本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、支持盤中(土中やコンクリ−ト中等)に埋設された状態で引抜き荷重や押し込み荷重が付加されたときに、内部層(土やコンクリ−ト等)をより広い周辺範囲に亘って押圧できて引抜き抵抗力や支持力の増大を期し得る、例えば杭やアンカ−具等、定着用途に広く応用可能な定着具の提供を課題とするものである。又本発明は、かかる引抜き抵抗力や支持力の増大を期し得る打込み式杭の提供を課題とするものであり、又本発明は、かかる引抜き抵抗力の増大が図られてシート状物を地面に対してより確実に押えることのできるシート状物押え杭の提供を課題とするものである。
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る定着具の第1の態様は、上下方向に長い基体の側面部に、該上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部は少なくとも1個のV字状屈曲部を具え、該V字状屈曲部は、下向きの傾斜下面部を形成する傾斜下面部形成突部と、上向きの傾斜上面部を形成する傾斜上面部形成突部を有し、該傾斜上面部と該傾斜下面部との間に、前記側面部を底面部とする三角形状凹部が形成されており、該三角形状凹部は、少なくとも、前記上下方向と直交する左右方向で開放されていることを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第2の態様は、上下方向に長い平板状の基体の、前後方向で見て対向する側面部の夫々に、上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部は、少なくとも1個のV字状屈曲部を具え、該V字状屈曲部は、下向きの傾斜下面部を形成する傾斜下面部形成突部と、上向きの傾斜上面部を形成する傾斜上面部形成突部を有し、該傾斜上面部と該傾斜下面部との間に、前記側面部を底面部とする三角形状凹部が形成されており、該三角形状凹部は、前記前後方向と該前後方向と直交する左右方向で開放されていることを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第3の態様は、上下方向に長い平板状の基体の上側部分が定着具上部を構成すると共に、該基体の下側部分が定着具下部を構成しており、該定着具上部は、該上側部分が構成するウエブ形成部の両端部分にフランジが設けられることによって横断面H形を呈する如くなされており、前記定着具下部は、前記基体の下側部分の前後方向で見て対向する側面部の夫々に、前記上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部は、少なくとも1個のV字状屈曲部を具え、該V字状屈曲部は、下向きの傾斜下面部を形成する傾斜下面部形成突部と、上向きの傾斜上面部を形成する傾斜上面部形成突部を有し、該傾斜上面部と該傾斜下面部との間に、前記側面部を底面部とする三角形状凹部が形成されており、該三角形状凹部は、前記前後方向と該前後方向と直交する左右方向で開放されていることを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第4の態様は、上下方向に長い平板状の基体の所要長さ部分が定着基体とされており、該定着基体は、該上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状基体屈曲部とされ、該ジグザグ状基体屈曲部は少なくとも1個のV字状基体屈曲部を具え、該V字状基体屈曲部は、下向きの傾斜基体下面部を形成する傾斜下面部形成部と、上向きの傾斜基体上面部を形成する傾斜上面部形成部を有し、該傾斜基体上面部と該傾斜基体下面部との間に三角形状基体凹部が形成されている。又、前記ジグザグ状基体屈曲部の、前後方向で見て対向する側面部の夫々に、前記上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部は、少なくとも1個のV字状屈曲部を具え、該V字状屈曲部は、前記三角形状基体凹部を前記前後方向と直交する左右方向で左右分割する如く突設されており、又該V字状屈曲部は、下向きの傾斜下面部を形成する傾斜下面部形成突部と、上向きの傾斜上面部を形成する傾斜上面部形成突部を有し、該傾斜上面部と該傾斜下面部との間に、前記V字状基体屈曲部の前記側面部の左側部分又は右側部分を底面部とする三角形状凹部が形成されており、該三角形状凹部は、前記前後方向と該前後方向と直交する左右方向で開放されている。又、前記傾斜基体下面部の右側部分と前記傾斜基体上面部の右側部分との間に、及び、前記傾斜基体下面部の左側部分と前記傾斜基体上面部の左側部分との間に、夫々、前記傾斜下面部と前記傾斜上面部とを底面部とする三角形状凹部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第5の態様は、上下方向に長い平板状の基体の上側部分が定着具上部を構成すると共に、該基体の下側部分が定着基体とされており、該定着具上部は、該上側部分が構成するウエブ形成部の両端部分にフランジが設けられることによって横断面H形を呈する如くなされており、該定着基体は、該上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状基体屈曲部とされ、該ジグザグ状基体屈曲部は、少なくとも1個のV字状基体屈曲部を具え、該V字状基体屈曲部は、下向きの傾斜基体下面部を形成する傾斜下面部形成部と、上向きの傾斜基体上面部を形成する傾斜上面部形成部を有し、該傾斜基体上面部と該傾斜基体下面部との間に三角形状基体凹部が形成されている。又、前記ジグザグ状基体屈曲部の、前後方向で見て対向する側面部の夫々に、前記上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部は少なくとも1個のV字状屈曲部を具え、該V字状屈曲部は、前記三角形状基体凹部を前記前後方向と直交する左右方向で左右分割する如く突設されており、又該V字状屈曲部は、下向きの傾斜下面部を形成する傾斜下面部形成突部と、上向きの傾斜上面部を形成する傾斜上面部形成突部を有し、該傾斜上面部と該傾斜下面部との間に、前記V字状基体屈曲部の前記側面部の左側部分又は右側部分を底面部とする三角形状凹部が形成されており、該三角形状凹部は、前記前後方向と該前後方向と直交する左右方向で開放されている。又、前記傾斜基体下面部の右側部分と前記傾斜基体上面部の右側部分との間に、及び、前記傾斜基体下面部の左側部分と前記傾斜基体上面部の左側部分との間に、夫々、前記傾斜下面部と前記傾斜上面部とを底面部とする三角形状凹部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第6の態様は、上下方向に長い平板状の基体の上側部分が定着具上部を構成すると共に、該基体の下側部分が定着基体とされており、該定着具上部は、ウエブ形成部の両端部分にフランジが設けられることによって横断面H形を呈する如くなされており、該フランジの一方が前記基体を構成しており、前記定着基体は、該上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状基体屈曲部とされ、該ジグザグ状基体屈曲部は、少なくとも1個のV字状基体屈曲部を具え、該V字状基体屈曲部は、下向きの傾斜基体下面部を形成する傾斜下面部形成部と、上向きの傾斜基体上面部を形成する傾斜上面部形成部を有し、該傾斜基体上面部と該傾斜基体下面部との間に三角形状基体凹部が形成されている。