JP5916447B2 - マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法 - Google Patents

マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5916447B2
JP5916447B2 JP2012056838A JP2012056838A JP5916447B2 JP 5916447 B2 JP5916447 B2 JP 5916447B2 JP 2012056838 A JP2012056838 A JP 2012056838A JP 2012056838 A JP2012056838 A JP 2012056838A JP 5916447 B2 JP5916447 B2 JP 5916447B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
film
mask blank
substrate
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012056838A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013189684A (ja
JP2013189684A5 (ja
Inventor
石原 重徳
重徳 石原
勉 石井
勉 石井
佑介 瀬藤
佑介 瀬藤
鈴木 寿幸
寿幸 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2012056838A priority Critical patent/JP5916447B2/ja
Publication of JP2013189684A publication Critical patent/JP2013189684A/ja
Publication of JP2013189684A5 publication Critical patent/JP2013189684A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5916447B2 publication Critical patent/JP5916447B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、フォトリソグラフィプロセスにおいて使用される転写用マスク用のマスクブランクの製造方法、及びそのマスクブランクを用いて製造される転写用マスクの製造方法に関する。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚ものフォトマスク(転写用マスク)と呼ばれている基板が使用される。このフォトマスクは、一般的には、中間体としてのフォトマスクブランクの遮光膜等に所望の微細パターンを形成することにより得ることができる。それゆえ、中間体としてのフォトマスクブランクに形成された遮光膜等の特性が、ほぼそのまま、得られるフォトマスクの性能を左右することになる。従来、このフォトマスクブランクの遮光膜には、例えば、特許文献1に開示されているように、Crを含有する材料が使用されるのが一般的であった。
近年、Crに代わる遮光膜として使用する薄膜の1つとして、例えば、遷移金属と珪素とを含有する材料からなる薄膜が提案されている。例えば、特許文献2には、他の膜を介して又は介さずに1層又は2層以上の遮光膜が形成され、前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層が主成分としてケイ素と遷移金属とを含み、かつケイ素と遷移金属とのモル比がケイ素: 金属=4〜15:1(原子比)であることを特徴とするフォトマスクブランクが開示されている。
また、フォトマスクブランクの遮光膜としてタンタル系材料の薄膜も用いられている。
遮光膜とする薄膜の形成は、スパッタリング法を用いることが一般的である。例えば、特許文献3には、スパッタリングによる薄膜の成膜方法として、基板を回転させながら、基板の中心軸からその中心軸がずれた位置に対向するターゲットをスパッタリングすることによって薄膜を成膜する成膜方法が記載されている。さらに特許文献3には、基板とターゲットの対向する面が、所定の角度を有するようにターゲットと基板が配置されていることが記載されている。
特開2001−305713号公報 特開2006−078807号公報 特開2002−090978号公報
スパッタリング法では、所定の構成元素を有するスパッタリングターゲット(単に「ターゲット」ともいう。)の表面からプラズマにより弾き飛ばされた原子(「スパッタ粒子」ともいう。)が、基板の表面に到達して積み重なることにより、薄膜を成膜することができる。すべてのスパッタ粒子が基板に到達するとは限らず、一般的には、スパッタリング法による成膜装置の成膜室の内壁及びその内壁を覆うシールド等にも付着する。
スパッタリング法による成膜の際、ターゲットの表面、特にターゲットの外周近傍の表面に、エロージョンされにくい領域(非エロージョン領域)が生じることが多い。この非エロージョン領域では、エロージョン領域から飛散したスパッタ粒子が再付着する現象が発生する。ここで、非エロージョン領域とは、プラズマがほとんど当たらずターゲットの原子がほとんど飛散せず、他の領域(エロージョン領域等)から飛散したスパッタ粒子が再付着していく領域や、プラズマが当たってターゲットの原子が飛散する量よりも、他の領域(エロージョン領域等)から飛散したスパッタ粒子が再付着する量の方が多い領域のことをいう。
通常、ターゲットの表面の表面粗さは小さくされているため、非エロージョン領域に再付着したスパッタ粒子を含む付着物が脱落しやすい。非エロージョン領域から脱落した付着物はパーティクルとなって基板表面に到達するおそれがあり、基板上に成膜される薄膜の欠陥数の増大を招くことになる。これを防ぐため、例えば、非エロージョン領域になりやすいターゲット外周部分に面取り(傾斜)を設けることや、その面取り部の表面粗さを粗くすることなどの対策が行われている。
マスクブランクの薄膜の場合、表面反射率の低減のため等、種々の理由から、その薄膜を同じ金属を主成分とし、組成の異なる層を複数積層した構造とすることが行われる。近年、薄膜の全体膜厚を薄くするために、金属含有量の多い遮光性能の高い層と、金属含有量の少ない反射防止機能を有する層の積層構造とすることが多くなってきている。このような積層構造の薄膜を同一ターゲットを用いて成膜する場合には、非エロージョン領域から脱落して基板表面に到達するパーティクル数が増大する。また、パーティクル数が増大することに起因するマスクブランクの薄膜の欠陥数の増大が生じており、問題となっている。この問題は、上述のような、ターゲット外周部分の面取りを設けること、及びその面取り部の表面粗さを粗くすることなどの対策を行った場合でも、解決することはできていない。
そこで、本発明は、スパッタリング法による成膜の際の、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することを目的とする。また、パーティクル数の増大に起因するマスクブランクの薄膜の欠陥数の増大を防止することを目的とする。
本発明者らは、種々の検証を重ねた結果、成膜する薄膜の種類によって成膜条件が変化するときに、ターゲットのエロージョン領域の大きさが変化することを見出した。さらに本発明者らは、エロージョン領域が大きい成膜条件の薄膜を形成するときに最適な大きさのターゲットを選定してしまうと、エロージョン領域が小さい成膜条件の薄膜を形成するときに、ターゲット外周の非エロージョン領域が大きくなってしまい、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大が生じることを見出した。
すなわち、前記のターゲット外周の非エロージョン領域が大きくなるターゲットの場合、エロージョン領域が小さい成膜条件で基板上に薄膜を形成するときには、エロージョン領域の外周における非エロージョン領域にスパッタ粒子が再付着していき、その再付着物が自重に抗しきれず、非エロージョン領域から脱落してパーティクルの発生要因となりうる。また、その時点では非エロージョン領域から再付着物が脱落しなくても、エロージョン領域が大きい成膜条件で基板上に薄膜を形成するときに、新たなパーティクルの発生要因になりうる。非エロージョン領域に再付着するスパッタ粒子は、周囲の成膜ガス(酸素、窒素等)を取り込んでいる場合が多い。このような再付着物は導電性が低い傾向がある。このようなターゲットの表面状態において、エロージョン領域が大きい成膜条件で基板上に薄膜を形成すると、再付着物が積層している領域もエロージョンされる領域となるが、再付着物の導電性が低いためにチャージアップし、パーティクルの発生要因となってしまうことがある。さらに、導電性がある再付着物であっても、元々、ターゲット表面との付着力がさほど大きくないため、再付着物にプラズマが衝突した時に、スパッタ粒子で飛散していくだけでなく、再付着物が塊の状態で基板に付着し、パーティクルになる恐れもある。
上述の知見から、本発明者らは、同一ターゲットを用いて組成の異なる層を複数積層した構造の薄膜をスパッタリング法で成膜する場合に、各層の成膜条件ごとにエロージョン領域の大きさを求め、最も小さいエロージョン領域の大きさに合わせた大きさのターゲットを選定することにより、ターゲット外周付近へのスパッタ粒子の再付着を抑制できることを見出した。すなわち、所定の大きさのターゲットを選定することにより、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因する、マスクブランクの薄膜の欠陥数の増大を防止することができることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
本発明は、下記の構成1〜10であることを特徴とするマスクブランクの製造方法、及び下記の構成11であることを特徴とする転写用マスクの製造方法である。
(構成1)
本発明の構成1は、基板の主表面上に、薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、前記薄膜が、ともに同一のターゲットを用いてスパッタリング法によってそれぞれ形成される複数の層を含み、スパッタリング法によって前記複数の層のそれぞれを形成するときの、ターゲットのスパッタ面のエロージョン領域の大きさを、前記複数の層のそれぞれについて求める工程と、前記複数のエロージョン領域のうち、最も小さい大きさのエロージョン領域と同一又は小さい大きさのスパッタ面を有するターゲットを選択する工程と、前記選択されたターゲットを用いてスパッタリング法によって、前記複数の層をそれぞれ形成する工程とを含むことを特徴とする、マスクブランクの製造方法である。
本発明のマスクブランクの製造方法により、スパッタリング法による成膜の際の、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができるので、パーティクル数の増大に起因するマスクブランクの薄膜の欠陥数の増大を防止することができる。
(構成2)
