JP6311385B2 - フォトマスク製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体の製造に用いられるフォトマスク製造方法に関する。
従来、位相シフトマスクにおける半透明マスクパターンの材料としては、主にモリブデンシリサイド(MoSi)を含む化合物、例えば、酸化窒化モリブデンシリサイド(MoSiON)等が用いられる(特許文献1参照)。また、モリブデンシリサイド(MoSi)を含む化合物は、半透明マスクパターンだけでなく、遮光膜の材料としても用いられる。
位相シフトマスク等のフォトマスクは、製造段階において、マスクパターンに黒欠陥と呼ばれるエッチングの余剰部分、又は白欠陥と呼ばれるエッチングの欠け部分を生じることがある。以下、マスクパターンの余剰部分である黒欠陥を「残渣欠陥」と称する。
一般に、位相シフトマスク等のフォトマスクの製造には多くの複雑な工程が含まれることや、マスクパターンが極めて微細であること等を考慮すると、マスクパターンの製造時に、欠陥部を全く生じさせないことは、技術的にも製造コスト的にも困難である。従って、位相シフトマスク等のフォトマスクの製造において、欠陥部の除去は必須の工程となっている(特許文献2参照)。
上記欠陥部の修正には、主にEB(電子線)修正装置が用いられる。EB修正装置は、アシストガスと電子線とを用いて部分エッチングする装置であり、欠陥部の修正に一般的に広く用いられている。
特開2013−11900号公報 特開2004−294613号公報
従来のMoSi系材料から構成される半透明マスクパターンは、ArFエキシマレーザによる転写露光を繰り返すと、マスクパターンの寸法が変化してしまうという課題があった。また、従来のMoSi系材料から構成される半透明マスクパターンは、転写露光と洗浄とを繰り返した場合に、半透明マスクパターンの膜厚が減り、透過率や位相差が変化してしまうという課題もあった。そのため、半透明マスクパターンの耐光性を向上させるために、様々な改良が試みられている。
現在、MoSi系材料から構成される半透明マスクパターンにおいて、Moの含有率を下げる、又はMoを含まない膜とすることにより、半透明マスクパターンの耐光性が向上することが解明されている。このような、耐光性を有する半透明マスクパターンは、例えば、Mo含有率を下げた、又は含まない半透明層の形成されたフォトマスクブランクスに、従来と同様のドライエッチング加工を施すことにより形成することができる。以下、Mo含有率を下げた、又は含まない半透明層の形成されたフォトマスクブランクスを、「耐光性を有するフォトマスクブランクス」ともいう。
しかし、耐光性を有するフォトマスクブランクスでは、半透明パターンのエッチングレート(エッチング速度)が遅くなるため、EB修正装置による部分エッチングでは、欠陥部の修正が極めて困難になることが明らかとなった。すなわち、耐光性を有するフォトマスクブランクスの半透明マスクパターンにおいて、従来の部分エッチングによる手法で欠陥部を修正した場合、欠陥部のエッチングが進まず、従来と同程度の時間では欠陥部の修正を完了することができないという課題が判明した。
本発明は、耐光性を有するフォトマスクブランクスの半透明マスクパターンにおいて、欠陥部をより短時間で修正することができるフォトマスク製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
・第1の発明は、透明基板(11)及び当該透明基板の上に形成された薄膜(12A、13A)を有するフォトマスクブランクス(10)の前記薄膜をエッチング加工して薄膜パターン(12、13)を形成する薄膜パターン形成工程(S2、S3)と、前記薄膜パターンの欠陥部(23)を含む領域に金属イオンを照射する金属イオン照射工程(S5)と、金属イオンが照射された前記薄膜パターンの前記欠陥部にアシストガスを供給しながら電子線を照射することにより、前記欠陥部をエッチング除去する薄膜パターン修正工程(S6)と、を備えることを特徴とするフォトマスク製造方法である。
・第2の発明は、第1の発明のフォトマスク製造方法において、前記金属イオン照射工程において前記薄膜パターンに照射される金属イオンの深さ方向の濃度分布は、透明基板領域で最大値となることを特徴とするフォトマスク製造方法である。
・第3の発明は、第1又は第2の発明のフォトマスク製造方法において、前記金属イオン照射工程の前工程として、前記薄膜パターンの前記欠陥部にアシストガスを供給しながら電子線を照射することにより、前記欠陥部の一部を予めエッチング除去する薄膜パターン予備修正工程(S15)を備えることを特徴とするフォトマスク製造方法である。
・第4の発明は、第1から第3のいずれかのフォトマスク製造方法において、前記薄膜におけるモリブデン(Mo)とシリコン(Si)の原子比(AMo/ASi)が、0≦AMo/ASi≦1/10の関係を満たすことを特徴とするフォトマスク製造方法である。
本発明によれば、耐光性を有するフォトマスクブランクスの半透明マスクパターンにおいて、欠陥部の修正ができるフォトマスク製造方法を提供できる。
