以下の詳細な説明は、開示されるシステム及び方法の様々な特徴及び機能を、添付の図面を参照にして説明している。図中、類似の記号は、文脈に別途記載されない限り、類似のコンポーネントを特定している。本明細書で説明される例示のシステム及び方法は、限定するためのものではない。開示されるシステム及び方法の特定の態様は、いずれも本明細書で検討されている多種多様な様々な構成になるように構成配置する及び組み合わせることが可能であることが、容易に理解されるだろう。
本発明は、能動式静電清掃応用を伴う器具、システム、及び方法に関する様々な実施形態を説明している。様々な例において、対象とされる清掃器具、システム、又は方法は、電源と、清掃されるべき1つ以上の粒子、デブリ、又はその他の異物に対して特定の且つ制御可能な電気吸着力を生じるように構成配置された1つ以上の電極とを含む、能動式電気吸着コンポーネントを用いることができる。「能動式」という用語は、総じて、従来の静電式はたき及びその他の類似物品によって固有に生成され且つそのような物品の特徴でもある静電気による貼り付きが持つ、総じて制御不能で且つ通常は低帯電性である性質と異なり、制御され、電源をベースとし、且つ/又はより強力な/高帯電性である電気吸着原理及び静電原理の応用を言う。
本明細書で開示される様々な例は、具体的な電気吸着応用の特定の態様に着目しているが、本明細書で開示される様々な原理及び例は、その他の静電応用及び構成配置にも同様に適用可能であることが理解される。例えば、1枚以上の静電的に帯電されたシートを伴う電気積層応用は、同じタイプの電極と、粒子、デブリ、及びその他の異物を清掃する及びその他の形で制御するための一般的な静電原理とを用いることができる。更に、本明細書で説明される特定の応用は、電気吸着力によって粒子及びその他の物品を清掃する又は処理することに適用されているが、そのために本明細書で提供されている様々な電極及び材料は、このような環境に必ずしも限定されないその他の多様な応用でも使用することができる。
本明細書で使用される「電気吸着」という用語は、静電力を使用して2つの物体を機械的に結合させることを言う。電気吸着は、本明細書で説明されるように、これらの静電力の電気的制御を使用して2つの物体同士が一時的に且つ分離可能に付着することを可能にする。この静電吸着は、これらの物体の2つの表面を合わさった状態に保持する、すなわち、印加された電界によって形成される静電力ゆえに2つの表面間における牽引力すなわち摩擦を増加させる。静電クランプは、従来、高絶縁性の材料によって隔てられた平坦で且つ滑らかで且つ総じて導電性の2つの表面を合わさった状態に保持することに限られていたが、本明細書で提供される様々な例は、電気吸着力及処理を受ける物体の材料特性、曲率、サイズ、又は表面粗さを限定しない電気吸着器具及び技術を伴うことができる。更に、本明細書で提供される様々な例及び議論は、通常は、粒子、デブリ、又はその他の異質物品を清掃器具に静電的に吸着させることを伴っているが、開示される例には、多くのその他のタイプの静電応用の使用も総じて関わっていてよいことも理解される。例えば、電気積層構成配置又はその他のタイプの構成配置などにおいて、同じ器具の2つのコンポーネントが静電的に互いに吸着されてもよい。
1.概説
能動式電気吸着の制御式使用は、このような器具及び方法による清掃の改良を促すことができる。電気吸着清掃器具又はシステムは、清掃されるべき表面からデブリを清掃するように又は1つ以上の異物を遠ざけるように適応させることができる。器具又はシステムは、入力電圧から1つ以上の電気吸着力を生じさせるように適応される1つ以上の電極と、ユーザ入力を受け取り、そのユーザ入力による入力電圧の制御を促すように構成される1つ以上の入力コンポーネントと、(1つ以上の)電極に近接して及び/又はその末端に位置決めされ、清掃されるべき1つ以上の異物と相互作用するように構成される少なくとも1つの相互作用電気吸着表面とを含むことができる。
清掃されるべき各異物に対し、それぞれの個別の電気吸着力を生成することができ、このような各電気吸着力は、そのそれぞれの異物を電気吸着表面又は清掃器具上のどこかに適切に吸着させることができる。1つ以上の電気吸着表面は、そこに(1つ以上の)異物が吸着されるように(1つ以上の)電気吸着力を通過させるように構成配置することができる。また、(1つ以上の)電気吸着表面は、(1つ以上の)電気吸着力が制御方式で変更されたときなどに、そこから(1つ以上の)異物を容易に除去することを促すように更に構成することができる。このような変更は、(1つ以上の)電気吸着力の低減、排除、又は逆転であってよい。(1つ以上の)異物は、必ずしも(1つ以上の)電気吸着力を変更させなくても、例えば、(1つ以上の)相互電気吸着表面に接触する埃取りブラシ、電気吸着表面上の埃を自身に引き付ける非接触式静電板、物品を洗い流す若しくは吹き飛ばす流体ジェット、又は電気吸着表面から埃を吸い取る局所的真空によって提供されるような機械的な力を使用するなどによって、物理的に除去することもできる。
例では、(1つ以上の)異物として、埃、汚れ、小石、パンくず、毛髪、生ごみ、及び/又は清掃されるべきその他の粒状物質が挙げられる。一部の例では、電気吸着表面は、複数の細毛、複数のフラップ、1つ以上の軽量の吸着剤、並びに/又は柔らかい材料、粘着性材料、織物材料、繊維材料、布材料、プラスチック材料、及び/若しくはその他の適切な材料などの多様な材料のうちの任意を含むことができる。一部の例では、電気吸着表面の少なくとも一部分は、電気吸着力が加えられたときにそれぞれの部分が異物の少なくとも1つに接近する(すなわちその形状に適合する)ように、変形可能な(すなわちコンプライアントな)表面を構成することができる。
例では、電気吸着清掃器具又はシステムは、1つ以上の入力コンポーネントに及び1つ以上の電極に結合された能動電源を含むことができ、この能動電源は、1つ以上の電極への入力電圧の提供を促すように構成される。また、一部の例では、器具は、電気吸着表面に結合された1つ以上のローラを含むことができ、該ローラは、電気吸着清掃器具全体としての運動に関わらず、電気吸着表面のなかで新しく清浄な部分が制御方式で残りの異物又はデブリに呈されるように、電気吸着表面を異質表面に対して回転させるように構成される。このような構成配置では、(1つ以上の)電気吸着表面は、1つ以上のローラの回転運動に伴って移動する連続した走路として構成することができる。
一部の例では、1つ以上の除去コンポーネントを、清掃されるべき表面から1つ以上の異物が離された後にその1つ以上の異物が電気吸着表面から除去されることを促すように構成することができる。このような除去コンポーネントの場合は、例えば、(1つ以上の)電極を、電荷が制御方式で逆転されたときに1つ以上の反発力が1つ以上の異物又はデブリを能動式の電気吸着清掃器具から適切に反発させるように1つ以上の逆極性パルスを集合的に生じさせるように、更に適応させることができる。
例では、電極は、パターン配置された複数の逆帯電可能電極を含むことができる。このようなパターンは、複数の異なるピッチを有する噛み合わせパターン又は部分を伴うことができる。このような異なるピッチは、相応して異なるサイズの異物又はデブリを清掃するように構成することができ、噛み合わせ電極パターンは、複数の異なるピッチを選択的に作動させるように構成されてよい。このようにすれば、清掃されるべき異物のサイズを、ユーザ入力などによって指定することができる。一部の例では、1つ以上のセンサを、電気吸着表面に結合し、そこに吸着された異物又はデブリの量を検出するように構成することができる。このようなセンサは、場合によっては、電気吸着表面からの特定の物質の除去を補助するために使用することができる。或いは又は加えて、このようなセンサは、(1つ以上の)電気吸着表面を徹底清掃する又は交換するときであることを、ユーザに対して示すことができる。
尚も更なる例では、器具又はシステムは、電気吸着表面に近接して位置決めされたイオン電荷散布器を含むことができ、該イオン電荷散布器は、(1つ以上の)異物上にイオン電荷が存在する結果として(1つ以上の)それぞれの電気吸着力の少なくとも一部分がもたらされるように、(1つ以上の)異物に複数のイオン電荷を噴き付けるように適応される。このような例では、複数のイオン電荷とは逆の極性の電荷を帯びるように適応される厳密に1つの電極を使用することができる。
その他の例では、デブリ又は1つ以上の異物を物理的に清掃する様々な方法が提供される。このような方法は、例えば、清掃されるべき表面から複数の異物又はデブリを清掃することを伴うことができる。プロセス工程は、清掃されるべき表面付近に位置する複数の異物のそれぞれに電気吸着表面を接触させることと、電気吸着表面に近接して位置付けられた1つ以上の電極に制御方式で静電吸着電圧を印加することと、それぞれの静電引力を通じて複数の異物のそれぞれを電気吸着表面に吸着させることと、電気吸着表面を、そこに複数の異物を吸着された状態のままで、清掃されるべき表面から遠ざけることと、制御方式で静電吸着電圧を変更することと、静電吸着電圧が変更された後に、電気吸着表面から複数の異物を除去することとを含むことができる。上記と同様に、静電吸着電圧は、清掃されるべき表面付近に位置する複数の異物のそれぞれに対して電気吸着表面の少なくとも一部分を通じてそれぞれの個別の静電引力を生じさせるのに十分であってよい。一部の例では、清掃されるべき表面は、地面、床、壁などの垂直表面、又は清掃されるべきその他の関連の表面であってよい。一部の例では、静電吸着電圧を変更する工程は、電圧の極性を逆転させることを含むことができる。このような特徴は、望ましい時点において、制御方式で電気吸着表面から(1つ以上の)異物を反発させることができる。例では、電圧を変更することに加えて又は代わって、電気吸着表面から異物を除去するために電気吸着表面の一部分を電極から機械的に遠ざける又は離れさせることによって、静電吸着を変更することができる。
当業者にならば、以下の図面及び詳細な説明を吟味することによって、本発明のその他の装置、方法、特徴、及び利点が明らかである又は明らかになる。このような更なるシステム、方法、特徴、及び利点は、全て、本説明に含まれること、本発明の範囲内であること、及び添付の特許請求の範囲によって保護されることを意図されている。
図面を参照すると、図1Aは、代表的な一実施形態に従う、電気吸着器具を立断面図で示している。電気吸着器具100は、その電気吸着把持表面104に又はその電気吸着把持表面104の近くに位置付けられた1つ以上の電極102と、電極102と裏当て108又はその他の支持構造コンポーネントとの間の絶縁材料106とを含む。例示を目的として、電気吸着器具100は、3つの対をなす6つの電極を有するものとして示されているが、所与の電気吸着器具では、これよりも少ない又は多い電極を使用することもできる。所与の電気吸着器具において1つの電極のみが使用される場合は、それと併せて、少なくとも1つの逆極性電極を有する相補的な電気吸着器具を使用することができる。サイズに関しては、電気吸着器具100は、実質的に、規模による影響を受けない。すなわち、電気吸着器具のサイズは、表面積にして、例えば1平方センチメートル未満から数平方メートル以上の範囲に及んでよい。更に大きい又は小さい表面積も可能であり、所与の応用に応じてサイズ決定されてよい。
図1Aの、電気吸着把持表面104を有する電気吸着器具100は、6つの電極102を有するものとして示されているが、所与の電気吸着器具又は電気吸着把持表面は、1つの電極のみを有してもよいことが理解される。更に、所与の電気吸着器具は、それぞれ少なくとも1つの電極を有し且つ把持されるべき異物にあてがわれるように又は把持されるべき異物に極めて近接して配されるように構成された複数の異なる電気吸着把持表面を有することができる。電気吸着器具、電気吸着把持ユニット、及び電気吸着把持表面という用語は、本明細書では、全て、対象とされる電気吸着コンポーネントを指すものとして使用されているが、これらの様々な用語は、様々な文脈において区別なく使用することができる。具体的には、所与の電気吸着器具は、数々の特徴的な「把持表面」を含むかもしれないが、これらの様々な把持表面自体もまた、個別の「器具」又は或いは「エンドエフェクタ」であると見なされるかもしれない。
図1Bは、代表的な一実施形態に従う、異物110に吸着された図1Aの代表的な電気吸着器具100を立断面図で示している。異物110は、表面112と、内部材料114とを含む。電気吸着器具100の電気吸着把持表面104は、異物110の表面112にあてがわれる、又は異物110の表面112の近くに配される。次いで、電極102と電気的に連絡している外部の制御電子装置(不図示)を使用して、電極102を通じて静電吸着電圧が印加される。図1Bに示されるように、静電吸着電圧は、隣り合う電極102に対して正電荷と負電荷とが互い違いであってよい。電極102間の電圧差の結果、1つ以上の電気吸着力が形成され、この電気吸着力は、電気吸着器具100と異物110とを互いに対して保持する働きをする。加えられる力の性質ゆえに、電気吸着器具100は、実際の接触を伴うことなく異物110に吸着されえる。例えば、電気吸着器具100と異物110との間には、1枚の紙、薄膜、又はその他の材料若しくは基板が配されてよい。更に、本明細書では、電気吸着器具と異物との間の相互作用を意味するものとして、「接触」という用語が使用されているが、表面どうしの直接的な接触が必ずしも常に必要とは限らず、したがって、電気吸着把持表面と異物との間には、絶縁体などの1つ以上の薄い物体を配置することができる。把持表面と異物との間のこのような絶縁体は、一部の例では器具の一部であってよく、一部の例では別個の物品若しくは器具であってよい。