又、前記ジグザグ状基体屈曲部の、前後方向で見て対向する側面部の夫々に、前記上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部は少なくとも1個のV字状屈曲部を具え、該V字状屈曲部は、前記三角形状基体凹部を前記前後方向と直交する左右方向で左右分割する如く突設されており、又該V字状屈曲部は、下向きの傾斜下面部を形成する傾斜下面部形成突部と、上向きの傾斜上面部を形成する傾斜上面部形成突部を有し、該傾斜上面部と該傾斜下面部との間に、前記V字状基体屈曲部の、前記側面部の左側部分又は右側部分を底面部とする三角形状凹部が形成されており、該三角形状凹部は、前記前後方向と該前後方向と直交する左右方向で開放されている。又、前記傾斜基体下面部の右側部分と前記傾斜基体上面部の右側部分との間に、及び、前記傾斜基体下面部の左側部分と前記傾斜基体上面部の左側部分との間に、夫々、前記傾斜下面部と前記傾斜上面部とを底面部とする三角形状凹部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第7の態様は、前記の第1〜第6の態様に係る定着具において、前記ジグザグ状屈曲突部を、上に位置する前記傾斜下面部形成突部の下端と下に位置する前記傾斜上面部形成突部の上端とが連結されたものとして構成したことを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第8の態様は、前記の第1〜第6の態様に係る定着具において、前記ジグザグ状屈曲突部を、上に位置する前記傾斜下面部形成突部の下端と下に位置する前記傾斜上面部形成突部の上端とが垂直突部を介して連結されたものとして構成したことを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第9の態様は、前記第4、第5又は第6の態様において、前記三角形状基体凹部の基体頂部と前記三角形状凹部の頂部とが、上下位置ずれしたものとして構成したことを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第10の態様は、前記第3、第5、第6の態様において、前記ジグザグ状屈曲突部の上端が前記フランジの下端に連結されたものとして構成したことを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第11の態様は、前記第3、第5、第6の態様において、前記定着具上部の前記フランジ間の溝部に、該溝部底面を基点として外方に向けて下方に傾斜する傾斜面を具えた傾斜突部が設けられたものとして構成したことを特徴とするものである。
本発明に係る定着具の第12の態様は、前記第1〜第11の何れかの態様において、前記ジグザグ状屈曲突部を構成する前記傾斜下面部と前記傾斜上面部の、水平線に対する傾斜角度が45〜65度に設定されていることを特徴とするものである。
本発明に係る杭は、前記第1〜第6の態様に係る定着具を応用して構成されてなる、地中に打込まれる杭であり、前記基体に、斜め上方に突出するつの状抜け止め片が設けられており、その基体に対する取付け部となる根元側部分の外側面部が、外方に向けて先細となる、上下に長い刃状部として構成されていることを特徴とするものである。
該杭において、前記上下に長い刃状部は、前記三角形状凹部の下端側の部分に対応させて設けられており、且つ該刃状部は、その稜線が上下方向に延長する山形状を呈しており、その山形の傾斜側面が該三角形状凹部に向けて配置されたものとして構成するのがよい。
本発明に係る打込み式杭は、前記第7又は第8の態様に係る定着具を応用して構成されてなる、地中に打込まれる杭であり、前記基体の下端部分が、下方に向けて先細化する先細部として形成されると共に、前記ジグザグ状屈曲突部の下端が該先細部の上端に連結されていることを特徴とするものである。
本発明に係るシート状物押え杭は、前記第7又は第8の態様に係る定着具を応用して構成されてなる、地中に打ち込まれてシート状物を地面に押えるシート状物押え杭であり、前記基体の下端部分が、下方に向けて先細化する先細部として形成され、該先細部の下端部分は、下方に向けて鋭に形成されたシ−ト状物突き刺し突部とされていることを特徴とするものである。
本発明に係るシート状物押え杭の他の態様は、前記第7又は第8の態様に係る定着具を応用して構成されてなる、地中に打ち込まれてシート状物を地面に押えるシート状物押え杭であり、前記基体の上端が、板状を呈してシート状物を地面に向けて押える押え板の下面に連結されており、前記押え板の下面に、該押え板が押さえたシート状物に食い込む食い込み突部が設けられていることを特徴とするものである。
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る定着具は、上下方向に長い基体の側面部に、該上下方向で屈曲するジグザグ状屈曲突部が突設され、該ジグザグ状屈曲突部は少なくとも1個のV字状屈曲部を具え、該V字状屈曲部は、傾斜下面部を形成する傾斜下面部形成突部と、傾斜上面部を形成する傾斜上面部形成突部を有し、該傾斜上面部と該傾斜下面部との間に、前記側面部を底面部とする三角形状凹部が形成されており、該三角形状凹部は、少なくとも、前記上下方向と直交する左右方向で開放されている構成を採用している。
従って本発明によるときは、該定着具が土中やコンクリート中等の支持盤中に埋設された状態で、前記三角形状凹部に入り込んだ土やコンクリート等が周辺の土やコンクリート等の内部層と一体化状態になると、該定着具に引抜き荷重が付加されたときは、該三角形状凹部に抱え込まれて保持されている土等を介して前記傾斜上面部が周辺の土等を斜め上方に押圧する力が作用することになるので、定着具の引抜き抵抗力の増大が図られることになる。又、定着具に押し込み荷重が付加されたときは、前記三角形状凹部に抱え込まれて保持されている土等を介して前記傾斜下面部が周辺の土等を斜め下方に押圧するので定着具の支持力の増大が図られることとなる。
(2) 前記ジグザク状屈曲突部を、前記基体の対向する側面部の夫々に突設状態とし、前記三角形状凹部を、前記前後方向と前記左右方向の双方で開放状態となす場合は、該三角形状凹部に土等が入り込み易い。特に、定着具が打込み式杭に応用された場合は、その打込みにつれて三角形状凹部に土等が入り込んだ状態となり易く、杭を打込んだ直後から引抜き抵抗力の増大、支持力の増大を期し得ることとなる。
(3) 上下方向に長い平板状の基体の所要長さ部分を定着基体とすると共に、該定着基体をジグザグ状基体屈曲部とし、該ジグザグ状基体屈曲部が少なくとも1個のV字状基体屈曲部を具えたものとし、該ジグザグ状基体屈曲部の対向する側面部の夫々に、上下方向で屈曲するジグザク状屈曲突部を突設し、該ジグザク状屈曲突部は、少なくとも1個のV字状基体屈曲部を具えたものとして構成する場合は、定着具の軸線回りで見た4つの側面部分の夫々に三角形状凹部を構成できることとなる。これによって、該4つの側面部分の夫々に設けられている三角形状凹部に土等を入り込ませることができ、該土等を、夫々の三角形状凹部に保持された状態となし得る。これによって、前記傾斜上面部による周辺の土等の斜め上方への押圧作用や前記傾斜下面部による周辺の土等の斜め下方への押圧作用が、前後左右の4方向に亘って発揮されることになるので、定着具の引抜き抵抗力の一層の増大を図り得ると共に支持力の一層の増大を図り得ることとなる。
