JP2015071544A - バイオマスからフルフラールを製造する方法 - Google Patents

バイオマスからフルフラールを製造する方法 Download PDF

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伸哉 萩原
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展久 段王
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Abstract

【課題】本発明は、フルフラール精製時の蒸留効率が高く、フルフラールを高い収率で得ることができる手段を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、バイオマスからフルフラールを製造する方法であって、
バイオマスを熱水処理する工程、
熱水処理で得られた懸濁液を液体成分と固形残渣に分離する工程、
固形残渣を加水分解処理する工程、
を含む、前記方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、農業、発酵醸造、食品加工産業などから排出される資源の循環利用、特に、フルフラールの製造方法および製造装置に関する。
バイオマス資源は、水と炭酸ガスと太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量を調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。
バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。例えば、リグニンはフェノール系化合物の重合体であり、芳香族系の工業原料として利用できる。
バイオマスを加圧熱水処理することによりバイオマスを構成する成分を分解、抽出できることが知られている。例えば、加圧熱水の温度が100−140℃においては、細胞内有用成分(タンニン、テルペン、有機酸)や水溶性リグニンを回収できることが報告されている。また、加圧熱水の温度が140−230℃においては、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖や、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなどの単糖類を回収できることが報告されている(特許文献1、特許文献2)。これらの単糖の中で、5炭糖であるキシロース、アラビノースは、3分子の脱水反応によりフルフラールに変換される。フルフラールは、医薬品の中間体、プラスチック原料、フルフリルアルコールの原料(フラン樹脂の原料)として用いることが可能である(非特許文献1)。
しかし、現在、バイオマスを原料としたフルフラールの生産に関し、経済的に実用化可能なフルフラールの効率的な分離回収方法は報告されていない。また、セルロースを含むバイオマスの加水分解を、酸やアルカリを用いて実施する方法が報告されているが(特許文献3、特許文献4)、酸やアルカリを用いると、化学的修飾を受けたリグニンしか採取されない、という問題があった。
特開2002−59118号公報 特開平10−327900号公報 特開2011−206044号公報 特開2012−44880号公報
Furfural:Hemicellulose/xylose derived biochemical,Ajit Singh Mamman,Biofuels Bioproducts and Biorefining,Volume 2,Issue5,p.p.438−454(2008).
本発明は、フルフラール精製時の蒸留効率が高く、かつフルフラールを高い収率で得ることが可能な手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、バイオマスを、熱水処理し、固液分離し、固形残渣を加水分解処理することにより、フルフラールを高い収率で得られること、さらに、熱水処理で不純物が除かれることにより、フルフラール精製時の蒸留効率が向上し、フルフラール製造における蒸気使用量を低減できることを見出した。さらに、本発明者らは、熱水処理物を固液分離して得られる液体成分から、化学的修飾を受けていないリグニンが得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)バイオマスからフルフラールを製造する方法であって、
バイオマスを熱水処理する工程、
熱水処理で得られた懸濁液を液体成分と固形残渣に分離する工程、
固形残渣を加水分解処理する工程、
を含む、前記方法。
(2)加水分解処理物からフルフラールを精製する工程をさらに含む、(1)に記載の方法。
(3)フルフラールを精製する工程が、蒸留によりフルフラールを精製する工程である、(2)に記載の方法。
(4)熱水処理の温度が、50〜150℃である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)液体成分を濃縮してリグニン含有物を得る工程をさらに含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)リグニン含有物の熱水抽出率が、3.0〜10.0%である、(5)に記載の方法。
