JP5922790B2 - バルブアクチュエータトルクリミッタ - Google Patents

Description

本発明はトルクリミッタに関する。

バルブアクチュエータのような、モーター駆動作動機構に印加される力は、あらかじめ設定されたトルクに達すると駆動モーターへの電力を絶つために作動機構におけるトルク反力が利用されるトルク検知素子によって制御されることが多い。一般的なモーター駆動作動機構はウォーム及びホイールを有することができ、ウォームシャフトがバネに抗して軸方向に動くことができ、シャフトの偏位がウォームホイールに印加されるトルク及びアクチュエータ出力の尺度である。得られる偏位は、トルクリミッタ及びコンタクタを用いて電気モーターを止めるか、または適するバルブシステムによって流体駆動モーターを切るために用いることができる。このタイプのトルクリミッタの一例が特許文献１に与えられている。

従来、トルクリミッタは、そこがウォームシャフトをアクセスさせて適合させることができる場所であるから、モーターの端に配置される。しかし、モーターが用いられる場合のバルブアクチュエータのような、いくつかの場合には、モーターハウジングの封入端においてモーターシャフトにアクセスすることはできないから、トルクリミッタをそこに配置することができない。このため、リミッタを内部に移動させることが必要になり、そのような調節は容易には達成できない。

英国特許第１４４６００５号明細書

本発明の課題は、上に論じた問題の内の少なくともいくつかに対処することにある。

本発明の第１の態様にしたがえば、バルブアクチュエータトルクリミッタが提供され、トルクリミッタは、
軸方向に二通りに移動可能であり、使用において、バルブアクチュエータ駆動シャフトを回転させるために回転可能な、可動シャフト、
可動シャフトに取り付けられたブレーキディスク、
ブレーキディスクの第１の側に配置された第１の摩擦デバイス、
ブレーキディスクの第２の側に配置された第２の摩擦デバイス、
少なくとも、ブレーキディスク、第１の摩擦デバイス及び第２の摩擦デバイスを収めるケーシング、及び
ブレーキディスクに対する第１の摩擦デバイス及び／または第２の摩擦デバイスの位置を調節するための調節機構であって、ケーシングの外部から操作可能である調節機構、
を備えるかまたは含み、使用において、ブレーキディスクと第１の摩擦デバイスまたは第２の摩擦デバイスの間の接触がモーターによる可動シャフトの回転を止める。

第１の摩擦デバイス及び／または第２の摩擦デバイスは、ギアを有する摩擦ディスクを含むことができる。調節機構は第１の摩擦ディスク及び／または第２の摩擦ディスクのギアが随伴するウォーム駆動ギアを有することができる。ウォーム駆動ギアは、使用において、ウォーム駆動ギアが随伴ギアに噛み合うねじ部を有する細長部材を含むことができる。ウォーム駆動ギアの一部はケーシングの開口を通して突き出すことができる。突出し部は、ねじ回しのような、工具を用いる調節に役立つスロット等を有することができる。ウォーム駆動ギアの外端に隣接してロック装置を備えることができる。いくつかの実施形態において、一方には第１の摩擦ディスクが随伴し、他方には第２の摩擦ディスクが随伴する、２つのウォーム駆動ギアがある。

調節機構には、使用において、モーターと駆動シャフトの間の場所で、ケーシングを通してアクセスすることができる。

可動シャフトは、使用において、駆動シャフトのウォームギアと噛み合う、ウォームシャフトを含むことができる。

ケーシングは可動シャフトを少なくともある程度収める。ケーシングは、使用においてモーターを収めるための第１のケーシングコンポーネント、トルクリミッタのパーツを収めるための第２のケーシングコンポーネント、トルクリミッタのパーツ及び、使用において、駆動シャフトを収めるための第３のケーシングコンポーネントを含むことができる。

