JP5914615B1 - アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を製造するための不均一系触媒、これを用いたアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を製造する方法 - Google Patents

アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を製造するための不均一系触媒、これを用いたアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造するための不均一系触媒、これを用いたアリルアルコールから3−HPAを製造する方法の提供。【解決手段】酸化セリウム(CeO2)又は酸化セリウムを含む複合酸化物から構成される担体に担持された7nm以下のサイズの金ナノ粒子を含む不均一系触媒の存在下で液相反応を行うことでアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を高収率で製造する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:以下、3−HPA)を製造するための不均一系触媒、これを用いたアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を製造する方法に関し、より詳細には、酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物である担体に金が担持された不均一系触媒の存在下で液相反応を行うことでアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を高収率で製造する方法に関する。
アクリル酸は、カルボン酸とビニル基を含む最も簡単な不飽和カルボン酸で、自体重量の5百倍〜1千倍程度の水分を吸水可能な機能を有する合成高分子物質である高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)の主原料である。高吸水性樹脂は、生理用具として実用化されはじめ、現在は、子供用紙おむつなどの衛生用品のほか、園芸用土壌保水剤、土木・建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、及び湿布用などの材料として広く使用されている。したがって、従来の吸水材と比較して優れた吸水能力を有することと知られている高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)は、その活用範囲がますます広くなっており、市場価値が高いとされ、その原料として使用されるアクリル酸も重要な市場価値を有する。そのほか、アクリル酸は、アクリル繊維、塗料、粘接着剤、コーティング剤など、3000種余りの様々な用途において、核心原料として使用されている。
現在、アクリル酸を生産する方法には、化石燃料から得られるプロピレンからアクロレインを経てアクリル酸を生産する工程が一般的である。一方、石油波動以後、石油資源の枯渇に対する懸念が台頭し、これにより、石油でない自然資源から燃料及び多様な化学原料物質を確保することが重要となっている。これは、石油資源の枯渇に対する備えだけでなく、石油資源の価格変動と独立的に産業基盤物質を安定に確保する側面においても重要である。
一方、環境負荷の問題が台頭しつつ、バイオマス転換技術が、多様なバイオ基盤の原料物質を使用できる長所があり、脚光を浴びている。その中で、バイオマス基盤のアクリル酸の新たな工程に対する開発需要が増加しており、多様な反応経路が存在するが、グリセロール−アリルアルコール−3HPA−アクリル酸経路がそのうちの1つである。
植物油からバイオディーゼルを生産する過程でグリセロールが副産物として生成されるが、グリセロール由来のアリルアルコールからアクリル酸を生産する場合、化石燃料を使用せずに環境に優しいバイオマスからアクリル酸を生産できるという長所がある。グリセロールをギ酸と反応させる場合、別に触媒がなくても高収率でアリルアルコールが得られる方法が、WO2008/092115A1に記載されている。したがって、アリルアルコールからアクリル酸を製造する場合、バイオディーゼルの副産物であるグリセロールの有効利用を可能にしてバイオディーゼルの効率性を高めることができ、グリセロールからアクリル酸を効果的に生産することができるものと期待される。
しかし、現在、グリセロールからアリルアルコールを生成する方法、3−HPAからアクリル酸を生成する方法に対する研究結果は多く確立されているが、アリルアルコールから3−HPAを生成する方法は、研究が微弱な状態である。したがって、アリルアルコールから3−HPAを生成する方法を確立するならば、グリセロールからアクリル酸を生成する反応経路が完成し得るので、新しい触媒工程に対する開発が必要である。
したがって、特殊な合成条件を利用することでアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を高収率で製造する方法に対する研究が必要な実情である。
WO2008/092115A1
Green Chem.2011、13、1624−1632 ChemSusChem、2009、2、57−58 Science301、2003、935−938
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するために案出されたものであって、酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物である担体に金が担持された不均一系触媒の存在下で液相反応を行うことでアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、
酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物から構成される担体に担持された7nm以下のサイズの金ナノ粒子を含む、アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:3−HPA)を製造するための不均一系触媒 を提供する。
また、本発明は、
a)酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物である担体に7nm以下のサイズの金ナノ粒子が担持された不均一系触媒を塩基性溶液及びアリルアルコールの混合溶液に投入するステップと、
b)前記ステップa)の混合溶液を、酸素分圧が絶対圧力を基準として1〜50barで、かつ、温度が30〜100℃である状態にした反応器中で1〜30時間反応させて、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を含む液相反応生成物を得るステップと、