図1Cは、代表的な一実施形態に従う、吸着された代表的な電気吸着器具100における電極間の電圧差の結果として図1Bの異物内に発生した電界を、拡大された立断面図で示している。電気吸着器具100が異物110にあてがわれ、静電吸着電圧が印加されている間に、異物110の内部材料114内に電界116が発生する。電界116は、内部材料114を局所的に分極させる、すなわち器具の電極102上の電荷とは反対の直接電荷を材料上に局所的に誘導し、それによって、電極102(及び器具100全体)と異物110上の誘導電荷との間に静電吸着を生じさせる。誘導電荷は、誘電分極の結果として生じるかもしれないし、又は弱伝導性の材料及び電荷の静電誘導から生じるかもしれない。内部材料114が例えば銅などの強い導体である場合は、誘導電荷は、電界116を完全に打ち消すだろう。この場合は、内部電界116はゼロかになるかもしれないが、それでも尚、誘導電荷は形成され、器具100に静電力を提供する。材料114が銅又はその他の強い導体である場合は、器具100と異物110との間に絶縁体が提供されてもよい。
したがって、静電吸着電圧は、電気吸着器具100と、異物110の表面112下の内部材料114との間に全体的静電力を提供し、この静電力は、異物110の表面に相対的な電気吸着器具100の現位置を維持する。全体的静電力は、異物110を高く持ち上げるために電気吸着器具100が使用されえるように、異物110にかかる重力に打ち勝つのに十分であってよい。例では、異物に対して更なる静電力が提供されえるように、複数の電気吸着器具が異物110にあてがわれてよい。更に、異物110は、その全ての寸法又は任意の寸法が電気吸着器具よりも大きい必要はなく、一部の例では、異物110は、電気吸着器具よりも大幅に小さくてよいと考えられる。静電力の組み合わせは、異物110を持ち上げる、動かす、ピック・アンド・プレースする(拾い上げて運んで下ろす)、又はその他の形で処理するのに十分であってよい。電気吸着器具100は、また、その他の構造に付着されて、それらの追加構造を高く持ち上げてもよいし、又は垂直摩擦力を増加させるために、傾斜した若しくは滑りやすい表面に対して使用されてもよい。
電極102からの静電吸着電圧の排除は、電気吸着器具100と、異物110の表面112との間の静電吸着力を無くさせる。したがって、電極102間に静電吸着電圧がかかっていないときは、電気吸着器具100は、より容易に表面112に相対的に動くことができる。この条件は、静電吸着電圧が印加される前及び後に電気吸着器具100が動くことを可能にする。よく制御された電気的作動及び作動停止は、電力消費を比較的少量に抑えつつ、例えば約50ミリ秒未満の応答時間のような迅速な吸着及び分離を可能にする。多くの応用では、長めの解放時間が有益なこともある。
電気吸着器具100は、絶縁材料106の外表面104上に電極102を含む。この例は、様々な異物110の絶縁性及び弱伝導性内部材料114に対する制御された付着によく適している。電極102と絶縁材料106との間の関係性が異なるその他の電気吸着器具100も考えられ、伝導性材料を含む更に広範囲の材料との使用に適している。例えば、表面112が金属物体上である場合は、電極の表面上に薄い電気絶縁材料(不図示)を位置付けることができる。表面104と表面112との間の距離が短いほど、それらの物体間の電気吸着力は強くなる。したがって、異物110の表面112に少なくとも部分的に適合するように構成された変形可能表面104を使用することができる。
本明細書で使用される静電吸着電圧という用語は、電気吸着器具100を異物110に結合させるのに適した静電力を生じさせる電圧を言う。電気吸着器具100に必要とされる最小の電圧は、電気吸着器具100のサイズ、電極102の材料伝導度及び間隔、絶縁材料106、異物110のサイズ、異物材料114、埃、その他の微粒子、又は水分などの電気吸着を乱れさせるものの存在、電気吸着力によって支えられる物体の重さ、電気吸着器具のコンプライアンス、異物の誘電特性及び抵抗特性、並びに電極と異物表面との間の関連の隙間などの、数々の要因に応じて変化する。一例では、静電吸着電圧は、電極102間において約500ボルトから約15キロボルトの間の差動電圧を含む。ミクロ規模の応用では、更に低い電圧が使用されてよい。別の例では、差動電圧は、約2キロボルトから約5キロボルトの間である。1つの電極にかかる電圧は、ゼロであってよい。隣り合う電極102に対し、正電荷と負電荷とが交互に印加されてもよい。1つの電極にかかる電圧は、時間とともに変化してよく、具体的には、異物を長期間にわたって大きく帯電させないように、正電荷と負電荷とが交替で印加されてよい。結果として得られるクランプ力は、特定の電気吸着器具100の仕様、それが吸着する材料、微粒子によるあらゆる乱れ、表面粗さなどに応じて変化する。総じて、本明細書で説明される電気吸着は、広範囲のクランプ圧力を提供する。このようなクランプ力は、一般に、電気吸着器具によって加えられる引力を、異物に接触しているその面積で割ったものとして定義される。
図1Dは、代表的な一実施形態に従う、電気吸着器具の設計パラメータを示している。図1Dの電気吸着器具は、異物110(付着対象とされる基板又は拾い上げられる汚れ)と、絶縁材料106と、電極102と、裏当て材料108(例えば、発泡体を通じて剛性表面に荷重伝達するための構造)と、誘電性コーティング材料118とを含む。図1Dに示される電気接着設計パラメータは、電気吸着器具によって拾い上げられる又は電気吸着器具に吸着される材料のタイプ及び範囲に影響を及ぼすように変更することができる。パラメータには、絶縁体材料106の性質、誘電性コーティング材料118の性質、使用される材料のコンプライアンス及び堅さ、(1つ以上の)電極102の性質、誘電性コーティングの厚さ(t)、電極の幅(w)、連続する電極間の隙間(g)、並びに振幅及び波形を含む電極に印加される電圧がある。これらは、代表的な性質であり、その他の性質もまた、電気吸着器具100などの電気吸着器具のパフォーマンスに影響を及ぼすことができる。
実際の電気吸着力及び電気吸着圧力は、設計及び数々の要因に応じて変化する。一例では、電気吸着器具100は、約0.7kPa(約0.1psi)から約70kPa(約10psi)の間の電気吸着引力圧力を提供しているが、その他の量及び範囲も可能である。特定の応用で必要とされる力の量は、接触表面の面積を変化させる、印加される電圧を変化させる、及び/又は電極と異物表面との間の距離を変化させることによって容易に達成されるだろう。ただし、その他の関連要因もまた、必要に応じて操作されてよい。
例えば、表面のできるだけ多くを電極で覆う(すなわち、「g」を最小にして「w」を最大にする)ことによって、「伝導性」材料(金属、何らかの種類の木材、紙など)に対する把持が向上されるだろう。一部の伝導性粒子(米、葉っぱ、シリアルなど)もまた、このカテゴリに入る。しかしながら、非伝導性材料(何らかの種類のガラス、大半のプラスチック、砂など)は、所与の領域における電極配線の本数を増やす(すなわち、「g」及び「w」をともに最小にする)ことによって最大にされる異なるタイプの静電帯電に反応するだろう。したがって、力は、「w」及び「g」の注意深い選択を通じて最適にすることができる。総じて、所与の表面のための「w」、「g」、及び「t」の最適化は、その表面に関係する電気吸着パフォーマンスを向上させるだろう。
図2A及び図2Bを参照すると、代表的な一実施形態に従う、1つの電極を有する代表的な1対の電気吸着器具又は把持表面が、側断面図で示されている。図2Aが、異物110の表面に接触している電気吸着器具又は把持表面202、204を有する電気吸着把持システム200Aを図示している一方で、図2Bは、器具又は把持表面に電圧を印加されている作動状態の電気吸着把持システム200Bを図示している。電気吸着把持システム200Aは、異物110に直接接触する2つの電気吸着器具又は把持表面202、204を含む。各電気吸着器具又は把持表面202、204には、1つの電極102が結合されている。このような事例では、電気吸着把持システムは、異物を絶縁材料として使用するように設計することができる。電圧が印加されると、異物110内に電界116が発生し、電気吸着器具又は把持表面202、204と異物110との間に静電力が形成される。これら単一電極式の電気吸着器具を多数含むその他の例も可能である。
一部の例では、電気吸着把持表面は、その上に複数の電極を有するフラットパネル又はシートの形態をとることができる。その他の例では、把持表面は、最も一般的に持ち上げられる又は処理される異物の幾何学形状に一致した一定の形状をとることができる。例えば、円筒状の塗料缶又はジュース缶の幾何学形状に一致させるために、湾曲した幾何学形状を使用することができる。電極は、電気吸着パフォーマンスを向上させるために、吸着器具表面上にパターン形成する、又はコンプライアンスを高めてそれによって異物上の不規則表面に対するコンプライアンスを高めるために、柔らかいすなわち可撓性の材料を使用して作成するなどの、様々なやり方によって強化されてよい。
図3A及び図3Bは、代表的な実施形態に従う、その表面上に電極をパターン形成されたフラットパネル又はシートの形態をとる電気吸着把持表面の2つの例を、上面斜視図で示している。図3Aは、その上面及び底面に電極102をパターン形成されたシート又はフラットパネルの形態をとる電気吸着把持表面300を示している。上部電極セット302及び底部電極セット304が、絶縁層306の両表面上で互いに噛み合わされている。一部の例では、絶縁層306は、堅いすなわち剛性の材料で形成することができる。例では、絶縁層306はもちろん電極もまた、コンプライアントであってよく、コンプライアンスを高めるために、アクリル弾性体などのポリマで構成することができる。例示のための一例として、ポリマの弾性率は、約10MPa未満であり、別の一例では、更に具体的に、約1MPa未満である。使用に適した様々なタイプのコンプライアントな電極が、一般的に知られており、それらの例は、共同所有の米国特許第7,034,432号に記載されている。該特許は、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
電極セット304は、絶縁層306の上面308上に配置され、直線状にパターン形成された電極102の配列を含む。共通の電極310が、セット304内の電極102を電気的に結合し、共通の電極310への1本の入力リード線を使用して、セット304内の全ての電極102との電気的連絡を可能にしている。電極セット302は、絶縁層306の底面312上に配置され、上面上の電極102から横方向にずらして直線状にパターン形成された第2の電極102の配列を含む。底部電極セット302もやはり、共通の電極(不図示)を含んでいてよい。電極は、電極間の空隙における断絶による制限を受けることなく電気吸着把持表面(エンドエフェクタ)300が高い電圧差に耐える能力を強化するために、絶縁層306の両側にパターン形成することができる。
加えて又は或いは、図3Bに示されるように、電極は、絶縁層の同じ表面上にパターン形成されてもよい。図に示されるように、電気吸着把持表面314は、その片側の表面上に電極102をパターン形成されたシート又はフラットパネルを含む。電気吸着把持表面314は、コンプライアントな絶縁層306の同じ表面308上で電極セット316と電極セット318とが互いに噛み合わされていることを除き、図3Aの電気吸着把持表面300と実質的に同様であってよい。絶縁層306の底面312には、電極は配されていない。この特定の例は、セット316内の正電極102と、セット318内の負電極102との間の距離を短くすることを示しており、両方の電極セットを電気吸着把持表面314の同じ表面上に配することを例示している。機能的に言うと、これは、絶縁層306ゆえの電極セット316と電極セット318との間の隔たりを排除する。これは、また、上面308が異物表面に吸着するときの、(これまでは底面312上にあった)一方の電極セットと異物表面との間の間隔も排除する。実施形態300及び実施形態314のいずれが使用されてもよいが、後者の実施形態314におけるこれらの変更は、電気吸着把持表面314と、処理されるべき対象異物との間の電気吸着力を確実に増加させるだろう。
本明細書で説明される電気吸着器具の、もう1つの際立った特徴は、図4A〜図4Cに示されるように、変形可能な表面及び材料を電気吸着器具100において使用するという選択肢である。一例では、電気吸着器具100の1つ以上の部分が変形可能である。図4Bに示されるように、一例では、これは、器具100上の表面400を含む。別の一例では、電極102間の絶縁材料106が変形可能である。電気吸着器具100は、材料のコンプライアンス(例えば、絶縁材料106などの柔らかい材料)又は構造的な設計(例えば、細毛状又は毛髪状の構造)を使用して変形能力を実現してよい。一例では、絶縁材料106は、曲がることはできるが実質的に弾性的に伸長可能ではない材料を含む(例えば、マイラの薄い層)。別の一例では、絶縁材料106は、約10MPa未満の、より具体的には約1MPa未満の柔らかいポリマを含んでいてよい。
電極102も、コンプライアントであってよい。絶縁材料106及び電極102におけるコンプライアンスは、上述されたいずれの構成配置の電気吸着器具100にも使用されてよい。電気吸着器具100におけるコンプライアンスは、器具100の吸着表面400がその付着先の物体の表面112特徴に適合することを可能にする。図4Aは、粗い表面112の形状に適合するコンプライアントな電気吸着器具100を示している。
吸着表面400は、その吸着先である基板表面112に接触する電気吸着器具の表面として定義される。吸着表面400は、電極を含んでいてもよいし、又は含んでいなくてもよい。一例では、吸着表面400は、そうでなければ露出されるだろう電極を保護するために追加される薄いコンプライアントな保護層を含む。別の一例では、吸着表面400は、(例えば、静電力が排除されたときに)そこにデブリが引っ付いたままになることを回避するための材料を含んでいてよい。或いは、吸着表面400は、壁面への吸着を助けるために、粘着性の若しくは吸着性の材料を含んでいてよい、又は所与の垂直力ゆえの滑動を阻止しやすくするために、高摩擦の材料を含んでいてよい。