(4) 上下方向に長い平板状の基体の上側部分が構成する定着具上部を、ウエブ形成部の両端部分にフランジを設けることによって横断面H形を呈する如く構成する場合は、本発明に係る定着具が例えば、シート状物を地面に押えて固定するための打込み式のシート状物押え杭等としての打込み式杭として応用された場合は、横断面H形の構成による剛性増大によって、杭を地中に打ち込む際の杭折損の恐れを極力防止できることとなる。
(5) 前記ジグザグ状屈曲突部を、上に位置する前記傾斜下面部形成突部の下端と下に位置する前記傾斜上面部形成突部の上端とが連結されたものとして構成する場合は、前記ジグザグ状屈曲突部が前記基体を補強する補強リブとして機能して定着具の軸線方向の剛性増大が図られることとなる。この場合、前記ジグザグ状屈曲部を構成する前記傾斜下面部形成突部の下端と前記傾斜上面部形成突部の上端との間に垂直突部を介在させる場合は、定着具の軸線方向の剛性を一層増大させることができる。
これらによって、本発明に係る定着具を打込み式杭に応用した場合は、杭上端をハンマ−等で叩いて杭を地中に打ち込む際における杭折損の恐れを極力防止できることとなる。
(6) 本発明に係る定着具が打ち込み式杭に応用された場合において、前記定着具上部を横断面H形に構成し、前記ジグザグ状屈曲突部の上端を該H形を構成する前記フランジの下端に連結したときは、杭上端をハンマ−等で叩いた際の打撃荷重を該ジグザグ状屈曲突部を介して杭下端に向けて良好に伝達できることとなる。
この場合、前記基体の下端部分を、下方に向けて先細化する先細部として形成すると共に、前記ジグザグ状屈曲突部の下端を該先細部の上端に連結する場合は、杭上端をハンマ−等で叩いた際の打撃荷重を杭下端に向けて一層良好に伝達でき、これによって、杭折損の恐れをより効果的に防止でき、地中への杭の打ち込みをより確実且つ円滑に行い得ることとなる。
(7) 前記定着具上部を横断面H形に構成した場合、前記フランジ間の溝部に、傾斜面を具えた傾斜突部を設ける構成を採用する場合は、該傾斜面によって周辺の土を斜め上方に押圧する作用を発揮させることができるため、該傾斜面によっても補助的に、定着具の浮き上がりを防止できる。
(8) 前記傾斜下面部と前記傾斜上面部の、水平線に対する傾斜角度を45〜60度に設定することにより、該定着具の引き抜き抵抗力や支持力を、定着具が埋設される支持盤の軟らかさや硬さに応じて良好に発揮させ得るように設定できる。
(9) 定着具が杭に応用された場合において、前記基体に、斜め上方に突出するつの状抜け止め片を設ける場合は、該杭に浮き上がり作用が加わった場合、該つの状抜け止め片が外方に拡がって土に引っ掛かることにより、該杭の浮き上がりをより効果的に防止できることとなる。
このようにつの状抜け止め片を設ける場合、その基体に対する取付け部となる根元側の部分の外側面部を、外方に向けて先細となる、上下に長い刃状部として構成する場合は、該杭を地中に打ち込む際、該刃状部の切り入り作用によって、打込み時の抵抗を低減できる。
(10)前記刃状部を、前記三角形状凹部の下端側の部分に対応させて設けることとし、該刃状部は、その稜線が上下方向に延長する山形状を呈したものとし、その山形の傾斜側面を、前記三角形状凹部に向けて配置する構成を採用する場合は、前記杭の打込みにつれて前記刃状部で切り分けられた土を該傾斜側面に案内させて前記三角形状凹部に入り込ませ易くなる。
(11)本発明に係る定着具がシート状物押え杭に応用された場合において、前記基体の下端部分を、下方に向けて先細化する先細部として形成し、該先細部の下端部分を、下方に向けて鋭に形成されたシート状物突き刺し突部として構成する場合は、該シート状物突き刺し突部を該シート状物に無理なく突き刺すことができ、その後における前記シート状物押え杭の地面への突き刺しを容易化し得る。
又前記シート状物押え杭を、前記基体の上端が、板状を呈してシート状物を地面に向けて押える押え板の下面に連結されたものとし、該押え板の下面に、該押え板が押えたシート状物に食い込む食い込み突部が設けられたものとして構成する場合は、該食い込み突部をシート状物の表面部に食い込ませることができて該押え板によるシート状物の地面に対する押えをより確実化し得る。
(12)定着具の軸線回りで見た4つの側面部分の夫々に前記三角形状凹部が設けられる場合において、前記三角形状基体凹部の頂部と、前記ジグザグ状屈曲突部の有する三角形状凹部の頂部の、表裏対向側のものを上下位置ずれする如く構成する場合は、本発明に係る定着具が例えば杭として応用された場合、該杭の軸線方向の剛性を増大させて、杭の打込み荷重に対して杭強度を向上させることができる。
図1〜8において本発明に係る定着具1は、上下方向F1に長い基体2の前後方向F2で見て対向する側面部3,3に、該上下方向F1にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部5を具えており、本実施例においては、シ−ト状物6(図7〜8)を地面4に押えて固定するために用いられる打込み式のシ−ト状物押え杭(以下、シ−ト状物押え杭とも言い、単に杭と言うこともある)7に応用されている。
該シ−ト状物押え杭7は、図4に示すように、前記上下方向F1に長い杭本体8としての前記定着具1の上端9が、円板状を呈して該シ−ト状物6を押える押え板10の下面11に連結されており(本実施例においては下面中央部に連結されており)、全体が、例えばABS樹脂やAES樹脂、ポリカーボネート等の合成樹脂を以て一体に形成されている。
該杭本体8は、図1〜3に示すように、前記上下方向F1に長い基体2の前後方向F2で見て対向する側面3,3の夫々に、該上下方向F1にジグザグ状に屈曲する前記ジグザグ状屈曲突部5,5が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部5は、少なくとも1個のV字状屈曲部12を具えている。該V字状屈曲部12は、本実施例においては例えば二等辺三角形状を呈する三角形状凹部13を形成している。本実施例において、前記前後方向F2は前記上下方向F1と直交する方向であり、該前後方向F2と直交する方向を左右方向F3と言う。
より具体的には、図1〜6に示すように、上下に長い略等幅の平板状の基体2の上側部分2aがウエブ形成部16(図2〜3)とされ、該ウエブ形成部16の左右両端部分に左右(前記左右方向F3で見た左右)のフランジ17,17(図2〜3)が、前記前後方向F2で見て逆方向に突設されることによって横断面H形を呈した定着具上部19(図1)が構成されると共に、該基体2の下側部分2bが定着具下部20を構成している。
そして、前記定着具下部20の、前記前後方向F2で見て対向する前記側面部3,3の夫々に、前記上下方向F1にジグザグ状に屈曲する前記ジグザグ状屈曲突部5,5が突設されている。該ジグザグ状屈曲突部5は、本実施例においては上下2個の前記V字状屈曲部12,12(図2〜3)を具えている。該V字状屈曲部12は、下向きの傾斜下面部23を形成する傾斜下面部形成突部25と、上向きの傾斜上面部26を形成する傾斜上面部形成突部27を有し、上に位置する前記傾斜下面部形成突部25の下端29と下に位置する傾斜上面部形成突部27の上端30とが垂直突部31を介して連結されており、該傾斜下面部23と該傾斜上面部26との間に、前記側面部3を底面部32とする前記三角形状凹部13が形成されている。該三角形状凹部13は、図1〜3に示すように前記前後方向F2と前記左右方向F3の双方で開放されている。同図において、前後方向F2で見た開放端を符号33aで示し、左右方向F3で見た開放端を符号33bで示している。
