JP5915134B2 - 薬剤包装用ptpシート - Google Patents

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Description

本発明は、薬剤包装用PTPシートに関する。
PTP(Press Through Package)包装は、医薬品包装の分野において、錠剤やカプセル剤等の固形薬剤の包装に広く用いられている。PTP包装は、主として、薬剤を収容するポケットを樹脂フィルムに成型し、ポケットに薬剤を充填した後、アルミ箔からなるシート(以下、単にアルミ箔とする。)によってポケットを封止した包装体(シート)である。
PTPシートからの薬剤の取り出しは、以下のような手順によって行われる。患者が指先によってポケット越しに薬剤を押圧すると、ポケットが弾性変形し、薬剤がアルミ箔へ押圧される。薬剤によってアルミ箔が破られて、薬剤がポケットの外側へ取り出される。
薬剤の保存や輸送の際、あるいは患者によって薬剤が持ち運ばれる際、複数枚のPTPシートは、互いに重ね合わされた状態とされることがある。その際、PTPシートは、ポケットが突出された側の面同士が近接した状態に重ね合わされることが多い。このような状態では、一方のPTPシートのポケット間の空間に、他方のPTPシートのポケットが入り込むため、複数のPTPシートが重ねられた状態における厚みを薄く抑えることができる。同時に、外力によってポケットが直接押圧されてしまうことを防止することができる。以下、この状態が抱き合わせ状態とも称される。特許文献1には、PTPシートの抱き合わせ状態を高速に実現する装置及び方法が開示されている。
特開2011−37527号公報
PTPシートの抱き合わせ状態において、ポケットは対向するPTPシートに対して接触した状態となっている。そのため、抱き合わせ状態とされたPTPシートの積層体の両外側の面が互いに押圧されると、ポケットが対向するPTPシートによって押圧されて変形したり、ポケット越しに押圧された薬剤によってアルミ箔が破かれてしまうことがある。あるいは、薬剤がカプセル剤などである場合、カプセル剤が押圧によって変形してしまうことがある。
たとえば、患者が薬剤を封止したPTPシートを鞄などに入れて持ち歩く際、抱き合わせ状態とされたPTPシートの積層体の両外側の面が他の物品によって押圧されることで、上記のような現象が発生することがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、抱き合わせ状態において、ポケットを外力による押圧から保護することができるPTPシートを提供することにある。
(1) 本発明に係る薬剤包装用PTPシートは、薬剤を収容可能なポケット、及び突起状の凸部が、表裏面の一方である第1面からそれぞれ突出された第1シートと、上記第1シートにおける上記第1面と反対側の第2面に貼着されて、上記ポケットの開口を塞ぐ第2シートと、を備えている。上記第1面から上記凸部の突出端までの第1距離が、上記第1面から上記ポケットの突出端までの第2距離よりも長い。
このような構成の薬剤包装用PTPシートによると、抱き合わせ状態において、それぞれの凸部が、対向する薬剤包装用PTPシートの第1シートの第1面と当接する。凸部によって対向する薬剤包装用PTPシートが支えられるため、薬剤包装用PTPシートの間に一定の間隙が形成される。第1面から凸部の突出端までの第1距離が、第1面からポケットの突出端までの第2距離よりも長いため、ポケットは、対向する薬剤包装用PTPシートと当接しない状態に維持される。
抱き合わせ状態において、抱き合わせ状態とされたPTPシートの積層体の両外側の面が互いに押圧されると、両外側の面が押圧された場合、その押圧力は、凸部が吸収することになる。したがって、対向する薬剤包装用PTPシートによって、ポケットが押圧されることが防止される。
(2) 上記凸部の突出端が上記第1面と平行な平面であってもよい。
凸部の突出端が平面であることにより、凸部は、対向する薬剤包装用PTPシートを安定して支えることができる。
(3) 上記凸部の突出端は、中央部に凹状の窪みを有し、上記第1面と平行な円形状であってもよい。
凸部の突出端に窪みが形成されることで、凸部は、対向する薬剤包装用PTPシートをさらに安定して支えることができる。また、凸部の突出端に窪みが形成されることで、患者が薬剤を服用する際、薬剤が収納されているポケットと凸部との識別を可能とし、より利便性を向上させることができる。
