JP5922719B2 - 血液凝固検査方法 - Google Patents

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本発明は、血液や血漿の凝固能を測定する血液凝固検査方法に関するものである。
血液凝固活性は、外因系の凝固因子の欠損のスクリーニングや肝機能の異常、さらに経口投与による抗凝血薬療法のモニタリングに用いられる指標などを得るための重要な項目である。
このような血液凝固検査には、PT(プロトロンビン時間:Prothrombin Time)測定法、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間:Activated Partial Thromboplastin Time)測定法、およびフィブリノゲンテストなどが主に用いられている。これらの測定・テストは、病院内の大型分析装置を用いて実施されている。
また、発明者らにより、マイクロ流路を備えるチップを用い、表面プラズモン共鳴(SPR)測定法で流速を測定することにより凝固活性を検査する方法が提案されている。この検査では、まず、凝固活性化剤(エラグ酸および塩化カルシウム)を混合することによって完全に活性化した血漿試料を測定直前に調製する。次いで、予め緩衝液を満たしてある流路内に調整した血漿試料を導入することで、血漿試料が流路内を進む流速を凝固時間に変換して求めている(特許文献1参照)。
また、発明者らにより、直線状のマイクロ流路に凝固活性剤、検体の順に導入し、流路内を凝固活性剤,接触領域,検体の順に移送させ、これらが測定箇所を通過する過程で、凝固活性剤および接触領域の屈折率を時系列的に測定し、測定された凝固活性剤の屈折率である第1屈折率値と、測定された接触領域の第2屈折率値との比較により検体の血液凝固能を測定する方法を提案している。この方法によれば、凝固反応が発生する領域は接触領域に限定され、発生する凝固活性物質の量を抑制できるので、凝固活性物質による汚染が抑制でき、上述した方法に比較してより正確な測定が可能となっている。
特開2011−232137号公報
納谷 昌之 他、「プリズム一体型チップを用いる高S/N SPRセンサ」、FUJIFILM RESEARCH & DEVELOPMENT、NO.50, pp.51-54, 2005.
しかしながら、マイクロ流路に凝固活性剤、検体の順に導入し、流路内を凝固活性剤,接触領域,検体の順に移送させて測定を行う方法において、測定誤差が発生するという問題が起きている。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、マイクロ流路を用いた血液凝固検査で、測定誤差が低減できるようにすることを目的とする。
本発明に係る血液凝固検査方法は、活性度が既知の標準血漿を所定の濃度に希釈した希釈標準血漿を用意する第1工程と、第1工程の次に、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、希釈標準血漿および凝固活性剤を、凝固活性剤を先にした状態で流路に導入する第2工程と、第2工程の次に、流路の途中に流路に沿って所定距離延在して設けられた測定領域を、凝固活性剤,凝固活性剤と希釈標準血漿との接触領域,希釈標準血漿の順に通過する過程で、凝固活性剤および接触領域の屈折率を、測定領域の開始点から終了点まで時系列的に測定する第3工程と、第3工程の次に、測定領域の開始点から終了点までの間の複数の箇所で測定された結果より、測定された凝固活性剤の屈折率である第1屈折率値と、測定された接触領域の屈折率である第2屈折率値との差の変化が飽和する領域を求めて求めた領域に測定点を設定する第4工程と、第4工程の次に、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、血漿を含む検体および凝固活性剤を、凝固活性剤を先にした状態で流路に導入する第5工程と、第5工程の次に、測定点を、凝固活性剤,凝固活性剤と検体との接触領域,検体の順に通過する過程で、凝固活性剤の屈折率および接触領域の屈折率を測定する第6工程と、第6工程の次に、測定された凝固活性剤の屈折率と、測定された接触領域の屈折率との差により検体の血液凝固能を決定する第7工程とを備える。