c)前記製造された液相反応生成物から3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を分離するステップとを含む、アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法を提供する。
本発明によれば、不均一系触媒を用いて液相反応によりアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を高収率(20〜80%)で生産することができ、この場合、アリルアルコールの転換率は70%以上であり、0〜30%のアクリル酸が同時に製造され得る。また、本発明の不均一系触媒を含むアリルアルコールの酸化反応を通じて周知のグリセロールからアリルアルコールを生成する方法、3−HPAからアクリル酸を生成する方法に対する研究結果に基づいて、本発明のアリルアルコールから3−HPAを生成する方法を利用することでバイオマス基盤のグリセロール−アリルアルコール−3HPA−アクリル酸の反応経路を完成することができる。したがって、最終生成物であるアクリル酸を商業的規模で製造することが可能で、アクリル酸製造の生産性を従来の方法に比べてはるかに向上させることができる。
また、従来の化石燃料から得られるプロピレンからアクロレインを経てアクリル酸を生産する工程よりも、グリセロール由来のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を生産する場合、化石燃料を使用せずに環境に優しいバイオマスから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を生産できるという長所がある。したがって、アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する場合、バイオディーゼルの副産物であるグリセロールの有効利用を可能にしてバイオディーゼルの効率性を高めることができ、グリセロールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を効果的に生産できるという長所を有する。
(a)〜(e)は、本発明の実施例により製造された不均一系触媒を透過電子顕微鏡(JEM−2100、JEOL)で撮影した写真である。
以下、本発明のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を製造するための不均一系触媒、これを用いたアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸を製造する方法について詳細に説明する。
本発明は、特殊な合成条件を利用して3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率を大きく高めた、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を主生城物として製造する方法に関するものである。したがって、従来に比べて顕著に高い収率で3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を生産することができる。
1.アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:3−HPA)を製造するための不均一系触媒
本発明で使用される用語である不均一系触媒とは、触媒に反応する物質と触媒の相が異なるものを意味し、反応後の生成物から触媒の分離が容易であるという利点がある。
詳しくは、本発明の前記不均一系触媒は、金前駆体(塩化合物)から金ナノ粒子を合成するステップと、前記合成された金ナノ粒子を担体に担持させるステップとを含む方法により製造することができる。本発明の一実現例では、金ナノ粒子を担体に垣持させるために、コロイド性蒸着法(Colloidal Deposition Method)を使用した。
このために、本発明のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:3−HPA)を製造するための不均一系触媒は、酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物である担体に7nm以下のサイズ、好ましくは4nm以下のサイズの金ナノ粒子が担持されたことを特徴とすることができる。金粒子のサイズが前記範囲を満たす場合、反応性及び選択性に優れた効果を示す。また、金粒子のサイズが小さいほど、生成物であるアクリル酸と3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率が高くなる効果を有する。特に、金粒子のサイズが4nm以下である場合、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:3−HPA)の収率が50%に達してより好ましい。
また、前記金は、担体の総乾燥重量に対して5重量%以下、好ましくは0.0001〜5重量%で含まれるとよいが、金が前記含有量範囲に含まれる場合、貴金属である金の使用を最小化しつつ、反応性を極大化できるという長所を有する。
従来の担体としては、活性炭(Activated carbon)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄(Fe23)、酸化バナジウム(V25)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)などを使用したが、本発明では、担体として酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物を使用することができる。
2.アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法
本発明の3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法において、前記アリルアルコールは、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の製造に使用可能なものであれば、通常の購入可能なものを特別な制限無しに使用することができ、好ましくは純度60〜99.9%のアリルアルコールを使用することができる。
本発明のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法は、
a)酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物である担体に7nm以下のサイズの金ナノ粒子が担持された不均一系触媒を塩基性溶液及びアリルアルコールの混合溶液に投入するステップと、
