JP5916135B2 - 全身性エリテマトーデスの予防・治療装置 - Google Patents

全身性エリテマトーデスの予防・治療装置 Download PDF

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Description

本発明は、全身性エリテマトーデスの予防・治療装置や、全身性エリテマトーデスのバイオマーカーとして使用する方法や、全身性エリテマトーデスの判定方法に関する。
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)(以下、単に「SLE」とも表示する。)は、抗核抗体または抗DNA抗体やその免疫複合体が各種臓器・組織に沈着することにより炎症反応が誘導されて生ずる全身性の自己免疫疾患である。臨床症状は多様で、発熱、貧血、血小板減少、顔面蝶形紅斑、紅斑様発疹、多関節痛、漿膜炎、腎症状、神経症状、心症状などが見られる。
SLEの原因の詳細は未だ明らかではないが、遺伝的要因に加えて、紫外線、ウイルス感染、外傷、手術、妊娠、出産、薬剤処置等の環境要因が関与することにより発症すると考えられている。また、SLEにおいては、血清中のインターフェロンα高値が病態増悪の要因の一つと考えられている。
SLEの診断は、[1]ほおの蝶形紅斑、[2]それ以外の部位に生じる特徴的な発疹、[3]日光に対する過敏性、[4]口の中の潰瘍、[5]関節炎、[6]肺、心臓、その他の器官の周囲に水がたまる(漿膜炎)、[7]腎臓の機能不全、[8]白血球数の減少、溶血性貧血による赤血球数の減少、血小板数の減少、[9]脳や神経の機能不全、[10]血液検査で抗核抗体反応が陽性、[11]血液検査で抗2本鎖DNA抗体が陽性、の11項目のうち、4項目以上に該当することを確認することにより行われる。しかし、これらの診断項目の中には、重度の症状のものも含まれているので、より充実した早期診断を可能にするためにも、新たな診断項目が求められていた。
また、SLEの治療は、症状が軽度な場合はアスピリン等の非ステロイド性抗炎症薬が用いられ、症状が重度の場合は、現在も、プレドニゾロン等の副腎皮質ステロイド薬が主に用いられている。副腎皮質ステロイド薬は、抗炎症作用と免疫抑制作用を有しているため、SLEによる臓器病変の炎症を改善させると共に、自己抗体の産生や自己反応性リンパ球の働きを抑制することにより、SLEに対する治療効果を発揮すると考えられている。しかし、副腎皮質ステロイド薬は、ヒトの感染防御機能をも低下させてしまう他、高血圧、心不全、糖尿病、消化性潰瘍、腎不全、骨粗しょう症などを悪化させてしまう場合があるため、その使用には十分な注意が必要である。また、副腎皮質ステロイド薬を長期にわたり、静脈注射や内服により使用すると、高血圧、血糖値上昇、白内障、骨粗しょう症、胃出血等の副作用が生じるという問題もある。そこで、副腎皮質ステロイド薬以外のSLE治療剤の開発が行われている。例えば、特許文献1には、PDE4ファミリーの酵素の阻害能力を有する、アデニンの2位と9位および場合によりN(6)位が置換されているアデニン由来化合物が、SLEの治療に用いうることが開示されている。しかし、かかる化合物は、副腎皮質ステロイド薬と併用することを前提としている。このような状況下、副作用の問題のより少ない、SLEの新たな治療方法が求められていた。
また、ヒートショックプロテイン(HSP)は、熱ショックにより発現が増加する細胞内タンパク質で、熱以外の放射線・低栄養などのストレスにも反応し増加することが知られている。ヒートショックプロテインの機能としては、細胞内でさまざまなタンパク質と複合体を形成し、そのタンパク質を安定化させ正常に機能させる分子シャペロンとしての機能があり、特にヒートショックプロテイン90(Hsp90)のクライアントタンパク質にはプロテインキナーゼやステロイドホルモン受容体などの細胞増殖や分化に重要な役割を果たすシグナル伝達分子が多いことが知られている。また、ヒートショックプロテインは、ペプチドと複合体を形成し、ストレスに曝露されると腫瘍細胞や感染細胞から細胞外に放出されて、免疫応答に寄与していることも知られている。
また、非特許文献1には、Hsp90がインターフェロンγやインターフェロンαを活性化することや、Hsp90の阻害物質であるゲルダナマイシンにより、インターフェロンγやインターフェロンαの抗ウイルス効果が抑制されることが記載されている。また、特許文献2には、Hsp90が腫瘍壊死因子α(Tumor Necrosis Factor α:TNFα)とインターロイキン6(IL−6)を活性化することが記載されており、そのクレーム21には、Hsp90阻害物質を全身性エリテマトーデス(SLE)等の患者に投与することにより、TNFα及びIL−6を低下させる方法が記載されている。また、本発明者らによる非特許文献2には、Hsp90は自己のDNAと複合体(Hsp90−自己DNA複合体)を形成することで、自己DNAの分解を抑制し、かつ、自己DNAをヒト形質細胞様樹状細胞に効率よく取り込ませ、その自己DNAを形質細胞様樹状細胞の初期エンドソームに局在させることで、ヒト形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生を促進することが示唆されている。さらに、非特許文献3には、SLE患者における末梢血単核球中で、Hsp90の発現が増加しているという記載がなされている。しかし、Hsp90は分泌タンパク質ではないため、SLE患者の血清中でその濃度が著しく上昇していることは予想されておらず、また、知られてもいなかった。
