JP2009238622A - 固体酸化物形燃料電池発電システムとその運転制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セル温度の安定化によりシステムの耐久性と高効率発電性能の維持を可能とすることで、システムの固定費と運用費を大幅に低減できる固体酸化物形燃料電池発電システムとその運転制御方法を提供する。
【解決手段】改質器6で予め自身の排ガスを利用して改質された燃料8を受けて発電するセル若しくはセル集合体である燃料電池9と、燃料電池入口空気に投入する冷却用空気Aと改質器入口排ガスに投入する冷却用空気Bの流量を操作量とする制御装置300とを有し、前記制御装置は、セル温度Tcに応じて前記冷却用空気Aと冷却用空気Bの流量を調整するセル温度安定化制御手段を備えた。
【選択図】図1
【解決手段】改質器6で予め自身の排ガスを利用して改質された燃料8を受けて発電するセル若しくはセル集合体である燃料電池9と、燃料電池入口空気に投入する冷却用空気Aと改質器入口排ガスに投入する冷却用空気Bの流量を操作量とする制御装置300とを有し、前記制御装置は、セル温度Tcに応じて前記冷却用空気Aと冷却用空気Bの流量を調整するセル温度安定化制御手段を備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池発電システムおよびその運転制御方法に係り、特に排ガスエネルギーを利用した改質器を有するシステムの高効率発電特性の維持を可能にする固体酸化物形燃料電池発電システムとその運転制御方法に関する。
近年、クリーンで高効率な分散電源の一つとして燃料電池発電システムが注目されている。なかでも、高温作動可能な固体酸化物形燃料電池発電システムは業務用から産業用など適用範囲が広く、将来の電源、あるいは電熱併給システムとして多分野で期待されている。しかしながら、このような適用分野においては一般に出力変動が激しく、システムに対して高頻度(数10回〜数100回/月)、且つ大幅な出力変更(定格出力の20〜50%幅)が要求される。このような固体酸化物形燃料電池発電システムは通常、900℃前後の高温で作動する多数のセルが集合体(モジュール)として使用される。そのため、上記のように出力変更される場合においても、システムの耐久性を維持する上でセル温度を安定に保つことは極めて重要な課題となっている。また、これはセル性能を高く維持するためにも重要である。
固体酸化物形燃料電池発電システムは、燃料電池のセルにおけるカソード側に供給された空気中の酸素がイオン化され電解質を透過してアノードに達し、アノード側に供給された水素と反応することで起電力を発生する仕組みを利用したものである。この場合、アノードに直接水素を供給しても良いが、通常、都市ガス、LNG、灯油など炭化水素系燃料に蒸気を混合した原料を予め改質器に通すことで水素リッチな改質ガスに転換し、これを燃料として使用する方法が一般的である。出力変動時はセル自身の発熱量が変動するのみでなく、アノードから排出される未反応燃料ガスの燃焼エネルギーも変動する。通常、上記改質器はこの熱エネルギーを使用するため、システム全体としては複雑な温度変動を呈する。
また、カソード側に供給する空気も空気予熱器により上記燃焼エネルギーの一部を利用して予熱されるため、出力変動は空気温度にも影響する。
また、固体酸化物形燃料電池においては、セル内部での改質能力も有するが、改質反応は吸熱を伴うため、セル温度をある程度高く保つために、予め前記の改質器により改質を進めておく方法が一般的に採用されている。通常、改質器での改質率は50%前後で運転される。しかしながら、システムの温度変動により改質器温度が変動すると、この改質率も変動し、セル温度も変動させるという現象が発生する。例えば、改質率が上昇すると、セルに供給された燃料の改質による吸熱量が減るため、セル温度が上昇する。この逆もあり得る。したがって、過度の改質率変動はセルの過熱や温度低下により耐久性や発電性能が低下するという問題を引き起す。
以上、述べたように、システムの温度変動は出力変動時に起き易く、種々の問題を引き起す要因となるため、温度安定化は運転制御上、最も重要な課題のひとつとされている。
固体酸化物形燃料電池発電システムの制御方法に係わる、第1の従来例として、特許文献1に記載された方法がある。本方法は、セル温度の安定化を目的として、計測した電流値に基づいてカソードに供給する空気の温度を調整することで間接的にセル温度を制御する方法が採られている。
