JP5925587B2 - 循環流動層ボイラの運転診断方法及び運転診断装置 - Google Patents
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Description
データ入力工程S1では、ボイラ2に設定されたセンサ群14からのセンサデータと、ボイラ2の設定項目に入力された入力値とを運転診断装置1に入力する。このデータ入力工程S1は、主としてデータ入力部23により実行される。このデータ入力工程S1で収集されるデータは、1日分、1週間分、又は、1か月分といった長い期間のデータである。データは、ボイラ2に配置されたセンサ群14及び設定項目から直接にデータ入力部23に入力されてもよいし、センサデータと設定項目の入力値が図示しない記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み込むこととしてもよい。
モデル読込工程S2では、モデル記録部24に記録されたベイジアンネットワークのモデルを推論データ計算部26に読み込む。このモデル読込工程S2は、主としてモデル記録部24により実行される。このモデル読込工程S2は、ベイジアンネットワークのモデルに含まれる確率表を更新するか否かを判定する更新判定工程S2aと、確率表を更新する更新工程S2bと、モデルを読み込む読込工程S2cと、を有している。
モデルを更新する更新工程S2bは、主にモデル更新部25により実行される。まず、モデル更新部25は、データ入力部23に入力された複数のセンサデータと、モデル記録部24に記録されたモデルが有する確率表のデータとを読み込む。ここで、モデルの更新に用いられるセンサデータは、ボイラ2が理想的な状態で運転された場合のデータであることを要する。次に、各センサデータの値をいくつかの状態に分類するために所定の閾値を用いて離散化する。続いて、分類された各々の状態の存在する確率を算出する。つまり、データ入力部23に入力されたセンサデータを用いて、新規な確率表のデータを算出する。そして、モデル記録部24に記録されていた確率表の確率データに、算出した確率表の確率データを取り込むことにより、確率データを更新する。このように、ベイズ統計に基づくモデルでは、過去のモデルを容易に取り込み、新しいモデルが得られる。更新工程S2bを実行した後は、読込工程S2cに移行する。
読込工程S2cでは、モデル記録部24に記録されたベイジアンネットワークのモデルのデータが推論データ計算部26に読み込まれる。読込工程S2cは、主としてモデル記録部24と、推論データ計算部26により行われる。
目標値入力工程S3では、推論データ計算工程S4の計算に用いる指標項目の目標値を読み込む。指標項目の目標値は、ボイラ2を高い効率で運転させる、或いは、環境負荷物質の排出量を低減するといった運転指標に基づいている。これら目標値は、例えば、ボイラ効率が「高」であり、排ガスのCO濃度が「低」というように、離散化された状態として入力装置21を用いて入力される。
推論データ計算工程S4では、目標値入力工程S3において入力された指標項目の目標値と、ベイジアンネットワークのモデルに基づいて、複数の設定項目が指標項目に及ぼす影響の度合いと、指標項目の目標値を満たすための設定項目の目標値と、を推定する推定工程である。すなわち、指標項目の目標値をベイジアンネットワークのモデルに入力し、その指標項目に対応する設定項目ごとの確率値を算出する。推論データ計算工程S4は、主として推論データ計算部26により実行される。
また、事象Bが発生したという条件の下で事象Aが発生する確率のことを、BのもとでAが発生する条件付き確率といい、次式(2)で示される。
ベイズの定理は、上記式(1)と式(2)とを用いて次式(3)で示される。
式(3)に示されるベイズの定理より、Aが発生したときにBが発生する確率(P(B|A))から、Bが発生したときにAが発生する確率(P(A|B))を算出できる。一般には、Aを原因とし、Bを結果として扱う。すなわち、原因Aが発生したときに、結果Bが発生する確率から、結果Bが発生したときに原因Aが発生する確率を算出する。
ここで、分子P(B)は、下記式(5)で示される。
また、分母P(B|A1)は、下記式(6)で示される。
上記式(4),(5),(6)により、排ガス濃度が高いときに、給水流量が高い確率値X1が得られる。
ここで、分子P(B)は上記式(5)により算出される。また、分母P(B|A2)は、次式(8)で示される。
上記式(5),(7),(8)により、排ガス濃度が高いときに、給水温度が高い確率値X2が得られる。