上記血液凝固検査方法において、測定領域および測定点における表面プラズモン共鳴測定により測定される表面プラズモン共鳴角度を屈折率値として用いればよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、マイクロ流路を用いた血液凝固検査で、測定誤差が低減できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における血液凝固検査方法を説明するフローチャートである。 図2は、凝固反応が起きる場合のマイクロ流路201を凝固活性剤211と検体212とが流れていく状態で測定される屈折率の変化を示す特性図である。 図3は、測定チップ300およびSPR装置400の構成を示す斜視図である。 図4は、センサー404を構成する複数のフォトダイオード素子の位置に対応させた測定領域の位置(pixel)に対応する屈折率変化量を、各々凝固活性度が異なる血漿毎に示す特性図である。 図5は、凝固活性度と屈折率変化量とによる検量線である。
以下、本発明の実施の形態について1図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における血液凝固検査方法を説明するフローチャートである。
この血液凝固検査方法は、まず、ステップS101で、活性度が既知の標準血漿を所定の濃度に希釈した希釈標準血漿を用意する(第1工程)。次に、ステップS102で、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、希釈標準血漿および凝固活性剤を、凝固活性剤を先にした状態で流路に導入する(第2工程)。流路は、例えば、表面プラズモン共鳴測定装置に装着して用いられる測定チップに形成されているマイクロ流路であり、実際の検体測定で用いる流路を対象とする。
次に、ステップS103で、測定領域を、凝固活性剤,凝固活性剤と希釈標準血漿との接触領域,希釈標準血漿の順に通過する過程で、凝固活性剤および接触領域の屈折率を、測定領域の開始点から終了点まで時系列的に測定する(第3工程)。測定領域は、流路の途中に流路に沿って所定距離延在して設けられている。また、ここでは、実際の検体測定で用いられる凝固活性剤を使用する。次に、ステップS104で、測定された凝固活性剤の屈折率である第1屈折率値と、測定された接触領域の屈折率である第2屈折率値との差の変化が飽和する箇所に測定点を設定する(第4工程)。
ステップS103では、測定領域を開始点から終了点まで、例えば10カ所など所定の数に分割し、分割した測定点毎に、通過する凝固活性剤および接触領域の屈折率を時系列的に測定する。これにより、例えば、第1屈折率と第2屈折率の差である変化量が、開始点側から、第1測定点における第1変化量、第2測定点における第2変化量、第3測定点における第3変化量、・・・、第9測定点における第9変化量、第10測定点における第10変化量と得られる。これら第1変化量〜第10変化量の変化を見れば、変化量が飽和する測定点が判断できる。例えば、第1変化量から第7変化量までは、変化量が増加し、第7変化量から第10変化量までは、変化量が一定の状態であれば、第7変化量から先は変化量が飽和している。従って、第7変化量〜第10変化量を測定したいずれかの測定点を測定点として選択すればよい。
なお、上述した表面プラズモン共鳴測定装置で用いる測定チップでは、マイクロ流路に設けられた測定領域では、測定装置側にAuの層が形成されている。よく知られているように、表面プラズモン共鳴測定では、上述した測定領域の下面に照射した光の反射光の強度により、測定領域に接触している液体の屈折率を測定する。液体が接触したAu層の表面における、エバネッセント波と表面プラズモン波との共鳴が起こる角度で反射率が低くなる谷が観測される。この共鳴が起こる表面プラズモン共鳴角度は、Au層に接する液体の屈折率に依存する。従って、測定される反射光の強度の変化により、測定領域の各測定点の各々を通過する液体の屈折率の変化が求められる。この測定では、測定領域および測定点における表面プラズモン共鳴測定により測定される表面プラズモン共鳴角度を屈折率値として用いればよい。
以上のように測定点を決定した後、実際の検体の測定を行う。ステップS105で、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、血漿を含む検体および凝固活性剤を、凝固活性剤を先にした状態で流路に導入する(第5工程)。