そして本実施例においては、前記基体2の、前後方向で見て対向する側面部3,3の夫々に設けられている前記両ジグザグ状屈曲突部5,5の、前記三角形状凹部13,13の頂部(本実施例においては前記垂直突部31によって構成された垂直面部35を以てなる)36,36の、該基体2の表裏に設けられているもの36a,36bが、図5に示すように、該基体2の左右側に位置している。
又図1〜3、図5に示すように、前記定着具下部20の下端部分37は、下方に向けて先細化した例えば円錐状を呈する先細部39として形成されると共に、該先細部39の下端部分は、下方に向けて鋭に形成された、例えば円錐状を呈するシート状物突き刺し突部40とされている。
又、前記側面部3,3の夫々に設けられている前記ジグザグ状屈曲突部5,5の夫々は、図1〜3に示すように、その上端41が、前記定着具上部19を構成する前記左右のフランジ17,17の一側のもの(17a又は17b)の下端42に連結されており、又、該ジグザグ状屈曲突部5,5の夫々は、その下端43が、前記先細部39の上端45に連結されている。
そして本実施例においては図1〜3、図6に示すように、前記定着具上部19の前記フランジ17,17間の溝部55の下端側の部分56に、外方に向けて下方に傾斜する傾斜面57を具えた上下の傾斜突部59,60が設けられている。両者共、両フランジ17,17の下端部61,61相互を連結する如く設けられており、上の傾斜突部59は、該下の傾斜突部60から上方に稍離して設けられており、該下の傾斜突部60よりも突出量が小さく形成されている。そして該上の傾斜突部59は、両フランジ17,17の下端部61,61相互を連結し、前記溝部55の溝底面62(図6)を基点として外方に向けて斜め下方に傾斜する傾斜面57を具えている。本実施例においては、上下の傾斜突部59,60の傾斜面57,57は、同一の傾斜面上に存している。
又本実施例においては例えば図1〜5に示すように、前記定着具下部20の下端側部位と、前記定着具下部20の上端側部位に、前記基体2の左右方向F3で見て対向する側面64,64の夫々に左右対称に、斜め上方に向けて突出する先細のつの状抜止め片66,66が設けられている。該つの状抜止め片66,66は、本実施例においては図2〜3に拡大して示すように、その根元側部分の左右方向で見た外側面部69が、左右方向で見た外方に向けて先細となる、上下に長い刃状部70として構成されている。該刃状部70は、本実施例においては図1〜3に示すように、前記三角形状凹部13の下端側の部分に対応させて設けられており、且つ該上下に長い刃状部70は、図3に示すように、その稜線70aが上下方向に延長する山形状を呈しており、その山形の側面70bが該三角形状凹部13に向けて配置されている。
かかる構成を有する杭本体8の主要部の寸法を例示すれば、前記杭本体8の長さは186mm程度に、前記杭本体8の左右幅(前記左右のフランジ17,17の、左右方向F3で見た外面間の間隔)は12mm程度に、前記基体2の上側部分2aの厚さは2.5mm程度で下側部分2bの厚さは4mm程度に、その左右幅は12mm程度に、夫々設定されている。又、前記左右のフランジ17,17の厚さは2.5mm程度に、該左右のフランジ17,17間に形成される溝部55の溝幅は7mm程度に、その溝深さは4.8mm程度に、前記傾斜上面部形成突部27と前記傾斜下面部形成突部25の厚さは3mm程度に、前記側面3,3からのその突出量は4mm程度に、前記傾斜上面部26と前記傾斜下面部23の傾斜方向で見た長さは18mm程度に、前記頂部36の上下長さは2.5mm程度に、前記上の傾斜突部59の前記溝底面62からの突出量は2.2mm程度に、前記下の傾斜突部60の前記溝底面62からの突出量は4.8mm程度に、夫々設定されている。又、前記つの状抜止め片66の突出長さは15mm程度に、その外側面部69の幅は2.5mm程度に、その平面視での突出量は7.5mm程度に、夫々設定されている。又、前記傾斜上面部26と前記傾斜下面部23の水平線に対する傾斜角度θ(図5)は共に60度程度に、前記上下の傾斜突部59,60の傾斜面57の前記溝底面62に対する傾斜角度は30度程度に夫々設定されている。
前記押え板10は、直径が50mm程度で最大厚さが8mm程度の円板状に形成されており、その下面71には、該押え板10が押えたシ−ト状物(例えば防草シ−ト)6の表面部72(図7〜8)に食い込む食込み突部73が多数設けられている。本実施例においては該食い込み突部73は突条として構成されているが、点状の突起として構成されてもよい。
かかる構成を有するシ−ト状物押え杭7を用いて、図7、図8に示すように、地面4(図7においては水平面、図8においては法面)を覆う例えば防草シ−トとしてのシ−ト状物6を押えてこれを該地面4に固定するに際しては、前記杭本体8の下端に設けられている前記シート状物突き刺し突部40を該シ−ト状物6に突き刺して後、前記先細部39を地面4に突き刺す。その後、前記押え板10の上面76をハンマ−等で叩くことによって該杭本体8を地中77に打ち込む。この打ち込みは、前記定着具下部20の下端部分が下方に向けて先細化する先細部39として形成されているため、該杭本体8を地中に比較的容易に打ち込むことができる。なお、前記つの状抜止め片66,66は、該杭本体8を地中に打ち込む際の抵抗となるが、前記のように、該つの状抜止め片66,66の根元側部分の外側面部が上下に長い刃状部70,70として構成されているため、該刃状部70,70の切り入り作用によって、該杭本体8を地中77に打ち込む際の抵抗を低減できる。
ところで、該杭本体8を地中に打ち込む際、その初期段階にあっては打ち込み抵抗が小さいが、打ち込み深さが深くなるにつれて、打ち込み抵抗が大きくなる。特に硬い地盤に打ち込む際は、打ち込みにつれて地面からの杭本体8の突出長さが短くなる結果、該突出部分の撓み性が低減して杭の上側部分で極部的に応力集中が生じ易い。かかることから、前記押え板10の上面76を打撃して該杭本体8を打ち込む際に、該杭本体8の軸線方向に対して稍横ずれした状態で前記押え板10が打撃されたような場合は、前記応力集中によって該杭本体8がその上側部分で折損する恐れがある。
本実施例に係るシ−ト状物押え杭7は、上下に長い平板状の前記基体2を具えるため、前記杭本体8の強度を、先ず該基体2で確保できる。又、折損し易い前記定着具上部19が、横断面H形に構成されて剛性が増大されている。加えて、前記対向する側面部3,3の夫々に設けられている前記ジグザグ状屈曲突部5,5が前記基体2を補強する補強リブとして機能している。更に本実施例においては、前記ジグザグ状屈曲突部5を構成する前記V字状屈曲部12が、前記傾斜下面部形成突部25と前記傾斜上面部形成突部27の間に前記垂直突部31が介在されていて、杭本体8の軸線方向での剛性が一層増大されている。更に、上下方向に連続する前記ジグザグ状屈曲突部5,5の上端41を、前記定着具上部19を構成する前記フランジ17の下端42に連結させると共に、該ジグザグ状屈曲突部5の下端43を前記先細部39の上端45に連結させて、前記押え板10の上面76をハンマ−等で叩いた際の打撃荷重を該杭本体8の下端に向けて良好に伝達できるようになされている。
