JP5912606B2 - 履物底の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性繊維によるコロナ放電を利用した静電気除去機能を有する履物底の製造方法に関するものである。
従来、履物底と地面とが強く擦れることによって生じた静電気を中和させることを目的とする履物等が提案されている。例えば、履物の底に静電防止材を設けた履物であって、静電防止材は起毛のある導電性不織布であり、且つ起毛の繊維径が数μmから数十μmであり、起毛のある導電性不織布は、接地面側に起毛が存在するように設けられたものが公知である(特許文献1参照)。
特許第4840836号公報
特許文献1に係る発明では、静電気除去材は導電性繊維を織成し予め起毛させた導電性織布等からなる。よって、これを履物底に固定する為には、固定手段として両面テープや接着剤、縫製等の手段を用い、少なくとも導電性織布等の周囲全てを履物底に固定しなければならない。このため、履物底に導電性織布等を取り付ける工程を要するという問題がある。特に、履物底に滑り止め用の凹凸がある場合は、凹凸に合わせて導電性織布等をカットして取り付ける必要があり、取付工程が更に煩雑なものとなる虞がある。
そして、導電性織布等の起毛は地面と擦れると摩滅や脱落が生じやすく、導電性繊維の起毛の摩滅や脱落により導電性繊維が失われると、静電気除去材の静電気除去機能が失われる。さらに、静電気除去材は両面テープや接着剤、縫製等の固定手段のみにより履物底に固定されている為、導電性繊維自体が剥がれ落ちてしまう虞がある。このため、特許文献1に係る構造における履物用の静電気除去材は、長期間に渡って静電気除去機能を維持することができず、履物としての実用性が欠如する問題がある。
そこで、導電性繊維によるコロナ放電を利用した静電気除去機能を有する履物底の製造方法に係るものであって、特に耐久性を有し長期間に渡って静電気除去機能を維持することができる履物底の製造方法を提供することを課題とする。
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の履物底の製造方法は、架橋剤を添加したゴム組成物及び導電性繊維を備えてなる導電層と、該導電層上に形成される絶縁層とを、金型内で加熱加圧により一体とする加圧加熱工程と、前記導電層の底面を研磨して、前記導電性繊維の毛羽を、履物底の接地面側に露出させる研磨工程とを備えることを特徴とする履物底の製造方法である。
また、本発明の請求項2に記載の履物底の製造方法は、上記請求項1の構成を前提として、加圧加熱工程は、導電性繊維を金型内に載置し、架橋剤を添加したゴム組成物を金型内の前記導電性繊維上に充填し、前記導電性繊維における繊維同士の間隙に前記ゴム組成物を介在させた状態で、加圧加熱により導電層上に絶縁層を一体として形成する工程とし、研磨工程は、前記導電層における導電性不織布の毛羽を履物底の接地面側に露出させる工程であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項3に記載の履物底の製造方法は、上記請求項1の構成を前提として、加圧加熱工程は、導電性繊維とゴム組成物を混在させた導電層となる導電性成型物を金型内に載置し、絶縁層を金型内の前記導電性成型物上に充填し、前記導電性繊維の間隙に前記ゴム組成物を介在させた状態で、加圧加熱により導電性成型物と絶縁層を一体に形成する工程とし、研磨工程は、前記導電性成型物における導電性繊維の毛羽を履物底の接地面側に露出させる工程であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項4に記載の履物底の製造方法は、上記請求項1、2又は3の構成を前提として、導電性繊維は導電性不織布として構成したことを特徴とするものである。
また、本発明の請求項5に記載の履物底の製造方法は、上記請求項1、2又は3の構成を前提として、導電性繊維は導電性綿として構成したことを特徴とするものである。ここで導電性綿とは、導電性不織布の原料となる綿状の導電性繊維である。