本発明の構成2は、前記複数の層が、前記選択されたターゲットを備える成膜室内に前記基板を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを前記成膜室内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、前記複数の層をそれぞれ形成する工程において、前記成膜室に導入される前記反応性ガスの条件が、それぞれ異なることを特徴とする、構成1記載のマスクブランクの製造方法である。ここで、「反応性ガスの条件が、それぞれ異なる」とは、成膜室に導入される反応性ガスの種類及び数が異なる場合だけでなく、反応性ガスの種類及び数が同一であって混合比(反応性ガスの流量の比)が異なる場合も含む。また、「反応性ガスの条件が、それぞれ異なる」ものとして、スパッタ希ガスと反応性ガスとの間での混合比が異なる場合や、成膜室内の圧力も含む。さらに、成膜の際のDC電源による印加電力も、成膜室内に発生するスパッタ希ガス及び反応性ガスのプラズマの広がりに比較的大きな影響を与えるため、これも「反応性ガスの条件が、それぞれ異なる」ものに含まれる。本発明のマスクブランクの製造方法は、特に、反応性ガスの条件がそれぞれ異なる場合に、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果を有効に奏することができる。
(構成3)
本発明の構成3は、前記複数の層が、DCスパッタリング法によって形成されることを特徴とする、構成1又は2のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法である。DCスパッタリング法は、RFスパッタリング法等に比べて、基板上に薄膜を形成するときの成膜速度が大幅に速いというメリットがある。しかし、非エロージョン領域に導電性の低いスパッタ粒子に起因する付着物が付着すると、その部分でチャージアップが生じやすいというデメリットがある。付着物でチャージアップが発生すると、絶縁破壊を起こし、それがパーティクルの発生要因となってしまう。本発明の製造方法は、薄膜の形成にDCスパッタリング法を適用した場合でも、非エロージョン領域にスパッタ粒子に起因する付着物が付着しにくく、付着物によるチャージアップの発生を抑制でき、付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができる。
(構成4)
本発明の構成4は、前記選択されたターゲットが、金属成分のみを含有する材料からなることを特徴とする、構成1から3のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法である。本発明のマスクブランクの製造方法は、特に、選択されたターゲットが金属成分のみを含有する材料からなる場合に、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果をより有効に奏することができる。
(構成5)
本発明の構成5は、前記選択されたターゲットが、クロムからなることを特徴とする、構成1から4のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法である。スパッタリング法による成膜において、ターゲットがクロムからなる場合には、遮光層として良好な性能を有するCr層、CrN層及びCrON層等を成膜することができる。本発明のマスクブランクの製造方法では、選択されたターゲットがクロムからなる成膜においても、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果をさらに有効に奏することができる。
(構成6)
本発明の構成6は、前記複数の層が、第1の層及び第2の層を少なくとも有し、前記第1の層がCrOCNからなり、前記第2の層がCrNからなり、前記第1の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさが、前記第2の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさよりも小さいことを特徴とする、構成5に記載のマスクブランクの製造方法である。薄膜の複数の層が、CrOCN層及びCrN層の2つの層を少なくとも有することにより、遮光膜として良好な性能の薄膜を有するマスクブランクを得ることができる。
(構成7)
本発明の構成7は、前記第1の層及び前記第2の層が、前記選択されたターゲットを備える成膜室内に前記基板を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを前記成膜室内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、前記第1の層が、前記反応性ガスとしてN及びCOの混合ガスを用いて形成されたものであり、前記第2の層が、前記反応性ガスとしてNガスを用いて形成されたものであることを特徴とする、構成6記載のマスクブランクの製造方法である。本発明のマスクブランクの製造方法では、CrOCN層及びCrN層をそれぞれ形成する際に、上記の所定のガスを用いることによって、遮光膜として良好な性能を有するCrOCN層及びCrN層を確実に得ることができる。
(構成8)
本発明の構成8は、前記複数の層が、第1の層及び第2の層を少なくとも有し、前記第1の層がCrOCNからなり、前記第2の層がCrONからなり、前記第1の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさが、前記第2の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさよりも小さいことを特徴とする、構成5に記載のマスクブランクの製造方法である。薄膜の複数の層が、CrOCN層及びCrON層の2つの層を少なくとも有することにより、遮光膜として良好な性能の薄膜を有するマスクブランクを得ることができる。
(構成9)
本発明の構成9は、前記第1の層及び前記第2の層が、前記選択されたターゲットを備える成膜室内に前記基板を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを前記成膜室内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、前記第1の層が、前記反応性ガスとしてN及びCOの混合ガスを用いて形成されたものであり、前記第2の層が、前記反応性ガスとしてNOガスを用いて形成されたものであることを特徴とする、構成8記載のマスクブランクの製造方法である。本発明のマスクブランクの製造方法では、特に、CrOCN層及びCrON層をそれぞれ形成する際に、上記の所定のガスを用いることによって、遮光膜として良好な性能を有するCrOCN層及びCrON層を確実に得ることができる
(構成10)
本発明の構成10は、前記基板の主表面上に、転写パターン形成用の前記薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、前記薄膜の前記複数の層を形成する工程が、前記基板を主表面の中心を通る回転軸で回転させることと、前記選択されたターゲットのスパッタ面を、前記基板の主表面と対向し、かつ前記主表面と、前記スパッタ面とが所定の角度を有し、前記基板の回転軸と、前記スパッタ面の中心を通り前記基板の回転軸に対して平行な直線とがずれた位置になるように配置することとを含むスパッタリング法によって前記複数の層を形成するものであることを特徴とする、構成1から9のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法である。本明細書では、基板と、スパッタリングターゲットとが所定の位置関係であり、基板を回転させながら行うスパッタリング法を、「斜入射回転スパッタリング法」という。本発明の製造方法において、斜入射回転スパッタリング法を用いることにより、基板の表面に形成される薄膜の膜厚の面内均一性を向上させることができる。
(構成11)
本発明の構成11は、構成1から10のいずれかに記載のマスクブランク製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に、転写パターンを形成するパターン形成工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法である。本発明のマスクブランクの製造方法により、スパッタリング法による成膜の際の、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができるので、パーティクル数の増大に起因するマスクブランクの薄膜の欠陥数の増大を防止することができる。したがって、本発明の製造方法により得られるマスクブランクは、薄膜の欠陥数が少ないため、このマスクブランクを用いて転写用マスクを作製する際、薄膜に形成するパターンの配置がしやすい。なお、マスクブランクの薄膜への転写パターンの形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
本発明のマスクブランクの製造方法により、スパッタリング法による成膜の際の、非エロージョン領域から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができるので、パーティクル数の増大に起因するマスクブランクの薄膜の欠陥数の増大を防止することができる。
スパッタリングターゲットの正面模式図及び断面模式図であって、スパッタリングターゲットのエロージョン領域及び非エロージョン領域を説明するための模式図である。 本発明のマスクブランクの製造方法に用いることのできる成膜装置の一例を示す模式図である。 本発明の製造方法に用いることのできる成膜装置において、基板と、スパッタリングターゲットとの位置関係を示す模式図である。 本発明の製造方法に用いることのできる成膜装置を説明するための模式図である。
本発明は、基板6の主表面71上に、薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、薄膜が複数の層を含み、複数の層がともに同一のターゲット5を用いてスパッタリング法によってそれぞれ形成される場合に好適に用いることができるマスクブランクの製造方法である。本発明によれば、所定の大きさのスパッタ面52を有するターゲット5を選択して、スパッタリング法により複数の層を形成することにより、スパッタリング法による成膜の際の、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができることを見出した。本発明は、このような新たな知見に基づきなされたものである。以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明は、同一のターゲット5を用いてスパッタリング法によって形成される複数の層を含む薄膜を備えたマスクブランクの製造方法である。このような複数の層を含む薄膜の例としては、遷移金属を含む3層からなる遮光膜、複数のモリブデンシリサイドの化合物からなる層を含む遮光膜等及びタンタル(Ta)を含む遮光膜等を挙げることができる。
遷移金属を含む3層からなる遮光膜の具体例は、基板6側から最下層、下層及び上層の3層からなり、最下層はCrOCN膜、下層はCrON膜、上層はCrOCN膜である遮光膜である。最下層及び上層は、共にCrOCN膜であるが、一般的に組成が異なるため、スパッタリング法による成膜条件(例えば、ガスの種類、流量及び圧力、並びに印加電力等)が異なる。3層のいずれの層も、Crを材料とするターゲット5を用いて成膜をすることができる。
