JP2017116405A - 血液凝固検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に、コストをかけることなく血液凝固能が測定できるようにする。【解決手段】測定領域121の凝固活性化剤の薄膜102の上に血漿を含む検体112を供給して接触させる。検体112を供給することで、薄膜102の上に検体による検体層103が積層され、この積層状態においては、薄膜102と検体層103との接触領域において互いに拡散していく。このように変化していく測定領域121における状態変化を時系列的に測定する。【選択図】 図1
Description
本発明は、血液や血漿の凝固能を測定する血液凝固検査方法に関するものである。
血液凝固活性は、外因系の凝固因子の欠損の選別、肝機能の異常、さらに経口で投与された抗凝血薬による治療の監視に用いる指標などを得るために重要な項目である(非特許文献1参照)。
このような血液凝固検査には、PT(プロトロンビン時間:Prothrombin Time)測定法、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間:Activated Partial Thromboplastin Time)測定法、およびフィブリノゲン濃度測定などが主に用いられている。これらの測定・テストは、病院内の大型分析装置を用いて実施されている。この中で、PT測定法およびAPTT測定法による検査では、凝固反応の誘因として、血液が凝固する主にタンパク質(トロンボモジュリンやエラグ酸)およびカルシウムイオンを血漿に混合し、混合開始から凝固完了までの時間(凝固点)を測定し、標準血漿の結果と比較して遅延時間を見積もっている。
血液凝固能の物理的な測定には、かくはん抵抗式、光散乱方式、熱伝導式、水晶振動式などが発明されているが、現在一般にかくはん抵抗および光散乱方式が多く用いられている.かくはん抵抗式の場合、サンプルを活性化剤と一緒に導入してフィンで撹拌し,その抵抗の上昇から凝固時間を得る方法である.光散乱方式は,試験用容器内で、血漿に凝固活性化を促す成分を含む試薬を混合し,容器に対し光を入射してその散乱光量変化を測定して凝固時間を得る方法である.散乱光から凝固時間を得るためには,散乱光量をそのまま利用,微分値を利用,あるいは散乱光量がある一定値に達するまでの時間を求める方法がある(特許文献1参照)。
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ところで、血液凝固活性は、様々な場面で重要な検査項目となる。例えば災害時では、ストレスや疲労、運動不足を起因とする生体内ホルモン異常により、体内に血栓が生じ易い。血栓が生じると、特に高齢者の場合、脳梗塞や心筋梗塞などの緊急度の高い疾患に短時間で発展する危険性が高いため、的確な発症認識と状態に合わせた治療が必要とされる。
しかし体の深部で生じた血栓は、外見からは即座に発見することができず、自覚症状が見られないまま病状が悪化するケースが多く報告されている。このため、簡易のスクリーニング検査をできる限り定期的に行う必要がある。
また、血友病患者は、普段の生活を営む上で常時発生している関節内失血や筋肉内失血などの内失血をコントロールできないため、日常的に血液製剤(凝固因子製剤)を服している。薬剤の定期投与により、関節内出血も筋肉内出血も正常人と変わらない凝固作用機序を保って止血できるが、凝固因子製剤の投与が極度に遅れる等投与のタイミングを逸すると出血量が増え治癒が遅れ、最悪の場合後遺症を引き起こすことになる。在宅において定期的に患者本人が自身の血液凝固状態を把握できることは、患者における生活の質(QoL:quality of life)向上に大きく貢献する。
しかしながら在宅のような医療従事者のいない環境下で血液凝固検査を行うためには、第1に、工程数の少ない簡便な操作で測定できることが重要となる。また、少ない資材で、かつ採取サンプル量が微少量であっても測定可能であることが重要となる。また、血液凝固状態の測定では、前述したように、PT測定、APTT測定、フィブリノゲン濃度測定のいずれかが実施可能な検査装置が必要となる。現在、これら全ての条件を完全に満たすことは困難な状態である。
一方、病院で用いられている大型分析装置でも、微量の検体を扱う都合上、精度の高い分注や混合が求められるが、高額のポンプやアクチュエータ―が必要となることから、装置全体システムが高額となる課題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に、コストをかけることなく血液凝固能が測定できるようにすることを目的とする。
本発明に係る血液凝固検査方法は、測定領域の表面に凝固活性化剤の薄膜を形成する第1工程と、測定領域の薄膜の上に血漿を含む検体を供給して接触させる第2工程と、薄膜に検体を接触させた測定領域における状態変化を測定する第3工程と、測定された状態変化により検体の血液凝固能を判定する第4工程とを備える。