次に、ステップS106で、測定点を、凝固活性剤,凝固活性剤と検体との接触領域,検体の順に通過する過程で、凝固活性剤の屈折率および接触領域の屈折率を測定する(第6工程)。この後、ステップS107で、測定された凝固活性剤の屈折率と、測定された接触領域の屈折率との差により検体の血液凝固能を決定する(第7工程)。
以下、第1屈折率値と第2屈折率値とにより上述した標準血漿や検体の血液凝固能が判定できることについて、より詳細に説明する。
まず、図2の(a)に示すように、マイクロ流路201を、凝固活性剤211と検体212とが直列に流れていく場合、凝固活性剤211と検体212との境界部分である接触領域213では、拡散による混合が起こる。なお、図2は、測定領域におけるマイクロ流路201を示しており、図示していないが、マイクロ流路201の下部にはAu層が形成されている。
このような2液を直列して送液している状態で、2つの物質の間で化学反応などが発生しない場合、接触領域213では、単に2液の中間の組成となる。例えば、凝固活性剤211では検体212における凝固反応が起きない場合、接触領域213では、凝固活性剤211と検体212との中間の組成となる。血漿や生化学試薬は、タンパク質を多く含むため、一般に測定される溶液の屈折率は、凝固活性剤より大きくなる。このため、凝固反応が起きない場合、マイクロ流路201を凝固活性剤211と検体212とが流れていく状態で、測定領域202の中のある測定点203で測定される屈折率の変化は、図2の(b)に示すようになる。
図2の(b)に示すように、測定時間が経過すると、はじめは凝固活性剤211の屈折率が測定される。次いで、接触領域213の測定では、凝固活性剤211と検体212との中間の組成で徐々に検体212の屈折率に近づいていく。この後、検体212の屈折率が測定される状態となる。ここで、検体212における屈折率は、タンパク質の濃度に大きく依存するため、異なる血漿成分では測定される屈折率値が大きく異なることになる。
一方、検体212に含まれる血漿が、凝固活性剤211により凝固反応が起きる場合、接触領域213では上述した状態とは異なる屈折率変化となる。例えば、血漿を含む検体212と凝固活性剤211との接触領域213では、凝固活性剤211に含まれるトロンボプラスチンが、検体212の血漿中に含まれるプロトロンビンをトロンビンに変換することで凝固反応を開始し、産生されたトロンビンが血漿中に含まれるフィブリノゲンを不溶性タンパク質であるフィブリンに変換する生化学反応を引き起こす。さらに、このフィブリン同士がポリマーを形成することで血栓が生じる。
このような接触領域213における屈折率変化を観測すると、凝固活性剤211および検体212よりも屈折率が低くなる領域が観測される。このような、凝固活性剤211の屈折率(第1屈折率値)と接触領域213の屈折率(第2屈折率値)との差(屈折率変化量)は、凝固活性に依存しており、凝固活性の判断のための指標になる。
上述した現象は、直線のマイクロ流路201内に粒子が流れる時、速度勾配の大きい接触領域213の流れの中に生成される粒子の周囲に生じる循環流による揚力(サフマン力)によるものと考えられる。
直径dの球形粒子が揚力により流れと直角方向に移動するときに、粒子に作用する流体抵抗をストークスの抵抗法則で表すと、粒子の移動速度vpはサフマンの関係式より以下のように表される。
Figure 0005922719
式(1)において、vは、液体の動粘性係数、uは流れ方向の液体平均速度、upは流れ方向の粒子速度を示す。式(1)より、流れ方向の粒子速度と流れ方向の液体平均速度が等しい(up=u)時は、揚力による粒子の移動は無視できる。しかしながら、粒子速度が流体速度と異なる場合、揚力による粒子の移動は無視できない。粒子速度が流体速度よりも大きくなる場合、粒子は流路の壁方向に移動する。一方、粒子速度が流体速度よりも小さくなる場合は、粒子は主流方向に移動する。このため、粒子速度が流体速度と異なる場合、粒子は、境界層である接触領域の外側に移動していく。
粒子速度は、流動体(流体)の流速から受ける推進力および抵抗力に影響を受ける。流体中の物体(粒子)が流れている流体から受ける抵抗力には、以下に示すニュートンの抵抗法則が知られている。
Figure 0005922719
式(2)において、ρは液体密度、Cdは効力係数、Sは物体の投影面積、Vは速度を示す。式(2)から、流体内の物体が大きくなり投影面積が大きくなると、物体の流体に対する抵抗力は増し、これにより粒子速度が減少するためサフマン力が大きくなる。サフマン力が大きくなると、粒子に対する流速の早い流路中心部へ移動する力が強くなる。
