JP5922432B2 - 燃料電池及びその酸化剤排出方法 - Google Patents
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Description
このような燃料電池は、燃料側の電極である燃料極と、空気(酸化剤)側の電極である空気極と、これらの間にありイオンのみを通す電解質とにより構成されており、電解質の種類によって様々な形式が開発されている。
このようなSOFCにおいては、たとえば下記の特許文献1に開示されているように、SOFCを構成するケーシングの内部に、該ケーシングの側面下部から空気が供給され、この空気が発電室内を通ってケーシングの側面上部から排出される。
すなわち、従来の燃料電池は、発電室の上方に断熱材で上下を仕切られた略直方体形状の空気排出ヘッダ(酸化剤ヘッダ)を形成し、空気排出ヘッダ短辺側の両側面に排出口を開口させて空気排出配管を接続した構成が採用されている。この空気排出ヘッダは、断面コ字状の部材を使用しているので、内側全面が開口した状態にある。
このため、発電室の内部には、水平断面中央部が低温となるような温度分布を生じ、さらに、水平断面中央部の酸素濃度も低くなる。このように、発電室内に温度や酸素濃度の分布が形成されると、燃料電池が発電性能を十分に発揮できないだけでなく、低酸素濃度によって燃料電池が損傷することも懸念される。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、発電室内に温度分布や酸素濃度分布が形成されることを防止または抑制できる燃料電池及びその酸化剤排出方法を提供することにある。
本発明に係る燃料電池は、発電室と、前記発電室に断熱材を介して隣接する酸化剤ヘッダと、前記酸化剤ヘッダの外周に配設されるダクトとを備える燃料電池であって、前記ダクトは、互いに対向する第一の側面と、互いに対向する第二の側面とで構成され、前記第一の側面の内壁に少なくともひとつの酸化剤の導入孔を備えることを特徴とするものである。
また、上記の発明において、前記ダクトは、額縁状の外周が長方形状であり、前記第一側面が前記ダクトの長辺側であり、前記第二の側面が前記ダクトの短辺側であることが望ましい。
図示の燃料電池10は、固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」と呼ぶ)システムに適用されるものである。一般的なSOFCシステムは、発電を行なうSOFC形の燃料電池10と、都市ガスや天然ガス等の燃料ガスを改質する改質器と、酸化剤のガス(酸化剤とは酸素を略15%〜21%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなど、空気に限定されるものではない。)を予熱する空気予熱器と、燃料電池10から排出された排ガス中に含まれる未燃の燃料ガスを燃焼させる燃焼器と、を備えている。以下では、酸化剤のガスが空気である場合について説明する。
予熱ヒータは、電力の供給を受けて熱を発生させるヒータであり、燃焼触媒において空気と昇温用燃料とが反応を起こす所定温度にまで加熱するものである。
燃焼器は、後述する燃料排出ヘッダ(燃料排出室)20と接続されるとともに、空気予熱器を介して空気排出ヘッダ23と接続されている。
また、上断熱体15は、後述する空気排出ヘッダ23を形成するため、第1上断熱体15Aと第2上断熱体15Bとに二分割されている。すなわち、空気排出ヘッダ23は、第1上断熱体15Aと第2上断熱体15Bとの間に形成されている。
そして、下管板14と下断熱体16との間には、空気供給ヘッダ22が形成され、上管板13と上断熱体15との間には、空気排出ヘッダ23が形成されている。なお、図中の符号24は、空気排出ヘッダ23に接続された空気排出管(排出配管)である。
また、下管板14は、同じく長手方向の下側(図1の下方)に配置された板状の部材であり、燃料排出ヘッダ20の上面部材とともに空気供給ヘッダ22の下面部材となる。この下管板14は、空気流路40の上端部を封止する部材でもあり、空気供給ヘッダ22と空気流路40との間は、図示しない連通孔により空気の流通が可能となっている。
なお、この場合の長手方向については、略角柱形状となるケーシング11の上下方向と読み替えることも可能である。
上管板14には、セルチューブの一方の端部が気密に固定支持されている。燃料ガスはセルチューブの内面を流れることで、発電室を経由して燃料供給ヘッダ18から燃料排出ヘッダ20に流通している。
セルチューブ12は、一方の開口端が燃料供給ヘッダ18に開口するとともに、他方の開口端が燃料排出ヘッダ20内に開口するように、上下の管板13,14に穿孔した貫通孔よって支持されている。また、セルチューブ12は、燃料電池セルが発電室17内にのみ位置するように配置されている。
上断熱体15及び下断熱体16には、セルチューブ12を挿通させる孔15a,16aが形成され、孔15a,16aの直径は、空気の流通を可能にするためセルチューブ12の直径よりも大きく形成されている。