また、複数のモリブデンシリサイドの化合物からなる層を含む遮光膜としては、組成の異なる2層のMoSiN層からなる遮光膜、及びMoSi等の下層と、MoSiON等の上層との2層を含む遮光膜等を挙げることができる。これらのいずれの層も、MoSiを材料とするターゲット5を用いて成膜をすることができる。例えば、MoSiNの下層を遮光性能の高い材料(層中の窒素含有量が比較的少ない材料)で形成し、MoSiNの上層を露光光に対する反射率を低減する機能を有する材料(層中の窒素含有量が比較的多い材料)で形成する場合、下層を形成するときのエロージョン領域は、上層を形成するときのエロージョン領域よりも大きくなる傾向がある。この場合、上層の成膜条件におけるエロージョン領域の大きさに合わせて、ターゲット5の大きさを選定するとよい。
また、例えば、MoSiの下層を遮光性能の高い材料(層中の窒素等の含有量が微小な材料)で形成し、MoSiONの上層を露光光に対する反射率を低減する機能を有する材料(層中の酸素と窒素の合計含有量が比較的多い材料)で形成する場合、下層を形成するときのエロージョン領域は、上層を形成するときのエロージョン領域よりも大きくなる傾向がある。この場合、上層の成膜条件におけるエロージョン領域の大きさに合わせて、ターゲット5の大きさを選定するとよい。
またタンタル(Ta)を含む遮光膜としては、TaNの下層とTaOの上層との2層からなる遮光膜等を挙げることができる。2層のいずれの層も、Taを材料とするターゲット5を用いて成膜をすることができる。例えば、TaNの下層を遮光性能の高い材料(層中の窒素含有量が比較的少ない材料)で形成し、TaOの上層を露光光に対する反射率を低減する機能を有する材料(層中の酸素含有量が比較的少ない材料)で形成する場合、下層を形成するときのエロージョン領域は、上層を形成するときのエロージョン領域よりも大きくなる傾向がある。この場合、上層の成膜条件におけるエロージョン領域の大きさに合わせて、ターゲット5の大きさを選定するとよい。
このほか、タンタル(Ta)を含む遮光膜としては、TaBNの下層とTaBOの上層との2層からなる遮光膜等を挙げることができる。2層のいずれの層も、TaBを材料とするターゲット5を用いて成膜をすることができる。例えば、TaBNの下層を遮光性能の高い材料(層中の窒素含有量が比較的少ない材料)で形成し、TaBOの上層を露光光に対する反射率を低減する機能を有する材料(層中の酸素含有量が比較的少ない材料)で形成する場合、下層を形成するときのエロージョン領域は、上層を形成するときのエロージョン領域よりも大きくなる傾向がある。この場合、上層の成膜条件におけるエロージョン領域の大きさに合わせて、ターゲット5の大きさを選定するとよい。
本発明のマスクブランクの製造方法は、スパッタリング法によって複数の層のそれぞれを形成するときの、ターゲット5のスパッタ面52のエロージョン領域92の大きさを、複数の層のそれぞれについて求める工程を含む。
図1に、スパッタリング法に用いるターゲット5の正面模式図及び側面の断面模式図を示す。図1に示すように、略円形のターゲット5は、バッキングプレート4にボンディング材(図示せず)を用いて接着されている。スパッタリング法による成膜の際、略円形のターゲット5のエロージョン領域92の原子が、プラズマにより弾き飛ばされてスパッタ粒子となる。一方、同じターゲットを用いて、膜組成の異なる複数の層をスパッタリング法でそれぞれ成膜する場合、使用する反応性ガスの種類や数、スパッタ希ガスを含めたガスの混合比(ガス流量比)、成膜室内のガス圧、印加電力等の成膜条件が成膜する層によって異なることに起因し、ターゲット5のエロージョン領域92が変化することが多い。このため、ターゲット5の外周近傍の表面には、エロージョンされない領域(非エロージョン領域94)が存在することが多い。非エロージョン領域94に、エロージョン領域92から飛散したスパッタ粒子が再付着して堆積する現象が発生する。通常、ターゲット5の表面の表面粗さは小さくされているため、非エロージョン領域94に再付着したスパッタ粒子を含む付着物が脱落しやすい。
本発明のマスクブランクの製造方法では、スパッタリング法によって複数の層のそれぞれを形成するときの、ターゲット5のスパッタ面52のエロージョン領域92の大きさを、複数の層のそれぞれについて求める。例えば、薄膜が、遷移金属を含む最下層、下層及び上層の3層からなる遮光膜の場合には、最下層、下層及び上層のそれぞれについて、実際の成膜の際と同じ成膜条件及び同じ成膜時間での成膜の後に、スパッタ面52のエロージョン領域92の大きさを測定する。一般的に、エロージョン領域92の形状は、ターゲット5のスパッタ面52の外周と同心円状の円形なので、図1に示すようなエロージョン領域92の直径Derrを測定することによって、エロージョン領域92の大きさを求めることができる。なお、エロージョン領域92の大きさの測定の際のターゲット5の大きさ(ターゲット5の直径Dtar)は、複数の層の成膜の際のエロージョン領域92のうち、最も大きなエロージョン領域92よりも大きな大きさのターゲット5を用いることが好ましい。しかしながら、この測定は、最も小さい大きさのエロージョン領域92の大きさを求めることを目的とするので、この測定に用いるターゲット5の大きさは、最も小さなエロージョン領域92よりも大きな大きさのターゲット5を用いることもできる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、複数のエロージョン領域92のうち、最も小さい大きさのエロージョン領域92と同一又は小さい大きさのスパッタ面52を有するターゲット5を選択する工程を含む。
上述のようにして測定したターゲット5のスパッタ面52の複数のエロージョン領域92の大きさのうち、最も小さい大きさであった層を特定する。「最も小さい大きさ」とは、複数のエロージョン領域92のうち、最も小さいエロージョン領域92の面積を有するものであることができる。また、エロージョン領域92の形状が円形の場合には、「最も小さい大きさ」とは、最も小さいエロージョン領域92の直径とすることができる。本発明のマスクブランクの製造方法では、最も小さい大きさのエロージョン領域92と同一又は小さい大きさのスパッタ面52を有するターゲット5を選択する。ここで、最も小さい大きさのエロージョン領域92よりも小さい大きさのスパッタ面52としては、例えば、エロージョン領域92が円形である場合、その最も大きい大きさのエロージョン領域92の直径Derrに対して5%小さい直径Dtarのスパッタ面52の大きさを下限とすることが好ましい。これにより、最も大きい大きさのエロージョン領域92で薄膜を成膜する際に、ターゲット5の側面にプラズマが回り込むことによる悪影響を抑制できる。なお、ターゲット5の選択のために、異なる大きさのターゲット5を事前に用意しておくことが好ましい。しかしながら、選択可能な大きさのターゲット5が利用可能でないときには、選択すべき大きさのターゲット5を製造して選択することが必要である。
本発明のマスクブランクの製造方法は、選択されたターゲット5を用いてスパッタリング法によって、複数の層をそれぞれ形成する工程を含む。
上述のようにして選択したターゲット5は、複数の層の成膜の際のエロージョン領域92の大きさと同一又は小さい大きさのスパッタ面52を有する。この場合には、選択したターゲット5のスパッタ面52は、複数の層の成膜のエロージョン領域92の大きさのいずれよりも小さいのであるから、複数の層のいずれの成膜の場合にも、非エロージョン領域94が出現しないものと推測できる。本発明者らは、この推測に基づき鋭意努力の検証を行った結果、所定の大きさの選択したターゲット5を用いることにより、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができることを見出した。なお、本発明は、上述の推測に拘束されるものではない。
本発明のマスクブランクの製造方法により、スパッタリング法による成膜の際の、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができるので、パーティクル数の増大に起因するマスクブランクの薄膜の欠陥数の増大を防止することができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、複数の層が、選択されたターゲット5を備える成膜室1内に基板6を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを成膜室1内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、複数の層をそれぞれ形成する工程において、成膜室1に導入される反応性ガスの条件が、それぞれ異なることが好ましい。
図2に、本発明のマスクブランクの製造方法に用いることのできる成膜装置(DCマグネトロンスパッタリング装置)の一例の模式図を示す。図2に示す成膜装置は、成膜室1を有する。図2に示す成膜装置は、成膜室1内に所定の選択されたターゲット5を有し、基板6の主表面71に、スパッタリング法によって薄膜を形成することのできる成膜装置である。基板6は、成膜室1内の回転ステージ3に配置することができる。
図2に示す成膜装置において、成膜室1は排気口7を介して真空ポンプにより排気することができる。成膜室1内の雰囲気が形成する薄膜の特性に影響しない真空度まで達した後、ガス導入口8から所定のガス、例えばスパッタ希ガスと反応性ガスとの混合ガスを導入し、DC電源(図示せず)を用いてマグネトロンカソード2に負電圧を加え、スパッタリング法による成膜を行うことができる。DC電源はアーク検出機能を持ち、スパッタリング中の放電状態を監視することができる。成膜室1内部の圧力は圧力計(図示せず)によって測定することができる。
複数の層をそれぞれ形成する工程において、成膜室1に導入される反応性ガスの条件が、それぞれ異なることが好ましい。「反応性ガスの条件がそれぞれ異なる」とは、成膜室1に導入される反応性ガスの種類や数(層による反応性ガスの有無も含む)が異なることを意味するだけでなく、反応性ガスの種類と数が同一であって混合比(反応性ガスの流量の比)が異なることも含む。また、「反応性ガスの条件が、それぞれ異なる」ものとして、スパッタ希ガスと反応性ガスとの間での混合比が異なる場合や、成膜室1内の圧力も含む。さらに、成膜の際のDC電源による印加電力も、成膜室1内に発生するスパッタ希ガス及び反応性ガスのプラズマの広がりに比較的大きな影響を与えるため、これも「反応性ガスの条件が、それぞれ異なる」ものに含まれる。本発明のマスクブランクの製造方法は、特に、反応性ガスの条件がそれぞれ異なる場合に、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果を有効に奏することができる。
なお、スパッタリング法によって薄膜を形成する場合、同一のスパッタ希ガスと反応性ガスであって、かつ流量比も同一である場合、成膜室1内の圧力が高いほどエロージョン領域92の大きさが小さくなる傾向があり、印加電力が小さいほどエロージョン領域92の大きさが小さくなる傾向がある。
