JP4050581B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び射出成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び射出成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート樹脂組成物、該樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体に関する。その成形体は、自動車部品や、OA機器、電気・電子機器あるいは家庭電器のハウジング又は部品に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリカーボネートは、剛性や耐衝撃性などの機械的性質に優れ、また耐熱性、電気的性質、寸法安定性にも優れているところから、エンジニアリングプラスチックとして家電分野や自動車分野などの多くの分野に幅広く用いられている。しかしながら、このポリカーボネート樹脂は耐溶剤性に劣るため、耐溶剤性が要求される用途には使用しにくいという欠点があり、特に自動車分野に用いる場合には用途が制限されるのを免れない。さらに、流動性にも劣るため、大型製品を製造する場合にも制限を受けることが多かった。
【0003】
ポリカーボネートの耐溶剤性を向上させる方法としては、ポリカーボネートにポリエステルをアロイ化させる方法があるが(例えば、特許文献1、特許文献2参照)、流動性の向上が不十分であったり、耐熱性を低下させてしまう問題があった。流動性を向上させる方法としては、ポリカーボネートにABSをアロイ化する方法があるが(例えば、特許文献3参照)、耐溶剤性の向上は不十分である。また、ポリカーボネートとシンジオタクチックポリスチレンに相溶化剤として不均一な分布を有する共重合体を添加する方法が開示されている(特許文献4参照)。しかし、耐溶剤の向上、相溶化による耐衝撃強度の向上は図れるものの、流動性が低下したり、不均一な分布を有する共重合体を用いることにより熱による着色劣化が大きく、製品によっては使用できない場合があった。要するに、耐溶剤性及び流動性の改良を図ろうとすると、耐衝撃性などの機械的性質や耐熱性の低下がみられ、したがって、耐衝撃性などの機械的性質を維持させつつ、耐溶剤性、流動性及び剛性に優れたポリカーボネート樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特公昭36−14035号公報
【特許文献2】
特公昭53−12537号公報
【特許文献3】
特公昭38−15225号公報
【特許文献4】
特開2000−86847号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下でなされたもので、耐衝撃性などの機械的性質や耐熱性を維持させつつ、耐溶剤性、流動性及び剛性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定量の(A)ポリカーボネート、特定量の(B)シンジオタクチックスチレン系樹脂及び特定量の(C)非晶性スチレン系樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、(C)成分に対する(B)成分の含有割合[(B)成分/(C)成分(質量比)]が特定範囲にあるポリカーボネート樹脂組成物が上記目的に適合しうることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.(A)ポリカーボネート40〜96質量%、(B)シンジオタクチックスチレン系樹脂2〜30質量%及び(C)ゴム状重合体の存在下又は不存在下に重合した、スチレンとアクリロニトリル及び/又はメタクリル酸メチルとの共重合体である非晶性スチレン系樹脂2〜58質量%を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、(C)成分に対する(B)成分の含有割合[(B)成分/(C)成分(質量比)]が0.1〜0.6であることを特徴とする自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
2.前記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して、25質量部以下の(D)無機充填剤を配合してなる自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
3.前記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下の(E)ゴム状弾性体を配合してなる自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
4.前記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して、25質量部以下の(D)無機充填剤及び20質量部以下の(E)ゴム状弾性体を配合してなる自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
5.前記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる自動車外板又は自動車部品
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、詳細に説明する。
まず、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する(A)成分はポリカーボネートである。ポリカーボネートとしては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。すなわち、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、すなわち、2価フェノールとホスゲンの反応、2価フェノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換法により反応させて製造されたものを使用することができる。
【0008】
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなど、あるいはこれらのハロゲン置換体などが挙げられる。
【0009】
特に好ましい2価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホーメートなどであり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。この他、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
なお、ポリカーボネートは、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などがある。また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノールなどが用いられる。
【0011】
