JP5924188B2 - リグノセルロース含有バイオマスからのフルフラール類の製造方法 - Google Patents

リグノセルロース含有バイオマスからのフルフラール類の製造方法 Download PDF

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本発明は、化学的処理を施したリグノセルロース原料から効率的にフルフラール類を生産する方法に関する。
本発明は、バイオマス原料懸濁液を加圧・加熱下に連続的に加水分解処理する連続式加水分解装置を用いて、フルフラール類を効率的に生産する方法に関する。
バイオマス資源は、水と炭酸ガスと太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量を調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。
バイオマスとは、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林に放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシの茎・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質・エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良や遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などを指す。
バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。
リグノセルロース原料からフルフラールを製造するシステムとして、木材チップを低級脂肪族アルコールを溶媒として連続蒸解装置で蒸解を行い、パルプ製造時の副産物としての黒液からフルフラール等の副産物を回収する方法が報告されている(特許文献1)。このシステムでは、蒸解後の黒液をフラッシュタンクへ移送して気相(エタノールを含む画分)と液相(フルフラールを含む画分)に分離しており、蒸解の薬液として使用したエタノールを気相から回収している。一方、液相に含まれるフルフラール濃度は、0.2〜0.8%であり、後段の工程でフルフラールを濃縮している。フルフラールを効率的に生産するためには可能な限り前段の工程でフルフラール濃度(収率)を高めることが望ましい。現在、バイオマスを原料としたフルフラールの生産に関し、経済的に実用化可能なフルフラールの効率的な分離回収方法は報告されていない。従って、連続的な加水分解で得られた加水分解液を二次的に処理することにより効率的にフルフラールを回収する方法の確立が望まれている。
バイオマス原料からキシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法として、キシラン含有天然物から110℃以上140℃以下の熱水で抽出される成分を除去した水不溶性の残渣を前記処理温度以上200℃以下の熱水で処理する方法(特許文献2)、バイオマスを140〜230℃で加圧熱水処理しヘミセルロースを分解抽出後、前記以上の温度で加圧熱水処理しセルロースを分解抽出する方法(特許文献3)が報告されている。しかし、バイオマスを前加水分解して同時に得られた単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を効率的に分離、回収する技術に関する報告は開示されていない。
特表平8−500854号公報 特開2000−236899号公報 特開2002―59118号公報
本発明の課題は、化学的処理を施したリグノセルロース原料から効率的にフルフラール類を生産する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、化学的処理が施されたリグノセルロース原料(原料懸濁液)を固液分離装置で固形分と液体分に分離し、前記固液分離装置で分離された液体分を加熱装置に送って加熱処理し、加熱処理した処理液からフルフラール類を効率良く生産できることを見出し、下記発明を完成した。本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)リグノセルロース原料に、アルカリ薬品を含有する水溶液に加熱条件下で浸漬することによる化学的処理を施し、化学的処理が施されたリグノセルロース原料を含有する懸濁液を固液分離装置で固形分と液体分に分離し、該固液分離装置で分離された液体分に酸を添加して加熱装置に送って加水分解処理し、該加水分解処理した処理液からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取り出し、取り出したフルフラール類含有蒸気蒸留装置に送って濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給し、残部を糖類含有液として回収することを特徴とするリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
(2)前記化学的処理に使用されるアルカリ薬品が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる少なくとも1種のアルカリ薬品及び該アルカリ薬品の少なくとも1種と亜硫酸ナトリウムとからなるアルカリ薬品から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)項に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
(3)前記加熱装置で加水分解処理した処理液からの濃縮されたフルフラール類含有液と糖類含有液の回収が、前記加熱装置からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取出し、取り出したフルフラール類含有蒸気から濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で固形分から分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給し、残部を糖類含有液として回収することによって行われることを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