第1実施形態におけるフォトマスク製造方法の処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるフォトマスク製造装置1を示す概略構成図である。 第1実施形態におけるフォトマスク製造方法を示す概略工程図である。 第1実施形態におけるフォトマスク製造方法を示す概略工程図である。 半透明マスクパターンをドライエッチングした場合におけるエッチング時間とエッチング深さとの関係を示すグラフである。 FIB照射による半透明パターンの深さ方向におけるイオン濃度の分布を、FIBの加速電圧に応じて演算したシミュレーション結果を示すグラフである。 第2実施形態におけるフォトマスク製造方法の処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるフォトマスク製造方法の一部を示す概略工程図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るフォトマスク製造方法の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態におけるフォトマスク製造方法の処理手順を示すフローチャートである。図1に示すように、第1実施形態におけるフォトマスク製造方法は、フォトマスクブランクスの準備工程(S1)、第2薄膜パターン形成工程(S2)、第1薄膜パターン形成工程(S3)、第1薄膜パターンの欠陥検査工程(S4)、FIB照射工程(S5)、第1薄膜パターンの欠陥修正工程(S6)の各工程を順に備える。以下、各工程について簡単に説明する。
フォトマスクブランクスの準備工程(S1)は、透明基板の上に第1薄膜が形成され、その第1薄膜の上に第2薄膜が形成されたフォトマスクブランクスを準備する工程である。
第2薄膜パターン形成工程(S2)は、工程(S1)で準備されたフォトマスクブランクスの第2薄膜をエッチング加工して、第2薄膜パターンを形成する工程である。
第1薄膜パターン形成工程(S3)は、第2薄膜パターンから露出する第1薄膜をエッチング加工して、第1薄膜パターンを形成する工程である。
第1薄膜パターンの欠陥検査工程(S4)は、工程(S3)で形成された第1薄膜パターンの欠陥部を検出する工程である。この工程(S4)において、欠陥部が検出された場合には、後述のFIB照射工程(S5)へ移行する。また、欠陥部が検出されなかった場合には、他の加工工程に移行する。
FIB照射工程(S5)は、第1薄膜パターンの欠陥部を含む領域に、GaイオンによるFIB(集束イオンビーム)を照射する工程である。後述するように、FIB照射工程を実施することにより、第1薄膜パターンのエッチングレートを速めることができる。
第1薄膜パターンの欠陥修正工程(S6)は、工程(S4)で検出された第1薄膜パターンの欠陥部を修正(除去)する工程である。なお、図示していないが、工程(S6)の後、洗浄工程が実施され、第1薄膜パターンが洗浄される。その後、リソグラフィシミュレーション顕微鏡による欠陥検査が実施される。この欠陥検査において、欠陥部が検出された場合には、工程(S6)に戻って、再び欠陥部の修正が実施される。また、欠陥部が検出されなかった場合には、次の加工工程に移行する。
ここで、上記フォトマスクブランクスがハーフトーン型位相シフトマスクの場合には、半透明膜が上記第1薄膜に相当する。一方、上記フォトマスクブランクスがバイナリマスクの場合には、遮光膜が上記第1薄膜に相当する。
また、上記第2薄膜は、第1薄膜をエッチング加工して第1薄膜パターンを形成する際に、エッチングマスクとして作用する。なお、第2薄膜パターンは、第1薄膜パターンを形成する工程(S3)の後に除去される。
次に、第1実施形態におけるフォトマスク製造装置について説明する。このフォトマスク製造装置は、上記フォトマスク製造方法を実施するための装置である。図2は、第1実施形態におけるフォトマスク製造装置1を示す概略構成図である。なお、以下の説明においては、後述する図3及び図4に示す構成要件を適宜に引用する。
図2に示すように、フォトマスク製造装置1は、薄膜パターン形成部2と、第1検査部3と、金属イオン照射部4と、薄膜パターン修正部5と、第2検査部6と、を備える。
薄膜パターン形成部2は、フォトマスクブランクス10に形成された2層の薄膜をエッチング加工して、第1薄膜パターン12を形成する装置である。フォトマスクブランクス10は、後述するように、透明基板11と、透明基板11の上に形成された第1薄膜12A(半透明膜)及び第2薄膜13A(遮光膜)と、を有する。なお、薄膜パターン形成部2には、レジスト塗布装置、電子線描画装置、エッチング装置、レジスト剥離装置、洗浄装置等(いずれも不図示)が含まれる。
第1検査部3は、第1薄膜パターン12の形成されたフォトマスクブランクス(以下、「中間製造物」ともいう)10を検査し、欠陥部23を検出する装置である。
金属イオン照射部4は、第1薄膜パターン12の欠陥部23を含む領域に対して、金属イオンとしてのGa(ガリウム)イオンを照射する装置である。本実施形態では、金属イオン照射部4として、FIB修正装置が用いられる。なお、金属イオン照射部4として、FIB修正装置の代わりに、イオン注入装置等を使用してもよい。
薄膜パターン修正部5は、第1薄膜パターン12の欠陥部21にアシストガスを供給しながら電子線を照射することにより、欠陥部23をエッチング除去する装置である。本実施形態では、薄膜パターン修正部5として、EB修正装置が用いられる。
第2検査部6は、EB修正装置により修正された第1薄膜パターン12を評価する装置である。本実施形態では、第2検査部6として、リソグラフィシミュレーション顕微鏡が用いられる。
なお、フォトマスク製造装置1を構成する上記各部の機能については、後述するフォトマスクの製法方法において更に詳細に説明する。
次に、第1実施形態におけるフォトマスク製造方法について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3(a)〜(e)は、第1実施形態におけるフォトマスク製造方法を示す概略工程図である。また、図4(f)〜(i)は、第1実施形態におけるフォトマスク製造方法を示す概略工程図である。図3(a)〜(e)及び図4(f)〜(i)は、連続する一連の工程図である。本実施形態では、フォトマスクとして、ハーフトーン型位相シフトマスクを製造する場合について説明する。以下、第1実施形態におけるフォトマスクの製造工程を、(1)〜(5)の順に説明する。
<フォトマスクブランクスの準備工程>