かかることから、前記押え板10の上面76をハンマ−等で叩いて前記杭本体8を地中に打ち込む際、該杭本体8の折損の恐れを極力防止できて該杭本体8の地中への打ち込みを確実且つ円滑に行うことができるのである。
図7〜8は、前記杭本体8が地中77に打ち込まれた状態を示しており、前記押え板10の下面71に設けられている前記食い込み突部73が前記シ−ト状物6の表面部72に食い込んだ状態で該押え板10の下面71が該シ−ト状物6の表面部72に当接している。これによって、該押え板10によるシート状物6の地面4に対する押えをより確実化し得る。
そして、かかる構成のシ−ト状物押え杭7を地中に打ち込む際、前記三角形状凹部13が、前記前後方向F2と前記左右方向F3で開放されているため、前記杭本体8の打ち込みにつれて、土圧の作用により、該杭本体8の対向側の夫々に設けられている前記三角形状凹部13に土が順次入り込み易く、該入り込んだ土79が該三角形状凹部13に抱え込まれた状態となり、夫々の三角形状凹部13に保持される。又前記杭本体8の打ち込みにつれて、前記フランジ17,17間の溝部55にも土79が入り込んだ状態となる。そして実施例においては図3に示すように、前記上下に長い刃状部70が前記三角形状凹部13の下端側の部分に対応させて設けられると共に該刃状部70は、その山形の傾斜側面70bが該三角形状凹部13に向けて配置されているため、該杭本体8の打ち込みにつれて該刃状部70で切り分けられた土が該傾斜側面70bに案内されて該三角形状凹部13に入り込み易い。
然して、該三角形状凹部13に入り込んで該三角形状凹部13に保持されている土79が周辺の土79aと一体化状態になると、前記シ−ト状物押え杭7に引抜き作用が加わった場合は、図7、図8に矢印で示すように、該保持されている土79を介して、前記上向きの傾斜上面部26が周辺の土79aを斜め上方に押圧して該周辺の土79aを斜め上方に持ち上げようとする力が作用することとなる。その結果、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力が増大して該杭7の浮き上がりが効果的に防止されることとなる。特に本実施例においては、前記杭本体8に前記つの状抜止め片66,66、66,66が設けられているため、前記シ−ト状物押え杭7に浮き上がり作用が加わった場合、各つの状抜け止め片66が外方に拡がって土に引っ掛かることにより、該杭7の浮き上がりがより効果的に抑制される。又、前記フランジ17,17間の溝部55で設けられている前記上下の各傾斜面57も、図9に矢印で示すように、その周辺の土79aを斜め上方に押圧する作用を発揮するため、左右に位置する上下の傾斜面57,57、57,57によっても、補助的に、シ−ト状物押え杭7の浮き上がりを防止できる。かかることから本発明によるときは、柔らかい地盤であっても、前記杭本体8を地中に打ち込んだ直後から、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力の増大が図られることとなる。
図10(A)は、本発明に係る定着具1の他の実施例を示すものであり、実施例1における場合と同様に、シ−ト状物6を地面4に押えて固定するために用いられる、打ち込み式のシ−ト状物押え杭7に応用されている。
該シート状物押え杭7は、上下に長い杭本体8としての定着具1の上端9(図13〜14)が、円板状を呈して該シ−ト状物6を押える押え板10の下面に連結されており(実施例においては下面中央部に連結されており)、該杭本体8は、その軸線回りで見た4つの側面部分の夫々に三角形状凹部13が設けられており、全体が、例えばABS樹脂やAES樹脂、ポリカーボネート等の合成樹脂を以て一体に形成されている。
該杭本体8は、図10に示すように、上下に長い基体2の、前後方向F2で見て対向する側面部3,3の夫々に、上下方向F1にジグザグ状に屈曲する前記ジグザグ状屈曲突部5,5が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部5は、少なくとも1個のV字状屈曲部12を具え、該V字状屈曲部12は三角形状凹部13を形成している。なお本実施例においては、前記前後方向F2と直交する方向を左右方向F3と言う。
より具体的には、図10(A)に示すように、上下に長い略等幅の平板状の基体2の上側部分2aが定着具上部81を構成すると共に、該基体2の下側部分2bが定着基体82を構成している。該定着具上部81は、該上側部分2aがウエブ形成部16とされ、該ウエブ形成部16の、前記左右方向F3で見た左右両端部分にフランジ17,17が、前記前後方向F2で見て逆方向に突設されることによって、横断面H形を呈する如くなされている。
そして前記定着基体82は、図10(B)に示すように、上下方向にジグザグ状に屈曲する平板状のジグザグ状基体屈曲部83とされ、該ジグザグ状基体屈曲部83は、本実施例においては上下4個のV字状基体屈曲部85,85,85を具えている。該V字状基体屈曲部85は、下向きの傾斜基体下面部86を形成する傾斜下面部形成部87と、上向きの傾斜基体上面部89を形成する傾斜上面部形成部90を有し、上に位置する該傾斜下面部形成部87の下端91と下に位置する該傾斜上面部形成部90の上端92とが連結されており、該傾斜基体下面部86と該傾斜基体上面部89との間に、例えば二等辺三角形状を呈する三角形状基体凹部93が形成されている。該三角形状基体凹部93は、図10(B)に示すように前記前後方向F2と前記左右方向F3で開放されている。同図において、前後方向F2で見た開放端を符号34aで示し、左右方向F3で見た開放端を符号34bで示している。
そして、前記定着基体82の下端部分95は、下方に向けて先細化した例えば円錐状を呈する先細部39として形成されると共に、該先細部39の下端部分は、下方に向けて鋭に形成された、例えば円錐状を呈するシート状物突き刺し突部40とされている。
又前記定着基体82の、前記前後方向F2で見て対向する、ジグザグ状に屈曲する前記側面部(前記傾斜基体下面部86と前記傾斜基体上面部89とが連続して設けられている面部)3,3の夫々に、図10(A)に示すように、上下方向にジグザグ状に屈曲する前記ジグザグ状屈曲突部5,5を具えている。該ジグザク状屈曲突部5は、少なくとも1個のV字状屈曲部12を具える。該V字状屈曲部12は、前記三角形状基体凹部93を前記左右方向F3で左右分割する如くなされている。
そして該V字状屈曲部12は、図11に示すように、下向きの傾斜下面部23を形成する傾斜下面部形成部25と、上向きの傾斜上面部26を形成する傾斜上面部形成部27を有し、上に位置する前記傾斜下面部形成部25の下端29と下に位置する傾斜上面部形成部27の上端30とは連結されており、該傾斜下面部23と該傾斜上面部26との間に、前記側面部3を底面部32とする前記三角形状凹部13が形成されている。
