以下に、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、マンション等の集合住宅に隣接して設けられた駐車場に充電装置を設置し、その充電装置を用いて車両の充電を行う車両充電システムについて具体化したものである。本充電システムでは、集合住宅の居住者の車両だけでなく非居住者の車両についても充電装置による充電が可能となっている。図1は本実施形態における車両充電システムの概略を示す全体構成図であり、図2は駐車場周辺の構成を示す図である。
図1に示すように、集合住宅10には敷地内に受電設備11が設けられており、受電設備11には、商用電力が送電線12を介して高電圧(例えばAC6000V)で供給される。受電設備11に供給される高電圧の電力は、図示しない変圧器により低電圧(AC100V)に変換された後、電力線13を介して家庭用電力として各世帯の分電盤Lに供給されるとともに、集合住宅10の共用部分で用いられる電力(以下、共用電力という)として共用分電盤14に供給される。
共用分電盤14には、集合住宅10のエントランス照明15や、通路照明、エレベータ(図示略)等、入居者により共用される各種電気設備が接続されている。これにより、共用分電盤14から集合住宅10における各種共用電気設備に共用電力が供給されるようになっている。
共用分電盤14には、さらに電力線17を介して蓄電装置21と充電管理装置22とが接続されている。つまり、電力線17は二方に分岐されており、一方には蓄電装置21が接続され、他方には充電管理装置22が接続されている。この場合、電力線17を介して、共用分電盤14から蓄電装置21及び充電管理装置22に対して共用電力が供給されるようになっている。
蓄電装置21は、共用分電盤14から供給される共用電力を蓄えるものである。蓄電装置21には、例えば電力単価が昼間と比べて低く設定されている夜間の電力が供給され、これにより蓄電装置21が充電されるようになっている。また、集合住宅10の屋上24には、太陽光が照射されることにより太陽光発電を行うソーラパネル25が設けられており、ソーラパネル25により発電された電力は電力線26を介して蓄電装置21に供給され、蓄電装置21が充電されるようになっている。
蓄電装置21と充電管理装置22とは電力線27により接続されており、蓄電装置21に蓄えられている電力(蓄電電力)が必要に応じて充電管理装置22に対して供給されるようになっている。したがって、充電管理装置22には2系統の電力が供給されることとなり、共用分電盤14からは共用電力が供給され、蓄電装置21からはバッテリ蓄電電力が供給される。また、共用電力及びバッテリ蓄電電力はいずれも100Vの電圧で充電管理装置22に供給される。
集合住宅10の敷地内には駐車場28が設けられている。駐車場28は、集合住宅10の各住戸の居住者が所有する自動車40を駐車するための駐車スペース29を複数備えている。各駐車スペース29にはそれぞれ駐車スペース番号が設定されており、その駐車スペース番号が例えば駐車スペース29の路面上に表示されている。また、駐車場28内又は駐車場28の隣接スペースに充電管理装置22が設けられている。但し、充電管理装置22は、集合住宅10内の共用部(例えばエントランス等)等、非居住者もアクセスできる場所であれば他の場所に設けられていてもよい。
図2に示すように、駐車場28には、各駐車スペース29ごとに充電装置31が設けられている。充電管理装置22と複数の充電装置31とは電力線32により接続されており、電力線32を介して充電管理装置22から各充電装置31への電力供給が行われるようになっている。そして、充電管理装置22は、複数の充電装置31のうちいずれにより自動車40への充電を行うかを管理する。
各充電装置31にはそれぞれ充電ケーブル33が設けられている。各充電ケーブル33の先端部には接続プラグ34が設けられており、接続プラグ34を自動車40側に差しこむことにより充電装置31と自動車40とが電気的に接続されるようになっている。また、充電ケーブル33には、自動車40側に差し込まれた接続プラグ34が当該自動車40から外れないようにロックするためのロック装置37が設けられている。ロック装置37は、接続プラグ34が自動車40に差し込まれた状態において自動車40側のコネクタ(図示略)に係合及び係合解除される係合部を有しており、その係合部による係合及び係合解除を電気的な制御により行うものとなっている。ロック装置37の係合部が自動車40のコネクタに係合されると接続プラグ34がロック状態とされ、係合部が自動車40のコネクタに対して係合解除されると接続プラグ34がロック解除状態とされる。なお、ロック装置37の構成は必ずしもかかる構成に限定されず任意としてよい。
各充電装置31には、それぞれ接続検知センサ35が設けられている。接続検知センサ35は、充電装置31と駐車スペース29に駐車された自動車40とが充電ケーブル33を介して電気的に接続されていることを検知する接続検知手段である。
また、各充電装置31はそれぞれ、駐車スペース29に駐車された自動車40の洗浄に用いる洗浄用の水を放出する放水機能を有している。すなわち、本充電装置31は自動車40に対して充電を行う充電機能に加えてかかる放水機能を有しており、充電装置31がいわゆる多機能ポールとして構成されている。
各充電装置31にはそれぞれ洗浄用ホース46が設けられている。洗浄用ホース46の先端部には水を放出するための放水部47が設けられている。各充電装置31にはそれぞれ給水配管49を介して水道水が供給され、その供給された水道水が洗浄用ホース46の放水部47から放出されるようになっている。これにより、放水部47から放出される水によって自動車40を洗浄することが可能となっている。
自動車40は、いわゆるプラグインハイブリッド自動車(PHV)であり、動力源としてのエンジン及び電動発電機(いずれも図示略)等を備えるとともに、高圧二次電池からなる車載バッテリ41を備えている。また、自動車40には、外部から電力を取り込むための電力入力端子42が設けられている。したがって、車載バッテリ41は、車両走行中において電動発電機の回生電力により適宜充電されるととともに、車両停止中において電力入力端子42を介して供給される外部電源からの電力により充電されるようになっている。例えば、駐車スペース29での車両駐車状態で電力入力端子42に充電ケーブル33の接続プラグ34が差しこまれると、充電装置31から充電ケーブル33を介して自動車40に共用電力等が供給され、車載バッテリ41が充電される。
自動車40には、車載バッテリ41の蓄電状態を管理するECU(電子制御ユニット、以下、車載ECUという)43と、外部装置との間で無線通信を行う通信装置44とが設けられている。車載ECU43は、車載バッテリ41の残存容量(SOC)を逐次算出するとともに、その残存容量情報を外部装置からの要求に応じて通信装置44により送信する。
