JP5924012B2 - ドレン回収システム - Google Patents

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Description

この発明は、負荷機器で生成した高温のドレンを密閉型ドレンタンクに回収して、回収したドレンを蒸気ボイラへ供給して利用するドレン回収システムに関する。
この種のドレン回収システムにおいて、蒸気を負荷機器へ供給する蒸気ボイラと、ドレン戻しラインを通して負荷機器から排出されるドレンを貯留し、ドレンポンプを有するドレン供給ラインを通して、貯留したドレンを蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンクと、補給水ポンプを有する補給水ラインを通して補給水をドレンタンクへ供給する大気開放型の補給水タンクとを備えるものは、特許文献1等で知られている。
特開2011−237065号公報
特許文献1のドレン回収システムにおいては、ドレンタンク内の異常高水位や異常高圧やドレン温度の異常高温などの理由によりドレンのドレンタンクへの流入を停止したい場合やドレンタンク内圧力が異常高圧となってドレンのドレンタンクへの流入ができない場合、ドレン戻しラインからドレンタンク内へドレンの流入を遮断できない。ドレンの流入を遮断したい場合、ドレンの流入を遮断する遮断弁を設けることも考えられるが、ドレンの流入を遮断すると、負荷機器の運転を停止しなければならない事態を招来する。たとえば、負荷機器で使用する蒸気および使用した蒸気から発生した水が滞留して、負荷機器で必要な熱が確保できなくなり、負荷機器の運転を停止する事態である。負荷機器の運転の停止は、ボイラユーザーの事業活動を止める事態であり、極力避けなければならない。このため、特許文献1のようなドレン回収システムでは、遮断弁は設けないのが一般的である。要するに、特許文献1のシステムは、常時ドレンをドレンタンクへ回収することを前提とした技術思想のシステムである。
また、特許文献1では、ドレンタンク内のドレン温度が上限設定温度以上で、かつドレンタンク内の水位が上限設定水位以上の場合、高温のドレンをドレンタンクに回収しながら、補給水ポンプを駆動して補給水タンク内の水をドレンタンクとの間で循環させることで、ドレンタンク内のドレン温度を低下させようとしている。しかしながら、高温のドレンをドレンタンクに回収するということは、ドレンが保有する多量の熱量をドレンタンク内に取り込みながら冷却するので、速やかにドレン温度を低下させることは困難である。また、ドレンの冷却のために時間を要すると、上限設定温度未満となるまで補給水ポンプを連続運転するので、補給水ポンプ駆動のための電力量が多くなってしまう。
この発明が解決しようとする主課題は、ドレンのドレンタンクへの流入を停止したい場合やドレンのドレンタンクへの流入が不可能な場合でも熱損失を抑えながらその停止を可能として、負荷機器の運転停止といった異常事態を防止することである。この発明が解決しようとする副課題は、速やかにドレン温度を下げることができ、その結果、補給水ポンプの運転時間を短縮して節電を可能とすることである。
この発明は、特許文献1とは異なる技術思想に基づき、前記課題を解決するためになさ
れたもので、請求項1に記載の発明は、蒸気を負荷機器へ供給する蒸気ボイラと、ドレン戻しラインを通して前記負荷機器から排出されるドレンを貯留し、ドレンポンプを有するドレン供給ラインを通して貯留したドレンを前記蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンクと、補給水ポンプを有する補給水ラインを通して補給水を前記ドレンタンクへ供給する大気開放型の補給水タンクとを備えるドレン回収システムであって、前記ドレン戻しラインに設けられる開閉可能な第一弁と、前記ドレン戻しラインの前記第一弁の上流側と前記補給水タンクとの間に接続されるドレン逃がしラインと、前記ドレン逃がしラインに設けられる開閉可能な第二弁とを備え、前記第一弁を開き、前記第二弁を閉じる第一開閉状態と、前記第一弁を閉じ、前記第二弁を開く第二開閉状態とを選択可能に構成したことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、ドレンのドレンタンク内への流入を停止したい場合やドレンのドレンタンクへの流入が不可能な場合は、前記第二開閉状態とすることにより、ドレンの流入を停止でき、前記ドレンタンクへ流入しようとしたドレンは、前記ドレン逃がしラインを通して前記補給水タンクへ流入するので、前記負荷機器の運転の停止といった事態を回避できる。また、前記ドレン戻しラインのドレンが前記補給水タンクに流入するので、ドレンをシステム外へ放出するものと比較して熱損失を低減できる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、システムの運転状態に応じて、前記第一弁および前記第二弁の前記第一開閉状態と前記第二開閉状態とを自動的選択する制御手段を備えたことを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、システムの運転状態に応じて自動的に前記第二開閉状態とすることができるので、負荷機器の運転停止を確実に防止することができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記ドレンタンクから前記蒸気ボイラへ供給するドレン温度を検出する温度検出器と、前記ドレンタンク内の水位を検出する水位検出器とを備え、前記制御手段は、前記温度検出器による検出温度が第一設定温度超過で前記補給水ポンプを駆動し、第一設定温度以下で前記補給水ポンプを停止し、前記補給水ポンプの駆動時、前記水位検出器の検出水位が第一設定水位超過で前記補給水ポンプを停止して、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、第一設定水位以下で前記補給水ポンプを駆動して前記第一弁および前記第二弁を前記第一開閉状態とすることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記温度検出器による検出温度が第一設定温度超過で前記補給水ポンプを駆動し、第一設定温度以下で前記補給水ポンプを停止するので、前記ドレンタンク内のドレン温度をほぼ第一設定温度に維持することができる。