また、本発明の請求項6に記載の履物底の製造方法は、請求項1、2、3、4又は5記載の構成を前提として、導電性繊維は、カーボン含有型有機導電性繊維、金属化合物被覆型有機導電性繊維又は金属化合物含有型有機導電性繊維のいずれかからなることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項7に記載の履物底の製造方法は、請求項4記載の発明を前提として、導電性繊維が、硫化銅を繊維表面に被覆させてなることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項8に記載の履物底の製造方法は、請求項4又は7記載の発明を前提として、架橋剤が過酸化物架橋剤であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項9に記載の履物底の製造方法は、請求項4、7又は8記載の発明を前提として、導電性不織布が、導電性繊維を合成繊維と交絡したことを特徴とするものである。
本発明の製造方法によって製造される履物底では、歩行時に靴底と地面との摩擦によって生じる静電気を人体と絶縁するとともに、導電層(静電気除去部)からコロナ放電により除去することができる。そして、導電層は、導電性繊維の間隙、すなわち繊維同士の間隙にゴム組成物が介在された構成となり、底部と一体に成形されるので、導電性繊維のみが底部から剥がれ落ちることもなく耐久性に優れたものとなる。
本発明の実施例1における履物底の製造工程の断面説明図であり、(a)履物底の金型のみの状態を示す断面説明図、(b)履物底の金型内に導電性不織布を載置した状態を示す断面説明図及びその一部拡大図、(c)履物底の金型内の導電性不織布上にゴム組成物を充填した状態を示す断面説明図及びその一部拡大図である。 本発明の実施例1における履物底の製造工程の説明図とその一部拡大図であり、(a)金型から取り出した履物底を示す断面図及びその一部拡大図、(b)研磨工程により研磨した状態の履物底を示す断面図及びその一部拡大図である。 本発明の実施例における履物底(紳士靴の履物底)の正面図である。 本発明の実施例2における履物底の製造工程の断面説明図であり、(a)履物底の金型のみの状態を示す断面説明図、(b)履物底の金型内に導電性成型物を載置した状態を示す断面説明図及びその一部拡大図、(c)履物底の金型内の導電性成型物上にゴム組成物を充填した状態を示す断面説明図である。 本発明の実施例2における履物底の製造工程の説明断面図とその一部拡大図であり、(a)金型から取り出した履物底を示す断面図及びその一部拡大図、(b)研磨工程により研磨した状態の履物底を示す断面図及びその一部拡大図である。 本発明に係る製造方法により製造された他の履物底(婦人靴の履物底)の正面図である。 本発明に係る製造方法により製造された他の履物底(婦人靴の履物底)の正面図である。
以下、本発明の実施例における履物底の製造方法及びその製造方法によって製造される履物底を図面に基づいて説明する。
本発明の実施例に係る履物底の製造方法によって製造される履物底1の正面図を図3に示す。履物底1は、静電気除去機能を有する導電層2aである静電気除去部2と絶縁層3aを形成するゴム組成物からなる底部3とから構成される。
静電気除去部2は、導電性繊維からなる導電性不織布4と底部3を形成するゴム組成物の一部とから形成される。
導電性繊維には、金属繊維(例えば、商品名:ホワイトベルトロン(登録商標:KBセーレン株式会社製)、やカーボン繊維、カーボンの導電層が繊維を軸方向に連続した繊維(例えば、商品名:クラカーボ(登録商標:株式会社クラレ製)、商品名:ルアナ(登録商標:東レ株式会社製)、カーボンの導電層が繊維軸方向に連続し、かつ繊維表面に露出した繊維(例えば、商品名:ベルトロン(登録商標:KBセーレン株式会社製)、商品名:セルカット(帝人株式会社製)、商品名:メガ(登録商標:ユニチカ株式会社製)、メガーナ(登録商標:ユニチカ株式会社製)、(メタリアン(登録商標)帝人ファイバー株式会社製)等のカーボン含有型有機導電性繊維、アクリル繊維の表面に硫化銅を被覆した繊維(商品名:サンダーロン(登録商標:日本蚕毛染色株式会社製))、ポリエステル繊維の表面にヨウ化銅を被覆した繊維(商品名:T25(帝人株式会社))等の金属化合物被覆型有機導電性繊維等を採用することができる。
