JP5244292B2 - 燃料電池モジュールおよび燃料電池システム - Google Patents
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Description
このうち、固体酸化物形燃料電池(Solid
Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」と呼ぶ)は、電解質としてジルコニアセラミクッスなどのセラミックスが用いられ、天然ガス,石油,メタノール,石炭ガス化ガスなどを燃料として運転される燃料電池である。このSOFCは、イオン伝導率を高めるために作動温度が約900〜1000℃程度と高く、用途の広い高効率な高温型燃料電池として知られている。
しかしながら、各燃料電池セル内に空気導入管を挿入配置させたり、燃料電池空気極に触媒層を形成したりするため、燃料電池セルの構成が複雑となり、その製造が困難になるという問題があった。
また、各燃料電池セル内でそれぞれ燃焼を行う場合、各燃料電池セル内での燃焼状態や分布を均一に制御することは困難であり、各燃料電池セルの各部分における昇温速度が異なっていた。そのため、温度分布が不均一になるというセルにとっては大きな問題があった。
本発明の燃料電池モジュールは、容器と、該容器内の空間を気密に仕切ることにより第1空間及び第2空間を形成する第1仕切り部材と、前記第1空間を流体が流通可能に仕切ることにより、前記第1仕切り部材との間に第3空間を形成する第2仕切り部材と、表面に燃料電池セルが形成された略円筒状の燃料電池セル管と、を有し、前記燃料電池セルは前記第1空間内に位置し、前記燃料電池セル管の開口端は前記第2空間に開放され、前記燃料電池セル管は、前記第2仕切り部材に形成された孔に挿通され、前記燃料電池セル管の内側には、前記第2空間および前記開口端を介して燃料ガスが導入され、前記燃料電池セル管の外側には、少なくとも、前記第3空間および前記第2仕切り部材を介して、予混合された酸化剤ガスと昇温用燃料ガスとの燃焼ガスが導入され、前記第2仕切り部材には、前記予混合された前記酸化剤ガスと前記昇温用燃料ガスとを反応させる触媒が設けられ、前記触媒によって前記酸化剤ガスと前記昇温用燃料ガスとが反応し、生成した前記燃焼ガスが前記第1空間へ流入していることを特徴とする。
例えば、複数の燃料電池セル管を備えた燃料電池モジュールにおいては、第2仕切り部材に設けた触媒で反応させた燃焼ガスを、各燃料電池セル管の外側に導入するため、各燃料電池セル管の燃料電池セルの温度上昇を揃えることができる。特許文献1に記載された発明と比較して、熱の損失が少ないため燃料電池セルの起動用(昇温用)燃料の使用量を削減できる。また、燃料電池セルの健全性を保つこと(破損防止)が容易となる。
そのため、燃焼ガスは燃料電池セルを効率的に加熱することができ、燃料電池モジュールの起動時における燃料消費量低減と起動に要する時間短縮とを図ることができる。
第1仕切り部材などは燃焼ガスと長時間接触しないため、燃焼ガスなどの高温ガスを燃料電池モジュール外部から導入して燃料電池セル温度を上昇させる方法と比較して、第1仕切り部材などの耐熱性に余裕を持たせることができる。
そのため、燃焼限界よりも混合比率の低い混合ガスを触媒で反応させる場合には、容器の外部で酸化剤ガスと昇温用燃料とを予混合させても、この予混合ガスが燃料電池モジュールの外部で燃焼、自着火することがない。また、容器の内部においても、触媒以外の領域における予混合ガスの燃焼、自着火を考慮する必要がない。さらに、容器の内部における燃焼器構造を考慮する必要がない。
上述のように酸化剤ガスと昇温用燃料ガスとの混合比率の範囲を広く取ることができるため、燃焼ガス温度の制御可能範囲を広くすることができる。
本発明によれば、第2仕切り部材が流体透過性を有する材料から形成されているため、触媒において生成された燃焼ガスを第1空間に流入させることができる。
流体透過性を有する材料としては、例えば、多孔質体やハニカム構造体などを例示することができる。
本発明によれば、燃料電池セル管と第2仕切り部材との間には、所定間隔の隙間が設けられているため、触媒において生成された燃焼ガスは上記隙間を通って第1空間に流入することができる。
また、第2仕切り部材が断熱性を有する材料から形成されているため、第1空間内の熱が外部に逃げることを防止できる。そのため、燃料電池セルの昇温速度の低下を防止できる。