また、第2の従来例として、特許文献2に記載された方法がある。本方法は、セル温度の安定化を目的として、計測したセル温度に基づいてカソードに供給する空気流量若しくは空気温度を調整する方法が採られている。
特許文献1の方法では、電流値、空気温度からセル温度を望ましい値に維持できるとしているが、セルとこれを支持する構造材は大きな熱容量をもつため必ずしもセル温度を安定に制御できるとは限らない。
また、特許文献2の方法では、排ガスによる空気予熱器の上流に位置する空気加熱による空気温度調整若しくは空気供給装置による空気流量調整によりセル温度を望ましい値に維持できるとしている。しかし、排ガスエネルギーを利用した改質器を有するシステムに適用した場合のセル温度安定化を保証することはできない。
本発明が解決しようとする課題は、排ガスエネルギーを利用した改質器を有するシステムにおけるセル温度の安定化を実現することである。
本発明はその一面において、セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用して前記燃料電池へ供給する主空気を予熱する空気予熱器を備えた固体酸化物形燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池のセルの温度またはその変動を計測,推定または予測し、この計測,推定または予測に基づいて前記主空気の供給温度を制御するとともに、前記セル温度の計測,推定または予測に基づいて前記改質器の作動温度を制御することを特徴とする。
本発明の望ましい実施態様においては、セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、空気予熱器と、これらに供給する燃料と主空気の流量を調整する制御装置とを有し、目標出力指令値を発生し、前記目標出力指令値に基づいて前記改質器に供給する燃料流量を決定し、前記目標出力指令値に基づいて前記空気予熱器に供給する主空気流量を決定する固体酸化物形燃料電池発電システムにおいて、燃料電池内部のセル温度を計測し、セル温度に基づいて空気予熱器の出口空気(主空気)に添加する冷却用空気の流量指令値および改質器の入口排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値とを出力する。
本発明の望ましい実施形態においては、主空気流量指令値から冷却用空気の流量指令値を差引いた値を新たに主空気の流量指令値とする。
本発明のさらに望ましい実施形態においては、セル温度制御として、基準セル温度に対するセル温度計測値との偏差を比例積分微分演算し、得られた値にそれぞれゲインを掛けた値を2つの冷却用空気流量指令とする。具体的には、主空気に添加する冷却用空気の流量指令値に対するゲインをKCA、改質器の入口への排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値に対するゲインをKCBとしたとき、KCA/KCB=1〜3の範囲に設定することが望ましい。
本発明の望ましい実施態様によれば、固体酸化物形燃料電池発電システムのセル温度を安定化できるためシステムの耐久性と高効率発電性能の維持が可能となる。そのため、システムの固定費と運用費を低減することが可能となる。
本発明のその他の目的と特徴は、以下に述べる実施形態の中で明らかにする。
最初に、図1を用いて、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池発電システムの構成について説明する。なお、燃料電池のセル構造としては、主として円筒型と平板型が提案されているが、両者とも基本的な動作原理は同じであり、以下の実施形態では、円筒型を例にして説明する。また、以下では簡単のため固体酸化物形燃料電池発電システムを単に燃料電池発電システムと呼ぶ。
図1は、本発明の一実施形態による電池発電システムの機能を説明するための構成図である。最初に、本実施形態の燃料電池発電システムのうち制御装置200を除く破線で示す燃料電池機器本体100の働きについて説明する。
まず、燃料1である都市ガス若しくは灯油(以下、単に燃料と呼ぶ)は燃料流量調整弁16により改質器6に送られるが、改質器6に投入される前に蒸発器4で発生した蒸気と合流する。この蒸気は給水ポンプ17により給水3が蒸発器4に送られて蒸発したものである。この燃料と蒸気は改質器6にて水素リッチで高温の改質ガス8に転換され燃料電池9のアノード側に送入される。一方、空気ブロア18により大気から取り込まれた空気2は空気予熱器7にて予熱される。予熱された空気は後述の冷却用空気Aが添加されたのち燃料電池9の空気ヘッダ12に供給される。