又、図12に示すように、前記傾斜基体下面部86の右側部分86a(以下、傾斜下面部23ともいう)と前記傾斜基体上面部89の右側部分89a(以下、傾斜上面部26ともいう)との間に、及び、前記傾斜基体下面部86の左側部分86b(以下、傾斜下面部23ともいう)と前記傾斜基本上面部89の左側部分89b(以下、傾斜上面部26ともいう)との間に、夫々、前記ジグザク状屈曲突部5が構成する前記傾斜下面部23と前記傾斜上面部26とを底面部32とする三角形状凹部13が形成されている。該三角形状凹部13は、図12に示すように前記前後方向F2と前記左右方向F3で開放されている。同図において、前後方向F2で見た開放端を符号33aで示し、左右方向F3で見た開放端を符号33bで示している。
図10において、前記定着具上部81と、前記定着基体82の内、前記ジクザグ状基体屈曲部83とされてなる部分、即ち、前記先細部39よりも上側の部分の寸法を例示すれば、本実施例においては、前記前後方向F2で見た幅寸法と前記左右方向F3で見た幅寸法が略等しく設定されており、本実施例においては15mm程度に設定されている。
前記ジグザグ状基体屈曲部83の、前記三角形状基体凹部93の頂部97と、前記ジグザグ状屈曲突部5の有する前記三角形状凹部13の頂部36は同高さに設定してもよいのであるが、本実施例においては図10(A)、図13〜14に示すように、上下に位置ずれさせてある。例えば図14に基づいて説明すれば、該三角形状凹部13の頂部36の位置を、該三角形状基体凹部93を構成する前記傾斜基体上面部89の傾斜方向で見た略中央部位と、前記傾斜基体下面部86の傾斜方向で見た略中央部位に設定している。前記シート状物押え杭7を硬い土に打ち込む場合は、打ち込み時の抵抗が増大して、前記杭本体8が折損する恐れがあるが、両頂部97,36の上下位置をこのようにずらすことにより、該杭本体8の剛性を増大させて、杭の打ち込み荷重に対して杭強度を向上させることができる。
そして図10(A)に示すように、前記ジグザグ状屈曲突部5の上端41が、前記フランジ17の下端42に連結されると共に、前記ジグザグ状屈曲突部5の下端43が前記先細部39の上端45に連結されている。そして本実施例においても実施例1における場合と同様にして、前記定着具上部81の前記フランジ17,17間の溝部55の下端側の部分に、外方に向けて下方に傾斜する傾斜面57を具えた上下の傾斜突部59,60を設けることができる。なお図10(A)においては、該上下の傾斜突部59,60が設けられていない。
かかる構成を有するシ−ト状物押え杭7を用いて、地面4を覆う例えば防草シ−トとしてのシ−ト状物6を押えてこれを地面4に固定する要領は、実施例1で説明したところと同様であって、前記杭本体8の下端に設けられている前記シート状物突き刺し突部40を該シ−ト状物6に突き刺して後、前記先細部39を地面に突き刺す。その後、図13〜14に示すように、前記押え板10の上面76をハンマ−等で叩くことによって該杭本体8を地中に打ち込む。この打ち込みは、前記定着具基体82の下端部分が先細部39として形成されているため、該定着具基体82を地中に比較的容易に打ち込むことができる。
そして本実施例においては前記のように、折損しやすい前記定着具上部81が横断面H形に構成されて剛性が増大されている。加えて、該定着具基体2の前記前後対向する側面部3,3の夫々に設けられている前記ジグザグ状屈曲突部5,5が前記定着基体82を補強する補強リブとして機能している。更に、上下方向に連続する前記ジグザグ状屈曲突部5の上端41を、前記フランジ17の下端42に連結させると共に、該ジグザグ状屈曲突部5の下端43を前記先細部39の上端45に連結させて、前記押え板10の上面76をハンマ−等で叩いた際の打撃荷重を前記杭本体8の下端に向けて良好に伝達できるようになされている。
かかることから、前記押え板10の上面76をハンマ−等で叩いて前記杭本体8を地中に打ち込む際、該杭本体8の折損の恐れを極力防止できて該杭本体8の地中77への打ち込みを確実且つ円滑に行うことができるのである。図13〜14は、前記杭本体8が地中77に押し込まれた状態を示しており、前記押え板10の下面71に設けられている前記食い込み突部73が前記シ−ト状物6の表面部72に食い込んだ状態で該押え板10の下面71が該シ−ト状物6の表面部72に当接している。
そして、かかる構成を有するシ−ト状物押え杭7を地中に打ち込む際、前記三角形状凹部13が、前記前後方向F2と前記左右方向F3で開放されているため、前記杭本体8の打ち込みにつれて、土圧の作用により、該杭本体8の前記4つの側面部分の夫々に設けられている前記三角形状凹部13に土が順次入り込み易く、該入り込んだ土が該三角形状凹部13に抱え込まれた状態となり、土が、夫々の三角形状凹部13に確実に保持される。
従って、該入り込んだ土79が周辺の土79aと一体化状態になると、前記シ−ト状物押え杭7に引抜き作用が加わった場合は、図13〜14に矢印で示すように、該三角形状凹部13に保持されている前記土79を介して、前記上向きの傾斜上面部26が、周辺の土79aを斜め上方に押圧して該周辺の土79aを斜め上方に持ち上げようとする力が作用することとなる。そして、かかる土の持ち上げ作用は、4方向の夫々について発揮されることとなる。その結果、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力が増大して該シ−ト状物押え杭7の浮き上がりが効果的に防止されることとなる。かかることから、柔らかい地盤であっても、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力の一層の増大が図られることとなる。
図15は、前記三角形状凹部13が杭本体8の軸線回りで見た4つの側面部分の夫々に設けられてなるシート状物押え杭7の他の実施例を示すものであり、図10(A)に示すシート状物押え杭7と相違するのは前記基体2の構成にある。
本実施例においては、上下に長い平板状の基体2の上側部分2aが定着具上部81を構成すると共に、該基体2の下側部分2bが定着基体82を構成しており、該定着具上部81が、ウエブ形成部16の、前記左右方向F3で見た左右両端部分に、前記前後方向F2で見て逆方向にフランジ17,17が突設されることによって横断面H形を呈する如くなされている点においては、図10に示すシート状物押え杭7と共通している。
本発明に係るシート状物押え杭7が図10に示すものと相違するのは、図15に示すように、前後方向F2で見て逆方向に突出する前記フランジ17,17が構成する左右の板状部94,94の一方が前記基体2を構成している点であり、前記定着基体82は、上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状基体屈曲部83とされ、該ジグザグ状基体屈曲部83は、少なくとも1個のV字状基体屈曲部85を具える。該V字状基体屈曲部85は、下向きの傾斜基体下面部86を形成する傾斜下面部形成部87と、上向きの傾斜基体上面部89を形成する傾斜上面部形成部90を有し、該傾斜下面部86と該傾斜上面部89との間に三角形状基体凹部93が形成されている。又、前記ジグザグ状基体屈曲部83の前後対向する側面部3,3の夫々に、上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部5が突設されており、該ジグザグ状屈曲突部5は、少なくとも1個のV字状屈曲部12を具えている。そして図10(A)に示す場合と同様にして、前記杭本体8の軸線回りで見た4つの側面部分の夫々に三角形状凹部13が設けられている。図15においては、図10(A)におけると同様の部分に同一の符号が付されている。
