JP5914174B2 - 圧縮座屈補剛構造 - Google Patents

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Description

本発明は、H形鋼などの鋼材の圧縮座屈に対する補剛構造に関する。
鋼材は、剛性は高いが自重が大きく、建築材料として使用する場合には、様々な断面形状に形成した既製品を使用することが多い。これらは一般に形鋼と呼ばれ、H型鋼、I形鋼、溝形鋼及び角形鋼管はその代表的なものである。
H型鋼などの鋼材には、強軸と、座屈軸である弱軸とが存在する。H型鋼などの鋼材からなる長尺材は、長軸方向に圧縮力を受けて座屈したとき、最も撓み易い方向である座屈方向、即ち弱軸方向に急激に撓み、圧縮支持力が急激に低下する。
圧縮力を受ける建築部材には、例えば、ブレース材がある。ブレース材はH型鋼などの長尺材からなることが多いが、その細長比が基準値を超える場合が多く、大きな圧縮力を受けると座屈する。そのため、設計上、ブレース材は、圧縮力を負担せず、引張力のみを負担するものとされる。しかし、これでは、1構面で負担できる水平力が小さくなり、不経済である。
そこで、H型鋼などの鋼材に圧縮力を負担させるために、座屈が生じないように補剛する必要がある。従来は、コンクリートの付着を防止する処置を鋼材の外周に施した上で、コンクリートで鋼材を覆うことで補剛していた。
しかし、コンクリートを用いて補剛すると、部材が重くなり、構造上、施工上不利になる。このため、近年では、鋼材に補剛用の鋼管を被せて、座屈によって鋼材に撓みが生じても、鋼材が鋼管などに当接して、それ以上の撓みを抑制する構造にして補剛している。例えば特許文献1から3には、H形鋼の外周に鋼管を被せて座屈補剛する構造が開示されている。
特許文献1には、角筒状の鋼管でH形鋼を座屈補剛する構造が開示されている。この構造では、鋼管に設置されたボルトの先端をH形鋼のウェブに当接させて、座屈による撓みを抑制している。
特許文献2には、周方向に分割構成された筒状の鋼管でH形鋼を座屈補剛する構造が開示されている。この構造では、鋼管の分割構成された部材同士を連結するボルトの先端をH形鋼のフランジやウェブに当接させて、座屈による撓みを抑制している。
特許文献3には、H形鋼の外周面にリブプレートを溶接し、その外側に角筒状の鋼管を被せて、リブプレートと鋼管の内壁とのクリアランスが所定値になるようにした構造が開示されている。この構造では、H形鋼の外周をほぼ取り囲むようにリブプレートが溶接されている。
特開平11−36444号公報 特許第3601942号公報 特開2008−19632号公報
しかしながら、上記特許文献1,2の構造では共に、ボルト径に比してボルト長さが長いので、H形鋼に当接したボルト先端がずれ易く不安定であり、確実に補剛することができないおそれがある。
一方、上記特許文献3の構造では、ウェブとフランジで囲まれたコの字型の領域を埋めるようにリブプレートを溶接しており、溶接長が長いので、溶接時にH形鋼が熱変形するおそれがある。
本発明は、以上の点に鑑み、H形鋼などの鋼材を圧縮座屈に対して安定的に補剛でき、且つ、補剛時に鋼材が熱変形するおそれがない圧縮座屈補剛構造を提供することを目的とする。
本発明は、対向する一対の平板状の対向部材と該対向部材を連結する連結部材とからなり、長手方向に亘って同一断面の鋼材の圧縮座屈補剛構造であって、前記鋼材の外周を前記鋼材の長手方向に亘って囲う補剛筒体と、前記鋼材の各対向部材の両端部側面に対してそれぞれ隙間を隔てて位置し、前記補剛筒体の長手方向に間隔をおいて前記補剛筒体の内面に固定された撓み抑制部材とを備えることを特徴とする。
一対の対向部材及びこれら対向部材を連結する連結部材からなり、長手方向に亘って同一断面の鋼材が圧縮力を受けて全体座屈が生じた場合、鋼材の断面形状は曲がった部分も変わらない。そのため、鋼材における弱軸方向の最も外側に位置する各対向部材の両端部側面の変形を抑制すれば、鋼材の弱軸方向に大きな撓みが生じず、鋼材の全体座屈を防ぐことが可能となる。なお、鋼材における弱軸方向は、通常、対向部材の離間方向となる。
