JP2010052339A - 可動部材の駆動制御装置および駆動制御方法ならびに印刷装置 - Google Patents

可動部材の駆動制御装置および駆動制御方法ならびに印刷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アクティブダンパのキャリブレーションを短い時間で高精度に行うことのできる可動部材の駆動制御装置および駆動制御方法を提供する。
【解決手段】可動部材を駆動する駆動手段と、可動部材の位置を検出する位置検出手段と、可動部材の移動方向における振動を相殺するためのパラメータを利用して、位置検出手段の検出した可動部材位置に応じて駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段と、可動部材の振動を相殺するための新たなパラメータを検出してその値を更新するパラメータ更新手段とを有し、パラメータ更新手段は、段階的に異なるパラメータを順次駆動制御手段に与えて可動部材の振動を測定し、複数のパラメータを用いて測定された振動量を平均して複数のパラメータの中央値のパラメータを用いた場合の振動量とし、この振動量が小さいパラメータで更新する。
【選択図】図11

Description

本発明は可動部材の駆動制御装置および駆動制御方法ならびに印刷装置に関する。
被印刷媒体の搬送方向と直交する方向にキャリッジを駆動して印刷する印刷装置において、キャリッジの駆動はモータにより行われる。このようなキャリッジ駆動用モータとしては、一般に直流モータが使用される。このような直流モータでは、固定子の磁極間に隙間があるため、軸は滑らかに回転せず、コギングと呼ばれる振動が発生してしまう。このような振動は、キャリッジの移動速度に周期的な振動を与え、キャリッジの往復方向における色ムラの原因となる。また、モータの駆動力をキャリッジに伝えるモータプーリの偏心や、それらによる振動と機械的な共振によっても、キャリッジの移動速度に周期的な振動が生じる。「コギング振動」とは厳密な意味では直流モータに起因する振動であるが、以下では、直流モータに起因する振動だけでなく、キャリッジの移動速度に生じる周期的な振動をすべて含めて、「コギング振動」と総称する。
このようなコギング振動を低減する技術として、特許文献1には、コギング振動と逆位相の正弦波トルクが生じるような駆動電力をモータに供給し、加振源であるコギンク振動そのものを低減させ、キャリッジ振動を低減させるアクティブダンパと呼ばれる技術が記載されている。
特開2006−95697号公報
経年変化などでコギング振動に変動があると、キャリッジ振動を充分に抑えることができなくなる可能性がある。このため、アクティブダンパが適切に動作しているかどうかの判断を時々行い、適切に動作していないと判断された場合には、キャリブレーションにより、アクティブダンパの最適パラメータを検出して再設定を行う必要がある。すなわち、キャリブレーション動作を印刷のためのパスとは別個に設け、アクティブダンパの動作パラメータを少しずつ変化させて速度振動量を測定することにより最適なパラメータを検出し、それをアクティブダンパのパラメータとして再設定する。キャリッジの振動条件は、往路と復路とで異なるだけでなく、複数の速度モードがある場合にはその速度モードによっても異なることなることになる。したがって、キャリブレーションでは、それぞれの条件に対して、すべての組み合わせで最適パラメータを検出する必要がある。さらに、ノイズを除去するためにはキャリッジを駆動するパス数を増やして平均処理することが望ましいが、それによって、キャリブレーションに要する時間が長くなってしまう。また、経時変化でパラメータがずれたときには、速度振動量が大きくなってしまう。さらに、振動の加振力より大きなトルクで制振すると、振動を助長してしまうことになる。このような課題は印刷装置に限定されるものではなく、可動部材を駆動するような装置では一般的な課題である。
本発明は、このような課題を解決し、アクティブダンパのキャリブレーションを短い時間で高精度に行うことのできる可動部材の駆動制御装置および駆動制御方法ならびに印刷装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点によると、可動部材を駆動する駆動手段と、可動部材の位置を検出する位置検出手段と、可動部材の移動方向における振動を相殺するためのパラメータを利用して、位置検出手段の検出した位置に応じて駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段と、可動部材の振動を相殺するための新たなパラメータを検出してその値を更新するパラメータ更新手段とを有し、パラメータ更新手段は、段階的に異なるパラメータを順次駆動制御手段に与えて可動部材の振動を測定し、複数のパラメータを用いて測定された振動量を平均して複数のパラメータの中央値のパラメータを用いた場合の振動量とし、この振動量が小さいパラメータで更新することを特徴とする可動部材の駆動制御装置が提供される。
パラメータは、駆動手段の振動に起因する特定周期の振動を相殺するために特定周期と同じ周期で逆位相の制御を行うための位相オフセットおよび利得を含み、パラメータ更新手段は、段階的に異なる位相オフセットを順次駆動制御手段に与えて可動部材の振動を測定し、互いに1段階ずつ異なる3つの位相オフセットで測定された振動量を平均して3つの位相オフセットの中央の位相オフセットの場合の振動量とし、この振動量が最も小さい位相オフセットでパラメータを更新することが望ましい。
また、パラメータは、駆動手段の振動に起因する特定周期の振動を相殺するために特定周期と同じ周期で逆位相の制御を行うための位相オフセットおよび利得を含み、パラメータ更新手段は、段階的に異なる利得を順次駆動制御手段に与えて可動部材の振動を測定し、互いに1段階ずつ異なる3つの利得で測定された振動量を平均して3つの利得の中央の利得の場合の振動量とし、この振動量が小さい利得でパラメータを更新することが望ましい。この場合、パラメータ更新手段は、振動量が最も小い利得より1段階小さい利得で記パラメータの値を更新することができる。また、段階的に異なる利得には、駆動手段の特性から想定される振動量を相殺する利得が上限として設定されたことが望ましい。