(7)リグニン含有物のフェノール性水酸基量が、100g当たり20.0〜30.0gである、(5)または(6)に記載の方法。
(8)バイオマスからフルフラールを製造するための装置であって、
バイオマスを熱水処理する熱水処理装置、
熱水処理装置からの懸濁液を液体成分と固形残渣に分離する固液分離装置、および
固液分離装置で分離された固形残渣を加水分解処理する加水分解処理装置、
を含む、前記装置。
(9)加水分解処理装置による処理物を蒸留精製する蒸留精製装置をさらに含む(8)に記載の装置。
(10)固液分離装置で分離された液体成分を濃縮処理する濃縮処理装置をさらに含む(8)または(9)に記載の装置。
本発明により、フルフラール精製時の蒸留効率が高く、かつフルフラールを高い収率で得ることが可能な手段が提供される。
バイオマスとしては、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林に放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシの茎・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質・エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良や遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などが挙げられる。
本発明で原料として用いるバイオマスとしては、5炭糖を構成糖として含む材料であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、木質系としては、樹木、林地残材、間伐材、廃材等のチップまたは樹皮、製材工場等から発生するおが屑、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系として、ケナフ、稲藁、麦わら、コーンコブ、バガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣および廃棄物(例えば、EFB:Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等のリグノセルロース系バイオマスが挙げられる。また、バイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ、スラッジ、下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。
熱水処理は、バイオマスが乾燥固形物または水分を含んだ固形物であれば、必要により粉砕し、水性液と混合して水性懸濁液にして加熱することにより実施する。バイオマスと水性液の混合割合は特に制限されないが、バイオマスの乾燥質量で1質量部に対し、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜20質量部の水性液を用いることが好ましい。この範囲で混合することにより、熱水抽出率が向上し、熱水処理後に得られる液体成分に含まれる総フェノール性水酸基量を増加させることができる。熱水抽出率とは、上記液体成分を濃縮して得られる抽出物(すなわち、リグニン含有物)について、原料の質量パーセントとして算出される値である(熱水抽出率(%)=絶乾熱水抽出物質量/原料質量×100)。総フェノール性水酸基量は、フォーリンチオカルト法で測定した値をさす。総フェノール性水酸基量が多いほど、化学修飾を受けていないリグニンが多く含まれているといえる。
水性液には、水、および水とその他の溶媒、例えばアルコールとの混合物が包含されるが好ましくは水を用いる。水としてはイオン交換水を用いることが好ましい。水性液のpHは中性、例えばpH6.5〜7.5であることが好ましく、酸やアルカリを添加しないことが好ましい。酸やアルカリを添加すると、熱水抽出により得られるリグニンが化学修飾を受ける可能性があるためである。
熱水処理は、バイオマスの水性懸濁液を撹拌しながら、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、最も好ましくは80℃以上で、好ましくは150℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは95℃以下、最も好ましくは90℃以下の温度に加熱することにより実施する。熱水処理の温度を150℃以下、好ましくは100℃未満とすることにより、熱水処理物の液体成分から化学修飾を受けていないリグニンを得ることができ、固形残渣からフルフラールを高い収率で得ることができる。また、熱水処理を用いることにより不純物が除かれ、フルフラール精製時の蒸留効率が向上し、フルフラール製造における蒸気使用量を低減できる。熱水処理は、バッチ式方法でも連続式方法でもよい。加熱時間は、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.5〜3時間である。熱水処理は、大気圧下で行ってもよく、または加圧下で行ってよいが、好ましくは大気圧下で行う。