本発明によれば、一対の対向部材及びこれら対向部材を連結する連結部材からなり、長手方向に亘って同一断面の鋼材の各対向部材の両端部側面に対してそれぞれ隙間を隔てて撓み抑制部材が位置している。そのため、鋼材の弱軸方向に前記隙間を超える撓みが生じないので、十分な圧縮座屈耐力を有するように鋼材を補剛することができる。
そして、撓み抑制部材は補剛筒体の長手方向に間隔をおいて設置されているので、鋼材の座屈現象が高次モードになり、座屈長さが短くなる。よって、十分な圧縮座屈耐力を有するように鋼材を補剛することができる。
撓み抑制部材は、鋼材の各対向部材の両端部側面に対向して位置している。そして、補剛筒体の長手方向断面が矩形状や円形状などである場合には、対向部材端部側面と補剛筒体内面との距離が短いので、この空間内に位置して隙間を規定する撓み抑制部材の対向部材端部側面から補剛筒体内面に向う方向における長さを小さくすることができる。
よって、例えば撓み抑制部材がボルトである場合、上記特許文献1,2に開示された構造に使用されるボルトと比較してボルト長を短くすることが可能であり、安定的に鋼材の撓みを抑制することができる。また、例えば撓み抑制部材が板体である場合、上記特許文献3に開示された構造に使用されるリブプレートと比較して小さくすることが可能であり、溶接などの固定工程に要する作業時間や材料費を削減することができる。
さらに、溶接などで鋼材に部材を固定すると、鋼材が熱変形するおそれがある。特に、対向部材であるフランジ端部側面に部材を溶接すると、平板状の連結部材であるウェブ材が連結しているフランジ中央部に比べてフランジが熱変形するおそれが高い。本発明では、撓み抑制部材が補剛筒体に固定されているので、フランジが熱変形するおそれがない。
また、本発明において、前記鋼材の各対向部材の外側面と前記補剛筒体の内面との間に隙間が形成されるように、前記補剛筒体の長手方向に間隔をおいて前記各対向部材の外側面又は前記補剛筒体の内面に固定された平板を備えることが好ましい。
この場合、平板の存在によって鋼材と補剛筒体との位置関係が一定の範囲内に維持される。そのため、より安定的に補剛することが可能となる。
また、本発明において、前記補剛筒体は周方向に分割された複数の分割ピースからなる。
これにより、撓み抑制部材や平板の設置位置や設置数を自由に設定することができる。よって、鋼材の座屈長さを適宜設定することができ、必要な圧縮力を負担するために最適な補剛構造とすることが可能となる。さらに、既存建築物の鋼材に補剛筒体を設置することも可能となる。
また、本発明において、前記撓み抑制部材は、螺子穴が形成された平板体であり、前記螺子穴にボルトを螺合させることで前記複数の分割ピースを結合して、前記補剛筒体を形成する。
これにより、分割ピースを結合するボルトを螺合させるための部材と撓み抑制部材とを共通化することができるので、部材数が削減でき、構成が簡易になる。
本発明の第1の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造を示す説明図。 図1のII−II線断面図。 本発明の第2の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造を示す断面図。 本発明の第3の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造を示す断面図。 本発明の第4の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造を示す断面図。
建築物にかかる水平力を耐震壁やブレース材に負担させた場合、柱や梁などの部材にかかる応力が小さくなり、これら部材の断面を小さくすることができる。そのため、建築物に、鉄筋コンクリート造の耐震壁や、H型鋼などの鋼材からなるブレース材を設置することが多い。
ブレース材は細長比が大きいため、引張力のみを負担するように構造計算がなされる。このようなブレース材を圧縮力も負担可能に補剛すれば、柱や梁などの部材で負担すべき曲げモーメントや圧縮力が小さくなり、これら部材の断面を小さくすることが可能となる。また、既存のブレース材を補剛すれば、ブレース材で負担可能な荷重が増加し、建築物の耐震性能が向上する。