(4) 上記ポケットは複数が設けられており、1つの上記ポケットの両外側に、一対の上記凸部が設けられていてもよい。
ポケットごとに一対の凸部が設けられることにより、薬剤包装用PTPシートの間の間隙を、ポケットの周辺において確実に維持することができる。
(5) 当該薬剤包装用PTPシートは、平面視において長方形状を呈していてもよい。それぞれの上記ポケット及び上記凸部は、いずれの上記ポケット及び上記凸部とも上記長方形の長手方向又は短手方向の中央に沿った仮想直線において非対称であってもよい。
このようなポケット及び凸部の配置によると、周縁を一致させた状態で薬剤包装用PTPシートを抱き合わせ状態としても、対向するポケット及び凸部同士が接触することがない。シート周縁を一致させた状態で薬剤包装用PTPシートを抱き合わせ状態とすることができるため、抱き合わせ状態が安定し、同時に省スペースに貢献することができる。
なお、本発明における長方形状とは、角の周辺部が曲線状のものを含む。つまり、四隅がR加工された薬剤包装用PTPシートも本発明の技術的範囲に属するものである。また、当該長方形が正方形である場合、直交する2辺に沿った方向のうち、どちらが短手方向又は長手方向と解釈されてもよい。
また、本発明において、2つのポケット又は凸部が「非対称」であるとは、一方のポケット又は凸部を対称な位置に転写したと仮定して、転写後の当該ポケット又は凸部が占める領域と、他方のポケット又は凸部が占める領域とが、少なくとも重複しない程度に離れていることである。
(6) 平面視において、全ての上記ポケットは、第1の方向に沿って配置されており、 一対の上記凸部は、それぞれ上記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置されており、当該薬剤包装用PTPシートを分割するための切断部は、それぞれ上記第2の方向に沿って設けられていてもよい。

(7) 上記第1シートは、上記第1面の少なくとも一部に、少なくとも鉛筆又はボールペンによって文字又は図柄を記入可能な記入領域を有していてもよい。
記入領域には、薬剤師が、薬剤の用法に関する患者個別の情報(たとえば、服用の時期)を記入することができる。抱き合わせ状態において、記入領域が対向する薬剤包装用PTPシートと接触しないため、記入領域に記載された文字や図柄がかすれたり、滲んだりすることが回避される。
(8) それぞれの上記凸部が上記第1シートに占める領域が、上記長方形の長手方向又は短手方向の中央に沿った仮想直線において対称に転写された領域は、上記記入領域と重複していない。
本構成では、抱き合わせ状態において、凸部と当接する位置に記入領域が設けられていないため、記入領域に記載された文字や図柄がかすれたり、滲んだりする可能性は更に低減される。
本発明に係る薬剤包装用PTPシートによると、抱き合わせ状態において、ポケットを外力による押圧から保護することができる。
図1は、セル12単位に分割されたPTPシート10の外観斜視図である。(A)は、薬剤11が収容されていない状態を示し、(B)は、薬剤11が収容された状態を示している。 図2は、2つのセル12が結合されたPTPシート10の外観斜視図である。 図3は、セル12単位に分割されたPTPシート10を第三角法により示す図である。 図4は、2枚のPTPシート10L,10Hが抱き合わせ状態とされた状態を示す図である。(A)は、平面図である。(B)は、(A)のB−B切断線における断面図である。 図5は、PTPシート10の変形例1に係る凸部18を示す図である。(A)は、平面図である。(B)は、(A)のB−B切断線における断面図である。 図6は、抱き合わせ状態におけるポケット16L,16H及び凸部18L,18Hの異なる配置を示す平面図である。(A)は、本発明の実施形態の変形例2,(B)は、変形例3に係るものである。 図7は、ポケット16L,16H及び凸部18L,18Hの異なる配置を示す平面図である。(A)は、抱き合わされていないPTPシート10を示す。(B)は、PTPシート10Hが前後方向6において反転するように裏返されてPTPシート10Lと抱き合わされた状態を示す。(C)は、PTPシート10Hが左右方向7において反転するように裏返されてPTPシート10Lと抱き合わせされた状態を示す。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。なお、以下の説明において、上下を基準として上下方向5が定義され、上下方向5と垂直な方向に前後方向6が定義され、上下方向5及び前後方向6とそれぞれ垂直な方向に左右方向7が定義されている。ここで、前後方向6が本発明の第1の方向の一例であり、左右方向7が本発明の第2の方向の一例である。
