JP5920202B2 - 焼結鍛造部材 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結鍛造部材に関する。本発明はまた、焼結鍛造部材の製造方法及び焼結鍛造部材を用いて製造されるコンロッドに関する。
自動車等のエンジンのような内燃機関において、ピストンとクランクシャフトとを連結する部材がコネクティングロッド(以下、「コンロッド」とも記載する)である。コンロッドは、クランクシャフトのクランク軸部に連結される大端部と、ピストンのピストンピン部に連結される小端部と、大端部と小端部とを連結するコラム部とからなる。
コンロッドは、内燃機関の運転時において、ピストンの往復運動及びクランクシャフトの回転運動によって生じる引張加重、圧縮加重及び曲げ加重に曝される。このため、コンロッド、特にコラム部には、極めて高い強度が求められる。
前記のような使用環境に鑑み、コンロッドは、通常、高強度の鋼材である焼結鍛造部材を用いて製造される。例えば、特許文献1は、混合粉末を予備成形した後に焼結して形成された焼結プリフォームを高温下で鍛造してなる粉末鍛造部材であって、鍛造開始時における焼結プリフォーム中のフリーCu割合が10%以下であるとともに、鍛造後の成分組成が、質量%で、C:0.2〜0.4%、Cu:3〜5%、Mn:0.5%以下(0を含まない)、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、フェライト率が40〜90%であることを特徴とする被削性及び疲労強度に優れた粉末鍛造部材を記載する。当該文献は、前記粉末鍛造部材を用いて破断分割型コンロッドを製造し得ることを記載する。当該文献はまた、C含有量の減少により軟らかいフェライトが増加して硬さの増加が抑制されるため、被削性が確保できるとともに、靭性が維持されて、破断分割後の自己整合性が確保されることを記載する。
特許文献2は、鉄を主成分とする金属粉末に対して圧縮成形及び焼結を行うことにより、予備成形品を形成する成形焼結工程と、該予備成形品を高温下で鍛造して焼結鍛造品を形成する鍛造工程と、該焼結鍛造品を800〜1150℃の温度に所定時間加熱保持する再加熱工程と、加熱保持した該焼結鍛造品を冷却する冷却工程とからなることを特徴とする焼結鍛造品の製造方法を記載する。当該文献は、前記金属粉末が、重量%で0.5〜5.0%の銅、0.3〜0.8%の炭素又は黒鉛、不可避の不純物、残部鉄の組成を持ち得ることを記載する。
特許文献3は、焼結鍛造品よりなり、質量%で、Mo:0.8〜1.6%、Cu:1.5〜3%、C:0.2〜0.8%、Mn:0.05〜0.5%、S:0.05〜0.5%を含有し、残部がFeと不可避不純物からなり、任意の断面においてマルテンサイト組織が面積率で70%未満で残部はベイナイト組織であり、且つ密度が7.80 g/cm3以上であることを特徴とする焼結コンロッドを記載する。
特開2008-13818号公報 特開昭61-117203号公報 特開2009-215630号公報
コンロッドの大端部及び小端部は、クランク軸部及びピストンピン部とそれぞれ摺動可能に連結される。摺動性を確保するため、大端部及び小端部には、コンロッドの成形後に切削及び/又は研削のような機械加工により、軸受部のような摺動部材が設けられる。このため、焼結鍛造部材をコンロッドに用いるためには、極めて高い強度だけでなく、良好な被削性も求められる。しかしながら、従来技術の焼結鍛造部材では、強度及び被削性の双方を満足できる水準に向上させることが困難な場合が多かった。