本実施例の燃料電池9は、複数の円筒型セル10で構成され、セルの外側がアノード、内側がカソードになっている。改質ガス8は燃料電池9の下方から送入されアノードに沿って上昇し、上部の燃焼室11に排出される。また、空気ヘッダ12に送入された空気は複数に分流し、各セルの内部に配置された円筒状の空気導入管13の内部を予熱されながら下降し、下の端部を出たのちセル内側のカソードに沿って上昇し、上記燃焼室11に抜ける。燃焼室11に抜けた空気は、ここでアノードを通過した残存燃料ガスの燃焼に寄与する。
上記アノードとカソードの間には解質膜があり、カソード側を通過する空気中の酸素は解質膜の働きでイオン化され電解質を透過してアノードに達し、アノードに供給される改質ガス8に含まれる水素または一酸化炭素と反応することで起電力を発生する。発生した直流電力LCは電力変換器14により交流電力LAに変換され、負荷15に供給される。尚、本図では明示していないが、通常、複数のセルは並列接続と直列接続の組合せで必要な電圧と電流を得ることができるように構成されている。したがって、端子電圧は直列接続セル数に依存し、端子電流は並列接続セル数に依存する。
負荷15が直流電力を要求するものであれば、電力変換器14としては直流から交流への変換機能は不要であるが、端子電圧VCは出力により変化するため、電圧変換機能が必要となる。また、負荷に供給する出力電力LAは電力変換器14における変換損失だけ端子電力LCよりも小さくなる。
燃料1、給水3及び空気2の各流量は、それぞれ燃料流量調整弁16の開度、給水ポンプ17及び空気ブロア18の速度により調整される。改質ガス8はアノードを通過しながら発電に寄与することで燃料濃度が低下するが、ある程度の燃料は残存する。
燃焼室11に排出された空気もある程度の酸素が残存するので、残存燃料と空気は燃焼により再び高温ガスとなり、この高温ガスは空気ヘッダ12に供給された空気を加熱する。燃焼室11から排出された高温排ガスは、前述の空気予熱器7に送られる。この空気予熱器7において、高温排ガスのエネルギーにより前記空気が予熱され、空気ヘッダ12に送入される。さらに、空気予熱器7からの排出ガスも後述の冷却用空気Bが添加されたのち前述の改質器6に導かれて燃料の改質と、前述の蒸発器での給水蒸発に利用されたのち、排ガスブロア20によりシステム外に排出される。
上記の冷却用空気Aは空気ブロア22により主空気に添加され、冷却用空気Bは空気ブロア24により空気予熱器出口すなわち改質器6の入口で排ガスに添加される。
次に、本発明の実施形態における制御装置200の働きについて説明する。図1の二点鎖線で囲んだ制御装置200において、太線で示す制御要素が本発明の実施形態に係るもので、細線で示す制御要素は従来システムと共通するものである。但し、ここでは制御装置の働きを理解し易くするために制御構成部100と200をブロックで分割して示したが、実際には、燃料電池機器本体100と同一パッケージ内、若しくはその傍等に配置されたコントローラで実現されている。
まず、従来要素の働きについて説明する。制御装置200において目標出力設定手段26から目標出力指令値LR0が発せられると、この目標出力指令値LR0に対応して空気流量指令手段29では空気流量指令値FAR0、燃料流量指令手段28では燃料流量指令値FFR、給水流量指令手段30では給水流量指令値FWRが出力される。これら3つの指令値FAR0、FFR、FWRは、静特性的に設計条件に合致するバランス条件であり、定常運転時に出力LR0を得るのに必要な値である。尚、空気流量指令値FAR0については冷却用空気Aが添加されても総合空気流量に影響しないよう、前記冷却用空気A流量指令値FCARだけ差引かれて実際の主空気流量指令値FARとする。これらの指令値FAR、FFR、FWRは、それぞれ、空気ブロア18、燃料流量調整弁16、及び給水ポンプ17の各流量制御装置(図示しない)に渡され、指令値を満足するよう制御される。
本発明の一実施形態によるセル温度安定化制御手段300では、セル温度検出器25にて検出されたセル温度TCを取り込み、このセル温度に応じて冷却用空気A流量指令値FCARと冷却用空気B流量指令値FCBRが出力される。ここで、セル温度検出器25の設置はセルの軸方向で最も温度が高くなる位置に設置するのが望ましく、この正確な設置はシステムの設計条件により適宜決定すればよい。本実施例では、最も温度が高くなりやすい中部に設置した。