電気吸着器具100におけるコンプライアンスは、吸着性を向上させるだろう。電極102及び絶縁材料106がともに変形可能であるときは、吸着表面400は、初期の時点でも、及び初期電荷が印加された後に動的にも、ともに、粗い表面112のミクロな及びマクロな輪郭に適合するだろう。この動的なコンプライアンスは、図4Bに関連して更に詳細に説明される。電気吸着器具100のこの表面コンプライアンスは、電極102が表面112に更に接近することを可能にし、これは、器具100によって提供される全体的クランプ力を増加させる。一部の事例では、静電力は、(電極と壁面との間の)距離の二乗に比例して減少するだろう。電気吸着器具100におけるコンプライアンスは、しかしながら、器具100が表面112との接触を動的に向上させること及び維持することを可能にし、それによって、電極102によって印加された保持力を増加させる。コンプライアンスの増加は、また、表面112と表面400との間におけるミクロ規模での機械的連結を強化し、有効摩擦を増加させるとともに滑動を抑制することもできる。
コンプライアンスは、電気吸着器具100が、初期の時点でも、及び電気エネルギが印加された後に動的にも、ともに、壁面112に適合することを可能にする。電気吸着を向上させるこの動的方法は、代表的な実施形態に従う、図4B及び図4Cに示されている。図4Bは、材料114を伴う構造の表面112に電気吸着器具100が接触された初期における、器具100の表面400を示している。表面112は、マクロなすなわち可視のレベル(例えば、具体的な粗さが容易にわかる)及びミクロなレベル(大半の材料)の両方における、粗さ及び不均一性を含んでいるだろう。
図4Bに示されるように両者が接触している或る時点において、電極102に電気吸着電気エネルギが加えられる。これは、電極102と壁面112との間に引力を形成する。しかしながら、初期の時点では、図4Bに見られるように、多くの粗い表面における実際問題として、器具表面400と壁面112との間に数々の間隙402が存在する。これらの間隙402の数及びサイズは、電気吸着クランプ圧力に影響を及ぼす。例えば、マクロ規模では、静電クランプは、材料114と帯電電極102との間の間隙の二乗に反比例する。また、電極の場所の数が多いほど、器具表面400は、より局所的な表面粗さに適合してそれによって全体的な吸着を向上させることが可能になる。ミクロ規模では、しかしながら、間隙が小さくされた際のクランプ圧力の増加が、よりいっそう劇的である。この増加は、小さな間隙では空気の破壊強度が劇的に増すことを述べたパッシェンの法則ゆえである。破壊強度が高いほど、及び間隙が小さいほど、電界が大幅に大きくなること、及びそれゆえにクランプ圧力が大幅に高くなることが意味される。クランプ圧力の増加及び電気吸着の向上は、電気吸着器具100のコンプライアント表面400、又は表面粗さに適合する電気吸着メカニズムを使用することによって達成されるだろう。
引力が電気吸着器具100のコンプライアンスに打ち勝つと、これらのコンプライアントな部分は変形し、表面400の部分は表面112に接近する。この変形は、電気吸着器具100と壁面112との間の接触面積を増大させ、電気吸着クランプ圧力を増加させ、器具100と異物110との間の電気吸着を強くする。図4Cは、静電引力及びコンプライアンスによる初期の力ゆえに電気吸着器具100が幾らか変形した後における、電気吸着器具100の表面形状及び壁面112を示している。間隙402の多くが小さくなっている。
この適応性の形状形成は、続くだろう。器具表面400と壁面112とが接近するのに伴って、多くの場所における両者の間の距離の減少が、電気吸着力を更に増加させ、これは、電気吸着器具100の多くの部分を更に変形させ、それによって、器具表面400の更に多くの部分を壁面112に更にいっそう接近させる。この接触面積の増大は、クランプ圧力を増加させ、器具100と異物110との間の電気吸着を強くする。電気吸着器具100のコンプライアンスが更なる変形を阻止し、器具表面400が変形を停止すると、器具100は、適合性が安定した状態に到達する。
一部の例では、電気吸着器具100は、電極102、絶縁材料106、及び裏当て108のうちの1つ以上に多孔性を含んでいてよい。表面112と表面400との間には、エアポケットが捕えられているかもしれない。これらのエアポケットは、適応性の形状形成を抑制する恐れがある。絶縁体106、裏当て108、及び/又は電極102における、微小な穴又は多孔性材料は、動的変形の最中に、捕えられた空気が逃されることを可能にする。ゆえに、電気吸着器具100は、粗い表面、又はマクロ規模の湾曲若しくは複雑な形状を有する表面に使用するのに良く適しているだろう。一例では、表面112は、約100ミクロンを超える粗さを含む。別の一例では、表面112は、約3ミリメートルを超える粗さを含む。
図1A及び図4Aに示されるような随意の裏当て構造108を、絶縁材料106に取り付けることができ、該構造は、剛性のすなわち非伸長性の材料を含む。裏当て層又は構造108は、コンプライアントな電気吸着器具に対して構造的な支えを提供することができる。裏当て層108は、また、より大きい器具に電気吸着器具が使用されることを可能にするために、外部から電気吸着器具への機械的連結も可能にする。
一部の電気吸着器具100では、柔らかい材料が機械的な負荷を受けて過度に反って変形し、クランプを準最適にする恐れがある。これらの作用を軽減するために、電気吸着器具100は、段階的な一連の層又は材料を含んでよく、第1の材料は、壁面及び第2の材料との結合のために低い剛性係数を有し、それよりも厚い且つ/又は堅い材料である第2の材料は、第1の受動層に取り付けられる。より堅い材料である第2の材料には、裏当て構造108が取り付けられてよい。一例では、電気吸着器具100は、柔らかい層として、厚さがおおよそ50ミクロンのアクリル弾性体を含み、支えのための第2の層として、厚さが1000ミクロンの厚いアクリル弾性体を含んでいた。その他の厚さが使用されてもよい。
図4B及び図4Cの変化にかかる時間は、電気吸着器具100材料、電気吸着器具100設計、印加される制御信号、及び電気吸着力の大きさに応じて変わるだろう。一部の電気吸着器具では、動的変化が視覚的に見えることがある。一例では、器具表面400が変形を停止させるのにかかる時間は、約0.01秒から約10秒までであってよい。その他の事例では、適合性が停止する時間は、約0.5秒から約2秒である。
一部の例では、本明細書で説明される電気吸着は、高速のクランプ時間及びクランプ解除時間を可能にし、ほぼ瞬時だと見なされてよい。一例では、クランプ又はクランプ解除は、約50ミリ秒未満で達成されてよい。別の一例では、クランプ又はクランプ解除は、約10ミリ秒未満で達成されてよい。応答速度は、幾つかの手段によって増加されてよい。もし、電極が、線幅が狭く且つ間隔が近いものとして構成されるならば、電荷が流れて電気吸着力を確立するために必要とされる時間が短縮されるので、応答速度は、伝導性の又は弱伝導性の基板を使用して増加される。速度は、より柔らかく、より軽く、且つより適応性の材料を器具100に使用することによっても増加されるだろう。また、より速く所定のレベルの電気吸着力を確立するために、より高い電圧を使用することも可能であり、応答速度は、電荷の分布及び適応を迅速に確立するために電圧を一時的に過剰に駆動することによって増加させることも可能である。クランプ解除速度を増加させるためには、電極102の極性を一定速度で効果的に逆転させる駆動電圧が用いられてよい。このような電圧は、基板材料114内における電荷の蓄積を阻止し、そうして、より高速なクランプ解除を可能にする。或いは、必要とされる更なる駆動電力の一部を犠牲にして、より速い放電時間を提供するために、中程度に伝導性の材料106を電極102間に使用することができる。
本明細書で使用される電気吸着電圧とは、電気吸着器具100を壁、基板、又はその他の物体に結合するための適切な静電力を生じさせる電圧を言う。電気吸着器具100に必要とされる最小電圧は、電気吸着器具100のサイズ、電極102の材料伝導度及び間隔、絶縁材料106、壁又は物体の材料114、埃、その他の微粒子、又は水分などの電気吸着を乱れさせるものの存在、電気吸着器具100に機械的に結合される構造の重量、電気吸着器具のコンプライアンス、基板の誘電特性及び抵抗特性、並びに電極と基板との間の関連の隙間などの、数々の要因に応じて変化する。一例では、静電吸着電圧は、電極102間に、約500ボルトから約10キロボルトの間の差動電圧を含む。具体的な一実施形態では、差動電圧は、約2キロボルトから約5キロボルトの間である。1つの電極にかかる電圧は、ゼロであってよい。隣り合う電極102に対し、正電荷と負電荷とが交互に印加されてもよい。
電気吸着及びそれらの応用に関する様々な更なる詳細及び例は、例えば、米国特許第6,586,859号、第6,911,764号、第6,376,971号、第7,411,332号、第7,551,419号、第7,554,787号、及び第7,773,363号、並びに国際特許出願第PCT/US2011/029101号、並びに米国特許出願第12/762,260号に見いだすことができ、これらは、それぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。
2.能動式の静電清掃
上記のように、電気吸着は、様々な異物に対する逆転可能な吸着を実現するために、1つ以上の電極を伴うコンプライアントな又は可撓性のパッド又はその他の表面を使用することを伴うことができる。このような構成配置は、総じて、壁面又はその他の基板への電気吸着器具の付着、並びに小さい異物の拾い上げ、配置、及びそれ以外の処理を促すために使用することができる。上記の例示は、主に、壁又は同様に大きいその他の基板への電気吸着器具の付着に焦点を合わせているが、比較的小さい物体をそれよりも大きい静電器具に静電的に吸着させることができる逆転した構成も適用することができる。
このように、以上の様々な電気吸着概念は、総じて、埃、葉っぱ、並びにその他の類似の粒子及び物体の清掃又は拾い上げにも適用することができる。実際、様々な電気吸着シート、パッド、電気積層器具、及びその他の類似の電気吸着応用が、埃、毛髪、葉っぱ、汚れ、小石、ガラス破片、パンくず、その他の有機物、類似の小物体などの多様な住居粒子と適切に相互作用することがわかっている。このような相互作用は、制御方式で都合良く操作可能であり、その結果、多種多様な効率的な清掃器具、システム、及び技術が得られる。
様々な特定の応用として、例えば、はたき、ほうき、掃除機、又はその他の住居内装クリーナなどの室内用途が挙げられる。その他の特定の応用として、例えば葉っぱ収集器、又はゴミ収集若しくはリサイクル収集システムなどの多様な屋外用途が挙げられる。また、以下で更に詳述されるように、細かい又は微小な粒子の収集又は清掃を伴う埃取り及びその他の応用に合わせて器具を最適化することができる多数のやり方がある。
図5は、代表的な一実施形態に従う、複数の小さい異物が吸着された電気吸着器具を示している。該電気吸着器具は、より小さい物品に吸着するために使用することができる比較的大きい器具の一般的応用として、側面図で提示されている。全体の環境500は、そこに複数の異物504を吸着させるように構成された電気吸着器具502を含むことができる。異物504の任意又は全部として、埃、汚れ、小石、パンくず、毛髪、生ごみ、及び/又は多種多様なその他の粒状物質が挙げられる。電気吸着器具502には、その他の多くの物品も吸着させることができる。
上記の一般的な例と同様に、電気吸着器具502は、その「電気吸着把持表面」508に又はその「電気吸着把持表面」508の近くに位置付けられた1つ以上の電極506と、電極506と裏当て512又はその他の支持構造コンポーネントとの間の絶縁材料510とを含むことができる。このような裏当て512は、必ずしも全ての実施形態で使用されなくてもよく、絶縁材料510及び/又は裏当て512は、特定の応用における必要に応じ、剛性又は可撓性であってよい。例えば、全体の電気吸着器具502は、場合によっては、可撓性のシートであってよい。例示を目的として、電気吸着器具502は、9つの対をなす18個の電極を有するものとして示されているが、所与の電気吸着器具では、これよりも少ない又は多い電極を使用することもできる。更に、電極506は、二次元表面の全体にわたってなどのように、二次元以上に散りばめることもできる。
やはり上記の一般的な例と同様に、電気吸着力は、表面508に吸着された個々の各異物又は各粒子504によって「感じる」又は体感することができる。総じて、所与の個々の粒子は、異物又は粒子504が十分に大きくて、逆帯電した少なくとも2つの電極506に匹敵するサイズである及び/又は逆帯電した少なくとも2つの電極506に跨る場合に、個々の電気吸着力を受けやすい傾向がある。
一部の例では、様々な異物又はデブリ又は粒子514が小さすぎて、電気吸着器具502に効果的に吸着されないかもしれない。これは、このような粒子が、複数の電極506に跨るのに十分な大きさでないゆえに生じえる。所与の粒子514が、1つの電極506にしか接近できない小ささである場合は、結果として得られる電気吸着力は、このような小さい異物又は粒子に対して最小になる又は存在しないだろう。したがって、総じて、電極506及び電極間の間隔が小さいほど、より小さい異物及び粒子504、514に吸着する能力が得られる。このような電極506のサイズ及び間隔は、全体的な電極パターンにおける「ピッチ」と呼ぶことができ、ピッチが小さいほど、より小さい異物及び粒子に吸着する能力が強化される。なお、電極間の間隔よりも小さい粒子に吸着することも可能であることが、留意されるべきである。例えば、砂は、ピッチがおおよそ3mmの電極によって拾い上げることができる。可変ピッチに関する様々な設計上及び動作上の検討事項は、以下で更に詳述されるように、様々なサイズの物体及び粒子を清掃する及び/又は制御する能力に役立てることができる。
