含まれる前記RBが表すアルコキシ基の好ましい範囲は、XB1〜XB3に含まれる前記RBが表すアルコキシ基の好ましい範囲と同様である。
C−*およびC−#を表すXB1〜XB11以外のその他のXB1〜XB11のうちCRBの個数は1〜9個であることが好ましく、5〜9個であることがより好ましく、8〜9個であることが特に好ましく、9個であることがより特に好ましい。
C−*およびC−#を表すXB1〜XB11以外のその他のXB1〜XB11のうち窒素原子の個数の好ましい範囲はCRBの個数によって定まる。XB1〜XB3のうち窒素原子の個数は0〜2個であることが好ましく、0または1個であることがより好ましく、0個であることが特に好ましい。XB4〜XB7のうち窒素原子の個数は0または1個であることが好ましく、0個であることがより好ましい。XB8〜XB11のうち窒素原子の個数は0または1個であることが好ましく、0個であることがより好ましい。
また、XB1〜XB11のうちRBが置換基であるCRBの個数は、0〜8個であることが好ましく、0〜3個であることがより好ましく、0または1個であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
B1〜XB11のうちRBが置換基であるCRBの位置は、XB2、XB5、XB10であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(4)中、XB1〜XB11のうち1つがC−*を表し、XB1〜XB11のうち1つがC−#を表し、その他のXB1〜XB11はそれぞれ独立にC−RBを表し、RBは水素原子または置換基を表すことが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物中、前記Bが下記一般式(7)で表される基であることがより好ましい。
一般式(7)中、RB1〜RB11のうち1つがAとの結合部位を表し、他の1つがDとの結合部位を表し、AまたはDとの結合部位ではないRB1〜RB11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
一般式(7)におけるRB1〜RB11の好ましい範囲は、前記一般式(4)におけるXB1〜XB11がCRBを表す場合の各RBの好ましい範囲と同様である。
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(7)中、RB2がAとの結合部位またはCとの結合部位を表し、RB5またはRB10がAとの結合部位およびCとの結合部位のうち残りの一方を表すことが好ましい。
前記一般式(4)で表される2価の基であるBの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に含有されてもよい。前記一般式(1)で表される化合物で表される化合物の導入層としては、前記発光層、前記発光層と陰極との間の層(特に、発光層に隣接する層)、前記発光層と陽極との間の層のいずれかに含有されるのが好ましく、発光層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、正孔ブロック層、電子ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有されるのがより好ましく、発光層、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層のいずれかに含有されることが更に好ましく、発光層、正孔輸送層に含有されることが特に好ましい。また、前記一般式(1)で表される化合物は上記の複数の層で用いてもよい。例えば、発光層と電子輸送層または発光層と正孔輸送層の両方に用いてもよい。
(II)燐光発光材料
本発明では、前記発光層に少なくとも一種の燐光発光材料を有することが好ましい。本発明では、前記燐光発光材料に加えて、発光材料として、蛍光発光材料や、発光層に含有される燐光発光材料とは異なる燐光発光材料を用いることができる。
これら蛍光発光材料や燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736号公報の段落番号[0100]〜[0164]、特開2007−266458号公報の段落番号[0088]〜[0090]に詳述されており、これら公報の記載の事項を本発明に適用することができる。
本発明に使用できる燐光発光材料としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光材料としては、イリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体等の燐光発光性金属錯体化合物が挙げられる。特に好ましくは、イリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むイリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、イリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体が特に好ましく、イリジウム(Ir)錯体が最も好ましい。
これら燐光発光性金属錯体化合物は、発光層において、前記一般式(1)で表される化合物と共に含有されるのが好ましい。
前記発光層に含有される燐光発光材料としては、以下に示す一般式(E−1)で表されるイリジウム(Ir)錯体、又は白金(Pt)錯体を用いることが好ましい。以下、一般式(E−1)で表されるイリジウム(Ir)錯体について説明する。
一般式(E−1)で表されるイリジウム(Ir)錯体について説明する。
一般式(E−1)中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。A1はZ1と窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。B1はZ2と炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。Z1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。nE1は1〜3の整数を表す。
1及びZ2として好ましくは炭素原子である。nE1は2又は3が好ましく、この場合Z1、Z2、A1、B1を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていても良い。
1、Z1及び窒素原子を含む5又は6員のヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。A1、Z1及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環は置換基を有していてもよい。
1、Z2及び炭素原子で形成される5又は6員環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環などが挙げられる。B1、Z2及び炭素原子で形成される5又は6員環は置換基を有していてもよい。
前記置換基としては前記置換基群Aが挙げられる。置換基同士は連結して環を形成していてもよく、形成される環としては、不飽和の4〜7員環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。これら形成される環は置換基を有していてもよく、形成される環上の置換基を介してさらに環を形成してもよい。また、前記A1、Z1及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環の置換基と、前記B1、Z2及び炭素原子で形成される5又は6員環の置換基とが連結して、前述と同様の縮合環を形成していてもよい。形成される環上の置換基を介してさらに環を形成してもよい。
(X−Y)で表される配位子としては、従来公知の金属錯体に用いられる種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、含窒素ヘテロアリール配位子、ジケトン配位子などが挙げられ、下記一般式(l−1)〜(l−39)が好ましく、一般式(l−1)、(l−4)、(l−15)、(l−16)、(l−17)、(l−18)、(l−19)、(l−22)、(l−25)、(l−28)、(l−29)、(l−36)、(l−39)がより好ましい。ただし、本発明はこれらに限定されない。
*は一般式(E−1)におけるイリジウム(Ir)への配位位置を表す。Rx、Ry及びRzはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。置換基としては前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。Rx、Rzは好ましくは、それぞれ独立にアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基である。Ryは好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、シアノ基、アリール基のいずれかである。一つの配位子内に複数存在するRx及びRyはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
これらの配位子を有する錯体は、対応する配位子前駆体を用いることで公知の合成例と同様に合成できる。
一般式(E−1)で表されるイリジウム(Ir)錯体の好ましい態様は、下記一般式(E−2)で表されるイリジウム(Ir)錯体である。
一般式(E−2)
一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−REを表す。REは水素原子又は置換基を表す。置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。RE同士が互いに連結して環を形成していてもよい。形成される環としては、前述の一般式(E−1)において述べた縮合環と同様のものが挙げられる。(X−Y)及びnE2は一般式(E−1)における(X−Y)及びnE1と同義であり、好ましい範囲も同様である。nE2が2又は3の場合、AE1〜AE8を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(E−2)で表される化合物のより好ましい形態は、下記一般式(E−3)で表される化合物である。
一般式(E−3)中、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6及びRT7は、前記REと同義である。AはCR’’’’又は窒素原子を表し、R’’’’は前記REと同義である。RT1〜RT7、及びR’’’’は、近接する任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルケン、シクロカルカジエン、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。(X−Y)及びnE3は、一般式(E−1)における(X−Y)及びnE1と同義であり好ましい範囲も同様である。nE3が2又は3の場合、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7及びAを含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