図2は、本発明の一実施形態によるセル温度安定化制御手段300を具体的に示すものである。まず、基準セル温度TCRに対する検出されたセル温度TCの偏差ΔTCを減算手段32で求める。次に、比例積分微分演算手段33により前記偏差ΔTCを比例積分微分演算し、その演算結果RCを得る。最後に、前記演算結果RCに対して乗算器34、35でそれぞれゲインKCAとKCBを乗じて前記の冷却用空気A流量指定値FCARと冷却用空気B流量指定値FCBRを得る。
次に、図3、4、5を用いて、本発明の一実施形態によるセル温度TCが前記基準セル温度TCRに対して上昇傾向を示した場合の上記セル温度安定化制御手段300によるセル温度安定化の効果を説明する。
まず、図3は冷却用空気Aのみを使用した場合(KCB=0)の制御特性として、セルの上部、中部、下部の3点に着目した軸方向温度分布の時間応答を示す。本図から分かるように、セル温度TCが上昇傾向を示すと冷却空気A流量が増加して、セル上部から冷却効果が現れ中部セル温度も一旦安定化するかに見えるが、その後、再び上昇傾向を示している。この現象は次のように説明できる。まず、セル温度TCが上昇すると冷却用空気A流量FCAが増加し始めるが、前述のようにこの増加分に相当する主空気流量FAを削減されるため、空気予熱器7での熱吸収量が低下し、空気予熱器7の排ガス温度(改質器6の入口排ガス温度)が上昇する。その結果、改質器6による燃料ガスの改質率が上昇し、セル内部改質による吸熱量が減少してセル温度上昇を助長する。即ち、冷却空気Aの増加によるセルの冷却効果よりも、改質率上昇による吸熱量低下の影響が大きく出たことでセル温度上昇の抑制が困難となった。しかも、軸方向温度差(中部温度−上部温度)も拡大し、セル耐久性維持の観点からも好ましい現象とはいえない。
図4は、冷却用空気Bのみを使用した場合(KCA=0)の制御特性を示す。本図から分かるように、セル温度TCが上昇傾向を示すと冷却空気B流量が増加して、セル下部から冷却効果が現れ中部セル温度も一旦頭打ちになるが、その後、振動傾向を示している。この現象は、セル温度TCが上昇すると冷却用空気B流量FCBが増加し始めるが、セル温度TCへの応答が遅れるため冷却用空気B流量FCBを過度に投入しているためである。この応答遅れの主な要因は3つあり、一つは、冷却用空気Bの投入により改質器6への入口排ガス温度が低下し、燃料ガス温度が低下するまでに改質器熱容量による伝熱遅れである。二つめは、燃料ガスが改質器からセルに至るまでの配管や燃料電池下部の熱容量による伝熱遅れである。三つめは、セル下部から挿入された燃料ガスによりセル中部に至るセル及び構造材の熱容量による伝熱遅れである。また、この場合の応答を複雑にしているのが、改質器による燃料ガスの改質率低下とこれに伴うセル内部改質による吸熱量の増加である。上記のような大きな時間遅れを伴う複雑な現象が、セル温度の安定化を阻害している。但し、上記のように冷却用空気Bによる制御は、安定性については若干問題があるが燃焼ガス温度を低下させ、それに伴う改質率の低下によりセル温度の上昇を抑制する効果は確かにある。
上記のように、冷却空気Aのみによる場合は、冷却空気Bのみによる場合と比較してセル温度の安定性が高い反面、主空気流量を過度に絞るほどの冷却空気流量が必要となる場合はセル温度の上昇を抑制することが困難となることがある。一方、冷却空気Bのみによる場合は、冷却空気Aのみによる場合と比較して少ない冷却空気でセル温度の上昇を抑制できる反面、大きな応答遅れを伴うためセル温度の安定性が難しい。
図5は、冷却用空気Aと冷却用空気Bを併用した場合の制御特性を示す。これによると両者の長所が活かされている。即ち、冷却用空気Aによるセル上部の冷却と冷却用空気Bによるセル下部の冷却が程よくバランスし、セル温度は安定に制御されている。また、両冷却用空気も過度に投入することなくセル温度上昇を抑制できている。但し、この場合でも、ゲインKCAとKCBの設定がどちらかに偏ると、前記のようなそれぞれの欠点が現れるため、両者の関係は1≦KCA/KCB≦3、すなわち、KCA/KCB=1〜3の範囲で設定するのが望ましい。
以上の本発明の実施形態によると、固体酸化物形燃料電池発電システムのセル温度を安定化できるためシステムの耐久性と高効率発電性能の維持が可能となる。そのため、システムの固定費と運用費を大幅に低減することが可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、以下に述べる実施形態においても、その本質を何ら変えることなく適用可能である。