図6Aは、代表的な一実施形態に従う、その電力供給部をオフにされた状態の電気吸着清掃パッドを正面斜視図で示している。全体の環境600は、多くの点において上記の電気吸着器具502と同一である又は大きく類似している能動式の電気吸着清掃パッドを含むことができる。この能動式の電気吸着清掃パッドは、例えば、相互作用前表面と、該相互作用表面に、又は該相互作用表面に接近して、又は該相互作用表面の後ろに配置された複数の電極(不図示)とを有することができる。電池、コンデンサ、A/C源、又はその他の適切な可制御式電源(不図示)などの能動電力供給部が、例えばユーザ入力による作動を受けて制御方式で電極に電圧を供給することができる。このようなユーザ入力は、スイッチ、ボタン、つまみ、ダイヤル、又はその他の類似のコンポーネントなどのユーザ入力コンポーネントによって行うことができる。環境600に示されるように、電極に電圧が存在しないように且つ電気吸着表面に電気吸着力が存在しないように、電力は印加されていない。予期されるだろうとおりに、結果として、電気吸着表面には異物又は粒子は吸着されていない。
図6B〜図6Eは、それぞれ、その電力供給部をオンにされ且つ様々な種類の粒状物質又はデブリが吸着されている状態の図6Aの能動式の電気吸着清掃パッドを、同様な正面斜視図で示している。第1の例として、図6Bの環境601は、電気吸着清掃パッドに複数の小石がどのように吸着するかを描いている。図6Cは、清掃パッドに汚れの塊が吸着された環境602を示しており、図6Dは、清掃パッドに大量の埃が吸着された環境603を示している。これらの例に加えて、清掃パッドには、毛髪、パンくず、生ごみ、並びに種々様々なその他の粒状物質及び異物が吸着することができる。
図6Eは、小石、汚れ、埃、及び毛髪の多種混合が全て同時に電気吸着清掃パッドに吸着された状態の環境604を描いている。このような粒状物質及びその他の異物の、電気吸着パッドへの強固な吸着は、印加電圧がオンにされている間に実現することができる。このような強固な吸着は、電気吸着パッドがかなり震動している最中でも又は電気吸着パッドと強く接触している最中でも様々な物体及び粒状物質の位置を維持するのに十分である。電圧が排除され(例えば電力が遮断され)、それゆえに粒状物質物品に対する様々な電気吸着力が減少した又は排除されたときに、これらの異物及び物品は、電気吸着パッドから容易に脱落する傾向がある。このように、印加電圧の制御は、電気吸着パッド、器具、又はシステムに吸着された様々な粒状物質及びその他の異物の有意な制御を可能にすることができる。
例では、図6A〜図6Eに描かれた電気吸着清掃パッドは、手ばたき又は羽ばたきとして使用されてもよい。例えば、手ばたきは、電気吸着清掃パッドに結合された持ち手を含んでいてよい。手ばたきは、例えば、清掃されるべき任意のタイプの表面(木の、セラミックの、又は任意の表面)に電気吸着清掃パッドを一掃きすることによって、清掃されるべきその表面に直接適用されてよい。一部の例では、手ばたきは、持ち手を含んでいなくてよく、電気吸着清掃パッドは、ユーザの手で保持され、清掃されるべき表面を一掃きしてその上のデブリを除去することができる。例では、電気吸着清掃パッドは、羽ばたきとして使用するために、羽状に作成することができる。或いは、羽ばたきの既存の羽に、電気吸着清掃手段を結合することができる。羽ばたきは、羽に結合された木製の持ち手(又は任意のその他の材料で作成された持ち手)を含んでいてよく、羽は、例えば、針金を巻くことによって持ち手に巻き付けられている。一部の例では、はたきは、持ち手の代わりに格納式のケースを有していてよい。可撓性の羽と、それに結合された電気吸着清掃手段とが、その他のタイプのはたきでは困難な場所にはたきが到達することを可能にしている。
なお、一部の例では、電気吸着清掃パッドは、清掃されるべき表面に吸着するように、又は清掃されるべき表面の形状に適合するように構成されてよい。しかしながら、その他の例では、電気吸着清掃パッドは、清掃されるべき表面に吸着することなくデブリ(例えば、埃、汚れ、小石など)に吸着するように構成されてよい。尚もその他の例では、電気吸着清掃パッドは、清掃されるべき表面に部分的に及び清掃されるべき表面から除去されるべきデブリに部分的に吸着するように構成されてよい。
必要とされる様々な具体的効果に応じ、電気吸着表面に使用される1つ以上の材料が可変であってよい。更なる受動的吸着力が形成可能であるように、電気吸着表面材料は、例えば、柔らかいポリウレタン又はシリコーンの形態のように、性質が柔らかく且つ粘着性であってよい。或いは、より容易に表面が清掃可能であるように、電気吸着表面材料として、より滑りやすい表面が使用されてもよい。このような滑りやすい表面材料としては、例えば、1枚上のポリウレタンシートが挙げられる。必要に応じ、電気吸着表面の全部又は一部がその他のタイプの材料を使用して形成されてもよく、そのようなその他の材料としては、様々な織物、繊維、布、プラスチックなどが挙げられる。
使用されるこれらの種類の材料に加えて、1つ以上の電気吸着表面の様々な形状、構成配置、及び構成もまた、電気吸着表面と、清掃されるべき様々な異物及び粒状物質との間のコンプライアンスの量に大きく影響を及ぼすことができる。例えば、複雑な形状を有する比較的乾いた平坦な葉っぱを拾い上げるときは、電気吸着表面の可撓性によって、電気吸着が向上されるだろう。このように、特化されたこれらの応用には、乾燥した葉っぱなどの比較的薄くて大きくて複雑な異物を柔軟に包み込む薄いシートが有用だろう。非常に小さい物体を平坦な電気吸着表面上に拾い上げるときは、又は新しいしなやかな葉っぱを拾い上げるときは、しかしながら、より剛性の裏当てを有する電気吸着パッドが適切であることがわかっている。コンプライアンスは、また、電気吸着表面上の細毛、フラップ、及び/又はその他の類似の特徴などの構造的手段を通じても実現することができる。このように、全体的に大きいパッド又はその他の電気吸着清掃器具は、清掃されるべき異物周りに適合するのに必要なコンプライアンスを提供するために、電気吸着表面上自体の数々の小さい毛又はフラップに結合された比較的剛性の裏当てを含むことができる。このような特徴は、機械的清掃と電気吸着清掃とを組み合わせて異物を清掃するために、モップ、ほうき、ブラシ、はたきなどのよくある清掃用具に見られる剛毛又は繊維に似せることができる。
図7Aは、代表的な一実施形態に従う、その電気吸着表面に沿って剛毛又は繊維を有する電気吸着器具を側面図で示している。図に示されるように、環境700は、地面又は床表面704に散りばめられた複数の異物702を含む。能動式電気吸着清掃器具706は、様々な異物702と相互作用するように構成された電気吸着表面708を前面とする多様なコンポーネントを含むことができる。異物702を電気吸着表面に吸着させるためのコンプライアンス及び吸着性を助けるために、電気吸着表面708には、1本以上の毛又は細毛710を分散配置することができる。
電気吸着表面708が異物702に接触するときに又は電気吸着表面が異物702に適度に極めて近接して配されたときに各異物702に対して電気吸着力を生じさせるために、電気吸着表面の後ろに配置された又はそれ以外の形で電気吸着表面に近接して位置付けられた1つ以上の電極(不図示)を使用することもできる。上記のように、電気吸着表面708に又は電気吸着表面708の付近に位置付けられた細毛710及び/又は1つ以上のその他の特徴は、表面又は表面領域を変形可能にすることができ、したがって、該変形可能な表面部分は、そこに電気吸着力が加えられたときに、それぞれの異物702に接近することができる。
図7Bは、代表的な一実施形態に従う、その電気吸着表面に沿って複数の可変長フラップを有する能動式の電気吸着清掃器具の形態をとる別のコンプライアンスの一例を側面図で示している。代替の環境712は、地面又は別の床表面704に沿って、同じ又は実質的に同様な粒状物質又は異物702を含むことができる。類似の能動式の電気吸着清掃器具706は、上記の実施形態と同様に、清掃されるべき異物に近接して配された電気吸着表面708を有することができる。しかしながら、細毛の代わりに(又は細毛に加えて)、環境700における電気吸着表面708は、電気吸着表面に部分的に結合されて電気吸着表面から伸長可能である複数のフラップ714を含むことができる。このようなフラップは、上記の電気吸着表面と同様に、電気吸着電荷を帯びるように適応させることができ、ただし、清掃されるべき異物への接触に関しては、更にずっと可撓性で且つコンプライアントである。
清掃されるべき粒状物質及びその他の異物を効果的に制御及び操作するために使用することができる別の特徴は、パターン形成された電極の使用を伴うことができる。上記のように、小さいサイズの粒子にとっては、個々の各粒子が1つの電極のみに及びそれゆえに通常は1つの極性のみに曝されるのではなく逆帯電した複数の電極に跨る電界を「感じる」ように、細かい電極パターンであるほど最適であると考えられる。大きい電極パターンは、例えば葉っぱ又は大きいゴミなどの、相応に大きい又は高伝導性の物体と相互作用するだろう。電極パターンを適切に設計することによって、どのタイプの物体を清掃のために運ぶか又はそれ以外の形で操作することができるかを調整することが可能である。また、電極パターンを比較的細かくし、接続性を変更する又は適切な電極領域を指定することによって、対象サイズの物体に合わせて電気吸着を調整することも可能である。したがって、電気吸着は、汎用のクリーナとしてのみならず、清掃されるべき表面上に存在するだろう特定のサイズ又は材料の物体又はデブリをその他から分離するための特殊なクリーナとして使用することもできる。この概念は、図8A〜図9Cに関連して例示されている。
図8Aは、代表的な一実施形態に従う、適切な電気吸着表面に対して使用するための碁盤の目状タイプの電極パターンを、上平面図で示している。電極パターン800に示された電極と併せて、適切な電源、1つ以上のユーザ入力デバイス又はコンポーネント、(1つ以上の)電気吸着表面、及びその他のコンポーネントが使用可能であるが、このような物品は、例示及び議論をわかりやすくするために、ここでは図示されていない。
電極パターン800は、正に帯電した領域と負に帯電した領域とを交互に有する碁盤の目状の構成配置を伴うことができる。これは、例えば、パターン内の電極ごとに正電荷と負電荷とを交替させることによって達成することができる。図に示されるように、電極802が、正に帯電可能である一方で、隣接する電極804は、負に帯電可能である。この交互に帯電されたパターンは、電極パターン800全体にわたって二次元に続くことができる。パターン800にあるように、これが個々の電極レベルでなされるときは、そのパターンによって可能である最小ピッチを観察することができる。すなわち、パターン800は、それが可能である限り最小の異物を引き付けることができるように構成される。この特定のパターンの単純な幾何学形状を前提とすると、このような可能な限り最小の異物は、総じて、ほぼ1つの電極のサイズであろう。
図8Bは、代表的な一実施形態に従う、交互に帯電された構成を有する図8Aの碁盤の目状タイプの電極パターンを上平面図で示している。代替構成の電極パターン806は、明らかにパターン800と全く同じ電極及びコンポーネントに形成されている。すなわち、パターン800及び代替のパターン806の形成には、同じ64個の電極が使用されている。細かいピッチで64の領域が交互するパターン800と異なり、代替のパターン806は、交互する領域が4つのみであるように構成される。これは、効果的に大きいピッチが形成されるように幾つかの電極における電荷を操作することによって達成することができる。例えば、電極802における電荷が同じにとどまる一方で、(電極802に取って代わる)隣接する電極808は、その電荷を負から正に切り替えられている。より単純な4領域パターンを実現するために、同様の電荷の切り替えが、電極が64個のパターンのなかのその他の様々な電極に対してもなされている。
各電極における電荷を同様なやり方で操作することによって、代替として多種多様なその他の電極パターンも実現することができる。例えば、図8A及び図8Bに示された8×8パターン及び2×2パターンに加えて、4×4パターンも同様に実現することができる。或いは、4×2、1×1、及び2×1などのその他のパターンも構成することができる。更に、電極又は有効電極領域の数は、64に限定されず、この数よりも小さくても又は大幅に大きくてもよい。このように、電極構成配置として数々の可能性が考えられ、このような構成配置の多くは、数々の異なる電極パターンに構成可能である。このような様々な電極パターンは、異なるピッチも有することができる。
図9A〜図9Dは、代表的な実施形態に従う、噛み合わせ電極構成配置を伴う更に複雑な電極パターン例を示している。先ず、図9Aには、適切な電気吸着表面に対して使用するための直線縞模様の代表的な噛み合わせ電極パターンが、やはり上平面図で示されている。この電極パターンは、わかりやすくする目的で例示されている。電極パターン又は構成配置900に示されるように、2つの電極902、904のみが存在する。電極902が、正に帯電可能である一方で、電極904は、負に帯電可能であり、両電極の極性は、必要に応じて逆転可能であってよい。
電極902、904は、電気吸着力が生じるための数々の異なる領域を、これら2つの電極のみから観察することができるように、互いに噛み合わされている。電極902、904の特定の幾何学形状ゆえに、この特定のパターン構成配置におけるピッチは、多くの場合、事実上、互いに噛み合わされた「指」の幅になるだろう。これらの指が比較的狭い場合は、パターン配置900を使用して電気吸着清掃器具若しくはシステムに吸着させることができる又は同器具若しくは同システムによって処理することができるデブリ又は粒状物質又はその他の異物のサイズが比較的小さくなるだろう。