本発明のマスクブランクの製造方法は、複数の層が、DCスパッタリング法によって形成されることが好ましい。DCスパッタリング法は、RFスパッタリング法等に比べて、基板6上に薄膜を形成するときの成膜速度が大幅に速いというメリットがある。しかし、非エロージョン領域94に導電性の低いスパッタ粒子に起因する付着物が付着すると、その部分でチャージアップが生じやすいというデメリットがある。付着物でチャージアップが発生すると、絶縁破壊を起こし、それがパーティクルの発生要因となってしまう。本発明の製造方法は、薄膜の形成にDCスパッタリング法を適用した場合でも、非エロージョン領域94にスパッタ粒子に起因する付着物が付着しにくく、付着物によるチャージアップの発生を抑制でき、付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、選択されたターゲット5が、金属成分のみを含有する材料からなることが好ましい。本発明のマスクブランクの製造方法は、特に、選択されたターゲット5が金属成分のみを含有する材料からなる場合に、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果をより有効に奏することができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、選択されたターゲット5が、クロムからなることが好ましい。スパッタリング法による成膜において、ターゲット5がクロムからなる場合には、遮光層として良好な性能を有するCr層及びCrN層等を成膜することができる。本発明のマスクブランクの製造方法では、選択されたターゲット5がクロムからなる成膜においても、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果をさらに有効に奏することができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、複数の層が、第1の層及び第2の層を少なくとも有し、第1の層がCrOCNからなり、第2の層がCrNからなり、第1の層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさが、第2の層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさよりも小さいことが好ましい。
薄膜の複数の層が、CrOCN層及びCrN層の2つの層を少なくとも有することにより、遮光膜として良好な性能の薄膜を有するマスクブランクを得ることができる。本発明のマスクブランクの製造方法は、CrOCN層及びCrN層の2つの層を少なくとも有する場合にも、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果を奏することができる。なお、本発明者らの検証によると、CrOCN層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさは、CrN層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさよりも小さい。また、薄膜の複数の層は、上述の2つの層に加えて、さらにCrOCN層を含む3層とすることにより、より性能の良い遮光膜を得ることができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、第1の層及び第2の層が、選択されたターゲット5を備える成膜室1内に基板6を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを成膜室1内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、第1の層が、反応性ガスとしてN及びCOの混合ガスを用いて形成されたものであり、第2の層が、反応性ガスとしてNガスを用いて形成されたものであることが好ましい。本発明のマスクブランクの製造方法では、CrOCN層及びCrN層をそれぞれ形成する際に、上記の所定のガスを用いることによって、遮光膜として良好な性能を有するCrOCN層及びCrN層を確実に得ることができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、複数の層が、第1の層及び第2の層を少なくとも有し、第1の層がCrOCNからなり、第2の層がCrONからなり、第1の層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさが、第2の層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさよりも小さいことが好ましい。
薄膜の複数の層が、CrOCN層及びCrON層の2つの層を少なくとも有することにより、遮光膜として良好な性能の薄膜を有するマスクブランクを得ることができる。本発明のマスクブランクの製造方法は、CrOCN層及びCrON層の2つの層を少なくとも有する場合にも、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止するとの効果を奏することができる。なお、本発明者らの検証によると、CrOCN層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさは、CrON層を形成するときにおけるエロージョン領域92の大きさよりも小さい。また、薄膜の複数の層は、上述の2つの層に加えて、さらにCrOCN層を含む3層とすることにより、より性能の良い遮光膜を得ることができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、第1の層及び第2の層が、選択されたターゲット5を備える成膜室1内に基板6を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを成膜室1内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、第1の層が、反応性ガスとしてN及びCOの混合ガスを用いて形成されたものであり、第2の層が、反応性ガスとしてNOガスを用いて形成されたものであることが好ましい。本発明のマスクブランクの製造方法では、特に、CrOCN層及びCrON層をそれぞれ形成する際に、上記の所定のガスを用いることによって、遮光膜として良好な性能を有するCrOCN層及びCrON層を確実に得ることができる
本発明のマスクブランクの製造方法は、基板6の主表面71上に、転写パターン形成用の薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、薄膜の複数の層を形成する工程が、基板6を主表面71の中心を通る回転軸で回転させることと、選択されたターゲット5のスパッタ面52を、基板6の主表面71と対向し、かつ主表面71と、スパッタ面52とが所定の角度を有し、基板6の回転軸と、スパッタ面の中心を通り基板の回転軸に対して平行な直線57とがずれた位置になるように配置することとを含むスパッタリング法(斜入射回転スパッタリング法)によって複数の層を形成するものであることが好ましい。
図2に、斜入射回転スパッタリング法による成膜装置の一例の模式図を示す。図2に示す成膜装置は、所定の配置のターゲット5を用い、基板6の主表面71に薄膜をスパッタリング法によって形成することのできる成膜装置である。図2に示す成膜装置は、基板6と、ターゲット5とが所定の位置関係にあることに特徴がある。本発明のマスクブランクの製造方法において、斜入射回転スパッタリング法を用いることにより、基板6の表面に形成される薄膜の膜厚の面内均一性を向上させることができる。
図3は、斜入射回転スパッタリング法による成膜装置の、基板6と、ターゲット5との位置関係を示す模式図である。成膜中、基板6は回転ステージ3に載置される。回転ステージ3の回転によって、基板6は、回転軸56を中心に回転する。
図3に示すように、ターゲット5は、そのスパッタ面52が基板6の主表面71に対向し、かつ斜め上方となる位置の成膜室1内に配置される。ターゲット5は、ターゲット5のスパッタ面52が、基板6の主表面71と対向するように配置される。すなわち、ターゲット5は、そのスパッタ面52が基板6の主表面71に対向し、すなわち、かつ斜め上方となる位置の成膜室1内に配置される。さらに、ターゲット5は、基板6の主表面71に対して所定の角度θを有するように配置される。
また、図3に示すように、ターゲット5は、基板6の回転軸56と、スパッタ面52の中心53を通り基板6の回転軸56に対して平行な直線57とがずれた位置にあるように配置される。
成膜する薄膜の膜厚の面内均一性の向上のためには、基板6とターゲット5の位置関係を適切なものにすることが必要である。本発明の成膜装置における、基板6と、ターゲット5との位置関係について、さらに説明するならば、次のとおりである。
図2及び図3に示すように、本発明に用いる成膜装置では、ターゲット5のスパッタ面52の、基板6の主表面71に対する傾斜角θ(ターゲット傾斜角θ)が、10度以上30度以下であることが好ましい。ターゲット傾斜角θを所定の角度とすることにより、成膜する薄膜の膜厚の面内均一性を向上することができる。
ターゲット5と基板6との位置関係について、図3を用いて説明する。オフセット距離Doff(基板6の中心軸56と、ターゲット5の中心を通りかつ基板6の中心軸56と平行な直線57との間の距離)は、薄膜の膜厚の面内均一性を確保すべき面積によって調整することができる。一般には、良好な面内均一性を確保すべき面積が大きい場合に、必要なオフセット距離Doffは大きくなる。例えば、一辺が152mmの四角形状の基板6の場合、薄膜に転写パターンが形成される領域は、通常、基板6の中心を基準とする一辺が132mmの四角形の内側領域である。その一辺が132mmの四角形の内側領域で、薄膜の膜厚分布が±1nm以内の精度を実現するためには、オフセット距離Doffは240mmから400mm程度が必要であり、好ましいオフセット距離Doffは300mmから380mmである。ターゲット5−基板6間垂直距離(H)は、オフセット距離Doffにより最適範囲が変化する。例えば、一辺が152mmの四角形の基板6内で良好な面内均一性を確保するためには、ターゲット5−基板6間垂直距離(H)は、200mmから380mm程度が必要であり、好ましいHは210mmから300mmである。ターゲット傾斜角θは、薄膜の膜厚の面内均一性のみならず成膜速度に影響する。具体的には、良好な薄膜の膜厚の面内均一性を得るため及び大きな成膜速度を得るために、ターゲット傾斜角θは10度から30度が好ましい。
本発明に用いることのできる成膜装置は、図4に示すような、成膜装置のスパッタリングを行うための成膜部13として配置することができる。図4に示す成膜装置は、成膜部13を常に高真空状態に保持できるロードロック機構を設け、ロードロック室11から成膜部13への基板6の導入を、一定の間隔で、継続的に行えるような装置構成とすることができる。このような装置構成とすることにより、ロードロック室11から成膜部13への基板6の導入を、一定の間隔で、継続的に行うことができる。
図4に示す成膜装置において、ロードロック室11には、大気とロードロック室11とを隔離するバルブ12、及びロードロック室11と成膜部13とを隔離するバルブ14が取り付けられている。ロードロック室11としては、上記で説明した成膜部13への基板6の導入を一定の間隔で継続的に行うことができる枚葉式であることができ、かつ所定の容積に設計されたものを設けることができる。成膜部13はスパッタリングを行う真空槽のための機能を有する。成膜部13への基板6の導入をロボットアーム19によって行う場合には、成膜部13とロードロック室11との間に搬送室15を設けることができる。ロボットアーム19は、腕19aが図示A方向に開閉することによりハンド19bを図示B方向に移動できる構成になっている。またロボットアーム19は図示C方向に回転できる構成になっている。さらにロボットアーム19は紙面に対し上下方向に移動できる構成になっている。さらに、成膜のスループットを向上させるためには、上記ロードロック室11と同様の構成を有するアンロードロック室16を追加してもよい。
