JP5921175B2 - 記録装置及びキャリッジモータの制御方法 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置(以下、記録装置と呼ぶ)を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るキャリッジの斜視図である。図2において、キャリッジ102に取り付けられたエンコーダセンサ201により、キャリッジ102の走査方向Aに並行に設けられたエンコーダスケール202を読み取っている。エンコーダセンサ201により検出された位置検出信号は、フレキシブル基板203を通して本体制御部へ送られる。本体制御部では、エンコーダスケール202によるパルスカウントを行うことでキャリッジ102の走査方向Aにおける位置検出を行っている。また、エンコーダスケール202によるパルスを通過する時間間隔よりキャリッジ102の速度を検出している。
図3は、本実施形態に係る記録ヘッドの斜視図である。記録ヘッド101の記録用紙と対面する部分には、インク色ごとにシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(Bk)のノズル列が配置されている。なお、インクジェット記録装置の用途によってはインク色や色数は異なる。ノズル列は複数の吐出口(不図示)から構成されおり、この吐出口からインクを噴射する。インクの吐出方式は、サーマル方式やピエゾ方式等がある。サーマル方式は加熱によりインクに気泡を発生させてインクを噴射する方式であり、ピエゾ方式は電圧を加えることで変形する圧電素子を用いてインクを噴射する方式である。これらのインク吐出方法を用いて、インクを記録媒体へ吐出して所望の画像記録を行っている。記録ヘッド101の電気接続部30は、キャリッジ102の電気接続部(不図示)と接続しており、フレキシブル基板203を介してキャリッジ102の電気接続部と本体制御部とを接続する。この構成により、記録ヘッド101の吐出を行う電気指令信号や、エンコーダセンサ201で検出したパルス信号等の送受信を行う。
図4は、本実施形態に係るキャリッジモータの断面図である。本実施形態に係るキャリッジモータ105はブラシ付きDCモータで、マグネット401、ロータ402、ブラシ403、整流子404、モータハウジング405から構成されている。ロータ402は、ブラシ403と整流子404の働きにより磁界極性を変化させ、マグネット401との間で吸引/反発を繰り返して回転している。ここで、キャリッジモータ105の駆動トルクは一定であることが理想である。しかし、キャリッジモータ105はその構造上、いわゆるコギングトルクやトルクリップル(以下、総称してトルクリップルとも呼ぶ)と呼ばれているキャリッジモータ1回転を周期とする駆動トルク変動が発生する。コギングトルクはブラシ403の切り替え、マグネット401の磁力バラツキ等、回転位置φに依存して吸引力が脈動する現象である。なお、本実施形態はブラシ付きDCモータに関し説明しているが、ブラシ付きDCモータのみに限定するものではなく、実施条件によってはDCブラシレスモータ等を用いていもよい。
図5は、モータのトルクリップル、トルクリップルを抑制するための補正信号によるトルク出力、及びこれらのトルクを重ね合わせたトルク出力の一例を示す図である。図中、横軸は回転位置θ、縦軸にモータのトルクNの変動を示す。トルクリップルTr(θ)は細線で表す。トルクリップルはモータの構造上の要因によって発生する駆動トルク変動であることから、モータの1回転分(2π)の周期を有する。そこで、本実施形態では、トルクリップルを抑制するための補正信号f(θ)(図5点線)を生成する。さらに、トルクリップルTr(θ)の波形と生成した補正信号f(θ)によるトルク出力の波形F(θ)を重ね合わせることで、駆動トルク変動を小さくする。重ね合わせた波形(Tr(θ)+F(θ))を図5の太実線で表す。以下、そのための本実施形態の構成について説明する。
図6は、本実施形態のキャリッジ制御部を示す図である。なお、コントローラ600内の各構成は、CPUがROM610に格納されたプログラムを実行することにより実現されてもよく、あるいはASIC等の専用の回路により実現されてもよい。
PI補償器605の出力と信号生成部608の出力(テスト信号及び補正信号)とが加算され、駆動回路609への入力となる。この入力に対して、駆動回路609で、PWM演算部とモータドライバにより信号処理が行われた後、キャリッジモータ105へ制御出力(電流)が供給される。
本実施形態では上記構成を用いて、複数のテスト信号を用いてキャリッジモータを複数回テスト駆動し、複数回のテスト駆動により取得したトルク変動のデータからトルクリップルを抑制するための補正信号を生成する。生成した補正信号をPI補償器605の出力に加算することで、トルクリップルによる駆動トルク変動を小さくする。図7は、補正信号生成の方法を示すフローチャートである。