熱水処理で得られた懸濁液を液体成分と固体残渣に分離するための固液分離装置としては、当技術分野で公知のものを使用でき特に制限されないが、例えば、メッシュ(網目)が10μm〜5cmの範囲のストレーナーやフィルターが採用される。ストレーナーとしては、目詰まりのトラブルの回避と分離される液体成分中への懸濁物質の随伴を極力避けるために40〜500μmの範囲のストレーナーが好適に採用される。固液分離装置として、遠心分離機を使用してもよい。
固液分離により得られた液体成分を濃縮することにより、熱水抽出物としてのリグニン含有物が得られる。濃縮処理装置としては、当技術分野で公知の装置を使用でき特に制限されないが、例えばロータリーエバポレーターを用いることができる。濃縮処理は、好ましくは50〜70℃で、好ましくは10〜60分間加熱することにより実施できる。リグニン含有物の熱水抽出率は、好ましくは3.0〜10.0%、より好ましくは4.0〜8.0%である。本発明で得られるリグニン含有物は、熱水抽出率が高く、総フェノール性水酸基量が多いことを特徴とする。熱水抽出物100gあたりの総フェノール性水酸基量は、好ましくは20.0〜30.0gである。
熱水処理物を固液分離して得られる固形残渣を加水分解処理することにより、フルフラールを得ることができる。加水分解処理は、バッチ式方法と連続式方法に分類される。バッチ式方法では、固形残渣と水溶液の混合物を加水分解処理装置に供給後、加水分解処理装置の蓋を密封して加温し、加水分解処理を行う。加水分解処理後、運転を一度停止して反応生成物を含む溶液を分離・回収する。連続式方法では、加熱された加水分解処理装置に固形残渣と水溶液の混合物を供給し、反応生成物を連続的に回収する。
加水分解処理は、加圧下における熱水処理、酸処理、アルカリ処理等の方法を用いて行うことができるが、フルフラールを効率的に回収するためには、加圧、加熱状態の水または酸水溶液を用いた処理が望ましい。加圧、加熱状態の水による処理の場合、固形残渣を水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液処理の方法としては、固形残渣を酸を含む水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液処理で用いる酸は特に限定されないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸等を用いることができる。好ましい実施形態では、固形残渣を酸水溶液に一晩浸漬し、余分な酸水溶液を除いた後、蒸解釜で100〜250℃に加熱後、蒸気を導入し、上部バルブから蒸気を排出し、これを冷却および凝縮させてフルフラール水溶液を採取する。
加水分解処理に供する固形残渣を含有する水性懸濁液のpHは0.5〜5.0の範囲が好ましい。加水分解処理の温度としては、120〜250℃で行うことができるが、140〜230℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。加水分解処理の圧力は、0.35Mpa〜2.8Mpaであることが好ましい。加水分解処理時間は、加水分解処理装置内の温度等に応じて適宜選択できる。例えば、140〜230℃で加水分解処理する場合、加水分解処理時間は0.5〜180分の範囲で適宜選択される。
以上により得られた加水分解処理物としてのフルフラール水溶液は、さらに精製してフルフラールを分離回収することが好ましい。フルフラールの分離回収は、例えば、有機溶媒による抽出、蒸留、またはこれら二つの操作を組み合わせることで実施できる。フルフラールの抽出に使用する有機溶媒としては、酢酸エチル、ヘキサン、クロロホルムなどを使用できる。
蒸留の方法は、特に制限されるものではなく、例えば、単蒸留、精密蒸留、フラッシュ蒸留等の種々の方法を採用することができる。蒸留は、バッチ式、連続式のいずれで行ってもよいが、工業的には、連続式で行うのが好ましい。蒸留は減圧下で行ってもよい。また、蒸留精製装置についても、特に制限されるものではなく、棚段式蒸留塔、棚段式減圧蒸留塔、フラッシュタンク、フラッシュサイクロン等を使用できる。蒸留の際の条件は、特に制限されるものではないが、例えば、滞留時間が0.5〜20時間、蒸留温度が50〜100℃となるように設定するのが好ましい。
好ましい実施形態においては、フルフラール水溶液を、初留塔と脱水塔を含む複数の蒸留塔を使用して精製する。初留塔としては、例えば35〜45段の棚段式蒸留塔を使用でき、脱水塔としては、例えば15〜25段の棚段式減圧蒸留塔を使用できる。フルフラール水溶液をフィードした初留塔では、塔底部に水蒸気(好ましくは0.1〜0.5MPa)を導入して加熱を行い、塔頂部から低沸点物、塔底部から高沸点物を取り除き、塔中段からフルフラールを含む溶液を採取し、上層(主に水)と下層(主にフルフラール)に分離し、下層を脱水塔へフィードする。脱水塔では、減圧(好ましくは40〜80Torrに)しながら塔底部を加熱し、塔頂部から水を取り除くことにより塔底部から精製フルフラールを得ることができる。
本発明はまた、バイオマスからフルフラールを製造するための装置に関する。本発明の装置は、
バイオマスを熱水処理する熱水処理装置、
熱水処理装置からの懸濁液を液体成分と固形残渣に分離する固液分離装置、および
固液分離装置で分離された固形残渣を加水分解する加水分解処理装置、
を含む。