本発明の第2の観点によると、可動部材を駆動する駆動手段と、可動部材の位置を検出する位置検出手段と、可動部材の移動方向における振動を相殺するための利得を含むパラメータを利用して、位置検出手段の検出した位置に応じて駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段と、可動部材の振動を相殺するための新たなパラメータを検出してその値を更新するパラメータ更新手段とを有し、パラメータ更新手段は、段階的に異なる利得を順次駆動制御手段に与えて可動部材の振動を測定し、振動量が最も小さくなる利得より1段階小さい利得でパラメータの値を更新することを特徴とする可動部材の駆動制御装置が提供される。
本発明の第3の観点によると、可動部材を駆動する駆動手段と、可動部材の位置を検出する位置検出手段と、可動部材の移動方向における振動を相殺するための利得を含むパラメータを利用して、位置検出手段の検出した位置に応じて駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段と、可動部材の振動を相殺するための新たなパラメータを検出してその値を更新するパラメータ更新手段とを有し、パラメータ更新手段は、駆動手段の特性から想定される振動量を相殺する利得を上限とする段階的に異なる利得を順次駆動制御手段に与えて可動部材の振動を測定し、振動量が小さい利得でパラメータの値を更新することを特徴とする可動部材の駆動制御装置が提供される。
本発明の他の観点によると、第1から第3の観点のいずれかの駆動制御装置を備えた印刷装置が提供される。
本発明の他の観点によると、可動部材に生じるその可動部材の移動方向における振動を測定する第1のステップと、可動部材が駆動されるときに、第1のステップの測定結果に基づいて、振動が相殺されるように、可動部材の位置に応じて可動部材に対する駆動状態を制御する第2のステップとを有し、第1のステップでは、可動部材に対する駆動状態を制御するために段階的に異なる複数のパラメータを用いて順次測定を行い、複数のパラメータを用いて測定された振動量を平均して複数のパラメータの中央値のパラメータを用いた場合の振動量とし、この振動量が小さいパラメータを第2のステップにおける駆動状態の制御に利用することを特徴とする可動部材の駆動制御方法が提供される。
本発明の他の観点によると、可動部材に生じるその可動部材の移動方向における振動を測定する第1のステップと、可動部材が駆動されるときに、第1のステップの測定結果に基づいて、振動が相殺されるように、可動部材の位置に応じて可動部材に対する駆動状態を制御する第2のステップとを有し、第1のステップでは、可動部材に対する駆動状態を制御するための利得として段階的に異なる利得により順次測定を行い、振動量が最も小さくなる利得より1段階小さい利得でパラメータの値を更新することを特徴とする可動部材の駆動制御方法が提供される。
本発明の他の観点によると、可動部材に生じるその可動部材の移動方向における振動を測定する第1のステップと、可動部材が駆動されるときに、第1のステップの測定結果に基づいて、振動が相殺されるように、可動部材の位置に応じて可動部材に対する駆動状態を制御する第2のステップとを有し、第1のステップでは、可動部材に対する駆動状態を制御するための利得として、可動部材を駆動する特性から想定される振動量を相殺する利得を上限とする段階的に異なる利得により順次測定を行い、振動量が小さい利得でパラメータの値を更新することを特徴とする可動部材の駆動制御方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
[構成]
図1は本発明の実施の形態に係る可動部材の駆動制御装置の構成を示す図であり、印刷装置として実施した場合の機構系の概略構造と、この機構系を制御する制御系のブロック構成とを示す。この印刷装置は、機構系として、被印刷媒体10を搬送する搬送ローラ11、印刷ヘッド12、この印刷ヘッド12が取り付けられる可動部材としてのキャリッジ13、このキャリッジ13を誘導するガイド14、被印刷媒体10を挟んで印刷ヘッド12と向き合うように配置されたプラテン15、および被印刷媒体10を排出する排出ローラ16を備える。また、キャリッジ13を駆動する駆動手段として、直流モータ21、駆動プーリ22および無終端ベルト24を備え、キャリッジ13の位置を検出する位置検出手段として、リニアエンコーダ25およびリニアスケール26を備える。
また、制御系として、制御部30の一部であり全体の動作を制御するメイン制御部31、ユーザが操作を行うための操作パネル32、この操作パネル32に設けられ各種の表示を行う液晶表示部(LCD)33、外部との接続のためのインタフェース34、搬送ローラ11および排出ローラ16を駆動制御する搬送駆動回路35、直流モータ21を駆動制御することでキャリッジを駆動するキャリッジ駆動回路36、および印刷ヘッド12による印刷を制御する印刷ヘッドコントローラ37を備える。なお、搬送駆動回路35、キャリッジ駆動回路36および印刷ヘッドコントローラ37は制御部30の一部として構成されている。
図2はキャリッジ13とその周囲の構造を別の方向から見た図を示す。キャリッジ13は駆動プーリ22と従動プーリ23との間に架けられた無終端ベルト24に取り付けられ、駆動プーリ22を直流モータ21により駆動することで、ガイド14に沿って、駆動プーリ22と従動プーリ23との間を移動する。キャリッジ13にはリニアエンコーダ25が設けられ、無終端ベルト24と平行に配置されたリニアスケール26によって、キャリッジ13の位置を検出する。この検出値は、キャリッジ駆動回路36にフィードバックされる。
