JP2013216026A - 記録装置、制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より短時間で位相調整を可能とすること。
【解決手段】本発明の記録装置は、駆動源としてモータを備え、キャリッジを移動する駆動手段と、前記キャリッジの位置を検出する検出手段と、前記モータを制御する制御データを生成する生成手段と、前記モータのトルクリップルを打ち消すために、前記制御データを前記トルクリップルと同周期で変化する補正データで補正するとともに、前記キャリッジの位置に対する前記補正データの位相を調整する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記キャリッジが予め定めた位置に位置した状態で、前記モータへの通電パターンを特定の通電パターンに固定したときに前記検出手段が検出した前記キャリッジの位置検出結果を、過去の前記位置検出結果と比較して前記位相を調整する。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の記録装置は、駆動源としてモータを備え、キャリッジを移動する駆動手段と、前記キャリッジの位置を検出する検出手段と、前記モータを制御する制御データを生成する生成手段と、前記モータのトルクリップルを打ち消すために、前記制御データを前記トルクリップルと同周期で変化する補正データで補正するとともに、前記キャリッジの位置に対する前記補正データの位相を調整する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記キャリッジが予め定めた位置に位置した状態で、前記モータへの通電パターンを特定の通電パターンに固定したときに前記検出手段が検出した前記キャリッジの位置検出結果を、過去の前記位置検出結果と比較して前記位相を調整する。
【選択図】図4
Description
本発明は、記録装置等に用いられるモータのトルクリップル低減技術に関する。
インクジェット記録装置等の記録装置において、記録ヘッドを搭載したキャリッジは、一般に、モータを駆動源とした駆動機構により移動される。モータの出力には、いわゆるトルクリップルやコギングトルク(以下、これらを総称してトルクリップルとも呼ぶ。)が含まれている。モータが発生したトルクリップルは、トルクリップルと同じ周期の速度変動をキャリッジの移動に生じさせる。キャリッジの移動に速度変動が発生した状態で印刷を行うと、記録ヘッドから吐出されたインクは周期的な着弾誤差を持ってしまう。その結果として、画像ムラ等の印刷品位の低下を招く場合がある。そこで、例えば、特許文献1にはトルクリップルを低減するように、モータの制御データを補正する技術が提案されている。
モータが発生するトルクリップルの影響を抑制するためには、モータの制御データをトルクリップルと同周期、同振幅、逆位相となる補正データで補正すればよい。このうち、トルクリップルはモータの構造によりその発生周期が決まる。振幅と位相については、例えば、出荷時に個々の製品毎に設定すればよい。
しかし、装置に何らかの異常が発生して補正データを調整しなければならない場合が生じ得る。例えば、駆動機構にベルト伝動機構を採用した場合であってプーリとベルトに滑りが生じると、位相を調整しなければならなくなる。この調整に時間がかかると装置のダウンタイムが増大してしまうという問題がある。
本発明の目的は、より短時間で位相調整を可能とすることにある。
本発明によれば、記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、駆動源としてモータを備え、前記キャリッジを移動する駆動手段と、前記キャリッジの位置を検出する検出手段と、前記ブラシレスモータを制御する制御データを生成する生成手段と、前記モータのトルクリップルを打ち消すために、前記制御データを前記トルクリップルと同周期で変化する補正データで補正するとともに、前記キャリッジの位置に対する前記補正データの位相を調整する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記キャリッジが予め定めた位置に位置した状態で、前記モータへの通電パターンを特定の通電パターンに固定したときに前記検出手段が検出した前記キャリッジの位置検出結果を、過去の前記位置検出結果と比較して前記位相を調整することを特徴とする記録装置が提供される。
本発明によれば、より短時間で位相調整が可能となる。
<第1実施形態>