また、前記補給水ポンプの駆動時、前記水位検出器の検出水位が第一設定水位超過で前記補給水ポンプを停止して、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、第一設定水位以下で前記補給水ポンプを駆動して前記第一弁および前記第二弁を前記第一開閉状態とするので、前記ドレンタンク内の水位が第一設定水位を超えることを防止しつつ、ドレンが保有する多量の熱量を前記ドレンタンク内に取り込むことなく、前記補給水ポンプにより供給される補給水により前記ドレンタンク内のドレンの冷却を行うことができる。その結果、特許文献1のシステムと比較して、短時間に前記ドレンタンク内のドレンを冷却することができ、前記補給水ポンプの運転時間を短縮でき、節電が可能となる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記制御手段は、前記補給水ポンプの駆動時、前記温度検出器による検出温度が第一設定温度より高い第二設定温度超過で
、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、第二設定温度以下で前記第一弁および前記第二弁を前記第一開閉状態とすることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明による効果に加えて、前記補給水ポンプの駆動時、前記温度検出器による検出温度が第一設定温度より高い第二設定温度超過で、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、第二設定温度以下で前記第一弁および前記第二弁を前記第一開閉状態とするので、前記ドレンタンク内のドレン温度を第二設定温度以下に速やかに冷却できる。その結果、特許文献1のシステムと比較して、第二設定温度(上限設定温度)以下に、短時間に前記ドレンタンク内のドレンを冷却することができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4において、前記補給水タンクと前記蒸気ボイラとを接続し補助ポンプを有する予備給水ラインを備え、前記ドレンポンプによる前記蒸気ボイラへの給水が正常に行われないとき、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、前記補助ポンプを駆動することを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、請求項2〜請求項4に記載の発明による効果に加えて、前記ドレンポンプによる前記蒸気ボイラへの給水が正常に行われないとき、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、前記補助ポンプを駆動するので、前記ドレンポンプが正常でないときでも、ドレンを前記補給水タンクに回収しつつ、前記蒸気ボイラの運転を継続でき、結果としてドレン回収システムの運転を継続できるという効果を奏する。
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5において、前記第一弁は、通電停止時に閉じる弁とし、前記第二弁は、通電停止時に開く弁としたことを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、請求項2〜請求項5に記載の発明による効果に加えて、ドレン回収システム側の電源が停電などで遮断した場合、前記第一弁および前記第二弁が自動的に前記第二開閉状態となるので、前記負荷機器の運転を停止する事態を確実に回避できるという効果を奏する。
この発明によれば、ドレンのドレンタンクへの流入を停止したい場合やドレンのドレンタンクへの流入が不可能な場合でも熱損失を抑えながらその停止を可能として、負荷機器の運転停止といった異常事態を防止することができる。
この発明を実施したドレン回収システムの実施例1の概略構成図である。 同実施例1の第一弁の制御プログラムを説明するフローチャート図である。 同実施例1の第二弁の制御プログラムを説明するフローチャート図である。 同実施例1の補給水ポンプの制御プログラムを説明するフローチャート図である。 同実施例1のドレンポンプの制御プログラムを説明するフローチャート図である。 同実施例1の第三弁の制御プログラムを説明するフローチャート図である。 同実施例1の第四弁の制御プログラムを説明するフローチャート図である。 同実施例1の第五弁の制御プログラムを説明するフローチャート図である。 この発明を実施したドレン回収システムの実施例2の概略構成図である。
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、蒸気ボイラの蒸気使用機器である負荷機器から回収したドレンを蒸気ボイラへ供給して利用するドレン回収システムに好適に実施される。
この実施の形態を具体的に説明する。この実施の形態のドレンシ回収ステムは、蒸気を負荷機器へ供給する蒸気ボイラと、ドレン戻しラインを通して負荷機器から排出されるドレンを貯留し、ドレンポンプを有するドレン供給ラインを通して貯留したドレンを蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンクと、補給水ポンプを有する補給水ラインを通して補給水をドレンタンクへ供給する大気開放型の補給水タンクとを備えている。