上記発明においては、供給部により触媒に昇温用燃料ガスを導入するため、昇温用燃料ガスと酸化剤ガスとは、触媒が設けられている領域において混合される。そのため、触媒が設けられていない領域には、昇温用燃料ガスと酸化剤ガスとの混合ガスが存在せず、当該領域における混合ガスの燃焼、自着火を防止することができる。
特許文献1のように高温ガスを燃料電池セル内へ導く配管を設ける必要がないため、燃料電池モジュールの構成をより簡素化することができる。
上記発明においては、前記第2仕切り部材が、光エネルギと熱エネルギとを変換する輻射変換体である。
上記発明においては、前記燃料電池セル管の内側に導入される前記燃料ガスと前記燃料電池セル管の外側に導入される燃焼ガスは、各々対向する方向に流通する。
この効果により、燃料電池モジュールの昇温用(起動用)燃料の使用量を削減できるという効果を奏する。
また、特許文献1のように高温ガスを燃料電池セル内へ導く配管を設ける必要がないため、燃料電池モジュールの構成をより簡素化することができるという効果を奏する。
以下、本発明に係るSOFCシステムの第1の実施形態について図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るSOFCシステムの構成を説明する模式図である。図2は、図1のSOFCモジュールの構成を説明する模式図である。
予熱ヒータ15は、電力の供給を受けて熱を発生させるヒータであり、後述する燃焼触媒において空気と昇温用燃料とが反応を起こす所定温度にまで加熱するものである。
燃焼器21は燃料排出室45と接続されるとともに、空気予熱器5を介して空気排出室49と接続されている。
セルチューブ35は多孔質セラミックスから形成された略円筒状の管であり、長手方向における中央部には発電を行なう燃料電池セル51が設けられている。
セルチューブ35は、一方の開口端が燃料供給室43に開口するとともに、他方の開口端が燃料排出室45に開口するように上下の管板37a,37bに支持されている。また、セルチューブ35は、燃料電池セル51が発電室41内にのみ位置するように配置されている。
各断熱体39a,39bには、セルチューブ35が挿通される孔53が形成され、孔53の直径はセルチューブ35の直径よりも大きく形成されている。
なお、孔53の内周面は、略円筒状に形成されていてもよいし、螺旋状または直線状の凹部(溝)または凸部(畝状突起)が形成されていてもよく、特に限定するものではない。このような構成にすることで、セルチューブ35と孔53との間を通って発電室41に流入する空気に下断熱体39bの熱が伝達されやすくなり、発電室41の温度を高温に保ちやすくすることができる。
燃焼触媒55としては、空気と昇温用燃料ガスとの燃焼を促進するものが望ましく、例えば、白金や、パラジウム等を挙げることができる。
なお、上述のように、燃焼触媒55を下断熱体39bに担持させてもよいし、粒状やボール状、筒状、ペレット状などのさまざまな形状の燃焼触媒55を断熱体39b内部や表層等に配置してもよい。
SOFCシステム1の起動時においては、図1に示すように、外部から供給された空気は空気予熱器5を介してSOFCモジュール31の空気供給室47に供給される。
起動時には、空気予熱器5にSOFCモジュール31から高温の空気が供給されていないため、空気予熱器5において外部から供給された空気は加熱されない。空気予熱器5を通過した空気は、予熱ヒータ15により所定温度、例えば200℃から500℃にまで加熱されるとともに、空気には昇温用燃料供給部13から昇温用燃料ガスが混合される。
例えば、昇温用燃料ガスとしてメタンを用いた場合には、燃焼限界濃度が約5%であるので、空気と昇温用燃料ガスとの混合濃度は5%以下とされている。
高温ガスは、孔53とセルチューブ35との隙間を通って発電室41に流入する。高温ガスはセルチューブ35を加熱した後、孔53とセルチューブ35との隙間を通って空気排出室49に流入する。高温ガスは空気排出室49から改質器3に流入して改質器3を加熱する。その後、高温ガスは空気予熱器5に流入して空気予熱器5を加熱する。
この場合のメタン濃度は約4.5%ととなり、上述のようにメタンの燃焼限界濃度である5%を下回る。そのため、燃焼触媒55が存在しない所でメタンが自着火、燃焼することを防止できる。