図3は図1に示すキャリッジ駆動回路36の一例を示すブロック図である。ここでは、直流モータ21をPID制御する構成を示す。このキャリッジ駆動回路16は、直流モータ21を駆動制御するため、減算器41、テーブル参照回路42、減算器43、比例係数回路44、積分係数回路45、微分係数回路46、比例補正回路47、積分補正回路48、微分補正回路49、加算器50、最終補正回路51、モータドライバ52、エンコーダ速度検出回路53およびエンコーダ位置検出回路54を備える。また、キャリッジ駆動回路36は、キャリッジ13の移動方向における振動を相殺するためのパラメータが登録されるNVRAM(不揮発性ランダムアクセスメモリ、Non Volatile Random Access Memory)55と、このNVRAM55に蓄えられたパラメータを利用し、リニアエンコーダ25の検出した位置に応じて直流モータ21の駆動を制御する駆動制御手段としてのアクティブダンパ56を備え、直流モータ21が可変の移動範囲でキャリッジ13を駆動するときに、キャリッジ13の移動範囲内に関して、キャリッジ13の振動が軽減されているかどうかを判断する判断手段としての振動量測定回路61、平均処理回路62および判定回路63を備える。キャリッジ駆動回路36はさらに、アクティブダンパ56の動作を制御すると共に、キャリッジ13の振動を相殺するための新たなパラメータを求めてNVRAM55の内容を更新するパラメータ更新手段として、キャリブレーション実行制御回路64を備える。
[直流モータの駆動制御]
図3を参照して、キャリッジ駆動回路36による直流モータ21の駆動制御について説明する。キャリッジ駆動回路36には、制御部31から、キャリッジの目標位置が入力される。
減算器41は、入力された目標位置から、エンコーダ位置検出回路54により検出された実際の位置を減算し、位置偏差を求める。テーブル参照回路42は、位置偏差に対する目標速度がテーブルとして登録され、減算器41の求めた位置偏差に対応る目標速度を出力する。減算器43は、この目標速度から、エンコーダ速度検出回路53により検出された実際の速度を減算し、速度偏差を求める。
比例係数回路44、積分係数回路45および微分係数回路46は、減算器43の求めた速度偏差に、それぞれ比例係数、積分係数および微分係数を乗算する。比例補正回路47、積分補正回路48および微分補正回路49は、比例係数回路44、積分係数回路45および微分係数回路46の出力にそれぞれ必要な補正を施す。
最終補正回路51は、比例補正回路47、積分補正回路48および微分補正回路49の出力の加算値とアクティブダンパ56の値とを加算した値に最終補正を施し、パルス幅変調(PWM)されたモータ駆動信号として、モータドライバ52に供給する。モータドライバ52は、このモータ駆動信号により、直流モータ21を駆動する。直流モータ21を駆動することで移動したキャリッジ13の位置はリニアエンコーダ25により読み込まれ、エンコーダ速度検出回路53はその速度情報を、エンコーダ位置検出回路54はその位置情報を、それぞれ出力する。以上は一般的なPID制御であり、ここではこれ以上の詳しい説明を省略する。
[アクティブダンパの基本的動作]
図4はアクティブダンパ56による制振動作を説明する図であり、この図を参照してNVRAM55およびアクティブダンパ56の動作を説明する。
コギング振動では、図4の実線で示すようにキャリッジ13の速度が周期的に変動(以下、「速度振動」という)し、キャリッジ13の移動方向における周期的な進みまたは遅れを生じさせる。この速度振動を低減させるため、図4の点線で示すような正弦波をキャリッジ13の動きに加える、すなわち、コギング振動と逆位相の振動が生じるように、直流モータ21のトルクを制御する。すなわち、アクティブダンパ56によりコギング振動と逆位相の信号を生成し、加算器50により、PID演算後の最終出力値、すなわち比例補正回路47、積分補正回路48および微分補正回路47の出力の加算値に加算する。この結果、キャリッジ13の速度振動は図4の2点鎖線に示すように、大幅に抑えられる。
アクティブダンパ56は、内部にコギング振動の周期の正弦波(ダンパ波形)の値をテーブルとして記憶しており、PID演算周期毎に、エンコーダ位置検出回路54により検出されるキャリッジ13の位置に対応する位相の波形値を取得して、ダンパゲイン(振幅)を乗じて出力する。キャリッジ13の振動を低減するための最適な位相オフセット(キャリッジ13の位置に対するダンパ波形の位相のずれ)とダンパゲインは、往路および復路、ならびに複数の速度モードがある場合にはそれら速度モードのそれぞれについて、あらかじめ印刷装置の製造時、出荷時、またはサービス作業のときのキャリブレーションにより求めておき、NVRAM55に登録しておく。
ダンパ波形の値のテーブルとしては、例えば256個の配列で1周期の正弦波が定義されたものを用い、これをリングバッファテーブルとして用いる。エンコーダ位置の下位8ビットの値と位相オフセットとからテーブルの配列番号を求め、その値を読み出すことで、キャリッジ13の位置に対応する位相の波形値を取得することができる。ダンパ波形の値をアクティブダンパ56内ではなくNVRAM55内あるいは他のメモリに記憶してもよい。
[振動軽減効果の判断]
次に、振動量測定回路61、平均処理回路62および判定回路63による振動軽減効果の判断について説明する。振幅軽減効果を判断するには、例えば電源投入時などに専用のシーケンスを設けて判断してもよいが、印刷中に速度振動量を測定して判断してもよい。以下では、印刷中に測定して判断する場合を例に説明する。
振動量測定回路61は、印刷ヘッド12により実際に印刷が行われている状態で、加算器43の出力する速度偏差をPID演算周期毎にフーリエ展開し、速度振動量である振動スペクトルを算出する。対象とする振動がコギング振動であるため、フーリエ展開する周波数は1つでよい。また、印刷装置のカバーが開かれたなどでキャリッジ13の駆動を往復動(「パス」という)の途中で中断した場合には、そのパスの振動スペクトルは最適化の判断対象外とする。
平均処理回路62は、印刷中によるノイズの影響を避けるため、振動量測定回路61の測定した速度振動量を平均し、キャリッジ13が複数回、例えば400パス駆動されたときの平均振動量を求める。ここで、平均を求めるためにすべての測定値を記憶しておく必要はなく、N回目までの平均値をN/[N+1]倍した値とN+1回目の測定値を1/[N+1]倍した値とを加算すれば、N+1回目までの平均値を求めることができ、これを順次繰り返すことで、少ないメモリ量で平均振動量を求めることができる。判定回路63は、平均処理回路62の求めた平均振動量から、振動軽減効果が得られているかどうか、すなわちNVRAM55に登録されているパラメータが最適かどうかを判断する。