特表2009−529023号公報 国際公開第2007/077454号パンフレット
J. Biol. Chem., 2006; 281: 1876-1884 J. Immunology, June 2010; 184: 7092-7099 J Autoimmun 2001; 17: 341-6
本発明の課題は、全身性エリテマトーデスの予防・治療装置や、全身性エリテマトーデスのバイオマーカーとして使用する方法や、全身性エリテマトーデスの判定方法を提供することにある。
本発明者らは、以前から、SLEとHsp90との関連について研究を行っており、Hsp90阻害物質が、形質細胞様樹状細胞からのインターフェロンα産生を阻害することや、SLEの予防・治療効果を発揮することを見いだしている(特願2010−219422号)。本発明者らは、前述の背景技術に記載したような状況下、鋭意研究を行った結果、[a]病状増悪期のSLE患者の血清中ではHsp90濃度が著しく高くなっていること、[b]治療後寛解期のSLE患者の血清中ではHsp90濃度が健常人の場合と同程度にまで低下していること、及び、[c]SLE患者の血清からHsp90を除去した血清をヒト形質細胞様樹状細胞に添加し、培養したときの培養液上清中のインターフェロンα濃度が、SLE患者の血清をヒト形質細胞様樹状細胞に添加し、培養したときの培養液上清中のインターフェロンα濃度と比較して顕著に低下すること等を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)Hsp90の除去手段を備えたことを特徴とする全身性エリテマトーデスの予防・治療装置や、(2)Hsp90の除去手段が、Hsp90の除去物質を含むことを特徴とする上記(1)に記載の予防・治療装置や、(3)Hsp90の除去物質が、固相担体に担持されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の予防・治療装置に関する。
また、本発明は、(4)血液中、血清中又は血漿中のHsp90を、全身性エリテマトーデスのバイオマーカーとして使用する方法に関する。
さらに、本発明は、(5)以下の(A)及び(B)の工程を備えることを特徴とする全身性エリテマトーデスの判定方法;
(A)被検体の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度をインビトロで測定する工程;
(B)前記工程(A)で測定したHsp90濃度を、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度と比較・評価する工程;や、
(6)以下の(C)又は(D)の工程をさらに備えることを特徴とする上記(5)に記載の判定方法;
(C)前記工程(A)で測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度よりも高い場合に、前記被検体を全身性エリテマトーデスと評価する工程;
(D)前記工程(A)で測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度よりも高い程度を、前記被検体の全身性エリテマトーデスの病状の重さの程度と評価する工程;
に関する。
本発明によれば、副作用をほとんど伴わずに、全身性エリテマトーデスを予防及び/又は治療することができる。また、本発明によれば、全身性エリテマトーデスの新たなバイオマーカーを提供することができる。さらに、本発明によれば、全身性エリテマトーデスの判定を迅速かつ簡便に行うことができる。
SLE患者又は健常人から採取した血清サンプル中のHsp90濃度を示す図である。“healthydonor”は健常人の場合の結果を表し、“SLE patient 1”の“before treatment”は、SLE患者1の症状増悪期の場合の結果を表し、“SLEpatient 2”の“before treatment”は、SLE患者2の症状増悪期の場合の結果を表し、“SLE patient 1”の“after treatment”は、SLE患者1の治療後寛解期の場合の結果を表し、“SLE patient 2”の“after treatment”は、SLE患者2の治療後寛解期の場合の結果を表す。 SLE患者又は健常人から採取した血清サンプル中のHsp90濃度を示す図である。“healthy donor”は健常人の場合の結果を表し、図中の△印は各人の濃度を示す。“before treatment”は、SLE患者の症状増悪期の場合の結果を表し、 図中の○印は各患者の濃度を示す。“after treatment”は、SLE患者の治療後寛解期の場合の結果を表し、図中の◇印は各患者の濃度を示す。 ヒト形質細胞様樹状細胞に、SLE患者の血清等を添加し、培養した培養液の上清中のインターフェロンα濃度を示す図である。