b)前記ステップa)の混合溶液を、酸素分圧が絶対圧力を基準として1〜50barで、かつ、温度が30〜100℃である状態にした反応器中で1〜30時間反応させて、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を含む液相反応生成物を得るステップと、
c)前記製造された液相反応生成物から3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を分離するステップとを含む。
さらに詳しくは、本発明の前記不均一系触媒は、金前駆体(塩化合物)から金ナノ粒子を合成するステップと、前記合成された金ナノ粒子を担体に担持させるステップとを含む方法により製造することができる。本発明の一実現例では、金ナノ粒子を担体に垣持させるために、コロイド性蒸着法(Colloidal Deposition Method)を使用した。
このために、本発明のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:3−HPA)を製造するための不均一系触媒は、酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物である担体に7nm以下のサイズ、好ましくは4nm以下のサイズの金ナノ粒子が担持されたことを特徴とすることができる。金粒子のサイズが前記範囲を満たす場合、反応性及び選択性に優れた効果を示す。また、金粒子のサイズが小さいほど、生成物であるアクリル酸と3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率が高くなる効果を有する。特に、金粒子のサイズが4nm以下である場合、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:3−HPA)の収率が50%に達してより好ましい。
また、前記金は、担体の総乾燥重量に対して5重量%以下、好ましくは0.0001〜5重量%で含まれるとよいが、金が前記含有量範囲に含まれる場合、貴金属である金の使用を最小化しつつ、反応性を極大化できるという長所を有する。
従来の担体としては、活性炭(Activated carbon)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄(Fe23)、酸化バナジウム(V25)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)などを使用したが、本発明では、担体として酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物を使用することができる。
前記a)ステップで投入される塩基性溶液は、アリルアルコールの酸化反応で反応を活性化させる役割を果たす。前記塩基性溶液は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩基性化合物を水と混合して製造することができる。より詳しくは、前記塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムからなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。
前記塩基性溶液に含まれる塩基性化合物は、アリルアルコール1モルを基準として0.01〜10モル比で投入することが好ましく、2〜5モル比で投入することがより好ましい。前記塩基性化合物の投入量に応じて、アリルアルコールの転換率と、アクリル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)、グリセリン酸の収率、及び選択度に影響を与える。
また、生成物のうち、アクリル酸と3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を含む酸形態の生成物は、塩基性化合物の添加によって塩形態(salt)で生成されることができる。
前記ステップa)の不均一系触媒は、回分式反応工程の場合、塩基性溶液及びアリルアルコールの混合溶液の100重量部に対して0.1〜10.0重量部で含まれることが好ましいが、不均一系触媒が0.1重量部未満で含まれる場合、反応物と触媒の接触が円滑でなく、反応速度が低下する問題があり、10.0重量部超過の場合、触媒の過多な使用による費用の増加のため、経済性を確保し難い。
また、前記ステップ a)の不均一系触媒は、連続式反応工程である場合、触媒の体積により除算した前記塩基性溶液及びアリルアルコールの混合溶液の体積流量の比で表現される空間速度(space velocity)が0.1〜20h−1の範囲であることが好ましいが、空間速度が0.1h−1未満である場合、触媒の過多な使用による費用の増加のため、経済性を確保し難く、20h-1超過である場合、反応物と接触する触媒の量が十分でなく、反応速度が低下するという問題がある。
前記b)ステップで投入される気体は、酸素を含む気体であることを特徴とし、前記b)ステップでは、内部温度を30〜100℃に加温し、1〜30時間反応させて高温状態を維持するとともに、酸素を含む気体を投入することにより、酸素を反応器内に供給するとともに、溶液が反応する間、内部酸素分圧を絶対圧力を基準として1〜50barの高圧状態に維持させることができる。また、前記反応器内の内部温度が30℃未満であれば、酸化反応速度が非常に遅くなり、アリルアルコールの転換率が大きく減少するという問題が生じ、100℃を越えると、温度上昇によって副反応が大きく増加して選択度が大きく減少するという問題が生じる。反応時間は、1〜30時間であることが好ましく、本発明の一実現例として、コロイド性蒸着法により製造されたAu/CeO2触媒を使用する場合、最適反応時間は、24時間であることが確認できる。
また、前記反応器内に投入される気体は、酸素を10体積%以上含むことができ、好ましくは酸素を20〜100体積%含むことができ、より好ましくは30〜100体積%含むことができる。前記酸素の含有量が10体積%未満であれば、酸化反応速度が非常に遅くなるという問題がある。また、前記反応器内の酸素部分圧力が1bar以下であれば、酸化反応が起こりにくいという問題が生じ、50barを越えると、圧力上昇による追加的な効果が微々たるものになる。
また、前記ステップb)で使用される反応器は、回分式反応器、半回分式反応器、連続攪拌タンク反応器(CSTR)、プラグフロー反応器(PFR)、流動層反応器など、一般的に知られている反応器において全て適用可能である。
前記液相反応生成物は、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)のみ、または、アクリル酸及びグリセリン酸を含む群より選ばれた1種以上と3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)との組み合わせを含むことを特徴とすることができる。