昇温用燃料供給部13からの昇温用燃料ガスの供給量は、燃料電池セル51の温度が上昇するにともない徐々に減らされ、燃料電池セル51の温度が定格運転温度(例えば、約1000℃)に到達するまでには昇温用燃料ガスの供給が停止される。
また、断熱体39bの空気供給室47と接する面に設けた燃焼触媒55で燃焼させた燃焼ガスを各セルチューブ35が配置された発電室41に導入するため、各セルチューブ35の燃料電池セル51の温度上昇を揃えることができ、特許文献1に記載された発明と比較して、熱の損失が少ないため燃料電池セル51の起動用(昇温用)燃料の使用量を削減できる。また、燃料電池セル51の健全性を保つこと(破損防止)が容易となる。
そのため、高温ガスは燃料電池セルを効率的に加熱することができ、SOFCモジュール31の起動時における燃料消費量低減と起動に要する時間短縮とを図ることができる。
管板37a,37bなどは高温ガスと長時間接触しないため、高温ガスを燃料電池モジュール外部から導入して燃料電池セル温度を上昇させる方法と比較して、上下の管板37a,37bなどの耐熱性に余裕を持たせることができる。
そのため、燃焼限界よりも混合比率の低い混合ガスを燃焼触媒55で反応させる場合には、容器33の外部で空気と昇温用燃料ガスとを予混合させても、混合ガスがSOFCモジュール31の外部で燃焼、自着火することがない。また、容器33の内部においても、燃焼触媒55以外の領域における混合ガスの燃焼、自着火を考慮する必要がない。さらに、容器33の内部における燃焼器構造を考慮する必要がない。
次に、本発明の第2の実施形態について図3を参照して説明する。
本実施形態のSOFCシステムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、昇温用燃料供給部の配置位置が異なっている。よって、本実施形態においては、図3を用いて昇温用燃料供給部の配置等のみを説明し、その他構成要素の説明を省略する。
図3は、本実施形態に係るSOFCシステムの構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略している。
昇温用燃料供給部113は、昇温用燃料ガスをSOFCモジュール31の空気供給室47に直接供給している。
SOFCシステム101の起動方法は、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と異なる部分のみ説明する。
本実施形態においては、空気と昇温用燃料ガスとの混合は、空気供給室47における燃焼触媒55の近傍領域、あるいは、燃焼触媒55の配置領域で行われる。また、空気と昇温用燃料ガスとの混合濃度は、昇温用燃料ガスの燃焼限界濃度と関係なく、特に限定されるものではない。
一方、燃焼触媒55の近傍等で空気と昇温用燃料ガスとを混合させているため、昇温用燃焼ガスの混合濃度が、第1の実施形態と同様に燃焼限界濃度よりも低くても、燃焼触媒55において昇温用燃料ガスを燃焼させることができる。
次に、本発明の第3の実施形態について図4を参照して説明する。
本実施形態のSOFCシステムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、容器内の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図4を用いて容器内の構成等のみを説明し、その他構成要素の説明を省略する。
図4は、本実施形態に係るSOFCシステムにおけるSOFCモジュールの構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略している。
上下の輻射変換体239a,239bには、孔253が形成され、孔253にはセルチューブ35が挿通されている。そのため、セルチューブ35は上下の輻射変換体239a,239bにも支持されている。
SOFCシステム201の起動方法は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
燃料電池セル51から発電室41内に発せられた光の一部は、上下の輻射変換体239a,239bに入射する。上下の輻射変換体239a,239bに入射した光は、その光エネルギが熱エネルギに変換され、上下の輻射変換体239a,239bの温度が上昇する。