“control”は、血清を添加しなかった場合の結果を表し、“stimulatedwith SLE patient serum”は、SLE患者の血清を添加した場合の結果を表し、“stimulatedwith SLE patient serum removed HSP90”は、前述のSLE患者の血清からHsp90を除去した血清を添加した場合の結果を表す。 SLE発症モデルマウスの血清中Hsp90濃度を示す図である。“MRL/lpr mice 21w”は発症前の21週齢の結果を表し、図中の△印は各マウスの濃度を示す。 “MRL/lpr mice 28w”は、発症初期の28週齢の結果を表し、 図中の○印は各マウスの濃度を示す。“MRL/lpr mice 37w”は、発症後期の37週齢の結果を表し、図中の◇印は各マウスの濃度を示す。
1.全身性エリテマトーデスの予防・治療装置
本発明の「全身性エリテマトーデスの予防・治療装置」(以下、単に「本発明の予防・治療装置」とも表示する。)としては、Hsp90の除去手段(以下、単に「Hsp90除去手段」とも表示する。)を備えている限り特に制限されない。本発明の予防・治療装置によるSLEの予防・治療効果の作用機序の詳細は明らかではないが、かかる本発明の予防・治療装置により、被検体の血液中、血清中又は血漿中のHsp90を除去した後、その血液、血清又は血漿を被検体に戻すことによって、被検体の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度を低下させ、それにより、被検体の形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生の抑制を介して、SLEに対する予防及び/又は治療効果が発揮されるものと考えられる。
上記のHsp90除去手段とは、いずれかの哺乳動物のHsp90タンパク質を除去しうる手段を意味し、例えば、Hsp90の除去物質(以下、単に「Hsp90除去物質」とも表示する。)を含む手段を例示することができる。かかるHsp90除去物質としては、Hsp90と結合する物質(以下、単に「Hsp90結合物質」とも表示する。)を例示することができ、中でも、Hsp90結合物質を好適に例示することができ、中でも、Hsp90に結合する抗体、タンパク質、ペプチド、核酸(好ましくはDNA)、低分子化合物をより好適に例示することができ、中でも、Hsp90に特異的に結合する抗体、タンパク質、ペプチド、核酸(好ましくはDNA)をさらに好適に例示することができ、中でも、Hsp90に対する特異性や結合力がより優れていることなどから、Hsp90に特異的に結合する抗体、DNAをより好適に例示することができ、中でも、Hsp90に対する特異性や結合力が特に優れていることなどから、Hsp90に特異的に結合する抗体を特に好適に例示することができる。なお、上記のHsp90除去物質として、2種類以上を併用してもよい。
前述の「Hsp90結合物質」としては、いずれかの哺乳動物のHsp90と結合する物質である限り特に制限されず、かかる結合様式としては、水素結合、静電的結合、ファンデルワールス結合、疎水結合(疎水性相互作用)、共有結合、イオン結合、及び、配位結合から選択される1又は2以上の結合を例示することができ、中でも、水素結合、静電的結合、ファンデルワールス結合、及び、疎水結合から選択される1又は2以上の結合を好適に例示することができる。なお、Hsp90に結合する抗体は、水素結合、静電的結合、ファンデルワールス結合、及び、疎水結合が複合的に関与することによって、Hsp90に結合していると考えられる。
前述のHsp90に結合する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体等の免疫特異的な抗体を具体的に例示することができるが、中でも、モノクローナル抗体がその特異性の点でより好ましく例示することができる。前述のHsp90に結合する抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以外)に該Hsp90若しくはエピトープを含む断片、又は該タンパク質を膜表面に発現した細胞を投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ法(Nature 256, 495-497, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Immunology Today 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ法(MONOCLONAL
ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc., 1985)など任意の方法を用いることができる。