本発明のマスクブランクの製造方法は、薄膜が、DCスパッタリング法によって成膜されることが好ましい。DCスパッタリング法は、RFスパッタリング法等に比べて、基板6上に薄膜を形成するときの成膜速度が大幅に速いというメリットがある。しかし、非エロージョン領域94に導電性の低いスパッタ粒子に起因する付着物が付着すると、その部分でチャージアップが生じやすいというデメリットがある。付着物でチャージアップが発生すると、絶縁破壊を起こし、それがパーティクルの発生要因となってしまう。本発明の製造方法は、薄膜の形成にDCスパッタリング法を適用した場合でも、非エロージョン領域94にスパッタ粒子に起因する付着物が付着しにくく、付着物によるチャージアップの発生を抑制でき、付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができる。また、DCスパッタリング法は、RFスパッタリング法等に比べて、非エロージョン領域94に付着するスパッタ粒子に起因する付着物の量も増加し、付着物がより剥がれやすくなるというデメリットがある。本発明の製造方法によれば、薄膜の形成にDCスパッタリング法を適用した場合でも、非エロージョン領域から脱落に起因する付着物の基板6の表面への落下を抑制することができる。
次に、薄膜を形成する成膜装置(スパッタリング装置)の性能について説明する。DCスパッタリング法により成膜する場合、DC電源からの出力電圧がターゲット5と基板6との間に印加される。薄膜を形成するスパッタリング時のガス圧、スパッタリング用DC電源の出力、及びスパッタリングを行う時間は直接的に薄膜の膜質に影響を与えるため、ガス流量コントローラ、DC電源その他機器の精度向上やコントローラから発信する設定信号の精度向上が必要である。スパッタリング時のガス圧は、装置の排気コンダクタンスにも影響を受けるため、排気口バルブの開度やシールドの位置を正確に決定できる機構も必要である。また、酸素含有量が少ない(例えば、5at%以下)あるいは酸素を含まない薄膜を形成する場合には、成膜室1内壁から発生する水分等のガスが、薄膜の光学特性に大きな影響を与えるため、成膜室1内を十分に排気できるポンプや水分を排除できるクライオポンプを装着し、成膜室1内壁をベーキングできる機構を設けることが必要である。さらに薄膜の膜厚の面内均一性を良好に保つには、基板6を回転させながら成膜を行うとともに、成膜の開始から成膜の終了までの間で基板6を整数回回転させて成膜を行うことが必要である。このためには、例えば、基板6の回転角位置を検出するセンサによって、放電をONにした時点(成膜開始)の基板6の回転角位置検出し、さらにこのセンサによって、基板6が整数回回転して放電をONにした時点と同じ回転角位置に基板6がきた時点で放電をOFF(成膜終了)にする機構を備えることが必要である。
本発明は、上述のマスクブランク製造方法で製造されたマスクブランクの薄膜に、転写パターンを形成するパターン形成工程を有することを特徴とする、転写用マスクの製造方法である。
本発明において、マスクブランク用基板6としては、ガラス基板6を用いることができる。ガラス基板6としては、マスクブランクとして用いられるものであれば、特に限定されない。例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。また、EUVマスクブランク用ガラス基板6の場合は、露光時の熱による被転写パターンの歪みを抑えるために、約0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは約0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するガラス材料が使用される。さらに、EUV用マスクブランクは、ガラス基板6上に多数の薄膜が形成されるため、膜応力による変形を抑制できる剛性の高いガラス材料が使用される。基板6としては、特に、65GPa以上の高いヤング率を有するガラス材料が好ましい。例えば、SiO−TiO系ガラス、合成石英ガラスなどのアモルファスガラスや、β−石英固溶体を析出した結晶化ガラスが用いられる。
このようなマスクブランク用基板6は、例えば、粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を経て製造することができる。
上述した薄膜形成工程により、マスクブランク用基板6の主表面71上に少なくとも遮光膜として、複数の層を含む薄膜を形成することによりマスクブランクとすることができる。この遮光膜を構成する材料としては、上述のように、クロム又はモリブデンシリサイドを含有する材料を挙げることができる。また、フォトマスク(転写用マスク)の用途や構成により、その他の薄膜、反射防止膜や半透過膜などを適宜形成しても良い。
遮光膜の形成の具体例は、次のとおりである。すなわち、遮光膜は、上述した薄膜形成工程に用いたスパッタリング法により成膜することができる。遮光膜としては、基板6側から最下層、下層及び上層の3層からなる遮光膜を形成することができる。具体的には、ターゲット5として所定の大きさを有するCrターゲットを用い、Ar、CO、N及びHeの混合ガスをスパッタリングガスとし、最下層としてCrOCN膜を形成することができる。最下層の膜厚の具体例は、30nmである。
次に、ターゲット5として所定の大きさを有するCrターゲットを用い、Ar、NO及びHeの混合ガスをスパッタリングガスとし、下層としてCrON膜を形成することができる。下層の膜厚の具体例は、17nmである。
次に、ターゲット5として所定の大きさを有するCrターゲットを用い、Ar、CO、N及びHeの混合ガスをスパッタリングガスとし、上層としてCrOCN膜を形成することができる。上層の膜厚の具体例は、14nmである。
上記のように成膜された最下層、下層及び上層からなる遮光膜は、遮光膜全体で非常に低応力であり、基板6の形状変化を最小限に抑制することができる。このように、基板6上に遮光膜を形成することによって、マスクブランクを得ることができる。この条件で成膜された遮光膜は、3層全体で非常に低応力であるため好ましい。
マスクブランクの遮光膜を、パターンを有するレジスト膜をマスクとし、エッチングによりパターニングを行って転写パターンを設けることにより、転写用マスクを製造することができる。なお、エッチングのエッチャントについては、被エッチング膜の材料に応じて適宜変更することができる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、スパッタリング法によってそれぞれ形成される薄膜が、ともに同一のターゲット5を用いて複数の層を含む場合であれば、どのような種類の薄膜の形成においても、非エロージョン領域94から脱落した付着物に起因するパーティクル数の増大を防止することができるので、パーティクル数の増大に起因するマスクブランクの薄膜の欠陥数の増大を防止することができる。具体的には、本発明のマスクブランクの製造方法は、例えば、マスクブランクの製造の際の、以下の(1)〜(4)のような遮光膜、光半透過膜、吸収体膜、エッチングマスク膜及び保護膜等のうち、同一のターゲット5を用いて形成される複数の層を含む薄膜の形成に好適である。
(1)前記薄膜が遷移金属を含む材料からなる遮光膜であるバイナリマスクブランク
かかるバイナリマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜を有する形態のものであり、この遮光膜は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ランタン、レニウム、オスニウム、白金、金等の金属単体あるいはその金属の化合物を含む材料からなる。特に、遮光膜をタンタル、タングステン、ハフニウム、イリジウム、ランタン、レニウム、オスニウム、白金若しくは金等の金属単体又はそれらの金属の化合物を含む材料で形成することが好ましい。例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜が挙げられる。
かかるバイナリマスクブランクは、遮光膜を、2層構造や3層構造としたものなどがある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。組成傾斜膜の場合においても、成膜開始時の成膜条件と、成膜途上の成膜条件あるいは成膜終了直前の成膜条件は変わるため、エロージョン領域92も変わる場合がある。このような組成傾斜膜の場合、本発明は有効に機能する。
(2)前記薄膜が、光半透過膜である位相シフトマスクブランク
かかる位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板(ガラス基板)上に光半透過膜を有する形態のものであって、その光半透過膜をパターニングしてシフタ部を設けるタイプであるハーフトーン型位相シフトマスクが作製される。かかる位相シフトマスクにおいては、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、透光性基板上に光半透過膜とその上の遮光膜(遮光帯)とを有する形態とするものが挙げられる。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、透光性基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
前記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものであり、この光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト、即ち解像度を向上させるものである。
この光半透過膜は、例えば、遮光膜を形成する材料として列挙されたものと同様の材料が適用可能である。露光光に対して所定の透過率で透過し、かつ所定の位相差を付与する必要があるため、前記材料に窒素や酸素を含有させた材料が望ましい。
また、この光半透過膜上に、遮光帯や遮光パッチを形成するための遮光膜が積層するマスクブランクもある。この場合に用いられる遮光膜は、バイナリマスクブランクの遮光膜に比べて求められる光学濃度は低く、全体膜厚も薄いが、2層構造や3層構造とする場合が多い。このような遮光膜を形成する場合においても、本発明は有効に機能する。光半透過膜上に遮光膜を有する形態の場合、上記光半透過膜の材料に遷移金属及びケイ素を含む材料が選ばれる場合が多いので、遮光膜の材料としては、光半透過膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
レベンソン型位相シフトマスクは、バイナリマスクブランクと同様の構成のマスクブランクから作製されるため、パターン形成用薄膜の構成については、バイナリマスクブランクの遮光膜と同様である。エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものではあるが、透過する露光光に生じさせる位相差が小さい薄膜(例えば、位相差が30度以下。好ましくは0度。)であり、この点が、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜とは異なる。この光半透過膜の材料は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素を含むが、各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率と所定の小さな位相差となるように調整される。
(3)前記薄膜が、遷移金属、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料、特に遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む材料からなる遮光膜であるバイナリマスクブランク