図8は、本実施形態におけるテスト信号によるトルク出力(点線)、モータのトルクリップル(細実線)、及びこれらのトルクを重ね合わせたトルク出力(太実線)の一例を示す図である。本実施形態では、f(x、θ)、θ=0〜πにおいてA・(sinθ)x、θ=π〜2πにおいてfn(θ)=−A・|sinθ|xとなる信号をテスト信号として生成する。さらに、n回目のテスト信号生成においてxの値は0.5nとして表される。すなわち、n回目のテスト信号をθ=0〜πにおいてはfn(θ)=A・(sinθ)0.5n、θ=π〜2πにおいてはfn(θ)=−A・|sinθ|0.5n(Aは実数で以下同様)とする。すなわち、上記変数xに、0.5、1.0、1,5・・・と代入していく。なお、図8においてFn(θ)は、テスト信号fn(θ)によるトルク出力の波形である。
本実施形態では、複数のテスト波形を操作量に加算して得られた振幅値のデータから、振幅値を最小にするための信号の波形を推定し、推定された波形に基づいて駆動トルク変動を抑制するための信号を生成する。したがって、トルクリップルの波形が複雑なものである場合、及びモータ個々で異なる場合等であっても効果的にキャリッジモータの様々な波形の駆動トルク変動を抑制することができる。
Claims (5)
- キャリッジモータにより、記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させながら記録を行う記録装置であって、
前記キャリッジモータの駆動を指令する指令手段と、
前記キャリッジの速度を計測する計測手段と、
前記キャリッジモータ1回転を周期とする正弦波の関数に対して正弦波の乗数を変えながら複数のテスト信号を生成するテスト信号生成手段と、
前記指令と前記計測されたキャリッジの速度と前記複数のテスト信号とに基づいて前記キャリッジモータを複数回テスト駆動するテスト駆動手段と、
前記複数のテスト信号の各々に対応して前記テスト駆動されたキャリッジモータの駆動トルク変動を取得する取得手段と、
前記複数のテスト信号の各々に対応した前記駆動トルク変動に基づいて補正信号を生成する補正信号生成手段と、
前記記録にあたっては、前記指令と前記計測されたキャリッジの速度と前記補正信号とに基づいて前記キャリッジモータを駆動するように制御する制御手段と、
を備え、
前記補正信号生成手段は、前記補正信号に基づいて前記キャリッジモータを駆動した場合の前記キャリッジモータの駆動トルク変動が、前記複数回のテスト駆動における前記キャリッジモータの駆動トルク変動の何れよりも小さくなる正弦波の乗数を求めて、該求めた乗数を用いて前記補正信号を生成する
ことを特徴とする記録装置。 - 前記補正信号の波形を記憶した記憶手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記駆動トルク変動は、前記キャリッジモータ1回転における駆動トルクの振幅値であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- 前記キャリッジモータの駆動トルクは、前記計測された前記キャリッジの速度から算出されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録装置。
- キャリッジモータにより、記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させながら記録を行う記録装置における前記キャリッジモータを制御する方法であって、
前記キャリッジモータの駆動を指令する工程と、
前記キャリッジの速度を計測する工程と、
前記キャリッジモータ1回転を周期とする正弦波の関数に対して正弦波の乗数を変えながら複数のテスト信号を生成する工程と、
前記指令と前記計測されたキャリッジの速度と前記複数のテスト信号とに基づいて前記キャリッジモータを複数回テスト駆動する工程と、
前記複数のテスト信号の各々に対応して前記テスト駆動されたキャリッジモータの駆動トルク変動を取得する工程と、
前記複数のテスト信号の各々に対応した前記駆動トルク変動に基づいて補正信号を生成する工程と、
前記記録にあたっては、前記指令と前記計測されたキャリッジの速度と前記補正信号とに基づいて前記キャリッジモータを駆動するように制御する工程と、
を含み、
前記補正信号を生成する工程は、前記補正信号に基づいて前記キャリッジモータを駆動した場合の前記キャリッジモータの駆動トルク変動が、前記複数回のテスト駆動における前記キャリッジモータの駆動トルク変動の何れよりも小さくなる正弦波の乗数を求めて、該求めた乗数を用いて前記補正信号を生成する
ことを特徴とする方法。
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