前述のHsp90に結合するタンパク質としては、Aktタンパク質、HIF−1、ErbB1/EGFR、ErbB2/Her2、BCR−Abl、Raf1等を例示することができる。また、前述のHsp90に結合する核酸(好ましくはDNA)としては、CpG−DNA、ヒトのDNA、細菌・ウイルスのDNA等を例示することができる。Hsp90に結合するタンパク質は、例えば、公知の配列情報に基づいて目的タンパク質をコードするDNA配列を単離し、かかるDNAを適当な発現ベクターにインテグレイトし、得られた発現ベクターを適当な細胞に導入し、かかる細胞を培養し、かかる細胞から目的タンパク質を単離することにより、製造することができる。また、Hsp90に結合する核酸は、例えば、公知の配列情報に基づいて目的の核酸を単離するためのプライマーを作製し、かかるプライマーと、ゲノムDNAやcDNA等のテンプレートDNAとを用いたPCRにより、製造することができる。
また、ある物質が、Hsp90結合物質であるかどうかは、例えば、固相化したHsp90に、標識した物質を接触させた後、洗浄し、前述の標識を検出する方法等により、容易に確認することができる。
本発明におけるHsp90除去手段が発揮するHsp90除去効果の好適な程度としては、特に制限されないが、Hsp90除去手段により、SLE患者の血清からHsp90を除去した場合の血清中のHsp90濃度が、そのSLE患者の血清中のHsp90濃度に対して、割合として好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上低下することを例示することができる。
いずれかの哺乳動物のHsp90における「哺乳動物」等の、本明細書における「哺乳動物」としては、特に制限されないが、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ等を好適に例示することができ、中でもヒトをより好適に例示することができる。これらの哺乳動物のHsp90の配列は、GenBank等のデータベースにアクセスすることにより、容易に入手することができる。Hsp90の配列の1例として、ヒトHsp90のコード領域のアミノ酸配列を配列番号1に示す。本発明における「哺乳動物のHsp90」として、配列番号1のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Hsp90活性を有するタンパク質を好適に例示することができる。
本発明の予防・治療装置が発揮する、SLEに対する予防・治療効果とは、SLEに対する予防効果及び/又は治療効果である限り特に制限されないが、中でも、哺乳動物被検体の血液中、血清中又は血漿中におけるインターフェロンα濃度の上昇抑制効果や、低下効果を好適に例示することができ、中でも、かかる低下効果をより好適に例示することができる。
本発明の予防・治療装置が発揮する、インターフェロンα濃度低下効果の好適な程度としては、特に制限されないが、以下のインターフェロンα測定アッセイにおいて、本発明の予防・治療装置でSLE患者の血清からHsp90を除去した血清を添加した場合のインターフェロンα濃度が、同じSLE患者の血清を添加した場合のインターフェロンα濃度に対して、割合として好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上低下することを例示することができる。
[インターフェロンα測定アッセイの方法]
健常人の末梢血から採取したヒト形質細胞様樹状細胞を、ウェルプレートに5×10個/ウェルずつ播種した後、SLE患者の血清を100μL/ウェルずつ添加し、24時間培養する。次いで、その培養液から培養上清を調製し、その培養上清中のインターフェロンα濃度を測定する。また、この方法において、「SLE患者の血清」に代えて、「このSLE患者の血清から、本発明の予防・治療装置にてHsp90を除去した血清」を用いて得られた培養上清中のインターフェロンα濃度を測定する。
本発明の予防・治療装置におけるHsp90除去物質の態様としては、被検体の血液中、血清中又は血漿中のHsp90を除去し得る限り特に制限されないが、簡便に使用し得る観点から、Hsp90除去物質が、固相担体に担持されていることが好ましい。固相担体としては、Hsp90除去物質を固定できる固相の担体である限り、材質や形状等、特に制限されないが、材質としては例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、チタン、ニッケル等の金属;ステンレスやジュラルミンなどの合金;シリコン、ガラス、石英ガラス、セラミクス等のガラス材料;ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン樹脂、ナイロン、エポキシ樹脂、および塩化ビニル樹脂等のプラスチック;アガロース等のゲル;デキストラン、セルロース、ポリビニルアルコール、キトサン等を例示することができ、形状としては例えばビーズ状、粒状、プレート状、膜状等を例示することができる。また、ビーズ状や粒状とした場合は、カラムに充填するなどして、全身性エリテマトーデスの予防・治療用カラムとすることもできる。