A、RT1〜RT7の好ましい範囲は、用途に応じて求められる発光色によって異なる。以下に、目的とする発光色として青色〜水色、緑色〜黄色、黄橙色〜赤色の3つの領域に分けて説明する。ただし、これらの記載に限定されるものではない。
黄橙色〜赤色の発光色を得るためには、前記一般式(E−1)で表される化合物は、下記一般式(E−4)、一般式(E−5)または一般式(E−6)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(E−4)
一般式(E−4)におけるRT1〜RT4、RT7、A(CR’’’’又は窒素原子)、(X−Y)及びnE4は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT4、RT7、A、(X−Y)及びnE3と同義である。R1’〜R4’は前記REと同義である。
T1〜RT4、RT7、R1’〜R4’、R’’’’は、近接する任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルケン、シクロカルカジエン、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基群Aで表される置換基有していてもよい。
E4が2又は3の場合、RT1〜RT4、RT7、A及びR1’〜R4’を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
1’〜R4’は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アリール基であることが好ましい。また、AがCR’’’’を表すと共に、RT1〜RT4、RT7、R’’’’のうち0〜3つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が好ましい。
一般式(E−4)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
一般式(E−5)
一般式(E−5)におけるRT2〜RT6、A(CR’’’’又は窒素原子)、(X−Y)及びnE5は、一般式(E−3)におけるRT2〜RT6、A、(X−Y)及びnE3と同義である。R5’〜R8’は一般式(E−4)におけるR1’〜R4’と同義である。
T2〜RT6、R5’〜R8’、 R’’’’は、近接する任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルケン、シクロカルカジエン、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。
E5が2又は3の場合、RT2〜RT6、A及びR5’〜R8’を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、R5’〜R8’における好ましい範囲は、一般式(E−4)におけるR1’〜R4’の好ましい範囲と同じである。またAがCR’’’’を表すと共に、RT2〜RT6、R’’’’、及びR5’〜R8’のうち、0〜3つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が好ましい。
一般式(E−5)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
一般式(E−6)
一般式(E−6)におけるRT1〜RT5、A(CR’’’’又は窒素原子)、(X−Y)及びnE6は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT5、A、(X−Y)及びnE3と同義である。R9’〜R12’は一般式(E−4)におけるR1’〜R4’と同義である。
T1〜RT5、R9’〜R12’、 R’’’’は、近接する任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルケン、シクロカルカジエン、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。
E6が2又は3の場合、RT1〜RT5、A及びR9’〜R12’を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、R9’〜R12’における好ましい範囲は、一般式(E−4)におけるR1’〜R4’の好ましい範囲と同じである。またAがCR’’’’を表すと共に、RT1〜RT5、R’’’’、及びR9’〜R12’のうち、0〜3つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が好ましい。
一般式(E−6)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
緑色〜黄色の発光色を得るためには、前記一般式(E−1)で表される化合物は、下記一般式(E−7)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(E−7)
一般式(E−7)中、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’、(X−Y)及びnE3は一般式(E−3)中のRT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’、(X−Y)及びnE3と同義である。RT1〜RT7、及びR’’’’は、近接する任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルケン、シクロカルカジエン、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。
E7が2又は3の場合、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7及びR’’’’を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
T1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基であることが好ましい。
E7は3であることが好ましく、さらに、一般式(E−7)は一般式(E−7−1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(E−7−1)
一般式(E−7−1)中、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’は一般式(E−7)中のRT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’と同義であり好ましい範囲も同じである。RT8〜RT15はRT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’と同義であり好ましい範囲も同じであるが、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’を含むフェニルピリジン配位子とRT8〜RT15を含むフェニルピリジン配位子は互いに異なる。
緑色〜黄色の発光色のうち、緑色に近い発光色を得るためには、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基であることがより好ましく、RT1、RT5、RT4、R’’’’の1〜3個がアルキル基であることがさらに好ましい。RT8〜RT11は水素原子またはアルキル基であることがより好ましい。また、RT12〜RT15は水素原子、アルキル基、シアノ基、アリール基であることがより好ましい。アルキル基、シアノ基、アリール基の置換位置としては、RT13またはRT14であることが好ましい。該アリール基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基を介して縮合環を形成してもよい。
緑色〜黄色の発光色のうち、黄色に近い発光色を得るためには、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、R’’’’は水素原子、アルキル基であることがより好ましく、RT1、RT5、RT4、R’’’’の1〜3個がアルキル基であることがさらに好ましい。RT8〜RT11は少なくとも1つがアリール基であることがより好ましく、RT9、RT10のいずれか1つがアリール基で残りは水素原子またはアルキル基であることがさらに好ましい。該アリール基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基を介して縮合環を形成してもよい。
一般式(E−7−1)は、一般式(E−7−1)中に一般式(E−7−2)で表される部分構造を有することも好ましい。一般式(E−7−2)を有することにより、ホスト材料との組み合わせによって低電圧化や高耐久化といった効果が顕著に現れる場合がある。
一般式(E−7−2)
一般式(E−7−2)中、Xは−O−、−S−、−NRT24−、−CRT25T26−、−SiRT27T28−であり、RT16〜RT28のいずれか一つが単結合または置換基を介して一般式(E−7−1)中の一部と結合する。
一般式(E−7−2)中、RT16〜RT28のいずれか一つが単結合もしくはアリール基を介して一般式(E−7−1)中の一部と結合することが好ましく、緑色に近い発光色を得たい場合にはRT13またはRT14で結合することがより好ましく、RT13で結合することがさらに好ましい。黄色に近い発光色を得たい場合にはRT9またはRT10で結合することがより好ましい。
Xは−O−、−S−、−NRT24−、−CRT25T26−であることが好ましく、−O−、−S−であることがより好ましい。
Xが−O−、−S−のときは、RT16の位置で単結合を介して一般式(E−7−1)中の一部と結合することが好ましく、Xが−NRT24−のときは、RT18またはRT24の位置で単結合を介して一般式(E−7−1)中の一部と結合することが好ましく、Xが−CRT25T26−のときは、RT17の位置で単結合を介して一般式(E−7−1)中の一部と結合することが好ましい。
一般式(E−7)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
青色〜水色の発光色を得るためには、前記一般式(E−1)で表される化合物は下記一般式(E−8)または一般式(E−9)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(E−8)
一般式(E−8)中、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、A(CR’’’’又は窒素原子)、(X−Y)、nE8は一般式(E−3)中のRT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7、A、(X−Y)、nE3と同義である。