また、静電気除去部2においては、導電性繊維と他の繊維等を含有する導電性不織布4と底部3を形成するゴム組成物の一部とから形成してもよい。この場合の導電性不織布4に使用される導電性繊維は上述の通りであり、他の繊維等は例えば合成繊維等で形成される。合成繊維等を採用することで、繊維同士の間隙にゴム組成物を介在させる為の間隙を導電性繊維のみからなる導電性不織布4よりも十分に確保することができる。これにより、導電性不織布4とゴム組成物との結合力をさらに向上させることができる。
少なくとも導電性繊維を含有する導電性不織布は、例えば、アクリル繊維の表面に硫化銅を被覆した繊維(商品名:サンダーロン(登録商標)、日本蚕毛染色株式会社製)等の被覆型有機導電性繊維とポリエステル系等の合成繊維をニードルパンチ等で交絡させることで形成される。目付60gの重量%に対して、サンダーロン(登録商標)が40%〜60%、ポリエステル綿が60%〜40%であることが安価で十分な導電性の確保を図る観点から望ましい。
また、コロナ放電は電荷が集中する電極の先端が細いほうが望ましい。このため、導電性繊維の繊維径は80μm以下とした。
ゴム組成物は、天然ゴム(NR)又は合成ゴム、天然ゴム及び合成ゴムの共重合体や混合ゴムから選ばれる少なくとも1種以上の何れでもよく、ゴム組成物の使用用途別に好適なゴム成分を用いることができる。例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(Q)、アクリルゴム(ACM)、ポリブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム及びこれらを混合した合成ゴム、または、これらの合成ゴムと天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)との混合ゴム等が適用可能である。
また、ゴム組成物には、ゴムの弾性や強度を確保するために加えられるゴム用架橋剤として一般的な硫黄、過酸化物架橋を促進させる有機過酸化物が混練によって添加されている。有機過酸化物としては、アルキル系パーオキサイドやアシル系パーオキサイドがあるが、中でもDCP(ジクミルパーオキサイド)、1.1−ジ−t−ブチルパーオキシ−シクロヘキサンやジ−t−ブチルパーオキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン等を使用することが望ましい。
また、導電性繊維について、表面に硫化銅を被覆した繊維、例えばサンダーロン(登録商標)にあっては、硫黄の化学反応により導電性の効果を損なわないよう、加硫による架橋に代えて、過酸化物架橋を行うことが望ましい。
(製造方法の実施例1)
次に、履物底1の製造方法の実施例1について、図1及び図2に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明の実施例における履物底1を製造工程の説明図である。
図1(a)に示すように、履物底1を成形する金型Kは、底形成部5と凹部状の段部6とを備えてなる。底形成部5は、平面視足型状輪郭に形成される。段部6は、底形成部5から下方に段差を設けて、平面視円形状、楕円形状、三角形状、四角形状等の輪郭に形成される。段部6の形状、配置位置及び配置数は、履物底1における底部3のデザインにあわせて適宜設計変更が可能である。一般的に、歩行は足裏の前側(爪先側)に荷重がかかることから、配置位置については底部3の前側に設けることが望ましい。本実施例においては、図3に示すように、底部の中央から爪先までの全体に形成される。
まず、図1(b)に示すように、段部6と同形状に形成された導電性不織布4を金型Kの段部6に設置する。これにより、導電性不織布4は、底形成部5の所定位置に位置決めされる。
次に、図1(c)に示すように、金型Kの底形成部5及び導電性不織布4上にゴム組成物を充填し、熱プレス成形を行う。尚、ゴム組成物には、上記履物底の実施例で示した過酸化物架橋を促進させる有機過酸化物が混練によって添加されている。