[PTPシート10の概略構成]
図1(A),(B)に示されるように、PTPシート10は、平面視において長方形状のシートである。図1(B)に示されるように、PTPシート10は、内側に錠剤やカプセル剤(以下、これらをまとめて薬剤11とする。)が封止された状態で実施される。また、図2の例においては、1つの薬剤11を封止する区分であるセル12(本発明の一区分の一例)が前後方向6に2つ並べられて、PTPシート10が構成されている。つまり、図2のPTPシート10には、計2つの薬剤11が封止されている。
セル12の境界には、スリット13(本発明の切断部の一例)が形成されている。PTPシート10は、薬剤師や患者の手によって、スリット13に沿って折り曲げられたり、あるいは、切り離されて、単一のセル12まで分割されることができる。セル12の前後方向6の寸法は4〜12cmであり、好ましくは5〜6cmである。本実施形態においては、5.5cmの例が示される。また、左右方向7の寸法は、4〜7cmであり、好ましくは5.5〜6.5cmである。本実施形態においては、5.8cmの例が示される。なお、以下の説明において、分割されていない複数のセル12の集合、及び分割された後の単一のセル12が、それぞれPTPシート10と称される。
PTPシート10は、ポリプロピレンにより成型された第1シート14とアルミニウムフィルムである第2シート15とが貼着されたものである。第1シート14に形成されたポケット16に、薬剤11が収容されている。ポケット16の開口は第2シート15によって閉塞されている。患者の指先によって第1シート14のポケット16が押圧されると、ポケット16が弾性変形して、薬剤11を第2シート15側へ押圧する。薬剤11が第2シート15を押し破ることで、薬剤11が開口を通じてポケット16から取り出される。
PTPシート10は、保存や輸送の際、または患者によって持ち運ばれる際、第1シート14同士が対向する状態に重ね合わされて、抱き合わせ状態とされる。抱き合わせ状態とは、一方のPTPシート10のポケット16間の空間に、他方のPTPシート10のポケット16が入り込んで、ポケット16が互い違いに配置された状態である。第1シート14のポケット16と同じ側の面から凸部18が突出されている。本実施形態に係るPTPシート10は、抱き合わせ状態において、凸部18が他方のPTPシート10を支えることで、ポケット16が、対向する側のPTPシート10と接触しない状態に維持されるものである。
以下、PTPシート10の各構成部材がより詳細に説明される。以下の説明において、各シートの上面及び下面という表現が用いられることがあるが、これらは図1,2におけるPTPシート10の向きを基準としたものである。また、第1シート14の上面(ポケット16が突出された側の面)が本発明の第1面に、下面(第2シート15と貼着された側の面)が本発明の第2面にそれぞれ相当する。
[第1シート14]
図1〜図3に示される第1シート14は、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン(PP)によって真空成型されたシートである。第1シート14は、一定の透光性を有している。これにより、患者は、第1シート14を透過して、後述される第2シート15に記載された文字や図柄を視認することができる。
ただし、第1シート14には、第2シート15に記載された文字や図柄を視認可能な程度の透光性を有しており、且つ、指先の押圧によって弾性変形可能なものであれば、他の樹脂が用いられてもよい。たとえば、第1シート14には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は環状ポリオレフィンが使用されてもよい。あるいは、樹脂の層が異なる薄膜によってコーティングされて、第1シート14が構成されていてもよい。あるいは2種類以上の樹脂の層がラミネートされて、第1シート14が構成されていてもよい。