一般式(E−8)中のRT1、RT5〜RT7は、水素原子、アルキル基、アリール基であることがより好ましい。RT2〜RT4は、水素原子、フッ素原子、シアノ基であることが好ましい。Aは、CR’’’’のR’’’’がフッ素原子もしくはシアノ基であるか又は窒素原子であるかのいずれかが好ましい。nE8は2又は3であることが好ましくい。(X−Y)は、一般式(E−1)における(X−Y)と同義であり好ましい範囲も同様である。
一般式(E−8)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
一般式(E−9)
一般式(E−9)中、RT29〜RT34、(X−Y)、nE8は一般式(E−3)中のRT1〜RT6(X−Y)、nE3と同義である。RT35は置換基を表し、該置換基としては前記置換基群Bが挙げられる。RT29〜RT35は、近接する任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルケン、シクロカルカジエン、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基群Aで表される置換基を有していてもよい。
E7が2又は3の場合、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6、RT7及びR’’’’を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、該配位子は互いに同じであっても異なっていても良い。
T29〜RT34は水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基であることが好ましい。RT35はアルキル基、アリール基であることが好ましい。RT35はRT29と連結して環を形成することが好ましく、RT35とRT29とがアリール基を介して結合し、その結果含窒素6員環が形成されることがより好ましい。RT35はRT29と連結した該アリール基はさらに置換基を有していてもよく、耐久性の観点からアルキル基によって置換されることがさらに好ましい。
一般式(E−9)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
一般式(E−1)で表される化合物の上記以外の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
上記一般式(E−1)で表される化合物として例示した化合物は、特開2009−99783号公報に記載の方法や、米国特許7279232号等に記載の種々の方法で合成できる。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
一般式(E−1)で表される化合物は、発光層に含有されることが好ましいが、その用途が限定されることはなく、更に有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
発光層中の一般式(E−1)で表される化合物は,発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から0.2質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.3質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.4質量%〜30質量%含有されることがさらに好ましく、0.5質量%〜20質量%含有されることが特に好ましい。
一般式(1−1)〜(1−10)のいずれかで表される化合物と、一般式(E−1)〜(E−9)のいずれかで表される化合物を発光層中で組み合わせて使用することが、本発明では特に好ましい。
前記白金(Pt)錯体として具体的には、特開2005−310733号公報の〔0143〕〜〔0152〕、〔0157〕〜〔0158〕、〔0162〕〜〔0168〕に記載の化合物、特開2006−256999号公報の〔0065〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−73891号公報の〔0063〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2007−324309号公報の〔0079〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−96255号公報の〔0055〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2006−313796号公報の〔0043〕〜〔0046〕が挙げられる。
前記燐光発光材料は、発光層に含有されることが好ましいが、その用途が限定されることはなく、更に有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
前記発光層中の前記燐光発光材料は、前記発光層中に、一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることがより好ましく、2質量%〜40質量%含有されることが特に好ましい。
(III)その他のホスト材料
前記一般式(1)で表される化合物以外のその他の前記発光層に用いることのできるホスト材料としては、例えば、以下の構造を部分構造に持つ化合物を挙げることができる。
芳香族炭化水素、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、インドロカルバゾール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
(その他の層)
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層以外のその他の層を有していてもよい。
前記有機層が有していてもよい前記発光層以外のその他の有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、ブロック層(正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック層など)、電子輸送層などが挙げられる。前記具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ブロック層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
本発明の有機電界発光素子は、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層を少なくとも一層含むことが好ましい。前記(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層を挙げることができる。
本発明の有機電界発光素子は、(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層少なくとも一層含むことが好ましい。前記(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陰極側から電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層を挙げることができる。
具体的には、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様の一例は、図1に記載される態様であり、前記有機層として、陽極側3から正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7及び電子輸送層8がこの順に積層されている態様である。
以下、これら本発明の有機電界発光素子が有していてもよい前記発光層以外のその他の層について、説明する。
(A)陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
まず、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
(A−1)正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる正孔注入材料、正孔輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
正孔注入層には電子受容性ドーパントを含有することが好ましい。正孔注入層に電子受容性ドーパントを含有することにより、正孔注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子受容性ドーパントとは、ドープされる材料から電子を引き抜き、ラジカルカチオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)などのTCNQ化合物、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(HAT−CN)などのヘキサアザトリフェニレン化合物、酸化モリブデンなどが挙げられる。また、上記の電子受容性ドーパントのみを薄膜として陽極と正孔輸送層との間に挟むことでも、同様の効果を得ることができる。この場合、この層のことを正孔注入層とよぶ。さらに、電子受容性ドーパントを正孔輸送層に薄膜として挟むことでも同様の効果を得ることができる。この場合、正孔輸送層に挟む正孔注入層は一層でも、多層でもよい。
正孔注入層中の電子受容性ドーパントは、正孔注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.2質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。薄膜として用いる場合、正孔注入層の厚さは、1nm〜50nmであるのが好ましく、3nm〜30nmであるのがより好ましく、5nm〜20nmであるのが更に好ましい。
(A−2)電子ブロック層
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子ブロック層を構成する有機化合物の膜状態でのT1エネルギーは、発光層で生成する励起子のエネルギー移動を防止し、発光効率を低下させないために、発光材料のT1エネルギーよりも高いことが好ましい。
(A−3)陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層に特に好ましく用いられる材料
〔一般式(M−1)で表される化合物〕
本発明の有機電界発光素子は、前記(A)陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層に特に好ましく用いられる材料として、少なくとも一種の下記一般式(M−1)で表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(M−1)で表される化合物は発光層と陽極の間の発光層に隣接する有機層に含有されることがより好ましいが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。前記一般式(M−1)で表される化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有することができる。