図9Bは、代表的な一実施形態に従う、適切な電気吸着表面に対して使用するための斜線縞模様の噛み合わせ電極パターンを、上平面図で示している。図9Bに示された電極パターンは、図9Aに示された電極パターンに類似しているが、「指」すなわち噛み合わされた電極は、傾斜されて斜線縞模様を形成している。様々な角度が使用可能である。また、図9Aに描かれた直線縞模様及び図9Bに描かれた斜線縞模様は、例示を目的とした例に過ぎず、任意のその他のパターンが使用可能である。
図9Cは、代表的な一実施形態に従う、図9Aのパターンの複数の反復を組み入れた代表的な噛み合わせ電極パターンを、やはり上平面図で示している。全体の電極パターン906は、図9Aからのパターン900を反復させた又は複製したものを6つ含む。これらのパターン900の「複製」は、効果的に互いに噛み合わされ、次いで、共通のバス又はコネクタ908によって接続される。このような共通のバス又はコネクタ908は、それぞれ、反復複製の片側のような、パターン900の6つの部分集合のうちの同様に帯電された領域を接続するために使用することができる。この特定の例では、各コネクタ908は、全体パターン906における交互する「指」900のうちの同様に帯電可能な領域を接続するように構成配置することができる。すなわち、1つのコネクタ908は、全体パターン906のうちの第1、第3、及び第5の部分パターン900の正(又は或いは負)帯電領域のみを接続してよく、第2、第4、及び第6のそれぞれの部分パターンに対しても、同様な接続908が成されてよい。
コネクタ908によってこのように全体的に接続されたら、全体パターン906は、次いで、パターンの可観察ピッチを変更するために操作することができる。例えば、ピッチを細かくするためには、図に示されるように、全ての正電極領域及び負電極領域を、可能な限り最も細かいレベルでパターン906の全体にわたって帯電させることができる。ピッチを大きくするためには、第1、第3、及び第5の部分パターン900上の全ての相互接続領域を同じ正又は負の電荷に設定し、その一方で、第2、第4、及び第6の部分パターン900上の全ての相互接続領域をその他の3つの部分パターンとは反対の同じ電荷に設定することができる。例えば、第1、第3、及び第5の部分パターン900は、全体的に正であってよく、その一方で、第2、第4、及び第6の部分パターンは、全体的に負であってよい。これは、全体ピッチを大きくする結果となり、その結果、電極902の1本の指の幅よりは大きいが部分パターン900の全体幅よりは小さいようなサイズの粒子を無視する傾向が得られるだろう。
図9Dは、この概念を、図9Cのパターンの複数の反復を組み入れた更に拡張された電極パターンに当てはめている。図に示されるように、全体の電極パターン910は、電気吸着清掃器具の電気吸着表面912の後ろに又は同電気吸着表面912に近接して配置することができる。図9Cに示された全体パターンに対応する複数の部分パターン906は、それら自体が互いに噛み合わされたパターンであり、全体の電極パターン910にわたって複数の方向に提供されている。全体パターン910のピッチ指定に関して更なる制御が可能であるように、各部分パターン906の間に更なる共通のバス又はコネクタを形成することができる。このプロセスは、ピッチサイズの指定に対する更なる制御を可能にするために、更なる繰り返しを実施することもできる。図9C及び図9Dは、図9Aに示された電極パターンの反復を、例示を目的として例として描いているにすぎず、図9Bに示された斜線縞模様の電極パターン、又はその他の任意のパターンも同様に使用可能である。
図10Aは、代表的な一実施形態に従う、走路ベースの電気吸着清掃器具1000を示している。器具1000は、持ち手の握り1002、高さ調整可能な持ち手1004、及び清掃パッド1006などのコンポーネントを含んでいてよい。これらは、例示のための代表的なコンポーネントであり、図10Aに示された電気吸着清掃器具1000構成には、その他の多くのコンポーネントを含めることができる。
図10Bは、代表的な一実施形態に従う、図10Aの電気吸着清掃器具のための走路構成の拡大表示図を示している。図10Bは、2つのローラ1008A、1008B、ベルト1012によって覆われた電気吸着パッド1010などの、清掃ヘッド1006の内側に収容されたコンポーネントを描いている。ベルト1012は、例えば、電気吸着パッド1010を覆う薄いプラスチックシートを含むことができる。持ち手1004は、電気吸着パッド1010の電極に印加される入力電圧を制御する及び/又は変更するための手段(例えば、ボタンダイヤルやつまみなど)を含んでいてよい。電気吸着清掃機器1000が、デブリを上に有する表面上において(例えば、持ち手1004を使用して)前方へ又は後方へ押されるのに伴って、電気吸着パッド1010は、ローラ1008Aとともに回転し、デブリをベルト1012に静電的に吸着させる。更に、電気吸着清掃器具1000は、ベルト1012の近くに位置決めされた又はベルト1012に接触している掻き取り器1014を含んでいてよい。電気吸着清掃器具1000の運動とともにベルト1012が回転するのに伴って、掻き取り器1014は、ベルト1012に吸着されたデブリを除去してベルト1012を清掃するように構成されてよい。ローラ1008Aは、清掃器具1000の運動に相対的に前方に又は後方に回るように構成することができる、又はローラ1008Aは、清掃されるべき表面からの接触摩擦によって受動的に回転することを許されてよい。
図10Cは、代表的な一実施形態に従う、代替の走路ベースの電気吸着清掃器具の一部分を示している。図10Cに描かれた構成配置では、ベルト1012は、動かない電気吸着パッド1016(電極を含む)の外周を回転する。ベルト1012は、電極を含んでいない。電気吸着パッド1016も、その中の電極もいずれも、ベルト1012とともに回転しない。一部の例では、図10Cに示されたこの構成は、ベルト1012からの(例えば、掻き取り器1014などの掻き取り器による)デブリの除去を向上させるだろう。電気吸着パッド1016に近い部分のベルト1012に付着したデブリは、ベルト1012に強く付着されるだろう。ベルト1012が回転して電気吸着パッド1016から遠ざかるのに伴って、デブリは、ベルト1012への付着が弱くなり、より容易に除去できるようになる。
図10Dは、代表的な一実施形態に従う、表面1018を清掃している走路ベースの電気吸着清掃器具1000を、側面斜視図で示している。走路ベースの電気吸着清掃器具1000は、地面又は床表面1018を横断してそこからデブリ又は異物1020を清掃するように構成することができる。電力供給部すなわち電源と、(1つ以上の)入力コンポーネントと、詳しく上述されたものと同様な様々な電極とを有することに加えて、清掃器具1000は、幾つかの追加特徴も含む。ユーザが手動で器具全体1000を、表面1018を横断する(矢印で示される)前進運動などで動作させる又は操作するために、持ち手1004を提供することができる。一部の例では、清掃ヘッド1006は、1つ以上のローラ(例えば、1008A及び1008B)を収容するように、更に電池などの電力供給部、高電圧DC−DC変換器などの駆動エレクトロニクス、その他の付属のスイッチ、及び回路も収容するように構成されてよい。清掃パッド1006は、また、ベルト1012の回転を能動的に駆動するための電気モータ、又はローラの回転を表面1018上において特定の速度で及び/若しくは清掃ヘッド1006の移動方向に相対的に特定の方向に駆動するための機械式伝動機器を収容していてよい。
電気吸着表面は、連続したループ、すなわち1つ以上のローラ1008A、1008Bに架かる走路の形態で構成することができ、電気吸着表面の後ろに又は電気吸着表面に隣接して、様々な電極(不図示)を配置することができる。器具1000が、表面1018を横断するのに伴って、器具の下にくる部分の電気吸着表面に近接する電極に電圧が印加され、したがって、器具1000の下にあって電気吸着力を伝わらせる部分の電気吸着表面に、異質表面1018上の粒状物質及び/又は異物1020が吸着される。
器具1000の運動中に、走路状の電気吸着表面又はベルト1012が器具1000の前側で異質表面1018から離れて行くのに伴って、異物1020の少なくとも一部は、ベルト1012に吸着された状態にとどまることができ、したがって、異質表面1018から運び上げられて、器具1000の上側走路部分を横断することができる。
図10Eは、代表的な一実施形態に従う、イオン電荷散布器1024を有する代替の走路ベースの電気吸着清掃器具1022を、側面斜視図で示している。代替の走路ベースの電気吸着清掃器具又はシステム1022は、幾つかの点で上記の器具1000と同様であってよい。同一の又は類似の持ち手、ローラ、及び連続走路状の電気吸着表面を有することに加えて、器具又はシステム1022は、1つ以上のイオン電荷散布器1024も有することができる。このような(1つ以上の)イオン電荷散布器1024は、イオン電荷を清掃器具又はシステム1022の前方に噴き付ける又はそれ以外の形で分散させることができる。
この構成配置又はシステムでは、個別の電気吸着表面、シート、又はベルトは、正又は負に帯電した1つの電極のみを関連付けられているかもしれない。したがって、噴き付けられるイオン電荷は、走路状の電気吸着表面又はベルト全体にわたる単一の電荷とは反対の極性であってよい。例えば、イオン電荷散布器1024は、異質埃粒子に負の電荷を噴き付けることができ、その一方で、電気吸着表面は、今や確実に負に帯電している埃粒子を全て拾い上げるように正に帯電されているだろう。この実施形態の利点は、1つには、清掃されるべき埃粒子又はデブリ粒子及びその他の異物1020にかかる電荷の極性を、それを趣旨とした特定のイオン電荷が噴き付けられているゆえに、正確に予測可能であることである。このようにすれば、電気吸着表面は、噴き付けられる電荷とは反対の極性を持つ1つの電極のみを必要とすればよいという意味で、大幅に単純化することができる。
これらの特定の走路状電気吸着清掃器具の例、及びその他の様々な例では、器具及びシステムの幾つかの追加態様を適用することができる。例えば、具体的に対象とされる様々な物体をそのサイズ及び/又は重さなどに基づいて拾い上げるために、1つ以上の電気吸着把持コンポーネントにかかる電圧の大きさを変化させることができる。このような対象化は、詳しく上述されたような、可変ピッチのパターン電極構成配置を使用して実現することもできる。
また、電気吸着把持コンポーネントの極性の交替が幾つかの利点を提供することができるとも考えらえる。例えば、粒子又はその他の異物は、印加された電荷の極性を低減させる、遮断する、又は逆転させるなどによって先ず把持され次いで解放されるときに、損傷を受ける又は自身が不都合に帯電されることが起こりにくい。場合によっては、この現象を使用し、望ましい方式で又はそれ以外の制御方式で粒子又は異物を電気吸着表面から分散させる又は反発させることが可能だろう。例えば、直流パルスが使用される場合は、持続時間が短い負極性パルスによって、電気吸着表面からの汚れ及びその他の異物の迅速な解放又は反発を助けることができる。
様々な例では、開示される電気吸着清掃器具及びシステムは、電圧が完全オン状態にある、引き下げられた、オフに切り替えられた、又はひいては逆転されたなどの異なる段階にあるときに埃又はその他の異物をより完全に解放する機械的手段を用いることができる。電気吸着表面からの粒子及び異物の除去を助ける幾つかのアプローチとして、例えば電磁ソレノイドなどによって器具に衝撃を与える、例えば電磁コイル若しくは埋め込み式電気活性ポリマデバイスなどによって器具を振動させる、又は電気吸着表面の面に平行に噴出される空気ジェット若しくは水ジェットを使用するなどが挙げられる。入力電圧の引き下げ又はオフ切り替えは、粒子の完全な解放には至らないことが多く、特に、埃などの軽い粒子の場合は、電気吸着表面の清掃又は再利用を助けるために機械的なワイパ又はブラシを使用することが望ましいだろう。
これを継続的に行う方法の1つは、連続走路式又はローラ式の実施形態においてである。電気吸着表面は、その長さに沿って幾つかの特徴的なパターン又は区画を有することができる電気吸着走路又はベルトの形態をとることができる。このような構成配置では、清掃されるべき異質表面に電気吸着表面が接触し始めるのに伴って電気吸着表面を帯電させるために、非回転式で且つ電極を結合された前方ローラを使用することができ、電気吸着表面及び吸着された異物が巻き上げられ、清掃されている異質表面から離れた後に、電気吸着表面又はベルトを放電するために、後方ローラを使用することができる。一部の例では、前方ローラ及び/又は後方ローラの内部に完全に電気吸着エレクトロニクスを搭載することができる。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,554,787号に記載されるような、「平たくされたタイヤ」及び「フラップ付きの車輪」設計などの、その他のタイプの電気吸着表面もまた、このような清掃目的で用いることができる。
図10Fは、代表的な一実施形態に従う、走路ベースの電気吸着清掃器具のための清掃構成配置を示している。図10Fに描かれた清掃構成配置は、上述されたいずれの電気吸着器具にも実装可能な「自己清掃式」構成配置として言及することができる。図10Fは、3つのローラ1026A、1026B、1026Cを含む走路ベースの電気吸着器具1025を描いているが、これよりも多い又は少ない数のローラが使用可能である。器具1025を駆動するために、例えば電気モータによってローラのうちの1つ以上が通電されてよい。器具1025は、また、電気吸着パッド1028と、ベルト又は薄いシート1030(例えば、誘電性材料で作成することができる)と、掻き取り器132と、ブラシ1034とを含む。器具1025が、清掃されるべき表面1036を横断するのに伴って、電気吸着パッド1028に電圧が印加されると、表面1036上のデブリは、電気吸着によってベルト1030に付着されるだろう。ベルト1030が移動又は回転して表面1036から遠ざかるのに伴って、掻き取り器1032は、ベルト1030に吸着されたデブリを除去する。更に、ブラシ1034は、掻き取り器1032によってベルト1030から全てのデブリが除去されなかった場合に、ベルト1030に付着されたままの一部のデブリを除去するように構成されてよい。ベルト1030を清掃するためには、例次第で、掻き取り器1032がブラシ1034を伴わずに使用されてもよいし、ブラシ1034が掻き取り器1032を伴わずに使用されてもよい。図10Fに示された構成配置は、例示のための一例であり、ベルト1030及び/又はパッド1028を清掃するためには、異なるコンポーネントを伴う異なる構成配置を使用することが可能である。例えば、ブラシ1034を使用する代わりに、ベルト1030の清掃にスポンジを使用することができる。その他の例も可能である。