本発明の別の態様にしたがえば、
バルブを開閉するための駆動シャフト、
駆動シャフトを回転させるためのモーター、及び
実質的に、本明細書に説明されるようなトルクリミッタ、
を有するかまたは含む、バルブアクチュエータが提供される。

ケーシングはバルブアクチュエータのコンポーネントを、またトルクリミッタのコンポーネントも、少なくともある程度収めることができる。

本発明のまた別の態様にしたがえば、バルブ及び実質的に本明細書に説明されるようなバルブアクチュエータを有するバルブアセンブリが提供される。バルブアセンブリは第２段ギアボックスを有することができる。

本発明は本明細書に説明されるいかなる特徴にも、または特徴のいかなる組合せにも、その組合せが本明細書に明示的に説明されているか否かにかかわらず、及ぶ。

本発明は数多くの形で実施することができ、１つの例だけが図面を参照して説明され、示される。

図１はトルクリミッタを有するバルブアクチュエータの一部の外観図を示す。 図２はバルブアクチュエータの駆動シャフト及びトルクリミッタのコンポーネントを示す。 図３はトルクリミッタのコンポーネントを通る断面図を示す。

図１を参照すれば、全体として参照数字１００で示される、バルブアクチュエータのパーツが示されている。バルブアクチュエータは、英国バース(Bath)のRotork PLCから入手できるアクチュエータのような、いずれか適する装置とすることができ、一般に、モーターの代わりに駆動シャフト２０２の位置を手動で調節するために用いることができるハンドル１０４を有するであろう。バルブアクチュエータは、本例において、いずれか適する手段、例えば、ナット／ボルト、溶接、等によって結合される、いくつかのコンポーネントで形成された（ただし別形では一体とすることができるであろう）ケーシング１０２を有する。ケーシングコンポーネント１０２は、（図１には見えない）モーターを収めるためのケーシングコンポーネント１０２Ａ，（全体として参照数字１０３で示される）トルクリミッタのパーツを収めるためのケーシングコンポーネント１０２Ｂ，トルクリミッタのパーツ及び以下で説明されるアクチュエータの駆動シャフトを収めるためのケーシングコンポーネント１０２Ｃを有する。さらに、バルブアセンブリのための切換え機構を収めるケーシング部品１０２Ｄもある。ケーシングに用いられる設計、諸元及び材料は様々であり得るが、一般には、鋳鉄、アルミニウムまたは焼入れ鋼のような、堅牢な材料で形成されるであろう。本明細書に説明される例において、トルクリミッタはアクチュエータ本体に一体組込みされるであろうが、別の実施形態においては、例えば、あらかじめ形成されたアクチュエータに嵌め込まれる単体モジュールとすることができるであろう。

図２は、終駆動機２０３を有するバルブアクチュエータの駆動シャフト２０２を、トルクリミッタのパーツとともに、示す。シャフトは、ウォームシャフト２０８のねじ部２０６と噛み合うウォームギア２０４と嵌め合わされる。したがって、（図における）水平軸を回転軸とするウォームシャフトの回転の結果、垂直軸を回転軸とする駆動シャフトの回転が得られ、駆動シャフトの時計回り回転及び反時計回り回転はそれぞれ本例におけるバルブの閉位置及び開位置に対応する。アセンブリのいくつかの形態においては、第２段ギアボックスをアクチュエータとバルブの間に設けることもできる。ウォームギアを介して駆動シャフトに発生されているトルクに応答するウォームシャフトの軸方向運動を可能にする圧縮バネ２１０がウォームシャフトの右側に向けて嵌め合わされる。圧縮バネ２１０のような、本明細書に説明されるトルクリミッタのいくつかのコンポーネントは、Rotork PLC社から入手できるアクチュエータ製品群の内のＡＴ、ＮＡＴ１、ＮＡＴ５、ＮＡＴ１Ｅ、ＮＡＴ５Ｅに見られるコンポーネントに相当する。