前記一般式(M−1)で表される化合物が含有される、発光層と陽極の間の発光層に隣接する有機層は、電子ブロック層又は正孔輸送層であることがより好ましい。
前記一般式(M−1)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立してアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアミノ、アルキルアミノ、モルホリノ、チオモルホリノ、N、O、及びSから選択される1以上のヘテロ原子を含有する5若しくは6員へテロシクロアルキル又はシクロアルキルを表し、更に置換基ZTを有していてもよい。またAr1及びAr2は、単結合、アルキレン、若しくはアルケニレン(縮合環の有無を問わない)により互いに結合して、縮合5〜9員環を形成してもよい。
Ar3はP価のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアミノを表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Tはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R"、−OR"、−N(R")2、−SR"、−C(O)R"、−C(O)OR"、−C(O)N(R")2、−CN、−NO2、−SO2、−SOR"、−SO2R"、又は−SO3R"を表し、R"はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
pは1〜4の整数であり、pが2以上のときAr1及びAr2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(M−1)で表される化合物の好ましい別の形態は、下記一般式(M−2)で表される場合である。
前記一般式(M−2)中、RM1はアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
M2〜RM23はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、又はフッ素原子を表す。
前記一般式(M−2)中、RM1はアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基ZTを有していてもよい。RM1として好ましくは、アリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基である。RM1のアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アリール基、アルコキシ基が挙げられ、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアリール基がより好ましく、アルキル基、シアノ基、又はアリール基が更に好ましい。RM1のアリール基は、好ましくは置換基ZTを有していてもよいフェニル基であり、より好ましくはアルキル基又はシアノ基を有していてもよいフェニル基である。
M2〜RM23はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜24)、シリル基(好ましくは炭素数0〜18)、シアノ基、ニトロ基、又はフッ素原子を表し、これらは前述の置換基ZTを有していてもよい。
M2、RM7、RM8、RM15、RM16及びRM23として好ましくは、水素原子、又は置換基ZTを有していてもよいアルキル基若しくはアリール基であり、更に好ましくは水素原子である。
M4、RM5、RM11、RM12、RM19及びRM20として好ましくは、水素原子、置換基ZTを有していてもよいアルキル基若しくはアリール基、又はフッ素原子であり、更に好ましくは水素原子である。
M3、RM6、RM9、RM14、RM17及びRM22として好ましくは、水素原子、置換基ZTを有していてもよいアルキル基若しくはアリール基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、又は置換基ZTを有していてもよいアルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
M10、RM13、RM18及びRM21として好ましくは、水素原子、置換基ZTを有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基若しくはアミノ基、ニトロ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、置換基ZTを有していてもよいアルキル基若しくはアリール基、ニトロ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、更に好ましくは水素原子、又は置換基ZTを有していてもよいアルキル基である。アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、フッ素原子が好ましく、置換基ZTを有していてもよいアルキル基の炭素数は好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4である。
前記一般式(M−1)で表される化合物の好ましい別の形態は、下記一般式(M−3)で表される場合である。
前記一般式(M−3)中、RS1〜RS5はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−CO2R、−C(O)R、−NR2、−NO2、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基ZTを有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。複数のRS1〜RS5が存在するとき、それらは互いに結合して環を形成してもよく、更に置換基ZTを有していてもよい。
aは0〜4の整数を表し、複数のRS1が存在するとき、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。b〜eはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、それぞれ複数のRS2〜RS5が存在するとき、それらは同一でも異なっていてもよく、任意の2つが結合し環を形成してもよい。
qは1〜5の整数であり、qが2以上のとき複数のRS1は同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
アルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基ZTを挙げることができる。RS1〜RS5で表されるアルキル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基ZTを挙げることができる。RS1〜RS5で表されるシクロアルキル基として、好ましくは環員数4〜7のシクロアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
S1〜RS5で表されるアルケニル基としては好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
S1〜RS5で表されるアルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
S1〜RS5で表されるペルフルオロアルキル基は、前述のアルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置き換えられたものが挙げられる。
S1〜RS5で表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
S1〜RS5で表されるヘテロアリール基としては、好ましくは、炭素数5〜8のヘテロアリール基であり、より好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリニル基、スルホラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピリドインドリル基などが挙げられる。好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基、チエニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基である。
S1〜RS5として好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フルオロ基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、アリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。置換基ZTとしては、アルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、水素原子、アルキル基がより好ましい。
S1〜RS5は任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基ZTを有していてもよい。形成されるシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールの定義及び好ましい範囲はRS1〜RS5で定義したシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同じである。
前記一般式(M−1)で表される化合物を、正孔輸送層中で用いる場合は、前記一般式(M−1)で表される化合物は50〜100質量%含まれることが好ましく、80〜100質量%含まれることが好ましく、95〜100質量%含まれることが特に好ましい。
また、前記一般式(M−1)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
前記一般式(M−1)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(M−1)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
前記一般式(M−1)で表される化合物を含む正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、該正孔輸送層は発光層に接して設けられていることが好ましい。
前記一般式(M−1)で表される化合物の膜状態での最低励起三重項(T1)エネルギーは、1.77eV(40kcal/mol)以上3.51eV(81kcal/mol)以下であることが好ましく、2.39eV(55kcal/mol)以上3.25eV(75kcal/mol)以下であることがより好ましい。本発明の有機電界発光素子は、前述の燐光発光材料のT1エネルギーよりも、前記一般式(M−1)で表される化合物のT1エネルギーの方が高いことが発光効率の観点から好ましい。特に有機電界発光素子からの発光色が緑色(発光ピーク波長が490〜580nm)である場合は発光効率の観点から、T1エネルギーは、2.39eV(55kcal/mol)以上2.82eV(65kcal/mol)以下であることが更に好ましい。