図2に示されるように、第1シート14は、セル12単位に分割されていない状態において、長方形状を呈している。ただし、各セル12の4隅に相当する部分が、曲線状にカットされている。これは、患者がセル12の角によって手を傷つけることを防止するためである。
図2において、セル12の境界にはスリット13が形成されている。スリット13は、第1シート14の上面に形成された概ねV字状の溝である、スリット13の深さは、第1シート14の厚みの半分よりもやや深い。あるいは、スリット13は、微小な孔が周期的に形成されたミシン目であってもよい。あるいは、溝とミシン目とが重畳されて設けられたものがスリット13であってもよい。PTPシート10の製造段階において、ローラ状の刃が、第1シート14の上面を押圧した状態で相対的に移動する。こうして、第1シート14にスリット13が形成される。
分割された後のセル12は、平面視において長方形状を呈している。セル12の前後方向6の寸法が5.5cmであり、左右方向7の寸法が5.8cmである。これは患者が誤飲することを防止することができる大きさである。ただし、各セル12の寸法は、これに限られるものではない。たとえば、セル12は、前後方向6の寸法と左右方向7の寸法とが互いに等しく、平面視において正方形状を呈していてもよい。あるいは、セル12は、左右方向7の寸法よりも前後方向6の寸法が大きいものであってもよい。
第1シート14のうち、各セル12に1つずつ、ポケット16が設けられている。ポケット16は、各セル12において、前後方向6の中央よりもやや後方、且つ左右方向7の中央よりもやや右側に設けられている。
ポケット16は、第1シート14が上方へ突出するようにドーム状に成型されたものである。つまり、ポケット16において、第1シート14の上面が上方へ突出され、下面が上方へ陥没されている。この陥没された部分に、薬剤11が収容される内部空間が形成されている。この内部空間と外部空間とを連続する開口が、第1シート14の下面側に開かれている。ポケット16の寸法は、薬剤11を完全に収容可能なものであり、薬剤11の大きさによって適宜変更される。
第1シート14のうち、各セル12に2つずつ、凸部18が設けられている。2つの凸部18は、各セル12において、ポケット16よりも僅かに前方に設けられている。そして、2つの凸部18は、ポケット16よりも左右方向7の両外側に離間されて、一対を為している。
凸部18は、ポケット16と同様に第1シート14がドーム状に成型されたものである。一方、ポケット16との相違点として、凸部18が形成する内部空間には、薬剤11が収容されていない。凸部18の突出端は、平面視において円形であって中央部が僅かに上方に膨らんだ形状に成型されている。図4(B)に示されるように、凸部18は、PTPシート10の抱き合わせ状態において、対向する側のPTPシート10を支えるものである。抱き合わせ状態の詳細は後述する。なお、図4,6,7においては、抱き合わせ状態における2枚のPTPシート10を区別するため、下側のPTPシート10に関連する参照符号の最後尾に「L」、上側のPTPシート10に関連する参照符号の最後尾に「H」が付与されている。
第1シート14の上面から凸部18の突出端までの距離L1(図4(B)、本発明の第1距離の一例)は、第1シート14の上面からポケット16の突出端までの距離L2(図4(B)、本発明の第2距離の一例)よりも長く取られている。距離L2は、封止された薬剤11のサイズに応じて適宜変更されるため、距離L1も距離L2に応じて適宜変更される。薬剤11が一般的な錠剤の場合、距離L2は5〜8mmであり、距離L1は距離L2よりも1〜3mm長い。本実施形態においては距離L1が7mm、距離L2が5mmである。
図1〜図3に示されるように、凸部18よりも更に前方には、シール20が貼着されている。シール20は、帯状にカットされた紙シートである。シール20の表裏面の一方に粘着剤が塗布されている。シール20は、この粘着剤によって、左右方向7を長手方向として第1シート14の上面に貼着されている。シール20の表裏面のうち、粘着剤が塗布されていない側の面が上方に露出されている。この面には、薬剤師が、鉛筆やボールペンなどの筆記具によって、薬剤11に関する情報を記入することができる。第1シート14の上面のうち、シール20が貼着された領域が、本発明の記入領域の一例である。