ブレース材は、その両端がピン接合されており、圧縮力、引張力のみを受け、これ以外の応力や曲げモーメントなどは受けない。そのため、ブレース材では、局部座屈が生じることはなく、部材全長の中央付近でくの字型に曲がる全体座屈が生じる。
なお、ブレース材の他に、柱、梁、弦材、斜材などの建築部材に使用される鋼材も圧縮力を受ける。しかし、これらの建築部材にかかる圧縮力は曲げモーメントや剪断力に比べて小さく、座屈によってこれら建築部材の断面が決まることは少ない。ただし、これらの建築部材も補剛が必要となる場合がある。本発明において、補剛対象となる鋼材は、ブレース材、柱、梁、弦材、斜材などの建築部材として使用され、その使用態様は限定されない。
H形鋼などの鋼材には、強軸及び弱軸が存在する。強軸とは断面二次モーメントが最大になる軸であり、弱軸とは断面二次モーメントが最小になる軸である。H形鋼やI形鋼の場合、軸方向断面のフランジの広幅方向が強軸、ウェブの広幅方向が弱軸となる。そして、圧縮力によって座屈する場合、弱軸と直角する方向である弱軸方向に撓みが生じる。
このような背景から、本発明は、原則として、弱軸方向の撓みを抑制することによって、H形鋼などの鋼材の圧縮座屈耐力を補剛するものである。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態は、ブレース材であるH形鋼10の圧縮座屈耐力を補剛するための構造である。
ブレース材であるH形鋼10は、柱Aや梁Bなどからなる架構において、ウェブ12(図2参照)の外面が架構面に沿う姿勢で配置されている。圧縮座屈補剛構造は、H形鋼10の外周に被された補剛筒体20を備えている。補剛筒体20は、H形鋼10の補剛区間全長に亘って延在している。補剛筒体20は、その下端部で位置ずれ防止部材30によってH形鋼10に対して位置決めされている。
図2に示すように、H形鋼10は、対向する一対の同一平板状のフランジ(対向部材)11及びこれらフランジ11の中央部を連結するウェブ(連結部材)12から構成された形鋼である。H形鋼10は、長手方向に亘ってH字状の同一断面を有している。
補剛筒体20は、周方向に複数の分割可能に構成されている。ここでは、補剛筒体20は、H形鋼10のウェブ12の両側面外側にそれぞれ位置する2つの第1ピース21と、H形鋼10の2つのフランジ11の外側にそれぞれ位置する2つの第2ピース22とから構成され、補剛筒体20は、全体として、大略四角管状に形成されている。4つのピース21,22は、4本のボルト23と4個のロックナット24を用いて接合される。
各第1ピース21は、平鋼板を曲げ加工したものであり、長手方向断面における両端部が内側(H形鋼10側)にそれぞれ折り曲がって折曲部21aが形成されている。各第1ピース21には、長手方向に間隔をおいて、折曲部21a間の直線部21bに、ボルト23が挿通可能な一対の貫通穴21cが形成されている。
そして、各第1ピース21の直線部21bの内面には、2枚の平板25がそれぞれ溶接によって固定されている。ここでは、平板25は、螺子穴25aが形成されたナットであり、螺子穴25aと貫通穴21cとは軸合わせされている。平板25は、本発明における撓み抑制部材に相当する。なお、平板25は単に螺子穴が形成された平板であってもよい。
各第2ピース22も、平鋼板を曲げ加工したものであり、長手方向断面における両端部が内側に折り曲がって折曲部22aが形成されている。折曲部22aには、ボルト23が挿通可能な貫通穴22cが形成されている。
そして、各第2ピース22には、長手方向に間隔において、折曲部22a間の直線部22bの内面に、平板26が溶接によって固定されている。平板26は鋼板から形成されている。
2つの第1ピース21と2つの第2ピース22とは4本のボルト23と4個のロックナット24を用いて固定される。各ボルト23は、それぞれ貫通穴21c,22cを挿通して平板25の螺子穴25aに螺合した状態でロックナット24によって固定される。これにより、H形鋼10の外周を取り囲む補剛筒体20が構成される。