前記一般式(M−1)を構成する水素原子は、水素の同位体(重水素原子等)も含む。この場合化合物中の全ての水素原子が水素同位体に置き換わっていてもよく、また一部が水素同位体を含む化合物である混合物でもよい。
前記一般式(M−1)で表される化合物は、種々の公知の合成法を組み合わせて合成することが可能である。最も一般的には、カルバゾール化合物に関してはアリールヒドラジンとシクロヘキサン誘導体との縮合体のアザーコープ転位反応の後、脱水素芳香族化による合成(L.F.Tieze,Th.Eicher著、高野、小笠原訳、精密有機合成、339頁(南江堂刊))が挙げられる。また、得られたカルバゾール化合物とハロゲン化アリール化合物のパラジウム触媒を用いるカップリング反応に関してはテトラヘドロン・レターズ39巻617頁(1998年)、同39巻2367頁(1998年)及び同40巻6393頁(1999年)等に記載の方法が挙げられる。反応温度、反応時間については特に限定されることはなく、前記文献に記載の条件が適用できる。
前記一般式(M−1)で表される化合物は、真空蒸着プロセスで薄層を形成することが好ましいが、溶液塗布などのウェットプロセスも好適に用いることが出来る。化合物の分子量は、蒸着適性や溶解性の観点から2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、800以下であることが特に好ましい。また蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、300以上が特に好ましい。
以下に、前記一般式(M−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。
(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
次に、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
(B−1)電子注入層、電子輸送層
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
電子輸送材料としては、前記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。その他の電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン等の縮環炭化水素化合物等をから選ばれることが好ましく、ピリジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、金属錯体、縮環炭化水素化合物のいずれかであることがより好ましい。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧低下の観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層には電子供与性ドーパントを含有することができる。電子注入層に電子供与性ドーパントを含有させることにより、電子注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子供与性ドーパントとは、ドープされる材料に電子を与え、ラジカルアニオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]などのジヒドロイミダゾール化合物、リチウム、セシウムなどが挙げられる。
電子注入層中の電子供与性ドーパントは、電子注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
(B−2)正孔ブロック層
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の膜状態でのT1エネルギーは、発光層で生成する励起子のエネルギー移動を防止し、発光効率を低下させないために、発光材料のT1エネルギーよりも高いことが好ましい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、前記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
前記一般式(1)で表される化合物以外の、正孔ブロック層を構成するその他の有機化合物の例としては、アルミニウム(III)・トリス−8−ヒドロキシキノリン(Alqと略記する)、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(Balqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。本発明において、正孔ブロック層は実際に正孔をブロックする機能に限定せず、発光層の励起子を電子輸送層に拡散させない、若しくはエネルギー移動消光をブロックする機能を有していてもよい。前記一般式(1)で表される化合物は正孔ブロック層としても好ましく適用できる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層に用いる材料は、前記燐光発光材料のT1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。
(B−3)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層に特に好ましく用いられる材料
本発明の有機電界発光素子は、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層の材料に特に好ましく用いられる材料として、前記一般式(1)で表される化合物、芳香族炭化水素化合物(特に、下記一般式(Tp−1))および下記一般式(O−1)で表される化合物を挙げることができる。
以下、前記芳香族炭化水素化合物と、前記一般式(O−1)で表される化合物について説明する。
〔芳香族炭化水素化合物〕
前記芳香族炭化水素化合物は、発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層に含有されることがより好ましいが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。前記芳香族炭化水素化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有することができる。
前記芳香族炭化水素化合物が含有される、発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層はブロック層(正孔ブロック層、励起子ブロック層)又は電子輸送層であることが好ましく、電子輸送層であることがより好ましい。
前記芳香族炭化水素化合物を発光層以外の層に含有させる場合は、70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。芳香族炭化水素化合物を発光層に含有させる場合は、発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含ませることが好ましく、1〜95質量%含ませることがより好ましく、10〜95質量%含ませることがより好ましい。
前記芳香族炭化水素化合物としては、分子量が400〜1200の範囲にあり、総炭素数13〜22の縮合多環骨格を有する炭化水素化合物を用いることが好ましい。総炭素数13〜22の縮合多環骨格としては、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレンのいずれかであることが好ましく、T1の観点からフルオレン、トリフェニレン、フェナントレンがより好ましく、化合物の安定性、電荷注入・輸送性の観点からトリフェニレンが更に好ましく、下記一般式(Tp−1)で表される化合物であることが特に好ましい。
前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は、分子量が400〜1200の範囲であることが好ましく、より好ましくは400〜1100であり、更に好ましくは400〜000である。分子量が400以上であれば良質なアモルファス薄膜が形成でき、分子量が1200以下であると溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正の面で好ましい。
前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物はその用途が限定されることはなく、発光層に隣接する有機層だけでなく有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
前記一般式(Tp−1)において、R12〜R23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、またはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)を表す。ただし、R12〜R23が全て水素原子になることはない。
12〜R23が表すアルキル基としては、置換基若しくは無置換の、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、又はtert−ブチル基である。
12〜R23として好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基であることが更に好ましい。
フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、ベンゼン環であることが特に好ましい。
前記一般式(Tp−1)におけるアリール環の総数は2〜8個であることが好ましく、3〜5個であることが好ましい。この範囲とすることで、良質なアモルファス薄膜が形成でき、溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正が良好になる。
12〜R23は、それぞれ独立に、総炭素数が20〜50であることが好ましく、総炭素数が20〜36であることがより好ましい。この範囲とすることで、良質なアモルファス薄膜が形成でき、溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正が良好になる。
前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は下記一般式(Tp−2)で表される炭化水素化合物であることが好ましい。
一般式(Tp−2)中、複数のAr11は同一であり、アルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、またはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)を表す。