前記ステップc)の液相反応生成物から3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を分離することは、酸性化、イオン交換、抽出、結晶化、及び蒸留などの方法を利用することができる。
上記の製造方法によって製造された本発明の3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率は、25%以上、より好ましくは40%以上であるため、経済性に優れる。
また、本発明において、前記アリルアルコールの転換率(Allyl Alcohol conversion)は、70%以上である特徴を有する。
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は、本発明を例示するものにすぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変更及び修正が、添付された特許請求の範囲に属することはいうまでもない。
<実施例1.アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造するための不均一系触媒の製造方法>
HAuCl4・3H2O 2.9mgとD−(+)−glucose 66.3mgを100ml DI waterに分散させてから攪拌しながら、1.45mg NaBH4(0.38ml DI water)を速く注入して金粒子を合成した。担体(活性炭及び金属酸化物)を5ml DI waterに分散させ、これを金粒子が含まれた溶液に入れて15分間攪拌して担持した。その後、ろ過、洗浄過程を経て乾燥し、触媒を得た。
<実施例2.アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法>
前記実施例1の方法により製造された触媒100mgを、蒸溜水17.24ml、水酸化ナトリウム2.07g、アリルアルコール1.17mlが混合された溶液に入れて、前記溶液を50mlの体積のガラス反応器に入れた。ガラス反応器を真空状態に調節した後、3barの酸素を含む気体で充填した。その後、ガラス反応器を50℃で24時間反応させた。溶液が反応する間、酸素を含む気体が3barとなるように反応器の内部を維持させた。上記の方法により得られた液相反応生成物を、液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定性及び定量分析を行った。
[実験例]
前記実施例2で製造された液相反応生成物に対して、液体クロマトグラフィー(YL9100 HPLC、Young Lin Instrument Co.)を用いて、アクリル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、グリセリン酸を、HPLC面積%分析を通じて分析した。アリルアルコールの転換率及び3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の選択度、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率を、下記の数式1〜数式3を用いて計算した。
3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の選択度の場合、アリルアルコールの転換率及び3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率データから、下記の数式3を用いて計算されてよい。
図1a〜図1eは、本発明の実施例により製造された不均一系触媒を透過電子顕微鏡(JEM−2100、JEOL)で撮影した写真である。担体として、(a)活性炭(Activated carbon)、(b)酸化アルミニウム(Al23)、(c)酸化セリウム(CeO2)、(d)酸化鉄(Fe23)、(e)酸化チタン(TiO2)を用いており、金粒子のサイズは4〜5nmである。
また、下記の表1は、担体による反応性テストであって、多様な担体による金/金属酸化物触媒の影響を示した結果である。互いに異なる担体を使用して実験を進行した結果、担体によって相違した結果を得ることができた。また、選択的酸化反応に金粒子のサイズが多くの影響を及ぼすことを考慮して、下記の表2では、金粒子のサイズを2.7nmに減少させて実験を進行した。
下記の表2は、金粒子サイズの減少による担体別の反応性に関するテストであって、金粒子のサイズを2.7nmに減らして反応性実験を進行した結果、全般的に液相反応生成物の収率が高くなることが確認できた。また、金粒子のサイズが異なる表1及び表2の反応性テスト結果において、全て酸化セリウム(CeO2)を担体として使用した場合が、3−HPAに対する収率が最も高いことを確認することができ、これとともに、アクリル酸に対する収率も他の金属酸化物を担体として使用した場合より、酸化セリウム(CeO2)を担体として使用した場合にさらに高い収率を表すことを確認することができた。
下記の表3は、アリルアルコールの酸化反応で反応を活性化する役割を果たすNaOHの濃度によるAu/CeO2触媒の活性評価をして、生成物の収率にいかなる変化を与えるかを示した。その結果、担体が活性炭(Activated carbon)である場合、アリルアルコール1モルを基準としてNaOHを3から6のモル比に増加させる場合、3−HPA収率が上昇したが、活性炭(Activated carbon)のモル比が9になると、転換率と収率が共に減少することを確認することができた。したがって、反応条件でNaOH/アリルアルコールのモル比が6であるとき、最も優れた効率を示すことを確認し、担体が酸化セリウム(CeO2)である場合に対する実験を進行した。Au/CeO2である場合には、NaOH/アリルアルコールのモル比が3であるとき、転換率と収率が共に最大値を表すことを下記の結果から確認することができた。
下記の表4は、本発明の比較例であって、触媒として活性炭及び金属酸化物担体のみを入れたときの反応性テストを示した結果である。活性炭及び金属酸化物の反応性を実験した結果、転換率と収率に相違を示し、担体として用いられる金属酸化物が触媒として一定部分影響を及ぼすことができるとは予想可能であったが、本発明の金が担体に担持された形態である場合、より顕著に低い触媒活性を示すことを確認することができた。
金ナノ粒子、金前駆体、担体のみで触媒活性をテストした結果、3−HPAの収率が顕著に減少することが観察され、金が担体に担持された形態であるときにのみ優れた触媒活性を示すことを確認することができた。また、担体の種類、NaOH濃度、反応時間、及び温度条件に応じて3−HPA収率に影響に及ぼすことができることを、上記の結果から確認することができた。