図1は本実施形態にかかる記録装置Aの説明図であり、その構成の一部を破断して表示している。本実施形態では、インクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明するが、本発明は他の形式の記録装置にも適用可能である。
図1は本実施形態にかかる記録装置Aの説明図であり、その構成の一部を破断して表示している。本実施形態では、インクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明するが、本発明は他の形式の記録装置にも適用可能である。
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、「記録媒体」には、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも含まれる。
記録装置Aは、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ2を備える。キャリッジ2は、メインガイドレール3、サブガイドレール4に支持されている。メインガイドレール3、サブガイドレール4は、キャリッジ2を記録媒体15の搬送方向に対して交差する方向へ往復移動自在に支持する。また、メインガイドレール3、サブガイドレール4は、記録ヘッド1が記録媒体15に対してほぼ一定間隔となるように筐体12に支持されている。記録ヘッド1はインクタンクからインクが供給され、インクを記録媒体15に吐出する。これにより画像が形成される。
搬送ローラ10は、モータを駆動源とした駆動ユニット(不図示)によって駆動され、記録媒体15を搬送する。排出ローラ11は、画像記録された記録媒体を装置外へ排出する。
記録装置Aは駆動ユニットDMを備える。駆動ユニットDMはキャリッジ2を移動する。駆動ユニットDMは、駆動源としてモータ7を備える。モータ7はブラシレスモータである。駆動ユニットDMは、モータ7の駆動力をキャリッジ2に伝達する動力伝達機構として、プーリ8、9と、これらのプーリ8、9に巻き回された無端のタイミングベルト6と、を備える。本実施形態では動力伝達機構としてベルト伝動機構を採用したが、他の機構も採用可能である。
プーリ8はモータ7に連結された駆動プーリである。プーリ9は、キャリッジ1の移動方向で見て、プーリ8の反対側に配置された従動プーリである。タイミングベルト6はその走行方向がガイドレール3及び4と平行であり、その一部にキャリッジ2が固定されている。モータ7を駆動することでタイミングベルト6が走行し、これによりキャリッジ2が移動する。
図2(A)はキャリッジ2の斜視図である。キャリッジ2には取り付けられたエンコーダセンサ13が取り付けられている。エンコーダスケール14はキャリッジ2の移動方向に平行に設けられており、エンコーダセンサ13はエンコーダスケール14を読み取ることで、キャリッジ2の走査方向の位置を検出する。なお、キャリッジ2の位置を検出可能であれば他の種類のセンサでもよい。
エンコーダセンサ13から出力される位置検出信号は、フレキシブル基板5を通して記録装置Aの制御部へ送られる。制御部では、位置検出信号に基づき、エンコーダスケール14のパルスカウントを行うことでキャリッジ2の走査方向の位置及び移動速度を演算できる。
係る構成からなる記録装置Aでは、記録の際、搬送ローラ10により搬送された記録媒体15上をキャリッジ2が移動(走査)する。キャリッジ2の移動中に、記録ヘッド1からインク滴を吐出する。キャリッジ2が記録媒体15の側端まで移動すると、搬送ローラ10により記録媒体15が一定量搬送される。この動作の繰り返しにより記録媒体15に画像が記録される。
<モータ>
図2(B)はモータ7の説明図である。上記の通り、モータ7はブラシレスモータであり、マグネットロータ71、ステータコイル72u、72v、72w及び磁極センサであるホール素子73a、73b、73cを備える。
図2(B)はモータ7の説明図である。上記の通り、モータ7はブラシレスモータであり、マグネットロータ71、ステータコイル72u、72v、72w及び磁極センサであるホール素子73a、73b、73cを備える。
ステータコイル72u、72v、72wに通電すると磁力が発生し、マグネットロータ71は吸引/反発により、回転を始める。マグネットロータ71の磁極に対応したステータコイル72u、72v、72wに順次通電することでステータコイル72u、72v、72wとマグネットロータ71は吸引/反発を繰り返し回転は持続される。