また、本発明に用いるポリカーボネートとしては、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部を有する共重合体、あるいはこの共重合体を含有するポリカーボネート樹脂であってもよい。また、テレフタル酸などの2官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネートであってもよい。また、種々のポリカーボネートの混合物を用いることもできる。本発明において用いられる(A)成分のポリカーボネートは、機械的強度および成形性の点から、その粘度平均分子量は、10,000〜100,000のものが好ましく、特に14,000〜40,000のものが好適である。
なお、この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度〔η〕を求め、次式にて算出するものである。
〔η〕=1.23×10-5 Mv0.83
ここで、ポリカーボネート樹脂組成物中の(A)成分の割合は、40〜96質量%の範囲である。40質量%未満であるとポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性が低くなり、90質量%を超えるとポリカーボネート樹脂組成物の流動性、耐溶剤性が低くなり好ましくない。50〜90質量%の範囲が好ましく、50〜80質量%の範囲がより好ましい。
【0012】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の(B)成分はシンジオタクチックスチレン系樹脂である。このシンジオタクチックスチレン系樹脂とは、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体をいい、そのスチレン系重合体の主としてシンジオタクチック構造とは、立体化学構造が主としてシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば、2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、ここでいう主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン重合体とは、通常はダイアッド(ラセミダイアッド)で75%以上、好ましくは85%以上、もしくはペンタッド(ラセミペンタッド)で30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アリールスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)及びこれらの混合物、あるいはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。
【0013】
なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(tert−ブチルスチレン)等があり、ポリ(アリールスチレン)しては、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等がある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)等があり、また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)などがある。
【0014】
これらのうち好ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−tert−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)及びこれらの構造単位を含む共重合体を挙げることができる。
また、上記のスチレン系重合体の分子量については、特に制限はないが、重量平均分子量が10,000以上のものが好ましく、とりわけ50,000以上のものが好ましい。さらに、分子量分布についても、特に制限はなく、様々のものを充当できる。
【0015】
このようなシンジオタクチックを有するスチレン系重合体は、例えば、不活性炭化水素溶媒中又は溶媒の不存在下に、チタン化合物及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合することにより製造することができる(特開昭62−187708号公報)。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)については、特開平1−46912号公報などの方法により製造することできる。
【0016】
ここで、本発明のポリカーボネート組成物中の(B)成分の配合割合は、2〜30質量%の範囲である。2質量%未満であるとポリカーボネート樹脂組成物の耐溶剤性は改良できず、30質量%を超えるとポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、さらに表層剥離等成形外観が悪化する。5〜20質量%の範囲が好ましく、10〜20質量%の範囲がより好ましい。
【0017】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の(C)成分は非晶性スチレン系樹脂であり、ゴム変性スチレン系樹脂及び/又はゴム未変性スチレン系樹脂を挙げることができる。上記ゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法により得られる。
ゴム変性スチレン系樹脂及び/又はゴム未変性スチレン系樹脂として、各種のスチレン系樹脂が存在するが、スチレン単量体以外に他の単量体として、アクリロニトリル又はメタクリル酸メチルを併用することにより得られるゴム変性スチレン共重合体又はゴム未変性スチレン共重合体がポリカーボネートとの相溶性を向上させる点から好ましい。具体的には、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メタクリ酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、MS樹脂(メタクリ酸メチル−スチレン共重合体)などを挙げることができる。
【0018】
ここで、本発明のポリカーボネート組成物中の(C)成分の配合割合は、2〜58質量%の範囲である。2質量%未満であるとポリカーボネート樹脂組成物の流動性は改良できず、58質量%を超えるとポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性、耐熱性が低下する。5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。
また、本発明においては、(C)成分に対する(B)成分の含有割合[(B)/(C)(質量比)]は、耐溶剤性、耐衝撃性、成形外観の点で0.1〜0.6の範囲にする必要がある。0.1未満であると、耐溶剤性の向上はなく、0.6を超えると、ポリカーボネートとの相溶性が大きく低下して耐衝撃性が低下し、表面剥離等の外観不良が生じる。好ましくは0.2〜0.5の範囲である。