かかる構成を有するシ−ト状物押え杭7を地中に打ち込む際、前記杭本体8の打ち込みにつれて、土圧の作用によって該杭本体8の4つの側面部分の夫々に設けられている前記三角形状凹部13に土が順次入り込み易く、該入り込んだ土が、前記と同様にして該三角形状凹部13に抱え込まれた状態となり、夫々の三角形状凹部13に保持される。
従って、該入り込んだ土が周辺の土と一体化状態になると、前記シ−ト状物押え杭7に引抜き作用が加わった場合は、該三角形状凹部13に保持されている土を介して、例えば図13〜14に矢印で示すと同様にして、前記上向きの傾斜上面部26が、周辺の土79aを斜め上方に押圧して該周辺の土79aを斜め上方に持ち上げようとする力が作用することとなる。そして、かかる土の持ち上げ作用は、前記4つの側面部分の夫々で発揮されることとなる。その結果、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力が増大して該シ−ト状物押え杭7の浮き上がりが効果的に防止されることとなる。かかることから、柔らかい地盤であっても、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力の一層の増大が図られることとなる。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1) 図16は、本発明に係るシ−ト状物押え杭7のその他の実施例を示すものであり、実施例1で説明したシ−ト状物押え杭7において、上下に長い杭本体8としての前記定着具1の定着具上部19が、図16(B)に示すように横断面十字状に構成されている。本実施例においては、前記平板状の基体2の上側部分2aで、前後方向F2で見て対向する側面部3,3の長手中心線に沿って上下方向F1に延長する突条部101,101が突設されている。そして前記ジグザグ状屈曲突部5の上端41が、該前後対向する側面部3,3で突設されている対応の突条部101の下端102に連結されている。かかる構成を有するシ−ト状物押え杭7にあっても、その三角形状凹部13等が、実施例1で説明したところと同様の作用効果を奏する。
(2) 図17は、本発明に係るシ−ト状物押え杭7のその他の実施例を示すものであり、実施例1に係るシ−ト状物押え杭7において、前記定着具上部19が、前記フランジ17,17が設けられることなく平板状の基体2のままとされると共に、前記ジグザグ状屈曲突部5が該基体2の上端に向けて延長されており、前後方向で見て対向する側面部3,3の夫々に設けられている該ジグザグ状屈曲突部5,5の上端が前記押え板10の下面11に連結されている。なお、図17に示すシ−ト状物押え杭7にあっては、引抜き抵抗力の増大に寄与する前記三角形状凹部13が多数個設けられている。
(3) 図18は、本発明に係るシ−ト状物押え杭7のその他の実施例を示すものであり、前記杭本体8を構成する、上下に長い基体2の前記先細部39の上端45から前記杭本体8の上端との間が、ウエブ形成部16の左右両端にフランジ17,17が設けられて横断面H形を呈している。そして、該フランジ17,17の外面からなる、上下に長い基体2の表裏対向する側面部3,3に、実施例1で説明したところと略同様の構成で、上下方向にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部5,5が突設されている。該ジグザグ状屈曲突部5は図18においては、該基体2の下側部分に設けられており、夫々のジグザグ状屈曲突部5,5は3個のV字状屈曲部12,12を有している。該V字状屈曲部12が形成する三角形状凹部13は、実施例1で説明したところと同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏して、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力の増大に寄与する。
(4) 図19〜21は、本発明に係る定着具1を応用して構成されたシート状物押え杭7のその他の実施例を説明するものである。図19に示すシート状物押え杭7は、前記基体2が、横断面正方形状を呈する角柱状に構成されており、前記杭本体8の軸線回りで見た4つの側面部3,3,3,3の夫々に、上下方向にジグザク状に屈曲するジグザグ状屈曲突部5が突設されている。図20は、前記基体2を、横断面円形を呈する円柱状に構成した場合を示すものであり、周方向に例えば120度の角度ピッチで3本のジグザグ状屈曲突部5,5,5が突設されている。又図21は、前記基体2を、横断面楕円形を呈する楕円形柱状に構成した場合を示すものであり、例えば対向する側面部3,3にジグザグ状屈曲突部5が突設されている。
かかる構成を有するジグザグ状屈曲突部5が具える前記V字状屈曲部12は、実施例1で説明したところと同様の作用効果を奏し、シート状物押え杭7の引抜き抵抗力の増大に寄与する。
(5) 図22は、シ−ト状物押え杭7のその他の実施例を示すものであり、前記先細部39よりも上側の部分の略全体が、上下方向F1に長く形成され且つ間隔を隔てて対向する平板状の基体2,2間に上下方向F1にジグザグ状に屈曲するジグザグ状屈曲突部5が介在されてなる。該ジグザグ状屈曲突部5は、該両基体2,2の側面部3,3に突設された構成を有している。該ジグザグ状屈曲突部5は、本実施例においては基体2,2の略全長に亘って設けられているが、該基体2,2の下側部分2bにだけ設けられる等、部分的に設けられてもよい。
該ジグザグ状屈曲突部5の具える前記V字状屈曲部12は、下向きの傾斜下面部23を形成する傾斜下面部形成突部25と、上向きの傾斜上面部26を形成する傾斜上面部形成突部27を有し、該傾斜上面部26と該傾斜下面部23との間に、前記側面部3,3を底面部32とする三角形状凹部13が形成されている。そして該三角形状凹部13は、前記ジグザグ状屈曲突部5の幅方向としての前後方向F2と直交する左右方向F3で開放されている。
かかる構成を有する杭本体8は、前記平板状の基体2,2間に三角形状凹部13が形成されているため、該杭本体8を図23に示すように地中77に打ち込んだ際、前記三角形状凹部13が前記前後方向F2には開放されていないため、実施例1や実施例2で示したシ−ト状物押え杭7とは異なり、杭本体8の打ち込みにつれて前記三角形状凹部13に土79が順次入り込むこということは期待しにくい。そのため、引抜き抵抗力の増大に即効性が乏しく、ある程度の日数を要することは否めないが、杭本体8を打ち込んだ後における降雨等の影響によって、そのうちに該三角形状凹部13に土79が入り込んだ状態となり得る。このように入り込んだ土79は該三角形状凹部13に保持された状態となる。
然して、このように入り込んだ土79が周辺の土79aと一体化状態になると、該シ−ト状物押え杭7に引抜き作用が加わった場合は、図23に矢印で示すように、該三角形状凹部13に保持されている土79を介して、前記上向きの傾斜上面部26が、周辺の土79aを斜め上方に押圧して該周辺の土79aを斜め上方に持ち上げようとする力が作用することとなる。その結果、シ−ト状物押え杭7の引抜き抵抗力が増大して該シ−ト状物押え杭7の浮き上がりが効果的に防止されることとなる。
(6) 前記杭本体8の下端部分37を先細部39として構成する場合、該先細部39は前記した円錐状の先細部39として構成することの他、例えば図24に示すような四角錐状を呈する先細部39等、各種の先細形態に構成できる。なお該杭本体8が、かかる先細部39を有さない場合もある。