図2に示される分割前のPTPシート10において、全てのポケット16及び凸部18は、前後方向6におけるPTPシート10の中央に沿った仮想直線V1において非対称に配置されている。つまり、それぞれのポケット16及び凸部18と仮想直線V1において対称な位置には、いずれのポケット16も凸部18も設けられていない。また、シール20は、凸部18と仮想直線V1おいて非対称な位置に配置されている。つまり、凸部18と前後方向6において対称な位置には、シール20が設けられていない。同様に、個々のセル12において、全てのポケット16及び凸部18は、前後方向6におけるセル12の中央に沿った仮想直線V2において非対称に配置されている。また、シール20は、凸部18と仮想直線V2おいて非対称な位置に配置されている。理由は後述する。ここで後述する仮想直線V3も含めた仮想直線V1〜V3が、本発明の仮想直線の一例である。
[第2シート15]
第2シート15は、ポケット16に薬剤11が収容された状態において、第1シート14の下面側に貼着されたアルミニウムフィルムである。第2シート15によって、ポケット16の開口は閉ざされ、薬剤11はポケット16の内側に封止されている。
第2シート15の厚みは、患者がポケット16越しに薬剤11を押圧した際、薬剤11からの押圧力によって破かれる程度の厚みにされている。本実施形態においては。第2シート15の厚みは20μmである。ただし、第2シート15の厚みは、薬剤11の硬さ、たとえば、薬剤11が錠剤であるか又はカプセル剤であるかに応じて適宜変更されてもよい。また、第2シート15の材料も上記の要件を満たすものであれば、アルミニウム以外のものが用いられてもよい。たとえば、第2シート15は、アルミニウム以外の金属であってもよく、アルミニウムと他の金属の合金であってもよい。また、ポケット16の気密性を確保できるものであれば、第2シート15に他の化学材料が用いられてもよい。
ポケット16に薬剤11が収容された状態において、第1シート14と第2シート15とは、加熱状態おいて圧着される。その際、熱によって半溶解された第1シート14の下面が凝固することで、第1シート14と第2シート15とが溶着される。
図には示されないが、第2シート15の上面及び下面には、それぞれ、薬剤師や患者が視認可能な文字や図柄が記載されている。第2シート15の上面に記載された文字や図柄は、第1シート14を透過して、第1シート14の上面から視認可能である。
[PTPシート10の抱き合わせ]
以下、PTPシート10の抱き合わせ状態が図4(A),(B)を参照しながら説明される。2枚のPTPシート10L,10Hは、第1シート14L,14H同士が対向する状態に重ね合わされている。そして、2枚のPTPシート10L,10Hにおいて、図2に示された前端21と後端22とが、前後方向6において互いに一致されている。つまり、PTPシート10Lは、図2の状態にあり、PTPシート10Hは、図2の状態から前後方向6が反転するように裏返されている。そして、PTPシート10Lの上にPTPシート10Hが被せられている。
上述したように、各PTPシート10において、ポケット16及び凸部18は、仮想直線V1,V2において非対称に配置されている。そのため、抱き合わせ状態において、対向するポケット16L,16H及び凸部18L,18Hがいずれも接触しない位置関係にある。
図4(A)において、ポケット16Hに対して、左右方向7の両外側に凸部18Lがそれぞれ配置されている。また、ポケット16Lに対して、左右方向7の両外側に凸部18Hがそれぞれ配置されている。凸部18L,18Hは、対向するPTPシート10L,10Hの第1シート14L,14Hとそれぞれ当接し、支えている。これにより第1シート14L,14H間に距離L1(図4(B))の間隙が維持されている。距離L2は距離L1よりも短いため、ポケット16L,16Hは、この間隙により、対向するPTPシート10L,10Hと接触しない状態に維持されている。ポケット16L,16Hは、左右方向7における凸部18L,18Hの内側にそれぞれ配置されているため、PTPシート10L,10Hが撓んだ場合にも、ポケット16L,16Hの周辺ではこの間隙が維持されやすい。