なお、自動車40は動力源として電動機を備える電気自動車(EV)であってもよい。電気自動車はやはりプラグイン方式のものであり、上記のとおり車載バッテリ41、電力入力端子42、車載ECU43及び通信装置44を備える。
次に、車両充電システムの電気的構成について図3に基づいて説明する。図3は車両充電システムの電気的構成を示す図である。
充電管理装置22は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えてなるコントローラ51と、文字入力用キーボードや入力ボタン等からなる操作装置52と、液晶ディスプレイ等からなる表示装置53と、外部装置との間で無線通信を行う通信装置54と、充電料金等の精算を行う料金精算装置55と備えている。コントローラ51には、操作装置52、表示装置53、通信装置54及び料金精算装置55が接続されている。
コントローラ51は、自動車40の充電制御に必要な各種データを記憶するRAM等からなる記憶部56を備えている。記憶部56には、集合住宅10の各居住者を識別する識別情報としての暗証番号が記憶されている。具体的には、各居住者の暗証番号が当該居住者が契約している駐車スペース29の駐車スペース番号と対応付けて記憶されている。また、記憶部56には、各駐車スペース29についての駐車スペース契約情報が記憶されている。駐車スペース契約情報とは、駐車スペース29が集合住宅10の居住者により契約されている契約駐車スペース、又は居住者により契約されていない未契約駐車スペースのうちいずれであるのかを示す情報である。
また、記憶部56には、充電装置31により自動車40の充電を行う際の充電単価に関する充電単価情報が記憶されている。充電単価とは、自動車40の充電時に充電装置31から自動車40に供給される供給電力(充電電力)の単価である。ここで、本車両充電システムでは、充電装置31により充電を行う充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものである場合と、非居住者のものである場合とで充電単価を異ならせており、具体的には充電対象の自動車40が居住者のものである場合よりも非居住者のものである場合の方が充電単価が割高(高価格)に設定されている。
より詳しくは、充電対象の自動車40が非居住者のものである場合においては、当該自動車40が集合住宅10の居住者と関係する関係者(友人、知人など)のものである場合と、集合住宅10の居住者とは無関係な一般者(無関係者に相当)のものである場合とで充電単価を異ならせており、具体的には当該自動車40が関係者のものである場合よりも一般者のものである場合の方が充電単価が割高に設定されている。したがって、本システムでは充電対象の自動車40が居住者のものである場合、関係者のものである場合、一般者のものである場合の順で充電単価が高くなるように設定されている。そして、記憶部56には、それら各場合の充電単価がそれぞれ記憶されている。
また、記憶部56には、自動車40の洗浄を行うべく充電装置31より水を放出する際の水単価に関する水単価情報が記憶されている。水単価についても、上記充電単価と同様に、洗浄対象である自動車40が居住者のものである場合、関係者のものである場合、一般者のものである場合の順で高くなるように設定されている。そして、記憶部56には、それら各場合の水単価がそれぞれ記憶されている。
なお、充電対象の自動車40が関係者のものである場合と、一般者のものである場合とで充電単価を同じに設定してもよい。また、水単価についても、洗浄対象の自動車40が関係者のものである場合と、一般者のものである場合とで同じに設定してもよい。
操作装置52には、充電装置31を利用するユーザによって操作される各種操作ボタンが設けられている。操作ボタンとしては、例えば居住者ボタン、関係者ボタン及び一般者ボタンが設けられている。これら各ボタンのうちいずれかが操作されるとその操作情報がコントローラ51に入力され、コントローラ51はその入力された操作情報に基づいて充電装置31により充電を行う充電対象の自動車40(又は洗浄を行う洗浄対象の自動車40)が集合住宅10の居住者、関係者又は一般者のうちいずれが所有するものなのかを判定する。
また、集合住宅10への居住者の出入り等に伴って居住者による駐車スペース29の契約が新たに行われたり又は解除されたりした場合には、その都度集合住宅10の管理人(管理会社の者)により駐車スペース29の契約情報又は契約解除情報が操作装置52を用いて入力される。これにより、記憶部56に記憶されている駐車スペース契約情報が都度更新される。
通信装置54は、集合住宅10の各住戸に設けられたパソコン等の端末装置18との間で無線通信が可能となっている。集合住宅10の居住者は端末装置18を用いて充電開始等の操作を行うことも可能となっている。端末装置18を使ってユーザ(居住者)により充電開始等の入力操作が行われると、その操作情報がコントローラ51に入力される。また、端末装置18では、各充電装置31の利用状況を同装置18のディスプレイに表示させることもできる。これにより、居住者は住戸内で充電装置31の利用状況を確認することができる。
料金精算装置55は、充電装置31を利用するユーザによって支払われる充電料金等の各種料金を精算する装置である。料金精算装置55は、ユーザにより料金が支払われると、その支払われた料金がいくらであるのかを算出する。そして、その算出した支払料金情報は料金精算装置55からコントローラ51へと入力され、コントローラ51は、その入力された支払料金情報に基づいて所定の料金が支払われた否かを判定する。
充電管理装置22には電力切替装置59が設けられている。電力切替装置59は、充電管理装置22に供給される2系統の電力(すなわち、共用分電盤14からの共用電力と、蓄電装置21からのバッテリ蓄電電力)のうちいずれを車載バッテリ41の充電に用いるかを切り替えるものであり、電力線17を介して共用分電盤14に接続されるとともに、電力線27を介して蓄電装置21に接続されている。つまり、電力切替装置59が切替操作されることにより、共用分電盤14からの共用電力と蓄電装置21からのバッテリ蓄電電力とのうちいずれかが電力線32を介して各充電装置31、ひいては各自動車40の車載バッテリ41に供給される。なお、共用分電盤14からの共用電力と蓄電装置21からのバッテリ蓄電電力との両方が同時に各充電装置31に供給される構成とすることも可能である。
コントローラ51は各充電装置31に電気的に接続されている。コントローラ51には、各充電装置31に設けられた接続検知センサ35から検知結果が入力される。コントローラ51は、接続検知センサ35の検知結果等に基づき各充電装置31に設けられたロック装置37の動作制御を実施する。