Ar11が表す水素原子、アルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、またはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)としては、R12〜R23で挙げたものと同義であり、好ましいものも同様である。
前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は、下記一般式(Tp−3)で表される炭化水素化合物であることも好ましい。
一般式(Tp−3)中、Lはアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、またはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)又はこれらを組み合わせて成るn価の連結基を表す。nは2〜6の整数を表す。
Lが表すn価の連結基を形成するアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、又はトリフェニレニル基としては、R12〜R23で挙げたものと同義である。
Lとして好ましくは、アルキル基又はベンゼン環で置換されていてもよいベンゼン環、フルオレン環、又はこれらを組み合わせて成るn価の連結基である。
以下にLの好ましい具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。なお具体例中*でトリフェニレン環と結合する。
nは2〜5であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
前記一般式(Tp−1)で表される化合物は下記一般式(Tp−4)で表される化合物であることが好ましい。
(一般式(Tp−4)において、AA1〜AA12はそれぞれ独立にCR400または窒素原子を表す。n401は0〜8の整数を表す。n401が0である場合、AA1〜AA6で表される環は、トリフェニレン環とAA7〜AA12で表される環との間の単結合を表す。n401が2〜6の場合、複数存在するAA1〜AA6で表される環は出現ごとに異なってもよく、複数存在する環同士の連結様式も出現ごとに異なっていてもよい。)
なお、本発明において、前記一般式(Tp−4)の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
前記一般式(Tp−4)において、R411〜R421はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、またはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)を表す。
411〜R421として好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)であることが好ましく、水素原子、フェニル基(該フェニル基はアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
A1〜AA12として好ましくはCR400である。
前記一般式(Tp−4)中、R400が表す置換基としては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)を表す。複数存在するR400はそれぞれ異なっていてもよい。
400として好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基(該フェニル基はアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)であることが更に好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基(該フェニル基はアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)であることが特に好ましい。
401として好ましくは0〜5の整数であり、1〜5の整数であることがさらに好ましく、2〜4であることが特に好ましい。
401は1以上の整数であり、AA7〜AA12で表される環と連結する位置がAA3である場合、発光効率の観点からAA4またはAA5で表される置換基はCR400であり、R400は炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
前記一般式(Tp−4)中、AA1〜AA12によって構成される各6員環の芳香環のうち、窒素原子を含む環が1個以下であることが好ましく、0個であることがより好ましい。前記一般式(Tp−4)中、AA1〜AA12によって構成される各6員環の芳香環の連結に制限はないが、メタ位またはパラ位で連結していることが好ましい。よりさらに、前記一般式(Tp−4)で表される化合物は、トリフェニレン環を構成する縮環の部分構造であるフェニル環を含め、パラ位で連続して連結している芳香環の個数が3個以下であることが好ましい。
前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物を有機電界発光素子の発光層のホスト材料や発光層に隣接する層の電荷輸送材料として使用する場合、発光材料より薄膜状態でのエネルギーギャップ(発光材料が燐光発光材料の場合には、薄膜状態での最低励起三重項(T1)エネルギー)が大きいと、発光がクエンチしてしまうことを防ぎ、効率向上に有利である。一方、化合物の化学的安定性の観点からは、エネルギーギャップ及びT1エネルギーは大き過ぎない方が好ましい。一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物の膜状態でのT1エネルギーは、1.77eV(40kcal/mol)以上3.51eV(81kcal/mol)以下であることが好ましく、2.39eV(55kcal/mol)以上3.25eV(75kcal/mol)以下であることがより好ましい。本発明の有機電界発光素子は、前述の燐光発光材料のT1エネルギーよりも、前記一般式(Tp−1)で表される化合物のT1エネルギーの方が高いことが発光効率の観点から好ましい。特に有機電界発光素子からの発光色が緑色(発光ピーク波長が490〜580nm)である場合は発光効率の観点から、T1エネルギーは、2.39eV(55kcal/mol)以上2.82eV(65kcal/mol)以下であることが更に好ましい。
前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物のT1エネルギーは、前述の一般式(1)の説明における方法と同様の方法により求めることができる。
有機電界発光素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、本発明にかかる炭化水素化合物のガラス転移温度(Tg)は80℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上400℃以下であることがより好ましく、120℃以上400℃以下であることが更に好ましい。
以下に、前記一般式(Tp−1)で表されることを特徴とする前記炭化水素化合物の具体例を例示するが、本発明に用いられる前記炭化水素化合物はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物として例示した化合物は、国際公開第05/013388号パンフレット、国際公開第06/130598号パンフレット、国際公開第09/021107号パンフレット、US2009/0009065、国際公開第09/008311号パンフレット及び国際公開第04/018587号パンフレットに記載の方法で合成できる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
〔一般式(O−1)で表される化合物〕
前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層の材料に特に好ましく用いられる材料として、下記一般式(O−1)で表される化合物を用いることが、有機電界発光素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(O−1)について説明する。
一般式(O−1)中、RO1は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。AO1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。RAは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRAは同じでも異なっていてもよい。LO1は、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価〜六価の連結基を表す。nO1は2〜6の整数を表す。
O1は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aを有していてもよい。RO1として好ましくはアリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基である。RO1のアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基又はシアノ基が挙げられ、アルキル基又はアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。RO1のアリール基が複数の置換基を有する場合、該複数の置換基は互いに結合して5又は6員環を形成していてもよい。RO1のアリール基は、好ましくは置換基Aを有していてもよいフェニル基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基が置換していてもよいフェニル基であり、更に好ましくは無置換のフェニル基又は2−フェニルフェニル基である。
O1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。AO1〜AO4のうち、0〜2つが窒素原子であるのが好ましく、0又は1つが窒素原子であるのがより好ましい。AO1〜AO4の全てがC−RAであるか、又はAO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであるのが好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであるのがより好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであり、RAが全て水素原子であるのが更に好ましい。
Aは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基ZTを有していてもよい。また複数のRAは同じでも異なっていてもよい。RAとして好ましくは水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