図２に加えて図３を次に参照すれば、ウォームシャフト２０８の左端はスライディングカップリング２１２を介してモーター３０２につながっている。モーターは中心シャフト３０３を有し、中心シャフトの一端はスライディングカップリングを受け入れるために適合された空洞３０５を有する。シャフトの他端はバネ３０７を通過してベアリング３０９に入る。中心モーターシャフト３０３とウォームシャフト２０８の間の接続は、固定された中心モーターシャフトに対するウォームシャフトの軸方向移動を可能にするスライディングカップリングである。ブレーキディスク２１４が、一般には駆動シャフト２０２とモーターケーシング１０２Ａの間の位置で、ウォームシャフトに取り付けられる。第１の摩擦ディスク２１６Ａがブレーキディスクの左側に配され、第２の摩擦ディスク２１６Ｂがブレーキディスクの右側に配される。それぞれの摩擦ディスクはブレーキディスクと噛み合うことができる（複合温度安定硬質モールド成形摩擦材料で形成された）高摩擦面２１８Ａ，２１８Ｂを有する。それぞれの摩擦面は硬質ディスク２２０Ａ，２２０Ｂ上に固定される。それぞれのディスクの随伴高摩擦面と接触していない面から外ギアホイール２２２Ａ，２２２Ｂが延び出している。

図３に最善に見られるように、左側の摩擦ディスク２１６Ａは、（以下で説明される調節ウォーム２２４Ｂによって回転させられるときに）摩擦ディスク２１６Ａのケーシングコンポーネント内の概ね円環形の空洞２２７内での軸方向移動を可能にする、ケーシングコンポーネント１０２Ｂの円筒内ねじ部２２５に取り付けられる。右側のディスク２１６Ｂはケーシングコンポーネント１０２Ｃの（図示されていない）同様の構成で取り付けられる。

図２に最善に示されるように、それぞれの外ギアホイール２２２Ａ，２２２Ｂは、使用において、外ギアホイールと噛み合うねじ部を有する細長部材である、随伴ウォーム駆動ギア２２４Ａ，２２４Ｂを有する。それぞれのウォーム駆動ギアの長さは、図１に示されるように、ウォーム駆動ギアの一部がケーシング１０２の開口を通して突き出すような長さである。ウォーム駆動ギアの他端はケーシング内のベアリングによって支持することができる。突出し部の末端は、ウォームギアの、例えば、ねじ回しのような、工具を用いる、回転態様での容易な調節を可能にするための、スロット等を有することができる。摩擦ディスク２１６Ａ，２１６Ｂの位置を調節するための他の構成、例えばラッチ型機構が用いられ得ることは当然であろう。調節ウォーム２２４Ａ，２２４Ｂを完全に定められた位置に維持することを目的とした、ロック装置２２６Ａ，２２６Ｂをそれぞれのウォーム駆動ギアの外端に隣接して設けることもできる。

使用において、モーター３０２の制御の下での、ウォームシャフト２０８及びウォームシャフトに取り付けられたブレーキディスク２１４の軸方向移動の結果、開方向摩擦ディスク２１６Ａまたは閉方向摩擦ディスク２１６Ｂとの接触がおこり、制動効果を生じさせる。ウォームシャフトの軸方向変位は駆動シャフト２０２によって与えられるトルクに直接に関係し、よって駆動シャフトによって与えられる最大トルクは個々の（すなわち、一方は開トルクのため、他方は閉トルクのための）ウォーム駆動ギア装置２２４Ａ，２２４Ｂを用いて外部から調節することができる。ウォーム駆動ギア装置を回転させると外ギアホイール２２２Ａ，２２２Ｂを介して随伴摩擦ディスク２１６Ａ，２１６Ｂの回転及び軸方向移動がおこり、ブレーキディスク２１４に対する摩擦ディスク２１６Ａ，２１６Ｂの位置が決め直される。適する出力トルク測定システムを用いれば、いかなる動作条件の下でも、与えられる最大トルクを特定用途向けの値に制限するために、トルクリミッタをウォーム駆動ギア装置２２４Ａ，２２４Ｂによって調節することができる。