図5は振動軽減効果の判断処理のフローチャートであり、図6はこの判断処理で用いる速度振動量と絶対しきい値、相対しきい値および基準振動量の関係を説明する図である。これらの図を参照して、振動量測定回路61、平均処理回路62および判定回路63の動作をさらに詳しく説明する。
キャリッジ13のパス毎に、測定回数があらかじめ定められた測定所要回数、例えば400パスを超えない限り(ステップS1でN)、速度測定回路61により印刷中の速度振動量を測定し(ステップS2)、平均処理回路62による平均処理を実行する(ステップS3)。測定回数が測定所要回数を越えた場合(ステップS1でY)には、判定回路63により、平均処理回路62の求めた平均振動量が絶対しきい値を超えているか、あるいは基準振動量と相対しきい値との和を超えているかを判定する。
絶対しきい値とは、印刷される画像の品質が許容できるレベルとして設定される値である。また、基準振動量とは、アクティブダンパ56の制御によりキャリッジ13の振動が軽減されていると判断されたとき、すなわち、キャリブレーション後に最適パラメータでキャリッジ13を駆動したときの速度振動量であり、相対しきい値とは、基準振動量に対してこの程度であれば、アクティブダンパ56による制御の効果があると判断される値である。具体的には、例えば絶対しきい値を「230」(任意単位)とした場合、相対しきい値Δ=+100をとする。
速度振動量の平均振動量が絶対しきい値を超えている場合(ステップS4でY)、あるいは絶対しきい値を超えていないものの基準振動量と相対しきい値との和を超えている場合(ステップS5でY)には、判定回路63は、アクティブダンパ56による振動軽減効果がなくキャリブレーションが必要であると判断し、キャリブレーションフラグをセットする(ステップS6)。速度振動量の平均振動量が絶対しきい値以下であり(ステップS4でN)、基準振動量と相対しきい値との和以下である場合(ステップS5でN)には、判定回路63は、平均振動量が基準振動量より小さいかどうかを判断する(ステップS7)。小さい場合(ステップS7でY)には、基準振動量を平均振動量で置き換える(ステップS8)。小さくない場合(ステップS7でN)には、そのまま終了する。
測定所要回数だけ測定を繰り返すことで、印刷に伴うノイズの影響を取り除くことができ、正確に振動低減効果を判断することができる。測定回数は、例えばキャリッジ13の往復回数が400パスという測定所定回数に達した後の電源の再投入時、またはキャリブレーション時に、リセットされる。
ここでは速度振動量の測定を測定所要回数までの連続パスについて行うものとしたが、連続パスではなく何回かのパス毎に測定してもよい。測定回数が測定所要回数に達した後は、次の測定を連続して行うようにしてもよく、間隔をおいてから次の測定を行うようにしてもよい。
キャリブレーションフラグがセットされた場合、NVRAM55に登録されているパラメータが最適化されていないことになり、キャリブレーションが行われるまで、その状態を維持する。アクティブダンパ56は、少なくともその判断の対象となった範囲に関して、次のパスからNVRAM55に登録されたパラメータに基づく制御を停止する。これは、アクティブダンパ56による制御が速度振動量を逆に大きくしている可能性が高いためである。
[キャリブレーションの要否判断]
図7はキャリブレーションフラグの構成例を示す図である。ここでは、1バイトでキャリブレーションフラグを構成した例を示す。ビット#0は最適パラメータの検出エラーを示し、「0」でエラーなし、「1」でエラーありを表す。このビットは、振動低減効果の判断でエラー判定されれば「1」にセットされ、エラー判定されなければ「0」にクリアされる。ビット#1、ビット#2は異なる速度モードに対するキャリブレーション要求を表し、それぞれ、駆動時にアクティブダンパ56のパラメータが最適でないと判断された場合にセットされ、キャリブレーションによりクリアされる。この例では、異なる速度モードとして、240cps(characters per second)と300cpsを示す。ビット#7はアクティブダンパ動作の許可を表し、NVRAM55の初期化時にエラー判定条件を満たした場合にクリアされ、振動低減効果の判断でエラー判定されなければセットされる。このビットが「0」の場合、通常キャリブレーションを禁止し、アクティブダンパの出力も無いものとする。
ここで、通常キャリブレーションとは、印刷装置の運用中に行われるキャリブレーションであり、印刷準備処理シーケンスにおいて行われるものである。この通常キャリブレーションの他に、特定のコマンドをトリガとして、あるいは自己診断オペレーション時に行われる強制キャリブレーションがある。
図7からわかるように、この例では、直流モータ21がキャリッジ13を駆動する速度として複数の速度モードが設けられている。この場合、キャリッジ13の振動が軽減されているかどうかの判断は、その複数のモードのそれぞれに対して行う。速度モード数は240cpsと300cpsに限定されるものではなく、他の速度であっても、また、3以上の速度モードが設けられてもよい。
[キャリブレーションの領域区分]
図8はダンパ波形の一例を説明する図であり、キャリッジ13の可動範囲を複数に区分した領域毎の最適位相の例を示す。これは、図4に示す逆位相トルクに相当するものである。縦軸は任意単位であり、単に振幅の大小を示す。大型の印刷装置でキャリッジ13の往復距離が例えば24インチや44インチに及ぶものでは、コギング振動の強度や位相が場所によって異なることがある。これに対応するためには、NVRAM55にはキャリッジ13の可動範囲を複数に区分した領域毎にパラメータを登録し、アクティブダンパ56は、エンコーダ位置検出回路54の検出位置が属する領域に対応するパラメータをNVRAM55から読み出して、直流モータ21の駆動制御に使用する。図8に示す例では、キャリッジ13の可動範囲がリニアエンコーダ25のパルス数で0〜4096であるとし、それを4つの領域(エリア)に区分した例を示す。左側のエリアの左端(パルス数で0、ホーム側)の一部はキャリッジ13が往路では加速、復路では減速される領域であり、アクティブダンパ56の制御の対象とはしない。また、右側のエリアの右端(パルス数デ4096、フル側)のキャリッジ13が往路では減速、復路では加速される領域についても、アクティブダンパ56の制御の対象とはしない。ダンパ波形の振幅(ダンパゲイン)および位相オフセットは、エリア毎に、往路と復路とで、さらに速度モード毎に、異なる値を設定できものとする。
