JP5912601B2 - アルミニウム複合粒子の製造方法及びアルミニウム複合粒子 - Google Patents

アルミニウム複合粒子の製造方法及びアルミニウム複合粒子 Download PDF

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本発明は、アルミニウム複合粒子の製造方法及びアルミニウム複合粒子に関する。
紙の白色度、不透明度、印刷適性などを改善するために、紙には様々な填料が内添される。このような填料の紙への内添は、パルプスラリーに填料スラリーを添加することによって行うのが一般的である。この際、不透明度等の紙の品質向上のために填料添加量を増加させても、填料添加における機能向上効果が頭打ちになり、更に引っ張り強度や引裂き強度等の紙力低下問題を引き起こすと共に、過剰な填料は紙中に残留しにくくなり、填料の歩留まりが低下する。
そこで、抄紙の際に填料を紙中に留まらせる各種方法が提案されている。例えば、歩留向上剤として、パルプスラリーに高分子物質を添加する方法がある。この高分子物質としては、カチオン化澱粉等の天然高分子誘導体や、ポリエチレンイミン等の合成高分子物質が挙げられる。また、填料の水分散液(スラリー)中において、填料を凝集剤で予め凝集させ、この水分散液をパルプスラリーに添加し、抄紙する方法が提案されている。この填料の予備凝集の具体的方法としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドをモノマーとするカチオン性高分子化合物を用い、混合後の抄紙用填料の平均粒子径を混合前の1.0〜2.0倍とする方法が提案されている(特許第4324073号公報参照)。
しかしながら、上述のように填料の平均粒子径を大きくする方法のみでは、填料の歩留りの向上に限界があり、歩留りの向上には更なる改善の余地がある。また、粒子径を単純に大きくした場合、填料が有する不透明度向上効果が阻害されてしまう。
一方、製紙工場の各種工程から排出される製紙スラッジ中の無機物を、いわゆる再生粒子として、製紙用填料等に再利用することは、製紙業界において環境問題に関わる重要な課題となっている。このような再生粒子を製造する方法としては、製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程をこの順に経るものが一般的である。このような工程を経る再生粒子の製造方法においては、熱処理工程における過燃焼等の影響により、炭酸カルシウムが分解して酸化カルシウムに変化し、この酸化カルシウムが水中でさらに水酸化カルシウムに変化すること等によって、スラリー中にカルシウムイオンと水酸化イオンが多量に存在する。あるいは、製紙スラッジ中の炭酸カルシウムや珪酸アルミニウムが反応し、アルミン酸カルシウム等の水和硬化性物質を生成する。そのため、これらの要因により再生粒子を填料として用いた際に填料スラリーの粘度が上昇し、作業性が低下するという不都合が生じる。
また填料として再生粒子を用いた場合、上述のように凝集剤で予め凝集すると、再生粒子の凝集と相まって填料スラリーの粘度が上昇するため、作業性が低下したり、所望以上の再生粒子の凝集が生じたりする等の不都合が生じる。一方で、増粘を抑えるために添加する凝集剤の量を低下させると適度に凝集された再生粒子(填料)を得ることができず、填料の歩留りの向上効果が得られない。
特許第4324073号公報
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、スラリーの増粘を抑えつつ、填料として紙へ添加した際の歩留りが高く、かつ紙の白色度等を向上させることができる再生粒子を用いたアルミニウム複合粒子の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
再生粒子に酸化アルミニウムを複合する複合工程を有するアルミニウム複合粒子の製造方法である。
当該製造方法によれば、再生粒子に酸化アルミニウムを複合することによって、高い白色度、不透明度及び吸油量を有するアルミニウム複合粒子を得ることができる。また、当該アルミニウム複合粒子は、再生粒子の表面がカチオン性の酸化アルミニウムで覆われ、アニオン性のパルプ原料に対し自己定着性を有するため、パルプ原料に添加した際に均一に分散しやすい。また、再生粒子の表面に酸化アルミニウムを複合させることで、スラリーを増粘させることなく、粒径が十分大きく、かつシャープな粒度分布を有する粒子を得ることができる。従って、当該製造方法によれば、スラリーの増粘を抑えつつ、填料として紙へ添加した際の歩留りが高く、かつ紙の白色度、不透明度、吸油量等を向上させることができるアルミニウム複合粒子を得ることができる。
上記複合工程で、アルミニウム塩を再生粒子のスラリーに添加するとよい。このようにアルミニウム塩を再生粒子スラリーに添加することによって、より均一に酸化アルミニウムを再生粒子の表面に付着させることができ、当該アルミニウム複合粒子の歩留り、白色度等をさらに向上させることができる。