(1) 図3(a)に示すように、フォトマスクブランクス10を準備する。フォトマスクブランクス10は、薄膜パターン形成部2に設置される。フォトマスクブランクス10は、透明基板11と、透明基板11の上に形成された第1薄膜12Aと、第1薄膜12Aの上に形成された第2薄膜13Aと、を有する。
透明基板11としては、ArFエキシマレーザを高い透過率で透過する材料が好ましい。例えば、合成石英ガラス、蛍石、フッ化カルシウム等が挙げられる。中でも、従来の位相シフトマスクにおける実績から、合成石英ガラスが好適に用いられる。
本実施形態において、第1薄膜12Aは、ArFエキシマレーザの位相及び透過率を制御する半透明膜に相当する。第1薄膜12Aの膜厚は、第1薄膜12Aの部分を透過する波長193nmのArFエキシマレーザの光と、透明基板11が露出している部分を透過する波長193nmのエキシマレーザの光との位相が反転するように設定される。また、第1薄膜12Aは、通常、波長193nmのArFエキシマレーザの透過率が6%以上となるように設定される。
なお、フォトマスクがバイナリマスクの場合において、第1薄膜12Aは、遮光膜となる。この場合、第1薄膜12Aは、通常、波長193nmのArFエキシマレーザに対する光学濃度の値が概ね3となるように設定される。
第1薄膜12Aの材料としては、従来のArFエキシマレーザ用ハーフトーン型位相シフトマスクの半透明膜や、バイナリマスクの遮光膜に用いられる材料が挙げられる。例えば、第1薄膜12Aとして、モリブデンシリサイド(MoSi)系材料であるモリブデンシリサイド酸化膜(MOSiO)、モリブデンシリサイド窒化膜(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)等の化合物を用いることが好ましい。また、モリブデン(Mo)を含有しない、シリサイド系の材料であるSi、SiN、SiO、SiON等の材料を用いたバイナリマスク及び半透明膜を用いることができる。
本実施形態に用いられるフォトマスクブランクス10は、Moの含有率を下げた、若しくはMoを含まない耐光性を有するフォトマスクブランクスとして構成される。そのため、本実施形態では、第1薄膜12Aにおけるモリブデン(Mo)とシリコン(Si)の原子比(AMo/ASi)が、AMo/ASi≧1/10の関係を満たすものが用いられる。このような関係を満たすものであれば、第1薄膜12Aをエッチング加工することにより、ArFエキシマレーザ露光における耐光性が高く、寸法安定性に優れた第1薄膜パターン12(後述)を形成することができる。
また、第1薄膜12Aは、例えば、モリブデンとシリコンの混合ターゲットを用い、アルゴン、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気中において、反応性スパッタリング法により形成することができる。
第2薄膜13Aは、第2薄膜パターン13(後述)を形成するための薄膜である。第2薄膜パターン13は、第1薄膜12Aをエッチング加工して、第1薄膜パターン12を形成する際のエッチングマスクとして機能する。
上述したように、第1薄膜12Aとしては、モリブデンシリサイド(MoSi)系の化合物、又はSi系の窒化物、Si系の窒化物等を用いることが好ましい。このモリブデンシリサイド(MoSi)系の化合物、又はSi系の化合物は、主に、フッ素系ガスを用いたドライエッチングで加工される。そのため、エッチングマスクとなる第2薄膜13Aは、フッ素系ガスを用いたドライエッチングに対して耐性を有する材料により構成されることが好ましい。
また、第2薄膜13Aを構成する材料の具体例としては、Cr、CrO、CrN、CrNO等のクロム系の材料や、Ta、TaO、TaN、TaNO等のタンタル系の材料を挙げることができる。なお、第2薄膜13Aは、同一材料から構成される単層構造であってもよく、2種以上の異なる材料から構成される多層構造であってもよい。
第2薄膜13Aの膜厚は、第1薄膜パターン12を形成する際のエッチングマスクとしての機能に足りる厚さを備えていればよい。しかし、第2薄膜13Aの膜厚が過度に厚い場合には、第2薄膜パターン13を微細なパターンとすることが難しくなる。そのため、第2薄膜13Aの膜厚は、第1薄膜パターン12のサイズにもよるが、3nm〜50nm程度の範囲であることが好ましい。
第2薄膜13Aは、公知の真空成膜の手法を適用することができる。例えば、第2薄膜13Aがクロム膜(Cr)の場合は、クロムのターゲットを用い、アルゴンガス雰囲気中において、反応性スパッタリング法により形成することができる。
<第2薄膜パターン形成工程>
(2) 上記(3)の工程で準備されたフォトマスクブランクス10を、薄膜パターン形成部2(図2参照)のレジスト塗布装置(不図示)にセットし、図3(b)に示すように、第2薄膜13Aの上に、レジスト層14Aを形成する。
図3(b)に示すように、本実施形態では、第2薄膜13Aとレジスト層14Aの間に異物21が混入したことにより、残渣欠陥が生じる例を示している。なお、残渣欠陥の発生する形態は、異物21が混入する他に、レジスト層14Aの表面に異物が付着する場合がある。この場合は、薄膜パターン形成部2(図2参照)の電子線描画装置(不図示)において、電子線パターン描画を行った際に、その部位の電子線照射量が不足し、不要な余剰部分を残したレジストパターンが形成されてしまう。また、レジストパターンの形状不良に起因して不要な余剰部分が形成されることにより、残渣欠陥が発生する場合もある。なお、図2では、残渣欠陥となる箇所が1箇所の例を示すが、残渣欠陥は複数箇所に発生し得る。
次に、図3(b)までの工程で得られた中間製造物10を、薄膜パターン形成部2(図2参照)の電子線描画装置(不図示)にセットし、図3(c)に示すように、電子線パターン描画によるパターン形成方法を用いて、レジストパターン14を形成する。