[最適パラメータ検出処理]
図9は図3に示すキャリブレーション実行制御回路64による最適パラメータ検出処理のフローチャートである。まず、キャリブレーション実行制御回路64は、指定された速度モードで最適位相検出処理(ステップS31、図13参照)を実行し、エリア毎に往路と復路とでそれぞれの最適位相を求める。そして、これらの最適位相をアクティブダンパ位相として、NVRAM55に設定する(ステップS32)。次にキャリブレーション実行制御回路64は、同じ速度モードで最適ゲイン検出処理(ステップS33、図16参照)を実行し、エリア毎に往路と復路とでそれぞれの最適ゲインを検出する。これらの最適ゲインを、アクティブダンパ56のゲインとしてNVRAM55に設定する(ステップS34)。なお、ステップS31、S32とステップS33、S34とは逆に実行してもよく、また、ステップS31、S33を実行してから、ステップS32、S34を実行してもよい。
[最適位相検出処理]
図10は図19においてステップS31として示した最適位相検出処理の詳細を示すフローチャートである。まず、キャリブレーション実行制御回路64は、アクティブダンパ56のゲインを最適位相検出用の値に設定し(ステップS41)、全エリアについて、往路および復路共に、アクティブダンパ56の位相を「0」に設定する(ステップS42)。続いてキャリブレーション実行制御回路64は、キャリッジ13を往路駆動し(ステップS43)、全エリアの振動スペクトルを記憶する(ステップS44)。また、キャリブレーション実行制御回路64は、キャリッジ13を復路駆動し(ステップS45)、全エリアの振動スペクトルを記憶する(ステップS46)。ステップS43〜S46を所定回数繰返し(ステップS47)、キャリブレーション実行制御回路64は、その所定回数繰り返したパスの平均振動スペクトルを往路および復路でそれぞれ求める(ステップS48)。位相オフセットを変更し(ステップS49)、位相オフセットの値がすべて得られるまで、ステップS43〜S49を繰り返す(ステップS50)。そして、キャリブレーション実行制御回路64は、異なる位相オフセットでの値がすべて得られたら、その測定、記憶した振動スペクトルをエリア毎に比較して、最適位相を検出する(ステップS51)。
位相オフセットの変更量は、この実施の形態では、360度を8ビットで表した値で16、すなわち22.5度とする。この値は、8ビットで制御でき、かつ経験的に最適な変更量である。この結果、16位相分の振動スペクトル(速度振動量)が得られる。
図11は最適位相を検出するための平滑化処理を説明する図であり、測定された平均振動スペクトルのメモリ上の蓄積位置を示す。図11のLはメモリの行番号、Cは列番号を示し、[L,C]が蓄積位置となる。メモリの行番号が位相オフセット、列番号がエリア番号に対応する。キャリブレーション実行制御回路64は、図10のステップS48で求めた平均振動スペクトルを、エリア毎の速度変動量として、図11の横方向のメモリ位置に蓄える。また、キャリブレーション実行制御回路64は、位相オフセットを変更して測定を繰り返すことで、図11の縦方向の値が蓄える。図10のステップS51では、キャリブレーション実行制御回路64は、速度振動量を平滑化してノイズを除去するため、同じエリアで位相オフセットが隣合う3つのメモリ位置の値を平均し、中央のメモリ位置の値とする。すなわち、メモリ位置[L,C]の値として、3つのメモリ位置[L−1,C]、[L,C]および[L+1,C]のそれぞれの値の平均値を採用する。ここで、位相オフセットが0と240(0度と337.5度)も隣合うものとし、L−1が−1の場合はL−1=15とし、L+1が16の場合はL+1=0とする。そして、エリア毎に各位相オフセットでの速度振動量を比較し、振動量が最小の位相オフセットをそのエリアの最適値とする。振動量の最小値が複数検出された場合には、最も小さい位相オフセットを最適値とする。
図12はあるエリアでの速度振動量を示す図で、平均前の速度振動量と3つの平均後の速度振動量とを比較する図である。特に速度振動量の小さい領域では測定誤差が大きく、単純に最小の速度振動量を選んでも、それが最適な位相オフセットとは限らないない場合がある。隣合う位相オフセットの速度振動量で平均することで、そのような誤差の影響を取り除くことができる。
[最適ゲイン検出処理]
図13は、図9においてステップS33として示した最適ゲイン検出処理の詳細を示すフローチャートである。まず、キャリブレーション実行制御回路64は、全エリアについて、往路および復路共に、ダンパゲインを「0」に設定する(ステップS61)。続いてキャリブレーション実行制御回路64は、キャリッジ13を往路駆動し(ステップS62)、全エリアの振動スペクトルを記憶する(ステップS63)。また、キャリブレーション実行制御回路64は、キャリッジ13を復路駆動し(ステップS64)、全エリアの振動スペクトルを記憶する(ステップS65)。キャリブレーション実行制御回路64は、ステップS62〜S65を所定回数繰返し(ステップS66)、その所定回数繰り返したパスの平均振動スペクトルを往路および復路でそれぞれ求める(ステップS67)。キャリブレーション実行制御回路64は、ダンパゲインを変更し(ステップS68)、最大ゲインになるまで、ステップS62〜S68を繰り返す(ステップS69)。そして、キャリブレーション実行制御回路64は、記憶した振動スペクトルをエリア毎に比較して、最適位相を検出する(ステップS70)。