この実施の形態の特徴とするところは、ドレン戻しラインに設けられる開閉可能な第一弁と、ドレン戻しラインの第一弁の上流側と補給水タンクとの間に接続されるドレン逃がしラインと、ドレン逃がしラインに設けられる開閉可能な第二弁とを備え、第一弁を開き、第二弁を閉じる第一開閉状態と、第一弁を閉じ、第二弁を開く第二開閉状態とを選択可能に構成したところにある。
この実施の形態においては、負荷機器からのドレンのドレンタンク内への流入を停止したい場合やドレンのドレンタンクへの流入が不可能な場合には、第一弁および第二弁を第二開閉状態とする。すると、負荷機器からドレンタンク内へのドレンの流入を停止できる。そして、ドレンタンクへ流入しようとしたドレンは、ドレン逃がしラインを通して補給水タンクへ流入するので、負荷機器の運転の停止を回避できる。その際、負荷機器の高温ドレンが補給水タンクに流入するので、ドレンを補給水タンクに回収することなく、システム外へ放出するものと比較して熱損失を低減できる。
この実施の形態においては、第一弁および第二弁を手動によって第一開閉状態または第二開閉状態とするように構成できるが、 好ましくは、第一弁および第二弁を電気的に開閉可能な弁として、制御手段によりシステムの運転状態に応じて、第一弁および第二弁を第一開閉状態と第二開閉状態とを自動的選択するように構成する。
そして、この好ましい実施の形態において、さらに好ましくは、ドレンタンクから蒸気ボイラへ供給するドレン温度を検出する温度検出器と、ドレンタンク内の水位を検出する水位検出器とを備え、制御手段は、温度検出器による検出温度が第一設定温度TH超過で前記補給水ポンプを駆動し、第一設定温度TH以下で補給水ポンプを停止する。そして、補給水ポンプの駆動時、前記水位検出器の検出水位が第一設定水位LHH超過で補給水ポンプを停止して、第一弁および第二弁を第二開閉状態とすると共に、第一設定水位LHH以下で補給水ポンプを駆動して第一弁および第二弁を第一開閉状態とするように構成する。第一設定水位LHHは、ドレンタンクがオーバーフローするのを防止すべく、これ以上水位を上げることができない上限設定水位である。なお、この発明において、「超過」を「以上」に、「以下」を「未満」としても実質的に同じであり、この発明に包含される。
このように構成した実施の形態によれば、ドレンタンク内のドレン温度が第一設定温度THを超過すると補給水ポンプが駆動され、第一設定温度TH以下(THよりディファレ
ンシャル分低い値)となると補給水ポンプを停止するので、ドレンタンク内のドレン温度は、ほぼ第一設定温度に維持される。
また、補給水ポンプが駆動されている時、水位検出器の検出水位が第一設定水位LHHを超過すると補給水ポンプを停止すると共に、第一弁および前記第二弁を第二開閉状態とする。その結果、ドレンタンク内の水位が第一設定水位LHHを超えることが防止される。また、前記の第二開閉状態とすることで、ドレンが保有する多量の熱量をドレンタンク内に取り込むことがない。
そして、検出水位が第一設定水位LHH以下となると補給水ポンプが駆動されると共に、第一弁および第二弁が第一開閉状態とされる。その結果、補給水ポンプにより供給される補給水によりドレンタンク内のドレンが冷却される。こうした構成の実施の形態によれば、常時ドレンをドレンタンク内へ取り込む特許文献1のシステムと比較して、短時間にドレンタンク内のドレンが冷却される。また、短時間の冷却により、特許文献1のシステムと比較して運転時間を短縮でき、節電が可能となる。
また、この実施の形態のさらに好ましい形態において、好ましくは、制御手段は、補給水ポンプの駆動時、温度検出器による検出温度が第一設定温度THより高い第二設定温度THH超過で、第一弁および第二弁を第二開閉状態とすると共に、第二設定温度THH以下で第一弁および第二弁を前記第一開閉状態とするように構成する。第二設定温度THHは、蒸気ボイラへ供給するドレンとして、これ以上温度を上げることができない上限設定温度である。たとえば、蒸気ボイラにエコノマイザ(給水予熱器)を備えるものにおいては、設定温度以上に給水温度が上昇するとエコノマイザで給水が沸騰する不都合を生ずるが、この沸騰を防止するための上限設定温度である。
このように構成することにより、補給水ポンプの駆動時、温度検出器による検出温度が第二設定温度THHを超過すると、第一弁および第二弁が第二開閉状態とされると共に、第二設定温度THH以下となると第一弁および第二弁を前記第一開閉状態とするので、第二設定温度THHを超えると、ドレンが保有する多量の熱量をドレンタンク内に取り込むことなく、補給水タンク内の低温の補給水によりドレンタンク内のドレン温度を第二設定温度THH以下に速やかに冷却できる。その結果、特許文献1のシステムと比較して、第二設定温度THH(上限設定温度)以下に、短時間にドレンタンク内のドレンを冷却することができる。
以上説明した実施の形態において、つぎの第一構成または第二構成を付加することができる。第一構成は、補給水タンクと蒸気ボイラとを接続し補助ポンプを有する予備給水ラインを備え、ドレンポンプによる蒸気ボイラへの給水が正常に行われないとき、第一弁および第二弁を第二開閉状態とすると共に、補助ポンプを駆動するものである。
補助ポンプは、好ましくは、蒸気ボイラに付設(ボイラの箱体内または外部に設ける)のポンプとするがこれに限定されるものではない。また、ドレンポンプによる蒸気ボイラへの給水が正常に行われないとは、ドレンポンプの故障や能力低下を意味し、蒸気ボイラの缶体の水位制御が正常に行えない状態を意味している。給水が正常に行われないとの異常検出は、蒸気ボイラの制御手段で判定し、補助ポンプを駆動すると共に、異常検出信号をドレン回収システムの制御手段に送信して、第一開閉状態と第二開閉状態とを選択するように構成することができる。勿論、これらの制御をドレン回収システムの制御手段により一括して行うように構成することもできる。
第二構成は、第一弁を通電停止時に閉じる,所謂ノーマルクローズの弁とし、第二弁を通電停止時に開く,所謂ノーマルオープンの弁とするものである。こうすることにより、