各充電装置31にはそれぞれ切替装置60が設けられている。各切替装置60にはそれぞれ電力線32から分岐された分岐電力線61が接続されており、その分岐電力線61及び電力線32を介して共用分電盤14からの共用電力又は蓄電装置21からのバッテリ蓄電電力が切替装置60に供給されるようになっている。
切替装置60には2つの電力線62,63が接続されている。それら各電力線62,63はいずれも電力線66を介して充電ケーブル33の接続プラグ34と接続されており、そのうち第2電力線63には昇圧回路65が設けられている。昇圧回路65は、同回路65に供給される100Vの電力を200Vに昇圧するものである。
切替装置60は、3位置切替式の切替スイッチを有しており、分岐電力線61と第1電力線62とが接続される第1位置と、分岐電力線61と第2電力線63とが接続される第2位置と、電力線間の接続が断たれる給電OFF位置との3位置に切替可能となっている。切替装置60が第1位置に切り替えられると、共用分電盤14からの共用電力又は蓄電装置21からの蓄電電力が電力線61,62を介して充電ケーブル33の接続プラグ34に供給される。この場合、接続プラグ34に対して100Vの電圧で電力が供給される。したがって、接続プラグ34が自動車40に接続された状態では車載バッテリ41に100Vの電圧で電力が供給され同バッテリ41の充電が行われる。以下、この場合の充電を通常充電という。
また、切替装置60が第2位置に切り替えられると、共用分電盤14からの共用電力又は蓄電装置21からの蓄電電力が電力線61,63を介して充電ケーブル33の接続プラグ34に供給される。この場合、共用電力又は蓄電電力は昇圧回路65を経由して接続プラグ34に供給される。したがって、共用電力又は蓄電電力は昇圧回路65において100Vから200Vに昇圧され、その200Vに昇圧された電力が接続プラグ34に供給される。よって、接続プラグ34が自動車40に接続された状態では、車載バッテリ41に200Vの電圧で電力が供給され同バッテリ41の充電が行われる。この場合、通常充電の場合と比べて、車載バッテリ41の充電時間が短縮化される。以下、この場合の充電を急速充電という。
また、切替装置60が給電OFF位置に切り替えられると、共用分電盤14からの共用電力又は蓄電装置21からの蓄電電力が接続プラグ34へ供給されるのが禁止される。すなわち、接続プラグ34が自動車40に接続された状態において車載バッテリ41に対する給電が停止される。
そしてコントローラ51は、充電装置31による自動車40の充電を行うに際し、車両判定処理の結果等に基づいて切替装置60を切替操作する。これにより、車載バッテリ41の充電が通常充電及び急速充電のいずれかで行われる。
また、各充電装置31にはそれぞれ同装置31から自動車40に供給される電力の量を検知する電力センサ58が設けられている。電力センサ58は、例えば分岐電力線61の途中に設けられている。電力センサ58により検知された電力の量は逐次コントローラ51へ入力される。
車載バッテリ41の充電実行時において、コントローラ51は、車載バッテリ41の残存容量(SOC)をモニタしつつ、充電装置31による充電(車載バッテリ41への給電)を実行する。より具体的には、コントローラ51は、車載バッテリ41の充電実行時において、通信装置54により車載ECU43に対して所定の周期でリクエスト信号を送信し、車載ECU43はそのリクエスト信号の応答として車載バッテリ41の残存容量情報を送信する。そして、コントローラ51は、車載ECU43から送信される残存容量情報を受信し、車載バッテリ41の残存容量を取得する。
各充電装置31にはそれぞれ給水配管49から分岐された分岐配管67が延びている。分岐配管67の先端側は上述した洗浄用ホース46となっている。分岐配管67の途中には開閉バルブ68と水量センサ69とが設けられている。開閉バルブ68は、分岐配管67を開閉することにより当該配管67における水の流通を許可又は禁止するものである。開閉バルブ68が開状態とされると給水配管49から分岐配管67(洗浄用ホース46)に水道水が供給され、その水道水が放水部47より放出される。水量センサ69は、分岐配管67を流れる水の量すなわち放水部47より放出される水の量を検知するセンサである。水量センサ69により検出された水の量は逐次コントローラ51へと入力される。
さらに、コントローラ51は、インターネット71を介して、集合住宅10を管理する管理会社の管理コンピュータ72に接続されている。コントローラ51は、自動車40の充電が終了した後、自動車40に供給された給電量に基づいて充電料金を算出し、その算出された充電料金の情報を管理会社の管理コンピュータ72に送信する。また、コントローラ51は、自動車40への放水が終了した後、その放水量に基づいて水使用料金を算出し、その算出された水使用料金の情報を管理コンピュータ72に送信する。
次に、充電管理装置22のコントローラ51によって実行される制御処理について説明する。ここでは、充電装置31により自動車40の車載バッテリ41を充電する場合における充電制御処理と、充電装置31により自動車40を洗浄するための水を放出する場合における放水制御処理とについて説明する。
まず充電制御処理について図4に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理は、ユーザにより操作装置52の充電開始ボタンが操作されたことをトリガとして開始される。
図4に示すように、まずステップS11では車両判定処理を実行する。この車両判定処理では、充電装置31により充電を行う充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものであるか否かを判定する。ここで、車両判定処理について図5のフローチャートに基づいて説明する。
図5に示すように、まずステップS31では、ユーザにより操作装置52の居住者ボタンが操作されたか否かを判定する。居住者ボタンが操作された場合にはステップS33に進み、表示装置53に暗証番号の入力画面を表示する。これにより、ユーザは操作装置52を用いて暗証番号の入力が可能となる。その後、ステップS34に進む。
ステップS34では、ユーザにより入力された暗証番号が予め記憶部56に記憶されている暗証番号と一致しているか否かを判定する。入力された暗証番号が記憶部56に記憶されている暗証番号と一致している場合には、充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものであると判定する(ステップS35)。一方、入力された暗証番号が記憶部56に記憶されている暗証番号と一致していない場合には本処理を終了する。