加えて、液中の物質は浮力の影響を受ける。浮力Fbは、流体の密度ρf,物体の体積V,重力加速度gを用い「Fb=ρfVg」により表される。従って、物体の表面積が増加すると浮力も大きくなり、流路内壁より離れる力が大きくなる。
凝固活性剤と検体の2液の送液が進行し、液液界面での凝固反応が進むにつれて、不溶化フィブリンは増加し、また、ポリマー化により体積が急速に増加する。このため、液体流速よりも小さい粒子速度となったフィブリンからなる粒子は、マイクロ流路201の内壁であるAu層上には沈降せずにマイクロ流路201の中心部へ移動する。これらの結果、測定領域のAu層上(内壁部分)においては、周囲のフィブリンが急速に消化された残りの接触領域213における成分の屈折率が測定結果に反映され、屈折率が低下する状態が観測されるものと考えられる。
次に、実験の結果について説明する。はじめに、測定に用いた測定チップ300およびSPR装置400について説明する。測定チップ300は、図3に示すように、BK7ガラスからなる基板301と、膜厚50nm程度のAu層302と、流路基板303とから構成されている。Au層302は、例えば、スパッタリング法などのよく知られた堆積技術により形成すればよい。
また、流路基板303は、マイクロ流路となる溝部,導入口(不図示),および排出口(不図示)を備える。例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から流路基板303を形成すればよい。溝部は、幅1mm、深さ(高さ)50μm程度とすればよい。また、基板301と流路基板303とは個別に作製し、最後に、マイクロ流路が測定領域に重なるように測定チップ300を組み立てた。
Au層302を形成した基板301および流路溝を形成した流路基板303の各々の貼り合わせ面を、酸素ガスのプラズマ(反応イオン)の照射により活性化させた後、各々の貼り合わせ面を当接させて貼り合わせることで、両者を一体とすることができる。プラズマの照射は、プラズマ処理装置の処理室内で実施すればよい。プラズマは、出力70Wのマイクロ波により生成し、また、処理室内には酸素を100sccmで供給し、処理室内における酸素分圧は10Paとすればよい。なお、sccmは流量の単位であり、0℃・1013hPaの流体が1分間に1cm3流れることを示す。また、プラズマの照射は、5秒程度実施すればよい。
また、排出口には、負圧機構(不図示)が接続され、マイクロ流路内の液体を、排出口を介して牽引(吸引)可能としている。負圧機構は、例えば、ステンレスパイプで接続された廃液タンクおよび負圧ポンプ(MFCS−VAC,Fluigent社製)などから構成されている。
測定においては、SPR装置400の測定プリズム402に形成されている測定面403上に、屈折率がBK7ガラスと等しいマッチングオイル(不図示)を塗布し、この上に測定チップ300の基板301裏面を配置する。シリンドリカルレンズである測定プリズム402により、光源401からの光を、線状に集光する。また、SPR装置400の光源401から出射される光の光軸上に、測定チップ300の測定領域が重なる状態に配置する。SPR装置400は、例えば、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社製の「Smart SPR SS−100」である。
光源401から出射された光を集光してプリズム402に入射させ、プリズム402の測定面403に密着させている測定チップ300の測定領域に照射する。測定チップ300の測定領域となるマイクロ流路にはAu層302が形成されており、Au層302の裏面に、測定チップ300を透過してきた集光光が照射される。
このようにして照射された集光光は、流速測定対象の流体が接触したAu層302の裏面で反射し、いわゆるCCDイメージセンサーなどの撮像素子よりなるセンサー404で光電変換されて強度(光強度)が得られる。このようにして得られた光強度の変化により屈折率の変化が求められる。
上述したように、凝固活性剤,接触領域,検体がこれらの順にマイクロ流路内を輸送されている状態で、マイクロ流路内の流体の屈折率(SPR角度)の変化を測定する。マイクロ流路内の測定領域においてSPR角度を測定する。