まず、本発明の実施形態ではセル温度安定化制御のための演算手段として、比例積分微分演算手段33を用いているが、必ずしも比例積分微分演算とする必要はない。例えば、図6に示すように、セル温度TCの偏差ΔTCに対して比例演算手段33aを用いた比例制御による方法としてもよく、本発明の本質を何ら変えることなく適用可能である。この比例制御によるセル温度の制御特性を図7に示す。比例制御の特徴は、前述のような積分演算を含まないため被制御量、即ちセル温度にオフセットが残ることであるが、これにより投入する冷却用空気が少なくて済むという利点がある。また、上記比例制御を用いる場合において、図8に示すようにデッドバンド付比例演算手段33bを用いることで、微小なセル温度変動に対しは冷却用空気流量を変更しない方法としても、本発明の本質を何ら変えることなく適用可能である。
また、本発明の前記実施形態では、セル温度安定化制御のための冷却用空気Bを改質器6の入口の排ガスに投入する方法としたが、例えば図9に示すように、空気予熱器7の入口に投入する方法としてもよく、本発明の本質を何ら変えることなく適用可能である。この場合、冷却用空気Bにより空気予熱器7が冷やされたのち改質器6が冷やされるためセル下部からの冷却効果は弱まるが、上部からの冷効果が増すことで、セル温度安定化を目的とする本発明の本質を何ら変えることなく適用可能である。
また、本発明の実施形態では、セル温度安定化制御のために排ガスに冷却用空気Bを投入する方法としたが、必ずしも空気とする必要は無く、水若しくは蒸気、或いは窒素など、要するに環境に無害で排ガス温度を下げる効果があるものであれば適宜選定できる。この場合にも、セル温度安定化を目的とする本発明の本質を何ら変えることなく適用可能である。
また、本発明の実施形態では、セル温度TCとして、セルで最高温度となる部位での計測が望ましく、例えば最高温度になりやすい中央部での計測が望ましい。しかしながら、最高温度位置は出力変化に応じて移動するため、必ずしも位置を厳密に規定する意味はなく、例えば、複数個所での計測値の最高値若しくは平均値などの代表値を使用する方式としても、本発明の本質を何ら変えるものではない。
また、本発明の実施形態では、セル温度TCとして、例えば絶縁耐火物を介してセル表面に接した熱伝型温度計を使用した直接計測が望ましい。しかし、セル自体の発電性能の観点からはアノード空間燃料ガス温度やセル間電極温度など、システムの設計条件や構造上の特徴を考慮したセル近傍の温度を計測することで代用する方法としても、本発明の本質を何ら変えるものではない。
さらに、本発明の実施形態では、燃料電池のセル構造として円筒型のものを対象としたが、本発明を適用するに当り円筒型セルに限定する必要はなく、平板型セルやその他の構造を持つセルに対しても、本発明の本質を何ら変更されることなく実施できる。
また、本発明の前記実施形態は、燃料電池システムのセル構造として、円筒の内側がアノード、外側がアノードとするものを対象とした。しかし、この逆、即ち内側がアノード、外側がカソードとするセル構造を有する燃料電池システムに対しても、本発明の本質を何ら変更されることなく実施できる。
さらに、本発明の実施形態では排ガスが空気予熱器、改質器、蒸発器の順次に供給されるシステム構成としているが、必ずしもこの構成とする必要はなく、例えば、排ガスが改質器を通過してから空気予熱器に供給されたり、燃料予熱器を別途配置しても良い。
100…燃料電池機器本体、200…制御装置、300…セル温度安定化制御手段、1…燃料、2…空気、3…給水、4…蒸発器、6…改質器、7…空気予熱器、8…改質ガス、9…燃料電池、10…セル、11…燃焼室、12…空気ヘッダ、13…空気導入管、14…電力変換器、15…負荷、16…燃料流量調整弁、17…給水ポンプ、18…空気ブロア、20…排ガスブロア、22…空気ブロア、24…空気ブロア、25…温度計、26…目標出力設定手段、27…電力変換器制御手段、28…燃料流量指令手段、29…空気流量指令手段、30…給水流量指令手段、31…減算手段、32…減算手段、33…比例積分微分演算手段、33a…比例演算手段、33b…デッドバンド付比例演算手段、34…乗算手段、35…乗算手段。
Claims (10)
- セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用して前記燃料電池へ供給する主空気を予熱する空気予熱器を備えた固体酸化物形燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池のセルの温度またはその変動を計測,推定または予測するセル温度判定手段と、前記セル温度の判定に基づいて前記主空気の供給温度を調整する空気温度調整手段と、前記セル温度の判定に基づいて前記改質器の作動温度を調整する改質温度調整手段とを備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システム。 - セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、空気予熱器と、これらに供給する燃料と主空気の流量を調整する制御装置とを有する燃料電池発電システムであって、前記制御装置は目標出力指令値を発生する目標出力設定手段と、前記目標出力指令値に基づいて前記改質器に供給する燃料流量を決定する燃料流量指令手段と、前記目標出力指令値に基づいて前記空気予熱器に供給する主空気流量を決定する空気流量指令手段を有する固体酸化物形燃料電池発電システムにおいて、
前記制御装置は、燃料電池内部のセル温度を計測するセル温度計測手段と、前記セル温度に基づいて前記空気予熱器の出口空気(主空気)に添加する冷却用空気の流量指令値および前記改質器の入口排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値とを出力するセル温度制御手段を備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システム。 - セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、空気予熱器と、蒸発器と、これらに供給する燃料と主空気と給水の流量を調整する制御装置とを有する燃料電池発電システムであって、前記制御装置は目標出力指令値を発生する目標出力設定手段と、前記目標出力指令値に基づいて前記改質器に供給する燃料流量を決定する燃料流量指令手段と、前記目標出力指令値に基づいて前記空気予熱器に供給する主空気流量を決定する空気流量指令手段と、前記目標出力指令値に基づいて前記蒸発器に供給する給水流量を決定する給水流量指令手段とを有する固体酸化物形燃料電池発電システムにおいて、
前記制御装置は、燃料電池内部のセル温度を計測するセル温度計測手段と、前記セル温度に基づいて前記空気予熱器の出口空気である前記主空気に添加する冷却用空気の流量指令値と、前記改質器の入口への排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値を出力するセル温度制御手段とを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システム。 - 請求項2または3において、前記空気流量指令手段からの主空気流量指令値から前記冷却用空気の流量指令値を差引いた値を新たに主空気の流量指令値とする流量補正手段を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システム。
- 請求項2〜4のいずれかにおいて、前記セル温度制御手段として、基準セル温度に対する前記セル温度計測手段から得られた計測値との偏差を比例積分微分演算するための比例積分微分演算手段と、前記比例積分微分演算手段で得られた値にそれぞれゲインを掛けた値を前記2つの冷却用空気流量指令とする2つの乗算手段を備え、前記主空気に添加する冷却用空気の流量指令値に対する前記ゲインをKCA、前記改質器の入口への排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値に対する前記ゲインをKCBとしたとき、KCA/KCB=1〜3の範囲に設定したことを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システム。
- セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池から排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用して前記燃料電池へ供給する主空気を予熱する空気予熱器を備えた固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法において、