Hsp90除去物質を固相担体に担持する場合は、Hsp90除去物質を前述の固相担体に担持させることにより製造することができる。Hsp90除去物質を前述の固相担体に担持させる方法としては、特に制限されず、従来公知の手段、例えば、いわゆる物理的結合(吸着)法や、化学結合法等を用いることができる。例えば、物理的結合法の場合には、Hsp90除去物質を適当な濃度に希釈した水溶液中に固相担体を浸した後、緩衝液で洗浄し、乾燥する方法により、Hsp90除去物質を固相担体に担持させることができる。また、化学的結合法の場合は、例えば、固相担体の表面をビオチンでコーティングし、また、Hsp90除去物質にビオチンを結合させ、これらの両方のビオチンを、アビジンを介して結合させる方法や、固相担体の表面を適当な官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、又はスルフヒドリル基等)で官能基修飾し、その官能基とHsp90除去物質とを架橋剤(例えば、カルボジイミド又はN−ヒドロキシスクシンイミド等)を介して結合させる方法などにより、Hsp90除去物質を固相担体に担持させることができる。
本発明の予防・治療装置は、Hsp90除去手段以外に、「血液等をHsp90除去手段と接触させる手段」及び/又は「血液等をHsp90除去手段から分離させる手段」をさらに備えている装置であることが好ましく、「被検体の血管から血液等を導出する手段」及び/又は「分離させた後の血液等を被検体の血管へ導入する手段」をさらに備えている装置であることをより好適に例示することができる。これらの手段をさらに備えていると、Hsp90の除去をより簡便且つ迅速に行うことが可能となる。なお、本発明の予防・治療装置には、Hsp90除去手段以外にも、血液等から除去することによってSLEの予防・治療効果が得られる物質を除去するための手段をさらに含有していてもよい。
本発明の予防・治療装置の製造方法としては、Hsp90除去効果を発揮しうるように、Hsp90除去手段を装置に備える方法である限り、特に制限されず、例えば、Hsp90除去手段を支持部材に保持させる方法を例示することができる。また、本発明の予防・治療装置が、Hsp90除去手段以外にも前述の手段の一部又は全部を備えている場合も、それらの手段を支持部材に保持させるなどして製造することができる。なお、Hsp90除去手段以外にも前述の手段の一部又は全部を備えている場合には、被検体の血液等が、「被検体の血管から血液等を導出する手段」、「血液等をHsp90除去手段と接触させる手段」、「Hsp90除去手段」、「血液等をHsp90除去手段から分離させる手段」、「分離させた後の血液等を被検体の血管へ導入する手段」の順で各手段を経るように、各手段を支持部材に保持させることが好ましい。
前述の「被検体の血管から血液等を導出する手段」や、「分離させた後の血液等を被検体の血管へ導入する手段」としては、針やカニューレを備えた手段を好適に例示することができ、前述の「血液等をHsp90除去手段と接触させる手段」としては、導出した血液等を「Hsp90除去手段」まで移送するポンプ等を好適に例示することができ、前述の「血液等をHsp90除去手段から分離させる手段」としては、血液等を吸引してHsp90除去手段から分離するポンプや、遠心分離機等を好適に例示することができる。
本発明の予防・治療装置の使用方法としては、以下の工程A〜Cを含む方法である限り特に制限されない。
工程A;被検体の血管内から取り出した血液、血清又は血漿(以下、まとめて「血液等」とも表示する。)に、本発明の予防・治療装置におけるHsp90除去手段を接触させる工程;
工程B;本発明の予防・治療装置におけるHsp90除去手段と、血液、血清又は血漿とを分離させる工程;
工程C;分離した血液、血清又は血漿を、被検体の血管内に戻す工程;
かかる方法を行うことによって、被検体の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度を低下させ、それにより、被検体の形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生の抑制を介して、SLEに対する予防及び/又は治療効果が発揮されるものと考えられる。
上記工程Aにおける被検体の血管としては、被検体の動脈の血管を好適に例示することができる。また、上記工程Aにおける血清は、被検体から取り出した血液を放置すること等によって、血清と血餅に分離させ、血餅を除去することによって得ることができ、上記工程Aにおける血漿は、被検体から取り出した血液に抗凝固剤を添加した後、遠心分離することによって細胞成分を沈降させた上澄みとして得ることができる。また、上記工程Aにおいて、被検体の血管内から血液等を取り出す方法としては、特に制限されず、注射器を用いる方法や、被検体の血管にカニューレを挿入する方法を好適に例示することができる。さらに、上記工程Aにおいて、血液等を、Hsp90除去手段に接触させる方法としては、特に制限されないが、血液等とHsp90除去手段とを混合する方法を好適に例示することができる。
上記工程Bにおいて、Hsp90除去手段と、血液等とを分離させる方法としては、特に制限されず、血液等からHsp90除去手段を単に取り出す方法でもよいし、遠心分離を用いてHsp90除去手段と血液等とを分離する方法でもよい。
上記工程Cにおける被検体の血管としては、被検体の静脈の血管を好適に例示することができる。また、かかる工程において、分離した血液等を、被検体の血管内に戻す方法としては、特に制限されず、注射器を用いる方法や、被検体の血管にカニューレを挿入する方法を好適に例示することができる。