それ故、本発明は、高い強度及び良好な被削性を両立し得る焼結鍛造部材を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、焼結鍛造部材中の炭素、銅、マンガン及び硫黄の含有量並びに密度を所定の範囲に調整し、且つ該焼結鍛造部材中の組織を所定の存在比に調整することにより、高い強度及び良好な被削性を両立し得ることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 総質量に対して、0.5〜0.8質量%の炭素と、2.5〜3.5質量%の銅と、0.1〜0.5質量%のマンガンと、0.01〜0.25質量%の硫黄と、残部の鉄及び不可避不純物とからなり、密度が7.65 g/cm3以上であり、任意の断面における総面積に対するパーライト組織の面積の百分率が60%以上であり、フェライト組織の面積の百分率が40%以下である(但し、パーライト組織の面積の百分率とフェライト組織の面積の百分率との和は100%である)、焼結鍛造部材。
(2) 前記(1)に記載の焼結鍛造部材を用いて製造されるコンロッド。
(3) 前記(1)に記載の焼結鍛造部材の製造方法であって、
炭素、銅、マンガン、硫黄及び鉄の原料粉末を混合して、焼結鍛造部材の原料粉末混合物を調製する原料粉末混合物調製工程;
原料粉末混合物調製工程で得られた原料粉末混合物を加圧成形して、成形体を形成させる成形体形成工程;
成形体形成工程で得られた成形体を焼結して、焼結成形体を得る焼結工程;及び
焼結工程で得られた焼結成形体を、6〜8 t/cm2の範囲の平均面圧で鍛造して、焼結鍛造部材を得る鍛造工程;
を含む、前記方法。
(4) 総質量に対して、0.5〜0.8質量%の炭素と、2.5〜3.5質量%の銅と、0.1〜0.5質量%のマンガンと、0.01〜0.25質量%の硫黄と、残部の鉄及び不可避不純物とからなり、任意の断面における総面積に対するパーライト組織の面積の百分率が60%以上であり、フェライト組織の面積の百分率が40%以下である(但し、パーライト組織の面積の百分率とフェライト組織の面積の百分率との和は100%である)、焼結鍛造部材の製造方法であって、
炭素、銅、マンガン、硫黄及び鉄の原料粉末を混合して、焼結鍛造部材の原料粉末混合物を調製する原料粉末混合物調製工程;
原料粉末混合物調製工程で得られた原料粉末混合物を加圧成形して、成形体を形成させる成形体形成工程;
成形体形成工程で得られた成形体を焼結して、焼結成形体を得る焼結工程;
焼結工程で得られた焼結成形体を鍛造して、焼結鍛造部材を得る鍛造工程;
を含む、前記方法。
(5) 原料粉末混合物調製工程で用いるマンガン及び硫黄の原料粉末が硫化マンガンの粉末である、前記(3)又は(4)に記載の方法。
本発明により、高い強度及び良好な被削性を両立し得る焼結鍛造部材を提供することが可能となる。
図1は、本発明の焼結鍛造部材の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 図2は、実施例のコンロッドから切断された焼結鍛造部材の断面の光学顕微鏡画像を示す図である。スケールバー:100μm。 図3は、実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜24)及び比較例B(試料25〜28)のコンロッドのコラム部から作製した試料のCu/Cの比に対する降伏比の関係を示す図である。
<1. 焼結鍛造部材>
本発明は、焼結鍛造部材に関する。本発明の焼結鍛造部材は、所定量の炭素、銅、マンガン及び硫黄と、残部の鉄及び不可避不純物とからなることが必要である。
通常、コンロッドの大端部及び小端部は、摺動部材を設けるために、コンロッドの成形後に切削及び/又は研削される。このため、コンロッドには、極めて高い強度だけでなく、良好な被削性も求められる。一方、破断分割型コンロッドの場合、コンロッド組立時の位置ずれを防止するために、破断分割後の高い自己整合性がより重要となる(特許文献1)。焼結鍛造部材の自己整合性を向上させるためには、靭性を向上させる必要がある。しかしながら、靭性を向上させると、耐力が低下する可能性がある。一般的なコンロッドの製造にも広く適用可能な焼結鍛造部材を得るためには、強度及び被削性の両立が求められる。