続いて、レジストパターン14の形成された中間製造物10を、薄膜パターン形成部2(図2参照)のエッチング装置(不図示)にセットし、図3(d)に示すように、第2薄膜13Aをエッチング加工して、第2薄膜パターン13を形成する。第2薄膜13Aをエッチング加工する方法としては、例えば、第2薄膜13Aがクロム系材料から構成される場合には、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングの方法を用いることができる。また、第2薄膜13Aがタンタル系材料から構成される場合には、塩素系ガスを用いたドライエッチングの方法を用いることができる。
次に、図3(d)までの工程で得られた中間製造物10を、薄膜パターン形成部2(図2参照)のレジスト剥離装置(不図示)にセットし、図3(e)に示すように、レジストパターン14を除去する。通常、レジストパターン14を除去する工程、又はその後の洗浄工程(不図示)において、異物21も除去される。しかし、第2薄膜13Aをエッチング加工する際に、レジストパターン14から露出した異物21の部分により覆われていた第2薄膜13Aの部分には、不要な余剰部分である欠陥部22が形成される。
なお、欠陥部22は、第2薄膜13Aから形成されたものである。欠陥部22を構成する材料は、第2薄膜パターン13を構成する材料と同じである。但し、図3(e)等においては、欠陥部22の断面を、第2薄膜パターン13の断面とは異なる向き斜線で示している。本実施形態において、第2薄膜パターン13の欠陥部22は、欠陥修正工程で除去されることはなく、後述する第1薄膜パターン12の欠陥部23が、欠陥修正工程で除去される。
<第1薄膜パターン形成工程>
(3) 図3(e)までの工程で得られた中間製造物10を、薄膜パターン形成部2(図2参照)のエッチング装置(不図示)にセットする。そして、図4(f)に示すように、第2薄膜パターン13から露出する第1薄膜12Aをエッチング加工して、第1薄膜パターン12を形成する。なお、第2薄膜パターン13に欠陥部22が存在することにより、第1薄膜パターン12には、不要な余剰部分である欠陥部23が形成される。図4では、第1薄膜パターン12における欠陥部23の断面を、第1薄膜パターン12の断面とは異なる向きの斜線で示している。
<第1薄膜パターンの欠陥検査工程>
(4) 図示は省略するが、図4(f)までの工程で得られた中間製造物10を、第1検査部3(図2参照)にセットし、第1薄膜パターン12に形成された欠陥部23を検出する欠陥検査を実施する。この欠陥検査工程において、欠陥部23が検出されない場合、中間製造物10は、他の加工工程に搬送される。一方、欠陥検査工程において、欠陥部23が検出された場合、中間製造物10は、後述するFIB照射工程へ搬送される。
<FIB照射工程>
(5) 上記(4)の工程において欠陥部23が検出された中間製造物10を、金属イオン照射部4(図2参照)にセットし、図4(g)に示すように、欠陥部23を含む領域にGaイオンによるFIB31を照射する。この工程では、FIB31を照射する際に、アシストガスは供給されない。
このFIB照射工程は、第1薄膜パターン12のエッチングレートを速めるために実施される工程である。ここで、FIB照射の有無とエッチング時間との関係を、図5を用いて説明する。
図5は、半透明マスクパターンをドライエッチングした場合におけるエッチング時間とエッチング深さとの関係を示すグラフである。図5に示すグラフは、EB修正装置から一定強度の電子線を照射して半透明マスクパターンをドライエッチングしたときのエッチング時間及びエッチング深さを、後述するフォトマスクブランクス毎に計測した実験結果である。なお、図5に示すグラフは、各フォトマスクブランクスの特性を模式的に表したものである。
図5において、実線で示されたグラフは、Mo含有率を下げていない通常のMoSi系材料から構成される半透明マスクパターンを有するフォトマスクブランクスの特性を示す(以下、「通常のフォトマスクブランクス」ともいう)。
図5において、破線で示されたグラフ及び一点鎖線で示されたグラフは、いずれもMoの含有率を下げたMoSi系材料から構成される半透明マスクパターンを有するフォトマスクブランクス(耐光性を有するフォトマスクブランクス)の特性を示す。このうち、破線で示されたグラフ(FIB無し)は、半透明パターンにFIB照射しなかったフォトマスクブランクス(以下、「FIB無しのフォトマスクブランクス」ともいう)の特性を示す。また、一点鎖線で示されたグラフ(FIB有り1.)は、半透明パターンにFIB照射したフォトマスクブランクス(以下、「FIB有り1.のフォトマスクブランクス」ともいう)の特性を示す。
なお、図5において、二点鎖線で示されたグラフ(FIB有り2.)は、後述する第2実施形態におけるフォトマスクブランクス(以下、「FIB有り2.のフォトマスクブランクス」ともいう)の特性を示す。
図5に示すように、FIB無しのフォトマスクブランクスでは、エッチングレートが極端に遅いため、通常のフォトマスクブランクスに比べて多くのエッチング時間を要する。一方、FIB有り1.のフォトマスクブランクスでは、図5にあるように、横軸のエッチング時間に対する縦軸の掘り込み深さが大きくなっており、エッチングレートが速くなっているのが分かる。図5に示す実験結果から、イオン注入によってエッチングレートを速くできることが確認された。イオンを注入する条件にもよるが、数倍程度にエッチングレートを速めることができる。
このように、FIB照射工程を実施することにより、第1薄膜パターン12のエッチングレートを速めることができるため、後の第1薄膜パターン12の欠陥修正工程において、残化欠陥部をより短時間で修正することができる。