結論的に、本発明の不均一系触媒を用いて液相反応によりアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を高収率(20〜80%)で生産することができ、この場合、アリルアルコールの転換率は70%以上で、0〜30%のアクリル酸が同時に製造され得る。また、本発明の不均一系触媒を含むアリルアルコールの酸化反応を通じて周知のグリセロールからアリルアルコールを生成する方法、3−HPAからアクリル酸を生成する方法に対する研究結果に基づいて、本発明のアリルアルコールから3−HPAを生成する方法を利用してバイオマス基盤のグリセロール−アリルアルコール−3HPA−アクリル酸の反応経路を完成することができる。したがって、最終生成物であるアクリル酸を商業的規模に製造することが可能で、アクリル酸製造の生産性を従来の方法に比べてはるかに向上させることができる。

Claims (17)

  1. 酸化セリウム(CeO2)または酸化セリウムを含む複合酸化物から構成される担体に担持された7nm以下のサイズの金ナノ粒子を含む、アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−hydroxypropionic acid:3−HPA)を製造するための不均一系触媒。
  2. 前記金ナノ粒子のサイズは、4nm以下である、請求項1に記載の不均一系触媒。
  3. 前記金ナノ粒子は、前記担体の総乾燥重量に対して5重量%以下で含まれる、請求項1または2に記載の不均一系触媒。
  4. a)請求項1の不均一系触媒を塩基性溶液及びアリルアルコールの混合溶液に投入するステップと、
    b)前記ステップa)の混合溶液を、酸素分圧が絶対圧力を基準として1〜50barで、かつ、温度が30〜100℃である状態にした反応器中で1〜30時間反応させて、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を含む液相反応生成物を得るステップと、
    c)前記製造された液相反応生成物から3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を分離するステップと、
    を含む、アリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  5. 前記ステップa)の不均一系触媒は、金前駆体(塩化合物)から金ナノ粒子を合成するステップと、前記合成された金ナノ粒子を担体に担持させるステップにより製造された、請求項4に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  6. 前記ステップa)の不均一系触媒は、回分式反応工程が行われる場合、前記塩基性溶液及びアリルアルコールの混合溶液の100重量部に対して0.1〜10.0重量部で用いられる、請求項4に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  7. 前記ステップa)の不均一系触媒は、連続式反応工程である場合、触媒の体積により除算した前記塩基性溶液及びアリルアルコールの混合溶液の体積流量の比で表現される空間速度(space velocity)が0.1〜20h-1の範囲である、請求項4に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  8. 前記ステップa)の不均一系触媒は、担体に担持された4nm以下のサイズの金ナノ粒子を含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  9. 前記ステップa)の金ナノ粒子は、前記担体の総乾燥重量に対して5重量%以下で含まれる、請求項4〜8のいずれか一項に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  10. 前記液相反応生成物は、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)のみ、または、アクリル酸及びグリセリン酸を含む群より選ばれた1種以上と3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)との組み合わせを含む、請求項4〜9のいずれか一項に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  11. 前記ステップa)で投入される塩基性溶液は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩基性化合物の水溶液である、請求項4〜10のいずれか一項に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  12. 前記塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムからなる群より選ばれる1つ以上を含む、請求項11に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  13. 前記塩基性溶液に含まれる塩基性化合物は、アリルアルコール1モルを基準として0.01〜10モル比で用いられる、請求項11または12に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  14. 前記製造された3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率が25%以上である、請求項4〜13のいずれか一項に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  15. 前記製造された3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)の収率が40%以上である、請求項4〜14のいずれか一項に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  16. 前記アリルアルコールの転換率(Allyl Alcohol conversion)が70%以上である、請求項4〜15のいずれか一項に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
  17. 前記反応器は、回分式反応器、半回分式反応器、連続攪拌タンク反応器(CSTR)、プラグフロー反応器(PFR)、及び流動層反応器からなる群より選ばれた1種以上である、請求項4に記載のアリルアルコールから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を製造する方法。
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