【0019】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、剛性を改良するために、さらに、表層剥離等の成形外観や難燃性を向上させるために、必要により、(D)成分として無機充填剤を配合することができる。
無機充填剤として、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維などを挙げることができる。なかでも、板状であるタルク、マイカなどや、繊維状のものが好ましい。タルクとしては、マグネシウムの含水珪酸塩であり、一般に市販されているものを用いることができる。また、タルクなどの無機充填剤の平均粒径は0.1〜50μm、好ましくは0.2〜20μmである。
この(D)成分の配合量は(A)成分、(B)成分、(C)成分の和100質量部に対して25質量部以下である。25質量部を超えると、衝撃強度が低下する。好ましくは15質量部以下の範囲である。
【0020】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、さらに耐衝撃性を上げるために、必要により、(E)成分としてゴム状弾性体を配合することができる。
ゴム状弾性体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン・アクリルゴム、イソプレン・スチレンゴム、イソプレン・アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、シロキサンゴム等が挙げられる。
【0021】
このうち、好ましくは、コア(芯)とシェル(殻)から構成される2層構造を有しており、コア部分は軟質なゴム状態であって、その表面のシェル部分は硬質な樹脂状態であり、弾性体自体は粉末状(粒子状態)のものである。このゴム状弾性体は、ポリカーボネート樹脂と溶融ブレンドした後も、その粒子状態は、大部分がもとの形態を保っている。配合されたゴム状弾性体の大部分がもとの形態を保っていることにより、表層剥離を起こさない効果が得られる。
【0022】
このコアシェルタイプグラフトゴム状弾性体としては、種々なものを挙げることができる。市販のものとしては、例えばハイブレンB621(日本ゼオン社製)、KM−330(ローム&ハース社製)、メタブレンW529、メタブレンS2001、メタブレンC223、メタブレンB621(三菱レイヨン社製)、EXL2602、EXL2603(呉羽化学工業社製)等が挙げられる。
【0023】
これらの中で、例えば、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、ジメチルシロキサンを主体とする単量体から得られるゴム状重合体の存在下に、ビニル系単量体の1種または2種以上を重合させて得られるものが挙げられる。ここで、アルキルアクリレートやアクリルメタクリレートとしては、炭素数2〜10のアルキル基を有するものが好適である。具体的には、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルメタクリレート等が挙げられる。これらのアルキルアクリレート類を主体とする単量体から得られるゴム状弾性体としては、アルキルアクリレート類70質量%以上と、これと共重合可能な他のビニル系単量体、例えばメチルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等30質量%以下とを反応させて得られる重合体が挙げられる。なお、この場合、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性単量体を架橋剤として適宜添加して反応させてもよい。
【0024】
ゴム状重合体の存在下に反応させるビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらの単量体は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいし、また、他のビニル系重合体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物や、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物等と共重合させてもよい。この重合反応は、例えば塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの各種方法によって行うことができる。特に、乳化重合法が好適である。
【0025】
このようにして得られるコアシェルタイプグラフトゴム状弾性体は、前記ゴム状重合体を20質量%以上含有していることが好ましい。このようなコアシェルタイプグラフトゴム状弾性体としては、具体的には60〜80質量%のn−ブチルアクリレートと、スチレン、メタクリル酸メチルとのグラフト共重合体などのMAS樹脂弾性体が挙げられる。中でも、ポリシロキサンゴム成分が5〜95重量%とポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分95〜5質量%とが、分離できないように相互に絡み合った構造を有する、平均粒子径が0.01〜1μm程度の複合ゴムに少なくとも一種のビニル単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体がある。この共重合体は、それぞれのゴム単独でのグラフト共重合体よりも耐衝撃改良効果が高い。この複合ゴム系グラフト共重合体は、市販品としての、三菱レイヨン社製メタブレンS−2001などとして入手できる。
この(E)成分の配合量は(A)成分、(B)成分、(C)成分の和100質量部に対して20質量部以下である。20質量部を超えると、剛性、耐熱性が低下する。好ましくは10質量部以下の範囲である。
なお、勿論(D)成分と(E)成分を併用しても差し支えない。
【0026】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分からなる必須成分に、(D)成分、(E)成分から選ばれた任意成分の一種以上とともに、熱可塑性樹脂に常用されている添加剤成分を必要により添加含有させることができる。例えば、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)等が挙げられる。添加剤成分の配合量は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
【0027】
次に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記の各成分(A)、(B)、(C)を前記割合で、さらに必要に応じて用いられる、(D)、(E)の各種任意成分、さらには他の成分を適当な割合で配合し、混練することにより得られる。このときの配合および混練は、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いる方法で行うことができる。混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。なお、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂と溶融混練、すなわちマスターバッチとして添加することもできる。