先のステップS31において、ユーザにより居住者ボタンが操作されていない場合にはステップS32に進み、ユーザにより関係者ボタンが操作されたか否かを判定する。関係者ボタンが操作された場合にはステップS37に進み、表示装置53に暗証番号の入力画面を表示する。ここで入力の求められる暗証番号は、ユーザ(関係者)と関係する集合住宅10の居住者の暗証番号である。したがって、暗証番号の入力は、例えばユーザ(関係者)に代わって当該居住者によって行われる。
次のステップS38では、入力された暗証番号が予め記憶部56に記憶されている暗証番号と一致しているか否かを判定する。入力された暗証番号が記憶部56に記憶されている暗証番号と一致している場合には、充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者の関係者のものであると判定する(ステップS39)。一方、入力された暗証番号が記憶部56に記憶されている暗証番号と一致していない場合には本処理を終了する。
先のステップS32において、ユーザにより関係者ボタンが操作されていない場合にはステップS36に進み、ユーザにより一般者ボタンが操作された否かを判定する。ユーザにより一般者ボタンが操作された場合には、充電対象の自動車40が一般者のものであると判定する(ステップS40)。一方、ユーザにより一般者ボタンが操作されていない場合には、ステップS31に戻る。
このようにして、車両判定処理では、充電対象である自動車40が集合住宅10の居住者、関係者又は一般者のうちいずれのものであるかを判定するものとなっている。
図4の説明に戻って、車両判定処理(ステップS11)の後のステップS12では、各充電装置31の電力センサ58からの検知結果に基づいて、今現在充電装置31による自動車40の充電を行うべく、各充電装置31よりそれぞれ自動車40に供給している供給電力の総量K(W)を算出する。
続くステップS13では、ステップS11における車両判定処理の結果に基づいて、充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものであるか否かを判定する。充電対象の自動車40が居住者のものである場合にはステップS14に進み、今現在充電対象の自動車40に対する通常充電が可能であるか否かを判定する。この場合、具体的にはステップS12で算出した供給電力の総量Kと所定のしきい値αとに基づいてしきい値αから総量Kを差し引いた値(α−K)を算出し、その算出した値が通常充電に必要な電力よりも大きいか否かを判定する。なおここで、しきい値αとは共用分電盤14から各充電装置31に同時供給可能な共用電力の最大値であり、電力契約によって予め決められている。通常充電が可能である場合にはステップS15に進み、充電装置31が利用可能である旨を表示装置53に表示する。これにより、ユーザである集合住宅10の居住者は自らの駐車スペース29に移動して自動車40に充電ケーブル33を接続する等の準備作業に移行することができる。その後、ステップS16に進み、居住者車両充電処理を実行する。
ここで、図6に示すフローチャートに基づいて居住者車両充電処理について説明する。
図6に示すように、まずステップS41では、接続検知センサ35の検知結果に基づいて、充電対象の自動車40に充電ケーブル33が接続されているか否かを判定する。充電対象の自動車40に充電ケーブル33が接続されていれば後続のステップS42に進み、接続されていなければそのまま待機する。
ステップS42では、充電ケーブル33の接続プラグ34をロック装置37によりロックする。これにより、自動車40への充電中において自動車40から充電ケーブル33が取り外されて電力が盗難される等の不都合な事態が生じるのを回避することができる。
ステップS43では、自動車40の車載バッテリ41に対する通常充電を実行する。このとき、充電装置31より100Vの電力が車載バッテリ41に供給されるように切替装置60を第1位置に切替操作する。
ステップS44では、車載ECU43から送信される車載バッテリ41の残存容量情報に基づいて、車載バッテリ41が満充電になったか否かを判定する。車載バッテリ41が満充電になっていればステップS45に進み、切替装置60を給電OFF位置に切替操作する。これにより、充電装置31から車載バッテリ41への電力供給が停止され、車載バッテリ41の充電が終了する。また、車載バッテリ41が満充電になっていなければステップS43に戻り、充電装置31による車載バッテリ41の充電を継続する。
なお、車載バッテリ41が満充電になった場合に同バッテリ41の充電を終了することに代えて、充電開始ボタンの操作時(本制御処理の開始時)に操作装置52により希望の充電量を入力できるようにし、その入力した充電量分の電力が車載バッテリ41に供給された場合に同バッテリ41の充電を終了するようにしてもよい。
ステップS46では、電力センサ58の検知結果に基づいて今回の充電で車載バッテリ41に供給された供給電力量すなわち充電量を算出し、ステップS47では、記憶部56より居住者用充電単価を読み出す。
ステップS48では、ステップS46で算出した充電量と、ステップS47で読み出した居住者用充電単価とに基づいて充電料金(給電料金)を算出する。ステップS49では、その算出した充電料金の情報をインターネット71を介して管理会社の管理コンピュータ72に送信する。これにより、管理会社側ではユーザである居住者の充電料金を確認することができ、後日管理会社側から当該居住者に対して家賃等とともに充電料金が一括請求される。
ステップ50では、ロック装置37による充電ケーブル33(接続プラグ34)のロックを解除する。これにより、ユーザは自動車40から充電ケーブル33を取り外すことができる。その後、本処理を終了する。以上が、居住者車両充電処理の説明である。
図4の説明に戻って、先のステップS13において、充電対象の自動車40が居住者のものでない場合、すなわち関係者又は一般者のいずれかのものである場合にはステップS21に進む。ステップS21では、今現在、充電対象の自動車40に対して急速充電を行うことが可能であるか否かを判定する。具体的には、ステップS12で算出した供給電力の総量Kと所定のしきい値αとに基づいてしきい値αから総量Kを差し引いた値(α−K)を算出し、その算出した値が急速充電に必要な電力よりも大きいか否かを判定する。今現在急速充電を行うことができない場合にはステップS17に進み、表示装置53に対して充電装置31の利用が不可である旨の表示を行う。一方、急速充電が可能である場合にはステップS22に進む。
ステップS22では、未契約駐車スペース判定処理を実行する。この処理では、記憶部56に記憶されている各駐車スペース29の駐車スペース契約情報に基づいて、各駐車スペース29のうちいずれの駐車スペース29が集合住宅10の居住者により契約されていない未契約駐車スペースとなっているかを判定する。