ステータコイル72u、72v、72wへの通電パターンの切り替えは、マグネットロータ71の磁極の位置をホール素子73a、73b、73cにより検出し、検出結果に応じて行う。図3(A)はホール素子73a、73b、73cからの出力信号に基づく位置信号とステータコイル72u、72v、72wへの通電パターンとの関係を示したものである。なお、相数、極数、スロット数、コイルの結線方式は適宜選択することができる。また、コイルの結線方法も適宜選択できる。
ホール素子73a、73b、73cの取り付け位置、マグネットロータ71の磁力のバラツキ等によって、吸引/反発による発生する力や、ステータコイル72u、72v、72wへの通電のタイミングにズレが生じることがある。そのような場合、モータ7からの回転角度に依存して発生する力が脈動する現象(トルクリップル)が発生する。モータ7の一回転で発生するトルクリップルの数は、マグネットロータ71の磁極数とスロット数に依存する。
<制御部>
図3(B)は記録装置Aの制御部のブロック図である。なお、搬送ローラ10の駆動系の要素等は図示を省略している。
図3(B)は記録装置Aの制御部のブロック図である。なお、搬送ローラ10の駆動系の要素等は図示を省略している。
CPU19はROM20に記憶されているプログラムを読み込み、実行する。CPU19で行う演算処理は、画像処理、I/F(インタフェース)22を介したホストコンピュータとの通信、記録ヘッド1の吐出制御、エンコーダセンサ13の信号処理、モータドライバ110を介したモータ7の制御等である。なお、インクジェット記録装置の特有機能をASIC(不図示)としてハードウェア化してCPU21の演算処理を軽減してもよい。
ROM20には例えば記録装置Aを制御するための制御プログラムや実行に必要なデータ等が記憶されている。RAM21は例えばCPU19で実行中のプログラム、ホストコンピュータから送信された記録データ、記録用データを保存するために用いられる。ROM20、RAM21は他の種類の記憶装置でもよい。
モータドライバ110は、CPU19で演算処理された結果からモータ7へ印加される電圧/電流を調整し、モータ7を駆動するドライブ回路である。回転位置制御回路111は、通常時にはホール素子73a、73b、73cからの出力信号に基づく位置信号をモータドライバ110に出力し、後述する位相の調整時には予め定めた信号をモータドライバ110に出力する。詳細は後述する。
<モータ制御>
次に、本実施形態におけるモータ7の制御内容について説明する。図5は主にCPU19により実現される、モータ制御に関わる機能のブロック線図である。
次に、本実施形態におけるモータ7の制御内容について説明する。図5は主にCPU19により実現される、モータ制御に関わる機能のブロック線図である。
プロファイル生成部100は、予めプログラムで決定されたキャリッジ2の駆動プロファイルに基づく目標値(駆動指令信号)を設定する。速度算出部101は、エンコーダセンサ13で検出したキャリッジ2の位置に基づきキャリッジ2の速度を演算する。
制御部102、103は、エンコーダセンサ13が検出したキャリッジの位置と、速度算出部101が算出したキャリッジ2の速度とから、キャリッジ2が駆動プロファイルへ追従するようにフィードバック制御演算を行う。尚、図6では制御部103において、フィードバック制御演算方法として、比例項104と積分項105からなるPI補償制御を行っているが、キャリッジ2が目標値(駆動プロファイル)に追従するように演算を行うものであればどの手法でもよい。
補正部105は、モータ7のトルクリップルを打ち消すために、制御部103から出力される制御データをモータ7のトルクリップルと同周期で変化する補正データで補正する。上記のとおり、トルクリップルはモータ7の回転角度に依存して発生する。補正部105は、モータ回転角度θに応じてトルクリップルと同周期で、逆位相となる補正データを制御データに加算する。加算後のデータがモータドライバ110へ出力される。モータドライバ110は電流増幅を行い、モータ7を駆動する。これによりトルクリップルの影響を抑制できる。
通常、プーリ8とタイミングベルト6ですべりが起きなければ、モータ7の回転角度とキャリッジ2の位置は同期的な一定の関係となる。ここで、駆動プーリ8の歯ピッチや半径、エンコーダスケール14等に製造誤差が無視できるほど小さいとする。すると、モータ回転量を直動換算した値(以下、モータ直動換算量とも呼ぶ)とエンコーダセンサ13で検出した位置(以下、センサ検出位置とも呼ぶ)は同じになる。ここで、モータ直動換算量は以下のように定義することができる。
モータ直動換算量
=モータ回転量/(2×π)×駆動プーリ歯数×歯ピッチ
=モータ回転量×駆動プーリ半径
従って、モータ7の回転角度を検出しなくても、エンコーダセンサ13の検出結果に基づくキャリッジ2の位置に応じて補正データを制御データに加算すればよいことになる。