図2(a)に示すように、成形後における履物底1の静電気除去部2は、底部3の接地面側において、導電性不織布4内部の間隙、すなわち導電性繊維同士の間隙、又は導電性繊維と合成繊維等の間隙にゴム組成物が介在された状態となる。そして、接地面側にはゴム組成物が導電性繊維を被覆する底膜部30を形成するため、この工程においては、必ずしも底部3の接地面側に導電性繊維が露出した状態とはならない。
次に、導電性の効果を向上させる為に、このように成形された静電気除去部2に対して研磨工程を行う。研磨工程を行うことにより、静電気除去部2における表面の底膜部30を研磨するとともに、当該導電性繊維を切断する。尚、研磨面位置を示すラインLを図2(a)に示す。
当該研磨工程により、図2(b)に示すように、底膜部30が除去されるとともに、履物底1における接地面側に導電性不織布4の多数の毛羽Nを露出させることができる。毛羽Nの方向性は不規則であり、露出した状態でゴム組成物と入り混じった状態となる。
このようにして形成される静電気除去部2を有した履物底1は、履物底1の接地面が磨耗して導電性不織布4の毛羽Nが摩滅しても、静電気除去部2に含有される他の新たな導電性不織布4の毛羽Nが次々と露出してきてコロナ放電を生じさせる。また、導電性不織布4における当該繊維の間隙には、ゴム組成物が充填されているので、更には、導電性不織布4のみが底部3から剥がれ落ちることもなく、耐久性にも優れたものとなる。
(製造方法の実施例2)
次に、履物底の製造方法の実施例2について、図4及び図5に基づいて説明する。図4及び図5は、本発明の実施例2における履物底1を製造工程の説明図である。
図4(a)に示すように、履物底1を成形する金型Kは、実施例1と同一構造のものを使用することができる。即ち、底形成部5と凹部状の段部6とを備えてなる。底形成部5は、平面視足型状輪郭に形成される。段部6は、底形成部5から下方に段差を設けて、平面視円形状、楕円形状、三角形状、四角形状等輪郭に形成される。
本実施例2においては予めゴム組成物中に多数の導電性繊維を混在させた成型物(以下、導電性成型物という。)を用いる。この導電性成型物に用いる導電性繊維は、例えば、繊維自体を糸屑状にしたものや導電性不織布や導電性綿をそのまま或いは適宜切断したもの等、任意の形態としてゴム組成物内に分散させることができる。
本実施例2においては、先ず、図4(b)に示すように、段部6と略同形状に形成された導電性成型物7を金型Kの段部6に設置する。これにより、導電性成型物7は、底形成部5の所定位置に位置決めされる。尚、図4(b)では導電性成型物7が段部6に対して嵌合する状態を示しているが、場合によっては、これに限らず、段部6の周囲に隙間が生じるように載置される構成とすることもできる。
次に、図4(c)に示すように、金型Kの底形成部5及び導電性成型物7上にゴム組成物8を充填し、熱プレス成形を行う。
ゴム組成物8は、導電性成型物7に用いたゴム組成物と同一材料を使用することが最適であるが、近似する性質を有する材料を含め、相溶性がある材料であれば好適である。ゴム組成物8と導電性成型物7が相溶することで、地面と履物底との間で発生した静電気は人体に対して絶縁できるとともに、履物底として十分な強度が確保できる。
図5(a)に示すように、本実施例2においても実施例1と同様に、成形後における履物底1の静電気除去部2は、底部3(導電性成型物7の底部となる)の接地面側において、導電性成型物7の内部に分散された導電性繊維同士の間隙にゴム組成物が介在された状態となる。そして、接地面側にはゴム組成物が導電性繊維を被覆する底膜部30を形成するため、この工程においては、必ずしも底部3の接地面側に導電性繊維が露出した状態とはならない。
次に、導電性の効果を向上させる為に、このように成形された静電気除去部2に対して研磨工程を行う。研磨工程を行うことにより、静電気除去部2における表面の底膜部30を研磨するとともに、当該導電性繊維を切断する。
当該研磨工程により、図5(b)に示すように、底膜部30が除去されるとともに、導電性成型物7内に分散された導電性不織布4若しくは導電性綿の多数の毛羽Nを履物底1における接地面側に露出させることができる。毛羽Nの方向性は不規則であり、露出した状態でゴム組成物と入り混じった状態となる。