また、抱き合わせ状態において、2枚のPTPシート10L,10Hが左右方向7又は前後方向6に相対的にずらされた場合、ポケット16L,16H又は凸部18L,18Hが互いに接触して、移動が阻止される。以下、詳細に説明する。PTPシート10Hが10Lに対して後方へ僅かにずらされた場合、ポケット16L,16Hが互いに接触することでそれ以上の移動が阻止される。PTPシート10Hが10Lに対して前方へ僅かにずらされた場合、凸部18L,18Hが互いに接触することでそれ以上の移動が阻止される。PTPシート10Hが10Lに対して左側へ僅かにずらされた場合、ポケット16Lが右側の凸部18Hに接触することでそれ以上の移動が阻止される。PTPシート10Hが10Lに対して右側へ僅かにずらされた場合、ポケット16Hが右側の凸部18Lに接触することでそれ以上の移動が阻止される。つまり、2枚のPTPシート10L,10Hが左右方向7及び前後方向6に相対的にずれることができる範囲は狭い範囲に限定される。
上述したように、各PTPシート10において、シール20は、凸部18と仮想直線V1,V2において非対称な位置に配置されている。そのため、抱き合わせ状態において、凸部18L,18Hの突出端は、シール20L,20Hと異なる位置において、PTPシート10L,10Hと当接することになる。
なお、図2に示される分割前のPTPシート10において、スリット13を折り曲げ線として後方側のセル12を向き19に折り曲げることもできる。折り曲げられた状態において、前方のセル12と後方のセル12とによって、上述した抱き合わせ状態と同様の状態が実現される。折り曲げられたPTPシート10は、抱き合わせ状態と同様に、ポケット16が対向するセル12と接触しない状態に維持される。
[実施形態の作用効果]
本実施形態に係るPTPシート10は、抱き合わせ状態において、ポケット16が対向するPTPシート10と接触しない状態に維持されるため、ポケット16を外力による押圧から保護することができる。
また、抱き合わせ状態において、ポケット16に対して左右方向7の両外側に凸部18が配置される。そのため、ポケット16の周辺において、第1シート14間の間隙が維持されやすくなる。つまり、PTPシート10が撓んだ場合においても、ポケット16が対向するPTPシート10と接触する可能性が低減される。
また、ポケット16及び凸部18が、仮想直線V1,V2において非対称に配置されているため、2枚のPTPシート10の前端21と後端22とが一致するように、PTPシート10を抱き合わせ状態とした場合、対向するポケット16及び凸部18が互いに接触しない。つまり、2枚のPTPシート10を前後方向6に互いにずらすことなく抱き合わせ状態とすることができる。これにより、抱き合わせ状態が安定し、同時に省スペースにも貢献することができる。
また、抱き合わせ状態において、凸部18が対向するPTPシート10を支えるため、シール20が対向する第1面14と接触しない状態に維持される。さらに、シール20は、凸部18と仮想直線V1,V2において非対称な位置に配置されているため、凸部18の突出端は、シール20と異なる位置において、対向するPTPシート10と当接する。したがって、シール20が対向する凸部18と接触することもない。したがって、シール20に記載された文字や図柄がかすんだり滲んだりすることが防止される。
また、抱き合わせ状態のPTPシート10が左右方向7及び前後方向6に相対的にずれることができる範囲が限られているため、抱き合わせ状態がさらに安定する。特に、抱き合わせ状態のPTPシート10が複数対積層された場合においても崩れにくくなる。
また、スリット13を折り曲げ線としてPTPシート10を折り曲げることができるため、患者による持ち運びが容易となる。また、折り曲げられた状態においても、ポケット16が対向するセル12と接触しない状態に維持されるため、ポケット16を外力による押圧から保護することができる。
[変形例1]
上述した実施形態において、凸部18の突出端は、平面視において円形であって中央部が僅かに上方に膨らんだ形状に成型されていた。一方、凸部18の突出端は、対向する第1シート14と当接する面積を広くするために、第1シート14の上面と平行な平面状に成型されていてもよい。あるいは、凸部18の突出端は、図5(A),(B)に示されるように、円の中央に窪み23(本発明の窪みの一例)を有するリング形状であってもよい。凸部18は、このリングに沿って対向するPTPシート10の第1シート14と当接する。このような突出端の形状においては、凸部18が対向するPTPシート10を支える力は、窪み23の周縁部であるリング部分が受けることになる。窪み23の周縁部は、中央部よりも押圧力によって弾性変形しにくいため、PTPシート10を安定して支えることができる。また、凸部18の突出端に窪み23が形成されることで、患者が薬剤11を服用する際、薬剤11が収納されているポケット16と凸部18との識別を可能とし、より利便性を向上させることができる。