ドレン回収システム側の電源が停電などで遮断した場合、第一弁および第二弁は、自動的に前記第二開閉状態となる。その結果、ドレンを回収できないことに伴う負荷機器の運転を停止する事態を確実に回避できる。
ここで、この発明の実施の形態のドレンシ回収ステムを構成する構成要素を説明する。蒸気ボイラおよび負荷機器は、特定の形式、構造のものに限定されない。
また、ドレンタンクは、密閉型のものであればよく、特定の構造のものに限定されない。補給水タンクは、大気開放型のものであればよく、特定の構造のものに限定されない。加圧蒸気ラインは、ドレンタンク内圧力に応じて開閉する加圧弁を有し、蒸気ボイラ(蒸気ボイラの蒸気出口に設けられるスチームヘッダを含む)からドレンタンクへ大気圧を超える圧力の加圧蒸気を供給する加圧蒸気ラインを備える。加圧弁は、機械式に圧力に応答した開閉する弁または圧力センサにより電気的に開閉する弁とする。この加圧蒸気ラインを備えることにより、ドレンタンク内へ蒸気を供給して飽和圧力以上に保つことで、フラッシュ蒸気を発生させることなく、高温のドレンを回収することができる。
また、第一弁および第二弁は、モータバルブや電磁弁やエア駆動バルブなどを用いることができる。
また、温度検出器は、ドレン供給ラインを通して蒸気ボイラへ供給するドレン温度を検出するものであり、熱電対やサーミスタを用いることができる。この温度検出器の取付け位置は、好ましくは、ドレンタンク内のドレン供給ライン近傍またはドレン供給ラインのドレンタンクに近い位置とする。
さらに、水位検出器は、公知の差圧式水位検出器や電極式水位検出やフロート式水位検出器を用いることができる。
ついで、この発明の実施例1のドレン回収システムを図1〜図8に従い説明する。
<実施例1の構成>
この実施例1のドレン回収システム1は、蒸気ボイラ2と、ドレン戻しライン3と、ドレンタンク4と、補給水ライン5と、ドレン供給ライン6と、補給水タンク7と、ドレン逃がしライン8と、加圧蒸気ライン9と、蒸気逃がしライン(圧力逃がしラインと称することができる。)10と、ドレン循環ライン11と、制御手段としての制御器12とを主要部として備えている。蒸気ボイラ2は、蒸気を使用する負荷機器13へ蒸気供給ライン2Aを通して供給するものである。図1において、一点鎖線Yで囲む部は、ドレン回収装置として一体的に構成されている。
ドレン戻しライン3は、負荷機器13から排出されるドレンをスチームトラップ(図示省略)を介してドレンタンク4へ供給するもので、ノーマルクローズのモータバルブからなる第一弁V1を備えている。
ドレンタンク4は、密閉型に構成され、貯留したドレンを、ドレンポンプ14を有するドレン供給ライン6を通して蒸気ボイラ2へ供給するものである。ドレンタンク4には、水面計15が気相部同士を連通する第一連通管16と液相部同士を連通する第二連通管17とで接続されている。第一連通管16には、ドレンタンク4内の圧力を検出する第一圧力検出器としての圧力センサ18を設けている。この圧力センサ18は、ドレンタンク4または水面計15の液相部(または気相部)に設けても良い。
また、水面計15には、水面計15内の水位を検出する第一水位検出器としての差圧式の水位センサ19と、水位センサ19をバックアップするように異常水位を検出する第二水位検出器としてのフロートスイッチ20と、圧力センサ18をバックアップするように異常圧力を検出する第二圧力検出器としての開閉スイッチ式の圧力スイッチ21とを備えている。この圧力スイッチ21もドレンタンク4に設けても良い。圧力スイッチは、複数設けることができる。
補給水ライン5は、補給水ポンプ22と、補給水タンク7方向の流れを阻止する第一逆止弁23とを有し、大気開放型の補給水タンク7内に貯留された補給水をドレンタンク4へ供給するものである。補給水タンク7には、補給水補充ライン24を備えており、図示省略の水位検出器により補給水タンク7内の水位が設定水位となるように補給水補充ライン24の流量を調整する。
ドレン供給ライン6には、ドレンポンプ14と、ドレンポンプ14方向の流れを阻止する第二逆止弁25とを設けている。そして、ドレン供給ライン6のドレンポンプ14出口側とドレンタンク4との間に、ドレンタンク4内のドレンを循環させるドレン循環ライン11(ドレン供給ライン6の一部を含む)を設けている。ドレン循環ライン11の循環量は、ドレンポンプ14冷却必要な最低限の流量である最小流量(ミニマムフロー)以上としている。
ドレン循環ライン11は、ドレンタンク4内の気相部にドレンを霧状に噴射するノズルを有する噴射部としての噴出管(噴射器と称することができる。)26を備える第一循環ライン11Aと、ドレンタンク4内の液相部にドレンを戻す第二循環ライン11Bとを含んで構成されている。第一循環ライン11Aには、モータバルブからなる第五弁V5を設け、第二循環ライン11Bには、第五弁V5閉時の第二循環ライン11Bの流量(ミニマムフロー)を調整する流通抵抗としてのオリフィス27を設けている。また、第二循環ライン11Bを構成する流路(ドレンタンク4内およびドレン供給ライン6を含む)の適所(実施例1では、ドレン供給ライン6のドレンタンク4とドレンポンプ14との間)に蒸気ボイラ2へ供給するドレンの温度を検出する温度検出器28を設けている。
ドレン逃がしライン8は、ドレン戻しライン3の第一弁V1の上流側と補給水タンク7とを接続し、ノーマルオープンのモータバルブからなる第二弁V2を設けている。
加圧蒸気ライン9は、蒸気ボイラ2の蒸気出口側である蒸気供給ライン2Aとドレンタンク4とを接続し、加圧弁としてのモータバルブからなる第三弁V3を設けている。なお、第三弁V3の一次側に必要に応じて減圧弁(図示省略)を設ける。
蒸気逃がしライン10は、ドレンタンク4の気相部と補給水タンク7とを接続し、設定圧以上で開く機械的に作動する圧力調整弁29と、この圧力調整弁29と並列に接続するモータバルブからなる第四弁V4を設けている。