次に、FIB照射の強度と欠陥部23の深さ方向への影響との関係について、図6を用いて説明する。
図6は、Mo含有率3%、Si含有率44%、O含有率1%、N含有率54%の、膜厚が63nmの半透明膜の下にSiOからなる基板が積層されている構造のブランクスでシミュレーションした結果を示すグラフである。図6では、FIB照射による半透明パターン(第1薄膜パターン12)の深さ(表層からの深さ)方向におけるイオン濃度の分布を、FIBの加速電圧(5〜100kV)に応じて演算したシミュレーション結果を示している。図6において、FIBの加速電圧は、照射されるGaイオンの強度に対応する。また、図6において、イオン濃度は、Gaイオンの照射による影響度に対応する。
図6に示すように、FIBが照射された半透明パターンのイオン濃度は、FIBの加速電圧が高くなるほど深い領域に達するが、イオン濃度は低く且つ分布範囲は拡散する傾向にある。一方、FIBが照射された半透明パターンのイオン濃度は、FIBの加速電圧が低くなるほど浅い領域に留まるが、イオン濃度は高く且つ分布範囲はより集束する傾向にある。
本実施形態において、半透明パターンとしての第1薄膜パターン12に照射されるFIBの加速電圧は、エッチング除去すべき欠陥部23の深さをd、第1薄膜パターン12の内部でFIBの照射によるイオン濃度が最大となる深さをdとした場合に、
≧d
となるように設定することが好ましい。より好ましくは、dがd×0.2〜1.0の範囲となるように設定される。第1薄膜パターン12と透明基板11との界面まで十分にGaイオンが通過して、欠陥部23を良好に除去できるためである。
例えば、図6に示すように、FIBの加速電圧が5kV、10kV〜100kVに設定可能な場合において、エッチング除去すべき欠陥部23の深さdが膜厚と同じ63nmであれば、FIBの加速電圧は、dが透明基板領域に来るように、100kVに設定されることが好ましい。更に、より好ましくは、dがd×0.2〜1.0の範囲となるように設定されると、より修正し易くなる。
<第1薄膜パターンの欠陥修正工程>
(6) 図4(g)までの工程で得られた中間製造物10を、薄膜パターン修正部5(図2参照)にセットし、図4(h)に示すように、アシストガス41を供給しながら、第1薄膜パターン12の欠陥部23に電子線32を照射する。これにより、図4(i)に示すように、欠陥部23がエッチング除去されたフォトマスクが得られる。
上述した第1実施形態のフォトマスク製造方法においては、第1薄膜パターン12の欠陥修正工程の前にFIB照射工程が実施され、第1薄膜パターン12の欠陥部23を含む領域にGaイオンによるFIB31が照射される。FIB31が照射された領域の第1薄膜パターン12は、FIB31が照射されない他の領域に比べてエッチングレートが速くなる。そのため、第1実施形態のフォトマスク製造方法によれば、耐光性を有するフォトマスクブランクス10において、第1薄膜パターン12の欠陥部23をより短時間で修正することができる。
また、耐光性を有するフォトマスクブランクス10において、第1薄膜パターン12のエッチングレートが、下地となる透明基板11のエッチングレートよりも遅くなると、欠陥部23のエッチングにより多くの時間が必要となる。そのため、欠陥部23と透明基板11との界面において、エッチングに時間をかけ過ぎた場合には、欠陥部23のエッチングが必要以上に進行して、透明基板11の表面にダメージを与えることが考えられる。
しかし、第1実施形態のフォトマスク製造方法及びフォトマスク製造装置1では、FIB31の照射により、第1薄膜パターン12のエッチングレートが速くなるため、欠陥部23のエッチングをより少ない時間で行うことができる。これによれば、エッチングに時間をかけ過ぎることがないため、欠陥部23と透明基板11との界面において、欠陥部23のエッチングが必要以上に進行することがない。従って、第1実施形態のフォトマスク製造方法によれば、欠陥部23を除去した際に、透明基板11に与えるダメージを抑制することができる。
また、第1実施形態におけるフォトマスク製造方法において、第1薄膜パターン12に照射されるFIBの加速電圧は、エッチング除去すべき欠陥部23の深さdが膜厚と同じであれば、FIBの加速電圧は、第1薄膜パターン12の内部でFIBの照射によるイオン濃度が最大となる深さをdとした場合に、dが透明基板領域に来るように設定されることが好ましい。より好ましくは、dがd×0.2〜1.0の範囲となるように設定される。これによれば、第1薄膜パターン12におけるイオン濃度の深さ方向の分布を、欠陥部23の深さdに近い範囲に設定できるため、サイドエッチングを抑制しつつ、第1薄膜パターン12の欠陥部23をより短時間で修正することができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態におけるフォトマスク製造方法の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、第2実施形態におけるフォトマスク製造方法は、フォトマスクブランクスの準備工程(S11)、第2薄膜パターン形成工程(S12)、第1薄膜パターン形成工程(S13)、第1薄膜パターンの欠陥検査工程(S14)、第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程(S15)、FIB照射工程(S16)、第1薄膜パターンの欠陥修正工程(S17)の各工程を順に備える。
なお、図7に示す工程(S11)〜工程(S14)は、図1(第1実施形態)に示す工程(S1)〜(S4)に対応する。また、図7に示す工程(S16)及び工程(S17)は、図1に示す工程(S5)及び(S6)に対応する。第2実施形態では、第1実施形態の対応する工程の説明を適宜に省略する。