本発明の予防・治療装置の使用頻度としては、特に制限されないが、例えば、1週間に1回(好ましくは2回以上、さらに好ましくは3回以上、より好ましくは5回以上)の使用を、2週間以上(好ましくは3週間以上、より好ましくは6週間以上5年間以下、さらに好ましくは3ヶ月間以上5年間以下)継続することを好適に例示することができる。このように複数回使用すると、SLEの発症前の段階では、SLEの発症をより効果的に抑制又は遅延させることができ、また、SLEの発症後の段階では、SLEによる炎症の悪循環を絶つことができ、SLEに対するより優れた治療効果を発揮するものと考えられる。なお、本発明の予防・治療装置は、血液等から除去することによってSLEの予防・治療効果が得られるHsp90以外の物質Xの除去手段と共に使用してもよいし、かかる物質Xの除去手段を使用する前又は後に使用してもよい。
本発明の予防・治療装置が予防・治療する対象となる疾患としては、SLEを特に好適に例示することができるが、SLEに類似した疾患である、自己免疫性肝炎(AIH)や原発性胆汁性肝硬変(PBC)に対しても、予防・治療効果を発揮する可能性もある。本発明の予防・治療装置が予防・治療する対象被検体の生物種としては、哺乳動物を例示することができる。
2.全身性エリテマトーデスのバイオマーカーとして使用する方法
本発明の全身性エリテマトーデスのバイオマーカーとして使用する方法(以下、単に「本発明の使用方法」とも表示する。)としては、血液中、血清中又は血漿中(以下、単に「血液中等」とも表示する。)のHsp90(好適にはHsp90濃度)を、全身性エリテマトーデスのバイオマーカーとして使用する方法である限り特に制限されず、具体的には、後述の本発明の全身性エリテマトーデスの判定方法を好適に例示することができる。本発明の使用方法におけるHsp90としては、前述したような、いずれかの哺乳動物のHsp90であればよく、中でも、いずれかの哺乳動物の内因性Hsp90を好適に例示することができる。
3.全身性エリテマトーデスの判定方法
本発明の全身性エリテマトーデスの判定方法(以下、単に「本発明の判定方法」とも表示する。)としては、(A)被検体の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度をインビトロで測定する工程;及び、(B)前記工程(A)で測定したHsp90濃度を、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度と比較・評価する工程;を備えている限り特に制限されないが、さらに、(C)前記工程(A)で測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度よりも高い場合に、前記被検体を全身性エリテマトーデスと評価する工程;又は、(D)前記工程(A)で測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度よりも高い程度を、前記被検体の全身性エリテマトーデスの病状の重さの程度と評価する工程;を備えている方法を好適に例示することができる。なお、上記工程(A)において血液中のHsp90濃度を測定した場合は、上記工程(B)において、正常対照の血液中のHsp90濃度を用い、上記工程(A)において血清中のHsp90濃度を測定した場合は、上記工程(B)において、正常対照の血清中のHsp90濃度を用い、上記工程(A)において血漿中のHsp90濃度を測定した場合は、上記工程(B)において、正常対照の血漿中のHsp90濃度を用いる。
上記工程(A)におけるHsp90濃度をインビトロで測定する方法としては、血液中等のHsp90濃度をインビトロで測定し得る方法である限り特に制限されず、例えば、Hsp90α, ELISA kit(StressGen社製)等の抗Hsp90抗体を利用して測定する方法を例示することができる。また、上記工程(B)における「正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度」は、被検体の血液中等におけるHsp90濃度を測定する際に、測定してもよいし、あらかじめ測定しておき、その数値を利用してもよい。上記工程(B)における比較・評価の方法としては、特に制限されないが、前記工程Aで測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度よりも高い場合に、前記被検体を全身性エリテマトーデスと評価する方法(すなわち工程(C))や、前記工程Aで測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度よりも高い程度を、前記被検体の全身性エリテマトーデスの病状の重さの程度と評価する方法(すなわち工程(D))を好適に例示することができる。
上記工程(C)において全身性エリテマトーデスと評価する場合の、前記工程(A)で測定したHsp90濃度の高さの好適な程度としては、特に制限されないが、前記工程(A)で測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度に対して、好ましくは2倍以上、より好ましくは4倍以上、さらに好ましくは6倍以上、より好ましくは8倍以上、さらに好ましくは10倍以上、より好ましくは12倍以上であることを好適に例示することができる。