図17は、最適ゲインを検出するための平滑化処理を説明する図であり、測定された平均振動スペクトルのメモリ上の蓄積位置を示す。Lはメモリの行番号、Cは列番号を示し、[L,C]が蓄積位置となる。メモリの行番号がダンパゲインの値(任意単位)、列番号がエリア番号に対応する。ここでは、ダンパゲインの値は8段階に変更するものとする。キャリブレーション実行制御回路64は、図13のステップS67で求めた平均振動スペクトルを、エリア毎の速度振動量として、図14の横方向のメモリ位置に蓄える。また、キャリブレーション実行制御回路64は、ダンパゲインを変更して測定を繰り返すことで、図14の縦方向の値を蓄える。キャリブレーション実行制御回路64は、図13のステップS70において、速度振動量を平滑化してノイズを除去するため、同じエリアでダンパゲインの値が隣合う3つのメモリ位置の値を平均し、中央のメモリ位置の値とする。すなわち、メモリ位置[L,C]の値として、3つのメモリ位置[L−1,C]、[L,C]および[L+1,C]のそれぞれの値の平均値を採用する。なお、位相オフセットの場合と異なり、ゲインが最小のものと最大のものとは隣合っているわけではないので、その部分の平均は行わない。そして、キャリブレーション実行制御回路64は、エリア毎に各ゲインでの速度振動量を比較し、振動量が最小のダンパゲインを求める。振動量の最小値が複数検出された場合には、最も小さいダンパゲインを求める。
図15はキャリブレーションが行われた後の初期の振動スペクトルと所定時間経過後の振動スペクトルとの関係の一例を示す図である。キャリブレーション時に最適なパラメータであっても、経時変化でパラメータがずれると、かえって振動が大きくなってしまうことになる。測定結果によれば、最適ゲイン検出処理で検出された最適ゲインは、経時変化でマイナス方向にシフトすることがわかった。そこで、最適ゲインとして、最適ゲイン検出処理で求められた振動量が最小のダンパゲインより1段階小さいもの用いることが望ましい。最適ゲイン近傍は速度振動量の変化が小さいので、1段階小さいダンパゲインを最適ゲインとしても、初期時にも振動低減効果にそれほどの低下はなく、むしろ、時間が経過しても振動軽減効果が低下することを防止できる。
また、振動の加振力より大きいトルクで制振すると、かえって振動を助長してしまうことになる。そこで、最適ゲインを検出する際の最大のダンパゲインとしては、直流モータ21の特性から想定される振動量を相殺する利得を上限として設定することが望ましい。例えば、ゲイン上限値を直流モータ21のコギングトルクとする。具体的には、両側への振幅として、計40g・cm(片側は20g・cm)とする。この上限値は、ゲインの出力値としては「6」弱となる。これは、次の計算による。直流モータのマックスの電圧が42Vで、アクティブダンパ56の1ピッチは2,800パルス(カウント)のため、ゲインの単位は「42V÷2800=0.015V」となる。一方、抵抗が5Ωのため、I=V/Rより、0.015÷5Ω=0.003アンペアとなる。また、モータトルク定数は1,250g・cm/アンペアであり、トルクは「0.003アンペア×1250g・cm/アンペア=3.75g・cmとなる。これによって、ゲイン「1」は3.75g・cmであり、ゲイン「6」は22.5g・cmとなる。
[振動低減効果検出処理]
図16は図3に示すキャリブレーション実行制御回路64による振動低減効果検出処理の詳細を示すフローチャートである。キャリブレーション実行制御回路64は、最適パラメータ検出処理の後、実際にそのパラメータで振動低減効果が得られるかを検出する。すなわち、キャリブレーション実行制御回路64は、効果確認のためのキャリッジ13の駆動処理(ステップS71、詳しくは図17参照)を行い、全エリアの振動スペクトルを複数にわたり測定して記憶する。続いて、キャリブレーション実行制御回路64は、記憶したパス数分の振動スペクトルの平均値を、往路、復路別々にエリア毎に算出し(ステップS72)、往路、復路それぞれの平均スペクトルを基準振動量として設定する。また、キャリブレーション実行制御回路64は、前記エリアについて、往路、復路共にダンパゲインを「0」に設定し(ステップS74)、同様の処理を行う。すなわち、効果確認のためのキャリッジ13の駆動処理により全エリアの振動スペクトルを複数にわたり測定して記憶し(ステップS75)、記憶したパス数分の振動スペクトルの平均値を往路、復路別々にエリア毎に算出し(ステップS76)、往路、復路それぞれの平均スペクトルを初期振動量として設定する(ステップS77)。
図17は図16においてステップS71、S75として示したキャリブレーションの効果確認のためのキャリッジ駆動処理のフローチャートである。キャリブレーション実行制御回路64は、キャリッジ13を往路で駆動し(ステップS81)、全エリアの振動スペトルを記憶する(ステップS82)。次に、キャリブレーション実行制御回路64は、キャリッジ13を復路で駆動し(ステップS83)、全エリアの振動スペトルを記憶する(ステップS84)。以上を指定回数繰り返す(ステップS85)。
以上、本発明の実施の形態に係る印刷装置について説明したが、本発明は要旨を変更しない限り種々変更実施できる。例えば、上述の実施の形態では、エリア毎に速度振動量を測定し、同じエリアどうしの速度振動量を比較することで、パラメータの最適性の判断をしている。しかし、1つのエリアのサンプル数が少ない場合には、例えば1つのエリア内でもキャリッジ13が所定幅分移動したら、速度振動量を測定して記憶するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、図5に示すフローにおいて、ステップS5、S6で平均振動量を基準振動量としているが、平均振動量に応じて相対しきい値を変化させることもできる。また、最適位相や最適ゲインは、隣接する3個を平均してその値を中央のものの値としているが、3個ではなく隣接する5個を平均し、その値を中央のものの値としてもよい。
図3の説明ではNVRAM55、振動量測定回路61、平均処理回路62、判定回路63、キャリブレーション実行制御回路64をアクティブダンパ56とは別の構成として示したが、これらをアクティブダンパ56内に一体に構成することもできる。また、一部の機能を制御部31で実現することもできる。
さらに、メイン制御部31、搬送駆動回路35、キャリッジ駆動回路36および印刷ヘッドコントローラ37を1つマイクロプロセッサで実現するようにしてもよい。なお、マイクロプロセッサが実行する制御プログラムは、この装置の出荷前に内蔵のメモリに記憶されたものでもよく、出荷後に内蔵のメモリに記憶されたものでもよい。また、制御プログラムの一部が、この装置の出荷後に記憶または更新されたものでもよい。この装置が通信機能を有している場合には、制御プログラムの少なくとも一部をダウンロードして、インストールあるいは更新することもできる。