そのため、空気供給室47から発電室41に流入する空気は、下輻射変換体239bを通過する際に、輻射変換体239bの熱が与えられ、温度が上昇する。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明をSOFC(固体酸化物形燃料電池)に適応して説明したが、この発明はSOFCに限られることなく、その他各種の高温型燃料電池に適応できるものである。
また、上記の実施の形態においては、燃料ガスが直接供給されるSOFCコンバインド発電システムに適応して説明したが、この発明は燃料ガスが直接供給されるSOFCコンバインド発電システムに限られることなく、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)など、その他各種の燃料電池を用いたコンバインド発電システムに適応できるものである。
3 改質器
5 空気予熱器
13 昇温用燃料供給部(供給部)
31,231 SOFCモジュール(燃料電池モジュール)
33 容器
35 セルチューブ(燃料電池セル筒)
37a 上管板(第1仕切り部材)
37b 下管板(第1仕切り部材)
39a 上断熱体(第2仕切り部材)
39b 下断熱体(第2仕切り部材)
41 発電室(第1空間)
43 燃料供給室(第2空間)
45 燃料排出室(第2空間)
47 空気供給室(第3空間)
49 空気排出室(第3空間)
51 燃料電池セル
55 燃焼触媒(触媒)
113 昇温用燃料供給部(供給部)
239a 上輻射変換体(第2仕切り部材)
239b 下輻射変換体(第2仕切り部材)
Claims (7)
- 容器と、
該容器内の空間を気密に仕切ることにより第1空間及び第2空間を形成する第1仕切り部材と、
前記第1空間を流体が流通可能に仕切ることにより、前記第1仕切り部材との間に第3空間を形成する第2仕切り部材と、
表面に燃料電池セルが形成された略円筒状の燃料電池セル管と、を有し、
前記燃料電池セルは前記第1空間内に位置し、前記燃料電池セル管の開口端は前記第2空間に開放され、
前記燃料電池セル管は、前記第2仕切り部材に形成された孔に挿通され、
前記燃料電池セル管の内側には、前記第2空間および前記開口端を介して燃料ガスが導入され、
前記燃料電池セル管の外側には、少なくとも、前記第3空間および前記第2仕切り部材を介して、予混合された酸化剤ガスと昇温用燃料ガスとの燃焼ガスが導入され、
前記第2仕切り部材には、前記予混合された前記酸化剤ガスと前記昇温用燃料ガスとを反応させる触媒が設けられ、前記触媒によって前記酸化剤ガスと前記昇温用燃料ガスとが反応し、生成した前記燃焼ガスが前記第1空間へ流入していることを特徴とする燃料電池モジュール。 - 前記第2仕切り部材が、流体透過性を有する材料から形成さていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池モジュール。
- 前記第2仕切り部材が、断熱性を有する材料から形成され、
前記燃料電池セル管と前記第2仕切り部材との間には、所定間隔の隙間が設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池モジュール。 - 前記触媒に前記昇温用燃料ガスを導入する供給部が設けられている請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池モジュール。
- 前記第2仕切り部材は、光エネルギと熱エネルギとを変換する輻射変換体である請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池モジュール。
- 前記燃料電池セル管の内側に導入される前記燃料ガスと前記燃料電池セル管の外側に導入される燃焼ガスは、各々対向する方向に流通する請求項1から5のいずれかに記載の燃料電池モジュール。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載の燃料電池モジュールと、
該燃料電池モジュールに供給する燃料ガスを改質する改質器と、
前記燃料電池モジュールに供給する空気を加熱する空気予熱器と、
前記燃料電池モジュールに昇温用燃料ガスを供給する供給部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
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