この遮光膜は、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料が挙げられる。具体的には、光遮光膜の材料としては、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素とを主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜は、遷移金属と、酸素、窒素及び/又はホウ素とを主たる構成要素とする材料が挙げられる。使用可能な遷移金属としては、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム及びクロム等が挙げられる。
特に、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合、遮光膜を、MoSi等の下層と、MoSiON等の上層との2層構造としたもの、及びその2層構造に加えてさらに遮光層と基板との間にMoSiON等の最下層を加えた3層構造としたものがある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜とすることができる。
また、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成とすることができる。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する、すなわちエッチング耐性を有する材料であることが好ましい。エッチング耐性を有する遮光膜の材料は、特にクロム、又はクロムに酸素、窒素及び/若しくは炭素等の元素を添加したクロム化合物からなる材料であることが好ましい。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製することができる。
また、上記(1)〜(3)において、透光性基板と遮光膜との間、又は光半透過膜と遮光膜との間に、遮光膜や光半透過膜に対してエッチング耐性を有するエッチングストッパー膜を設けてもよい。エッチングストッパー膜は、エッチングストッパー膜をエッチングするときにエッチングマスク膜を同時に剥離することができる材料としてもよい。
さらに、本発明の成膜方法は、以下のような反射型マスクブランクの製造に、特に好適に用いることができる。
(4)高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層してなる多層反射膜上に吸収体膜を備える反射型マスクブランク
反射型マスクは、EUV(Extreme Ultra Violet)リソグラフィに用いられるマスクである。反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成された構造を有する。露光機(パターン転写装置)に搭載された反射型マスクに入射した光(EUV光)は、吸収体膜のある部分では吸収され、吸収体膜のない部分では多層反射膜により反射された光像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。
多層反射膜は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成される。多層反射膜の例としては、Mo薄膜とSi薄膜とを交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択することができる。露光光に使用されるEUV光の波長が13〜14nmの場合においては、多層反射膜にMo/Si周期積層膜を適用することが好ましい。
吸収体膜は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。このような吸収体膜の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。この吸収体膜は、マスク検査時の検査光の反射率を低減することなどを目的とし、2層以上の積層構造としたものがある。本発明では、このような吸収体膜に適用すると有効に機能する。また、吸収体膜が組成傾斜膜の場合においても、本発明は有効に機能する。
Taを主成分とする材料としては、TaとNを含む材料、Taを含み、さらにOとNの少なくともいずれかを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、TaとHfを含む材料、TaとHfとNを含む材料、TaとZrを含む材料、TaとZrとNを含む材料、等を用いることができる。TaにSi、Ge等を加えることにより、アモルファス状の材料が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。また、TaにNやOを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができるという効果が得られる。
また、反射型マスクブランクの構成として、多層反射膜と吸収体膜との間に保護膜を設けることが好ましい。保護膜には、ルテニウムを含有する材料を適用することが好ましい。前記のルテニウムを含有する材料としては、ルテニウム単体のほか、ルテニウムに、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、モリブデン、ホウ素、ランタン、チタンから選ばれる1以上の元素を含有する材料などが挙げられる。
EUV反射型マスクブランクの場合、表面欠陥に対する非常に高いレベルの条件を満たす必要がある。本発明の成膜方法は、EUV反射型マスクブランクに用いる吸収体膜の成膜のために、特に好適に用いることができる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1では、MoSiNからなるハーフトーン位相シフト膜の上に積層する遮光膜であるCrOCN(最下層、A層)/CrN(下層、B層)/CrOCN(上層、C層)層の3層積層構造の遮光膜について、検証を行った。このタイプのマスクブランクは、先に基板上にハーフトーン位相シフト膜を成膜してから、遮光膜を成膜するのが一般的である。しかし、ハーフトーン位相シフト膜に欠陥が存在すると、その上に形成された遮光膜にもその欠陥が反映され、検証に影響を与えてしまう。このため、この実施例1では、基板上に直接、前記の遮光膜を形成する形で試作を行った。表1に、スパッタリング法による各層の成膜条件を示す。なお、表1中のAr、CO、N、Heの各数値は、そのガスの流量を、導入ガスの合計流量で除して算出した流量比(%比)である。
実施例1による成膜には、図4で説明したDCマグネトロンスパッタリング装置(成膜装置)を用いた。ここで、図4に示すDCマグネトロンスパッタリング装置における成膜部13は、図1に示すように、成膜室1を有しており、この成膜室1の内部にマグネトロンカソード2及び基板6を載置するための回転ステージ3が配置されている。マグネトロンカソード2にはバッキングプレート4に接着されたターゲット5が装着されている。実施例1では、バッキングプレート4に無酸素銅を用い、ターゲット5とバッキングプレート4の接着材(ボンディング材)にはインジウムを用いている。バッキングプレート4は水冷機構により直接又は間接的に冷却されている。マグネトロンカソード2とバッキングプレート4及びターゲット5は電気的に結合されている。回転ステージ3には基板6が装着されている。
また、実施例1による成膜には、ターゲット5と基板6とが、図1及び図3等に示すように、基板6とターゲット5の対向する面が所定のターゲット傾斜角θを有するように、ターゲット5と基板6が配置されている構成の装置を用いた。この場合、ターゲット5と基板6とのオフセット距離Doffは340mm、ターゲット5−基板6間の垂直距離(H)は280mm、ターゲット傾斜角θは15度とした。
成膜室1は排気口7を介して真空ポンプにより排気されている。成膜室1内の雰囲気が形成する薄膜の特性に影響しない真空度まで達した後、ガス導入口8からスパッタリングガスを導入し、DC電源(図示せず)を用いてマグネトロンカソード2に負電圧を加え、スパッタリングによる成膜を行った。DC電源はアーク検出機能を持ち、スパッタリング中の放電状態を監視することができる。成膜室1内部の圧力は圧力計(図示せず)によって測定した。
次に、実施例1による成膜の手順を説明する。実施例1として、ガラス基板6上に表1に示すA層、B層及びC層からなる薄膜の成膜を試みた。実施例1に用いた基板6は、縦・横の寸法が、約152mm×約152mmで、厚さが6.25mmの合成石英の基板6を用いた。基板6の表面は、粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を経て平坦化された。
この基板6を、DCマグネトロンスパッタリング装置の中に導入し、A層、B層及びC層を、それぞれ独立に、表1に示す条件で成膜を行った。このとき、ターゲット5としては、直径220mmのCrターゲット5を用いた。A層、B層及びC層のそれぞれの成膜前には、ターゲット5のスパッタ面52を平坦にし、成膜後、A層、B層及びC層のそれぞれについて、スパッタ面52のエロージョン領域92の大きさを測定した。表1に示すように、エロージョン領域92の大きさが一番小さかったのは、A層及びC層であり、エロージョン領域92の大きさは直径210mmだった。
次に、基板6側から最下層(A層)、下層(B層)及び上層(C層)の3層からなる遮光膜を、基板6上に形成した。このとき、ターゲット5は、A層、B層及びC層のうち、エロージョン領域92の一番小さい大きさと同じ大きさである直径210mmのものを用いた。具体的には、次のようにして成膜を行った。
上述の基板6を50枚準備し、1枚ずつDCマグネトロンスパッタリング装置の中に導入し、下記のように成膜を行った。
最初に、最下層(A層)を次のようにして成膜した。すなわち、ターゲット5として直径210mmのCrターゲット5を用い、Ar,CO,N,Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比 Ar:CO:N:He=22:39:6:33)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.9kWで、最下層としてCrOCN膜を30nmの膜厚に成膜した。
次に、下層(B層)を次のようにして成膜した。すなわち、ターゲット5として同じCrターゲット5を用い、Ar及びNの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比 Ar:N=83:17)とし、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を1.4kWで、下層としてCrN膜を4nmの膜厚に成膜した。
次に、上層(C層)を次のようにして成膜した。すなわち、同じターゲット5としてCrターゲット5を用い、Ar、CO、N及びHeの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比 Ar:CO:N:He=21:37:11:31)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.9kWで、上層(C層)としてCrOCN膜を14nmの膜厚に成膜した。
上述のようにして、50枚の基板6に対して、最下層(A層)、下層(B層)及び上層(C層)からなる遮光膜を順次成膜し、マスクブランクを製造した。なお、50枚の基板6に成膜する間、成膜室1やターゲット5等のクリーニングは行っていない。各基板6上に遮光膜が成膜されたに各マスクブランクの遮光膜の表面に対し、レーザー干渉コンフォーカル光学系による60nm感度の欠陥検査装置(レーザーテック社製 M6640)を用いて、欠陥検査を行った。