さらに、補給水タンク7と蒸気ボイラ2との間には、ドレンポンプ14が停止して、蒸気ボイラ2へドレンが供給できないとき、補給水タンク7の補給水を蒸気ボイラ2へ供給する予備給水ライン30を設けている。この予備給水ライン30には、蒸気ボイラ2に付属している補助ポンプ31と、補助ポンプ31方向の流れを阻止する第三逆止弁32とを設けている。
また、補給水タンク7には、第一混合器33および第二混合器34を設けている。第一混合器33は、蒸気逃がしライン10からの蒸気と補給水タンク7内下部の補給水とを混合させて熱交換させる機能を有する。また、第二混合器34は、ドレン戻しライン8から
のドレンから発生する蒸気と補給水タンク7内下部の補給水とを混合させて熱交換させる機能を有する。
第一混合器33および第二混合器34は、同じ構造を有し、蒸気と補給水とを混合する混合室33A,34Aと、混合室33A,34Aに連通され混合した水を補給水タンク7の液相部に導く導水パイプ33B,34Bと、導水パイプ33B,34Bの外側に間隔を存して形成される蒸気室33C,34Cとを含んで構成されている。各導水パイプ33B,34Bと、各蒸気室33C,34Cには、それぞれ蒸気孔(図示省略)が形成され、導水パイプ33B,34B内に存在する蒸気を蒸気孔を通して補給水タンク7の気相部に導き、気相部に微量の蒸気を存在させることで、酸素の再溶存を防止するように構成している。
混合室33Aには、蒸気逃がしライン10と補給水循環ライン35Aとが接続され、混合室34Aには、ドレン戻しライン8と補給水循環ライン35Bとが接続されている。各補給水循環ライン35A,35Bには、循環ポンプ36A,36Bを備えている。
この第一混合器33および第二混合器34の構成を備えないものでは、ドレン逃がしライン8のドレンおよび蒸気逃がしライン10の蒸気が補給水タンク7に流入すると、補給水タンク7が開放型であるので、ドレンや蒸気の保有する熱が容易に大気に逃げてしまう。これに対して、第一混合器33および第二混合器34の構成を備えることにより、ドレン逃がしライン8のドレンおよび蒸気逃がしライン10の蒸気の保有する熱を効果的に回収することができる。循環ポンプ36A,36Bによる補給水の循環は、補給水タンク7内の液相部の温度に基づき、たとえば温度が高いとき循環量を停止または減少するなどの制御を行うように構成することができる。
制御器12は、圧力センサ18,水位センサ19,フロートスイッチ20,圧力スイッチ21,温度検出器28などからの信号を入力して、予め記憶している制御手順に基づき、第一弁V1〜第五弁V5,ドレンポンプ14、補給水ポンプ22などを制御する。なお、補助ポンプ31は、蒸気ボイラ2側の制御器で制御しているが、制御器12で制御するように構成することもできる。
制御器12の制御手順には、ドレンタンク4内の水位およびドレン温度を制御する水位・ドレン温度制御手順,ドレン循環ライン11の循環を制御するドレン循環制御手順などが含まれている。
水位・ドレン温度制御手順は、つぎの第一制御と第二制御とを含んでいる。第一制御は、温度検出器28による検出温度が第一設定温度TH以上で補給水ポンプ22を駆動し、第一設定温度TH未満で補給水ポンプ22を停止し、補給水ポンプ22の駆動時、水位センサ19の検出水位が第一設定水位LHH以上で補給水ポンプ22を停止して、第一弁V1および第二弁V2を第二開閉状態とすると共に、第一設定水位LHH未満で補給水ポンプ22を駆動して第一弁V1および第二弁V2を第一開閉状態とする制御である。
第二制御は、補給水ポンプ22の駆動時、温度検出器28による検出温度が第一設定温度THより高い第二設定温度THH以上で、第一弁V1および第二弁V2を第二開閉状態とすると共に、第二設定温度THH未満で第一弁V1および第二弁V2を第一開閉状態とする制御である。これらの第一制御および第二制御は、図2,図3および図4の制御手順で実現している。
この実施例1では、第一設定温度TH,第二設定温度THHをそれぞれ170℃,175℃としているが、システムの構成や運転条件に応じて、温度は、100〜220℃の範
囲で適宜設定可能である。なお、これらの数値は、この発明の権利範囲を限定するものではない。
ドレン循環制御手順は、温度検出器28の検出温度が第一設定温度THを超過する(または以上となる)か、第一設定温度THより低い第三設定温度TL未満(または以下)のとき、第一循環路11Aによるドレン循環を停止する手順と、第一圧力検出器18の検出圧力が第一設定圧力(上限圧力)PHを超過する(または以上となる)と第一循環路11Aによるドレン循環を行う手順とを含んでいる。このドレン循環制御手順の一例を図8に示す。
また、具体的な実施例1の第一弁V1の制御手順,第二弁V2の制御手順,補給水ポンプ22の制御手順,ドレンポンプ14の制御手順,第三弁V3の制御手順,第四弁V4の制御手順,第五弁V5の制御手順は、それぞれ図2,図3,図4,図5,図6,図7,図8に示している。
<実施例1の動作>
(水位・ドレン温度制御)
ここで、実施例1の水位・ドレン温度制御手順による動作を図1〜図4に基づき説明する。図1を参照して、負荷機器13においては、ボイラ2から供給された蒸気が液化する。液化したドレンは、ドレン戻しライン3を通して、ドレンタンク4へ流入しようとする。
図2および図3を参照して、システムの運転スイッチ(図示省略)がONされると、処理ステップS1(以下、処理ステップSNを単にSNと称する。),S11において、第一弁V1を閉じ,第二弁V2を開き(第二開閉状態)、S2へ移行して、圧力スイッチ21がONしているかどうかを判定する。水面計15内の圧力が異常高圧設定圧力(後記第一設定圧力PHより高い設定圧力)以上となると、圧力スイッチ21がONするので、S2,S12でYESが判定され、S1,S11に戻って第二開閉状態を維持する。
こうして、ドレンタンク4内の圧力が異常高圧のときは、負荷機器13からのドレンはドレンタンクへ流入することが防止され、代わりに補給水タンク7へ流入する。その結果、ドレンタンク4内の圧力が異常高圧であっても負荷機器13の運転を継続しながらドレンが補給水タンク7へ回収される。このドレンの回収は、前述のように、第二混合器34を通して行われる。