摩擦ディスク２１６Ａ，２１６Ｂがブレーキディスク２１４に近接して位置決めされている場合、制動効果を生じさせるには小さな軸方向変位しか必要ではなく、したがって駆動シャフト２０２において利用できるトルクは最小に抑えられる。逆に、制動効果がなく、したがってアクチュエータの駆動シャフトによって発生される最大トルクを広い範囲で調節できるように、摩擦ディスクをブレーキディスクから遠く離して位置決めすることができる。ウォーム駆動ギアは不可逆であるギア比をとることができ、そのロック装置２２６Ａ，２２６Ｂは摩擦ディスクの位置におけるクリープがおこらないことの保証に役立ち得る。

調節機構をモーター内に配置することで、本明細書に説明されるトルクリミッタはサイジングに関する利点を提供することができ、よって、アクチュエータの最大トルク能力が保証されるから、バルブにかかる応力が低減されて、バルブ設計者による適切な材料の選択が可能になる。したがって、本発明のトルクリミッタによりコストを低減することができ、それでも基本安全性要件を満たすかまたは上回ることができる。本発明のトルクリミッタが様々なタイプのバルブアクチュエータと、また他のタイプのモーター駆動作動機構とも、ともに用いられ得ることは理解されるであろう。

１００ バルブアクチュエータ
１０２ ケーシング
１０２Ａ，１０２Ｂ，１０２Ｃ ケーシングコンポーネント
１０２Ｄ ケーシング部品
１０３ トルクリミッタ
１０４ ハンドル
２０２ 駆動シャフト
２０３ 終駆動機
２０４ ウォームギア
２０６ ねじ部
２０８ ウォームシャフト
２１０ 圧縮バネ
２１２ スライディングカップリング
２１４ ブレーキディスク
２１６Ａ，２１６Ｂ 摩擦ディスク
２１８Ａ，２１８Ｂ 高摩擦面
２２０Ａ，２２０Ｂ 硬質ディスク
２２２Ａ，２２２Ｂ 外ギアホイール
２２４Ａ，２２４Ｂ ウォーム駆動ギア（調節機構）
２２５ 円筒内ねじ部
２２７ 円環形空洞
２２６Ａ，２２６Ｂ ロック装置
３０２ モーター
３０３ 中心シャフト
３０５ 空洞
３０７ バネ
３０９ ベアリング

Claims (16)