焼結鍛造部材の強度、例えば耐力を向上させるためには、引張強度を向上させる必要がある。一方、焼結鍛造部材の被削性と引張強度との間には、負の相関関係が存在する。このため、焼結鍛造部材の耐力及び被削性の双方を向上させることは困難な場合が多かった。これに対し、本発明者は、焼結鍛造部材中の炭素、銅、マンガン及び硫黄の含有量を所定の範囲に調整することにより、高い強度及び良好な被削性を備える焼結鍛造部材を得られることを見出した。
なお、本発明の焼結鍛造部材に含有される各成分の含有量は、例えば、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収分析装置(C及びSの場合)又は高周波プラズマ(ICP)発光分析装置(Cu、Mn及びMoの場合)を用いて分析することができる。
本発明の焼結鍛造部材は、総質量に対して、0.5〜0.8質量%の炭素を含有することが必要である。前記炭素の含有量は、0.55〜0.75質量%の範囲であることが好ましい。炭素の含有量が0.5質量%以上の場合、焼結鍛造部材に形成されるパーライト組織が増加する。パーライト組織は、微細なラメラ間隔を有する。このため、焼結鍛造部材の耐力を向上させることができる。炭素の含有量が0.8質量%以下の場合、焼結鍛造部材に形成されるセメンタイト組織が減少する。このため、焼結鍛造部材の耐力を向上させることができる。
なお、焼結鍛造部材の耐力は、例えば、JIS Z2241に基づき測定することができる。
本発明の焼結鍛造部材は、総質量に対して、2.5〜3.5質量%の銅を含有することが必要である。前記銅の含有量は、2.7〜3.3質量%の範囲であることが好ましい。通常、鋼材に含有される銅は、フェライト組織又はパーライト組織中のフェライト組織に固溶して、鋼材の強度を強化(以下、「固溶強化」とも記載する)し得る。本発明の焼結鍛造部材において、銅の含有量が2.5質量%以上の場合、十分な量の銅がフェライト組織又はパーライト組織中のフェライト組織に固溶する。このため、焼結鍛造部材を固溶強化することができる。銅の含有量が3.5質量%以下の場合、過剰の銅が析出することなく、実質的に全ての銅がフェライト組織に固溶する。このため、焼結温度の上昇及び/又は焼結時間の延長によって銅の拡散を促進させることなく、焼結鍛造部材を得ることができる。それ故、焼結温度の上昇及び/又は焼結時間の延長による製造コストの上昇を防止することができる。
本発明の焼結鍛造部材は、総質量に対して、0.1〜0.5質量%のマンガンを含有することが必要である。前記マンガンの含有量は、0.15〜0.25質量%の範囲であることが好ましい。また、本発明の焼結鍛造部材は、総質量に対して、0.01〜0.25質量%の硫黄を含有することが必要である。前記硫黄の含有量は、0.05〜0.15質量%の範囲であることが好ましい。通常、鋼材の焼結鍛造時に、被削性を向上させるために、硫黄、例えば硫化マンガン(MnS)が添加される。本発明の焼結鍛造部材において、マンガンの含有量が0.1質量%以上で且つ硫黄の含有量が0.01質量%以上の場合、焼結鍛造部材の被削性を向上させることができる。また、マンガンの含有量が0.1質量%以上の場合、十分な量のマンガンがフェライト組織又はパーライト組織中のフェライト組織に固溶する。このため、焼結鍛造部材を固溶強化することができる。マンガンの含有量が0.5質量%以下で且つ硫黄の含有量が0.25質量%以下の場合、焼結鍛造部材中のマンガン及び硫黄(例えば、MnS)が疲労亀裂の起点となって疲労強度を低下させることを、実質的に抑制することができる。
なお、本発明の焼結鍛造部材の被削性は、例えば、降伏比を指標として評価することができる。本明細書において、「降伏比」は、引張強度に対する耐力の比(耐力/引張強度)を意味する。本発明の焼結鍛造部材の耐力及び引張強度は、例えば、JIS Z2241に基づき測定することができる。
本発明の焼結鍛造部材において、前記炭素、銅、マンガン及び硫黄の含有量の残部は、鉄及び不可避不純物からなる。本明細書において、「不可避不純物」は、リン、ケイ素、酸素及び窒素のような、鋼材の製造において不可避的に混入し得る各種元素を意味する。
