JP5919454B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
特許文献3,4には、優れた難燃性を維持しながら、成形性、耐衝撃性、剛性を満足し、熱安定性に優れた成形体を成形可能なポリカーボネート樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、及びポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体及び/又は官能基含有シリコーン化合物等を含有するポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
また特許文献5には、ポリカーボネートおよび/または脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネート、ABS系樹脂および/又はSAN(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、リン酸エステル系化合物、およびポリシロキサン−ポリカーボネートブロック共重合体を含み、薄く成形されても優れた難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
さらに、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性や耐衝撃性を向上させるためにABS樹脂やAS樹脂等を添加すると、難燃性が低下するという問題がある。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[14]に関する。
[2]全樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量と前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量との合計の含有量が6.6〜15質量%である[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]前記ポリカーボネート樹脂(A)中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量が、0.75〜15質量%である上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]前記(B)成分が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体(B−1)を含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]前記(B)成分が、さらにアクリロニトリル−スチレン2元共重合体(B−2)を含む上記[4]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]前記(C)成分が、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン3元共重合体及びメチルメタクリレート−ブタジエン2元共重合体から選ばれる1種以上を含む上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]前記(A)成分100質量部に対して、前記(B−1)成分の含有量が8〜100質量部、前記(B−2)成分の含有量が25質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.5〜8質量部である上記[5]又は[6]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]前記(B−1)成分中の前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量が、8〜75質量%である上記[4]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9]前記(B−2)成分の温度200℃、荷重10kgfで測定したメルトボリュームレート(MVR)が、3〜150cm3/10分である上記[5]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[10]さらに難燃剤(D)を含む上記[1]〜[9]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[11]前記(D)成分が、リン系難燃剤である上記[10]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[12]前記リン系難燃剤が、縮合リン酸エステルである上記[11]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[13]前記(A)成分100質量部に対して、前記難燃剤(D)の含有量が10〜40質量部である上記[10]〜[12]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[14]上記[1]〜[13]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形体。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロックを有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)を含有するポリカーボネート樹脂(A)と、アクリロニトリル及びスチレンに由来する構成単位を有しかつメチルメタクリレートに由来する構成単位を有さない共重合体(B)と、ブタジエン及びメチルメタクリレートに由来する構成単位を有する共重合体(C)とを含み、全樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量が0.50〜10質量%であり、全樹脂組成物中の前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量が3〜10質量%であり、かつ、全樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量と前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量との合計の含有量が5.4〜15質量%であることを特徴とする。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)(以下、「(A)成分」ともいう)は、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)(以下「PC−POS(A−1)」又は「(A−1)成分」ともいう)を含有することを特徴とする。なお後述するように、(A)成分としては、本発明の効果を損なわない程度に(A−1)成分以外の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)が含まれていてもよい。
PC−POS(A−1)は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロックを有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体である。
PC−POS(A−1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。またPC−POS(A−1)中の一般式(I)で表される繰り返し単位の種類は、1種のみでもよく、2種以上含まれていてもよい。PC−POS(A−1)中の一般式(II)で表される繰り返し単位についても同様である。