上記アルミニウム塩がアルミン酸ソーダであるとよい。このようにアルミニウム塩としてアルミン酸ソーダを用いることによって、このアルミン酸ソーダを鉱酸で中和することにより効率よく再生粒子の表面に酸化アルミニウムを付着させることができる。
上記製造方法により得られるアルミニウム複合粒子は、パルプ原料に添加した際の歩留りが高く、かつ高い白色度、不透明度及び吸油量を有する。
また、上記課題を解決するためになされた発明は、
再生粒子とこれに複合される酸化アルミニウムとを有し、
アルミニウム含有率が15質量%以上40質量%以下であるアルミニウム複合粒子である。
当該アルミニウム複合粒子は、再生粒子に酸化アルミニウムが複合されており、アルミニウム含有率が上記範囲であることによって、高い白色度、不透明度及び吸油量を有し、さらに、再生粒子の表面がカチオン性の酸化アルミニウムで覆われ、アニオン性のパルプ原料に対し自己定着性を有するため、パルプ原料に添加した際に均一に分散しやすい。従って、当該アルミニウム複合粒子は、スラリーの増粘を抑えつつ、紙へ添加した際の歩留りが高く、かつ紙の白色度、不透明度、吸油量等を向上させることができる。
以上説明したとおり、本発明のアルミニウム複合粒子の製造方法によれば、スラリーの増粘を抑えつつ、填料として紙へ添加した際の歩留りが高く、かつ紙の白色度等を向上させることができるアルミニウム複合粒子を得ることができる。
本発明のアルミニウム複合粒子の製造方法の一実施形態に用いられる装置を示す模式的概要図である。
以下、本発明のアルミニウム複合粒子の製造方法及びこの製造方法によって得られるアルミニウム複合粒子について詳説する。
<アルミニウム複合粒子の製造方法>
以下、当該アルミニウム複合粒子の製造方法の一実施形態を説明する。当該アルミニウム複合粒子の製造方法は、再生粒子に酸化アルミニウムを複合する複合工程を有する。
当該アルミニウム複合粒子の製造に用いられる図1の装置は、第一薬品添加槽1、第二薬品添加槽2、及び貯槽3をこの順に備える。
上記複合工程においては、アルミニウム塩及び鉱酸を第一薬品添加槽1及び第二薬品添加槽2において再生粒子X1のスラリーに添加して撹拌することによって、再生粒子X1の表面に酸化アルミニウムを付着させる。この再生粒子スラリーは、例えば、再生粒子X1を水に分散させて調製してもよく、また、再生粒子X1の製造工程で得られる再生粒子含有スラリーをそのまま用いてもよい。この再生粒子X1の好ましい製造方法については、後に詳述する。
当該製造方法で用いる上記アルミニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、アルミン酸ソーダ等を用いることができる。これらの中でも、鉱酸による中和によって効率よく酸化アルミニウムを複合させることができるアルミン酸ソーダが特に好ましい。また、アルミン酸ソーダを用いることで、再生粒子X1が含有する炭酸カルシウムを分解して酸化カルシウムを発生させることがなく、パルプスラリーに添加した際のスラリーの粘度を低減することができる。
本工程は、再生粒子X1にアルミン酸ソーダA及び鉱酸Nを添加することによって酸化アルミニウムを再生粒子X1に複合させる。具体的には、再生粒子X1のスラリーを一定の液温、好ましくは60℃から100℃に加熱して攪拌しながら、密閉容器内で所定の圧力に保持し、アルミン酸ソーダA及び鉱酸Nを添加する。再生粒子スラリーの液温を60℃から100℃の範囲で、より好ましくは80℃付近の極力一定の液温としつつアルミン酸ソーダA及び鉱酸Nを添加することで、鉱酸Nによってアルミン酸ソーダAが中和され、アルミン酸ソーダAが含有する酸化アルミニウムを再生粒子X1の表面に析出させることができる。当該製造方法においては、このように再生粒子X1の表面に酸化アルミニウムを被覆させるため、再生粒子X1が含有する酸化カルシウムが水中で水酸化カルシウムに反応することを抑制して、スラリーの増粘を抑えることができると考えられる。
本工程においては、アルミン酸ソーダAを上記スラリーに添加した後に鉱酸Nを添加することが好ましい。このように先にアルミン酸ソーダAを添加することによって、酸化アルミニウムを再生粒子X1の表面に均質に析出させることができる。
本工程における攪拌時の上記スラリーの温度としては60℃以上100℃以下が好ましい。スラリーの温度が上記範囲未満の場合は、酸化アルミニウムが十分な強度で再生粒子X1と複合されず、抄紙時に酸化アルミニウムが剥離するおそれがある。逆に、スラリーの温度が上記範囲を超える場合は、製造が困難になるほか、再生粒子X1の表面が緻密に酸化アルミニウムで被覆されるため、アルミニウム複合粒子X2の吸油量が低下するおそれがある。
当該製造方法において用いる再生粒子X1の体積平均粒子径としては、1.0μm以上8.0μm以下が好ましい。再生粒子X1の粒子径が上記範囲未満の場合は、酸化アルミニウム複合時に十分な粒度が得られないおそれがある。逆に、再生粒子X1の体積平均粒子径が上記範囲を超える場合は、アルミニウム複合粒子X2の粒子径が大きくなりパルプ繊維間の空隙に入り込めずに添加した紙の不透明度を低下させるおそれがある。なお、この再生粒子X1の体積平均粒子径は、レーザー回折方式の粒度分布計(株式会社島津製作所製、型番:SA−LD−2200)を使用して試料(再生粒子X1)の粒度分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になるときの粒子径(D50)を求め、この粒子径を体積平均粒子径とするものである。