図5に示されるように、推論データ処理工程S5は、推論データ計算部26において算出されたデータに対して、レポートの作成に必要なデータ処理を行う。この推論データ処理工程S5は、順位付け工程S5aと、比較工程S5bとを有している。順位付け工程S5aでは、設定項目が指標項目に及ぼす影響の度合い(確率値)に基づいて、複数の設定項目を順位付けする。順位付け工程S5aは、主として推論データ処理部27により実行される。例えば、理想的なボイラ2の運転状態の目標値として、ボイラ効率を高く設定し、環境負荷物質の排出濃度を低く設定する。これら目標値とベイジアンネットワークのモデルからは、それぞれの指標項目に対応する設定項目と、その設定項目が取り得る状態が確率値により得られる。この確率値が最も大きい設定項目を第1位とし、確率値の大きさを影響度の大きさとして順位を決定する。指標項目に対する設定項目の確率値が大きい順に順位付けし、確率が大きい設定項目から順次改善していけば、ボイラ2の運転状態は理想的な状態に近づく。また、比較工程S5bでは、ボイラ2の設定項目に入力された入力値の状態と、推論データ計算工程S4において算出された指標項目の目標値を満足する設定項目の状態とを比較する。この比較により、ボイラ2の設定項目に入力された入力値の状態が、推論データ計算工程S4において算出された指標項目の目標値を満足する設定項目の状態と適合しているかを判定する。なお、推論データ処理工程S5では、センサデータごとに、評価対象期間中の統計量を算出する。統計量には、平均値、最大値、最小値等がある。
出力工程S6では、推論データ処理工程S5により付与された順位の高い設定項目の目標値と、順位の高い設定項目の入力値とを用いて、指標項目を目標値に制御するための情報を出力する。この出力工程S6は、主としてレポート作成部28により実行される。出力工程S6において作成されたデータは、出力装置22であるディスプレイ又はプリンタに出力される。レポートの一例を図7に示す。図7に示すように、レポート70は、ボイラ2の運転状態の指標項目を表示する表71と、運転状態を改善するために必要な情報を表示する表72を有している。
Claims (4)
- 複数の設定項目のそれぞれに所定の入力値を入力して運転する循環流動層ボイラの運転診断方法であって、
前記循環流動層ボイラの運転状態を示す複数の指標項目の目標値に基づいて、それぞれの前記指標項目に関連する複数の前記設定項目が前記指標項目に及ぼす影響の度合いと、前記指標項目の目標値を満たすための前記設定項目の目標値と、を推定する推定工程と、
前記設定項目が前記指標項目に及ぼす影響の度合いに基づいて、複数の前記設定項目を順位付けする順位付け工程と、
前記順位付け工程により付与された順位の高い前記設定項目の前記目標値と、順位の高い前記設定項目の前記入力値とを用いて、前記指標項目を前記目標値に制御するための情報を出力する出力工程と、
を有し、
前記推定工程では、前記設定項目のそれぞれを親ノードとし前記指標項目のそれぞれを子ノードとしたベイジアンネットワークに、複数の前記指標項目の前記目標値を入力して、複数の前記設定項目が前記指標項目に及ぼす影響の度合いである確率値と、前記設定項目の前記目標値と、を算出し、
前記順位付け工程では、前記確率値を用いて複数の前記設定項目を順位付けする、ことを特徴とする循環流動層ボイラの運転診断方法。 - 前記ベイジアンネットワークは、前記設定項目が取り得る入力値と当該入力値に対応する確率と含む第1の確率表と、前記指標項目が取り得るセンサデータと当該センサデータに対応する確率とを含む第2の確率表と、を有することを特徴とする請求項1に記載の循環流動層ボイラの運転診断方法。
- 前記設定項目に入力された前記入力値と、前記循環流動層ボイラに設けられたセンサにより取得された指標項目の測定値であるセンサデータと、を入力するデータ入力工程と、
前記入力値及び前記センサデータに基づいて前記第1の確率表と前記第2の確率表とを更新する更新工程と、を更に有することを特徴とする請求項2に記載の循環流動層ボイラの運転診断方法。 - 複数の設定項目のそれぞれに所定の入力値を入力して運転する循環流動層ボイラの運転診断装置であって、
前記循環流動層ボイラの運転状態を示す複数の指標項目の目標値に基づいて、それぞれの前記指標項目に関連する複数の前記設定項目が前記指標項目に及ぼす影響の度合いと、前記指標項目の目標値を満たすための前記設定項目の目標値と、を推定する推定手段と、
前記設定項目が前記指標項目に及ぼす影響の度合いに基づいて、複数の前記設定項目を順位付けする順位付け手段と、
順位の高い前記設定項目の前記目標値と、順位の高い前記設定項目の前記入力値とを用いて、前記指標項目を前記目標値に制御するための情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記推定手段は、前記設定項目のそれぞれを親ノードとし前記指標項目のそれぞれを子ノードとしたベイジアンネットワークに、複数の前記指標項目の前記目標値を入力して、複数の前記設定項目が前記指標項目に及ぼす影響の度合いである確率値と、前記設定項目の前記目標値と、を算出し、
前記順位付け手段は、前記確率値を用いて複数の前記設定項目を順位付けする、ことを特徴とする循環流動層ボイラの運転診断装置。
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