O1は、アリール環(好ましくは炭素数6〜30)又はヘテロアリール環(好ましくは炭素数4〜12)からなる二価〜六価の連結基を表す。LO1として好ましくは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリールトリイル基、又はヘテロアリールトリイル基であり、より好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、又はベンゼントリイル基であり、更に好ましくはビフェニレン基、又はベンゼントリイル基である。LO1は前述の置換基ZTを有していてもよく、置換基を有する場合の置換基としてはアルキル基、アリール基、又はシアノ基が好ましい。LO1の具体例としては、以下のものが挙げられる。
O1は2〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは2又は3である。nO1は、有機電界発光素子の効率の観点では最も好ましくは3であり、有機電界発光素子の耐久性の観点では最も好ましくは2である。
前記一般式(O−1)で表される化合物は、より好ましくは下記一般式(O−2)で表される化合物である。
一般式(O−2)中、RO1はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。RO2〜RO4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。AO1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。RAは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRAは同じでも異なっていてもよい。
O1及びAO1〜AO4は、前記一般式(O−1)中のRO1及びAO1〜AO4と同義であり、またそれらの好ましい範囲も同様である。
02〜R04はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aを有していてもよい。R02〜R04として好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは水素原子、又はアリール基であり、最も好ましくは水素原子である。
前記一般式(O−1)で表される化合物は、高温保存時の安定性、高温駆動時、駆動時の発熱に対して安定して動作させる観点から、ガラス転移温度(Tg)は100℃〜400℃であることが好ましく、120℃〜400℃であることがより好ましく、140℃〜400℃であることが更に好ましい。
前記一般式(O−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されない。
前記一般式(O−1)で表される化合物は、特開2001−335776号に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
本発明の有機電界発光素子において、一般式(O−1)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましいが、発光層に隣接する陰極側の層に含有されることがより好ましい。
(有機層の形成方法)
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法等の湿式製膜法(溶液塗布法)のいずれによっても好適に形成することができる。
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層が真空蒸着プロセスにて形成されてなることが好ましい。また、本発明の有機電界発光素子は、前記発光層が湿式プロセスにて形成されてなることも好ましい。
<基板>
本発明の有機電界発光素子は、基板を有する。
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
<電極>
本発明の有機電界発光素子は、前記基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極を有する。
発光素子の性質上、一対の電極である陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
(陽極)
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
(陰極)
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
<保護層>
本発明において、有機電界発光素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。なお、保護層の材料は無機物であっても、有機物であってもよい。
<封止容器>
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
<駆動方法>
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、7%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの300〜400cd/m2付近での外部量子効率の値を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率は、30%以上であることが好ましく、50%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましい。素子の内部量子効率は、外部量子効率を光取り出し効率で除して算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能である。
<発光波長>
本発明の有機電界発光素子は、その発光波長に制限はない。例えば、光の三原色のうち、赤色の発光に用いても、緑色の発光に用いても、青色の発光に用いてもよい。その中でも、本発明の有機電界発光素子は、発光ピーク波長が400〜700nmであることが、前記一般式(1)で表される化合物の最低励起三重項(T1)エネルギーを考慮した発光効率の観点から好ましい。
具体的には、本発明の有機電界発光素子において、前記一般式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料、電子輸送層または正孔ブロック層の電子輸送材料として用いる場合は、ゲスト材料の発光ピーク波長が400〜700nmであることが好ましく、450〜650nmであることがより好ましく、480〜550nmであることが特に好ましい。
<本発明の有機電界発光素子の用途>
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、発光装置、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[合成例(化合物1、2、3の合成)]
(化合物1の合成スキーム)
(化合物2の合成スキーム)
(化合物3の合成スキーム)
上記スキームに従い、化合物1、2、3を合成した。他の化合物についても、上記と同様の手段により、合成することができる。
合成した化合物1、2の1H−NMRデータを図4、図5に示す。
2.素子作製・評価
素子作製に用いた材料は全て昇華精製を行った。比較例、及び実施例に用いた化合物を示す。
(共通層に用いる化合物群)
(比較化合物)
下記の比較化合物1は特開2010−87496号公報の0182段落に記載の化合物26である。
下記の比較化合物2、3はそれぞれWO2011/088877号に記載の化合物H7、H8である。
(実施例に用いた一般式(1)で表される化合物)
[比較例1]
(陽極の作製)
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
これを陽極(ITO膜、透明陽極)として用いた。
(有機層の積層)
上記の陽極上に、真空蒸着法にて以下の化合物を用いて、第一層〜第五層の有機層を順次蒸着した。あわせて、各層に用いた化合物の構造を示した。
第一層:HAT−CN:膜厚10nm
第二層:NPD :膜厚30nm
第三層:比較化合物1(ホスト材料)及び緑色燐光発光材料GD−1(ゲスト材料)(質量比85:15) :膜厚30nm
第四層:TpH−17 :膜厚10nm
第五層:Alq :膜厚40nm
(陰極の作製)
この上に、フッ化リチウム0.1nm及び金属アルミニウム200nmをこの順に蒸着し、陰極とした。
(有機電界発光の作製)
この陰極と陽極間に5層の有機層を有する積層体を、大気に触れさせることなく、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、比較例1の有機電界発光素子を得た。
(有機電界発光素子の評価)
(a) 耐久性
比較例1の有機電界発光素子を、室温で輝度が5000cd/m2になるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が4000cd/m2になるまでに要した時間を測定した。この時間を、有機電界発光素子の耐久性の指標とした。
なお、後述の各実施例および比較例では、以下に記載する表1において、比較例1の有機電界発光素子を用いたときの耐久性を100とし、耐久性の相対値が100未満のものを×、100以上120未満のものを○、120以上のものを◎とした。
ここで、耐久性は数字が大きいほど好ましい。実用上、○または◎評価であることが必要である。
(b) 電圧上昇率
上記耐久性を評価する際に用いた比較例1の有機電界発光素子で、初期輝度が5000cd/m2のときの電圧をV1(V)とし、そこから500時間経過したときの電圧をV2(V)とし、これらの電圧差をΔVと定義する。つまり、ΔV=V2−V1である。
なお、後述の各実施例および比較例では、以下に記載する表1において、比較例1のΔVを100とし、電圧の相対値が100以上のものを×、95以上100未満のものを△、90以上95未満のものを○、90未満のものを◎とした。
ここで、電圧上昇率は数字が小さいほど好ましい。実用上、○または◎評価であることが必要である。
(c)駆動電圧
有機電界発光素子を輝度が3500cd/m2になるように直流電圧を印加して発光させる。この時の印加電圧を駆動電圧評価の指標とした。実施例A1〜A13ならびに比較例1〜3では駆動電圧が6V未満である場合を◎、6V以上7V未満である場合を○、7V以上である場合を×として、下記表1に示した。ここで、駆動電圧は数字が小さいほど好ましい。
[実施例A1〜A13ならびに比較例2および3]
比較例1における、有機層の第3層のホスト材料として、比較化合物1の代わりに前記一般式(1)で表される化合物または比較化合物2もしくは3を用いた以外は比較例1と同様にして、実施例A1〜A13ならびに比較例2および3の有機電界発光素子を得た。
得られた各実施例および比較例の有機電界発光素子について、比較例1と同様にして耐久性と電圧上昇率と駆動電圧を測定し、実施例1と同様に評価した。その結果を下記表1に示す。
[比較例4]
有機層について、第二層に用いたNPDをHTL−1に、第三層に用いたGD−1をGD−2に、第四層に用いたTpH−17をOM−8に、第五層に用いたAlqをOM−8にかえた以外は比較例1と同様にして、比較例4の有機電界発光素子を作製した。比較例4における有機層の構成を下記に示す。
第一層:LG101 :膜厚10nm
第二層:HTL−1 :膜厚30nm