ステップS23では、今現在、ステップS22において未契約駐車スペースと判定された駐車スペース29(以下、未契約駐車スペース29Aという)に充電対象の自動車40を駐車することが可能であるか否かを判定する。より詳しくは、未契約駐車スペース29Aが複数ある場合にはそれら複数の未契約駐車スペース29Aのうち少なくともいずれかに充電対象の自動車40を駐車することが可能であるか否かを判定する。
また換言すると、本ステップS23では、今現在未契約駐車スペース29Aに他の自動車40が駐車中であるか否かの判定を行う。この判定は、未契約駐車スペース29Aの充電装置31に設けられた接続検知センサ35からの検知結果に基づいて行う。今現在、未契約駐車スペース29Aに充電対象の自動車40を駐車することができない場合にはステップS17に進み、表示装置53に充電装置31の利用が不可である旨の表示を行う。一方、未契約駐車スペース29Aに充電対象の自動車40を駐車することが可能である場合にはステップS24に進む。
なお、ステップS22の判定処理において、未契約駐車スペース29Aが存在しないと判定された場合すなわち各駐車スペース29のいずれも集合住宅10の居住者により契約された契約駐車スペースとなっている場合にも、ステップS23にて否定判定を行った後、ステップS17に進む。
ステップS24では、駐車可能な未契約駐車スペース29Aの駐車スペース番号を表示装置53に表示する。これにより、ユーザである非居住者は表示された駐車スペース番号の駐車スペース29(未契約駐車スペース29A)に自動車40を駐車させ、同スペース29Aの充電装置31の充電ケーブル33を自動車40に接続する準備作業を行うことができる。その後ステップS25に進み、非居住者車両充電処理を実行する。
ここで図7に示すフローチャートに基づいて非居住者車両充電処理について説明する。
図7に示すように、まずステップS61では、接続検知センサ35の検知結果に基づいて、充電対象の自動車40に充電ケーブル33が接続されているか否かを判定する。充電対象の自動車40に充電ケーブル33が接続されていれば後続のステップS62に進み、接続されていなければそのまま待機する。
ステップS63では、自動車40の車載バッテリ41に対して急速充電を実行する。このとき、充電装置31より200Vの電力が車載バッテリ41に供給されるように切替装置60を第2位置に切替操作する。
ステップS64では、タイマによる計時を開始する。この場合、タイマによる計時が車載バッテリ41への充電開始直後(換言すると充電ケーブル33の自動車40への接続時)から開始されることとなる。なお、タイマは、例えばコントローラ51に内蔵されている。
ステップS65では、車載ECU43から送信される車載バッテリ41の残存容量情報に基づいて、車載バッテリ41が満充電になったか否かを判定する。車載バッテリ41が満充電になっていればステップS66に進み、切替装置60を給電OFF位置に切替操作することで車載バッテリ41の充電を終了する。また、車載バッテリ41が満充電になっていなければステップS65に戻り、車載バッテリ41の充電(急速充電)を継続する。
ステップS67では、電力センサ58の検知結果に基づいて今回の充電で車載バッテリ41に供給された供給電力量すなわち充電量を算出し、次のステップS68ではステップS11の車両判定処理の判定結果に基づいて、充電を行った自動車40が関係者のものであるか否かを判定する。自動車40が関係者のものである場合にはステップS69に進んで記憶部56より関係者用充電単価を読み出し、次のステップS70にてステップS67で算出した充電量と、ステップS69で読み出した関係者用充電単価とに基づいて充電料金(給電料金)を算出する。
また、先のステップS68において充電を行った自動車40が一般者のものであると判定された場合にはステップS71に進んで、記憶部56より一般者用充電単価を読み出し、次のステップS72においてステップS67で算出した充電量と、ステップS71で読み出した一般者用充電単価とに基づいて充電料金(給電料金)を算出する。
ステップS70又はステップS72の後のステップS73では、ステップS64でタイマによる計時を開始してから経過した経過時間に基づいて、充電対象の自動車40が駐車スペース29に駐車している駐車時間を算出(測定)する。すなわち、充電対象の自動車40が充電装置31による充電が開始されてからどれだけの時間駐車スペース29に駐車しているのかを算出する。次のステップS74では、その算出した駐車時間に基づいて自動車40の駐車料金を算出する。
ステップS75では、ステップS70で算出した充電料金と、ステップS74で算出した駐車料金とを合わせた合計料金を算出し、その算出した合計料金を表示装置53に表示する。これにより、ユーザはその表示された合計料金を料金精算装置55に支払うことができる。なお、ステップS69〜S75における一連の処理は課金処理に相当する。
ステップS76では、料金精算装置55からの支払料金情報に基づいて、ユーザにより表示装置53に表示された所定の料金が支払われたか否かを判定する。所定の料金が支払われた場合にはステップS77に進み、ロック装置37による充電ケーブル33のロックを解除する。これにより、ユーザである非居住者(関係者又は一般者)は充電ケーブル33を自動車40から取り外し、自動車40を駐車スペース29の外に移動させることができる。その後、本処理を終了する。また、所定の料金が支払われていない場合にはステップS73に戻り、所定の料金が支払われるまでステップS73〜S76の処理を繰り返す。
次に、放水制御処理について図8に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理は、ユーザにより操作装置52の洗車開始ボタンが操作されたことをトリガとしてコントローラ51により実行される。また、ここでは、ユーザによる洗車開始ボタンの操作時に、ユーザにより操作装置52を用いて希望の放水量(充電装置31より放出する水の量)が入力されるものとなっている。
図8に示すように、まずステップS81において車両判定処理を実行する。この処理は、上述した図5におけるステップS11の車両判定処理(すなわち図6の処理)と同様の処理であるため、ここではその説明を割愛する。この車両判定処理により、洗車対象の自動車40が集合住宅10の居住者、関係者又は一般者のうちいずれのものであるかが判定される。
ステップS82では、ステップS81の車両判定処理の結果に基づいて、洗車対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものであるか否かを判定する。洗車対象の自動車40が居住者のものである場合にはステップS83に進み、放水処理を実行する。この処理では、開閉バルブ68を開動作させて洗浄用ホース46の放水部47より水を放出させる。これにより、放出された水により自動車40を洗浄(洗車)することが可能となる。