(4)前記加熱装置で加水分解処理した処理液からの濃縮されたフルフラール類含有液と糖類含有液の回収が、前記加熱装置から加水分解処理した処理液を取り出して濃縮分離装置に移送し、該濃縮分離装置からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取り出し、取り出したフルフラール類含有蒸気から濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で固体分から分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給し、残部を糖類含有液として回収することによって行われることを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
(5)前記リグノセルロース原料に対する前記化学的処理、前記化学的処理が施されたリグノセルロース原料を含有する懸濁液からの固液分離装置での固形分と液体分の分離、前記分離された液体分の加熱装置での加水分解処理、前記加水分解処理した処理液からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取り出し、取り出したフルフラール類含有蒸気から濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で固体分から分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給するとともに残部を糖類含有液として回収する処理からなる一連の処理が連続的処理として行われることを特徴とする、(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
(6)前記前記化学的処理が施されるリグノセルロース原料が、切断、裁断、破砕、磨砕から選ばれる少なくとも一種の機械的処理を予め施されたリグノセルロース原料であることを特徴とする、(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
本発明により、リグノセルロース原料から効率的にフルフラール類を生産する方法を提供することが可能となる。
本発明のリグノセルロース原料からフルフラール類を効率的に生産する方法を示す図である。 本発明のリグノセルロース原料からフルフラール類を効率的に生産する方法を示す図である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
<リグノセルロース系原料>
本発明の方法で原料として使用するリグノセルロース系原料としては、木質系として、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、木本性植物の切株から発生した萌芽、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系としてケナフ、稲藁、麦わら、コーンコブ、バガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣及び廃棄物(例えば、EFB: Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。
また、バイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ、スラッジ、下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。
前記木質系のリグノセルロース系原料としては、ユーカリ(Eucalyptus)属植物、ヤナギ(Salix)属植物、ポプラ属植物、アカシア(Acacia)属植物、スギ(Cryptomeria)属植物等が利用できるが、ユーカリ属植物、アカシア属、ヤナギ属植物が原料として大量に採取し易いため好ましい。木本性植物由来のリグノセルロース系原料の中では、林地残材(樹皮、枝葉を含む)、樹皮が好ましい。例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
<機械的処理>
本発明では、前記リグノセルロース原料に機械的処理を施す。機械的処理としては、切断、裁断、破砕、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の化学的処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、切出し装置、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー、ボールミル等を用いることができる。
前記機械的処理の前工程又は後工程として、異物(石、ゴミ、金属、プラステック等のリグノセルロース以外の異物)を除去するための洗浄工程や洗浄した原料に含まれる水を脱水するための脱水工程を導入することもできる。
原料を洗浄する方法としては、例えば、原料に洗浄水を供給して原料に混合されている異物を除く方法、あるいは、原料を水中に浸漬し異物を沈降させて取り除く方法等が挙げられる。また、メタルトラップ、洗浄ドレーナー等の洗浄装置を用いて異物を原料から分離する方法が挙げられる。
原料に異物が含まれていると、破砕や磨砕等の機械的処理に要する消費電力が増加したり、機械的処理で用いるレファイナーのディスク(プレート)等の装置の部品を破損させる可能性がある。また、異物が原因となって配管が詰まる等の製造工程内でトラブルを起こす等の問題が発生するため、洗浄工程を導入することが望ましい。
<化学的処理>
前記、機械的処理を施したリグノセルロース原料を次に化学的処理する。化学的処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品、又は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