本工程において再生粒子スラリーにおける再生粒子X1の固形分濃度の下限としては、10質量%が好ましく、15質量%がさらに好ましい。一方、再生粒子X1の固形分濃度の上限としては、30質量%が好ましく、25質量%がさらに好ましい。再生粒子X1の濃度が上記範囲未満の場合は、酸化アルミニウム複合反応が鈍くなりアルミニウム複合粒子X2の生産性が悪化するおそれがある。逆に、再生粒子X1の濃度が上記範囲を超える場合は、スラリーの粘度が上昇して再生粒子X1の分散性が低下するおそれがある。
アルミン酸ソーダAの添加量の下限としては、再生粒子X1の100質量部に対して5質量部が好ましく、8質量部がさらに好ましく、10質量部が特に好ましい。一方で、アルミン酸ソーダAの添加量の上限としては、40質量部が好ましく、35質量部がさらに好ましく、25質量部が特に好ましい。アルミン酸ソーダAの添加量が上記上限未満の場合は、再生粒子X1に酸化アルミニウムが十分に複合されず、パルプ原料との結合力が弱まり、歩留まりの向上効果が発揮されない場合がある。逆に、アルミン酸ソーダAの添加量が上記上限を超える場合は、生産コストが高くなるばかりで、歩留り向上の効果が頭打ちとなるおそれがある。
本工程において用いる鉱酸Nとしては、特に限定されるものではなく、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。これらの中でも、コスト及びハンドリングの観点から硫酸が特に好ましい。
本工程において用いる鉱酸Nの濃度としては、0.1mol/L以上5.0mol/L以下が好ましい。鉱酸Nの濃度が上記範囲未満の場合は、アルミン酸ソーダAが十分に中和されず、酸化アルミニウムが再生粒子X1に十分複合されないおそれがある。逆に、鉱酸Nの濃度が上記範囲を超える場合は、局部的な反応が生じて、酸化アルミニウムが偏在して形成され、得られるアルミニウム複合粒子X2の歩留り向上効果等が低下するおそれがある。
本工程における最終反応液は中性から弱アルカリ性の範囲が好ましく、pHは8以上11以下が好ましい。pHが上記範囲未満の場合は、鉱酸Nの過剰添加により、酸化アルミニウムが均質に形成されず、当該製造方法によって得られるアルミニウム複合粒子X2の歩留り向上効果等が低下するおそれがある。逆に、pHが上記範囲を超える場合は、アルミン酸ソーダAと鉱酸Nとの反応が鈍って再生粒子X1の表面に酸化アルミニウムが複合されにくくなるため、当該製造方法によって得られるアルミニウム複合粒子X2の不透明度が低下するおそれがある。
上記複合工程は、所定の処理量毎にこの工程を繰り返すバッチ式、又は連続して工程を実行する連続式で行うことができるが、生産効率の観点からは、連続式を採用することが好ましい。
上記複合工程を連続式で行う場合は、例えば次のような手順でアルミニウム複合粒子を製造することができる。この手順では、まず、第一薬品添加槽1に連続的に再生粒子X1及びアルミン酸ソーダAを供給し、所定の温度及び圧力下でこれらを撹拌する。この第一薬品添加槽1で得られたスラリーは、第二薬品添加槽2に連続的に移送される。第二薬品添加槽2に移送された上記スラリーには鉱酸Nが添加され、さらに撹拌された後、連続的に貯槽3に移送される。第二薬品添加槽2は一定の容積を有するため、上記スラリーが貯槽3に移送されるまでの間に、反応が進行して再生粒子X1の表面に酸化アルミニウムが析出し、アルミニウム複合粒子X2が形成される。このアルミニウム複合粒子X2を含有するスラリーは、貯槽3に貯留され、填料、顔料等として抄紙製造ラインに供給される。
<アルミニウム複合粒子>
本発明のアルミニウム複合粒子は、上記製造方法によって得ることが好ましいが、上記製造方法以外の再生粒子に酸化アルミニウムを複合させる方法で得てもよい。
当該アルミニウム複合粒子の体積平均粒子径の下限としては、2μmが好ましく、3μmがさらに好ましい。一方、アルミニウム複合粒子の体積平均粒子径の上限としては、12μmが好ましく、10μmがさらに好ましい。アルミニウム複合粒子の体積平均粒子径が上記範囲未満の場合は、不透明度及び吸油量が十分得られないおそれがある。逆に、アルミニウム複合粒子の体積平均粒子径が上記範囲を超える場合は、アルミニウム複合粒子の歩留りの向上効果が発揮されないおそれや不透明性が低下するおそれがある。
当該アルミニウム複合粒子のアルミニウム含有率の下限としては、15質量%が好ましく、20質量%がさらに好ましい。一方、アルミニウム複合粒子のアルミニウム含有率の上限としては、40質量%が好ましく、35質量%がさらに好ましい。アルミニウムの含有率が上記範囲未満の場合は、カチオン性が十分得られず、アルミニウム複合粒子の添加時の歩留り向上効果が十分得られないおそれがある。逆に、アルミニウムの含有率が上記範囲を超える場合は、アルミニウム複合粒子とパルプ原料との定着効果が高くなりすぎて、原料スラリーの粘度が高くなりすぎるおそれや、アルミニウム複合粒子が均一に分散しないおそれがある。また、アルミニウム複合粒子の不透明度が低下するおそれがある。