R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、同様である。)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基が挙げられる。R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。
各R1及びR2は、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。
Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましく、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。Xが表すアリールアルキレン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。Xが表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
なお、各R3及びR4は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。
各R3〜R6は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。Yとしては、好ましくはアルキル基を有するフェノール系化合物の残基であり、アリルフェノール由来の有機残基やオイゲノール由来の有機残基がより好ましい。
また、一般式(II)で表される繰り返し構造を含むポリオルガノシロキサンブロックの構造としては、下記式(II'')で表されるものであることも好ましい。
mは、0又は1を示す。
Z’は、単結合、−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−COO−又は−S−を示し、該R7は直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、芳香環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、アリーレン基又はジアリーレン基を示す。該R7の具体例については後述する。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、ジカルボン酸由来の2価の基、又はジカルボン酸ハロゲン化物由来の2価の基を示す。該ジイソシアネート化合物由来の2価の基、ジカルボン酸由来の2価の基、及びジカルボン酸ハロゲン化物由来の2価の基の具体例については後述する。
なお、本発明において、粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度管にて、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、Schnellの式(〔η〕=1.23×10−5×Mv0.83)より算出した値である。
具体的には、予め製造された芳香族ポリカーボネートオリゴマーと、末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサン(下記一般式(2)及び(3)で表されるポリオルガノシロキサン等)とを、非水溶性有機溶媒(塩化メチレン等)に溶解させ、下記一般式(1)で表される二価フェノール(ビスフェノールA等)のアルカリ性化合物水溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)を加え、重合触媒として第三級アミン(トリエチルアミン等)や第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、分子量調節剤(末端停止剤)(p−t−ブチルフェノール等の1価フェノール)の存在下、界面重縮合反応させることにより製造できる。なお、前記ポリオルガノシロキサンの使用量を調整することなどにより、PC−POS(A−1)成分中の一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量を調整することができる。
上記界面重縮合反応後、適宜静置して水相と非水溶性有機溶媒相とに分離し[分離工程]、非水溶性有機溶媒相を洗浄(好ましくは塩基性水溶液、酸性水溶液、水の順に洗浄)し[洗浄工程]、得られた有機相を濃縮[濃縮工程]、粉砕[粉砕工程]及び乾燥[乾燥工程]することによって、PC−POSを得ることができる。このポリオルガノシロキサンブロック含有量の調整されたPC−POS(A−1)成分と(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)からなるポリカーボネート樹脂(A)との使用比率を調整することにより、(A)成分中のポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量を調整することができる。
mは0又は1を示し、Zはハロゲン原子、−R7OH、−R7COOH、−R7NH2、−R7NHR8、−COOH又は−SHを示し、R7は直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、芳香環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、アリーレン基、又はジアリーレン基を示し、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基を示す。
ジアリーレン基とは、二つのアリーレン基が直接、又は二価の有機基を介して連結された基のことであり、具体的には−Ar1−W−Ar2−で表される構造を有する基である。ここで、Ar1及びAr2は、アリーレン基を示し、Wは単結合、又は2価の有機基を示す。Wの具体例及び好適例は、前記一般式(I)におけるXと同じである。
R7が表す直鎖又は分岐鎖アルキレン基としては、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基が挙げられ、環状アルキレン基としては、炭素数5〜15、好ましくは炭素数5〜10のシクロアルキレン基が挙げられる。R7が表すアリール置換アルキレン基のアルキレン部位としては、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基が挙げられる。R7が表すアリール置換アルキレン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。R7、Ar1及びAr2が表すアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基などの環形成炭素数6〜14のアリーレン基が挙げられる。
好ましくは、Y’は、単結合、又は−C(=O)−、脂肪族基若しくは芳香族基を含み、SiとO又はSiとZに結合している2価の有機残基を示す。R3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。nは上記と同じであり、mは0又は1を示す。
Zとしては、好ましくは−R7OH、−R7COOH、−R7NH2、−COOH又は−SHである。該R7は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。
R8としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基である。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類;1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類;4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタエン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、例えば、以下の一般式(2−1)〜(2−10)の化合物が挙げられる。