(7) 実施例1、実施例2に係るシ−ト状物押え杭7において、上下に長い基体2の前記前後方向で見た前後対向する側面部3,3の夫々に設けられているジグザグ状屈曲突部5,5が構成する前記三角形状凹部13の前記頂部36の前後対向側のもの36a,36bが、図25に示すように上下位置ずれする如く構成されることもある。
(8) 図26は、実施例2に係るシート状物押え杭7において、前記V字状基体屈曲部83を、上に位置にする傾斜下面部形成部87の下端91と、下に位置する傾斜上面部形成部90の上端92とを、垂直突部105を介して連結した場合を示すものである。このように垂直突部105を介在させることにより、杭の打ち込み荷重に対する強度を向上させることができる。この場合、前記ジグザグ状屈曲突部5にも、図2に示すと同様の垂直突部を設けることができる。
(9) 図27は、前記ジグザグ状屈曲突部5を構成するに際し、上に位置する前記傾斜下面部形成突部25の下端29と、下に位置する前記傾斜上面部形成突部27の上端30とを直接連結した場合を示すものである。
(10)三角形状凹部13に入り込んだ土が該三角形状凹部13に抱え込まれて該三角形状凹部13に保持されるのであれば、例えば図28(A)(B)に示すように、上に位置する傾斜下面部形成突部25の下端29と、下に位置する前記傾斜上面部形成突部27の上端30との間に若干の間隙104を形成してもよい。
(11)前記杭本体8を構成する前記基体2は、その上端からその下端に向けて細くなるように構成されることもある。
(12)前記ジグザグ状屈曲突部5を構成する前記下向きの傾斜下面部23、上向きの傾斜上面部26の、水平線に対する傾斜角度は、前記三角形状凹部13に抱え込まれて保持されている土79を介して、該上向きの傾斜上面部26周辺の土79aを斜め上方に押圧して該周辺の土79aを斜め上方に持ち上げようとする力を作用させることができるように設定される。例えば図5において、この傾斜角度θは、好ましくは45〜65度の範囲で設定できる。この範囲は、土質等に応じて所望の引抜き抵抗力や所要の支持力が得られるように所要に設定されるものである。
(13)実施例2に係るシート状物押え杭7においても例えば図29に示すように、前記つの状抜け止め片66を同様に設けることができ、又図3に示すと同様の構成で、溝部55に、前記上下の傾斜突部59,60を設けることができる。なお実施例1、実施例2に係るシート状物押え杭7,7において、前記V字状屈曲部12によるシート状物押え杭7の引抜き抵抗力の増大が所要に発揮されるならば、前記つの状抜け止め片66や前記上下の傾斜突部59,60を省略してもよい。
(14)前記つの状抜止め片66は、該基体2の適当部位に設けることができる。例えば実施例1で示したように、前記基体2につの状抜止め片66を設ける場合、これを左右対称に設ける必要はなく、上下方向に千鳥配置で設けることもできる。
(15)前記V字状屈曲部12を構成する前記下向きの傾斜下面部23と前記上向きの傾斜上面部26は、前記各実施例においては直線状の傾斜面として構成されているが、該V字状屈曲部12によるシート状物押え杭7の引抜き抵抗力の増大を図り得る限り、例えば図30(A)(B)に示すように湾曲面として構成されることもある。このことは、V字状基体屈曲部85を構成する前記下向きの傾斜下面部86と前記上向きの傾斜上面部89についても同様である。
(16)本発明において前記ジグザグ状屈曲突部5は、1個のV字状屈曲部12を具えるものとして構成されることもある。
(17)実施例1や実施例2で示した、横断面H形を呈した前記定着具上部19の前記フランジ17,17間の溝部55に、前記した上下の傾斜突部59,60を設ける構成に代えて、例えば図31に示すように、上下に長い一つの傾斜面57を具える一つの傾斜突部106を設けてもよい。
(18)実施例2に係るシート状物押え杭7において、杭に付加され打撃荷重に対して所要の杭強度を確保し得る限り、前記三角形状基体凹部93の前記基体頂部97と前記三角形状凹部13の頂部36の高さを合致させてもよい。
(19)本発明に係る定着具1が、引抜き抵抗力の増大を期待して用いられる場合、該定着具1は、樹脂シートや繊維補強の樹脂シート、不織布、ネット材等からなる各種のシート状物を地面等に押えて固定する際に使用できる他、テント等の屋外設置物、その他の各種設置物の浮き上がりを防止するために使用できる。図32はその一例を示すもので、地中に打ち込まれる杭として構成されており、実施例1に係るシート状物押え杭7における前記押え板10が省略され、前記杭本体8の上端部分に、紐状物を結着するための孔部107が設けられている。
引抜き抵抗力の増大を期待して用いられる定着具1は、図7に示すように地面4に垂直状態で打ち込まれたり埋設されて使用されることの他、図8に示すように法面109(地面4)に斜め方向に打ち込まれたり埋設されて使用されることがあり、更には、垂直な壁面や天井面に対して打ち込まれたり埋設されて使用されることもある。
又、かかる定着具1は、地中に打ち込まれる杭として構成されることの他、コンクリート等の支持盤に打ち込まれたり埋設されるアンカー具として構成されることもある。図33(A)は、端部分がボルト軸110として構成されたアンカー具111を示している。図33(B)においては、前記ジグザグ状基体屈曲部83が設けられている部分がコンクリート112に埋設されており、コンクリート面113から突出する該ボルト軸110と該ボルト軸110に螺合するナット115を用いて、例えば、建築物等の支柱116のベースプレート117が該コンクリート面113に固定されている。
(20)本発明に係る定着具1は、支持力の増大を期待して支持杭等として用いられることもある。図34はその一例を示すものであり、同図には、前記基体2の上端部分118が地面4から稍突出しており、該突出部の上端119に押し込み荷重(図34においては下方向への荷重)が付加されている状態が示されている。この状態で、前記三角形状凹部13に入り込んだ土79が該三角形状凹部13に密実な圧縮状態で抱え込まれている。そして、該三角形状凹部13に保持されている土79を介して、前記下向きの傾斜上面部23が、周辺の土79aを斜め下方に押圧している。これによって、該定着具1の支持力の増大が図られている。
特に、ジグザグ状屈曲突部5が基体2の上端側にまで設けられている図35に示す定着具1にあっては、下向きの傾斜下面部23が、基体2の下側部分2bだけでなく上側部分2aにも設けられた状態にあるため、一層の支持力の増大を期し得る。
(21)本発明に係る定着具1は、例えば全体をコンクリート製としたり鉄製とすることによって、建築用や土木用に用い得る大型の長い杭として応用することもできる。本発明に係る定着具1が比較的長いものとして構成される場合は、前記V字状屈曲部12が、上下方向に間隔を置いて複数段に設けられることもある。
(22)本発明に係る定着具1を杭として構成する場合、該杭を地面に打ち込むことの他、地面に設けた掘削孔に該杭を挿入して後に土砂を埋め戻すことによって、前記ジグザグ状突部5が設けられている部分を地中に埋設状態とすることもできる。
(23)前記V字状屈曲部12を構成する下向きの傾斜下面部23の傾斜方向の長さと、上向きの傾斜上面部26の傾斜方向の長さが異なる場合もある。