上述の実施の形態では、アクティブダンパ56の位相オフセットについては、位相を22.5度ずつ変更して計16パスによって求め、ゲインについては8段階の変更で8パスによって求めているが、位相を求めるとき15度毎に計24パスによって求めたり、ゲインを求めるとき計16段階の計16パスによって求めるようにしてもよい。このようにパラメータをどのような段階的な値で変更するかは適宜変更することができる。
また、キャリブレーション実行の結果の効果確認のためのパス数としては、4回、8回あるいは10回など、適宜選択することができる。さらに、上述の実施の形態では、印刷中に速度振動量の測定を行ってパラメータの最適性を判断しているが、電源投入時の初期化シーケンスにおいて、所定回数のパス数により、もしくは所定時間の専用シーケンスによって、速度振動量を測定してもよい。
また、キャリブレーションの時期は、最適なパラメータが設定された後の印刷によるパスのたびに速度振動量を測定し、所定のしきい値を超えた後にすぐでもよく、速度振動量が所定のしきい値を超えた場合でも所定のパス数に達するまで待ってからでもよい。
以上の説明では印刷装置のキャリッジを往復駆動制御する場合を例に説明したが、一方向のみで印刷を行う場合にはその方向のみをアクティブダンパ制御、振動軽減効果の判断およびキャリブレーションの対象としてもよい。また、印刷装置に限らず、可動部材の駆動制御を行うどのような装置でも同様に実施することができる。例えば、コピー装置やスキャナ装置の走査部の駆動制御、CD(Compact Disk)やDVDなどの光学ピックアップ部の駆動制御などに適用することができる。
本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示す図であり、印刷装置の機構系の概略構造と、この機構系を制御する制御系のブロック構成とを示す。 図1に示す印刷装置のキャリッジとその周囲の構造を図1とは別の方向から見た図を示す。 図1に示す印刷装置中のキャリッジ駆動回路の一例を示すブロック図である。 図1に示す印刷装置に使用されるアクティブダンパによる制振動作を説明する図である。 図1に示す印刷装置における振動軽減効果の判断処理のフローチャートである。 図5に示す判断処理で用いる速度振動量と絶対しきい値、相対しきい値および基準振動量の関係を説明する図である。 図1に示す印刷装置に使用されるキャリブレーションフラグの構成例を示す図である。 図1に示す印刷装置に使用されるアクティブダンパのダンパ波形の一例を説明する図であり、キャリッジの可動範囲を複数に区分した領域毎の最適位相の例を示す。 図3に示すキャリッジ駆動回路中のキャリブレーション実行制御回路による最適パラメータ検出処理のフローチャートである。 図9に示す最適パラメータ検出処理において示された最適位相検出処理の詳細を示すフローチャートである。 図1に示す印刷装置において行う最適位相を検出するための平滑化処理を説明する図であり、測定された平均振動スペクトルのメモリ上の蓄積位置を示す。 図1に示す印刷装置に使用される平均前の速度振動量と3平均後の速度振動量とを比較する図である。 図9に示す最適パラメータ検出処理において示された最適ゲイン検出処理の詳細を示すフローチャートである。 図1に示す印刷装置において行う最適ゲインを検出するための平滑化処理を説明する図であり、測定された平均振動スペクトルのメモリ上の蓄積位置を示す。 図1に示す印刷装置においてキャリブレーションが行われた後の初期の振動スペクトルと所定時間経過後の振動スペクトルとの関係の一例を示す図である。 図3に示すキャリブレーション実行制御処理において示された振動低減効果検出処理の詳細を示すフローチャートである。 図16に示す振動低減効果検出処理において示されたキャリブレーションの効果確認のためのキャリッジ駆動処理のフローチャートである。
符号の説明
10 被印刷媒体、11 搬送ローラ、12 印刷ヘッド、13 キャリッジ、14 ガイド、15 プラテン、16 排出ローラ、21 直流モータ(駆動手段)、22 駆動プーリ(駆動手段)、23 従動プーリ(駆動手段)、24 無終端ベルト(駆動手段)、25 リニアエンコーダ(位置検出手段)、26 リニアスケール(位置検出手段)、31 制御部、32 操作パネル、33 液晶表示部、34 インタフェース、35 搬送駆動回路、36 キャリッジ駆動回路、37 印刷ヘッドコントローラ、41 減算器、42 テーブル参照回路、43 加算器、44 比例係数回路、45 積分係数回路、46 微分係数回路、47 比例補正回路、48 積分補正回路、49 微分補正回路、50 加算器、51 最終補正回路、52 モータドライバ、53 エンコーダ位置検出回路(位置検出手段)、54 エンコーダ速度検出回路、55 NVRAM、56 アクティブダンパ(駆動制御手段)、61 振動量測定回路、62 平均処理回路、63 判定回路、64 キャリブレーション実行制御回路(パラメータ更新手段)

Claims (11)

  1. 可動部材を駆動する駆動手段と、
    上記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、
    上記可動部材の移動方向における振動を相殺するためのパラメータを利用して、上記位置検出手段の検出した上記可動部材の位置に応じて上記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段と、
    上記可動部材の振動を相殺するための新たなパラメータを検出してその値を更新するパラメータ更新手段と
    を有し、
    上記パラメータ更新手段は、段階的に異なるパラメータを順次上記駆動制御手段に与えて上記可動部材の振動を測定し、複数のパラメータを用いて測定された振動量を平均して上記複数のパラメータの中央値のパラメータを用いた場合の振動量とし、この振動量が小さいパラメータで更新する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御装置。
  2. 請求項1記載の可動部材の駆動制御装置において、