当該アルミニウム複合粒子の吸油量の下限としては、50ml/100gが好ましく、70ml/100gがさらに好ましい。一方、アルミニウム複合粒子の吸油量の上限としては、150ml/100gが好ましく、110ml/100gがさらに好ましい。アルミニウム複合粒子の吸油量を上記範囲とすることで、アルミニウム複合粒子が添加された紙のインク乾燥性等を向上させることができる。吸油量が上記範囲未満の場合は、アルミニウム複合粒子が添加された紙のインク乾燥性向上の効果が得られないおそれがある。逆に、吸油量が上記範囲を超える場合は、アルミニウム複合粒子が添加された紙のインクの吸収性が高くなりすぎて、インクの沈み込みによる発色性の劣化が生じるおそれがある。
当該アルミニウム複合粒子は、再生粒子を用いながらもスラリーの増粘が抑えられつつ、適度な粒子径とパルプ原料への自己定着性を有するため、填料として紙へ添加した際の歩留りが高い。さらに、高い白色度、不透明度、吸油量を有するため、添加された紙の白色度、不透明度、インク乾燥性等を向上させることができる。また、当該アルミニウム複合粒子は、密度が小さく嵩高性を有するため、嵩高紙の填料として好適に用いることができる。
<再生粒子の製造方法>
ここで、本発明の製造方法に好適に用いることができる再生粒子の製造方法について、原料並びに脱水、熱処理及び粉砕の各工程の順に詳説する。なお、熱処理工程と粉砕工程との間に、配合・スラリー調製工程を有することが好ましく、さらに必要に応じてその他の工程を設けることができる。
(原料)
再生粒子の原料としては、主原料として製紙スラッジが用いられ、製紙スラッジの中でも、脱墨フロスが好適に用いられる。脱墨フロスとは、古紙パルプを製造する古紙処理工程において、主に、古紙に付着したインクを取り除く脱墨工程でパルプ繊維から分離されるものをいう。製紙における古紙パルプ製造工程では、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産する目的から、使用する古紙の選定、選別を行い、一定品質の古紙を使用する。そのため古紙パルプ製造工程に持ち込まれる無機物の種類やその比率、量が基本的に一定になる。しかも古紙中に未燃物の変動要因となるビニールやフィルムなどのプラスチック類が含まれていた場合も、これらの異物は脱墨フロスを得る脱墨工程に至る前段階で除去される。したがって、脱墨フロスは、工場排水工程や製紙原料調成工程等の、他の工程で発生する製紙スラッジと比べて、極めて安定した品質の再生粒子を製造するための原料となる。
(脱水工程)
脱水工程は、脱墨フロス等の原料の水分を所定割合まで除去する工程である。例えば、古紙パルプを製造する脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスは、種々の操作を経て、公知の脱水設備により脱水される。
脱水工程の一例としては、以下の工程が挙げられる。まず一の脱水手段であるスクリーンによって、脱墨フロスから水を分離して脱水する。このスクリーンにおいて水分率を90%〜97%に脱水した脱墨フロスは、別の脱水手段である例えばスクリュープレスに送り、更に所定の水分率まで脱水する。
脱水後の原料(脱墨フロス)は、40%以上、好ましくは40%以上90%未満、より好ましくは45%以上70%以下、特に好ましくは50%超60%以下の高含水状態とするとよい。
脱水後の原料の水分率が70%を超えると、熱処理工程における処理温度の低下を招き、加熱のためのエネルギーロスが多大になるとともに、原料の燃焼ムラが生じやすくなり均一な燃焼を進め難くなる。また、排出される排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる不都合を有する。一方で、脱水後の原料の水分率が40%未満と低いと、脱墨フロスの過剰燃焼の原因となる。また、脱水処理エネルギーの削減にも反する。
上述のように、原料(脱墨フロス)の脱水を多段工程で行い急激な脱水を避けると、無機物の流出が抑制でき脱墨フロスのフロックが硬くなりすぎるおそれがない。脱水処理においては、脱墨フロスを凝集させる凝集剤等の脱水効率を向上させる助剤を添加しても良いが、凝集剤には、鉄分を含まないものを使用することが好ましい。鉄分が含有されると、鉄分の酸化により再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
脱水工程のための設備は、再生粒子の他の工程の設備に隣接することが生産効率の面で好ましいが、予め古紙パルプ製造工程に隣接して設備を設け、脱水を行った物を搬送することも可能であり、トラックやベルトコンベア等の搬送手段によって定量供給機まで搬送し、この定量供給機から熱処理工程に供給することもできる。