[変形例2]
上述した実施形態におけるポケット16及び凸部18の配置は一例であり、当業者によって適宜変更されてもよい。図6(A)では、PTPシート10Lの凸部18Lが、セル12Lの対向する2隅にそれぞれ配置されている。凸部18Lの間に、PTPシート10Hのポケット16Hが配置されている。同様に、PTPシート10Hの凸部18Hが、セル12Hの対向する2隅にそれぞれ配置されている。凸部18Hの間に、PTPシート10Lのポケット16Lが配置されている。このような配置によると、抱き合わせ状態とされたPTPシート10L,10Hの4隅においてPTPシート10L,10H間の間隙が維持される。そして、その対角線上にポケット16L,16Hがそれぞれ配置される。
[変形例3]
図6(B)では、PTPシート10L,10Hがそれぞれ1つの凸部18L,18Hのみを有している。PTPシート10L,10Hの抱き合わせ状態において、前後方向6に沿って凸部18L,18Hが配置されている。凸部18L,18Hの間に、ポケット16L,16Hがそれぞれ配置されている。つまり、凸部18L,18H及びポケット16L,16Hが一直線上に配置されている。このような配置によると、凸部18L,18Hにより、前後方向6に沿ってPTPシート10L,10H間の間隙が維持される。そして、凸部18L,18Hの間にポケット16L,16Hがそれぞれ配置される。
[変形例4]
また、各セル12におけるポケット16及び凸部18は、図7(A)に示されるように配置されてもよい。上述した実施形態は、ポケット16及び凸部18が、仮想直線V1,V2において非対称に配置されたものであった。本変形例においては、ポケット16及び凸部18が、左右方向7におけるPTPシート10の中央に沿った仮想直線V3においても非対称に配置されている。つまり、ポケット16及び凸部18が、図7(A)の仮想直線V1〜V3において共に非対称に配置されている。
このようなポケット16及び凸部18の配置によると、図7(B)に示されるように、2枚のPTPシート10L,10Hは、前端21(図2)と後端22(図2)とが一致するように抱き合わせ状態とされることができる。さらに、図7(C)に示されるように、2枚のPTPシート10L,10Hは、前端21同士及び後端22同士が一致するように抱き合わせ状態とされることもできる。
図7(B)において、PTPシート10Lは、図2の状態にあり、PTPシート10Hは、図2の状態から前後方向6が反転するように裏返されている。そして、PTPシート10Lの上にPTPシート10Hが被せられている。この状態は上述した実施形態と同様のものである。一方、図7(C)において、PTPシート10Lは、図2の状態にあり、PTPシート10Hは、図2の状態から左右方向7が反転するように裏返されている。そして、PTPシート10Lの上にPTPシート10Hが被せられている。
このように、本変形例においては、シートの外縁が前後方向6及び左右方向7において重なるようにPTPシート10L,10Hが抱き合わせ状態とされるとき、両者が前後方向6に反転している場合(図7(B))においても、左右方向7に反転している場合(図7(C))においても、対向するポケット16L,16H及び凸部18L,18Hが互いに接触することがない。
図7(B)においては、前後方向6に離間された凸部18L,18Hの間にポケット16L,16Hが配置されており、図7(C)においては、左右方向7に離間された凸部18L,18Hの間にポケット16L,16Hが配置されている。つまり、いずれの場合においても、ポケット16L,16Hの両外側に凸部18L,18Hが配置されるため、ポケット16L,16Hの周辺において、PTPシート10L,10H間の間隙が維持されやすくなり、ポケット16L,16Hが対向するPTPシート10L,10Hと接触する可能性は低減される。
[その他の変形例]
上述したものの他にも、セル12ごとの凸部18の数や配置は、本発明の技術的範囲において適宜変更されてもよい。また、ポケット11や凸部18の形状についても同様に、適宜変更されてもよい。また、凸部18突出端は、平面視において円形である必要はなく、たとえば矩形であってもよい。