化学的処理は、前記機械的処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが好適である。
化学的処理で使用する薬品の添加量は、状況に応じて任意に調製可能であるが、薬品コスト低下の面から、またセルロースの溶出・過分解による収率低下防止の面から、リグノセルロース系原料の絶乾100質量部に対して50質量部以下であることが望ましい。化学的処理における薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によって任意に設定可能であるが、処理時間20〜90分、処理温度80〜200℃が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理時間は70分以下、処理温度は180℃以下であることが好ましい。
化学的処理として、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加することもできる。
前記pH調整剤として用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの薬品に特に限定されない。
前記、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加して加熱処理を行う場合の加熱処理温度は、80〜200℃が好ましく、120〜180℃がさらに好ましい。また、加熱処理時間は、10〜300分で行うことができるが、30〜120分が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理温度は、180℃以下、処理時間は120分以下であることが好ましい。
前記化学的処理を施したリグノセルロース原料を固液分離装置で液体分(濾液)と固形分(残渣)に分離する。固液分離を行う装置としては、スクリュープレス、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いることができる。
固液分離装置で分離された液体分(濾液)は加熱装置へ移送される。
図1に示す方法では、固液分離装置Sで分離された液体分(濾液)はライン5を経由して加熱装置(反応釜BR)へ移送されて加熱処理される。
前記加熱装置は、液体分を加圧・加熱条件下で処理することができる連続式あるいはバッチ式の加熱装置である。加熱装置の形態は特に限定されないが、例えば、図1に示すような反応釜BRが挙げられる。
加熱装置は、複数の装置を並列又は直列で設置することもできる。固液分離装置で分離された液体分を複数の加熱装置で同時に処理することもできる
図1又は図2の装置においては、固液分離装置で分離された液体分は、加圧・加熱加水分解が行われる反応釜BRに供給される。反応釜BRへの液体分の供給は、連続的でもよいし断続的でもよい。
本発明の方法において、固液分離装置で分離された液体分をそのままの状態で加熱処理することができるが、前記液体分に酸を添加し処理することが望ましい。酸は特に限定されないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等を用いることができる。
加熱処理の温度としては、120〜250℃で行うことができるが、140〜230℃が好ましく、170〜200℃がより好ましい。230℃を超えるとフルフラールが重合してフルフラールの損失が進む傾向があるため好ましくない。圧力は、0.35〜2.8MPaであることが好ましい。
図1の装置によってバッチ式で行う場合は、加熱処理後に加熱装置(反応釜BR)の上部のバルブ(蒸気相移送ライン6)を開き、蒸気相を取り出して蒸留装置EVへ移送し、蒸留装置EVでフルフラール濃縮液を分離する。一方、連続式で行う場合は、加熱装置(反応釜BR)の上部のバルブV(蒸気相移送ライン6)の代替として減圧バルブを用い、加熱処理を行いながら減圧バルブを開いて蒸気相を取出し、蒸留装置EVへ移送し、蒸留装置EVでフルフラール類含有濃縮液を分離する。前記加熱装置(バッチ式、連続式)から取り出した蒸気相を蒸留装置EVへ移送する前にコンデンサーC(凝縮器)で凝縮してもよい。フルフラール類を含有する蒸気相を蒸留濃縮する蒸留装置EVは、複数の装置を直列あるいは並列で設置してなる装置であってもよい。
図1の装置を用いる方法では、蒸気相を除去した後の反応釜BRの底部のライン7から排出される処理液(液相)には単糖類、オリゴ糖類等の糖類が含まれている。ライン7から排出される処理液を循環ライン8を経由して加熱装置(反応釜BR)の入口(ライン5)へ循環供給することもできる。蒸気相を除去した後の液相(糖類等含有水溶液)を加熱装置に供給される液体分(固液分離で分離された液体分)に供給することにより、オリゴ糖類や単糖類がフルフラール類に分解されるため、フルフラール類の収率が向上する。
図2の装置を用いる方法では、加熱装置BRの底部から処理液をライン11から排出し濃縮分離装置Fへ移送し、濃縮分離装置Fでフラッシュ蒸留等により蒸気相と液相に分離する。濃縮分離装置Fの頂部から蒸気相取出ライン12に取り出される蒸気相は、コンデンサーC(凝縮器)で凝縮されてフルフラール類を含有する水溶液が凝縮液取出ライン14より回収される。
濃縮分離装置Fから取り出された蒸気相には、濃縮分離装置Fの底部から取り出される液相よりも遥かに高含有率でフルフラール類が含まれており、この蒸気相をコンデンサー等の冷却装置により冷却凝縮させることにより濃度の高いフルフラール水溶液を回収することができる。
濃縮分離装置Fとしては、フラッシュタンク、フラッシュサイクロン、蒸留塔、エバポレーター等が使用される。加熱装置(反応釜BR)からのエネルギーを利用して濃縮を行うには、フラッシュタンク、フラッシュサイクロンが望ましい。
前記固液分離装置で分離された液体分には主にキシロース等の単糖類、オリゴ糖類が含まれており前記方法で加熱処理を行うことによりキシロースから生成されたフルフラール類を効率的に回収することができる。