脱水後の原料は、熱処理工程に供給する前に、粉砕機(又は解砕機)等により、平均粒子径40mm以下、好ましくは平均粒子径3mm〜30mm、より好ましくは平均粒子径5mm〜20mmに粒子径を揃えると好適であり、また、粒子径50mm以下の割合が70質量%以上となるように粒子径を揃えると好適である。平均粒子径が3mm未満では過燃焼になりやすい。逆に、平均粒子径が40mmを超えると原料芯部まで均一に燃焼を図るのが困難になる。
上記脱水工程及び後述する各熱処理工程における平均粒子径は、JIS−Z−8801−2:2000に基づき、金属製の板ふるいにて測定したものであり、粒子径の割合は、ふるいわけた後に粒子径ごとの重量を測定して算出した値である。
(熱処理工程)
熱処理工程は、脱水された原料の更なる水分除去のための乾燥と、比較的低温の第1の燃焼とを一連で行う第1熱処理工程、及び第1熱処理工程で得られた熱処理物を再度、第1熱処理工程より高温で熱処理(燃焼)する第2熱処理工程を含む。このように順に温度を上げていく2段階の熱処理工程を経ることで、原料の過燃焼を抑え、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。また、熱処理温度としては、比較的低温で行うことで、同様に原料の過燃焼を抑え、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。熱処理温度の上限としては、具体的には780℃が好ましく、750℃がさらに好ましい。
(第1熱処理工程)
脱水工程を経た原料は、第1熱処理工程として、例えば本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉を用いて、熱処理される。
この内熱キルン炉においては、熱風発生炉にて生成された熱風が、排出口側から原料の流れと向流するように送り込まれる。この内熱キルン炉の一方側には排ガスチャンバーが、他方側には排出チャンバーが設けられている。排出チャンバーを貫通して熱風が内熱キルン炉の他方側から吹き込まれ、上記一方側から装入され、内熱キルン炉の回転に伴って上記他方側へ順次移送される原料の乾燥及び燃焼を行うようになっている。
このように第1熱処理工程においては、原料を、本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉によって乾燥・燃焼することにより、供給口から排出口に至るまで、緩やかに乾燥と有機分の燃焼とを行うことができ、熱処理物の微粉化が抑制され、凝集体形成、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する原料の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。なお、乾燥を別工程に分割し、例えば吹上げ式の乾燥機によって乾燥させることもできる。
第1熱処理工程における熱処理温度(例えば、内熱キルン炉の炉内温度)は、300℃以上500℃未満、好ましくは400℃以上500℃未満、より好ましくは400℃以上450℃以下が好適である。第1熱処理工程においては、容易に燃焼可能な有機物を緩やかに燃焼させ、燃焼し難い残カーボンの生成を抑える目的から、上記範囲の温度で熱処理するのが好ましい。過度に温度が低いと、有機物の燃焼が不十分であり、他方、過度に温度が高いと過燃焼が生じ、炭酸カルシウムの分解によって酸化カルシウムが生成し易くなる。また、温度が500℃以上の場合は、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する脱水物の粒揃えが進行するよりも早くに乾燥・燃焼が局部的に進むため、粒子表面と粒子内部との未燃率の差を少なくし、均一にするのが困難になる。
第1熱処理工程は、原料に含有される燃焼容易な有機物を緩慢に燃焼させ、残カーボンの生成を抑制するため、上記条件下で、30分〜90分の滞留(熱処理)時間で熱処理させるのが好ましい。熱処理時間が30分未満では、十分な燃焼が行われず残カーボンの割合が多くなる。他方、熱処理時間が90分を超えると、脱水物の過燃焼による炭酸カルシウムの熱分解が生じ、また、得られる再生粒子が極めて硬くなる。有機物の燃焼及び生産効率の面では、40分〜80分の滞留時間で熱処理させるのが好ましい。恒常的な品質を確保するためには、50分〜70分の滞留時間で熱処理燃焼させるのが好ましい。
(第2熱処理工程)
第1熱処理工程を経た原料は、第2熱処理工程として、例えば本体が横置きで中心軸周りに回転する外熱ジャケットを有する外熱キルン炉を用いて、熱処理される。このように、第1及び第2熱処理工程を経ることで、原料中の有機分が燃焼除去され、無機物を熱処理物として排出することができる。
第2熱処理工程においては、第1熱処理工程で燃焼しきれなかった残留有機物、例えば残カーボンを燃焼させるため、第1熱処理工程において供給される原料の粒子径よりも小さい粒子径に調整された熱処理物を用いることが好ましい。第1熱処理工程後の熱処理物の粒揃えは、平均粒子径10mm以下となるように調整するのが好ましく、平均粒子径1〜8mmとなるように調整するのがより好ましく、平均粒子径1〜5mmとなるように調整するのが特に好ましい。第2熱処理工程における外熱キルン炉入口での平均粒子径が1mm未満では過燃焼の危惧があり、平均粒子径10mm超では、残カーボンの燃焼が困難であり、芯部まで燃焼が進まず得られる再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