これらの中でも、重合の容易さの観点においては、一般式(2−1)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、入手の容易さの観点においては、一般式(2−2)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、一般式(2−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
まず、シクロトリシロキサンとジシロキサンとを酸性触媒存在下で反応させ、α,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを合成する。このとき、シクロトリシロキサンとジシロキサンとの仕込み比を変えることで所望の平均繰り返し数を持つα,ω−ジハイドロジェンポリオルガノシロキサンを合成することができる。次いで、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下に、このα,ω−ジハイドロジェンポリオルガノシロキサンにアリルフェノールやオイゲノール等の不飽和脂肪族炭化水素基を有するフェノール化合物を付加反応させることで、所望の平均繰り返し数を有するフェノール変性ポリオルガノシロキサンを製造することができる。
また、この段階では、低分子量の環状ポリオルガノシロキサンや過剰量の上記フェノール化合物が不純物として残存するために、減圧下で加熱し、これらの低分子化合物を留去することが好ましい。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、ジカルボン酸由来の2価の基、又はジカルボン酸ハロゲン化物由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(3−1)〜(3−5)で表される2価の基が挙げられる。
該(A−2)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、物性面の観点から、好ましくは10,000〜40,000、より好ましくは13,000〜30,000である。
R9及びR10の具体例としては、前記R1及びR2と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。R9及びR10としては、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。X’の具体例としては、前記Xと同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。d及びeは、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)、分岐化剤等が使用される。
なお、上記芳香族二価フェノール系化合物としては、下記一般式(III')で表されるものが挙げられる。
該芳香族二価フェノール系化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、(A)成分中の上記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量は、核磁気共鳴(NMR)により算出できる。
(A−1)成分が10質量%以上であると、(A−1)成分中のポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量を高くする必要がなく、PC−POSの製造上好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(B)成分として、アクリロニトリル及びスチレンに由来する構成単位を有しかつメチルメタクリレートに由来する構成単位を有さない共重合体を含む。ポリカーボネート樹脂組成物が当該(B)成分を含有することで、流動性に優れ、かつアクリロニトリルに由来する構成単位を有することから、前記(A)成分との相溶性も良好な樹脂組成物を得ることができる。
当該(B)成分としては、アクリロニトリル−スチレン2元共重合体(AS)、及び、アクリロニトリルとスチレンに他の成分をさらに共重合した3元以上の共重合体等が挙げられる。
上記他の成分の具体例としては、ポリブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル(但しメチルメタクリレートを除く)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン−アクリルゴム、イソプレンゴム、イソプレン−スチレンゴム、イソプレン−アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等が挙げられる。このうち、特に好ましいものは、ポリブタジエンである。ここで用いるポリブタジエンは、低シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モル%含有するもの)、高シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いてもよく、また、これらの混合物であってもよい。
上記3元以上の共重合体の具体例としては、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン3元共重合体(AAS)、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体(ABS)、アクリロニトリル−(エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)−スチレン共重合体(AES)等が挙げられる。
上記共重合体のうち、流動性を向上させ、かつゴム成分を含有することにより耐衝撃性も向上させる点から、(B)成分は少なくともアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体(B−1)(以下「(B−1)成分」ともいう)を含むことが好ましい。また、流動性向上の点からは、さらにアクリロニトリル−スチレン2元共重合体(B−2)(以下「(B−2)成分」ともいう)を含んでもよい。
MVRは、ISO1133に準拠した方法で測定することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(C)成分として、ブタジエン及びメチルメタクリレートに由来する構成単位を有する共重合体を含む。当該(C)成分を含有することで、特に耐衝撃性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
当該(C)成分としては、ポリブタジエンにメチルメタクリレートとスチレンが重合したメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン3元共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン4元共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン2元共重合体(MB)等が挙げられる。
上記共重合体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、耐衝撃性を向上させる点から、(C)成分はメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン3元共重合体及びメチルメタクリレート−ブタジエン2元共重合体から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは、(B−1)成分の含有量が8〜100質量部、(B−2)成分の含有量が25質量部以下、及び(C)成分の含有量が0.5〜8質量部である。より好ましくは、(B−1)成分の含有量が8〜50質量部、(B−2)成分の含有量が1〜20質量部、及び(C)成分の含有量が1〜5質量部である。また、(B−1)成分のブタジエンに由来する構成単位の含有量が30〜70質量%である場合には、上記含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは、(B−1)成分の含有量が8〜15質量部、(B−2)成分の含有量が10〜25質量部、及び(C)成分の含有量が1〜5質量部である。