このとき、図5のS32においてもYESが判定されるので、ドレンポンプ14が停止され、ドレンタンク4から蒸気ボイラ2への給水が停止される。しかしながら、蒸気ボイラ2の制御器(図示省略)は、ドレンタンク4からの給水が無いことを判定すると、補助ポンプ31を駆動する。その結果、補給水タンク7から蒸気ボイラ2への給水が継続されるので、蒸気ボイラ2の運転も継続され、負荷機器13での蒸気の継続使用が可能となる。
図2,図3に戻ってS2,S12でNOが判定されると、S3,S13へ移行して、フロートスイッチ20が異常高設定水位(後記第一設定水位LHHより高い設定水位)以上を検出しているかどうかを判定する。水面計15内の水位が異常高設定水位以上となると、S3,S13でYESが判定され、S1,S11に戻って第二開閉状態を維持する。なお、水位センサ19が正常に作動しているときは、フロートスイッチ20が作動することは無く、S3,S13でYESが判定されることはない。
こうして、ドレンタンク4内の水位が異常高水位のときも、ドレンタンク4内の圧力が
異常高圧のときと同様に、負荷機器13の運転を継続しながらドレンが補給水タンク7へ回収される。このとき、ドレンポンプ14が停止されるが、補助ポンプ31の駆動により、蒸気ボイラ2の運転が継続されるのは、ドレンタンク4内の水位が異常高水位のときと同様である。
S3,S13でNOが判定されると、S4,S14へ移行し、水位センサ19が第一設定水位LHHの超過(LHHよりディファレンシャル分高い値)を検出しているかどうかを判定する。水面計15内の水位が第一設定水位LHHを超過すると、S4,S14でYESが判定され、S1,S11に戻って第二開閉状態を維持する。
こうして、ドレンタンク4内の水位が第一設定水位LHHを超過すると、ドレンタンク4内へのドレンの流入が阻止され、ドレンタンク4内が異常高水位となることが防止される。そして、ドレンタンク4内の圧力が異常高圧のときと同様に、負荷機器13の運転を継続しながらドレンが補給水タンク7へ回収される。このとき、ドレンポンプ14が停止されるが、補助ポンプ31の駆動により、蒸気ボイラ2の運転が継続されるのは、ドレンタンク4内の水位が異常高水位のときと同様である。
そして、水位センサ19の検出水位が第一設定水位LHH以下を検出すると、S4,S14でNOが判定され、S5,S15へ移行して、温度センサ28の検出温度が第二設定温度THHを超過(THHよりディファレンシャル分高い値を検出)かどうかを判定する。S5,S15でYESが判定されると、S1,S11へ移行して、第二開閉状態を維持する。そして、温度センサ28の検出温度が第二設定温度THH以下を検出すると、S5,S15でNOが判定され、S6,S16へ移行して、第一弁V1を開き、第二弁を閉じ(第一開閉状態)、負荷機器13からのドレンがドレンタンクへ流入する。
こうして、S5,S15の処理により、ドレンタンク4へは温度センサ28の検出温度が第二設定温度THHを超過すると、ドレンタンク4内へ高温のドレンの流入が阻止されることで、ドレンタンク4内のドレン温度が第二設定温度THHを超過することが阻止される。このドレン流入阻止の動作とつぎに説明する補給水ポンプ22の制御によるドレンの冷却動作により、ドレンタンク4内のドレン温度の速やかな低下が実現される。
つぎに補給水ポンプ22の動作を図4に基づき説明する。S21で補給水ポンプ22を停止する。ついで、S22で、圧力スイッチ21がONかどうかを判定する。YESの場合、S21へ移行して、補給水ポンプ21を停止する。NOの場合、S23へ移行して、フロートスイッチ20が異常高設定水位を検出しているかどうかを判定する。
S23でYESが判定されると、S21へ移行して、補給水ポンプ22を停止する。NOが判定されると、S24へ移行して、水位センサ19が第一設定水位LHH(>LH)の超過を検出(LHHよりディファレンシャル分高い値を検出)しているかどうかを判定する。YESの場合、S21へ移行して、補給水ポンプ22を停止する。
後記のように、ドレンポンプ14の駆動により、ドレンタンク4内の水位が低下し、検出水位が第一設定水位LHH以下となると、S24でNOが判定され、S25へ移行して、温度センサ28の検出温度が第一設定温度TH(<THH)の超過(THよりディファレンシャル分高い値を検出)かどうかを判定する。検出温度が第一設定温度THを超過し、S25でYESが判定されると、S227へ移行して、補給水ポンプ22を駆動する。この補給水ポンプ22の駆動により、補給水タンク7から低温の補給水がドレンタンク4内へ補給される。
温度センサ28の検出温度が第一設定温度TH以下となり、S25でNOが判定される
と、S26へ移行して、ドレンタンク4内水位が第二設定水位LHを超過(LHよりディファレンシャル分高い値を検出)かどうかを判定する。YESが判定されると、S21へ移行して、補給水ポンプ22を停止する。後記のように、ドレンポンプ14の駆動により、ドレンタンク4内の水位が低下し、水位が第二設定水位LH以下となり、S26でNOが判定されると、S27へ移行して、補給水ポンプ22を駆動する。この補給水ポンプ22の駆動により、補給水タンク7から低温の補給水がドレンタンク4内へ補給される。
このように、ドレンタンク4内のドレン温度が第一設定温度THを超過し、ドレンタンク4内の水位が第一設定水位LHH以下の場合、補給水ポンプ22が駆動されて、ドレンタンク4内のドレンの冷却制御(第一制御)が行われる。そして、前述のように、ドレンタンク4内の水位が第一設定水位LHHを超過するか、ドレン温度が第二設定温度THH以上となると、第一弁V1および第二弁V2を第二開閉状態とすることにより、ドレンが保有する多量の熱量をドレンタンク4内に取り込まない制御(第二制御)を行う。その結果、ドレンタンク4内の温度が第二設定温度THH以上となっても第一制御と第二制御とにより、特許文献1のシステムと比較して、短時間にドレンタンク4内のドレンが冷却される。これにより、補給水ポンプ22の運転時間を短縮でき、節電が可能となる。