外熱キルン炉の外熱源としては、外熱キルン炉内の温度制御が容易で、かつ長手方向の温度制御が容易な電気加熱方式の熱源が好適であり、したがって、電気ヒーターによる外熱キルン炉が好ましい。外熱源に電気を使用することにより、炉内の温度を細かく、かつ均一にコントロールすることができ、凝集体の形成、硬い・柔らかい等のさまざまな性質を有する熱処理物の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。また、電気炉は、電気ヒーターを炉の流れ方向に複数設けることで、任意に温度勾配を設けることが可能であると共に、熱処理物の温度を一定時間、一定温度に保持することができ、第1熱処理工程を経た熱処理物中の残留有機分、特に残カーボンを第2熱処理工程で炭酸カルシウムの分解を来たすことなく限りなくゼロに近づけることができ、例えば重質炭酸カルシウムと比べて低いワイヤー摩耗度でありながら、高白色度の再生粒子を得ることができる。
第2熱処理工程における熱処理温度は、好ましくは550℃〜780℃、より好ましくは600℃〜750℃である。第2熱処理工程では、先に述べたように、第1熱処理工程で燃焼しきれなかった残留有機物、特に残カーボンを燃焼させる必要があるため、第1熱処理工程よりも高温で熱処理するのが好ましく、熱処理温度が550℃未満では、十分に残留有機物の燃焼を図ることができないおそれがあり、熱処理温度が780℃を超えると、熱処理物中の炭酸カルシウムの脱炭酸が進行し、粒子が硬くなるおそれがある。
第2熱処理工程としての外熱キルン炉における滞留(熱処理)時間としては、好ましくは60分以上、より好ましくは60分〜240分、特に好ましくは90分〜150分、最適には120分〜150分が、残カーボンを完全に燃焼させるに望ましい。特に残カーボンの燃焼は炭酸カルシウムの分解をできる限り生じさせない高温で、緩慢に燃焼させる必要があり、滞留時間が60分未満では、残カーボンの燃焼には短時間で不十分であり、他方、滞留時間が240分を超えると、炭酸カルシウムが分解するおそれがある。また、熱処理物の安定生産を行うにおいては、滞留時間を60分以上、過燃焼防止、生産性確保のためには、滞留時間を240分以下とするのが好適である。
第2熱処理工程としての外熱キルン炉から排出される熱処理物の平均粒子径は、10mm以下、好ましくは1mm〜8mm、より好ましくは1mm〜5mmに調整すると好適である。この調整は、例えば、熱処理物を一定のクリアランスを持った回転する2本ロールの間を通過させること等により行うことができる。
第2熱処理工程を経た熱処理物は、好適には凝集体であり、例えば冷却機により冷却された後、振動篩機などの粒径選別機により選別され、燃焼品サイロに一時貯留される。この後、配合・スラリー調製工程及び粉砕工程で目的の粒子径に調整された後、再生粒子として填料等の用途先に仕向けられる。
なお、以上では、脱墨フロスを原料として用いた場合を例示したが、脱墨フロスを主原料に、抄紙工程における製紙スラッジ等の他の製紙スラッジを適宜混入させたものを原料とすることなどもできる。
(配合・スラリー調製工程)
配合・スラリー調製工程は、上記第2熱処理工程から排出される熱処理物に酸及び/又は塩を配合し、その熱処理物を水中に懸濁させてスラリー化させる工程である。
この熱処理物は、後工程である粉砕工程において、効果的な粉砕を図るために、ミキサー等を使用して水中に懸濁させ、スラリーとした後に粉砕するのが好ましい。この際のスラリー濃度(スラリー全体に対する添加された熱処理物の質量比)の下限としては、15%が好ましく、20%がさらに好ましい。また、このスラリー化濃度の上限としては、50%が好ましく、40%がさらに好ましい。スラリー化濃度が上記下限未満であると最終的に得られた粒子を固形状とする際に、多大なエネルギーが生じるなど生産効率が低下する。逆に、スラリー化濃度が上記上限を超えると、のちの粉砕工程において効果的な粉砕が困難となる、また凝固、固化が生じやすくなるなどのおそれがある。
上記酸及び/又は塩は、カルシウムイオンの存在下でカルシウム塩を析出し得るものである。当該酸及び/又は塩によれば、過燃焼によって生じた酸化カルシウムやメタカオリンに起因しスラリー中に溶け出したカルシウムイオンと反応し、カルシウム塩を析出させることで、カルシウムイオンとスラリー中に共存する珪酸イオンやアルミン酸イオンとの反応を抑え、硬化物質の生成を抑制させることができる。この結果、この酸及び/又は塩を用いることで、スラリーの凝固、固化を抑えることができる。以下その理由について説明する。