【0028】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機、あるいは、得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法などにより各種成形品を製造することができる。しかし、上記溶融混練方法により、ペレット状の成形原料を製造し、ついで、このペレットを用いて、射出成形、射出圧縮成形による射出成形品の製造に特に好適に用いることができる。なお、射出成形方法としては、外観のヒケ防止のため、あるいは軽量化のためのガス注入成形を採用することもできる。
【0029】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる射出成形体(射出圧縮を含む)としては、複写機、ファクス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジなどのOA機器、電気・電子機器、家庭電化機器のハウジウングや各種部品、さらには、内装等の自動車部品、自動車外板など他の分野にも用いられる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、更に詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜6及び比較例1〜5
第1表に示す割合で各成分を配合〔(A)、(B)、(C)成分は質量%、他の成分は、(A)、(B)、(C)成分からなる樹脂100質量部に対する質量部で示す。〕し、押出機(機種名:VS40、田辺プラスチック機械社製)に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化した。なお、すべての実施例及び比較例において、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.2質量部およびアデカスタブC(旭電化工業社製)0.1質量部をそれぞれ配合した。得られたペレットを、120℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(東芝機械社製、型式:IS100N)シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で射出成形して試験片を得た。得られた試験片を用いて性能を各種試験によって評価し、その結果を第1表に示した。
【0031】
なお、用いた材料および性能評価方法を次に示す。
(A)ポリカーボネート
A−1:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、タフロン A1700(出光石油化学社製)、MI=27g/10分(300℃、1.2kg荷重)、粘度平均分子量=17800
(B)シンジオタクチックスチレン系樹脂
B−1:シンジオタクチックポリスチレン、ザレック30ZC(出光石油化学社製)、MI=30g/10分、Tm=271℃
B−2:シンジオタクチックポリスチレン、ザレック210AE(出光石油化学社製)、MI=20g/10分、Tm=238℃
(C)非晶性スチレン系樹脂
C−1:ABS樹脂、AT−05(日本A&L社製、塊状重合品)
C−2:ABS樹脂、DP615(テクノポリマー社製、乳化重合品)
C−3:AS樹脂、290FF(テクノポリマー社製)
(D)無機充填剤
D−1:タルク、TP−25(富士タルク社製)
(E)ゴム状弾性体
E−1:MBS(ゴム状エラストマー)、EXL2603(呉羽化学工業社製)
【0032】
〔性能評価方法〕
(1)SFL(スパイラルフロー長さ):成形温度270℃、金型温度80℃、肉厚2mm,幅10mm、射出圧力8MPa、単位:cm
(2)IZOD(アイゾット衝撃強度):ASTM D256に準拠、23℃(肉厚1/8インチ)、単位:kJ/m2
(3)HDT(熱変形温度):ASTM D648に準拠、肉厚1/8インチ、荷重1.82MPa、単位:℃
(4)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠、23℃(肉厚4mm)、単位:MPa
(5)耐ガソリン性:ガソリン中に5分間、HDT試験片を浸漬、○は変化なし
(6)成形外観:HDT試験片の目視判断、○は問題なし
【0033】
【表1】
Figure 0004050581
【0034】
【表2】
Figure 0004050581
【0035】
第1表より下記のことがわかる。
(a)実施例、比較例より、本発明品は、耐溶剤性、流動性、耐熱性、耐衝撃性に優れており、また無機充填剤のタルクを配合することにより剛性にも優れているものになっていることがわかる。
(b)比較例1において、(B)/(C)(質量比)が0.1より小さいと、耐溶剤性の向上はみられない。また、流動性の向上効果も小さい。
(c)比較例2において、(B)/(C)(質量比)が0.6より大きいと、相溶性が低下し、耐衝撃性が低くなったり、ゲートでは表層剥離が観察されるようになる。
(d)比較例3において、(B)成分がないと、耐溶剤性の向上はみられない。
(e)比較例4において、(C)成分がないと、耐衝撃性が低く、また、ゲートでは表層剥離が発生する。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、耐衝撃性などの機械的性質や耐熱性を維持させつつ、耐溶剤性、流動性及び剛性に優れたポリカーボネート樹脂組成物、該樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体を提供することができる。

Claims (5)

  1. (A)ポリカーボネート40〜96質量%、(B)シンジオタクチックスチレン系樹脂2〜30質量%及び(C)ゴム状重合体の存在下又は不存在下に重合した、スチレンとアクリロニトリル及び/又はメタクリル酸メチルとの共重合体である非晶性スチレン系樹脂2〜58質量%を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、(C)成分に対する(B)成分の含有割合[(B)成分/(C)成分(質量比)]が0.1〜0.6であることを特徴とする自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して、25質量部以下の(D)無機充填剤を配合してなる自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下の(E)ゴム状弾性体を配合してなる自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して、25質量部以下の(D)無機充填剤及び20質量部以下の(E)ゴム状弾性体を配合してなる自動車外板又は自動車部品用ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる自動車外板又は自動車部品
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