本発明の焼結鍛造部材において、炭素に対する銅の組成比(Cu/C)は、3〜7の範囲であることが好ましい。Cu/Cが3以上の場合、炭素の含有量が少なくなるため、焼結鍛造部材中に形成されるセメンタイト組織が減少する。このため、焼結鍛造部材の耐力を向上させることができる。また、銅の含有量が多くなるため、十分な量の銅がフェライト組織又はパーライト組織中のフェライト組織に固溶する。このため、焼結鍛造部材を固溶強化することができる。Cu/Cが7以下の場合、炭素の含有量が多くなるため、焼結鍛造部材中に形成されるパーライト組織が増加する。このため、焼結鍛造部材の耐力を向上させることができる。また、銅の含有量が少なくなるため、過剰の銅が析出することなく、実質的に全ての銅がフェライト組織に固溶する。このため、焼結温度の上昇及び/又は焼結時間の延長によって銅の拡散を促進させることなく、焼結鍛造部材を得ることができる。それ故、焼結温度の上昇及び/又は焼結時間の延長による製造コストの上昇を防止することができる。
本発明の焼結鍛造部材は、任意の断面における総面積に対するパーライト組織の面積の百分率(以下、「パーライト率」とも記載する)が60%以上であることが必要である。また、任意の断面における総面積に対するフェライト組織の面積の百分率(以下、「フェライト率」とも記載する)が40%以下であることが必要である。但し、パーライト組織の面積の百分率(パーライト率)とフェライト組織の面積の百分率(フェライト率)との和は100%である。パーライト率が60%以上の場合、焼結鍛造部材中に形成されるパーライト組織が増加する。このため、パーライト組織中のフェライト組織に銅が固溶することにより、焼結鍛造部材を固溶強化することができる。また、微細なラメラ間隔を有するパーライト組織が増加することにより、焼結鍛造部材の耐力を向上させることができる。
なお、焼結鍛造部材に形成されるパーライト組織又はフェライト組織の面積は、例えば、以下の方法で算出することができる。焼結鍛造部材から試料を切断し、該試料を研磨及びエッチング処理等する。得られた試料の断面を、光学顕微鏡を用いて数視野(例えば20〜50視野程度)観察して、パーライト組織又はフェライト組織の領域を目視で同定する。或いは、パーライト組織の領域を目視で同定し、残りの領域をフェライト組織と判断してもよい。それぞれの組織の面積から、総面積に対するパーライト組織の面積の百分率(パーライト率)及びフェライト組織の面積の百分率(フェライト率)を算出する。全視野におけるパーライト率及びフェライト率を算出し、平均値を決定する。
本発明の焼結鍛造部材は、7.65 g/cm3以上の密度を有することが必要である。焼結鍛造部材の密度が7.65 g/cm3以上の場合、焼結鍛造部材の耐力及び降伏比を向上させることができる。このため、焼結鍛造部材の被削性を向上させることができる。
なお、焼結鍛造部材の密度は、例えば、焼結鍛造部材から試料を切断し、切断された試料の重量及び体積を測定して、測定された重量及び体積から算出することができる。また、試料の体積は、例えば、アルキメデス法に基づき、測定することができる。
本発明の焼結鍛造部材は、通常、860 MPa以上、典型的には、880〜1200 MPaの範囲の引張強度を有する。本発明の焼結鍛造部材は、通常、600 MPa以上、典型的には、600〜800 MPaの範囲の耐力を有する。本発明の焼結鍛造部材の引張強度及び耐力が前記範囲の場合、本発明の焼結鍛造部材の降伏比は、通常、0.65以上となる。前記の特性を備える焼結鍛造部材は、高い耐力を有するだけでなく、良好な被削性を有する。それ故、本発明はまた、本発明の焼結鍛造部材を用いて製造されるコンロッドに関する。本発明により、高い強度及び良好な被削性を備えるコンロッドを提供することが可能となる。
<2. 焼結鍛造部材の製造方法>
本発明はまた、焼結鍛造部材の製造方法に関する。