以上のように、本実施例2に係る履物底の製造方法によって形成される静電気除去部2を有した履物底1においても、履物底1の接地面が磨耗して導電性不織布若しくは導電性綿の毛羽Nが摩滅しても、静電気除去部2に含有される他の新たな導電性不織布若しくは導電性綿における繊維の毛羽Nが次々と露出してきてコロナ放電を生じさせる。また、導電性成型物7における当該繊維の間隙には、ゴム組成物が充填されているから、導電性繊維のみが底部3から剥がれ落ちることもなく、耐久性にも優れたものとなる。
ここで、上記実施例に係る履物底の製造方法によって製造される履物底1を用いて、JIS L 1021−16に基づくストロール法での歩行試験を行った際の試験結果を表1に示す。
試験体においては、一般的なゴム底の紳士靴を試験体A(ブランクテスト用)とし、カーボンの導電層が繊維軸方向に連続した繊維(商品名:クラカーボ(登録商標)、株式会社クラレ製)からなる導電性綿を用いて形成した履物底の紳士靴を試験体Bとし、目付60g中、アクリル繊維の表面に硫化銅を被覆した繊維(商品名:サンダーロン(登録商標)、日本蚕毛染色株式会社製)を60重量%、ポリエステル綿を40重量%として交絡させた導電性不織布を用いて形成した履物底の紳士靴を試験体Cとして試験を行った。尚、試験体B及び試験体Cのゴム底は、いずれも過酸化物架橋剤による架橋を行うものとした。
試験結果を表1に示す。
尚、上記試験は、日本国内での想定される使用条件と比べ過酷な条件となる温度20℃、湿度20%の使用条件で実施した。人体帯電圧は、一般的に静電気放電ショックを感じるとされる−3000Vを基準とする。床面側が正極性に帯電し、紳士靴及び人体側は負極性に帯電する。以下の表1の数値は、人体帯電圧である。
Figure 0005912606
これにより、試験体Cは人体帯電圧が−2200Vであり、上記基準値に対する顕著な有効性が認められた。
また、試験体Bにおいては人体帯電圧が−3200Vであり、上記基準値を僅かに上回る結果となった。しかしながら、上記試験は温湿度環境において過酷な数値設定を行っていることから、規定数値での試験では上記基準値に対する有効性が認められると判断できる。
また、試験体として、上記試験で良好であった試験体C、即ち、目付60g中、アクリル繊維の表面に硫化銅を被覆した繊維(商品名:サンダーロン(登録商標)、日本蚕毛染色株式会社製)を60重量%、ポリエステル綿を40重量%として交絡させた導電性不織布を用いて形成した履物底として、婦人用靴の裏面に表面積の異なる試験体を用い、上記試験と同様の条件において、人体帯電圧を測定した。試験体Dは一般的なゴム底の婦人靴(ブランクテスト用)であり、試験体Eは静電気除去部2を約25cm程度とし、着用時に体重がかかりやすい位置に当該静電気除去部2を配置した構成のもの(図6参照。)、試験体Fは静電気除去部2が底部3の前方側を広く覆う約65cm程度としたもの(図7参照。)である。尚、試験体D及び試験体Eのゴム底は、いずれも過酸化物架橋剤による架橋を行うものとした。
試験結果を以下の表2に示す。
Figure 0005912606
これにより、試験体Fは人体帯電圧が−2400Vであり、上記基準値に対する顕著な有効性が認められた。
また、試験体Eにおいては人体帯電圧が−3300Vであり、上記基準値を僅かに上回る結果となった。しかしながら、上記試験は温湿度環境において過酷な数値設定を行っていることから、規定数値での試験では上記基準値に対する有効性が認められると判断できる。
このため、目付60g中、アクリル繊維の表面に硫化銅を被覆した繊維(商品名:サンダーロン(登録商標)、日本蚕毛染色株式会社製)を60重量%、ポリエステル綿を40重量%として交絡させた導電性不織布を用いた場合、概ね25cm程度の静電気除去部2を確保することで、静電気除去機能の有効性が認められることが明らかとなった。
次に、本発明の実施例により製造された履物底と、先行技術として開示した特許文献1に相当する公知の履物底について、磨耗試験を行った。磨耗試験は、JIS K 6264−2:2005に準拠し、研磨布はAA−240とした。