つぎに、ドレンポンプ14の動作を図5に基づき説明する。S31で、ドレンポンプ14を停止する。ついで、S32へ移行して、圧力スイッチ21がONかどうかを判定し、YESの場合、S31へ移行して、ドレンポンプ14を停止する。
S32でNOが判定されると、S33へ移行して、フロートスイッチ20が異常低設定水位水位以上かどうかを判定する。YESの場合、S31へ移行して、ドレンポンプ14を停止する。S33でNOが判定されると、S34へ移行して、センサ19が第三設定水位LLL(<第二設定水位LH)の超過(LLLよりディファレンシャル分高い値)を検出しているかどうかを判定する。判定の結果がYESの場合、S31へ移行してポンプ14を停止し、蒸気ボイラ2への給水を行わない。
ドレンタンク4内水位が第三設定水位LLL以下となると、S34でYESが判定され、S35へ移行して、圧力センサ18が第二設定圧力PLより低い第三設定圧力PLLを超過(PLLよりディファレンシャル分高い値)かどうかを判定する。S35で、第三設定圧力PLL以下が検出されると、NOが判定され、S31へ移行して、ドレンポンプ14を停止する。S35でYESの場合、S36へ移行して、ドレンポンプ14を駆動する。
このように、ドレンポンプ14は、基本的に、ドレンタンク4内の水位が第三設定水位LLLを超過で、かつ圧力が第三設定圧力PLLを超過の条件で、駆動され、ドレンタンク4から蒸気ボイラ2へドレンが供給される。なお、ドレンポンプ14の故障時には、前述のように、補助ポンプ31の駆動により、蒸気ボイラ2の運転が継続される。
(ドレンタンク内圧力制御)
つぎに、ドレンタンク4内の圧力制御を説明する。まず、第三弁V3の動作を図6に基づき説明する。S41で、第三弁V3を閉じる。ついで、S42へ移行して、圧力スイッチ21がONかどうかを判定し、YESの場合、S41へ移行して、第三弁V4を閉じ、ドレンタンク4内が異常高設定圧力を超えないようにする。
S42でNOが判定されると、S43へ移行して、フロートスイッチ20が異常低設定水位以下かどうかを判定する。YESの場合、S41へ移行して、第三弁41を閉じる。S43でNOが判定されると、S44へ移行して、水位センサ19が第三設定水位LLLの超過(LLLよりディファレンシャル分高い値)を検出しているかどうかを判定する。
水位が第三設定水位LLL以下で、NOの場合、第三弁41を閉じる。
S44でYESが判定されると、S45へ移行して、圧力センサ18が異常高設定圧力より低く第三設定圧力PLLより高い第二設定圧力PLを超過か(PLよりディファレンシャル分高い値)どうかを判定する。YESの場合、S41へ移行して、第三弁41を閉じる。S45で、第二設定圧力PL以下が検出されると、NOが判定され、S46へ移行して、第三弁V3を開く。
このように、第三弁V3は、基本的に、ドレンタンク4内の水位が第三設定水位LL以上で、圧力が第二設定圧力PL未満の条件で開き、加圧蒸気ライン9を通して、ドレンタンク4内へ蒸気を供給して、ドレンタンク4内の圧力をほぼ第二設定圧力PLに保持する。
つぎに、第四弁V4の動作を図7に基づき説明する。S51では第四弁V4を閉じる。図1を参照して、圧力調整弁29は、ドレンタンク4内の圧力が設定圧力(異常高設定圧力より低く第二設定圧力PLより高い値)以上になると開くので、ドレンタンク4内の圧力は、圧力調整弁29の設定圧力未満に制御されている。しかしながら、圧力調整弁29が故障するなどの理由により、圧力が上昇し、圧力センサ18のよる検出圧力が第一設定圧力PH(異常高設定圧力より低く、第二設定圧力PLより高い値)を超過(PHよりディファレンシャル分高い値)すると、S52で、YESが判定され、S53のNOの判定を経て、S54で第四弁V4を開く。
第四弁V4の故障などにより、さらに圧力が上昇して、圧力スイッチ21が異常高圧を検出すると、圧力スイッチ21がONし、S53でYESが判定されて、第四弁V4を閉じる。この圧力スイッチ21が異常高圧を検出したときは、システム1をインターロック状態に停止する動作を行う。第四弁V4を閉じるのは、インターロック動作の一環である。なお、インターロック状態としない場合は、S53でYESが判定されると、第四弁V4を開くように構成することができる。
S52で、第一設定圧力PH以下が検出されると、NOが判定され、S51へ移行して、第四弁V4を閉じる。
このように、第四弁V4は、基本的に、ドレンタンク4内の圧力が第一設定圧力PHの超過の条件で開くので、圧力調整弁29が故障しても蒸気逃がしライン10を通して、ドレンタンク4内の高圧蒸気を補給水タンク7内へ逃がし、ドレンタンク4内の異常高圧を防止する。
(フラッシュ蒸気からの熱回収制御)
つぎに、フラッシュ蒸気からの熱回収制御について説明する。まず、第五弁V5の動作を図8に基づき説明する。S61では第五弁V5を閉じる。今、ドレンポンプ14が駆動されているとすると、ドレンタンク4内のドレンは第二循環ライン11Bを通して循環し、ドレンポンプ14のミニマムフローが確保されるともに、ドレンタンク4内のドレン温度が均一化される。
ついで、S62では、圧力スイッチ21がONかどうかを判定し、YESの場合、S61へ移行して、第五弁V5を閉じ、第一循環ライン11Aを通してドレンをドレンタンク4内へ噴出しない。
NOの場合、S63へ移行して、温度センサ28の検出温度が第二設定温度THH以上かどうかを判定する。S33でYESが判定されると、S61へ移行して、第五弁V5を
閉じ、ドレンをドレンタンク4内へ噴出しない。
S63でNOが判定されると、S64へ移行して、温度センサ28の検出温度が第三設定温度TL未満かどうかを判定する。S64でYESが判定されると、S61へ移行して、第五弁V5を閉じ、ドレンをドレンタンク4内へ噴出しない。その理由は、つぎの通りである。ドレンタンク4内のドレン温度が低い状態でドレンを噴射すると、ドレンタンク4内の圧力が低下し、第三弁V3が開き、加圧蒸気ライン9から蒸気が供給されることを防止するためである。