図1は、本発明の焼結鍛造部材の製造方法の一実施形態を示す工程図である。以下、図1に基づき、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[2-1. 原料粉末混合物調製工程]
本発明の方法は、炭素、銅、マンガン、硫黄及び鉄の原料粉末を混合して、焼結鍛造部材の原料粉末混合物を調製する原料粉末混合物調製工程(工程S1)を含むことが必要である。
本工程において、使用される銅及び鉄の原料粉末は、当該技術分野で通常使用される金属粉末の形態であればよい。また、炭素の原料粉末は、当該技術分野で通常使用される粉末の形態(例えば、黒鉛粉末)であればよい。前記炭素、銅及び鉄の原料粉末の使用量は、前記で説明した焼結鍛造部材中の炭素、銅及び鉄の含有量に基づき、適宜設定すればよい。
本工程において、使用されるマンガン及び硫黄の原料粉末は、当該技術分野で通常使用されるマンガン金属粉末又は硫黄粉末の形態であってもよい。しかしながら、マンガン及び硫黄の原料粉末は、硫化マンガンの粉末であることが好ましい。硫化マンガンの粉末の場合、その使用量は、0.05〜0.6質量%の範囲であることが好ましく、0.25〜0.35質量%の範囲であることがより好ましい。硫化マンガンの粉末の使用量が前記範囲の場合、結果として得られる焼結鍛造部材中のマンガン及び硫黄の含有量を前記で説明した範囲とすることができる。
前記原料粉末混合物は、所望により、ステアリン酸亜鉛のような潤滑剤又はワックス系潤滑剤のような追加の成分を含有してもよい。
本工程において、使用される各原料粉末及び追加の成分は、同時に若しくは連続的に混合してもよく、又は任意の組み合わせ毎に混合してもよい。原料粉末の混合には、V型ミキサーのような、粉末形態の原料を混合するために当該技術分野で通常使用される混合手段を用いることができる。
[2-2. 成形体形成工程]
本発明の方法は、原料粉末混合物調製工程で得られた原料粉末混合物を加圧成形して、成形体を形成させる成形体形成工程(工程S2)を含むことが必要である。
本工程において、原料粉末混合物は、例えば、所定の形状に加工された金型のキャビティに充填し、加圧成形すればよい。原料粉末混合物の加圧成形には、加圧成形機のような、当該技術分野で通常使用される手段を用いることができる。この場合、加圧成形の圧力は、3〜5 t/cm2の範囲の平均面圧であることが好ましい。前記範囲の圧力で加圧成形することにより、所望の強度及び被削性を備える焼結鍛造部材を得ることができる。
[2-3. 焼結工程]
本発明の方法は、成形体形成工程で得られた成形体を焼結して、焼結成形体を得る焼結工程(工程S3)を含むことが必要である。
本工程において、成形体を焼結する温度は、1100〜1200℃の範囲であることが好ましい。成形体を焼結する時間は、10〜30分の範囲であることが好ましい。前記の条件で成形体を焼結することにより、所望の強度及び被削性を備える焼結鍛造部材を得ることができる。
本工程において、成形体を焼結する雰囲気は、特に限定されないが、例えば、吸熱性変成ガス(RXガス)又は窒素ガス(N2ガス)のようなガス雰囲気下であることが好ましい。RXガス雰囲気下で成形体を焼結することにより、脱炭を抑制することができる。
[2-4. 鍛造工程]
本発明の方法は、焼結工程で得られた焼結成形体を鍛造して、焼結鍛造部材を得る鍛造工程(工程S4)を含むことが必要である。
本工程において、焼結成形体は、所定の鍛造圧力を負荷される。この場合、鍛造圧力は、6〜8 t/cm2の範囲の平均面圧である。6 t/cm2以上の平均面圧で鍛造圧力を負荷する場合、結果として得られる焼結鍛造部材の密度を前記範囲とすることができる。それ故、前記範囲の鍛造圧力を負荷しながら焼結成形体を鍛造することにより、所望の強度及び被削性を備える焼結鍛造部材を得ることができる。