また、耐摩耗性の判定基準は、一般財団法人化学物質評価研究機構はきもの標準品質規格による。即ち、ゴム・EVA底の場合、磨耗量が1.86×10mm/MJ(若しくは670cm/kW・h)以下、ウレタン・塩化ビニル底の場合、磨耗量が1.11×10mm/MJ(若しくは400cm/kW・h)以下であることを、耐摩耗性を具備する基準とする。
本発明の一実施例を示す試験体として、目付60g中、アクリル繊維の表面に硫化銅を被覆した繊維(商品名:サンダーロン(登録商標)、日本蚕毛染色株式会社製)を60重量%、ポリエステル綿を40重量%として交絡させた導電性不織布を用いて形成した履物底を、試験体Gとした。
また、特許文献1の構成に対応する公知技術を示す試験体として、アクリル繊維の表面に硫化銅を被覆した繊維(商品名:サンダーロン(登録商標)、日本蚕毛染色株式会社製)100%の不織布シートを直接底面に接着固定した履物底を、試験体Hとした。
以上に示した試験方法により得られた結果を、以下表3に示す。
Figure 0005912606
以上から、本発明の実施例である試験体Gは、上記耐摩耗性の基準値を十分にクリアすることができ、公知の試験体Hでは決して実現できない、導電性繊維によるコロナ放電を利用した静電気除去機能を有する履物底として、十分な耐摩耗性を発揮することが明らかとなった。
以上から明らかなように、本発明に係る履物底の製造方法によって製造される履物底1によれば、歩行時に生じる静電気をコロナ放電により除去することができ、且つ、静電気除去部2内部の導電性繊維同士の間隙、若しくは、導電性繊維と合成繊維等の間隙にゴム組成物が介在された状態となり、底部3と一体に成形されるので、導電性繊維のみが底部3から剥がれ落ちることもなく耐久性に優れたものとなる。
1 履物底
2 静電気除去部
3 底部
30 底膜部
4 導電性不織布
5 底形成部
6 段部
7 導電性成型物
8 ゴム組成物
K 金型
N 毛羽

Claims (9)

  1. 架橋剤を添加したゴム組成物及び導電性繊維を備えてなる導電層と、該導電層上に形成される絶縁層とを、金型内で加熱加圧により一体とする加圧加熱工程と、
    前記導電層の底面を研磨して、前記導電性繊維の毛羽を、履物底の接地面側に露出させる研磨工程とを備えることを特徴とする履物底の製造方法。
  2. 加圧加熱工程は、導電性繊維を金型内に載置し、架橋剤を添加したゴム組成物を金型内の前記導電性繊維上に充填し、前記導電性繊維における繊維同士の間隙に前記ゴム組成物を介在させた状態で、加圧加熱により導電層上に絶縁層を一体として形成する工程とし、
    研磨工程は、前記導電層における導電性不織布の毛羽を履物底の接地面側に露出させる工程であることを特徴とする請求項1記載の履物底の製造方法。
  3. 加圧加熱工程は、導電性繊維とゴム組成物を混在させた導電層となる導電性成型物を金型内に載置し、絶縁層を金型内の前記導電性成型物上に充填し、前記導電性繊維の間隙に前記ゴム組成物を介在させた状態で、加圧加熱により導電性成型物と絶縁層を一体に形成する工程とし、
    研磨工程は、前記導電性成型物における導電性繊維の毛羽を履物底の接地面側に露出させる工程であることを特徴とする請求項1記載の履物底の製造方法。
  4. 導電性繊維は導電性不織布として構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の履物底の製造方法。
  5. 導電性繊維は導電性綿として構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の履物底の製造方法。
  6. 導電性繊維は、カーボン含有型有機導電性繊維、金属化合物被覆型有機導電性繊維又は金属化合物含有型有機導電性繊維のいずれかからなる請求項1、2、3、4又は5記載の履物底の製造方法。
  7. 導電性繊維が、硫化銅を繊維表面に被覆させてなることを特徴とする請求項4記載の履物底の製造方法。
  8. 架橋剤が過酸化物架橋剤であることを特徴とする請求項4又は7記載の履物底の製造方法。
  9. 導電性不織布が、導電性繊維を合成繊維と交絡したものであることを特徴とする請求項4、7又は8記載の履物底の製造方法。
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