接触領域では、検体に凝固活性剤が添加されることになり、凝固反応が起こり得る状態となっている。このため、接触領域が形成された時点より、接触領域では、凝固反応が開始されることになる。この凝固反応が起きている接触領域が測定領域を通過する中で、凝固活性剤および接触領域におけるSPR角度の変化を測定し、屈折率変化量を得る。
測定領域には、センサー404の検出領域が対応している。センサー404の検出領域には、複数のフォトダイオード素子が、流れの方向に並んで配置されており、測定領域では、各フォトダイオード素子の位置毎に、光強度の変化(SPR角度)が測定可能とされている。
なお、基板の屈折率をn、Au層の誘電率をεm、試料の誘電率をεs、基板とAu層との界面に入射する光の入射角度をθとすると、「n(ω/c)sinθ=(ω/c)[εm×εs/(εm+εs)]1/2・・(1)」が成り立つ条件の時に、入射角度と、基板とAu層との界面に誘起されるプラズモンの共鳴が起こる(非特許文献1参照)。この角度θが、SPR角度である。
また、プラズモンの共鳴が起きると反射する光が減衰するため、この状態がセンサーのいずれかのフォトダイオード素子の検出値の変化として現れる。従って、検出光強度が低下したフォトダイオード素子のピクセル位置(ピクセル値)により、SPR角度が求められ、結果として屈折率値が得られる。例えば、上記ピクセル値より、例えば、「屈折率値=ピクセル値×1.2739×10-4+1.3188(光源波長770nm)」などの換算式により、屈折率値が得られる。
次に、実験で用いた試料について説明する。まず、37℃で1分加熱した血漿とAPTT試薬を1:1で良く混合し,再び37℃で4分加熱して活性化血漿とした。また、屈折率を調整した塩化ナトリウム試薬(凝固活性剤)を用意した。
上述した各液体を、測定チップ300の導入口よりマイクロ流路に導入する。まず、塩化ナトリウム試薬10μリットルおよび活性化血漿10μリットルを、この順に導入し、塩化ナトリウム試薬が排出口に到達してマイクロ流路内が液体で満たされた状態とする。次いで、血漿を導入口より導入する。この後、マイクロ流路内が血漿で置換されるまで、測定領域でSPR角度変化を測定し、屈折率変化量を得た。
上述した測定を、凝固活性の異なる4つの血漿について実施した。ここでは、標準血漿を希釈し、21%,43%,64%,86%の各活性度に調整した。また、測定領域の流れ方への位置(pixel)に対応するセンサー404を構成する各フォトダイオード素子を用い、接触領域の移動に伴うSPR角度(屈折率値)の変化を各位置(position0〜500)で時系列に測定した。ここで、接触領域は導入口ですでに形成されているが、導入口から測定領域の導入口側開始点までは、約1mmの距離がある。従って、測定がされる最初の位置(position0)は、導入口より1mm離れた箇所となる。
測定の結果を図4に示す。測定した4つの血漿は、各々凝固活性が異なり、接触領域に生じる低屈折率成分の産生効率が各々異なるものとなる。このため、屈折率変化量の増加率は、より薄くされて凝固活性が低い血漿ほど穏やかな変化となっている。これに対し、あまり希釈されず、凝固活性がより高い血漿では、測定領域の開始点に近い上流から、既に上限に近い値が観察されるほど迅速に増加している。
増加した屈折率変化量は、ある一定の値で上限に達し(飽和し)、それ以上は増加せずに横ばいまたは微減する。これは、接触領域が形成されてからの時間経過が長いほど、低屈折率成分を生じさせる分子移動よりも低屈折率成分に拡散しようとする分子移動の方が勝るためと考えられる。
次に、測定点を固定して得られた屈折率変化量を用い、凝固活性度の変化による検量線を作製した結果を図5に示す。上述した飽和する箇所は、導入口より5mm離れた箇所である。従って、飽和した箇所における検量線(5mm)とこれより導入口に近い測定領域中央部での検量線(3mm)とを作製した。
図5に示すように、導入口より5mm以上離れた点においては、全域で直線となる検量線が得られる。5mm地点では、反応が飽和して測定値が上限値に達するため、繰り返し測定における測定誤差は、小さく抑えられることが分かる。一方、中央地点(3mm)においては、検量線が、全域で直線にならない。3mm地点では、反応が飽和せず、特に低凝固活性血漿では低屈折率成分が上限値に達しないため、導入タイミングや多少の位置ずれにより屈折率変化量に誤差が生じてしまうことが分かる。