ステップS84では、放水処理を終了する。この場合、開閉バルブ68を閉動作させて放水部47からの水の放出を停止する。具体的には、水量センサ69の測定結果に基づいて、本処理の開始時にユーザにより入力された(希望の)放水量の水が放出されたと判定された場合に放水処理を終了する。なお、ユーザによる洗車開始ボタンの操作時に放水量に代えて又は加えて放水時間を入力できるようにし、放水処理が開始してからその入力した放水時間が経過した場合に放水処理を終了させるようにしてもよい。
ステップS85では、記憶部56より居住者用水単価を読み出し、次のステップS86ではその読み出した居住者用水単価と、放水処理により放出された水の量(放水量)とに基づいて水使用料金を算出する。
ステップS87では、その算出した水使用料金の情報をインターネット71を介して管理会社の管理コンピュータ72に送信する。これにより、管理会社側ではユーザである居住者の水使用料金を確認することができ、後日管理会社側から当該居住者に対して家賃等とともに水使用料金が一括請求される。その後、本処理を終了する。
先のステップS82において、洗車対象の自動車40が集合住宅10の居住者ではない非居住者のものであると判定された場合には、ステップS88に進み、未契約駐車スペース判定処理を実行する。この処理は上述したステップS22と同様の処理であるため、ここではその説明を割愛する。
ステップS89では、今現在、ステップS88において未契約駐車スペースと判定された駐車スペース29Aに洗車対象の自動車40を駐車することが可能であるか否かを判定する。なおこの処理は、上述したステップS23と同様の処理であるため、ここではその説明を割愛する。未契約駐車スペース29Aに洗車対象の自動車40を駐車することができない場合にはステップS90に進んで、洗車をすることが不可である旨を表示装置53に表示する。その後、本処理を終了する。また、未契約駐車スペース29Aに洗車対象の自動車40を駐車することが可能である場合にはステップS91に進む。
ステップS91では、洗車対象の自動車40が関係者のものであるか否かを判定する。当該自動車40が関係者のものである場合にはステップS92に進み、記憶部56より関係者用水単価を読み出す。そして次のステップS93において、読み出した関係者用水単価と、本処理の開始時にユーザにより入力された(希望の)放水量とに基づいて水使用料金を算出し、その算出した水使用料金を表示装置53に表示する。これにより、ユーザである関係者は水使用料金を料金精算装置55に支払うことが可能となる。
一方、ステップS91において洗浄対象の自動車40が一般者のものである場合にはステップS94に進み、記憶部56より一般者用水単価を読み出す。次のステップS95では、その読み出した一般者用水単価と、本処理の開始時にユーザにより入力された(希望の)放水量とに基づいて水使用料金を算出し、その算出した水使用料金を表示装置53に表示する。これにより、ユーザである一般者は水使用料金を料金精算装置55に支払うことが可能となる。
ステップS93又はステップS95の後のステップS96では、料金精算装置55からの支払料金情報に基づいて、ユーザである関係者又は一般者により所定の水使用料金が支払われたか否かを判定する。所定の水使用料金が支払われた場合にはステップS97に進み、放水処理を実行する。これにより、洗浄用ホース46の放水部47より水が放出され、自動車40の洗車が可能となる。
ステップS98では、ユーザによる希望の放水量の水が放出された後、放水処理を終了する。これにより、放水部47からの水の放出が停止される。その後、本処理を終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
充電装置31により充電を行う充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものであるか又は非居住者のものであるかを判定し、その判定結果に基づいて当該自動車40に対する充電装置31による充電条件(充電単価、充電速度)を設定するようにした。これにより、充電対象の自動車40が居住者のものである場合には充電料金(詳しくは充電単価)を割安(低価格)に設定し居住者の経済的負担を少なくしたり、充電対象の自動車40が非居住者のものである場合には充電料金(詳しくは充電単価)を割高(低価格)に設定して収益の向上を図ったりする等、充電対象の自動車40が居住者のものか又は非居住者のものかに応じて好適に充電を行うことが可能となる。
充電装置31について、単位時間当たりの給電量が大小異なる複数の電力、詳しくは電圧値の大小異なる複数の電力を自動車40に供給可能に構成するとともに、それら複数の電力のうちいずれの電力を自動車40へ供給するかを切り替える切替装置60を備えて構成した。そして、車両判定処理(ステップS11)の判定結果に基づいて切替装置60による切替を実施し、充電対象の自動車40に供給する電力を上記複数の電力のうちいずれかに設定するようにした。具体的には、充電対象の自動車40が非居住者のものである場合には200V電圧の電力(単位時間当たりの給電量が大きい電力に相当)を自動車40へ供給し、充電対象の自動車40が居住者のものである場合には100V電圧の電力(単位時間当たりの給電量が小さい電力)を自動車40へ供給するようにした。この場合、非居住者の自動車40の充電に際しては充電時間の短縮化を図ることができるため、非居住者による充電装置31の利用促進を図ることができ、その結果収益の向上を図ることができる。一方、居住者の自動車40の充電に際しては比較的長時間を要することとなるが、居住者が自動車40を充電するのは夜間等長時間自動車40を使用しない時間帯であると想定されるため大きな不都合はない。
また、共通の電源装置(共用分電盤14、蓄電装置21)より供給される電力によって各充電装置31による自動車40の充電を行う構成では、電源装置の給電能力の関係等から同装置から各充電装置31に同時期に供給できる電力の量(総量)に限りがあり、ひいては各充電装置31から自動車40に対して同時期に供給できる電力の量(総量)に限りがある。つまり、同時期に利用できる充電装置31の数に制約がある。この点、居住者の自動車40への充電に際しては、100V電圧の電力を供給するようにしたため、同時期に利用できる充電装置31の数の制約を小さくすることができる。その結果、居住者の自動車40に対する充電の利用機会を確保し易くすることができる。
充電対象の自動車40が非居住者のものであると判定された場合には、複数の駐車スペース29のうちいずれが居住者により契約されていない未契約駐車スペース29Aであるかを判定するようにしたため、その未契約駐車スペース29Aすなわち未利用駐車スペースを非居住者の充電スペースとして割り当てることが可能となる。これは、非居住者に対して充電装置31の利用を開放する上で実用上好ましい構成といえる。特に、居住者の出入りが多い賃貸式の集合住宅では、未利用駐車スペースの入れ替わりも多いと考えられるため、かかる構成を採用する意義は大きい。