このとき、各第2ピース22の折曲部22aはそれぞれ、第1ピース21の直線部21bの外面に当接している。これにより、2つの第1ピース21間の距離が所定の距離に保たれた状態が保持され、H形鋼10の各フランジ11の端部側面と平板25との間にそれぞれ所定の微小な、例えば数mmの隙間S1が形成される。
各第1ピース21の折曲部21aはそれぞれ、第2ピース22の直線部22bの内面に当接している。これにより、2つの第2ピース22間の距離が所定の距離に保たれた状態が保持され、H形鋼10の各フランジ11の外側面と平板26との間にそれぞれ所定の微小な、例えば数mmの隙間S2が形成される。平板26の存在によってH形鋼10と補剛筒体20との位置関係が一定の範囲内に維持される。
このようにH形鋼10と平板25,26との間には、所定の隙間S1,S2が形成されており、H形鋼10と平板25,26とは通常当接しない。これら平板25,26は、H形鋼10の軸方向断面において、2つのフランジ11のウェブ12に連続する面以外の三面と補剛筒体20との間に配置されている。
圧縮力を受けてH形鋼10に全体座屈が生じた場合、H形鋼10の断面形状は曲がった部分も変わらない。そのため、H形鋼10の全体座屈を防ぐためにウェブ12の撓みを直接抑える必要はなく、弱軸方向で最も外側に位置するフランジ11の端部側面の撓みを抑えて弱軸方向の座屈を防げばよい。
本実施形態によれば、H形鋼10の各フランジ11の両端部側面に対してそれぞれ隙間S1を隔てて平板25が位置するため、H形鋼10の弱軸方向に隙間S1を超える撓みが生じないので、十分な圧縮座屈耐力を有するようにH形鋼10を補剛することができる。よって、H形鋼10の圧縮座屈を効果的に防ぐことができるので、ブレース材であるH形鋼10が圧縮力を負担可能に構造設計することができ、他の建築部材の断面を小さくすることが可能となる。
本発明の撓み抑制部材に相当する平板25であるナットは、平板状であるので、H形鋼10と補剛筒体20との位置関係が多少ずれてもフランジ11の端部側面と対向した位置に存在する。これにより、H形鋼10の弱軸方向への隙間S1を超える撓みを平板25によって確実に防止することができる。よって、上記特許文献1,2に開示された長いボルトを使用した構造と比較して確実に撓みを防止することが可能となる。
さらに、上記特許文献3に開示された構造におけるリブプレートと比較して平板25,26を小さくすることができ、材料及び溶接長を削減することが可能となる。また、特許文献3に開示されたようにH形鋼にリブプレートを溶接すると、輸送時や設置時にリブプレートの折れ曲がりや剥離が生じるおそれがある。また、溶接時に、構造部材であるH形鋼が熱変形するおそれがある。本実施形態では、補剛筒体20に平板25,26を溶接するので、H形鋼10が熱変形するおそれがない。さらに、既存建築物のH形鋼10を補剛する場合、現場で溶接する必要がない。
H形鋼10と補剛筒体20とは平板25,26を介してのみ当接し、補剛筒体20はH形鋼10と平板25,26の摩擦力によって伝達される軸力以外の軸力は負担しない。よって、平板25,26が受ける応力はほぼH形鋼10が当接することで生じる圧縮力のみであるので、平板25,26を突き合せ溶接のような剛強な接合で固定する必要はなく、隅肉溶接や点付け溶接で固定すればよい。
H形鋼10は、長手方向に圧縮力を受ける長尺の部材であるので、局部座屈よりも1次モードの座屈が先行する。よって、H形鋼10において引張耐力と同等以上の圧縮耐力を得るためには、座屈現象を1次モードから高次モードに移行させることが必要である。座屈現象を1次モードから高次モードに移行するためには、ブレース材であるH形鋼10の座屈長さを短くすればよい。よって、H形鋼10の長手方向に等間隔に、平板25,26を複数組設置することが好ましい。
ところで、補剛筒体20に平板25,26を溶接する場合、補剛筒体20が一体の筒状では両端部の付近にしか平板25,26を設けることができない。本実施形態では、補剛筒体20が分割可能であるので、平板25,26の設置位置と設置組数を自由に設定することができる。よって、ブレース材であるH形鋼10の座屈長さを適宜設定することができ、必要な圧縮力を負担するために最適な補剛構造とすることが可能となる。