上記血液凝固検査方法において、第3工程で測定する状態変化は、屈折率の変化であればよい。例えば、測定領域における表面プラズモン共鳴測定により測定される表面プラズモン共鳴角度を屈折率として用いればよい。
上記血液凝固検査方法において、第3工程で測定する状態変化は、粘性の変化であってもよい。
上記血液凝固検査方法において、測定領域は、流路内に配置されていればよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に、コストをかけることなく血液凝固能が測定できるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における血液凝固検査方法を説明するための説明図である。
この方法は、まず、第1工程S101で、図1の(a)に示すように、凝固活性化剤の溶液111を基板101の上に供給し、溶液111の溶媒をある程度除去(乾燥)することで、図1の(b)に示すように、測定領域121における基板101の表面に凝固活性化剤の薄膜102を形成する。薄膜102は、例えば、トロンボモジュリンやエラグ酸およびカルシウムイオンなどの血液凝固反応トリガー分子(凝固活性化剤)から構成されたものである。また、測定領域121における基板101の表面に、凝固活性化剤が吸着しやすくなる修飾を施してもよい。例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(3-Aminopropyltriethoxysilane)などによる正電荷修飾、または、N−ヒドロキシスクシンイミド(N-Hydroxysuccinimide)などのペプチド修飾が例としてあげられる。
次に、第2工程S102で、図1の(c)に示すように、測定領域121の薄膜102の上に血漿を含む検体112を供給して接触させる。検体112を供給することで、図1の(d)に示すように、薄膜102の上に検体による検体層103が積層された状態となる。薄膜102と検体層103との積層状態においては、薄膜102と検体層103との接触領域において互いに拡散し、いずれ、薄膜102を構成している凝固活性化剤と検体とが混合した状態となる。
次に、第3工程S103で、測定領域121における状態変化を時系列的に測定する。例えば、検体112を供給する前と、検体112を供給してから所定時間経過した後との各々において状態を測定する。薄膜102に検体を接触させることで、測定領域121においては、上述したように薄膜102を構成している凝固活性化剤と検体とが混合する。この結果、図1の(e)に示すように、基板101の測定領域121には、凝固活性化剤と検体とが混合した混合層104が形成されるようになる。形成される混合層104における状態変化を時系列的に測定する。
例えば、混合層104の屈折率の変化を状態変化として測定する。屈折率の測定は、例えば、測定領域121における表面プラズモン共鳴測定により測定される表面プラズモン共鳴角度を、屈折率値として用いることができる。また、エリプソメトリー装置により屈折率を測定してもよい。また、混合層104の粘性の変化を状態変化として測定してもよい。例えば、よく知られた水晶振動式の測定により、混合層104における粘性の変化を測定する。
次に、第4工程S104で、測定された状態変化により検体の血液凝固能を判定する。
ここで、凝固反応が起きない場合、混合層104は、凝固活性化剤の溶液と検体との中間の組成となる。従って、測定される屈折率は、中間の組成の状態の屈折率となり、時間が経過しても変化しない。なお、血漿や生化学試薬はタンパク質を多く含むため、検体の屈折率は、凝固活性化剤の溶液より大きい。
一方、検体に含まれる血漿が、凝固活性化剤により凝固反応が起きる場合、混合層104では上述した状態とは異なる屈折率変化となる。例えば、混合層104では、凝固活性化剤に含まれるトロンビンが血漿中に含まれるフィブリノゲンを不溶性タンパク質であるフィブリンに変換する生化学反応を引き起こす。さらに、このフィブリン同士がポリマーを形成することで血栓が生じる。このように血栓が生じた混合層104においては、凝固活性化剤および検体よりも屈折率が異なる状態となる。また、血栓が生じたことにより、粘性が変化する。これらの状態変化を測定することで、検体の血液凝固能が判定できる。
ところで、上述した測定を実施する測定領域は、流路内に配置されているようにしてもよい。例えば、図2の断面図に示すように、基板201と流路基板203との間に形成されたマイクロ流路204を用いればよい。なお、図2では、基板201の上にAu層202が形成された状態を示している。Au層202は、表面プラズモン共鳴現象を利用した測定(SPR測定)で用いる。表面プラズモン共鳴現象を利用した屈折率測定では、測定対象が接触したAu層202の表面における、エバネッセント波と表面プラズモン波との共鳴を用いる。測定対象が接触したAu層202の裏面側に測定光を照射し、この反射光の光強度をいわゆるCCDイメージセンサーなどの撮像素子よりなる光検出部で検出すると、上記共鳴が起こる角度で反射率が低くなる谷が観測される。これにより、測定対象における屈折率値が測定できる。