第三層:比較化合物1(ホスト材料)及び緑色燐光発光材料GD−2(ゲスト材料)(質量比85:15) :膜厚30nm
第四層:OM−8 :膜厚10nm
第五層:OM−8 :膜厚40nm
[実施例B1〜B13ならびに比較例5および6]
比較例4における有機層の第3層の材料として、比較化合物1の代わりに前記一般式(1)で表される化合物または比較化合物2もしくは3を用いた以外は比較例4と同様にして、実施例B1〜B4ならびに比較例5および6の有機電界発光素子を得た。
得られた実施例B1〜B13および比較例4〜6の有機電界発光素子について、比較例1と同様にして耐久性と電圧上昇率と駆動電圧を測定し、実施例1と同様に評価した。但し、下記表2に記載の各実施例および比較例では、比較例4の有機電界発光素子の耐久性と電圧上昇率の評価結果を100として相対評価を行った。また、駆動電圧に関しては駆動電圧が5.5V未満である場合を◎、5.5V以上6.5V未満である場合を○、6.5V以上である場合を×として、評価した。その結果を下記表2に示す。
[比較例7]
有機層について、第一層に用いたLG101をGD−1に代え、第三層に用いたGD−1を赤色燐光発光材料RD−1に代え、第四層に用いたTpH−17をAlqにかえた以外は比較例1と同様にして、比較例7の有機電界発光素子を作製した。比較例7における有機層の構成を下記に示す。
第一層:GD−1 :膜厚10nm
第二層:NPD :膜厚30nm
第三層:比較化合物1(ホスト材料)及び赤色燐光発光材料RD−1(ゲスト材料)(質量比90:10) :膜厚30nm
第四層:Alq :膜厚10nm
第五層:Alq :膜厚40nm
[実施例C1〜C9ならびに比較例8および9]
比較例7における有機層の第3層の材料として、比較化合物1の代わりに前記一般式(1)で表される化合物または比較化合物2もしくは3を用いた以外は比較例7と同様にして、実施例C1〜C9ならびに比較例8および9の有機電界発光素子を得た。
得られた実施例C1〜C3および比較例7〜9の有機電界発光素子について、比較例1と同様にして耐久性と電圧上昇率と駆動電圧を測定し、実施例1と同様に評価した。但し、下記表3に記載の各実施例および比較例では、比較例7の有機電界発光素子の耐久性と電圧上昇率の評価結果を100として相対評価を行った。また、駆動電圧が6V未満である場合を◎、6V以上7V未満である場合を○、7V以上である場合を×として、評価した。その結果を下記表3に示す。
上記表1〜表3より、前記一般式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料として用いた各実施例の有機電界発光素子は、駆動電圧に優れ、駆動に伴う駆動電圧の上昇が抑制され、耐久性も良好であることがわかった。
一方、比較化合物1〜3を発光層のホスト材料として用いた各比較例の有機電界発光素子は、初期の駆動電圧は良好なものの、駆動に伴う駆動電圧の上昇が抑制されておらず、耐久性も悪いことがわかった。
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子(有機EL素子)
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
31・・・透明基板
32・・・微粒子
40・・・照明装置

Claims (21)

  1. 基板と、
    該基板上に配置され、陽極及び陰極からなる一対の電極と、
    該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、
    前記有機層の少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
    一般式(1)
    (一般式(1)中、Aは下記一般式(5)で表される1価の基であり、Dは下記一般式(6)で表される1価の基であり、Bは下記一般式(7)で表される2価の基であり、nは0または1を表す。ただし、nが0である場合には、AとDは結合部位を含めて互いに点対称でない。)
    (一般式(5)中、RA1〜RA11のうち1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
    (一般式(6)中、RD1〜RD11のうち1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。AまたはBとの結合部位ではないRD1〜RD11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
    (一般式(7)中、RB1〜RB11のうち1つがAとの結合部位を表し、他の1つがDとの結合部位を表し、AまたはDとの結合部位ではないRB1〜RB11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
    (ただし、一般式(1)には下記の構造は含まれない。)
  2. 前記一般式(5)中、RA2、RA5およびRA10のうちいずれか1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうちいずれか1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことを特徴とする請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記一般式(7)中、RB2がAとの結合部位またはCとの結合部位を表し、RB5またはRB10がAとの結合部位およびCとの結合部位のうち残りの一方を表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうち少なくとも1つが、それぞれ独立にアリール基(ただし、該アリール基は置換基としてさらに置換または無置換のアリール基を有する場合を除く)、置換または無置換のヘテロアリール基または置換または無置換の環数2〜5のオリゴアリール基を表すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記一般式(5)中、前記BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11がいずれも水素原子を表すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  7. 前記一般式(1)中、nが0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  8. 前記発光層が燐光発光材料を少なくとも一種含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  9. 前記燐光発光材料が、下記一般式(E−1)で表されるイリジウム錯体であることを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(E−1)中、Z及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。
    はZと窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。
    はZと炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。
    (X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
    E1は1〜3の整数を表す。)
  10. 前記一般式(E−1)で表されるイリジウム錯体が下記一般式(E−2)で表されることを特徴とする請求項9に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−Rを表す。
    は水素原子又は置換基を表す。
    (X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
    E2は1〜3の整数を表す。)
  11. 前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
  15. 下記一般式(1)で表される化合物。
    一般式(1)
    (一般式(1)中、Aは下記一般式(5)で表される1価の基であり、Dは下記一般式(6)で表される1価の基であり、Bは下記一般式(7)で表される2価の基であり、nは0または1を表す。ただし、nが0である場合には、AとDは結合部位を含めて互いに点対称でない。)
    (一般式(5)中、RA1〜RA11のうち1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
    (一般式(6)中、RD1〜RD11のうち1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表す。AまたはBとの結合部位ではないRD1〜RD11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
    (一般式(7)中、RB1〜RB11のうち1つがAとの結合部位を表し、他の1つがDとの結合部位を表し、AまたはDとの結合部位ではないRB1〜RB11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
    (ただし、一般式(1)には下記の構造は含まれない。)
  16. 前記一般式(5)中、RA2、RA5およびRA10のうちいずれか1つが、nが0の場合はDとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことを特徴とする請求項15に記載の化合物。
  17. 前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうちいずれか1つが、nが0の場合はAとの結合部位を表し、nが1の場合はBとの結合部位を表すことを特徴とする請求項15または16に記載の化合物。
  18. 前記一般式(7)中、RB2がAとの結合部位またはCとの結合部位を表し、RB5またはRB10がAとの結合部位およびCとの結合部位のうち残りの一方を表すことを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の化合物。
  19. 前記一般式(6)中、RD2、RD5およびRD10のうち少なくとも1つが、それぞれ独立に置換または無置換のアリール基(ただし、該アリール基は置換基としてさらにアリール基を有する場合を除く)、置換または無置換のヘテロアリール基または置換または無置換の環数2〜5のオリゴアリール基を表すことを特徴とする請求項15〜18のいずれか一項に記載の化合物。
  20. 前記一般式(5)中、前記BまたはDとの結合部位ではないRA1〜RA11がいずれも水素原子を表すことを特徴とする請求項15〜19のいずれか一項に記載の化合物。
  21. 前記一般式(1)中、nが0であることを特徴とする請求項15〜20のいずれか一項に記載の化合物。
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