1. バルブアクチュエータトルクリミッタ（１０３）において、
   軸方向で二通りに移動可能であり、使用において、バルブアクチュエータ駆動シャフト（２０２）の回転をおこさせるために回転可能である、可動シャフト（２０８）、
   前記可動シャフトに取り付けられたブレーキディスク（２１４）、
   前記ブレーキディスクの第１の側に配置された第１の摩擦デバイス（２１６Ａ）、
   前記ブレーキディスクの第２の側に配置された第２の摩擦デバイス（２１６Ｂ）、
   少なくとも前記ブレーキディスク、前記第１の摩擦デバイス及び前記第２の摩擦デバイスを収めるケーシング（１０２）、及び
   前記ブレーキディスクに対する前記第１の摩擦デバイス及び／または前記第２の摩擦デバイスの位置を調節するための調節機構（２２４Ａ，２２４Ｂ）であって、前記ケーシングの外部から操作可能である調節機構、
   を備え、使用において、前記ブレーキディスクと前記第１の摩擦デバイスまたは前記第２の摩擦デバイスの間の接触が前記可動シャフトを回転させているモーター（３０２）を止める、トルクリミッタ。
2. 前記第１の摩擦デバイス及び／または前記第２の摩擦デバイスが、ギア（２２２Ａ，２２２Ｂ）を有する摩擦ディスク（２１６Ａ，２１６Ｂ）を含むことを特徴とする請求項１に記載のトルクリミッタ。
3. 前記調節機構が、前記第１の摩擦ディスク（２１６Ａ）及び／または前記第２の摩擦ディスク（２１６Ｂ）の前記ギア（２２２Ａ，２２２Ｂ）が随伴する、少なくとも１つのウォーム駆動ギア（２２４Ａ，２２４Ｂ）を有することを特徴とする請求項２に記載のトルクリミッタ。
4. 前記ウォーム駆動ギア（２２４Ａ，２２４Ｂ）が、使用において、前記随伴ギア（２２２Ａ，２２２Ｂ）と噛み合う、ねじ部を有する細長部材を含むことを特徴とする請求項３に記載のトルクリミッタ。
5. 前記ウォーム駆動ギア（２２４Ａ，２２４Ｂ）の一部が前記ケーシング（１０２）の開口を通して突き出すことを特徴とする請求項３または４に記載のトルクリミッタ。
6. 前記突出し部が、使用において、工具を用いる前記ウォーム駆動ギア（２２４Ａ，２２４Ｂ）の調節に役立つスロットを有することを特徴とする請求項５に記載のトルクリミッタ。
7. 前記ウォーム駆動ギア（２２４Ａ，２２４Ｂ）の外端に隣接してロック装置（２２６Ａ，２２６Ｂ）が備えられることを特徴とする請求項５または６に記載のトルクリミッタ。
8. 前記第１の摩擦デバイス（２１６Ａ）が随伴する第１のウォーム駆動ギア（２２４Ａ）及び前記第２の摩擦デバイス（２１６Ｂ）が随伴する第２のウォーム駆動ギア（２２４Ｂ）を備えることを特徴とする請求項３から７のいずれか１項に記載のトルクリミッタ。
9. 使用において、前記モーター（３０２）と前記駆動シャフト（２０２）の間の場所で前記ケーシング（１０２）を通して前記調節機構（２２４Ａ，２２４Ｂ）にアクセス可能であることを特徴とする請求項３から８のいずれか１項に記載のトルクリミッタ。
10. 前記可動シャフト（２０８）が、使用において、前記駆動シャフト（２０２）のウォームギア（２０４）と噛み合うウォームシャフトを含むことを特徴とする請求項１から９のいずれか１項に記載のトルクリミッタ。
11. 前記ケーシング（１０２）が、使用において、前記可動シャフト（２０８）を少なくともある程度収めることを特徴とする請求項１から１０のいずれか１項に記載のトルクリミッタ。
12. 前記ケーシング（１０２）が、使用において、モーターを収めるための第１のケーシングコンポーネント（１０２Ａ）、前記トルクリミッタのパーツを収めるための第２のケーシングコンポーネント（１０２Ｂ）、並びに前記トルクリミッタのパーツ及び、使用において、前記駆動シャフト（２０２）を収めるための第３のケーシングコンポーネント（１０２Ｃ）を含むことを特徴とする請求項１から１１のいずれか１項に記載のトルクリミッタ。
13. バルブアクチュエータ（１００）において、
    バルブを開閉するための駆動シャフト（２０２）、
    前記駆動シャフトを回転させるためのモーター（３０２）、及び
    請求項１から１２のいずれか１項に記載のトルクリミッタ（１０３）
    を備えることを特徴とするバルブアクチュエータ。
14. 前記ケーシング（１０２）が前記バルブアクチュエータ（１００）のコンポーネントを、また前記トルクリミッタ（１０３）のコンポーネントも、少なくともある程度収めることを特徴とする請求項１３に記載のバルブアクチュエータ。
15. バルブアセンブリにおいて、
    バルブ及び請求項１３または１４に記載のバルブアクチュエータを有することを特徴とするバルブアセンブリ。
16. 前記バルブと前記バルブアクチュエータとの間に第２段ギアボックスをさらに有することを特徴とする請求項１５に記載のバルブアセンブリ。

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