さらに、補剛筒体20が分割可能であるので、H形鋼10への補剛筒体20の設置時期を自由に設定でき、建築現場での搬入時に既に補剛筒体20をH形鋼10に設置しておく必要がない。よって、工場から建築現場までの移動時に補剛筒体20が変形するおそれが少なく、H形鋼10への補剛筒体20の設置も容易となる。さらに、既存建築物のブレース材であるH形鋼10に補剛筒体20を設置することもでき、耐震補強工事に本実施形態を適用することも可能である。
なお、ボルト23の先端を平板25からH形鋼10側に突出させて、ボルト23の先端面とフランジ11の端部側面との間に隙間S1を設けるように構成してもよい。この場合、各ボルト23をそれぞれ適宜螺合進退させることによって、各隙間S1を独立して微調整することが可能になる。これにより、例えばH形鋼10に曲げや歪みなどが存在する場合であっても、各隙間S1を同一に調整することができる。従って、片当りなどが防止され、座屈を確実に防止することが可能となる
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造について図面を参照して説明する。本実施形態は、上述した第1の実施形態と類似するので、相違点についてのみ説明する。
第1の実施形態では、平板26が第2ピース22の内面に固定されているが、図3に示すように、本実施形態では、平板26がH形鋼10のフランジ11の外側面にそれぞれ溶接によって固定されている。
そして、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、各第1ピース21の折曲部21aが延長されており、この折曲部21aの内面とH形鋼10のフランジ11の外側面に溶接された平板26との間にそれぞれ所定の微小な隙間S2が形成される。このように、第1及び第2の実施形態では共に、H形鋼10の各フランジ11の外側面と補剛筒体20の内面との間に隙間S2が形成されている。
本実施形態は、第1の実施形態と同様の作用効果を有する。なお、H形鋼10のフランジ11の外側面に平板26が溶接されているが、溶接箇所がフランジ11の中央部であるので、溶接によってH形鋼10が熱変形するおそれは非常に少ない。
なお、第1及び第2の実施形態では、H形鋼10を補剛する場合について説明した。しかし、補剛の対象となる部材はH形鋼10ではなく、I形鋼であってもよい。また、補剛されるH形鋼10やI形鋼は、圧延で成形されたものではなく、3枚の鋼板を溶接で組立(ビルトアップ)したものや、ウェブ12がトラス材であるものであってもよい。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造について図面を参照して説明する。本実施形態は、本実施形態は、図4に示すように、溝形鋼40の圧縮座屈耐力を補剛するための構造である。
溝形鋼40は、対向する一対のフランジ(対向部材)41及びこれらフランジ41の端部同士を連結するウェブ(連結部材)42から構成された形鋼である。溝形鋼40は、長手方向に亘ってコの字状の同一断面を有している。
本実施形態における補剛筒体20は、上述した第1の実施形態における補剛筒体20と同じ構成であるので、説明は省略する。
溝形鋼40の各フランジ41の端部側面と平板25との間にそれぞれ隙間S1が形成される。ここで、各フランジ41の一方の端部側面(図4における上側の端部側面)は、溝形鋼40の角部となっており、この角部と平板25との間にそれぞれ隙間S1が形成される。
そして、溝形鋼40の各フランジ41の外側面と平板26との間にそれぞれ隙間S2が形成される。平板26の存在によって溝形鋼40と補剛筒体20との位置関係が一定の範囲内に維持される。
このように溝形鋼40と平板25,26との間には、所定の隙間S1,S2が形成されており、溝形鋼40と平板25,26とは通常当接しない。