熱水処理装置としては、例えば、内容物を撹拌可能な容器(反応槽)をオイルバス中に備えた装置、内容物を撹拌可能なオートクレーブ装置などが挙げられる。固液分離装置としては、例えば、フィルターやストレーナーを備えた濾過機、遠心分離機、篩などが挙げられる。加水分解処理装置としては、例えば、蒸解釜、オートクレーブ装置などが挙げられる。
本発明のフルフラールの製造装置は、好ましくは加水分解処理装置による処理物を蒸留精製する蒸留精製装置をさらに含む。蒸留精製装置としては、例えば、棚段式蒸留塔、棚段式減圧蒸留塔、充填式蒸留装置、充填式減圧蒸留装置、フラッシュタンク、フラッシュサイクロンなどが挙げられる。
本発明のフルフラールの製造装置は、好ましくは固液分離装置で分離された液体成分を濃縮処理する濃縮処理装置をさらに含む。濃縮処理装置としては、例えば、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーター、蒸発濃縮装置などが挙げられる。各装置における処理については、上述のとおりである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<製造例1>
イオン交換水150質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、90℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌することにより熱水処理し、懸濁液を得た。
この懸濁液をフィルター(ADVANTEC No.1)を用いてブフナー漏斗で濾過して、固形残渣と濾液に分離し、固形残渣(熱水処理林地残材)は含水率12.4%になるまで風乾し、濾液はロータリーエバポレーターで濃縮して茶褐色の抽出物としてリグニン含有物を得た。得られたリグニン含有物については、熱水抽出率を原料の質量パーセントとして算出し(熱水抽出率(%)=絶乾熱水抽出物質量/原料質量×100)、総フェノール性水酸基量をフォーリンチオカルト法で測定した。結果を表1に示す。
固形残渣(熱水処理林地残材)は400質量部を0.5重量%硫酸水溶液に一晩浸漬し、余分な硫酸水溶液を篩(100メッシュ)で除き、バッチ式蒸解釜〔東洋高圧(株)製〕に入れた。電気炉で180℃まで加熱後、蒸解釜下部から1.85MPa蒸気を導入すると同時に釜上部バルブから蒸気を排出し、冷却・凝縮させたフルフラール水溶液を240質量部/時の速度で6時間かけて採取した。
得られたフルフラール水溶液のフルフラール含量はHPLC(Waters社製)を用いて定量した。カラムは、アミネックス HPX87−H(バイオラッド社製)を用い、移動層には5mM硫酸を用い、RIディテクターで検出した。水溶液中のフルフラールの定量値より、熱水処理林地残材中のヘミセルロース量に対するフルフラール水溶液中のフルフラール収率を算出した。さらに、水溶液中の不純物についてヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置(アジレント・テクノロジー社製)を使用して分析した。ガスクロマトグラフ部のカラムはDB−1(アジレント・テクノロジー社製)を用い、検出した不純物のピーク数を表1に示す。
フルフラール水溶液は、初留塔(40段棚段式蒸留塔)と脱水塔(20段棚段式減圧蒸留塔)の2本の蒸留塔を使用して精製を行った。フルフラール水溶液をフィードした初留塔では、塔底部に0.2MPaの水蒸気を導入して加熱を行い、塔頂部から低沸点物、塔底部から高沸点物を取り除き、塔中段からフルフラールを含む溶液を採取して上層(主に水)と下層(主にフルフラール)に分離し、下層を脱水塔へフィードした。脱水塔では、60Torrに減圧しながら塔底部に設置したリボイラーで加熱し、塔頂部から水を取り除くことにより塔底部から99重量%純度のフルフラールを得た。蒸留による精製過程で使用した蒸気量(g/gフルフラール)を表1に示す。
<製造例2>
製造例1の方法において、イオン交換水150質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、80℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例3>
製造例1の方法において、イオン交換水180質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、90℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例4>
製造例1の方法において、イオン交換水150質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、25℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例5>
製造例1の方法において、イオン交換水150質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、120℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例6>
製造例1の方法において、イオン交換水100質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、90℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例7>