従って、凝固活性剤の屈折率である第1屈折率値と、接触領域の屈折率である第2屈折率値との差の変化が飽和する領域に測定点を設定すればよい。上述した実験で用いたマイクロ流路(幅1mm、深さ50μm)の場合、導入口より5mm離れた箇所で屈折率変化の測定を行えばよいことになる。
また、測定に使用するマイクロ流路で、活性度が既知の標準血漿を所定の濃度に希釈した複数の希釈標準血漿で前述した測定を実施し、各測定結果における屈折率変化値を測定位置変化で微分し、各希釈標準血漿において微分値が0に近くなる地点を採用するようにしてもよい。
以上に説明したように、本発明によれば、希釈標準血漿および凝固活性剤を、凝固活性剤を先にした状態で流路に導入することで接触領域を形成させて測定する中で、凝固活性剤の屈折率である第1屈折率値と、接触領域の屈折率である第2屈折率値との差の変化が飽和する領域に測定点を設定するようにしたので、マイクロ流路を用いた血液凝固検査で、測定誤差が低減できるようになる。また、測定点が決定されていれば、測定点のみに対応して光電変換素子を設ければよく、SPR装置の簡略化が図れ、装置のコストを低減することができる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。フィブリンを産生させる凝固活性剤を用いることで、他の凝固測定方法も同様に行える。例えば、検体にAPTT凝固活性剤を混合した検体を用い、凝固活性剤に塩化カルシウムを用いることで、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)試験に対応させることができる。また、検体はそのまま用い、凝固活性剤にトロンビン凝固活性剤を用いることで、凝固活性剤フィブリノゲン(Fib)濃度試験に対応させることができる。
また、決定された測定点における屈折率(屈折率変化)の測定は、表面プラズモン共鳴測定に限るものではなく、全反射測定で測定してもよい。例えば、マイクロ流路の測定領域にAu層を形成せずに透明な状態としておけば、流路下面の透明部分における全反射が起きる入射角度(臨界角)を測定すればこれを屈折率の指標値とすることができる。
201…マイクロ流路、202…測定領域、203…測定点、211…凝固活性剤、212…検体、213…接触領域。

Claims (2)

  1. 活性度が既知の標準血漿を所定の濃度に希釈した希釈標準血漿を用意する第1工程と、
    前記第1工程の次に、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して前記流路を流れる状態に、希釈標準血漿および凝固活性剤を、前記凝固活性剤を先にした状態で前記流路に導入する第2工程と、
    前記第2工程の次に、前記流路の途中に流路に沿って所定距離延在して設けられた測定領域を、前記凝固活性剤,前記凝固活性剤と前記希釈標準血漿との接触領域,前記希釈標準血漿の順に通過する過程で、前記凝固活性剤および前記接触領域の屈折率を、前記測定領域の開始点から終了点まで時系列的に測定する第3工程と、
    前記第3工程の次に、前記測定領域の開始点から終了点までの間の複数の箇所で測定された結果より、測定された前記凝固活性剤の屈折率である第1屈折率値と、測定された前記接触領域の屈折率である第2屈折率値との差の変化が飽和する領域を求めて求めた領域に測定点を設定する第4工程と、
    前記第4工程の次に、前記流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して前記流路を流れる状態に、血漿を含む検体および前記凝固活性剤を、前記凝固活性剤を先にした状態で前記流路に導入する第5工程と、
    前記第5工程の次に、前記測定点を、前記凝固活性剤,前記凝固活性剤と前記検体との接触領域,前記検体の順に通過する過程で、前記凝固活性剤の屈折率および前記接触領域の屈折率を測定する第6工程と、
    前記第6工程の次に、測定された前記凝固活性剤の屈折率と、測定された前記接触領域の屈折率との差により前記検体の血液凝固能を決定する第7工程と
    を備えることを特徴とする血液凝固検査方法。
  2. 請求項1記載の血液凝固検査方法において、
    前記測定領域および前記測定点における表面プラズモン共鳴測定により測定される表面プラズモン共鳴角度を前記屈折率値として用いることを特徴とする血液凝固検査方法。
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