各欠陥検査の結果から、各マスクブランクにおける遮光膜上の0.3μm相当以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の個数をカウントした。50枚のマスクブランクの平均を表3に示す。0.3μm以上の大きさの凸状欠陥は、ターゲット5の非エロージョン領域94に一度付着したスパッタ粒子を主成分とする付着物が、成膜中に遮光膜上に落下したことに起因するものが多い。また、0.3μm以上の大きさの凹状欠陥は、前記の付着物が成膜中に一度遮光膜に付着した後、脱離したことに起因するものが多い。カウントした結果、0.3μm以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の総数が最も多かったマスクブランクでも9個であり、従来よりも大幅に少なかった。本発明の実施例1の製造方法により、マスクブランク製造の歩留まりを大幅に向上させることができた。
(比較例1)
この比較例1では、実施例1の場合と異なり、ターゲット5として、最下層(A層)、下層(B層)及び上層(C層)の3層からなる遮光膜の成膜の際に、直径216mmのCrを材料とするターゲット5を用いた。それ以外は、実施例1と同様に、3層からなる遮光膜の成膜の成膜を行った。
実施例1と同様にして、50枚の基板6に対し、最下層、下層及び上層からなる遮光膜を形成し、比較例1のマスクブランクを製造した。なお、50枚の基板6に成膜する間、成膜室1やターゲット5等のクリーニングは行っていない。各基板6上に遮光膜が成膜された各マスクブランクの遮光膜の表面に対し、レーザー干渉コンフォーカル光学系による60nm感度の欠陥検査装置(レーザーテック社製 M6640)を用いて、欠陥検査を行った。
各欠陥検査の結果から、比較例1の各マスクブランクにおける遮光膜上の0.3μm相当以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の個数をカウントした。その結果、0.3μm以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の総数が最も多かったマスクブランクでは1513個もあった。このような欠陥が多い比較例1のマスクブランクは、転写用マスクを作製するために使用できるものではない。
(実施例2)
実施例2では、バイナリマスク用の遮光膜であるMoSiN(下層、D層)/MoSiN(上層、E層)の2層積層構造の遮光膜を試作した。表2に、スパッタリング法による各層の成膜条件を示す。
実施例2による成膜には、実施例1と同様に、図4で説明したDCマグネトロンスパッタリング装置(成膜装置)を用いた。実施例2に用いた基板6は、実施例1と同様に、縦・横の寸法が、約152mm×約152mmで、厚さが6.25mmの合成石英の基板6を用いた。基板6の表面は、粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を経て平坦化された。
この基板6を、DCマグネトロンスパッタリング装置の中に導入し、D層及びE層を、それぞれ独立に、表2に示す条件で成膜を行った。このとき、ターゲット5としては、直径220mmの、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット5(原子%比 Mo:Si=13:87)を用いた。それぞれの成膜前には、ターゲット5のスパッタ面52を平坦にし、成膜後、スパッタ面52のエロージョン領域92の大きさを測定した。表2に示すように、エロージョン領域92の大きさが一番小さかったのは、E層(上層)であり、エロージョン領域92の大きさは直径210mmだった。
次に、基板6側から下層(D層)及び上層(E層)の2層からなる遮光膜を、表2に示す条件で形成した。このとき、ターゲット5としては、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット5(原子%比 Mo:Si=13:87)を用いた。なお、ターゲット5の大きさは、D層及びE層のうち、エロージョン領域92の一番小さい大きさと同じ大きさである直径210mmのものを用いた。
上述の基板6を50枚準備し、1枚ずつDCマグネトロンスパッタリング装置の中に導入し、下記のように成膜を行った。
最初に、下層(D層)を次のようにして成膜した。すなわち、合成石英ガラスからなる基板61上に、Mo/Siターゲット5(原子%比 Mo:Si=13:87)を用い、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜(下層)を膜厚47nmで成膜した。
次に、引き続いて、同じMo/Siターゲット5を用い、アルゴンと、窒素と、ヘリウムとの混合ガス雰囲気で、MoSiN膜(上層、E層)を膜厚13nmで成膜した。
上述の成膜により、下層(膜組成比 Mo:9.9原子%,Si:66.1原子%,N:24.0原子%)と上層(膜組成比 Mo:7.5原子%,Si:50.5原子%,N:42.0原子%)との2層積層の遮光膜(総膜厚60nm)を作製した。なお、遮光膜2の各層の元素分析は、ラザフォード後方散乱分析法を用いた。この遮光膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜として用いることができる。
上述のようにして、50枚の基板6に対して、下層(D層)及び上層(E層)からなる遮光膜を順次成膜し、マスクブランクを製造した。なお、50枚の基板6に成膜する間、成膜室1やターゲット5等のクリーニングは行っていない。各基板6上に遮光膜が成膜されたに各マスクブランクの遮光膜の表面に対し、レーザー干渉コンフォーカル光学系による60nm感度の欠陥検査装置(レーザーテック社製 M6640)を用いて、欠陥検査を行った。
各欠陥検査の結果から、各マスクブランクにおける遮光膜上の0.3μm相当以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の個数をカウントした。カウントした結果、0.3μm以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の総数が最も多かったマスクブランクでも4個であり、従来よりも大幅に少なかった。本発明の実施例2の製造方法により、マスクブランク製造の歩留まりを大幅に向上させることができた。
(比較例2)
比較例2では、実施例2の場合と異なり、ターゲット5として、下層(D層)及び上層(E層)の2層からなる遮光膜の成膜の際に、直径220mmのモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット5(原子%比 Mo:Si=13:87)を用いた。それ以外は、実施例2と同様に、2層からなる遮光膜の成膜の成膜を行った。
実施例2と同様にして、50枚の基板6に対し、下層(D層)及び上層(E層)の2層からなる遮光膜を形成し、比較例2のマスクブランクを製造した。なお、50枚の基板6に成膜する間、成膜室1やターゲット5等のクリーニングは行っていない。各基板6上に遮光膜が成膜された各マスクブランクの遮光膜の表面に対し、レーザー干渉コンフォーカル光学系による60nm感度の欠陥検査装置(レーザーテック社製 M6640)を用いて、欠陥検査を行った。
各欠陥検査の結果から、比較例2の各マスクブランクにおける遮光膜上の0.3μm相当以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の個数をカウントした。その結果、0.3μm以上の大きさの凸状欠陥及び凹状欠陥の総数が最も多かったマスクブランクでは11個もあった。
1 成膜室
2 マグネトロンカソード
3 回転ステージ
4 バッキングプレート
5 スパッタリングターゲット(ターゲット)
6 基板
7 排気口
8 ガス導入口
11 ロードロック室
12 バルブ
13 成膜部
14、17、18 バルブ
15 搬送室
16 アンロードロック室
19 ロボットアーム
52 スパッタ面
53 スパッタリングターゲットの中心
54 スパッタリングターゲット中心軸
56 基板回転軸
57 スパッタ面の中心を通り基板の回転軸に対して平行な直線
71 主表面
92 エロージョン領域
94 非エロージョン領域
Dtar スパッタリングターゲットの直径
Derr エロージョン領域の直径(エロージョン領域の大きさ)
α 上方シールドの基板と対向する面と、スパッタ面との間でなす角度
θ 傾斜角

Claims (13)

  1. 基板の主表面上に、薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、
    前記薄膜が、ともに同一のスパッタリング装置の同一のターゲットを用いてスパッタリング法によってそれぞれ形成される複数の層を含み、
    前記スパッタリング装置が、成膜室と、前記成膜室内に設けられたマグネトロンカソードと、前記マグネトロンカソードに取り付けられたバッキングプレートに接着された前記ターゲットとを備え、
    前記スパッタリング装置の前記ターゲットを用いるスパッタリング法によって前記複数の層の各層を形成するときの、ターゲットのスパッタ面のエロージョン領域の大きさを、前記各層のそれぞれについて求める工程と、
    前記複数の層の各層を形成したときに大きさが求められた前記各層前記エロージョン領域のうち、最も小さい大きさのエロージョン領域と同一又は小さい大きさのスパッタ面を有するターゲットを選択する工程と、
    前記選択されたターゲットが接着されたバッキングプレートを前記スパッタリング装置の前記マグネトロンカソードに取り付け、前記複数の層の各層前記基板の主表面上にそれぞれ形成する工程と
    を含むことを特徴とする、マスクブランクの製造方法。
  2. 前記複数の層の各層が、前記選択されたターゲットが接着された前記バッキングプレートを前記マグネトロンカソードに取り付けた成膜室内に前記基板を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを前記成膜室内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、
    前記複数の層の各層前記基板の主表面上にそれぞれ形成する工程において、前記成膜室に導入される前記反応性ガスの条件が、それぞれ異なることを特徴とする、請求項1記載のマスクブランクの製造方法。
  3. 前記複数の層の各層が、DCスパッタリング法によって形成されることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  4. 前記選択されたターゲットが、金属成分のみを含有する材料からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  5. 前記選択されたターゲットが、クロムからなることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  6. 前記複数の層が、第1の層及び第2の層を少なくとも有し、
    前記第1の層がCrOCNからなり、前記第2の層がCrNからなり、
    前記第1の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさが、前記第2の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさよりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載のマスクブランクの製造方法。