第2実施形態では、FIB照射工程(S16)の前に、薄膜パターン予備修正工程としての第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程(S15)を実施する点が第1実施形態と異なる。その他の工程は、第1実施形態の対応する工程と同じである。また、第2実施形態におけるフォトマスク製造装置1A(図2参照)の構成は、第1実施形態におけるフォトマスク製造装置1と同じであるため、説明を省略する。
図7に示す第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程(S15)は、第1薄膜パターンの欠陥部にアシストガスを供給しながら電子線を照射することにより、欠陥部の一部を予めエッチング除去する工程である。
第1実施形態では、第1薄膜パターン12に照射するFIBの加速電圧を、エッチングすべき欠陥部23の深さd、第1薄膜パターン12の内部でFIBの照射によるイオン濃度が最大となる深さdとした場合に、dがd×0.2〜1.0の範囲となるように設定する例を説明した。しかし、欠陥部23(第1薄膜パターン12)の深さd、又は装置の加速電圧の制限によっては、FIBの加速電圧を最大に設定しても、dがd×0.2〜1.0の範囲とならない場合がある。例えば、図6に示す例において、FIBの加速電圧が最大で30kVである場合には、欠陥部23の深さdが63nmであると、FIBの加速電圧を最大に設定しても、薄膜パターンと透明基板との界面まで十分にエッチングレートを速めることができないと考えられる。
そこで、第2実施形態では、FIB照射工程(S16)の前工程として、薄膜パターン修正部5(図2参照)により、欠陥部23の一部を予めエッチング除去する第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程(S15)を設けている。この予備欠陥修正工程において、予め欠陥部23の一部を除去しておくことにより、FIB照射工程(S16)後の第1薄膜パターンの欠陥修正工程(S17)において、欠陥部23の修正が容易になる。
例えば、図6に示す例において、欠陥部23の深さdを63nmとした場合に、第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程(S15)において、予め欠陥部23のうちの40nmをエッチング除去しておく。これにより、欠陥部23の残りの深さは23nmとなるため、後の第1薄膜パターンの欠陥修正工程(S17)では、欠陥部23の残りの深さ23nm分をエッチング除去すればよいことになる。
すなわち、この場合の欠陥部23の深さdは、23nm程度となるため、FIBの加速電圧が30kVであっても、欠陥部23の残りの部分のエッチングレートを速めることができる。このように、基板との界面まで金属イオンが十分到達していれば、良好な形状で修正可能である。
なお、本実施形態のように、予め欠陥部23の一部をエッチング除去した場合においても、図5に示すように、FIB有り2.のフォトマスクブランクスでは、イオン注入なしの場合と比較して、エッチングレートが速くなっているのが分かる。図5において、FIB有り2.のフォトマスクブランクスは、エッチング深さ40nmの位置からの特性を示している。
次に、第2実施形態におけるフォトマスク製造方法について、図8を参照しながら説明する。図8(f)〜(j)は、第2実施形態におけるフォトマスク製造方法の一部を示す概略工程図である。図8(f)に至る工程は、第1実施形態の図3(a)〜(e)と同じであるため、説明を省略する。また、第1実施形態と同等部分に同一符号を付し、第1実施形態と重複する説明を適宜に省略する。以下、第2実施形態におけるフォトマスクの製造工程を、(1)〜(5)の順に説明する。
<第1薄膜パターン形成工程>
(1) 図3(e)までの工程で得られた中間製造物10Aを、薄膜パターン形成部2(図2参照)のエッチング装置(不図示)にセットする。そして、図8(f)に示すように、第2薄膜パターン13から露出する第1薄膜12Aをエッチング加工して、第1薄膜パターン12を形成する。図8では、欠陥部23の断面を、第1薄膜パターン12の断面と同じ斜線で示している。
<第1薄膜パターンの欠陥検査工程>
(2) 図示は省略するが、図8(f)までの工程で得られた中間製造物10Aを、第1検査部3(図2参照)にセットし、第1薄膜パターン12に形成された欠陥部23を検出する欠陥検査を実施する。
<第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程>
(3) 図8(f)までの工程で得られた中間製造物10Aを、薄膜パターン修正部5(図2参照)にセットし、図8(g)に示すように、アシストガス41を供給しながら、第1薄膜パターン12の欠陥部23に電子線32を照射する。これにより、図8(h)に示すように、欠陥部23の一部をエッチング除去する。
<FIB照射工程>
(4) 欠陥部23の一部が除去された中間製造物10Aを、金属イオン照射部4(図2参照)にセットし、図8(h)に示すように、欠陥部23を含む領域にGaイオンによるFIB31を照射する。
<第1薄膜パターンの欠陥修正工程>
(5) 図8(h)までの工程で得られた中間製造物10Aを、薄膜パターン修正部5(図2参照)にセットし、図8(i)に示すように、アシストガス41を供給しながら、第1薄膜パターン12の残りの欠陥部23に電子線32を照射する。これにより、図8(j)に示すように、欠陥部23がエッチング除去されたフォトマスクが得られる。