充電装置31による充電に際し、駐車スペース29に駐車する自動車40の駐車時間を測定するようにした。そして、充電対象の自動車40が非居住者のものであると判定された場合には、充電装置31による自動車40への充電が行われた後、その充電量に基づき充電料金を算出するとともに、測定した当該自動車40の駐車時間に基づき駐車料金を算出し、それら算出した充電料金と駐車料金とを合わせて課金するようにした。この場合、自動車40の充電が終了した後も引き続き自動車40が駐車スペース29に駐車されている場合には、充電後の駐車時間分だけ駐車料金が上乗せされて課金される。したがって、非居住者に対して充電終了後自動車40を速やかに駐車スペース29から退避させることを促すことができ、その結果非居住者の自動車40が充電終了後も駐車スペース29に駐車されたまま放置されてしまうのを抑制することができる。これにより、非居住者による充電装置31の利用頻度を高めることができ、収益向上を図ることができる。
充電対象の自動車40が非居住者のうち居住者と関係する関係者(例えば居住者の友人や知人)のものであるか、又は居住者と関係しない一般者のものであるかを判定し、充電対象の自動車40が関係者のものである場合には一般者のものである場合よりも充電単価を割安(低価格)に設定した。これにより、居住者の関係者に対しては比較的低価格な充電料金で自動車40の充電を行わせることができ、経済的負担を軽減させることができる。
充電装置31に水を放出する放水機能を付与したため、同装置31より放出された水により駐車スペース29に駐車された自動車40を洗浄することができる。また、洗浄対象の自動車40が居住者のものか又は非居住者のものかを判定し、その判定結果に応じて充電装置31より放出される水の単価を設定するようにしたため、洗浄対象の自動車40が居住者のものである場合には水単価を割安に設定して居住者の経済的負担を軽減させたり、洗浄対象の自動車40が非居住者のものである場合には水単価を割高に設定して収益向上を図ったりすることができる。
充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものであると判定するにあたっては、ユーザによる操作装置52の入力操作に基づきユーザの暗証番号を取得するとともに、その取得した暗証番号(識別情報)が予め登録された暗証番号と一致するか否かの認証を行い、認証がなされたことを条件として当該自動車40が居住者のものであると判定するようにした。これにより、集合住宅10の居住者ではない非居住者により居住者用の割安料金で自動車40の充電が行われたり自動車40への放水が行われたりする不正な行為を防止することができる。
また、充電対象の自動車40が関係者のものであると判定するにあたっては、上記判定と同様、ユーザから取得した暗証番号(識別情報)が予め登録された暗証番号と一致したこと(認証がなされたこと)を条件として充電対象の自動車40が関係者のものであると判定するようにした。これにより、一般者により関係者用の割安料金で自動車40の充電が行われたり自動車40への放水が行われたりする不正な行為を防止することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)車両判定処理(ステップS11)による判定結果に基づいて、充電対象の自動車40に対する充電装置31による充電量(充電条件に相当)を設定するようにしてもよい。例えば、充電対象の自動車40が非居住者のものであると判定された場合には、居住者のものであると判定された場合よりも充電量(換言すると自動車40への給電量)を低く設定するようにすることが考えられる。ここで共通の電源装置(共用分電盤14、蓄電装置21)より各充電装置31に電力が供給される構成では、電源装置の給電能力等の関係から同装置から各充電装置31に供給できる電力の量に制限がある。このため、各充電装置31から自動車40に供給できる電力の量にも同じく制限がある。この点上記の構成とすれば、各充電装置31より非居住者の自動車40に供給される電力の量(充電量)が過度に増えてしまうのを抑制することができるため、結果として居住者の自動車40に供給する電力を確保し易くすることができる。これにより、居住者による充電装置31の利用機会を好適に確保することができる。
(2)上記実施形態では、駐車場28に設けられた各駐車スペース29ごとにそれぞれ充電装置31を設けたが、各駐車スペース29のうち一部にのみ充電装置31を設けてもよい。また、複数の駐車スペース29で1つの充電装置31を共用する構成であってもよい。
また、各駐車スペース29のうち一部の駐車スペースを共用駐車スペースとして設定し、その共用駐車スペースに充電装置31を設置するようにしてもよい。この場合、集合住宅10の居住者も非居住者もその共用駐車スペースに自動車40を駐車して充電装置31による自動車40の充電を行うこととなる。
(3)上記実施形態では、充電対象の自動車40が非居住者のものである場合には、未契約駐車スペース29Aの充電装置31により当該自動車40の充電を行うようにしたが、これを変更して、集合住宅10の居住者により契約されている契約駐車スペースの充電装置31により充電を行うようにしてもよい。契約駐車スペースにおいても当該駐車スペースに居住者の自動車40が駐車されていない場合には空きスペースとなるため、その駐車スペース29を利用して充電装置31による自動車40の充電を行うことができる。
(4)例えば、充電対象の自動車40が充電を終了してからの駐車時間を測定し、その駐車時間に基づいて駐車料金を算出するようにしてもよい。すなわち、充電中における自動車40の駐車(時間)については課金の対象としないようにしてもよい。その場合でも、ユーザである非居住者に対して充電終了後自動車40を速やかに駐車スペース29から退避させることを促すことができる。
また、駐車料金は、自動車40の駐車時間と、単位時間当たりの駐車料金単価とに基づいて算出されることが考えられる。この場合、充電装置31により自動車40に充電を行っている充電中の時間帯(充電実行時間帯)と、充電装置31による自動車40の充電が終了した後の時間帯(充電後時間帯)とで、駐車料金単価を異ならせてもよい。具体的には、充電実行時間帯よりも充電後時間帯の方が駐車料金単価が割高となるように設定することが考えられる。この場合にも、ユーザである非居住者に対して充電終了後自動車40を速やかに駐車スペース29から退避させることを促すことができる。
なお、充電料金のみ課金するようにして駐車料金については課金しないようにしてもよい。