=モータ回転量/(2×π)×駆動プーリ歯数×歯ピッチ
=モータ回転量×駆動プーリ半径
従って、モータ7の回転角度を検出しなくても、エンコーダセンサ13の検出結果に基づくキャリッジ2の位置に応じて補正データを制御データに加算すればよいことになる。
ここで、キャリッジ2の位置をYとすると補正データは以下の式から導くことができる。
補正データ
=振幅設定値×sin(2×π×Y/トルクリップルピッチ+位相設定値)
補正データはキャリッジ2の位置に応じた、トルクリップルピッチのデータとなる。振幅設定値は、トルクリップルの振幅に応じて設定することになる。モータ7の1回転でN回の脈動を持つトルクリップルの場合、トルクリップルピッチは、駆動プーリ歯数×歯ピッチ/Nで算出することができる。
補正データ
=振幅設定値×sin(2×π×Y/トルクリップルピッチ+位相設定値)
補正データはキャリッジ2の位置に応じた、トルクリップルピッチのデータとなる。振幅設定値は、トルクリップルの振幅に応じて設定することになる。モータ7の1回転でN回の脈動を持つトルクリップルの場合、トルクリップルピッチは、駆動プーリ歯数×歯ピッチ/Nで算出することができる。
位相設定値は、キャリッジ2の位置に対する補正データの位相を合わせるための値である。上記のとおり、トルクリップルはキャリッジ2の位置に応じて現出するので、補正データの変化がキャリッジ2の位置に対応している必要があり、位相設定値はその調整値である。位相の原点は例えば、キャリッジ2のホームポジションを基準としてもよい。
トルクリップルの周期がモータ7の構造により決まるため、トルクリップルピッチはモータ7及びその動力伝達機構により決まる。しかし、トルクリップルの振幅と位相は、モータ7の製造誤差、記録装置Aの部品誤差や組立により異なる。よって、記録装置A毎に、振幅設定値、位相設定値を特定する必要がある。
同定部109は振幅同定部107と位相同定部108とを含み、例えば、出荷時に振幅設定値と位相設定値を決定する。振幅設定値と位相設定値の決定は、例えば、振幅設定値と位相設定値を少しずつ変化させ、キャリッジ2の速度変動が最も小さくなった値をそれぞれの設定値とする。設定値は例えばROM20かRAM21に記憶する。補正部105は記憶しておいた振幅設定値、位相設定値を読み出して補正データを生成することになる。
次に、記録装置Aをユーザが使用し始めた後における補正データの位相調整について説明する。キャリッジ2が紙ジャムを生じる等して、駆動プーリ8とベルト6の間にスベリが発生すると、位相設定値が適切でなくなる。この結果、補正データによる駆動データの補正によって、トルクリップルが増大する場合がある。そこで、補正データの位相調整が必要となる。
回転位置制御回路111は、信号生成部112と、切替回路113と、を備える。モータドライバ110は先に述べたように、ホール素子73a、73b、73cからの出力信号に基づく位置信号に応じてステータコイル72u、72v、72wへの通電パターンを切り替え、モータ7を回転させる。
切替回路113は、通常はホール素子73a、73b、73cからの出力信号に基づく位置信号をモータドライバ110へ出力する。一方、補正データの位相調整する場合は、信号生成部112が生成した信号をモータドライバ110へ出力する。
信号生成部112は、ホール素子73a、73b、73cからの出力信号から独立した、モータ7が回転しても変化させない固定信号を生成する。例えば、ホール素子73a、73b、73cからの出力信号に基づく位置信号に代えて、図3(A)に示した6パターンのうちのいズレか1つの位置信号のパターンを固定信号として出力する。例えば、U="L"、V="H",W="L"をモータドライバ110に入力すると、図3(A)に示した関係よりU→Vの2相間に電流が流れる。そして、ステータコイル72u、72vの発生する磁力とマグネットロータ16の磁力との吸引/反発が釣り合う、ある特定の位置にマグネットロータロータ16は停止する。この特定の位置(回転角度)を回転基準位置と呼ぶ。
モータドライバ110に入力する固定信号が同じであれば、マグネットロータ16も同じ位置(回転基準位置)に停止する。この仕組みを利用して位相調整部114は位相調整値を演算する。図5(A)はその説明図である。
まず、キャリッジ2を予め定めた基準位置に位置させる。基準位置は例えばキャリッジ2のホームポジションであるが、特定の位置であればどこでもよい。この場合、キャリッジ2が基準位置にあるか否かを検出するセンサを設けてもよい。その後、回転位置制御回路111からモータドライバ110へ固定信号を出力して、マグネットロータ16を回転基準位置へ回転させる。すると、その分だけキャリッジ2も移動することになる。この動作を移動量測定処理と呼ぶ。