例では、電気吸着パッド1028は、非回転式であってよく(すなわち、固定されてよく)、ローラ1026A、1026Bは、固定されてよい。これらの例では、ベルト1030及び/又はパッド1028を清掃するために、ローラ1026A、1026Bを速く回らせて、清掃サイクルを実施させてよく、該サイクルは、ベルト1030及びパッド1028を回転させて、それによって、ベルト1030及び/又はパッド1028に吸着されたデブリを掻き取り器1032及び/又はブラシ1034に除去させるものである。
図10Gは、代表的な一実施形態に従う、デブリを集めるためのトレイを有する電気吸着清掃器具を示している。例えば、掻き取り器及び/又はブラシが、電気吸着清掃器具のベルトに付着されたデブリを除去することによってベルトを清掃するのに伴って、除去されたデブリを、トレイに集めることが可能である。図10Gは、清掃ヘッド1006に組み付ける及び清掃ヘッド1006から取り外すことができるトレイ1038(例えばごみ箱又はその他の容器)を描いている。所与の清掃メカニズム(例えば掻き取り器及び/又はブラシ)が、ベルトに吸着された汚れを除去するのに伴って、除去された汚れは、トレイ1038に集めることができ、該トレイ1038は、のちほど清掃のために取り外して清掃ヘッド1006に再装着することができる。ベルトが電気吸着パッドの外周を回転するように構成されるこのような実施形態では、電気吸着パッドは、清掃されるべき表面上のデブリに接触しないのが一般的であり、したがって、清掃が不要である。ベルトは、清掃が必要であり、電気吸着パッドを交換する必要なく時間外に交換することができる取り外し可能なパーツであってよい。
したがって、図6A〜図6Eに示された電気吸着パッドなどの電気吸着表面、及び図10A〜図10Gに関連して説明された連続した電気吸着ベルト又は走路は、幾度かの清掃動作後に取り換えることができる消耗品又は使い捨て品として扱うことができる。幾つかの例では、最も外側のパッド層又は走路層が古くなりすぎた、損傷を受けた、又は汚れたときに、ユーザがその層を単純に剥がして捨てることができるように、薄い層状のパッド又は走路を互いに多数積み重ねることができる。このような事例では、たとえ最も厚い構成をとっているときでも、電気吸着パッドによって生成される電界が走路又はベルトの材料を十分に貫通し、したがって、走路又はベルトの表面上に電気吸着力が存在するように、しかるべき注意が払われるべきである。
図10Hは、代表的な一実施形態に従う、走路ベースの電気吸着清掃器具の背面図1040を示しており、図10Iは、代表的な一実施形態に従う、トレイ及び交換可能なベルト又は交換可能なローラを伴うモジュール式の走路ベースの電気吸着清掃器具を示している。背面図1040は、押されたときに清掃ヘッド1006を開かせてベルト1012又は電気吸着パッド1010の取り外し又は交換を促すボタン1042(バネメカニズムを伴う)を描いている。図10Iに示されたモジュール式の設計は、清掃ヘッド1006から取り外す及び清掃ヘッド1006内に再装着することができるトレイ1038も描いている。このようなモジュール式の設計は、幾度かの清掃動作後にベルト及び/又は電気吸着パッドを取り外す及び交換することを促し、ベルト及び/又はパッドを消耗品又は使い捨て品と見なす。ベルトが電気吸着パッドの外周を回転するように構成され且つ電気吸着パッドが清掃されるべき表面上のデブリに接触しない例では、ベルトのみが交換可能であればよく、電気吸着パッドは交換不要である。
以上の例に加えて、その他のタイプの清掃器具も考えられる。例えば、埋め込み式モータを伴う転がり器具は、市販の自走式掃除機ロボットと同様に、自身で動くように構成することができる。例えば、壁面走行ロボットは、異質表面を這い上がるのに伴ってその異質表面を清掃し、場合によっては検査などのその他の動作を行うこともできる。転がり運動が必要でない又は望ましくない応用では、図6A〜図6Eに示されたのと同様な平らな能動式電気吸着清掃パッドを清掃パッチとして使用することができる。著しく大きい能動式電気吸着清掃パッドは、例えば室内を効果的に覆う取り剥がし可能な(例えば透明な、単色の、又は装飾的な)壁紙として構成することができる。ブラウン運動ゆえに、埃又は花粉及びその他のアレルギー源が室内を飛び回るのに伴って、そのような粒子は、能動式電気吸着清掃壁紙に引っ付くだろう。ユーザは、定期的に、単純に能動式電気吸着をオフに切り替えて、布などの別個の従来の清掃道具によって壁紙を拭くことができる。電気吸着は、また、適合性も可能にし、自身をマスク若しくは人工呼吸器などの着用可能な器具に役立てたり、又は衣服に埋め込んだりすることができる。このような事例では、電気吸着は、マスクを構成している織物及び/又はその他の素材に織り込み可能なフィルタの追加として自身に埃を捕えるように機能することができる。
図11Aは、代表的な一実施形態に従う、電気吸着清掃器具のための代替の構成配置を示している。図11Aは、例えば、壁を清掃するのに適した短い持ち手1102を有する電気吸着清掃器具を描いている。しかしながら、その他の例では、これよりも長い持ち手を使用することができ、電気吸着清掃器具は、任意のタイプの表面を清掃するために使用することができる。電気吸着清掃器具は、1つのローラ1104を含んでいてよい。ローラ1104は、コンプライアントな裏当て1108の上に電気吸着パッド1106(例えば電極を埋め込まれている)を含んでいてよい。ローラ1104は、幾つかの例では、1つのローラごとに2つ以上のパッドを含んでいてよい。ローラ1104は、幾つかの例では、安全のためにあらゆる伝導性材料をローラ1104の内側に閉じ込められるように、すなわち全ての電気的接続をローラの内側で行うことができるように、第1のシェル1104Aと第2のシェル1104Bとを有するダブルシェル設計で作成されてよい。応力緩和のために、及びローラ1104の例えば円形の断面を維持するために、継ぎ目1112には、吸着性の膜を使用することができる。図11Aは、モジュール式設計の電気吸着清掃器具1000を描いており、ローラ1104は、必要な際に容易に取り外して新しいローラに交換することができる。
図11Bは、代表的な一実施形態に従う、除去されたデブリ1116をローラ1104の回転中に除去するためにローラ1104に接触している掻き取り器1114を示している。掻き取り器1114は、ローラ1104の電気吸着表面に寄り掛かった状態で描かれている。掻き取り器1114は、ローラ1104が回転するのに伴って、ローラ1104の電気吸着表面に吸着されたデブリ1116の少なくとも一部分を除去するように構成されてよい。掻き取り器1114は、掻き取り器1114がローラ1104のいずれの移動方向にもデブリを除去することを可能にするのに有効な角度でローラ1104の電気吸着表面に寄り掛かるように構成することができる。
図11Cは、代表的な一実施形態に従う、図11Aに示された電気吸着清掃器具の背面図であり、バネによって負荷をかけられた掻き取り器1114を示している。図11Cは、掻き取り器1114がデブリ1116を効果的に除去するためにローラ1104との接触を維持することができるように、バネ1118が掻き取り器1114に負荷をかけている又は掻き取り器1114を押している状態を描いている。掻き取り器1114とローラ1104との間の接触を維持するためには、その他の機械的手段も使用可能であるので、バネによる負荷は、一例に過ぎない。
図12は、代表的な実施形態に従う、ローラベースの及び走路ベースの電気吸着清掃器具のためのそれぞれの回転構成を描いた様々な構成配置を示している。構成配置1は、ローラ1202を有するローラベースの電気吸着清掃器具を描いている。ローラは、上記の例(例えば図11A〜図11Cに関連した説明)で説明されたように、電気吸着パッド及び電極を含んでいてよく又は電気吸着パッド及び電極に結合されていてよく、また、柔らかい発泡体の裏当て又はその他のタイプのコンプライアントな裏当ても含んでいてよい。構成配置1では、ローラ1202は、移動と同じ方向に回転する(すなわち、清掃されるべき表面に沿って転がる)。構成配置2は、ローラ1202が逆方向に転がる点を除き、構成配置1と同様である。電気吸着ローラを、清掃されるべき表面上において電気吸着器具の移動の方向に相対的に後方へ電気吸着ローラを駆動することによって、デブリを拾い上げる速度が増すだろう。構成配置1と比べたデブリの拾い上げの向上は、表面がその上に2層以上のデブリ汚れを有するときに、いっそう際立つだろう。
構成配置3は、図10Cに示された電気吸着清掃器具と同様な電気吸着清掃器具を描いている。構成配置3の電気吸着清掃器具は、電圧を印加されたときに電気吸着力を生成する電極を含むことができる動かない電気吸着パッドの1206に巻き付けられたシート状のベルト1204を含む。図10Cに関連して説明されたように、構成配置3は、ベルト1204に吸着されたデブリの除去を促進するだろう。構成配置3では、ベルト1204は、構成配置2で説明されたようにデブリの拾い上げを向上させるために、清掃されるべき表面上において電気吸着器具の移動の方向に相対的に後方へ転がる。
構成配置4は、ローラ1202に巻き付けられたシート状のベルト1204を描いている。この構成配置では、ベルト及びローラがともに回転してよい、又はベルトが回転する一方でローラは動かなくてよい。この例では、ベルト1204は、拾い上げを向上させるために、清掃されるべき表面上において電気吸着器具の移動の方向に相対的に後方へ回転している。構成配置5は、構成配置4に追加された掻き取り器1208を描いている。掻き取り器は、例えば、図11Bに示された掻き取り器1114又は図10Fに示された掻き取り器1032と同様であってよく、ベルトに付着したデブリを除去するように構成されてよい。なお、構成配置5は、清掃機器の移動の方向に関わらずベルトが同じ方向に回転するように構成されることを示している。したがって、移動の方向1では、ベルトは後方へ回転し、移動の方向2でも、ベルトの回転は変わらない(例えば、清掃されるべき表面に沿って転がる)。構成配置6は、構成配置5に類似しており、ただし、ベルトは、電気吸着清掃器具の移動の方向が変わると回転の方向を変えるように構成される。ベルトは、したがって、移動の方向に関わらず、移動の方向に相対的に後方へ回転する。
図12に示されるように、一部の事例では、走路ベースの清掃器具は、走路又はベルトに結合されて又は埋め込まれて走路又はベルトとともに回転する電極を含んでいてよい。しかしながら、その他の事例では、回転する走路又はベルトは、動かない電極の外周を回転する誘電性材料(例えば、ポリマ材料)のシートを含んでいてよく、したがって、走路又はベルトは、動かない電極に相対的に回転する。
図12に示された構成及び構成配置は、例示を目的として含められた例である。特徴及び構成配置のその他の構成又は組み合わせも同様に可能である。ローラ又はベルトの回転は、清掃されるべき表面上を転がる結果としてもたらされてよい、又は器具は、ローラ及び/若しくはベルトを回転させる(例えば電気モータによる)通電を受けてよい。
所与の能動式の電気吸着清掃器具のための電力は、例えば、電池、コンデンサ、又はその他の記憶装置から来ていてよい。場合によっては、電力は、例えばファンデグラーフ発電機で使用されるものと同様に、清掃器具自体の運動によって生成することができる。場合によっては、清掃器具を対象表面に対して又は内部で清掃器具本体に対して擦り付けることによる摩擦電気効果から所要の電荷を生成することも可能だろう。例えば、このような結果は、電気吸着ベルト又は走路の形態をとる電気吸着表面が前方へ駆動されるような場合に得ることができる。所与の電気吸着表面が(例えば一般的な家庭用電気掃除機やカーペット用掃除機がそうであるように)前後運動で使用されることが望ましい場合は、清掃されるべき表面に接触している電気吸着走路又はベルトの表面を高電圧に維持しつつ、清掃されるべき表面から離れている走路の上面を地電位に維持することができる。これは、電気吸着走路の動きの方向に関わらず能動式電気吸着清掃器具が対象表面を清掃することを可能にすることができる。このような実施形態では、異類の材料で形成されたローラ又はその他の類似コンポーネントの周りで回転することによって電荷を収集する収集ベルト又はその他の類似コンポーネントを、器具又はシステムの入力コンポーネントだと見なすことができる。
図13は、代表的な一実施形態に従う、電気吸着清掃器具を通電している電池1302を描いた構成配置を示している。電気吸着器具は、両方向への移動のためのローラ又は車輪1304A、1304Bを含む。器具は、また、ベルト又は電気吸着パッド1308を回転させるために使用することができるローラ1306A、1306Bも含む。一部の例では、電気吸着パッドは、ベルト1308とは別個にローラ1306Aに結合されてよい。電極は、例えば、ベルト1308に又はローラ1306Aに埋め込むことができる。その他の例も可能である。図13に描かれた電気吸着清掃器具を動作させるために使用されるエレクトロニクスは、ローラ1306A、1306Bの1つ以上に埋め込まれてよい。器具は、また、ベルト1308に吸着されたデブリを清掃するためのバネ−掻き取り器メカニズム1310も含む。掻き取り器は、器具のいずれの移動方向におけるデブリ除去も促進する角度を有するように構成することができる。メカニズム1310によって清掃されたデブリは、こぼれ落ちないようにリップ1314を有するトレイ1312に集めることができる。