(5)非居住者車両充電処理においてステップS71における充電料金の算出の際に、充電対象の自動車40が充電装置31による充電が終了してから所定時間(例えば30分)が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないと判定した場合には、充電料金を割り引いて算出するようにしてもよい。この場合にも、非居住者に対して充電終了後自動車40を速やかに駐車スペース29から退避させることを促すことができる。
(6)共用分電盤14から供給される共用電力によって充電装置31による自動車40の充電を行う場合と、蓄電装置21から供給される蓄電電力によって自動車40の充電を行う場合とで電力単価を異ならせてもよい。この場合、電力単価の異なる複数の電力のうちいずれかにより充電装置31による自動車40の充電が可能となる。具体的には、共用電力により自動車40の充電を行う場合よりも蓄電電力により自動車40の充電を行う場合の方が電力単価が低く設定されるようにすることが考えられる。そして、この場合、車両判定処理(ステップS11)により充電対象の自動車40が集合住宅10の居住者のものであると判定された場合には、共用分電盤14からの共用電力(高価格電力)よりも蓄電装置21の蓄電電力(低価格電力)の方を優先的に当該自動車40に充電を行う充電装置31へ供給するようにしてもよい。そうすれば、集合住宅10の居住者の経済的負担を軽減させることができる。
(7)ユーザによる操作装置52の入力に基づいて通常充電及び急速充電のうちいずれの充電態様で自動車40の充電を行うかを設定できるようにしてもよい。そうすれば、居住者が自動車40で外出する用事がある場合等に自動車40の充電を速やかに済ませることができる。
(8)ユーザによる操作装置52の操作に基づいて充電装置31の利用予約をする予約手段を設け、その予約手段により予約された充電装置31の利用日時に充電装置31による自動車40の充電処理を実行するようにしてもよい。また、この場合、予約手段により予約された各ユーザの予約状況に基づいて、予約の混み具合を判定し、所定以上の混み具合であると判定された場合には表示装置53に急速充電をおすすめする旨の表示(案内表示)を行うようにしてもよい。そうすれば、充電装置31による自動車40の充電を操作装置52の入力操作に基づいて通常充電にするか急速充電にするかを切り替えできる構成(上記(7)の構成)において、居住者に急速充電での充電を勧めることができる。これにより、充電予約の混雑緩和に寄与することができる。
(9)充電装置31に100V用のコンセントを設けてもよい。例えば充電装置31の電力線61を分岐電力線を介してコンセントに接続し、分岐電力線を介してコンセントに100V電圧の電力を供給することが考えられる。この場合、コンセントに掃除機を接続しその掃除機により駐車スペース29に駐車した自動車40の車内清掃を行ったりすることができる。
(10)例えば操作装置52(又は充電管理装置22)にスマートキーやICカードを検知する検知センサを設け、同センサによる検知に基づいて充電装置31の利用受付を開始したり、あるいは充電管理装置22にクレジットカードの差し込み口を設け、その差し込み口にクレジットカードが差し込まれたことに基づき充電装置31の利用受付を開始したりしてもよい。またこの場合、例えば操作装置52をタッチパネルディスプレイを有して構成し、充電装置31の利用受付が開始されると、ディスプレイに通常充電キー、急速充電キー、洗車キーが表示されるようにしてもよい。そして、それら各キーのうちいずれかのキーが操作されると、その操作に応じた処理が実行されるようにしてもよい。例えば、通常充電キーが操作されると、充電装置31による自動車40への通常充電処理(ステップS43)が実行されたり、洗車キーが操作されると充電装置31による自動車40への放水処理(ステップS83)が実行されたりすることが考えられる。
(11)操作装置52により希望の充電料金を入力できるようにし、その充電料金分の電力を充電装置31により自動車40(車載バッテリ41)に供給するようにしてもよい。具体的には、車両判定処理(ステップS11)により判定された充電対象の自動車40の所有者の種別(すなわち、居住者、関係者又は一般者)に基づいて、その種別に対応する充電単価を記憶部56より読み出し、その読み出した充電単価と入力された充電料金とに基づいて充電量(給電量)を算出して、その算出した充電量分の電力を自動車40に供給することが考えられる。
(12)上記実施形態では、ユーザにより入力された暗証番号が予め記憶部56に記憶されている暗証番号と一致しているか否かを判定する認証処理を行い、その認証の結果一致していると判定された場合に当該ユーザが集合住宅10の居住者であると判定するようにしたが(ステップS34,S35)、かかる認証処理を行わないですなわち居住者ボタンが操作されたことのみに基づいて、当該ユーザが集合住宅10の居住者であると判定するようにしてもよい。
但し、かかる構成とすると、集合住宅10の居住者以外の者が居住者を偽り、勝手に居住者ボタンを操作して充電装置31による自動車40の充電を行うおそれがある。すなわち、居住者用の割安な充電単価で自動車40の充電を行う不正行為が懸念される。そこで、この対策として、例えば集合住宅10の居住者が充電装置31を利用しない間は当該充電装置31による利用を禁止するセキュリティ設定を行えるようにすることが考えられる。そうすれば、充電装置31を不正に使用される事態を回避することができる。
また、この場合、充電装置31による充電機能と放水機能とのうちいずれか一方の機能だけを利用不可としたり、又は両方の機能を利用不可としたりする等、選択的にセキュリティ設定を行えるようにしてもよい。さらに、かかるセキュリティ設定を居住者の所有する端末装置18から行えるようにしてもよい。
(13)上記実施形態では、集合住宅10の居住者による操作装置52に対する暗証番号の入力に基づいて、コントローラ51が居住者の暗証番号(識別情報に相当)を取得するようにしたが、識別情報を取得する取得手段の構成は必ずしもこれに限定されない。例えば集合住宅10の居住者が携帯するスマートキーから送信される識別情報を通信装置54を介してコントローラ51により受信することで、同コントローラ51が識別情報を取得するようにしてもよい。
(14)コントローラ51が、充電対象の自動車40が非居住者のものであると判定した場合には、当該自動車40の充電完了時に、ユーザである非居住者が携帯する携帯型通信デバイスに充電完了の通知を送信するようにしてもよい。これにより、ユーザである非居住者に自動車40の充電が完了したことを知らせることができるため、当該自動車40を速やかに駐車スペース29から退避することを促すことができる。
(15)充電対象となる車両は、乗用自動車以外でもよく、輸送用トラックや、産業車両、二輪車であってもよい。