前記燃料電池のセルの温度またはその変動を計測,推定または予測するセル温度判定ステップと、前記セル温度の判定に基づいて前記主空気の供給温度を調整する空気温度調整ステップと、前記セル温度の判定に基づいて前記改質器の作動温度を調整する改質温度調整ステップとを備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法。 - セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、空気予熱器と、これらに供給する燃料と主空気の流量を調整する制御装置とを有する燃料電池発電システムであって、前記制御装置は目標出力指令値を発生する目標出力設定手段と、前記目標出力指令値に基づいて前記改質器に供給する燃料流量を決定する燃料流量指令手段と、前記目標出力指令値に基づいて前記空気予熱器に供給する主空気流量を決定する空気流量指令手段を有する固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法において、
燃料電池内部のセル温度を計測するセル温度計測ステップと、前記セル温度に基づいて前記空気予熱器の出口空気(主空気)に添加する冷却用空気の流量指令値および前記改質器の入口排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値とを出力するセル温度制御ステップを備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法。 - セルの集合体である燃料電池と、前記燃料電池からの排ガスの熱エネルギーを利用した改質器と、空気予熱器と、蒸発器と、これらに供給する燃料と主空気と給水の流量を調整する制御装置とを有する燃料電池発電システムであって、前記制御装置は目標出力指令値を発生する目標出力設定ステップと、前記目標出力指令値に基づいて前記改質器に供給する燃料流量を決定する燃料流量指令ステップと、前記目標出力指令値に基づいて前記空気予熱器に供給する主空気流量を決定する空気流量指令ステップと、前記目標出力指令値に基づいて前記蒸発器に供給する給水流量を決定する給水流量指令ステップとを有する固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法において、
前記制御装置は、燃料電池内部のセル温度を計測するセル温度計測ステップと、前記セル温度に基づいて前記空気予熱器の出口空気である前記主空気に添加する冷却用空気の流量指令値と、前記改質器の入口への排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値を出力するセル温度制御ステップとを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法。 - 請求項7または8において、前記主空気に添加する冷却用空気の流量指令値から前記冷却用空気の流量指令値を差引いた値を新たに主空気の流量指令値とする流量補正ステップを実行することを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法。
- 請求項7〜9のいずれかにおいて、前記セル温度制御ステップとして、基準セル温度に対する前記セル温度計測ステップから得られた計測値との偏差を比例積分微分演算するための比例積分微分演算ステップと、前記比例積分微分演算ステップで得られた値にそれぞれゲインを掛けた値を前記2つの冷却用空気流量指令とする2つの乗算ステップを備えるとともに、前記主空気に添加する冷却用空気の流量指令値に対する前記ゲインをKCA、前記改質器の入口への排ガスに添加する冷却用空気の流量指令値に対する前記ゲインをKCBとしたとき、KCA/KCB=1〜3の範囲に設定することを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システムの運転制御方法。
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JP2008084002A JP2009238622A (ja) | 2008-03-27 | 2008-03-27 | 固体酸化物形燃料電池発電システムとその運転制御方法 |
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JP2013171674A (ja) * | 2012-02-20 | 2013-09-02 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 燃料電池及びその酸化剤排出方法 |
US9406965B2 (en) | 2012-02-20 | 2016-08-02 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Fuel cell module |
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