上述した第2実施形態におけるフォトマスク製造方法によれば、FIB照射工程の前に、第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程において、欠陥部23の一部がエッチング除去される。そのため、欠陥部23の深さ(第1薄膜パターン12の膜厚)が大きい場合であっても、後に実施される第1薄膜パターンの欠陥修正工程において、欠陥部23を容易に除去することができる。従って、第2実施形態におけるフォトマスク製造方法においても、耐光性を有するフォトマスクブランクス10Aにおいて、第1薄膜パターン12の欠陥部23をより短時間で修正することができる。
また、第1薄膜パターン12のエッチングレートは、FIBを照射する前において、下地の透明基板11より遅いことが考えられる。しかし、FIB照射工程の前に実施される第1薄膜パターンの予備欠陥修正工程では、欠陥部23の一部(表層から所定の深さ)をエッチング除去するため、エッチングに時間をかけ過ぎたとしても、欠陥部23のすべてをエッチング除去する場合に比べて、透明基板11に与えるダメージを少なくすることができる。
[実施例]
以下、実施例として、本発明に係るフォトマスクブランクスの製造方法の具体例について説明する。ここでは、耐光性を有するフォトマスクブランクスにより作成したフォトマスクを実施例1〜5とする。また、耐光性を有するフォトマスクブランクスにおいて、FIB照射によるイオン注入を行わなかったフォトマスクを比較例1、2とする。
(実施例1)
以下に説明する(1)〜(6)の手順によりフォトマスクを作成した。
(1) 透明基板11として、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の合成石英ガラス基板を用意した。この基板の上に、第1薄膜12Aとして、Mo:Si:O:Nの原子比が、3:44:1:54となる膜厚60nmのモリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)を形成した。次いで、第1薄膜12Aの上に、第2薄膜13Aとして、膜厚48nmのクロム膜(Cr)を形成して、ベースとなるフォトマスクブランクスを得た(図3(a)参照)。
(2) 上記クロム膜(Cr)の上に、レジスト塗布装置により電子線レジストを塗布し(図3(b)参照)、電子線描画装置によりパターン描画、及び現像を施して、レジストパターンを形成した(図3(c)参照)。
(3) 塩素と酸素の混合ガスにより、レジストパターンから露出するクロム膜をドライエッチングして、第2薄膜パターン13としてのクロム膜パターンを形成した(図3(d)参照)。その後、レジストパターンを、レジスト剥離装置において、酸素プラズマによりアッシング除去した(図3(e)参照)。次いで、洗浄装置で洗浄した後、クロム膜パターンから露出するモリブデンシリサイド酸化窒化膜をSFガスでドライエッチング加工して、半透明マスクパターンを形成した(図4(f)参照)。その後、塩素と酸素の混合ガスにより、クロム膜パターンを除去して、第1薄膜パターン12の半透明パターンを有する中間製造物10を得た。
(4) 上記(3)で得られた中間製造物10の半透明マスクパターンを、欠陥検査装置(レーザーテック社製 MATRICS X700)を用いて検査した。
(5) モンテカルロシミュレーションにおいて、加速電圧を段階的に変えてシミュレーションを行い、修正すべき欠陥部の膜厚に対して、どの加速電圧でイオンが十分に注入されるかイオンの強度分布を確認した。装置の最大加速電圧30kVでは、基板にまでイオン濃度のピークが到達しないため、イオン濃度の深さ方向のピークが基板まで到達するように、予め欠陥部の表層を40nm除去した。
次に、欠陥部23に、FIB修正装置により、GaイオンによるFIB31を照射した(図4(g)参照)。Gaイオンの加速電圧は、30kVとした(実施例、比較例共に同じ)。予め欠陥部の表層を除去しておいたことにより、Gaイオンの加速電圧が低い場合でも、基板の界面までイオンを十分通過させることができた。
(6) アシストガス41として、フッ化キセノン(XeF)と水蒸気(HO)の混合ガスを供給しながら、上記(3)の検査で検出された欠陥部に電子線32を照射して(図4(h)参照)、欠陥部をエッチング除去した。なお、エッチング中は、二次電子及び反射電子等をモニタすることにより、エッチング除去の終点を検出した。Gaイオンを注入したことにより、半透明パターンのエッチングレートを速くすることができ、残渣欠陥を良好に修正することができた。なお、イオンを透過させたことで、半透明膜のエッチングレートは5倍程度向上した。実施例1のフォトマスク(図4(i)参照)による結果を表1に示す。
(実施例2)
第1薄膜12Aとして、Mo:Si:O:Nの原子比が、4:42:6:46となる膜厚63nmのモリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)を用い、予め欠陥部の表層を削る量を45nmとした以外は、実施例1と同様の手順により、実施例2のフォトマスクを得た。Gaイオンを注入したことにより、半透明パターンのエッチングレートを速くすることができ、残渣欠陥を良好に修正することができた。結果を表1に示す。
(実施例3)
第1薄膜12Aとして、Mo:Si:O:Nの原子比が、0:81:18:0となる膜厚45nmのシリコン酸化膜(SiO)を用い、予め欠陥部の表層を削る量を20nmとした以外は、実施例1と同様の手順により、実施例3のフォトマスクを得た。Gaイオンを注入したことにより、半透明パターンのエッチングレートを速くすることができ、残渣欠陥を良好に修正することができた。結果を表1に示す。
(実施例4)
第1薄膜12Aとして、Mo:Si:O:Nの原子比が、0:45:10:45となる膜厚64nmのシリコン酸化膜(SiO)を用い、予め欠陥部の表層を削る量を45nmとした以外は、実施例1と同様の手順により、実施例4のフォトマスクを得た。Gaイオンを注入したことにより、半透明パターンのエッチングレートを速くすることができ、残渣欠陥を良好に修正することができた。結果を表1に示す。