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、溝形鋼40の各フランジ41の両端部側面に対してそれぞれ隙間S1を隔てて平板25が位置するため、溝形鋼40の弱軸方向に隙間S1を超える撓みが生じないので、十分な圧縮座屈耐力を有するように溝形鋼40を補剛することができる。
本発明の撓み抑制部材に相当する平板25であるナットは、平板状であるので、溝形鋼40と補剛筒体20との位置関係が多少ずれてもフランジ41の端部側面と対向した位置に存在する。これにより、溝形鋼40の弱軸方向への隙間S1を超える撓みを平板25によって確実に防止することができる。
さらに、補剛筒体20に平板25,26を溶接するので、溝形鋼40が熱変形するおそれがない。さらに、既存建築物の溝形鋼40を補剛する場合、現場で溶接する必要がない。
溝形鋼40と補剛筒体20とは平板25,26を介してのみ当接し、補剛筒体20は溝形鋼40と平板25,26の摩擦力によって伝達される軸力以外の軸力は負担しない。よって、平板25,26が受ける応力はほぼ溝形鋼40が当接することで生じる圧縮力のみであるので、平板25,26を突き合せ溶接のような剛強な接合で固定する必要はなく、隅肉溶接や点付け溶接で固定すればよい。
なお、本実施形態では、溝形鋼40を補剛する場合について説明した。しかし、補剛の対象となる部材は溝形鋼40ではなく、長手方向に亘ってZ字状の同一断面を有するZ形鋼であってもよい。なお、補剛される溝形鋼40は、圧延で成形されたものではなく、3枚の鋼板を溶接で組立(ビルトアップ)したものであってもよい。
また、第2の実施形態のように、溝形鋼40のフランジ41の外側面に平板26を溶接してもよい。ただし、溶接によってフランジ41が熱変形するおそれがある。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る圧縮座屈補剛構造について図面を参照して説明する。本実施形態は、本実施形態は、図5に示すように、角形鋼管50の圧縮座屈耐力を補剛するための構造である。
角形鋼管50は、対向する一対の短辺部材(フランジ)51及びこれらフランジ51の端部同士を連結する2本の長辺部材(ウェブ)52から構成される鋼材である。角形鋼管50は、長手方向に亘って矩形状の同一断面を有している。
一般的に角形鋼管には、冷間ロール成形や冷間プレス成形などで形成される継目無角形鋼管と、4枚の鋼板をボックス状に溶接して形成された組立溶接角形鋼管(ビルドボックス)とがある。継目無角形鋼管は、全周に亘って同一厚さであり、各角部は丸みを帯びている。組立溶接角形鋼管は、厚さの相違する鋼板を溶接することもでき、角部が溶接部となる。ここでは、角形鋼管50は、継目無角形鋼管であるが、組立溶接角形鋼管であってもよい。
本実施形態における補剛筒体20は、上述した第1の実施形態における補剛筒体20と同じ構成であるので、説明は省略する。
角形鋼管50の各短辺部材51の両端部側面と平板25との間にそれぞれ隙間S1が形成される。ここで、各短辺部材51の両端部側面は、角形鋼管50の角部となっており、この角部と平板25との間にそれぞれ隙間S1が形成される。
そして、角形鋼管50の各短辺部材51の外側面と平板26との間にそれぞれ隙間S2が形成される。平板26の存在によって角形鋼管50と補剛筒体20との位置関係が一定の範囲内に維持される。
このように角形鋼管50と平板25,26との間には、所定の隙間S1,S2が形成されており、角形鋼管50と平板25,26とは通常当接しない。
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、角形鋼管50の各短辺部材51の両端部側面に対してそれぞれ隙間S1を隔てて平板25が位置するため、角形鋼管50の弱軸方向に隙間S1を超える撓みが生じないので、十分な圧縮座屈耐力を有するように角形鋼管50を補剛することができる。
なお、短辺部材51の離間距離は連結部材52の離間距離より長く、角形鋼管50における弱軸方向は、短辺部材51の離間方向である。ただし、短辺部材51の離間距離と長辺部材52の離間距離とは同じであってもよい。