当該含有量が0.50質量%未満であると、得られる成形体の衝撃強度が不十分となる。また当該含有量が10質量%以下であれば経済性の点で好ましい。
ここで、樹脂組成物中のポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量は、核磁気共鳴(NMR)測定により算出された値である。
上記観点から、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、より好ましくは、前記スチレンに由来する構成単位の含有量が7〜20質量%であり、更に好ましくは8〜15質量%である。また、より好ましくは、前記アクリロニトリルに由来する構成単位の含有量が3〜8質量%であり、さらに好ましくは3〜6質量%である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに(D)成分として難燃剤を含むことが好ましい。
難燃剤としては、本発明の効果の範囲で燃焼性を向上させる効果のあるものであれば特に制限はなく、各種公知の難燃剤、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属塩系難燃剤が例示される。これらの各種公知の難燃剤の中でも、高い難燃性を付与する観点から、(D)成分としてリン系難燃剤を用いることが好ましい。
リン系難燃剤としては、赤リンやリン酸エステル系の難燃剤が挙げられる。
リン酸エステル系の難燃剤としては、特にハロゲンを含まないものが好ましく、リン酸エステルのモノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物からなるものが挙げられる。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート等、又はこれらの置換体、縮合物等が挙げられる。中でも、縮合リン酸エステルを用いることが好ましい。
上記リン酸エステル系難燃剤は、2価のフェノール類及びAr・OHで表される1価のフェノール類とオキシ塩化リンとの反応によって得られる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは10〜40質量部であり、より好ましくは10〜30質量部、さらに好ましくは15〜30質量部である。当該含有量が10質量部以上であれば、より良好な難燃性が得られるとともに、樹脂組成物の流動性がより向上する。また40質量部以下であれば、耐衝撃性及び耐熱性を維持しやすい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない程度において、適宜、その他の成分を含有させることができる。
その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、難燃助剤、無機充填材、着色剤(染料、顔料)等の添加剤が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、特に制限はない。代表的な例としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイトの他、トリアルキルホスファイト、トリシクロアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、トリアルキルホスフェート、トリシクロアルキルホスフェート、トリアリールホスフェートなどが挙げられる。この中では、トリアリールホスファイト、及びトリアリールホスフェートが好適に用いられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の離型剤の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部、さらに好ましくは0.2〜2質量部である。
有機系重合体粒子を製造するための単量体の具体例としては、スチレン系単量体;(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;シアン化ビニル系単量体;ビニルエーテル系単量体;カルボン酸ビニル系単量体;オレフィン系単量体;ジエン系単量体等を挙げることができる。特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の使用が好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とは、アクリル酸アルキルエステル系及びメタクリル酸アルキルエステル系の両方の単量体を指す。
これらの単量体を重合することにより、有機系重合体粒子が得られる。上記単量体は、1種又は2種以上混合して用いることができる。有機系重合体粒子としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体からなる粒子が好ましい。
難燃助剤の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.3〜1.5質量部である。
これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機充填材の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。上記配合量が0.1質量部以上であれば難燃性や寸法安定性の向上効果を十分に得ることができ、10質量部以下であれば流動性、耐衝撃性を維持しやすい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性に優れる。具体的には、温度260℃、荷重2.16kgで測定したMFRが、通常10g/10分以上、好ましくは15g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上の樹脂組成物となる。
MFRの上限には特に制限はないが、通常100g/10分以下となる。当該MFRはASTM D1238に準拠して測定できる。
さらに本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、シリンダー温度240℃、金型温度40℃、厚み2.0mmのスパイラルフロー金型で、圧力設定125MPaにて成形した際の流動長(SFL)が、通常38cm以上、好ましくは42cm以上、より好ましくは45cm以上となる。当該Q値及びSFLは、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
上述のように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は高い流動性を有するため、例えば薄肉でかつ大型の成形体を成形することも可能となる。
次に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記の(A)、(B)及び(C)成分、更に必要に応じて用いられる(D)成分、更には他の一般的な成分を配合し、混練することにより得られる。
このときの配合及び混練は、通常用いられている機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラー等で予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いる方法で行うことができる。