また、上記工程(D)における「全身性エリテマトーデスの病状」としては、血液中等のインターフェロンα濃度の上昇に起因する症状を好適に例示することができる。
前述のように、本発明の判定方法は、被検体がSLEであるかどうか、あるいは、被検体のSLEの病状の重さを判定(判断)することができる。本発明の判定方法は、この他にも、被検体がSLEを有している可能性を判定(判断)することもできる。この場合は、前述の工程(C)に代えて、(C’)前記工程(A)で測定したHsp90濃度が、正常対照の血液中、血清中又は血漿中のHsp90濃度よりも高い程度を、前記被検体が全身性エリテマトーデスを有する可能性の程度と評価する工程;を用いることとなる。
なお、本発明の他の態様として、本発明の全身性エリテマトーデスの予防・治療装置の製造における、Hsp90除去物質の使用や、Hsp90除去物質を、全身性エリテマトーデスの予防・治療装置として使用する方法や、全身性エリテマトーデスの予防・治療における、Hsp90除去物質の使用や、被検体の血管内から取り出した血液等に、Hsp90除去物質を接触させる工程A、Hsp90除去物質と、血液等とを分離させる工程B、及び、分離した血液等を、被検体の血管内に戻す工程Cを含む、全身性エリテマトーデスの予防・治療方法も例示することができる。これらの使用や方法における文言の内容やその好ましい態様は、前述したとおりである。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[SLE患者の血清中のHsp90濃度の測定]
SLE患者の血清中のHsp90濃度が、正常人のそれと異なるかどうか、及び、SLE患者の前記濃度が、症状増悪期と治療後寛解期で変化するかどうかを調べるために、以下のようなHsp90測定アッセイを試みた。
札幌医科大学医学部の倫理委員会の承認のもと、札幌医科大学附属病院を受信した患者を2名選定し、サンプル提供の依頼対象者とした。また、健常人を1名選定し、正常なサンプル提供の依頼対象者とした。その上で、これら3名の対象者からインフォームド・コンセントを得た後、各対象者から血清サンプルを採取した。なお、SLE患者については、症状増悪期だけでなく、治療後の寛解期にも血清サンプルを採取した。
2名のSLE患者(SLE患者1、SLE患者2)から採取した4種類の血清サンプルと、健常人から採取した1種類の血清サンプルの計5種類の血清サンプル中のHsp90量を、Hsp90α, ELISA kit(StressGen社製)で測定した。この測定値から、各血清サンプル中のHsp90濃度(pg/mL)を産出した結果を図1に示す。
図1から分かるように、SLE患者1(“SLE patient 1”)、SLE患者2(“SLE patient 2”)のいずれの場合も、症状増悪期(“before
treatment”)では、血清サンプル中のHsp90濃度が非常に高かったが、治療後寛解期(“after
treatment”)では、そのHsp90濃度が健常人(“healthy donor”)と同程度にまで低下した。
さらに健常者の数、及び患者の数を増やし(健常者6名、患者8名)、実施例1と同じくHsp90測定アッセイを行った結果を図2に示す。実施例1と同じく、やはり症状増悪期では血清中のHsp90濃度が高くなり、健常人や治療後寛解期とは有意な差が認められた(P<0.01)。このことから、血清中のHsp90濃度は、SLEの活動性と相関することが示された。したがって、血清中のHsp90濃度は、SLEの病状の指標や、SLEの診断に非常に有用であると考えられる。なお、SLE患者の血液中でHsp90の濃度が上昇していることは、本発明者らが今回初めて見いだした知見である。Hsp90は分泌タンパク質ではないため、血液中でこれほどまでに濃度が上昇し得ることは予想外であった。
[ヒト形質細胞様樹状細胞を用いた、インターフェロンα測定アッセイ]
血清中のインターフェロンα高値は、SLEの病態増悪の要因の一つと考えられている。また、本発明者らは、これまでに、Hsp90阻害物質が、マウスやヒト由来の形質細胞様樹状細胞からのインターフェロンα産生を阻害し得ることや、全身性エリテマトーデス(SLE)のモデルマウスの病態を改善し得ること等を明らかにしている(特願2010−219422号)。そこで、SLE患者の血清からHsp90を除去することによって、そのヒト形質細胞様樹状細胞からのインターフェロンα産生がどのような影響を受けるか調べるために、以下のような、インビトロのインターフェロンα測定アッセイを試みた。