このようにSPR測定が実施可能としたマイクロ流路204に、凝固活性化剤の溶液211を流す[図2(a)]。マイクロ流路204に溶液211を流して通過させることで、図2の(b)に示すように、マイクロ流路204の内壁に、凝固活性化剤による薄膜212を形成する。次に、図2の(c)に示すように、内壁に薄膜212が形成されているマイクロ流路204に、検体の溶液213を流す。
このように、マイクロ流路204に溶液213を流して通過させることで、図2の(d)に示すように、マイクロ流路204の内壁に形成されている薄膜212の上に、検体による検体層214が積層された状態とする。この後、測定領域121における屈折率変化を、上述したSPR測定により測定すればよい。また、図2の(e)に示すように、内壁に薄膜212が形成されているマイクロ流路204に、検体の溶液213を充填した状態で、測定領域121における屈折率変化をSPR測定により測定してもよい。
次に、流路を用いた測定の臨床現場即時検査への対応について説明する。例えば、図3の(a)に示すように、測定チップ300を用いる。測定チップ300は、血球分離フィルタ流路301と、血球分離フィルタ流路301に連通する測定流路302と、測定流路302に連通する吸引流路303とを備える。測定流路302には、図示していないがAu層が設けられ、SPR測定による測定が可能な測定領域とされている。吸引流路303は、外部に到達する複数の微細な貫通孔を備え、毛管力を利用してポンプとして機能する(非特許文献2参照)。また、吸引流路303は、廃液だめの領域としても機能する。これらを構成する流路は、例えば、流路径が数百μm程度、流路長が数mm程度であり、測定チップ300は非常に小型にできる。
図3の(a)に示すように、血球分離フィルタ流路301の導入口より凝固活性化剤の溶液311を供給し、溶液311を測定流路302を通過させる。これにより、測定領域302の内壁に、凝固活性化剤による薄膜を形成する。次に、図3の(b)に示すように、被検者の指312の先端部より採取した血液313を、血球分離フィルタ流路301に取り込む。血液313が検体となり、微細な流路に取り込めばよいため、検体として必要な量は、極めて微量である。取り込まれた血液は、血球分離フィルタ流路301で血球が分離され、測定領域となる測定流路302に到達する。
この状態で、前述したように、SPR測定により、測定流路302における屈折率変化を測定する。例えば、「Handy SPR PS−0111」(NTTアドバンステクノロジ株式会社製)を用いることで、測定流路302における上述した屈折率変化の測定が実施できる。このような測定は、臨床現場において極めて簡便に実施可能であり、緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に、コストをかけることなく血液凝固能が測定できる。
また、上述した測定チップ300を用いた測定は、例えば、「Smart SPR SS−1001」(NTTアドバンステクノロジ株式会社製)を用いても実施可能である。
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。まず、測定に用いた測定チップ400について説明する。測定チップ400は、図4(a)に示すように、BK7ガラスからなる基板401と、膜厚50nm程度のAu層402と、流路基板403とから構成されている。Au層402は、例えば、スパッタリング法などのよく知られた堆積技術により形成すればよい。なお、図では、測定チップ400の一部を示している。
また、流路基板403は、マイクロ流路404となる溝部,導入口405を備える。また、マイクロ流路404の図示しない他端には、排出口が設けられ、この排出口には、吸引機構(不図示)が接続されている。例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から流路基板403を形成すればよい。溝部は、深さ(高さ)75μm程度、幅1mm程度とすればよい。また、導入口405の口径は、3mmとし、排出口の口径は、1.5mmとした。これらは、例えば、よく知られた生検トレパンにより形成すればよい。また、基板401と流路基板403とは個別に作製し、最後に、マイクロ流路404が測定領域に重なるように測定チップ400を組み立てた。