前記フルフラール類としては、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。オリゴ糖類としては、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられ、前記オリゴ糖にアラビノース、マンノース、グルコース、キシロース、グルクロン酸、4−O−メチルグルクロン酸等が側鎖として付加したオリゴ糖も含まれる。単糖類としては、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース等が挙げられる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す方法で試験を実施した。
[前処理]
<破砕処理>
チップ状のユーカリ・グロブラスの林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
<化学的処理>
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを添加後、水を添加し水溶液の容量を10Lに調製し混合した。図1に示すように、前記原料懸濁液を加熱処理装置COで170℃で1時間加熱した。加熱処理した原料懸濁液をライン3から固液分離装置Sへ移送した。
<固液分離>
化学的処理した原料懸濁液を固液分離装置S:スクリュープレス(富国工業社製、SHX―200X1500L、メッシュサイズ1.2mm)で固形分と液体分に固液分離した。前記スクリュープレスで分離した液体分100Lに硫酸を添加しpHを4.0に調整後、液体分を液体分移送ライン5から反応釜BRへ移送した。
<加熱処理>
次に、反応釜BRで170℃で30分の条件で加熱処理を行った。加熱処理後、反応釜BRに接続している蒸気相移送ライン6のバルブVを開いて蒸気相を取り出し、蒸気相をを蒸留装置EVに送って濃縮し、フルフラール類を含有する濃縮液(20℃)をフルフラール類濃縮液回収ライン9から回収した。回収したフルフラール類濃縮液に含まれるフルフラール類の含有量を下記の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対するフルフラール類の収率を算出した。結果を表1に示す。
[フルフラール類の定量]
フルフラール類の定量にはAgilent Technоlоgies社製 HPLCシステムを用いた。カラムは、Bio−Rad社製 Aminex HPX87P(7.8X300mm)を用い、5mM硫酸を溶離液とし、1ml/minの流速でフルフラール類を溶出させた。検出にはUV−Vis検出器を用いた。フルフラール類の標品として、フルフラールを用い、検量線を作成し、試料中の含有量を求めた。
[実施例2]
図1に示す装置で実施例1と同様の方法で加熱処理を行った。固液分離装置Sで分離した液体分を(200質量部/時)を液体分移送ライン5から連続的に反応釜BRへ移送し、反応釜BRの処理液排出ライン7から連続的に処理液を排出した。反応釜BRで170℃で連続的に加熱処理を行なった。加熱処理開始後、反応釜BRに接続されている蒸気相移送ライン6のバルブ(減圧バルブ)を開いて蒸気相を連続的に取り出し、蒸気相を蒸留装置EVで濃縮してフルフラール類を含有する濃縮液をフルフラール濃縮液回収ライン9から回収した。
前記フルフラール類濃縮液に含まれるフルフラール類の含有量を実施例1と同様の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対するフルフラール類の収率を算出した。結果を表1に示す。
実施例3
図1に示す装置で実施例2と同様の方法で実施した。但し、加熱処理開始後、反応釜BRの処理液排出ライン7から排出される処理液の一部(70質量部/時)を循環ライン8を経由して反応釜BRに供給される液体分(ライン5)に連続的に循環供給した。それ以外の操作は全て実施例2と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、加熱処理を行わない場合の試験例(加熱処理前の液体分から回収できるフルフラール類の収率)を比較例1とした。すなわち、固液分離装置Sで分離した液体分に含まれるフルフラール類の含有量を実施例1と同様の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対するフルフラール類の収率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0005924188
反応釜BRを用いてバッチ式(実施例1)又は連続式(実施例2)で加熱処理を行い、加熱処理後の反応釜BRから取り出される蒸気相から蒸留装置でフルフラール類を回収した場合、比較例1の加熱処理を行わない場合と比較し効率的にフルフラール類を生産できることが判明した。
また、反応釜BRからライン8を経由して処理液を連続的に循環させた試験(実施例3)では、処理液を循環させない試験(実施例2)と比較してフルフラール類の収率が向上した。
実施例4
図2に示す方法で試験を実施した。実施例1と同様の方法でチップ状のユーカリ・グロブラスの林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を破砕後、化学的処理し、化学的処理後の原料懸濁液を固液分離装置Sで固液分離し固形分と液体分に分離した。固液分離装置Sで分離した液体分に硫酸を添加しpHを4.0に調整後、液体分(200質量部/時)を液体分移送ライン5から連続的に反応釜BRへ移送し、反応釜BRの処理液排出ライン11から連続的に処理液を排出した。反応釜BRで170℃で連続的に加熱処理を行なった。
反応釜BRのライン11から処理液を取り出し、フラッシュタンク(濃縮分離装置F)へ移送した。フラッシュタンクで分離した蒸気相を蒸気相移送ライン12を経由してコンデンサーCに送り、冷却して、凝縮液取出ライン14よりフルフラール水溶液を取り出した。