本工程において、焼結成形体を鍛造する温度は、700〜1100℃の範囲であることが好ましい。焼結成形体の鍛造は、焼結工程の完了後、10秒以内に完了することが好ましい。例えば、焼結工程において、焼結炉を用いて成形体を焼結した場合、焼結成形体の鍛造は、焼結炉から該焼結成形体を取り出した後、10秒以内に完了することが好ましい。前記の条件で焼結成形体を鍛造することにより、焼結鍛造部材の酸化を抑制することができる。
本工程において、焼結成形体を鍛造する雰囲気は、特に限定されないが、例えば、大気雰囲気下、或いは吸熱性変成ガス(RXガス)又は窒素ガス(N2ガス)のようなガス雰囲気下であることが好ましい。前記雰囲気下で焼結成形体を鍛造することにより、焼結鍛造部材の酸化を抑制することができる。
前記の条件で鍛造された焼結鍛造部材は、所定の冷却速度で常温まで冷却されることが好ましい。この場合、冷却速度は、90〜150℃/分の範囲であることが好ましい。冷却速度が90℃/分以上の場合、結果として得られる焼結鍛造部材のフェライト率を前記で説明した範囲とすることができる。冷却速度が150℃/分以下の場合、マルテンサイト組織の形成を実質的に抑制することができる。このため、結果として得られる焼結鍛造部材の被削性を向上させることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I:コンロッドの作製>
以下の手順で、実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜24)及び比較例B(試料25〜28)の焼結鍛造部材の粉末を調製した。比較例Bは、特許文献3に記載の焼結鍛造部材のような、モリブデンを含有する焼結鍛造部材である。
原料として、黒鉛粉末、銅粉末、MnS及び鉄粉末(比較例Bの場合はFe-Mo合金紛末)を、原料混合物の総質量に対してC含有量が0.6〜0.9質量%、Cu含有量が2.5〜3.3質量%の範囲となるように、所定の割合で混合した。得られた原料混合物に、原料混合物の総質量に対して0.8質量%の潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)を添加した。前記混合物を、V型ミキサー(VG5;筒井理化学器械製)で30分間混合して、焼結鍛造部材の粉末を得た。
実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜24)及び比較例B(試料25〜28)の焼結鍛造部材の粉末を、コンロッド用の金型のキャビティに充填した。これを、加圧成形機を用いて、4.3 t/cm2の平均面圧で加圧成形して、成形体を作製した。得られた各成形体を、メッシュベルト式焼結炉を用いて、吸熱性変成ガス(RXガス)雰囲気下、1150℃で23分間焼結した。実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜22及び24)及び比較例B(試料25〜28)の各焼結成形体を、焼結炉から取り出した後、10秒以内に、大気雰囲気下、7.0 t/cm2の平均面圧で鍛造圧力を付与しながら鍛造した。比較例Aの試料23の焼結成形体については、焼結炉から取り出した後、10秒以内に、大気雰囲気下、5.5 t/cm2の平均面圧で鍛造圧力を付与しながら鍛造した。鍛造後、得られた各鍛造体を、90〜150℃/分の範囲の冷却速度で常温まで冷却して、実施例及び比較例のコンロッドを得た。
<II:コンロッドの性能試験>
[II-1. コンロッドの成分分析]
実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜24)及び比較例B(試料25〜28)のコンロッドから、測定用の試料を切り出した。得られた試料に含有される、C、Cu、Mn、S及びMoを、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収分析装置及び高周波プラズマ(ICP)発光分析装置を用いて分析した。
[II-2. パーライト率及びフェライト率の測定試験]