Au層402を形成した基板401および流路溝を形成した流路基板403の各々の貼り合わせ面を、酸素ガスのプラズマ(反応イオン)の照射により活性化させた後、各々の貼り合わせ面を当接させて貼り合わせることで、両者を一体とした。プラズマの照射は、プラズマ処理装置の処理室内で実施する。プラズマは、出力70Wのマイクロ波により生成し、また、処理室内には酸素を100sccmで供給し、処理室内における酸素分圧は10Paとした。なお、sccmは流量の単位であり、0℃・1013hPaの流体が1分間に1cm3流れることを示す。また、プラズマの照射は、5秒程度実施した。
また、排出口には、負圧機構(不図示)が接続され、マイクロ流路404内の液体を、排出口を介して牽引(吸引)可能としている。負圧機構は、例えば、ステンレスパイプで接続された廃液タンクおよび負圧ポンプ(MFCS−VAC,Fluigent社製)などから構成されている。
測定においては、SPR装置の測定プリズムに形成されている測定面上に、屈折率がBK7ガラスと等しいマッチングオイル(不図示)を塗布し、この上に測定チップ400の基板401裏面を配置する。また、SPR装置の光源から出射される光の光軸上に、測定チップ400の測定領域が重なる状態に配置する。SPR装置は、例えば、Smart SPR SS−1001」(NTTアドバンステクノロジ株式会社製)である。
光源から出射された光を集光してプリズムに入射させ、プリズムの測定面に密着させている測定チップ400の測定領域に照射する。測定チップ400の測定領域となるマイクロ流路404にはAu層402が形成されており、Au層402の裏面に、測定チップ400を透過してきた集光光が照射される。
このようにして照射された集光光は、流速測定対象の流体が接触したAu層402の裏面で反射し、いわゆるCCDイメージセンサーなどの撮像素子よりなるセンサーで光電変換されて強度(光強度)が得られる。このようにして得られた光強度の変化により屈折率の変化が求められる。CCDイメージセンサーの1ラインごとに、屈折率を反映したデータが観測される。マイクロ流路404のSPR装置の観測領域422に配置された測定対象に、屈折率変化が起こると、CCDイメージセンサーの1ラインごとに、どのタイミングで屈折率変化が起こったかが記録される。なお、SPR装置による観測領域422は、導入口405の中心よりマイクロ流路404側に約4.8mmの長さの領域となる。
まず、図4の(a)に示すように、凝固活性化剤の溶液411を導入口405より供給する。このとき、マイクロ流路404の容積+導入口405の全面を濡らす量の溶液411を滴下する。供給した溶液411は、まず、吸引機構による吸引により、マイクロ流路404を毛管力により排出口の側に流れていく。この流れは、導入口405が空となると同時に生じる、マイクロ流路404の導入口405における入口の毛管力によって自動的に停止する。この結果、図4の(b)に示すように、導入口405の底面には、凝固活性化剤の薄膜412が形成される。
次に、図4の(b)に示すように、検体の溶液413を供給する。この場合においても、マイクロ流路404の容積+導入口405の全面を濡らす量を供給する。供給した溶液413がマイクロ流路404に充填されている溶液411に接触すると、上述した吸引機構による吸引が開始される。この流れも、導入口405が空になると自動的に停止する。この結果、図4の(c)に示すように、導入口405の底面には、薄膜412の上に検体による検体層414が積層された状態となる。
上述したように、凝固活性化剤の供給および検体の供給を実施する過程で、検体を供給した時点より、薄膜412における凝固活性化剤の分子(トロンビン)と、検体(検体層414)における血漿内分子が接触して血液凝固反応が開始される。この過程の中で、凝固活性化剤を供給して薄膜412が形成された時点で、測定領域421における屈折率(初期値)を測定する。次いで、検体を供給してから10秒後に、測定領域421における屈折率(測定値)を経時変化として測定する。初期値と測定値との比較により、検体の凝固能を判定する。
なお、SPR装置で測定可能な観測領域422の中で、導入口405の中心からマイクロ流路404の入口までの領域(長さ1.5mm)を、測定領域421としている。
また、SPR装置を用いた測定では、測定領域421が延在している方向(流路方向)に垂直な方向に、所定の角度で集光光が照射される。このように照射された集光光の反射光の強度がCCDイメージセンサーで検出される。このように検出されている中で、所定の角度で照射される集光光の照射方向に配列しているCCDイメージセンサーの複数の画素(pixel)の中で、測定対象の屈折率に対応した表面プラズモン共鳴が起きる角度に対応する位置の画素において検出される光強度が、同じ列の中の他の画素に比較して低くなる。この検出される光強度が低くなる(暗転する)画素位置(pixel位置)を、対象物質の屈折率値に相当するSPR角度としている。
実験では、血液凝固試験の際に血漿溶液として現行の凝固装置の規格化を行う際に使用される標準凝固血漿(凝固活性度90%)、および標準凝固血漿を緩衝液(PBS)で希釈した希釈液を試料とし、上述した測定を実施した。標準凝固血漿(凝固活性度90%)は試料1とし、希釈して活性度を60%とした検体は試料2とし、希釈して活性度を40%とした検体は試料3とした。