(実施例5)
第1薄膜12Aとして、Mo:Si:O:Nの原子比が、0:42:0:58となる膜厚57nmのシリコン酸化膜(SiO)を用い、予め欠陥部の表層を削る量を35nmとした以外は、実施例1と同様の手順により、実施例5のフォトマスクを得た。Gaイオンを注入したことにより、半透明パターンのエッチングレートを速くすることができ、残渣欠陥を良好に修正することができた。結果を表1に示す。
(比較例1)
第1薄膜12Aとして、実施例5と同様の材質であるMo:Si:O:Nの原子比が、0:42:0:58となる膜厚57nmのシリコン窒化膜(SiN)を用いた中間生成物を準備した。そして、FIB修正装置によりGaイオンを照射することなしに、実施例1に示す(6)の手順により欠陥部のエッチング除去を試み、比較例1のフォトマスクを得た。電子線のスキャン数は、実施例5の残渣欠陥除去に要した合計のスキャン数と同じとした。スキャン数とは、電子線を走査する回数のことである。比較例1のフォトマスクでは、欠陥部を除去しきれず残膜が残り欠陥を良好に除去することができなかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
第1薄膜12Aが、実施例5と同様の材質であるMo:Si:O:Nの原子比が、0:42:0:58となる膜厚57nmのシリコン窒化膜(SiN)を用いた中間生成物を準備した。そして、FIB修正装置によりGaイオンを照射することなしに、実施例1に示す(6)の手順において、電子線のスキャン数を、実施例5の残渣欠陥除去に要した合計のスキャン数の10倍にして欠陥部をエッチング除去し、比較例2のフォトマスクを得た。比較例2のフォトマスクでは、エッチングが界面まで到達したが、エッチングの終点を検出することができず、透明基板11まで削れてしまった。またエッチング箇所の底面が荒れ、表面の平坦性が悪くなった。さらに大きなサイドエッチングも発生し、欠陥部を高精度に除去することができなかった。結果を表1に示す。
(評価)
上記実施例1〜5、及び比較例1、2の第1薄膜を構成する各原子の原子百分率、第1薄膜におけるモリブデン(Mo)とシリコン(Si)の原子比(AMo/ASi)、第1薄膜の修正容易性、修正工程における透明基板との選択比(イオン注入前におけるエッチング選択比)について評価した。結果を表1に示す。
なお、第1薄膜を構成する各原子の原子百分率は、XPS分析により算出した。また、修正工程における透明基板との選択比は、透明基板のエッチング速度を1とした場合の、第1薄膜のエッチング速度を示している。
Figure 0006311385
表1に示すように、比較例1〜2においては、欠陥を除去しきれなかったり、エッチングのスキャン数を増やしてもエッチングの終端が検出できず、基板までエッチングされてしまう不具合が生じた。また、エッチングした形状もエッチング箇所の底面が荒れ、表面の平坦性が悪くなったり、サイドエッチングが発生し、欠陥部を良好に除去することができなかった。
一方、表1に示すように、第1薄膜におけるモリブデン(Mo)とシリコン(Si)の原子比(AMo/ASi)が、AMo/ASi≧1/10の関係を満たす実施例1〜5の第1薄膜においては、アシストガスと電子線とを用いた部分エッチングの修正方法において、欠陥部の修正を容易に行うことができた。
以上説明した実施例から明らかなように、本発明に係るフォトマスクブランクスの製造方法によれば、耐光性を有するフォトマスクブランクスにおいて、欠陥部をより短時間で修正することができる。従って、本発明に係るフォトマスクブランクスの製造方法によれば、ArFエキシマレーザ露光における耐光性を維持しつつ、残渣欠陥の無いフォトマスクを製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した各実施形態の構成は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
1、1A フォトマスク製造装置
2 薄膜パターン形成部
3 第1検査部
4 金属イオン照射部
5 薄膜パターン修正部
6 第2検査部
10 フォトマスクブランクス
11 透明基板
12 第1薄膜パターン
12A 第1薄膜
13 第2薄膜パターン
13A 第2薄膜
22、23 欠陥部

Claims (3)

  1. 透明基板及び当該透明基板の上に形成された薄膜を有するフォトマスクブランクスの前記薄膜をエッチング加工して薄膜パターンを形成する薄膜パターン形成工程と、
    前記薄膜パターンの欠陥部にアシストガスを供給しながら電子線を照射することにより、前記欠陥部の一部を予めエッチング除去する薄膜パターン予備修正工程と、
    前記薄膜パターンの欠陥部を含む領域にガリウムイオンを照射する金属イオン照射工程と、
    ガリウムイオンが照射された前記薄膜パターンの前記欠陥部にアシストガスを供給しながら電子線を照射することにより、前記欠陥部をエッチング除去する薄膜パターン修正工程と、
    を備えることを特徴とするフォトマスク製造方法。
  2. 請求項1に記載のフォトマスク製造方法において、
    前記金属イオン照射工程において前記薄膜パターンに照射されるガリウムイオンの深さ方向の濃度分布は、透明基板領域で最大値となることを特徴とするフォトマスク製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のフォトマスク製造方法において、
    前記薄膜におけるモリブデン(Mo)とシリコン(Si)の原子比(AMo/ASi)が、
    0≦AMo/ASi≦1/10
    の関係を満たすことを特徴とするフォトマスク製造方法。
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