製紙スラッジの構成成分である炭酸カルシウムとカオリンから、熱処理工程等における過燃焼により酸化カルシウム、メタカオリンなどが生じる。この酸化カルシウムは、水と混合すると(スラリー中では)水酸化カルシウムとなり、この水酸化カルシウムに起因するカルシウムイオンに誘引されて珪酸イオンやアルミン酸イオンがスラリーを凝固、固化させる要因となっている。この理由としては定かではないが、このカルシウムイオンがスラリー中に共存する珪酸イオンやアルミン酸イオンと反応し、この珪酸イオンやアルミン酸イオンなどの水和硬化反応(エトリンガイト等の水和物の生成)を促進させることなどが考えられる。なお、この珪酸イオンやアルミン酸イオンは過燃焼によって生じるメタカオリン等に由来するものである。
ここで上記酸及びその塩が、スラリー中に添加されていると、スラリー中のカルシウムイオンと反応してカルシウム塩となる。このカルシウム塩の水への溶解度が低いと固体として析出し、スラリー中のカルシウムイオンを減少させ、メタカオリン等による珪酸イオンやアルミナイオンの生成を抑える。この結果、スラリー中において、水和硬化性物質の生成を生じないためスラリーの凝固、固化を防ぐことができると考えられる。
このような酸及び/又は塩としては、カルシウム塩の状態における20℃での水100gに対する溶解度が1g以下であるものが好ましい。このような水への低い溶解度を有する酸及び/又は塩によれば、通常の再生粒子の製造工程における配合・スラリー調製工程中のスラリーにおいて、カルシウムイオンと反応し、その反応によって生じるカルシウム塩が、酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを含む粒子の表面に析出することでスラリーの凝固、固化を効果的に防ぐことができる。
また、この酸及び/又は塩によれば、得られる再生粒子の白色度を高めることができる。酸又はその塩から得られるカルシウム塩は白色度が高いものが多い。そのため、これらのカルシウム塩が酸化カルシウムを含む粒子を被覆することで得られる再生粒子の白色度を高めることができる。
この酸及び/塩としては、カルシウムイオンの存在下でカルシウム塩を析出し得るものであり、好ましくはカルシウム塩の状態における20℃での水100gに対する溶解度が1g以下であるものが好ましく、有機酸又はその塩であっても、無機酸又はその塩であってもよい。なお、このカルシウムイオンの存在下でカルシウム塩を析出するとは、一般的な再生粒子の製造工程におけるスラリー中で、カルシウム塩を析出し得ることをいう。
この酸としては、具体的には、硫酸(硫酸カルシウム二水和物の溶解度0.21g/100g)、フッ化水素酸(フッ化カルシウムの溶解度0.0016g/100g)、クエン酸(クエン酸カルシウムの溶解度0.025g/100g)、リン酸(リン酸三カルシウムの溶解度0.0025g/100g)、炭酸(炭酸カルシウムの溶解度0.0014g/100g)、ホスホン酸等を挙げることができる。また、その塩としては、上記各酸のカルシウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩等を挙げることができる。上記酸又はその塩の中でも、作業性、経済性及び得られる再生粒子の均質性の点から、製紙工場で一般的に利用されている、硫酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸、硫酸、硫酸バンド(Al(SO)及びホスホン酸が好ましく、リン酸又は希硫酸が特に好ましく、リン酸がさらに特に好ましい。
また、この酸及び/又は塩としては、酸又は加水分解した際に酸性を示す塩であることが、スラリーのpHの低減の点から好ましい。pHが高い再生粒子は、他の薬品と反応して品質低下を招くおそれがあるため、酸の添加によりpHを低減させることは効果的である。
この酸及び/又は塩の熱処理物への配合(配合工程)は、熱処理物のスラリー化(スラリー調製工程)より前又は同時に行うことが好ましい。熱処理物をスラリー化した後に、酸及び/又は塩を添加すると、既に熱処理物中の酸化カルシウムが水酸化カルシウムに変化し、発生したカルシウムイオン等を原因とする水和硬化反応が既に開始されているため、凝固や固化の抑制効果を得られない、又はその効果が低下するおそれがある。
熱処理物のスラリー化より前の、酸及び/又は塩の熱処理物への配合方法としては、粉体状体の熱処理物に固体の上記酸の塩(硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム等)等を混合する方法などを挙げることができる。熱処理物のスラリー化と同時の、酸及び/又は塩の熱処理物への添加方法としては、(1)水に酸及び/又は塩を溶かし、その水溶液中に熱処理物を懸濁させる方法、(2)水に酸及び/又は塩と、熱処理物とを同時に混合させる方法などを挙げることができる。熱処理物のスラリー化と同時の、酸及び/又は塩の熱処理物への添加方法によれば、酸及び/又は塩が水溶液中でしか存在しない場合(炭酸等)や、水溶液以外での扱いが困難な場合(硫酸等)においても、不都合なく配合することができる。