電池1302は、清掃器具を及び清掃器具の様々な機能を駆動するように構成されたあらゆるエレクトロニクスを通電するように構成されてよい。また、図13に示されるように、電池1302は、電気吸着清掃器具を安定化させる釣り合い重りであるように構成されてよい。
考えられる更に別の特徴として、埃、汚れ、又はその他の異質粒子若しくは物品を感知する追加能力が役立つだろう。このような感知は、相互作用表面上又は電極表面上の1つ以上の場所における静電容量及び/又は抵抗を測定することによって達成することができる。静電容量及び/又は抵抗の変化は、電気吸着表面上に過剰な汚れ又は粒状物質があることを示すことができる。このような感知結果は、数々のやり方で機能させることができる。指示灯又は指示音の形態をとる警報が、表面が清掃又は交換を必要としているだろうことをユーザに知らせることができる。或いは又は加えて、汚れ又は粒状物質の量の増加の感知は、逆極性のバースト又はパルスなどによって汚れを反発させるなどの自動応答をもたらすこともできる。バースト又はパルスのレベル又は反復は、感知される表面上の汚さが増すのを受けて必要に応じて増加させることができる。また、感知は、清掃又は操作されるべき材料のタイプ及び/又はサイズを区別するために使用することもできる。
上述された以上の電気吸着器具の例では、1つのローラ又は2つのローラが描かれており、そのうちの1つが、清掃されるべき表面に触れている一方で、もう1つは、清掃されるべき表面に触れていない。しかしながら、一部の例では、電気吸着器具は、清掃されるべき表面にそれぞれ触れていて且つそこからデブリを除去する2つ以上のローラを含んでいてもよい。
図14Aは、代表的な一実施形態に従う、2つのローラを有する電気吸着清掃器具1400を示している。図14Aは、また、電気吸着清掃器具1400の清掃ヘッド1402の中身の一部分の分解立体図も示している。清掃ヘッド1402は、電気吸着電力モジュール1404を含み、該モジュールは、電池を含んでいてよい。清掃ヘッド1402は、また、電気吸着表面を結合された2つのローラ1406A、1406Bを含んでいてよい。電気吸着表面は、電力モジュール1404によって通電される電極を含んでいてよい、又はそのような電極に近接していてよい。その他の例では、更に多くのローラが使用可能である。清掃ヘッド1404は、また、埃掻き取り器及びデブリ収集トレイ1408も含んでいてよい。
図14Bは、代表的な一実施形態に従う、図14Aに示されたローラを別の視点から示している。図14Bは、掻き取り器1410を見せた図を示しており、該掻き取り器は、ローラ1406A、1406Bの電気吸着表面に付着したデブリを除去するように構成されてよい。除去されたデブリは、トレイ1412に集めることができる。ローラ1406Aに結合されたフラップ1413A及びローラ1406Bに結合されたフラップ1413Bは、例えば図7Bに関連して説明されたフラップ714と同様に機能してよい。
図14Cは、代表的な一実施形態に従う、反対方向に回転している2つのローラを有する電気吸着清掃器具を示している。図14Cは、器具1400の代表的な移動方向も示している。一部の例では、2つのローラ1406A、1406Bは、同じ方向に(例えば時計回りに)回転してよい。しかしながら、図14Cに示されるように、2つのローラ1406A、1406Bは、反対方向に回転するように構成されてよい。図14Cに示された例では、前方のローラ1406Aは、前方へ回転している。このローラ1406Aは、電気吸着清掃器具1400によって拾い上げられる大きめのデブリ粒子を平坦化する及び粉砕するために使用されるように構成されてよい。次いで、逆に転がるローラ1406Bが、平坦化及び/又は粉砕された粒子を拾い上げてよい。こうして、二重ローラ構成は、デブリ拾い上げのパフォーマンスを向上させるとともに、清掃されるべき表面からの様々なサイズの粒子の拾い上げ又は除去を促進させるだろう。また、ローラ1406Aとローラ1406Bとの間の隙間には、デブリ粒子1414が蓄積するだろう。多くの汚れ粒子が蓄積すればするほど、それらの粒子はローラ1406A、1406Bに押し付けられ、拾い上げのパフォーマンスが向上される。
以上の例は、家庭用クリーナ(例えば掃除機)に似た構成配置の電気吸着清掃器具を例示してきた。しかしながら、本明細書で説明される電気吸着清掃器具は、代替の構成配置及び構成でも使用することができる。例えば、電気吸着清掃は、処理される前又は製造プロセスに通される前の物体を清掃するために、工業プラントに適用することができる。
図15は、代表的な一実施形態に従う、独立したコンベヤベルトベースの能動式の電気吸着清掃システムを、側面図で示している。図に描かれたこの能動式の電気吸着清掃システム1502は、複数のローラ1506又はその他の類似コンポーネントに沿って処理を行う電気吸着帯電コンベヤベルト1504を含むことができる。このコンベヤベルト1504は、事実上システムの電気吸着表面である上表面と、ベルトの下に又はベルトに近接してパターン形成することができる複数の電極(不図示)とを含むことができる。
汚れ又は埃で覆われた所与の異物1508Aが電気吸着帯電ベルト1504に遭遇すると、この異物1508Aは、ベルト上においてベルトに沿ってごちゃ混ぜで進むのに伴って、電気吸着プロセスを通じて清掃される。このような清掃は、例えば、異物がベルトに沿って進む間ずっとベルト全体にわたって印加されるパルス状の電気吸着力によって成し遂げることができる。異物1508Aは、図に示されるように、図の左側で電気吸着帯電コンベヤベルト1504に最初に遭遇したときは、ひどく汚れており又は埃まみれであり、ベルト沿いの途中の場所では、幾らかの汚れ又は埃が異物1508Bから除去されている。一部の例では、異物がベルト1504に沿って終点に達する頃には、汚れ又は埃の全部又は大部分が、異物1508Cから除去されている。したがって、ベルト1504自体は、清掃プロセスの開始から終了に向かうにつれて次第に汚れていく。幾つかの代替の例では、ベルトに沿って進む物体をコーティングする目的で、ベルトによって埃が収集されるような、逆のプロセスも有用であってよい。このようなコーティングプロセスの一例として、ガラスシートを、それらが積み重ねられたときに互いにあまり引っ付き合わないように、粉末でコーティングすることが挙げられる。この例では、ローラの回転速度の調整によって、粉末が拾い上げられる速度が調整される。
以上の例で説明された電気吸着パッドを含むローラなどの電気吸着表面を作成するために、幾つかの製造技術及び製造方法を使用することができる。方法の一例は、吹き込み成形によって円柱状のプラスチックを形成し、次いで、その外表面上に、導電性インクを使用して電極をパッド印刷(又はローラ印刷)することを含んでいてよい。電極は、高い電圧をかけられ、したがって、電極における抵抗性に耐えられるので、この目的には、多くの導電性インクが適しているだろう。この製造プロセスは、電極を流れることができる電流の量を本質的に制限する「抵抗性電極」(例えば、106〜107Ω/□)の実装を容易にするだろう。したがって、電気吸着清掃器具は、たとえ電極を保護する誘電体コーティングが損なわれても、触れても安全だろう。ローラに印刷された電極は、(例えば図9Aに示されたような)直線縞模様、(図9Bに示されたような)斜線縞模様、これらの2つのパターンの組み合わせ、又はその他の任意のパターンを有していてよい。ローラに印刷される電極のパターンのタイプ、及びローラの速度の制御は、清掃されるべき表面上の異物又はデブリが電気吸着表面に吸着される前に、それらの異物又はデブリに対し、時間的に変化する電界及び空間的に変化する電界がかけられるようにするために、使用することができる。このような時間的に変化する電界及び空間的に変化する電界は、デブリ拾い上げのパフォーマンスを向上させられるだろう。
ローラの表面上に電極が印刷されたら、(ローラと電極との)組立品は、適切な抵抗性を持つ誘電体コーティングで覆われてよい。このコーティングは、例えば、ポリウレタンで作成されてよい。誘電体コーティングは、電気的な短絡及び電気吸着ローラのパフォーマンスの低下を回避するために、電極に気泡が接触しないように塗布されるように構成されてよい。
誘電体の表面は、また、低摩擦性を有するように設計及び作成されてよい。一例では、誘電体コーティングの塗布は、熱収縮して電気吸着電極表面の周りをきつく締め付けるように設計されたポリウレタン製のぴったり嵌る管でローラを覆うことを伴っていてよい。別の一例では、塗布プロセスは、液状ポリウレタンのなかで浸漬被覆して次いでローラを硬化させることを伴っていてよい。これらの例は、例示目的にすぎず、多くのその他の製造例も同様に可能である。
3.動作例
電気吸着を使用して、粒状物質及び異物の清掃、埃取り、及びそれ以外の操作を伴うものとして、多種多様な応用が考えられるが、ここでは、一例として、基本的な方法が提供される。図16は、代表的な一実施形態に従う、表面からデブリを物理的に清掃する方法のフローチャートである。具体的には、このような方法は、上述された様々な清掃パッド、走路ベースの又はコンベヤベルトベースのコンポーネント、器具、及びシステムのいずれかなどの、能動式電気吸着器具又はシステムを使用する又は動作させることを伴うことができる。図中のブロックは、順序立てて示されているが、これらのブロックは、場合によっては、平行して及び/又は本明細書で説明されたのと異なる順番で実施されてよい。また、これらの各種のブロックは、結合されてブロックの数を減らされてよい、分割されてブロックの数を増やされてよい、及び/又は所望の実装形態に基づいて排除されてよい。
開始工程1600から始まり、プロセス工程1602において、清掃されるべき表面に電気吸着表面が近づけられる又は接触される。一部の例では、清掃されるべき表面に電気吸着表面が接触される前に、電極に既に電気吸着電圧が印加されていてよい。工程1604において、電気吸着表面は、清掃されるべき表面上のデブリに接触され、これは、工程1606において、表面上のデブリの少なくとも一部分を電気吸着表面に吸着させる。この工程では、また、例えばデブリのタイプ及び量に基づいて電気吸着力を増加させるために、電圧が引き上げられてよい。続く随意のプロセス工程1608では、図4B及び図4Cに関連して説明されたように、電気吸着表面と複数の異物のそれぞれとの間の接触表面積を増大させることができる。一部の例では、清掃器具の前面に位置しているデブリに電気吸着表面のクリーナ表面を呈するために、電気吸着パッド、ローラ、又はベルトの回転の速度を引き上げることができる。清掃されるべき表面における清掃器具の移動速度を一定に維持しつつ回転速度を引き上げることによって、より多くのデブリが拾い上げられて、例えば清掃器具のダストトレイに蓄積することが可能になるだろう。
続く判定工程1610では、表面が適切に清掃されたかどうかに関する問い合わせがなされる。このような状態の検出は、例えば、1つ以上のセンサによって達成することができる。表面が適切に清掃されていない(すなわち、かなりの量のデブリが表面上に残っている)場合は、方法は、プロセス工程1604に戻り、静電力が再印加される又は増加される。工程1610において、表面が適切に清掃されている場合は、方法は、プロセス工程1612に進み、清掃されるべき表面から電気吸着表面が遠ざけられる。
次のプロセス工程1614では、入力電圧を調整するなどによって、静電力を変更する又は修正ことができる。このような変更は、静電力の低減若しくは完全除去であってよい、又はひいては逆極性パルス若しくは反発力の適用を伴ってもよい。続くプロセス工程1616では、その他の表面の清掃のために電気吸着表面を使用することができるように、電気吸着表面からデブリを除去することができる。続く判定工程1618では、清掃が終了したかどうかに関する問い合わせがなされる。もし終了していないならば、方法は、プロセス工程1620に進み、清掃されるべき表面に対して電気吸着表面を位置決めしなおすことができる。方法は、次いで、プロセス工程1602に戻り、方法全体が繰り返される。
工程1618において清掃が終了している場合は、しかしながら、方法は、工程1622に進み、終了する。図示されていない更なる工程としては、例えば、電気吸着表面に吸着されるデブリのサイズ及び/又は量を感知すること、並びにこのような物品が感知されたときのこのような物品の除去に関連して追加の力又は工程を提供することが挙げられる。その他の工程としては、デブリの粒子サイズに関する入力を提供する及び/又は検出すること、並びにパターン電極セット内における作動によって吸着粒子のサイズを調整することが挙げられる。開示されていないその他のプロセス工程もまた、必要に応じて含められてよい。
図17は、代表的な一実施形態に従う、電気吸着表面の再利用を伴う能動式電気吸着清掃の方法のフローチャートである。方法は、上述された様々な清掃パッド、軌道ベースの又はコンベヤベルトベースのコンポーネント、器具、及びシステムのいずれかなどの、能動式電気吸着器具又はシステムを使用する又は動作させることを伴うことができる。図中のブロックは、順序立てて示されているが、これらのブロックは、場合によっては、平行して及び/又は本明細書で説明されたのと異なる順番で実施されてよい。また、これらの各種のブロックは、結合されてブロックの数を減らされてよい、分割されてブロックの数を増やされてよい、及び/又は所望の実装形態に基づいて排除されてよい。
開始工程1700から始まり、プロセス工程1702において、表面が清掃される。このような清掃プロセスは、例えば上記の図16に明記されたものと同一又は実質的に同様であってよい。続くプロセス工程1704では、電気吸着表面上におけるデブリのレベル又は量を感知することができる。これは、1つ以上のセンサが、電気吸着表面上の1つ以上の選択場所における静電容量又は抵抗を測定することによって達成することができる。続く判定工程1706では、電気吸着表面に過剰なデブリが吸着されているかどうかに関する問い合わせがなされる。もし過剰でないならば、方法は、判定工程1708に進み、清掃が終了したかどうかに関する別の問い合わせがなされる。もし終了しているならば、方法は終了し、しかしながら、もし終了していないならば、方法は、プロセス工程1702に戻り、新たに開始する。