製造例1の方法において、イオン交換水500質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、90℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例8>
製造例1の方法において、イオン交換水500質量部に対して、3〜5cm径程度まで粗粉砕したユーカリ・グロブラスの林地残材10質量部を入れたビーカーをオイルバス中に浸し、25℃で加熱しながら1時間、EUROPOWERSTAR CONTROL VISC P7(IKA製)を使用して60rpmの速度で撹拌した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例9>
製造例1の方法において、イオン交換水150質量部の代わりに0.5重量%水酸化ナトリウム水溶液150質量部を使用した以外は製造例1と同様の方法で熱水処理およびフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
<製造例10>
製造例1において、熱水処理を行わなかった以外は製造例1と同様の方法でフルフラール製造を行った。結果を表1に示す。
Figure 2015071544
表1に示すように、熱水処理においては、製造例5のように、高い温度で熱水処理を行った場合には、熱水抽出率が増加することにより熱水処理後の濾液に含まれる総フェノール性水酸基量が増加し、同時にヘミセルロースも多く溶出することによってフルフラール収率が低下した。
一方、製造例6のように、林地残材に対するイオン交換水の量を減量した場合には、熱水抽出率の低下により熱水処理後の濾液に含まれる総フェノール性水酸基量が減少し、不純物ピーク数が増加することにより蒸気使用量が増加した。
また、製造例7のように、林地残材に対するイオン交換水の量を増量した場合には、熱水抽出率が増加し、ヘミセルロースも多く溶出することによってフルフラール収率が低下した。製造例8のように、林地残材に対するイオン交換水の量を増量して低い温度で熱水処理を行った場合には、熱水処理後の濾液に含まれる総フェノール性水酸基量が減少し、ヘミセルロースも多く溶出することによってフルフラール収率が低下し、不純物ピーク数が増加することにより蒸気使用量も増加した。
製造例9のように、イオン交換水の代わりに0.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合には、熱水抽出率は高いにもかかわらず熱水処理後の濾液に含まれる総フェノール性水酸基量が少なく、ヘミセルロースも多く溶出することによってフルフラール収率も低下し、不純物ピーク数が増加することにより蒸気使用量も増加した。
製造例1〜3の方法では、熱水抽出率が高いことにより熱水処理後の濾液に含まれる総フェノール性水酸基量が多く、ヘミセルロースの溶出が抑えられることによりフルフラール収率が高く、不純物ピーク数が少ないことにより蒸留における蒸気使用量も抑制された。
本発明の方法によれば、医薬中間体、プラスチック原料などに用いられ、また、フラン樹脂の原料であるフルフリルアルコールの原料として用いられるフルフラールの工業的規模での製造が可能となる。さらに、フルフラールとともに、芳香族系の工業原料として利用可能なリグニンを同時に製造することができる。

Claims (10)

  1. バイオマスからフルフラールを製造する方法であって、
    バイオマスを熱水処理する工程、
    熱水処理で得られた懸濁液を液体成分と固形残渣に分離する工程、
    固形残渣を加水分解処理する工程、
    を含む、前記方法。
  2. 加水分解処理物からフルフラールを精製する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. フルフラールを精製する工程が、蒸留によりフルフラールを精製する工程である、請求項2に記載の方法。
  4. 熱水処理の温度が、50〜150℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 液体成分を濃縮してリグニン含有物を得る工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. リグニン含有物の熱水抽出率が、3.0〜10.0%である、請求項5に記載の方法。
  7. リグニン含有物のフェノール性水酸基量が、100g当たり20.0〜30.0gである、請求項5または6に記載の方法。
  8. バイオマスからフルフラールを製造するための装置であって、
    バイオマスを熱水処理する熱水処理装置、
    熱水処理装置からの懸濁液を液体成分と固形残渣に分離する固液分離装置、および
    固液分離装置で分離された固形残渣を加水分解処理する加水分解処理装置、
    を含む、前記装置。
  9. 加水分解処理装置による処理物を蒸留精製する蒸留精製装置をさらに含む請求項8に記載の装置。
  10. 固液分離装置で分離された液体成分を濃縮処理する濃縮処理装置をさらに含む請求項8または9に記載の装置。
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