本発明の撓み抑制部材に相当する平板25であるナットは、平板状であるので、角形鋼管50と補剛筒体20との位置関係が多少ずれても短辺部材51の端部側面と対向した位置に存在する。これにより、角形鋼管50の弱軸方向への隙間S1を超える撓みを平板25によって確実に防止することができる。
さらに、補剛筒体20に平板25,26を溶接するので、角形鋼管50が熱変形するおそれがない。そして、角形鋼管50が無継目角形鋼管である場合、角形鋼管50の角部は丸みを帯びており、この角部に平板25を溶接することは困難である。また、角形鋼管50が組立溶接鋼管である場合、角形鋼管50の角部は溶接部であり、この溶接部に再度平板25を溶接することになる。さらに、既存建築物の角形鋼管50を補剛する場合、現場で溶接する必要がない。
角形鋼管50と補剛筒体20とは平板25,26を介してのみ当接し、補剛筒体20は角形鋼管50と平板25,26の摩擦力によって伝達される軸力以外の軸力は負担しない。よって、平板25,26が受ける応力はほぼ角形鋼管50が当接することで生じる圧縮力のみであるので、平板25,26を突き合せ溶接のような剛強な接合で固定する必要はなく、隅肉溶接や点付け溶接で固定すればよい。
また、第2の実施形態のように、角形鋼管50の短辺部材51の外側面に平板26を溶接してもよい。溶接によって短辺部材51が熱変形するおそれは少ない。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、平板25は、本発明における撓み抑制部材に相当すると共に、ボルト23の受け材でもあり、2つの機能を有している場合について説明した。しかし、これら機能を異なる部材で奏するように構成してもよい。ただし、この場合には、部材数が増加する。
また、第2ピース22の内面又はH形鋼10、溝形鋼40、角形鋼管50のフランジ11、41、51の外側面に固定した平板26によって、隙間S2を形成する場合について説明した。しかし、隙間S2を形成する構成はこれに限定されず、例えば、ボルトによって隙間S2を形成してもよい。この場合、例えばH形鋼10、溝形鋼40、角形鋼管50に曲げや歪みなどが存在する場合であっても、各隙間S2を同一にすることができる。
また、ボルト23とロックナット24を用いてピース21,22を結合して補剛筒体20を構成する場合について説明した。しかし、ピース21,22を結合する方法はこれに限定されず、例えば、溶接で接合してもよく、また、炭素繊維などを外周から巻き付けて結合してもよい。
10…H形鋼(鋼材)、 11,41…フランジ(対向部材)、 12,42…ウェブ(連結部材)、 20…補剛筒体、 21…第1ピース(分割ピース)、 22…第2ピース(分割ピース)、 23…ボルト(撓み抑制部材)、 24…ロックナット、 25…平板(撓み抑制部材)、 25a…螺子穴、 26…平板、 40…溝形鋼(鋼材)、 50…角形鋼管(鋼材)、 51…短辺部材(対向部材)、 52…長辺部材(連結部材)。

Claims (2)

  1. 対向する一対の平板状の対向部材と該対向部材を連結する連結部材とからなり、長手方向に亘って同一断面の鋼材の圧縮座屈補剛構造であって、
    前記鋼材の外周を前記鋼材の長手方向に亘って囲う補剛筒体と、
    前記鋼材の各対向部材の両端部側面に対してそれぞれ隙間を隔てて位置し、前記補剛筒体の長手方向に間隔をおいて前記補剛筒体の内面に固定された撓み抑制部材とを備え
    前記補剛筒体は周方向に分割された複数の分割ピースからなり、
    前記撓み抑制部材は、螺子穴が形成された平板体であり、前記螺子穴にボルトを螺合させることで前記複数の分割ピースを結合して、前記補剛筒体を形成することを特徴とする圧縮座屈補剛構造。
  2. 前記鋼材の各対向部材の外側面と前記補剛筒体の内面との間に隙間が形成されるように、前記補剛筒体の長手方向に間隔をおいて前記各対向部材の外側面又は前記補剛筒体の内面に固定された平板を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧縮座屈補剛構造。
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