判定工程1706において、過剰なデブリが検出された場合は、方法は、プロセス工程1710に進み、1つ以上の逆極性パルスを提供することができる。続くプロセス工程1712では、1つ以上の逆極性パルスなどによる結果として、電気吸着表面からデブリが反発される。続くプロセス工程1714では、電気吸着表面上のデブリのレベル量が再び感知される。同様な続く判定工程1716では、電気吸着表面上にまだ過剰なデブリが残っているかに関する問い合わせがなされる。もし残っていないならば、方法は、判定工程1708に進むことができる。これ以降のプロセスは、既に上で述べられている。
しかしながら、工程1716において、電気吸着表面上にまだ過剰なデブリがあると決定されたならば、プロセス工程1718において、光又は音などによって、視覚的又は聴覚的な警告又は警報がユーザに提供される。電気吸着表面は、すると、プロセス工程1720において、特別に清掃する又はひいては交換することができ、次いで、方法は、工程1722において終了する。
図18は、代表的な一実施形態に従う、その上にデブリを有する表面を電気吸着清掃する方法のフローチャートである。方法は、上述された様々な清掃パッド、軌道ベースの又はコンベヤベルトベースのコンポーネント、器具、及びシステムのいずれかなどの、能動式電気吸着器具又はシステムを使用する又は動作させることを伴うことができる。図中のブロックは、順序立てて示されているが、これらのブロックは、場合によっては、平行して及び/又は本明細書で説明されたのと異なる順番で実施されてよい。また、これらの各種のブロックは、結合されてブロックの数を減らされてよい、分割されてブロックの数を増やされてよい、及び/又は所望の実装形態に基づいて排除されてよい。
ブロック1802において、方法は、清掃されるべき表面上のデブリの上方で電気吸着表面を移動させることを含む。図10A〜図10I、図11A〜図11C、図12、図13、及び図14A〜図14Cで説明された任意の器具などの電気吸着清掃器具は、電気吸着表面を含んでいてよい。電気吸着表面は、例えば、図11Aで説明されたような、又は図12の配置構成1及び2などの、ローラの表面を含んでいてよい。その他の例では、表面は、図12の電気吸着パッド1206などの、電気吸着パッドの表面を含んでいてよい。例えば、図10Dについて言及すると、電気吸着清掃器具1000は、デブリ1022を清掃されるべき表面1018を横断するように構成されてよい。
ブロック1804において、方法は、電力供給部によって、電気吸着表面に又は電気吸着表面に近接して位置付けられた1つ以上の電極に電圧を印加することを含み、電圧は、デブリの少なくとも一部分を電気吸着表面に吸着させる。電圧は、外部入力を伴うことなく電力供給部によって印加可能であるが、その他の例では、電圧レベルは、外部入力に基づいていてよい。
図19は、代表的な一実施形態に従う、ユーザ入力に基づいて電力供給部によって電極に電圧を提供することを示したブロック図である。図19は、入力コンポーネント1902に提供される入力を示している。例示のための一例として、電気吸着器具は、例えば、図4Dに示された持ち手1004などの持ち手を含んでいてよい。持ち手は、ボタン、ダイヤル、つまみなどの入力コンポーネントを含んでいてよい。ユーザは、入力コンポーネント1902に入力を提供してよい(例えば、ユーザは、或るレベルの電圧のボタンを押してよい、又は或るレベルの電圧にダイヤルを合わせてよい)。入力コンポーネントモジュール1902は、入力に基づいて、電力供給部1904に信号を提供してよい。電力供給部1904は、このような信号に基づいて、(1つ以上の)電極1906に電圧を印加してよい。(1つ以上の)電極1906は、電気吸着表面に結合されていてよい。電圧を印加された結果として、(1つ以上の)電極は、清掃されるべき表面上のデブリを電気吸着表面に吸着させる電気吸着力を生成するのに有効な電界を発生させる。電力供給部1904によって印加される電圧は、清掃されるべき表面から拾い上げられるべきデブリのサイズが電圧のレベルに基づいて指定可能であるように、(例えば、入力コンポーネント1902への入力に基づいて)制御又は修正することができる。清掃されるべき表面上のデブリの量は、ユーザによって示されてよい。示された量に基づいて、清掃器具のローラ又は電気吸着ベルトの回転の速度は、例えばデブリ拾い上げ速度を最適にするように修正することができる。
図19のブロック図におけるコンポーネントは、互いと及び/又は各システムに結合されたその他のコンポーネントと相互接続されたやり方で機能するように構成されてよい。図19のブロック図における説明された機能、コンポーネント、又はブロックのうちの1つ以上は、分割されて機能的若しくは物理的コンポーネントの数を増やされてよい、又は組み合わされて機能的若しくは物理的コンポーネントの数を減らされてよい。更に幾つかの例では、図19に示されたブロックに、更なる機能的及び/又は物理的コンポーネントが追加されてよい。
図18に戻り、ブロック1806において、方法は、清掃されるべき表面からデブリの一部分を除去するために、そのデブリの一部分が吸着された状態の電気吸着表面を、清掃されるべき表面から遠ざけることを含む。電気吸着表面は、例えば、ローラ及び/又はベルトの表面を含むことができる。電気吸着清掃器具が、清掃されるべき表面を横断するのに伴って、ローラ及び/又はベルトは、そこにデブリが吸着された状態で回転する。ローラ及び/又はベルトは、清掃されている表面から離れるように回転し、それによって、清掃されている表面からデブリを除去する。
ブロック1808において、方法は、清掃されるべき表面から電気吸着表面が遠ざけられた後に、電気吸着表面からデブリの一部分を除去することを含む。電気吸着器具は、掻き取り器及び/又はブラシ、又は電気吸着表面に付着しているデブリの部分を除去するように構成されえるその他の任意の清掃コンポーネント(例えばスポンジ)を含んでいてよい。掻き取り器は、例えば、図11Bに示された掻き取り器1114又は図10Fに示された掻き取り器1032と同様であってよく、ブラシは、図10Fに描かれたブラシ1034と同様であってよい。例えば、除去コンポーネント(例えば、掻き取り器、ブラシ、スポンジなど)は、清掃されるべき表面から電気吸着表面が遠ざかるのに伴って、電気吸着表面に付着されたデブリを除去するように構成されてよい。
本明細書では、様々な態様及び実施形態が開示されているが、当業者にならば、その他の態様及び実施形態が明らかである。本明細書で開示される様々な態様及び実施形態は、例示を目的としており、限定を意図しておらず、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって、それらによって権利を付与される全範囲の均等物とともに示されている。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図していない。
適用例1:器具であって、
1つ以上の電極上に又は前記1つ以上の電極に近接して位置決めされ、清掃されるべき表面上のデブリと相互作用するように構成されている少なくとも1つの電気吸着表面と、
前記1つ以上の電極に入力電圧を印加し、それによって前記デブリの少なくとも一部分を前記電気吸着表面に吸着させるように構成されている電力供給部と、
を備え、前記少なくとも1つの電気吸着表面は、前記デブリの一部分を吸着された状態で、前記清掃されるべき表面から前記デブリの一部分を除去するために前記清掃されるべき表面から遠ざかるように構成されている、器具。
適用例2:適用例1に記載の器具であって、
前記少なくとも1つの電気吸着表面は、前記デブリの一部分の吸着を促すために複数の細毛を含む、器具。
適用例3:適用例1に器具であって、
前記少なくとも1つの電気吸着表面は、前記清掃されるべき表面の形状に適合するように構成されているコンプライアントな表面を含む、器具。
適用例4:適用例1に記載の器具であって、更に、
1つ以上のローラを備え、前記1つ以上のローラは、前記少なくとも1つの電気吸着表面は、前記清掃されるべき表面から遠ざかるように回転する前記少なくとも1つの電気吸着表面と結合されている、器具。
適用例5:適用例4に記載の器具であって、
前記1つ以上のローラの少なくとも1つは、前記清掃されるべき表面上における前記器具の各運動方向と同じ方向に回転するように構成されている、器具。
適用例6:適用例4に記載の器具であって、
前記1つ以上のローラの少なくとも1つは、前記器具の各運動方向と反対の方向に回転するように構成されている、器具。
適用例7:適用例4に記載の器具であって、
前記少なくとも1つの電気吸着表面は、前記1つ以上のローラの回転運動に関係して移動する連続した走路として構成されている、器具。
適用例8:適用例4に記載の器具であって、更に、
前記1つ以上のローラに結合された前記少なくとも1つの電気吸着表面に近接する掻き取り器を備え、前記掻き取り器は、前記1つ以上のローラが回転するのに伴って、前記少なくとも1つの電気吸着表面に吸着された前記デブリの一部分を除去するように構成されている、器具。
適用例9:適用例8に記載の器具であって、更に、
前記掻き取り器によって除去された前記デブリの一部分を集めるように構成されているトレイを備える器具。
適用例10:適用例8に記載の器具であって、更に、
前記掻き取り器に結合され、前記掻き取り器を前記少なくとも1つの電気吸着表面に押し付けるように構成されているバネを備える器具。
適用例11:適用例1に記載の器具であって、
前記1つ以上の電極は、所定のパターンに配置された複数の逆帯電可能電極を含む、器具。
適用例12:適用例11に記載の器具であって、
前記パターンは、複数の異なるピッチを有する噛み合わせパターンを含む、器具。
適用例13:適用例12に記載の器具であって、
前記複数の異なるピッチのそれぞれは、相応して異なるサイズの各デブリを前記少なくとも1つの電気吸着表面に吸着させるように構成されている、器具。
適用例14:適用例1に記載の器具であって、更に、
前記少なくとも1つの電気吸着表面に近接して位置決めされ、前記デブリに複数のイオン電荷を噴き付けるように構成されているイオン電荷散布器を備え、前記デブリの一部分の電気吸着は、少なくとも一部には、前記デブリ上に噴き付けられた前記イオン電荷の存在の結果としてもたらされる、器具。
適用例15:適用例14に記載の器具であって、
前記1つ以上の電極は、厳密に1つの電極を含み、前記厳密に1つの電極は、前記複数のイオン電荷とは逆の極性の電荷を帯びるように構成されている、器具。
適用例16:適用例1に記載の器具であって、
前記1つ以上の電極は、更に、1つ以上の逆極性パルスを生じさせるように構成され、前記1つ以上の逆極性パルスは、前記デブリの一部分を前記電気吸着表面から反発させるのに有効なそれぞれの反発力をもたらす、器具。
適用例17:適用例1に記載の器具であって、更に、
前記少なくとも1つの電気吸着表面に結合され、前記少なくとも1つの電気吸着表面に吸着されたデブリの量を検出するように構成されている1つ以上のセンサを備える器具。
適用例18:適用例1に記載の器具であって、
前記少なくとも1つの電気吸着表面は、前記1つ以上の電極とは別個であり、前記1つ以上の電極に対して相対的に移動するように構成されている、器具。
適用例19:適用例1に記載の器具であって、
前記少なくとも1つの電気吸着表面は、前記1つ以上の電極に結合され、前記1つ以上の電極に相対的に対して動かないように構成されている、器具。
適用例20:システムであって、
1つ以上の電極上に又は前記1つ以上の電極に近接して位置決めされ、清掃されるべき表面上のデブリと相互作用するように構成されている電気吸着表面と、
前記1つ以上の電極に入力電圧を印加し、それによって前記デブリの少なくとも一部分を前記電気吸着表面に吸着させるように構成されている電力供給部であって、前記電気吸着表面は、前記デブリの一部分を吸着された状態で、前記清掃されるべき表面から前記デブリの一部分を除去するために前記清掃されるべき表面から遠ざかるように構成されている、電力供給部と、
前記清掃されるべき表面から前記デブリの一部分が除去された後に、前記電気吸着表面に吸着された前記デブリの一部分の除去を促すように構成されている除去コンポーネントと、
を備えるシステム。
適用例21:適用例20に記載のシステムであって、
前記入力電圧のレベルは、前記清掃されるべき表面から除去されるべきデブリのサイズに対応する、システム。
適用例22:適用例20に記載のシステムであって、更に、
1つ以上のローラを備え、前記1つ以上のローラは、前記、前記1つ以上のローラと共に前記清掃されるべき表面から遠ざかるように回転する前記電気吸着面と結合されている、システム。
適用例23:適用例20に記載のシステムであって、
前記電気吸着表面は、前記1つ以上の電極に結合され、前記1つ以上の電極とともに移動するように構成されている、システム。
適用例24:方法であって、
清掃されるべき表面上のデブリの上方で電気吸着表面を移動させ、
電力供給部によって、前記電気吸着表面上に又は前記電気吸着表面に近接して位置付けられている1つ以上の電極に電圧を印加し、前記電圧は、前記デブリの少なくとも一部分を前記電気吸着表面に吸着させ、
前記電気吸着表面を、前記デブリの一部分が吸着された状態で、前記清掃されるべき表面から遠ざからせ、それによって、前記清掃されるべき表面から前記デブリの一部分を除去し、
前記清掃されるべき表面から前記電気吸着表面が遠ざけられた後に、前記電気吸着表面から前記デブリの一部分を除去すること、
を備える方法。
適用例25:適用例24に記載の方法であって、
前記清掃されるべき表面は、床である、方法。
適用例26:適用例24に記載の方法であって、
前記デブリは、粒状物質を含む、方法。