    前記パラメータは、前記駆動手段の振動に起因する特定周期の振動を相殺するために上記特定周期と同じ周期で逆位相の制御を行うための位相オフセットおよび利得を含み、
    前記パラメータ更新手段は、段階的に異なる位相オフセットを順次前記駆動制御手段に与えて前記可動部材の振動を測定し、互いに1段階ずつ異なる3つの位相オフセットで測定された振動量を平均して上記3つの位相オフセットの中央の位相オフセットの場合の振動量とし、この振動量が最も小さい位相オフセットで前記パラメータを更新する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御装置。
  3. 請求項1または2記載の可動部材の駆動制御装置において、
    前記パラメータは、前記駆動手段の振動に起因する特定周期の振動を相殺するために上記特定周期と同じ周期で逆位相の制御を行うための位相オフセットおよび利得を含み、
    前記パラメータ更新手段は、段階的に異なる利得を順次前記駆動制御手段に与えて前記可動部材の振動を測定し、互いに1段階ずつ異なる3つの利得で測定された振動量を平均して上記3つの利得の中央の利得の場合の振動量とし、この振動量が小さい利得で前記パラメータを更新する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御装置。
  4. 請求項3記載の可動部材の駆動制御装置において、前記パラメータ更新手段は、振動量が最も小い利得より1段階小さい利得で前記パラメータの値を更新することを特徴とする可動部材の駆動制御装置。
  5. 請求項3記載の可動部材の駆動制御措置において、前記段階的に異なる利得には、前記駆動手段の特性から想定される振動量を相殺する利得が上限として設定されたことを特徴とする可動部材の駆動制御装置。
  6. 可動部材を駆動する駆動手段と、
    上記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、
    上記可動部材の移動方向における振動を相殺するための利得を含むパラメータを利用して、上記位置検出手段の検出した上記可動部材の位置に応じて上記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段と、
    上記可動部材の振動を相殺するための新たなパラメータを検出してその値を更新するパラメータ更新手段と
    を有し、
    上記パラメータ更新手段は、段階的に異なる利得を順次上記駆動制御手段に与えて上記可動部材の振動を測定し、振動量が最も小さくなる利得より1段階小さい利得で前記パラメータの値を更新する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御装置。
  7. 可動部材を駆動する駆動手段と、
    上記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、
    上記可動部材の移動方向における振動を相殺するための利得を含むパラメータを利用して、上記位置検出手段の検出した上記可動部材の位置に応じて上記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段と、
    上記可動部材の振動を相殺するための新たなパラメータを検出してその値を更新するパラメータ更新手段と
    を有し、
    上記パラメータ更新手段は、上記駆動手段の特性から想定される振動量を相殺する利得を上限とする段階的に異なる利得を順次上記駆動制御手段に与えて上記可動部材の振動を測定し、振動量が小さい利得で上記パラメータの値を更新する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項記載の駆動制御装置を有することを特徴とする印刷装置。
  9. 可動部材に生じるその可動部材の移動方向における振動を測定する第1のステップと、
    上記可動部材が駆動されるときに、上記第1のステップの測定結果に基づいて、上記振動が相殺されるように、上記可動部材の位置に応じて上記可動部材に対する駆動状態を制御する第2のステップと
    を有し、
    上記第1のステップでは、上記可動部材に対する駆動状態を制御するために段階的に異なる複数のパラメータを用いて順次上記測定を行い、複数のパラメータを用いて測定された振動量を平均して上記複数のパラメータの中央値のパラメータを用いた場合の振動量とし、この振動量が小さいパラメータを上記第2のステップにおける駆動状態の制御に利用する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御方法。
  10. 可動部材に生じるその可動部材の移動方向における振動を測定する第1のステップと、
    上記可動部材が駆動されるときに、上記第1のステップの測定結果に基づいて、上記振動が相殺されるように、上記可動部材の位置に応じて上記可動部材に対する駆動状態を制御する第2のステップと
    を有し、
    上記第1のステップでは、上記可動部材に対する駆動状態を制御するための利得として段階的に異なる利得により順次上記測定を行い、振動量が最も小さくなる利得より1段階小さい利得で上記パラメータの値を更新する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御方法。
  11. 可動部材に生じるその可動部材の移動方向における振動を測定する第1のステップと、
    上記可動部材が駆動されるときに、上記第1のステップの測定結果に基づいて、上記振動が相殺されるように、上記可動部材の位置に応じて上記可動部材に対する駆動状態を制御する第2のステップと
    を有し、
    上記第1のステップでは、上記可動部材に対する駆動状態を制御するための利得として、上記可動部材を駆動する特性から想定される振動量を相殺する利得を上限とする段階的に異なる利得により順次上記測定を行い、振動量が小さい利得で上記パラメータの値を更新する
    ことを特徴とする可動部材の駆動制御方法。
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