試料1の測定結果を図5に示し、試料2の測定結果を図6に示し、試料3の測定結果を図7に示す。いずれの図においても、(a)は、検体を供給していない状態で測定した初期値であり、(b)は、検体を供給してから10秒後に測定した測定値である。また、各図において、測定領域421の位置を示している。
また、各測定結果より、導入口405の中心より、画素列が60列目、70列目、80列目の各々における暗転している画素位置より求めた屈折率値(測定値)と、凝固活性率との関係を図8に示す。60列目は、導入口405の中心より約600μmの箇所、70列目は、導入口405の中心より約700μmの箇所、80列目は、導入口405の中心より約800μmの箇所である。なお、図8における白四角は、3カ所の測定結果の平均値である。
上述した測定結果より明らかなように、凝固活性度が異なる試料1と試料2と試料3とでは、屈折率が異なっている。この結果より明らかなように、本発明の血液凝固検査方法によれば、測定される状態変化の経時変化により、検体の血液凝固能が判定できることが分かる。例えば、上述したように、凝固活性度が既知である各々異なる凝固活性度の複数の試料に対して測定を実施し、得られた測定値と対応する凝固活性度とにより検量線などの基礎データを作成しておく。この基礎データと、実際の検体の測定値とを比較することで、実際の検体の凝固活性度が判定できる。
上述したようなマイクロ流路を用いた測定では、測定に用いる液量が非常に少ないため、侵襲性を低くすることができる。また、小型チップおよびハンディータイプの測定器を用いた測定が可能であり、測定操作自体も簡便であるため、医療従事者でない患者でも測定が容易であり、例えば、在宅でのその場測定が実現可能である。例えば、医療従事者のいない環境下で,血液凝固能異常によって引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞の危険リスクを迅速に患者自身で測定・発見できる在宅医療の一環として用いることができる。このように、患者におけるQoLの向上が期待できる。
また、凝固活性化剤を変更することによって、様々な凝固測定に適用が可能であり、1システムで多項目の検査が実現できる。例えば、PT試験に限らずフィブリンを産生させる凝固活性化剤を用いることができる。また、検体にAPTT凝固活性化剤を混合した検体を用い、凝固活性化剤に塩化カルシウムを用いることで、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)試験に対応させることができる。また、検体はそのまま用い、凝固活性化剤にトロンビン凝固活性化剤を用いることで、凝固活性化剤フィブリノゲン(Fib)濃度試験に対応させることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、凝固活性化剤の薄膜の上に血漿を含む検体を供給して接触させ、接触させたことによる状態変化を測定するようにしたので、緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に、コストをかけることなく血液凝固能が測定できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…基板、102…薄膜、103…検体層、104…混合層、111…溶液、112…検体、121…測定領域。
Claims (5)
- 測定領域の表面に凝固活性化剤の薄膜を形成する第1工程と、
前記測定領域の前記薄膜の上に血漿を含む検体を供給して接触させる第2工程と、
前記薄膜に前記検体を接触させた前記測定領域における状態変化を測定する第3工程と、
測定された状態変化により前記検体の血液凝固能を判定する第4工程と
を備えることを特徴とする血液凝固検査方法。 - 請求項1記載の血液凝固検査方法において、
前記第3工程で測定する状態変化は、屈折率の変化であることを特徴とする血液凝固検査方法。 - 請求項2記載の血液凝固検査方法において、
前記測定領域における表面プラズモン共鳴測定により測定される表面プラズモン共鳴角度を前記屈折率として用いることを特徴とする血液凝固検査方法。 - 請求項1記載の血液凝固検査方法において、
前記第3工程で測定する状態変化は、粘性の変化であることを特徴とする血液凝固検査方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の血液凝固検査方法において、
前記測定領域は、流路内に配置されていることを特徴とする血液凝固検査方法。
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Legal Events
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