そして、駆動プーリ8とベルト6の間にスベリが生じる前、例えば、位相設定値を設定した出荷時に移動量測定処理を行い、エンコーダセンサ13で検出した、キャリッジ2の基準位置からの移動量をRAM21等に記憶しておく。
補正データの位相調整をする際には、同様に移動量測定処理を行い、キャリッジ2の基準位置からの移動量をエンコーダセンサ13で検出する。そこで、記憶しておいた前回の移動量と今回の移動量とを比較し、そのズレ量を求める。ズレ量から位相のズレ量を演算する。演算したズレ量分を、上記の補正データの演算式中のパラメータY(キャリッジ2の位置)に加減算するか、演算したズレ量に基づき位相設定値を補正することで、位相調整が可能となる。
こうして本実施形態では、キャリッジ2が予め定めた位置に位置した状態で、モータ7への通電パターンを特定の通電パターンに固定する。そして、そのときにエンコーダセンサ13が検出したキャリッジ2の位置検出結果を、過去の位置検出結果と比較して位相設定値を調整する。キャリッジ2を基準位置に移動させて、マグネットロータ16を回転基準位置へ回転させるだけなので、より短時間で位相調整を行うことができる。
図5(B)は、上述した位相調整方法を、CPU21が実行する位相調整処理として特定したフローチャートである。この位相調整処理は、プーリ8とベルト6の間にスベリの発生が疑われるエラーが発生した場合に行ってもよいし、記録装置Aの使用時間に応じて定期的に行ってもよい。
S1ではキャリッジ2を基準位置に移動する。S2では回転位置制御回路111からモータドライバ110へ固定信号を出力させる。S3ではキャリッジ2の基準位置からの移動量をエンコーダセンサ13で検出し、RAM21等に今回の移動量として保存する。S4では、過去の移動量と今回の移動量とを比較し、ズレ量を演算する。S5ではS4で演算したズレ量から調整値を設定してRAM21等に保存する。調整値は、上記の補正データの演算式中のパラメータY(キャリッジ2の位置)に加減算する場合はズレ量そのものとなり、位相設定値を補正する場合はズレ量を位相値に換算した値となる。以上により一単位の処理が終了する。
その後、記録動作を行う際、S5で保存した調整値によって補正データの位相を補正することによって、トルクリップルを抑制することができる。
なお、S4で今回の移動量と比較する過去の移動量は、前回の位相調整処理時に保存した移動量としてもよいし、出荷時に上記の移動量測定処理を行ったときの移動量であってもよい。前者の場合は、調整値が位相調整処理毎に累積的に演算されることになる。
<第2実施形態>
タイミングベルト6には、モータ7が発生した力を効率的に伝えるために、適度なテンションが掛けられている場合が多い。テンションが大きい場合には、移動量測定処理を行った際、マグネットロータ16が回転基準位置に安定的に移動しないおそれがある。
タイミングベルト6には、モータ7が発生した力を効率的に伝えるために、適度なテンションが掛けられている場合が多い。テンションが大きい場合には、移動量測定処理を行った際、マグネットロータ16が回転基準位置に安定的に移動しないおそれがある。
そこで、まず、モータ7への通電パターンを特定の通電パターンとする。つまり、固定信号をモータドライバ110に出力する。次に、モータ7への通電パターンを特定の通電パターンとは異なる1又は複数の通電パターンとする。つまり、固定信号以外の信号を出力する。次に、モータへの通電パターンを特定の通電パターンに固定する。つまり、モータドライバ110に出力する信号を固定信号に戻す。こうすることで、より確実にマグネットロータ16を回転基準位置に位置させることができる。
具体例を挙げる。ここでは、固定信号が図3(A)に示したパターン1〜6のうち、パターン3(U=H,V=H,W=L)であり、そのときにマグネットロータ16が回転基準位置に位置するものとする。
まず、パターン3の信号をモータドライバ110に出力する。次に、回転基準位置に対し所定角度ズレた位置にマグネットロータ16が移動するよう、例えば、パターン4の信号をモータタドライバ110に出力する。次に、パターン3の信号をモータドライバ110に出力する信号をパターン3の信号に戻す。これにより、より確実にマグネットロータ16を回転基準位置に位置させることができる。