このような構成にすることで、セルチューブ12と孔15a,16aとの間を通って発電室17に流入する空気に下断熱体16の熱が伝達されやすくなるので、発電室17の温度を高温に保ちやすくなる。
燃料排出ヘッダ20は、上面に下管板14を備えた中空箱形(略直方体形状)の部材であり、略同形状にして上面を開口させた支持架台30の内部空間(略直方体形状)に収納設置されている。
また、外壁面53の短辺側(第二の対向する側面)には、空気排出管24が接続されている。
すなわち、円形や矩形等の貫通孔を複数、あるいは、長手方向に細長い1または複数のスリットを設けて、導入孔52の開孔率が所定範囲内の値となるようにすればよく、好適な開孔率は、圧力損失を確保するために許容される4%程度である。
空気ヘッダにおいて、導入孔52と空気排出管24は、それぞれ異なる側面に設けられるのが望ましく、ダクト50における長辺側の側面には、その内壁に導入孔52が穿孔により設けられる。一方で、短辺側の側面には、その外壁に空気排出管24が設置される。導入孔52および空気排出管24は、それぞれ対向する側面の両側に設けられるのが望ましい。
この結果、導入孔径4.3mmのケースでは、最小偏差91.2%/最大偏差111.4%となり、導入孔径4mmのケースでは、最小偏差90.9%/最大偏差111.3%となり、導入孔径3mmのケースでは、最小偏差90.5%/最大偏差111.9%となった。
また、導入孔52の直径を4mm以下にしても、単に圧力損失が大きくなるだけで流量偏差の向上による整流化は認められないとの知見が得られたので、直径4mmの導入孔52を開口率が4%程度となるように穿孔の数を制御することが望ましい。
この結果、燃料電池10は、上部の限られたスペースを有効に利用して空気を排出し、性能を十分に発揮して効率よく発電できるようになり、さらに、低酸素濃度に起因する損傷を防止して信頼性や耐久性を向上させることができる。
このような空気排出方法によれば、発電室17から空気排出ヘッダ23に流入する発電後の空気は、断面積の小さい導入孔52を通過する際に圧力損失が付与されるので、発電室17から空気排出ヘッダへ流出する空気の流れを均一化できる。従って、発電室17の内部では、空気の流れを整流化し、各セルチューブ17に対して空気を均等に供給することが可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 ケーシング(容器)
12 セルチューブ(燃料電池セル筒)
13 上管板(仕切部材)
14 下管板(仕切部材)
15 上断熱体
16 下断熱体
17 発電室
18 燃料供給ヘッダ(燃料供給室)
20 燃料排出ヘッダ(燃料排出室)
21 燃料排出管
22 空気供給ヘッダ(空気供給室)
23 空気排出ヘッダ(酸化剤ヘッダ)
24 空気排出管(排出配管)
30 支持架台
40 空気流路
50 ダクト(排出流路)
51 内壁面
52 導入孔
53 外壁面
Claims (5)
- 発電室と、前記発電室に断熱材を介して隣接する酸化剤ヘッダと、前記酸化剤ヘッダの外周に配設されるダクトとを備える燃料電池であって、
前記ダクトは、互いに対向する第一の側面と、互いに対向する第二の側面とで構成され、前記第一の側面の内壁に少なくともひとつの酸化剤の導入孔を備えることを特徴とする燃料電池。 - 前記ダクトは、前記第二の側面の外壁に酸化剤排出管を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記ダクトは、額縁状の外周が長方形状であり、前記第一の側面が前記ダクトの長辺側であり、前記第二の側面が前記ダクトの短辺側であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
- 前記導入孔の開孔率が、前記発電室内に圧力損失を与えて整流化する値に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池。
- 燃料電池セル筒の内側に燃料供給室から燃料ガスを導入して燃料排出室へ排出するとともに、酸化剤供給室から発電室内に酸化剤を導入して前記燃料電池セル筒の外側を酸化剤排出室へ向けて下方から上方へ流し、前記燃料ガスと前記酸化剤とを電気化学的に反応させて発電する燃料電池の酸化剤排出方法であって、
容器の内部を上下方向に区画して上から順に形成された前記燃料供給室、前記酸化剤排出室、前記発電室、前記酸化剤供給室及び前記燃料排出室を備え、
前記容器内で前記発電室を上下方向に貫通する複数本の前記燃料電池セル筒を、上端を前記燃料供給室に開口させるとともに下端を前記燃料排出室に開口させ、
略長方形の水平断面形状を有する前記酸化剤排出室の四壁面に沿って互いに連通するボックス断面とされ、互いに対向する内壁面と外壁面とで構成された排出流路を形成し、該排出流路の長辺側の前記内壁面を貫通させて設けた導入孔から前記酸化剤を流入させて、短辺側の前記外壁面に接続した排出配管から流出させることを特徴とする燃料電池の酸化剤排出方法。
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