S64で、第三設定温度TLを超える値(TLよりディファレンシャル分高い値)が検出され、NOが判定されると、S65へ移行して、ドレンタンク4内圧力が、第一設定圧力PHを超過(PHよりディファレンシャル分高い値)かどうかを判定する。第一設定圧力PH以下が検出されると、S65で、NOが判定さ、S61で第五弁V5を閉じ、ドレンをドレンタンク4内へ噴出しない。その理由は、つぎの通りである。ドレンタンク4内の圧力が低い状態でドレンを噴射すると、ドレンタンク4内の圧力がさらに低下し、第三弁V3が開き、加圧蒸気ライン9から蒸気が供給されることを防止するためである。
S65で、第一設定圧力PHの超過が検出されると、YESが判定され、S66へ移行して、第五弁V5を開く。すると、ドレンタンク4内のドレンは、第一循環ライン11Aを通して噴出管26からドレンタンク4の気相部へ噴出され、この噴出によりドレンタンク4内の気相部の熱を効率よく回収して高温のドレンを得ることができる。この第二循環ライン11Aからのドレン噴出時にも第二循環ライン11Bを通してドレンが循環している。
このように、第五弁V5は、基本的に、ドレンタンク4内のドレン温度が第二設定温度THH以下で、かつ第三設定温度TL以上で、かつドレンタンク4内圧力が第一設定圧力PHを超過の条件で開いて、噴出管26からドレンを噴出する。その結果、ドレン温度を必要以上に高くすることなく、ドレンタンク4内の気相部の熱を効率よく回収して高温のドレンを得ることができる。
この発明は、前記実施例1に限定されるものではなく、図9の実施例2を含むものである。この実施例2において、実施例1と異なるのは、第二循環ライン11A,第一混合器33,第二混合器34を削除した点であり、その他の構成は実施例1と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
また、前記実施例1,2に限定されるものではなく、前記実施例1,2において、フロートスイッチ20,圧力スイッチ21は、省略可能である。また、加圧蒸気ライン9および蒸気逃がしライン10は必ずしも必要としない。
1 ドレン回収システム
2 蒸気ボイラ
4 ドレンタンク
5 補給水ライン
6 ドレン供給ライン
7 補給水タンク
12 制御器(制御手段)
13 負荷機器
14 ドレンポンプ
19 水位センサ(水位検出器)
28 温度検出器
V1 第一弁
V2 第二弁
TH 第一設定温度
THH 第二設定温度
LHH 第一設定水位

Claims (6)

  1. 蒸気を負荷機器へ供給する蒸気ボイラと、
    ドレン戻しラインを通して前記負荷機器から排出されるドレンを貯留し、ドレンポンプを有するドレン供給ラインを通して、貯留したドレンを前記蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンクと、
    補給水ポンプを有する補給水ラインを通して補給水を前記ドレンタンクへ供給する大気開放型の補給水タンクとを備えるドレン回収システムであって、
    前記ドレン戻しラインに設けられる開閉可能な第一弁と、
    前記ドレン戻しラインの前記第一弁の上流側と前記補給水タンクとの間に接続されるドレン逃がしラインと、
    前記ドレン逃がしラインに設けられる開閉可能な第二弁とを備え、
    前記第一弁を開き、前記第二弁を閉じる第一開閉状態と、前記第一弁を閉じ、前記第二弁を開く第二開閉状態とを選択可能に構成したことを特徴とするドレン回収システム。
  2. システムの運転状態に応じて、前記第一弁および前記第二弁の前記第一開閉状態と前記第二開閉状態とを自動的選択する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のドレン回収システム。
  3. 前記ドレンタンクから前記蒸気ボイラへ供給するドレン温度を検出する温度検出器と、
    前記ドレンタンク内の水位を検出する水位検出器とを備え、
    前記制御手段は、前記温度検出器による検出温度が第一設定温度超過で前記補給水ポンプを駆動し、第一設定温度以下で前記補給水ポンプを停止し、
    前記補給水ポンプの駆動時、前記水位検出器の検出水位が第一設定水位超過で前記補給水ポンプを停止して、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、第一設定水位以下で前記補給水ポンプを駆動して前記第一弁および前記第二弁を前記第一開閉状態とすることを特徴とする請求項2に記載のドレン回収システム。
  4. 前記制御手段は、前記補給水ポンプの駆動時、前記温度検出器による検出温度が第一設定温度より高い第二設定温度超過で、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、第二設定温度以下で前記第一弁および前記第二弁を前記第一開閉状態とすることを特徴とする請求項3に記載のドレン回収システム。
  5. 前記補給水タンクと前記蒸気ボイラとを接続し補助ポンプを有する予備給水ラインを備え、
    前記ドレンポンプによる前記蒸気ボイラへの給水が正常に行われないとき、前記第一弁および前記第二弁を前記第二開閉状態とすると共に、前記補助ポンプを駆動することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のドレン回収システム。
  6. 前記第一弁は、通電停止時に閉じる弁とし、前記第二弁は、通電停止時に開く弁としたことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のドレン回収システム。
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