上記フルフラール水溶液に含まれるフルフラール類の含有量を実施例1と同様の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対するフルフラール類の収率を算出した。結果を表2に示す。
実施例5
図2に示す装置で実施例4と同様の方法で実施した。但し、加熱処理開始後、反応釜BRの処理液排出ライン7から排出される処理液の一部(70質量部/時)を循環ライン8を経由して反応釜BRに供給される液体分(ライン5)に連続的に循環供給した。それ以外の操作は全て実施例4と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
Figure 0005924188
図2に示すように、反応釜BRを用いて連続式で加熱処理を行い、反応釜BRから排出される処理液をフラッシュタンクで蒸気相と液相に分離し、蒸気相からフルフラール類を回収する方法を用いた場合(実施例4)、加熱処理を行わない場合(比較例1)と比較し効率的にフルフラール類を生産できることが判明した。
また、反応釜BRからライン8を経由して処理液を連続的に循環させた試験(実施例5)では、処理液を循環させない試験(実施例4)と比較してフルフラール類の収率が向上した。
本発明により石油化学分野で使用される溶剤、医薬中間体の製造原料、フラン樹脂の原料、フラン、テトラヒドロフラン、フルフリルアルコール等の製造原料として有用なフルフラール類を、リグノセルロース原料から効率的に生産することが可能となる。
1:原料供給ライン
2:原料移送ライン
3:加熱処理液移送ライン
4:固形分移送ライン
5:液体分移送ライン
6:蒸気相移送ライン
7:処理液排出ライン
8:循環ライン
9:フルフラール類濃縮液回収ライン
10:液相移送ライン
11:処理液排出ライン
12:蒸気相移送ライン
13:液相移送ライン
14:凝縮液取出ライン
I:破砕処理装置
CO:加熱処理装置
S:固液分離装置
BR:反応釜
EV:蒸留装置
F:濃縮分離装置
C:コンデンサー

Claims (6)

  1. リグノセルロース原料に、アルカリ薬品を含有する水溶液に加熱条件下で浸漬することによる化学的処理を施し、化学的処理が施されたリグノセルロース原料を含有する懸濁液を固液分離装置で固形分と液体分に分離し、該固液分離装置で分離された液体分に酸を添加して加熱装置に送って加水分解処理し、該加水分解処理した処理液からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取り出し、取り出したフルフラール類含有蒸気蒸留装置に送って濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給し、残部を糖類含有液として回収することを特徴とするリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
  2. 前記化学的処理に使用されるアルカリ薬品が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる少なくとも1種のアルカリ薬品及び該アルカリ薬品の少なくとも1種と亜硫酸ナトリウムとからなるアルカリ薬品から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
  3. 前記加熱装置で加水分解処理した処理液からの濃縮されたフルフラール類含有液と糖類含有液の回収が、前記加熱装置からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取出し、取り出したフルフラール類含有蒸気から濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で固形分から分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給し、残部を糖類含有液として回収することによって行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
  4. 前記加熱装置で加水分解処理した処理液からの濃縮されたフルフラール類含有液と糖類含有液の回収が、前記加熱装置から加水分解処理した処理液を取り出して濃縮分離装置に移送し、該濃縮分離装置からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取り出し、取り出したフルフラール類含有蒸気から濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で固体分から分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給し、残部を糖類含有液として回収することによって行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
  5. 前記リグノセルロース原料に対する前記化学的処理、前記化学的処理が施されたリグノセルロース原料を含有する懸濁液からの固液分離装置での固形分と液体分の分離、前記分離された液体分の加熱装置での加水分解処理、前記加水分解処理した処理液からフルフラール類含有蒸気と糖類含有液を分離して取り出し、取り出したフルフラール類含有蒸気から濃縮されたフルフラール類含有液を回収し、取り出した糖類含有液の少なくとも一部を前記固液分離装置で固体分から分離された液体分と一緒にして前記加熱装置に循環供給するとともに残部を糖類含有液として回収する処理からなる一連の処理が連続的処理として行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
  6. 前記前記化学的処理が施されるリグノセルロース原料が、切断、裁断、破砕、磨砕から選ばれる少なくとも一種の機械的処理を予め施されたリグノセルロース原料であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリグノセルロース原料からのフルフラール類の製造方法。
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