前述の健常人から末梢血を採取し、ヒト形質細胞様樹状細胞分離キット(Miltenyi Biotec社製)を用いて、前述の末梢血からヒト形質細胞様樹状細胞を精製した。96ウェルプレートに、ヒト形質細胞様樹状細胞を5×10個/ウェルずつ播種した後、前述の実施例1のSLE患者の血清を100μL/ウェルずつ添加し、24時間培養した。次いで、その培養液から培養上清を調製し、その培養上清中のインターフェロンα濃度をELISA法にて測定した。また、前述のSLE患者の血清に代えて、かかるSLE患者の血清からHsp90を除去した血清を添加したこと以外は、同じ方法で、培養上清中のインターフェロンα濃度を測定した。さらに、前述のいずれの血清も添加しなかったこと以外は、同じ方法で、培養上清中のインターフェロンα濃度を測定した。なお、血清からのHsp90の除去は、抗Hsp90抗体のFc部位を結合させたプロテインGビーズを利用して行った。具体的には、かかるビーズと血清をよく混合して、ビーズ上の抗Hsp90抗体と、血清中のHsp90を結合させた後、ビーズを回収することにより、血清からHsp90を除去した。前述の各方法で、培養上清中のインターフェロンα濃度を測定した結果を図3に示す。
図3から分かるように、血清を添加しなかった場合(“control”)は、インターフェロンα濃度はきわめて低く、また、SLE患者の血清を添加した場合(“stimulated with SLE patient serum”)は、インターフェロンα濃度が顕著に高まったが、このSLE患者の血清からHsp90を除去した血清を添加した場合(“stimulated with SLE patient serum removed HSP90”)は、SLE患者の血清を添加した場合と比較して、インターフェロンα濃度が約50%程度にまで顕著に低下した。この結果は、SLE患者の血清中に、ヒト形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生を促進する分子が含まれていることを示している。ヒト形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生を刺激する分子はヒトDNAやヒトRNAであること、及び、SLE患者では、高率に抗DNA抗体が検出されることがこれまでに報告されていることから、本発明者らは、抗DNA抗体−自己DNA複合体やHsp90−自己DNA複合体が、ヒト形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生を促進すると考えている。実際、SLE患者の血清中からHsp90を除去すると、ヒト形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生は約50%程度にまで低下した。すなわち、SLE患者の血清中に多量のHsp90が検出されることは、本願実施例1の実験により初めて見いだした知見であるが、我々がすでに報告しているように (Okuya,Tamura, J. Immunology, June 2010; 184: 7092 - 7099) 、このHsp90は自己のDNAと複合体(Hsp90−自己DNA複合体)を形成することで、自己DNAの分解を抑制し、かつ、自己DNAをヒト形質細胞様樹状細胞に効率よく取り込ませ、その自己DNAを形質細胞様樹状細胞の初期エンドソームに局在させることで、ヒト形質細胞様樹状細胞のインターフェロンα産生を促進するものと考えられた。また、今回のインターフェロンα測定アッセイの結果から、SLE患者の血清中や血液中等のHsp90を除去することによって、SLEを治療し得ることが示された。
[SLE発症モデルマウスの血清中Hsp90濃度測定]
SLE発症モデル動物においてもヒトと同様にHsp90の血清中濃度が上昇するかを調べるために、以下のような測定を行った。
まず、SLE発症モデルマウスであるMRL/lprマウス(Jackson Laboratory社製)を用意し、SLEを発症する前(21週齢)、SLEが発症し始めるとき(28週齢)及びSLEが発症したあと(37週齢)の血清中のHsp90の濃度を実施例1と同じくHsp90α, ELISA kit(StressGen社製)を用いて測定した。その結果を図4に示す。
図4から分かるように、発症前及び発症初期(P<0.05)、発症初期及び発症後期(P<0.01)の間において、Hsp90の血清中濃度について統計的に有意な差が認められた。このことから、ヒトの場合と同様、モデル動物においてもSLEの発症とともに血清中のHsp濃度が上昇することが確かめられた。
本発明は、全身性エリテマトーデスの予防・治療の分野や、全身性エリテマトーデスのバイオマーカーの分野や、全身性エリテマトーデスの判定の分野に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 被検体の血管から血液、血清又は血漿を導出する手段と、
    被検体から導出された血液、血清又は血漿からHsp90除去する手段と、
    Hsp90を除去する手段から分離した血液、血清又は血漿を被検体の血管へ導入する手段と
    を備えたことを特徴とする全身性エリテマトーデスの予防・治療装置。
  2. Hsp90除去する手段が、Hsp90の除去物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の予防・治療装置。
  3. Hsp90の除去物質が、固相担体に担持されていることを特徴とする請求項2に記載の予防・治療装置。
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