また、別の例として、まず、パターン3の信号をモータドライバ110に出力する。次に、回転基準位置に対し所定角度ズレた位置にマグネットロータ16が移動するよう、例えば、パターン4の信号をモータタドライバ110に出力する。次に、回転基準位置に対し逆方向に所定角度ズレた位置にマグネットロータ16が移動するよう、例えば、パターン2の信号をモータタドライバ110に出力する。次に、パターン3の信号をモータドライバ110に出力する信号をパターン3の信号に戻す。これにより、より確実にマグネットロータ16を回転基準位置に位置させることができる。
なお、これらの例のように、異なる方法を連続的に行うことでマグネットロータ16を回転基準位置に更に確実に位置させることができる。
<他の実施形態>
上記各実施形態では、記録装置を対象としたが本発明の適用分野はこれに限られず、移動体を、ブラシレスモータを駆動源とする駆動ユニットによって移動する各種の制御装置に適用可能である。また、通電パターンを固定したときにロータが特定の位置に位置する性質を有するモータであればブラシレスモータ以外のモータであってもよい。
上記各実施形態では、記録装置を対象としたが本発明の適用分野はこれに限られず、移動体を、ブラシレスモータを駆動源とする駆動ユニットによって移動する各種の制御装置に適用可能である。また、通電パターンを固定したときにロータが特定の位置に位置する性質を有するモータであればブラシレスモータ以外のモータであってもよい。
Claims (5)
- 記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、
駆動源としてモータを備え、前記キャリッジを移動する駆動手段と、
前記キャリッジの位置を検出する検出手段と、
前記モータを制御する制御データを生成する生成手段と、
前記モータのトルクリップルを打ち消すために、前記制御データを前記トルクリップルと同周期で変化する補正データで補正するとともに、前記キャリッジの位置に対する前記補正データの位相を調整する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記キャリッジが予め定めた位置に位置した状態で、前記モータへの通電パターンを特定の通電パターンに固定したときに前記検出手段が検出した前記キャリッジの位置検出結果を、過去の前記位置検出結果と比較して前記位相を調整することを特徴とする記録装置。 - 前記モータはブラシレスモータであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、
前記キャリッジが前記予め定めた位置に位置した状態で、前記ブラシレスモータへの通電パターンを前記特定の通電パターンとし、次に、前記ブラシレスモータへの通電パターンを前記特定の通電パターンとは異なる1又は複数の通電パターンとし、次に、前記ブラシレスモータへの通電パターンを前記特定の通電パターンに固定したときの前記位置検出結果を、過去の前記位置検出結果と比較して前記位相を調整することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。 - 駆動源としてモータを備え、移動体を移動する駆動手段と、
前記移動体の位置を検出する検出手段と、
前記モータを制御する制御データを生成する生成手段と、
前記モータのトルクリップルを打ち消すために、前記制御データを前記トルクリップルと同周期で変化する補正データで補正するとともに、前記移動体の位置に対する前記補正データの位相を調整する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記移動体が予め定めた位置に位置した状態で、前記モータへの通電パターンを特定の通電パターンに固定したときに前記検出手段が検出した前記移動体の位置検出結果を、過去の前記位置検出結果と比較して前記位相を調整することを特徴とする制御装置。 - 記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジを駆動するモータを制御する制御データを生成する生成工程と、
前記モータのトルクリップルを打ち消すために、前記制御データを前記トルクリップルと同周期で変化する補正データで補正する補正工程と、
前記キャリッジの位置に対する前記補正データの位相を調整する位相調整工程と、
を備え、
前記位相調整工程では、
前記キャリッジが予め定めた位置に位置した状態で、前記モータへの通電パターンを特定の通電パターンに固定したときに、前記キャリッジの位置をエンコーダで検出した結果を、過去の前記位置検出結果と比較して前記位相を調整することを特徴とする記録装置の制御方法。
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