混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)以外の成分は、予め、ポリカーボネート樹脂(A)と溶融混練、すなわち、マスターバッチとして添加することもできる。
本発明の成形体は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を含むものである。
本発明の成形体は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を、上記の溶融混練成形機を用いて溶融混練した組成物、又は、該組成物から得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等により成形することにより得られる。
特に好適には、上記溶融混練方法により、ペレット状の成形原料を製造し、次いで、このペレットを用いて、射出成形、射出圧縮成形を用いることにより、成形体とすることができる。
なお、射出成形方法としては、外観のヒケ防止のため、又は、軽量化のためのガス注入成形方法を採用することもできる。
上記のようにして得られた本発明のポリカーボネート樹脂組成物の成形体は、厚さ4mmの試験片を用い、ISO 178に準拠して23℃で測定した曲げ強度が、通常85〜95MPaであり、曲げ弾性率は、通常2,000〜3,000MPaである。
なお、上記特性値は、いずれも、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
<ポリカーボネートオリゴマー製造>
5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に後から溶解するビスフェノールA(BPA)に対して2000ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにビスフェノールA濃度が13.5質量%になるようにビスフェノールAを溶解し、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
このビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液40L(以下、Lはリットルの省略である。)/hr、塩化メチレン15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。
管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液は後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液0.07L/hr、水17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hr添加して反応を行った。
槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーは、濃度329g/L、クロロホーメート基濃度0.74mol/Lであった。
<ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体(PC−PDMS共重合体1)の製造>
邪魔板、パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に、上記調製例1で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン9.0L、ジメチルシロキサン繰り返し単位の平均繰り返し数nが90であるo−アリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサン(PDMS)384g及びトリエチルアミン8.8mLを仕込み、攪拌下でここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液1389gを加え、10分間ポリカーボネートオリゴマーとアリルフェノール末端変性PDMSの反応を行った。
この重合液に、p−t−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP137gを塩化メチレン2.0Lに溶解したもの)、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム577gと亜二チオン酸ナトリウム2.0gを水8.4Lに溶解した水溶液にビスフェノールA1012gを溶解させたもの)を添加し、50分間重合反応を行った。
希釈のため塩化メチレン10Lを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体(PC−PDMS共重合体)を含む有機相と過剰のビスフェノールA及び水酸化ナトリウムを含む水相に分離し、有機相を単離した。
こうして得られたPC−PDMS共重合体の塩化メチレン溶液を、その溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2モル/L塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。
洗浄により得られたPC−PDMS共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下120℃で乾燥し、PC−PDMS共重合体1を製造した。
得られたPC−PDMS共重合体1の核磁気共鳴(NMR)により求めたPDMSブロック部分の含有量は6.0質量%、粘度数は47.5、粘度平均分子量Mvは17,700であった。
<ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体(PC−PDMS共重合体2)の製造>
製造例1において、ジメチルシロキサン繰り返し単位の平均繰り返し数nが40であるo−アリルフェノール末端変性PDMSを用いたこと以外は、製造例1と同様にして、PC−PDMS共重合体2を製造した。
得られたPC−PDMS共重合体2のNMRにより求めたPDMSブロック部分の含有量は6.0質量%、粘度数は47.5、粘度平均分子量Mvは17,700であった。
<流動性評価>
(MFR)
ASTM D1238に準拠して、温度260℃、荷重2.16kgにおけるMFRを測定した。
(Q値)
JIS K7210に準拠して、温度260℃、荷重100kgにおけるQ値を高架式フローテスターで測定した。
(SFL値)
各例で得られたペレットを、シリンダー温度240℃、金型温度40℃、厚み2.0mmのスパイラルフロー金型で、圧力設定125MPaにて成形した際の流動長(cm)を測定した。
(シャルピー衝撃強度)
各例で得られた厚さ4mmの試験片からノッチ付きの試験片を作製し、ISO 179に準拠して、温度23℃でシャルピー衝撃強度を測定した。数値が大きいほど、耐衝撃性が良好であることを示す。
(曲げ試験)
各例で得られた厚さ4mmの試験片を用いて、ISO 178に準拠して、温度23℃、曲げ速度2mm/分の条件で曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。数値が大きいほど、曲げ特性が良好であることを示す。
(荷重たわみ温度)
各例で得られた厚さ4mmの試験片を用いて、ISO75−1,2の測定方法に準拠し、荷重1.8MPaで荷重たわみ温度(HDT)を測定した。荷重たわみ温度が高いほど、耐熱性が良好であることを示す。
(UL94燃焼性)
各例で得られた長さ127mm×幅12.7mm×厚さ1.5mmの試験片について、UL94垂直難燃試験(アンダーライターズラボラトリー・サブジェクト94)に準拠して5V燃焼試験(n=5)を行い、5回の燃焼時間の合計(秒)を求めた。また難燃性評価は、5Vランクを満たすか否かを判定することにより行った。