また、上述した実施形態において、図2に示されるPTPシート10は、前後方向6に沿って2つのセル12が配置されたものであったが、3つ以上のセル12が配置されてもよい。あるいは、左右方向7に沿って複数のセル12が配置されてもよいし、前後方向6及び左右方向7に沿ってそれぞれ複数のセル12が配置されてもよい。
また、本発明の記入領域は、上述した実施形態とは異なる方法によって実現されてもよい。たとえば、第1シート14の上面が他の化学物質によってコーティングされて、本発明の記入領域が形成されてもよいし、第1シート14が、サンドブラスト加工やエンボス加工されることで本発明の記入領域が形成されてもよい。
また、第1シート14の上面からは、抱き合わせ状態において対向する凸部18の周面と当接するリブなどが突出されていてもよい。これにより、第1シート14の前後方向6及び左右方向7への相対移動が制止されてもよい。
10・・・PTPシート
11・・・薬剤
12・・・セル(一区分)
13・・・スリット(切断部)
14・・・第1シート
15・・・第2シート
16・・・ポケット
17・・・記入領域
18・・・凸部
20・・・シール(記入領域)
23・・・窪み
L1・・・距離(第1距離)
L2・・・距離(第2距離)

Claims (8)

  1. 薬剤を収容可能な複数のポケット、及び突起状の複数の凸部が、表裏面の一方である第1面からそれぞれ突出された第1シートと、
    上記第1シートにおける上記第1面と反対側の第2面に貼着されて、上記ポケットの開口を塞ぐ第2シートと、を備え、
    上記第1面から上記凸部の突出端までの第1距離が、上記第1面から上記ポケットの突出端までの第2距離よりも長く、
    当該薬剤包装用PTPシートは、平面視において長方形状を呈しており、
    それぞれの上記ポケット及び上記凸部は、いずれの上記ポケット及び上記凸部とも上記長方形の長手方向又は短手方向の中央に沿った仮想直線において非対称であり、
    一対の当該薬剤包装用PTPシートが、それぞれの上記第1面同士が近接し、かつそれぞれの上記第1シートの周縁を一致させて抱き合わせた状態において、対向する上記ポケット及び上記凸部同士が接触しない薬剤包装用PTPシート。
  2. 上記凸部の突出端が上記第1面と平行な平面である請求項1に記載の薬剤包装用PTPシート。
  3. 1つの上記ポケットの両外側に、一対の上記凸部が設けられている請求項1又は2に記載の薬剤包装用PTPシート。
  4. 平面視において、
    全ての上記ポケットは、第1の方向に沿って配置されており、
    一対の上記凸部は、それぞれ上記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置されており、
    当該薬剤包装用PTPシートを分割するための切断部は、それぞれ上記第2の方向に沿って設けられている請求項1から3のいずれかに記載の薬剤包装用PTPシート。
  5. 薬剤を収容可能なポケット、及び突起状の凸部が、表裏面の一方である第1面からそれぞれ突出された第1シートと、
    上記第1シートにおける上記第1面と反対側の第2面に貼着されて、上記ポケットの開口を塞ぐ第2シートと、を備え、
    上記第1面から上記凸部の突出端までの第1距離が、上記第1面から上記ポケットの突出端までの第2距離よりも長く、
    上記凸部の突出端は、中央部に凹状の窪みを有し、上記第1面と平行な円形状である薬剤包装用PTPシート。
  6. 上記ポケットは複数が設けられており、
    1つの上記ポケットの両外側に、一対の上記凸部が設けられている請求項に記載の薬剤包装用PTPシート。
  7. 上記第1シートは、上記第1面の少なくとも一部に、少なくとも鉛筆又はボールペンによって文字又は図柄を記入可能な記入領域を有する請求項1から6のいずれかに記載の薬剤包装用PTPシート。
  8. 当該薬剤包装用PTPシートは、平面視において長方形状を呈しており、
    上記凸部が上記第1シートに占める領域が、上記長方形の長手方向又は短手方向の中央に沿った仮想直線において対称に転写された領域は、上記記入領域と重複していない請求項7に記載の薬剤包装用PTPシート。
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