  7. 前記第1の層及び前記第2の層が、前記選択されたターゲットが接着された前記バッキングプレートを前記マグネトロンカソードに取り付けた成膜室内に前記基板を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを前記成膜室内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、
    前記第1の層が、前記反応性ガスとしてN及びCOの混合ガスを用いて形成されたものであり、
    前記第2の層が、前記反応性ガスとしてNガスを用いて形成されたものであることを特徴とする、請求項6記載のマスクブランクの製造方法。
  8. 前記複数の層が、第1の層及び第2の層を少なくとも有し、
    前記第1の層がCrOCNからなり、前記第2の層がCrONからなり、前記第1の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさが、前記第2の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさよりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載のマスクブランクの製造方法。
  9. 前記第1の層及び前記第2の層が、前記選択されたターゲットが接着された前記バッキングプレートを前記マグネトロンカソードに取り付けた成膜室内に前記基板を配置し、スパッタ希ガスと反応性ガスとを前記成膜室内に導入した状態でスパッタリング法によって形成されるものであり、
    前記第1の層が、前記反応性ガスとしてN及びCOの混合ガスを用いて形成されたものであり、
    前記第2の層が、前記反応性ガスとしてNOガスを用いて形成されたものであることを特徴とする、請求項8記載のマスクブランクの製造方法。
  10. 前記選択されたターゲットが、モリブデンおよびケイ素からなることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  11. 前記複数の層が、第1の層及び第2の層を少なくとも有し、
    前記第1の層がMoSiNからなり、前記第2の層が前記第1の層よりも窒素含有量が多いMoSiNからなり、
    前記第2の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさが、前記第1の層を形成するときにおける前記エロージョン領域の大きさよりも小さいことを特徴とする、請求項10に記載のマスクブランクの製造方法。
  12. 前記基板の主表面上に、転写パターン形成用の前記薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、
    前記薄膜の前記複数の層の各層前記基板の主表面上に形成する工程が、前記基板を主表面の中心を通る回転軸で回転させることと、前記選択されたターゲットのスパッタ面を、前記基板の主表面と対向し、かつ前記主表面と、前記スパッタ面とが所定の角度を有し、前記基板の回転軸と、前記スパッタ面の中心を通り前記基板の回転軸に対して平行な直線とがずれた位置になるように配置することとを含むスパッタリング法によって前記複数の層の各層前記基板の主表面上に形成するものであることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載のマスクブランク製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に、転写パターンを形成するパターン形成工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
JP2012056838A 2012-03-14 2012-03-14 マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法 Active JP5916447B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012056838A JP5916447B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012056838A JP5916447B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013189684A JP2013189684A (ja) 2013-09-26
JP2013189684A5 JP2013189684A5 (ja) 2015-01-15
JP5916447B2 true JP5916447B2 (ja) 2016-05-11

Family

ID=49390237

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012056838A Active JP5916447B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5916447B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015178653A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 株式会社アルバック スパッタリング装置及びスパッタリング方法
JP6311385B2 (ja) * 2014-03-24 2018-04-18 大日本印刷株式会社 フォトマスク製造方法
JP6540758B2 (ja) * 2017-07-31 2019-07-10 信越化学工業株式会社 フォトマスクブランク
CN113005410A (zh) * 2021-02-08 2021-06-22 上海传芯半导体有限公司 掩模基版的制造方法及制造设备

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001305713A (ja) * 2000-04-25 2001-11-02 Shin Etsu Chem Co Ltd フォトマスク用ブランクス及びフォトマスク
JP4371569B2 (ja) * 2000-12-25 2009-11-25 信越化学工業株式会社 マグネトロンスパッタ装置とそれを用いたフォトマスクブランクの製造方法
JP4407815B2 (ja) * 2004-09-10 2010-02-03 信越化学工業株式会社 フォトマスクブランク及びフォトマスク
JP4723668B2 (ja) * 2009-12-25 2011-07-13 Jx日鉱日石金属株式会社 ターゲットバッキングプレート組立体
US8562794B2 (en) * 2010-12-14 2013-10-22 Asahi Glass Company, Limited Process for producing reflective mask blank for EUV lithography and process for producing substrate with functional film for the mask blank

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013189684A (ja) 2013-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5914035B2 (ja) マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法
JP5760990B2 (ja) Euvリソグラフィ用反射型マスクブランクスの製造方法、および該マスクブランクス用の機能膜付基板の製造方法
US8003282B2 (en) Reflective mask blank for EUV lithography, and substrate with functional film for the mask blank
KR101317981B1 (ko) Euv 리소그래피용 반사형 마스크 블랭크 제조에 사용되는 스퍼터링 타겟
TW202125090A (zh) 反射型光罩基底及反射型光罩、以及半導體裝置之製造方法
JP5916447B2 (ja) マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法
JP7379027B2 (ja) 多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及び反射型マスク、並びに半導体装置の製造方法
JP5616265B2 (ja) 薄膜の成膜方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法
JP2023181294A (ja) マスクブランク、転写用マスクの製造方法、及び表示装置の製造方法
US20240094621A1 (en) Mask blank and reflective mask
KR102561571B1 (ko) 레지스트층을 구비한 마스크 블랭크, 레지스트층을 구비한 마스크 블랭크의 제조 방법 및 전사용 마스크의 제조 방법
EP3893052A1 (en) Reflective mask blank, method of manufacturing thereof, and reflective mask
TW201905580A (zh) 附有多層反射膜之基板、反射型光罩基底及反射型光罩、及半導體裝置之製造方法
JP5333016B2 (ja) Euvリソグラフィ用反射型マスクブランク
JP6173733B2 (ja) マスクブランク、転写用マスク及びこれらの製造方法
TW202242535A (zh) 反射型遮罩基底及反射型遮罩
KR102688865B1 (ko) 반사형 마스크 블랭크용 막 부가 기판, 반사형 마스크 블랭크, 및 반사형 마스크의 제조 방법
TWI851887B (zh) 反射型空白遮罩、其製造方法及反射型遮罩
US20240231216A1 (en) Mask blank, reflective mask, and method for producing semiconductor devices
JP2022135927A (ja) 反射型マスクブランク及び反射型マスク
JP5772499B2 (ja) Euvリソグラフィ(euvl)用反射型マスクブランクの製造方法およびeuvl用反射層付基板の製造方法
JP2023000457A (ja) 反射型マスクブランク、及び反射型マスクの製造方法
TW202115483A (zh) 附薄膜之基板、附多層反射膜之基板、反射型光罩基底、反射型光罩及半導體裝置之製造方法
JP2023070977A (ja) マスクブランク、転写用マスク及び半導体デバイスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141125

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141125

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5916447

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250