実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜24)及び比較例B(試料25〜28)のコンロッドから、15×15 mmの範囲で試料を切断した。切断された試料を、研磨紙及びバフを用いて研磨した。研磨された試料の断面を、ナイタル液を用いてエッチングした。その後、エッチングされた試料の断面を、光学顕微鏡(100〜200倍)を用いてそれぞれ20〜50視野程度観察した。各視野において、パーライト組織を目視で同定し、残りの領域をフェライト組織と判断した。それぞれの組織の面積から、総面積に対するパーライト組織の面積の百分率(パーライト率)及びフェライト組織の面積の百分率(フェライト率)を算出した。全視野におけるパーライト率及びフェライト率を算出し、平均値を決定した。
[II-2. 密度の測定試験]
実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜24)及び比較例B(試料25〜28)のコンロッドから、10×10 mmの範囲で試料を切断した。切断された試料の重量を測定した。アルキメデス法に従い、切断された試料の体積を測定した。測定された重量及び体積から、各試料の密度を算出した。
[II-3. 引張強度及び耐力の測定試験]
実施例(試料1〜14)、比較例A(試料15〜24)及び比較例B(試料25〜28)のコンロッドのコラム部から、25×25 mmの範囲で試料を切断した。JIS B7721に準拠する試験機を用いて、JIS Z2241に準拠する方法で引張試験を実施して、引張強度及び耐力を測定した。なお、耐力の測定においては、0.2%耐力を、試料が塑性変形し始める降伏点に設定した。引張強度に対する耐力の比(耐力/引張強度)を、降伏比として算出した。
[II-4. 結果]
前記各試験の結果を表1に示す。また、実施例(試料5)のコンロッドから切断された焼結鍛造部材の断面の光学顕微鏡画像を図2に、Cu/Cの比に対する降伏比の関係を図3に、それぞれ示す。
Figure 0005920202
図2に示すように、試料5の焼結鍛造部材の断面には、パーライト組織(黒色部)及びフェライト組織(白色部)が観察された。光学顕微鏡画像に基づき、パーライト率は72%と決定された。
図3に示すように、実施例の試料は、いずれもCu/Cの比が3〜7の範囲であり、降伏比は、0.65以上であった。降伏比は、引張強度に対する耐力の比である。このため、降伏比の高い実施例の焼結鍛造部材は、同一硬さにおける耐力が高く、被削性に有利となる。

Claims (4)

  1. 総質量に対して、0.5〜0.8質量%の炭素と、2.5〜3.5質量%の銅と、0.1〜0.5質量%のマンガンと、0.01〜0.25質量%の硫黄と、残部の鉄及び不可避不純物とからなり、密度が7.65 g/cm3以上であり、任意の断面における総面積に対するパーライト組織の面積の百分率が60%以上であり、フェライト組織の面積の百分率が40%以下である(但し、パーライト組織の面積の百分率とフェライト組織の面積の百分率との和は100%である)、焼結鍛造部材。
  2. 請求項1に記載の焼結鍛造部材を用いて製造されるコンロッド。
  3. 請求項1に記載の焼結鍛造部材の製造方法であって、
    炭素、銅、マンガン、硫黄及び鉄の原料粉末を混合して、焼結鍛造部材の原料粉末混合物を調製する原料粉末混合物調製工程;
    原料粉末混合物調製工程で得られた原料粉末混合物を加圧成形して、成形体を形成させる成形体形成工程;
    成形体形成工程で得られた成形体を焼結して、焼結成形体を得る焼結工程;及び
    焼結工程で得られた焼結成形体を、6〜8 t/cm2の範囲の平均面圧で鍛造して、焼結鍛造部材を得る鍛造工程;
    を含む、前記方法。
  4. 原料粉末混合物調製工程で用いるマンガン及び硫黄の原料粉末が硫化マンガンの粉末である、請求項3に記載の方法。
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