なお表2の難燃性評価において、5Vランクを満たしたものを「5V」、満たさなかったものを「5V−OUT」と表記する。
表2に示す割合で各成分を混合し、ベント付き50mmφの単軸押出機を用いて樹脂温度280℃で造粒し、ポリカーボネート樹脂組成物からなるペレットを得た。
上記方法で得られたペレットを、射出成形機(型番;IS100EN、東芝機械(株)製)を用い、シリンダー温度240℃、金型温度40℃の成形条件で射出成形して試験片を得た。得られた試験片を用いて前記の性能評価を行った。
<ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)>
PC−PDMS共重合体1(製造例1に記載のポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体)
PC−PDMS共重合体2(製造例2に記載のポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体)
タフロンFN2200(ビスフェノールAポリカーボネート、出光興産(株)製、粘度数56.1、粘度平均分子量Mv=21,500)
タフロンFN1900(ビスフェノールAポリカーボネート、出光興産(株)製、粘度数51.0、粘度平均分子量Mv=19,200)
タフロンFN1700(ビスフェノールAポリカーボネート、出光興産(株)製、粘度数47.5、粘度平均分子量Mv=17,700)
クララスチックSXH−330(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体(ABS)、日本エイアンドエル(株)製、ブタジエンに由来する構成単位の含有量;12質量%)
HR181(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体(ABS)、KUMHO PETROCHEMICAL社製、ブタジエンに由来する構成単位の含有量;60質量%)
サンタックAT05(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体(ABS)、日本エイアンドエル(株)製、ブタジエンに由来する構成単位の含有量;14質量%)
<アクリロニトリル−スチレン2元共重合体(B−2)>
S101N(アクリロニトリル−スチレン2元共重合体(AS)、ユーエムジー・エービーエス(株)製、MVR[温度200℃、荷重10kgf];95cm3/10分)
パラロイドEXL2603(メチルメタクリレート−ブタジエン2元共重合体(MB)、ダウ・ケミカル製)
メタブレンC223A(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン3元共重合体(MBS)、三菱レイヨン(株)製)
CR−741(芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤、大八化学工業(株)製)
Claims (14)
- 下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートブロック及び下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むポリオルガノシロキサンブロックを有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)を含有するポリカーボネート樹脂(A)と、アクリロニトリル及びスチレンに由来する構成単位を有しかつメチルメタクリレートに由来する構成単位を有さない共重合体(B)と、ブタジエン及びメチルメタクリレートに由来する構成単位を有する共重合体(C)とを含み、全樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量が0.70〜10質量%であり、全樹脂組成物中の前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量が3〜10質量%であり、かつ、全樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量と前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量との合計の含有量が5.4〜15質量%であるポリカーボネート樹脂組成物。
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキレン基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基もしくは炭素数6〜12のアリール基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。nは90〜150の平均繰り返し数を示す。] - 全樹脂組成物中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量と前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量との合計の含有量が6.6〜15質量%である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)中の前記ポリオルガノシロキサンブロック部分の含有量が、0.75〜15質量%である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体(B−1)を含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、さらにアクリロニトリル−スチレン2元共重合体(B−2)を含む請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン3元共重合体及びメチルメタクリレート−ブタジエン2元共重合体から選ばれる1種以上を含む請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(A)成分100質量部に対して、前記(B−1)成分の含有量が8〜100質量部、前記(B−2)成分の含有量が25質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.5〜8質量部である請求項5又は6に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(B−1)成分中の前記ブタジエンに由来する構成単位の含有量が、8〜75質量%である請求項4〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(B−2)成分の温度200℃、荷重10kgfで測定したメルトボリュームレート(MVR)が、3〜150cm3/10分である請求項5〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- さらに難燃剤(D)を含む請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(D)成分が、リン系難燃剤である請求項10に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記リン系難燃剤が、縮合リン酸エステルである請求項11に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(A)成分100質量部に対して、前記難燃剤(D)の含有量が10〜40質量部である請求項10〜12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜13のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形体。
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