この酸及び/又は塩の配合量の下限としては、熱処理物100質量部に対して、0.01質量部が好ましく、0.1質量部がさらに好ましく、0.3質量部が特に好ましい。一方、この配合量の上限としては、10質量部が好ましく、7質量部がさらに好ましい。酸及び/又は塩の配合量が0.01質量部未満の場合には、酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを含む粒子及び/又はこの粒子から発生するカルシウムイオンとの接触確率が低く、硬化反応抑制効果が得られないおそれがある。逆に、10質量部を超えても、硬化反応抑制効果が頭打ちとなってしまうおそれがある。
(粉砕工程)
粉砕工程は、上記工程にて得られたスラリーを粉砕し、微粒子化することで再生粒子を得る工程である。この粉砕工程においては、公知の粉砕装置等を用いることができる。この粉砕工程を経て、スラリーを適宜必要な粒子径に微細粒化することで、得られる再生粒子を塗工用の顔料、内添用の填料等として好適に使用することができる。
(その他の工程)
再生粒子の製造方法においては、原料の凝集工程、造粒工程や、各工程間における分級工程、スラリーを炭酸化する炭酸化工程等を設けてもよい。
(炭酸化工程)
得られた再生粒子のスラリーは、そのままではpHが12以上とアルカリ性を呈し、例えば、塗工用顔料用途における塗工液調整工程で他の薬品と反応して品質低下を招くおそれがある。従って、熱処理物又は再生粒子中の酸化カルシウムを炭酸カルシウムに戻してpHを低減させるために、第1熱処理燃焼工程や第2熱処理工程において排出された排ガス中の二酸化炭素を利用して、例えばpHを7〜9に調整すると好適である。
なお、この炭酸化工程は、配合・スラリー調製工程と粉砕工程との間、粉砕工程と同時、又は粉砕工程の後に行ってもよい。なお、この二酸化炭素の吹き込みは、他の酸及び/又は塩の配合に替えて、又は加えて、炭酸の配合として、配合・スラリー調製工程とすることもできる。
炭酸化に際しては、反応槽の底部にガス吹き込み口を設けるとともに、槽内のpHを測定するpH計を設け、バッチ処理で、スラリーのpHが所定の値以下になるまで槽中のスラリーに対してガスを吹き込むことで実施することが出来る。また、VFポンプのような歯車が噛み合う部分にガス吹き込み口を設け、スラリーに対して粉砕とガスの吹き込みを同時に実施することが出来る。
炭酸化のための二酸化炭素としては、CO分離工程として、例えばPSA型分離装置等の二酸化炭素分離装置を用いて排ガスから二酸化炭素を分離して用いることができる。また、排ガスを直接利用したり、市販の二酸化炭素ガスを利用、併用したりすることもできる。
二酸化炭素の吹き込み速度は、一定とすることも、また可変とすることも可能であり、可変とする場合、pHの推移に応じて適宜調整すること等ができる。
本形態において、再生粒子のさらなる品質安定化を図るためには、被処理物の粒子径を、各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大や微小粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロス(脱水物)の粒子径を調整することが好ましく、更には造粒物の粒子径を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。造粒においては、公知の造粒設備を使用できるが、回転式、攪拌式、押し出し式等の設備が好適である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定値は以下の方法にて測定した値である。
(ア)アルミニウム複合粒子の体積平均粒子径(単位:μm)
アルミニウム複合粒子サンプル10mgを超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。この溶液を用いて、レーザー粒径分布測定装置(株式会社島津製作所製、型番:SA−LD−2200)により平均粒子径を測定した。
(イ)アルミニウム含有率(単位:質量%)
X線粉末回折装置(理学電機株式会社製、型番:RAD2)を用いたX線回析法によって測定した。計測条件は、Cu−Kα−湾曲モノクロメーターを40KV−40mA、発散スリットを1mm、散乱スリットを1mm、受光スリットを0.3mm、走査速度を0.8度/分、走査範囲を2θ=7〜85度、サンプリングを0.02度とした。
(ウ)灰分(再生粒子)歩留(単位:%)
1.0%濃度に希釈したLBKPからなるパルプスラリーに30%の灰分となるようにアルミニウム複合粒子スラリーを添加した後、パルプ濃度が0.75%となるよう希釈した。このパルプスラリーを歩留試験機(BTG社製、型番:DFR−05)へ700cc投入し、50秒攪拌した後に、60meshのワイヤーで濾過し、濾液を100cc採取した。このパルプスラリー及び濾液についてそれぞれ灰分濃度を測定し、下記式(1)により灰分(填料)歩留りを算出した。
灰分歩留り=100×(A−B)/A ・・・ (1)
A:パルプスラリーの灰分濃度(g/l)
B:濾液の灰分濃度(g/l)
(エ)吸油量(単位:ml/100g)
JIS−K5101−13−1に記載の「顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法」に準拠し、以下の方法で測定した。105〜110℃で2時間乾燥したアルミニウム複合粒子のサンプル2〜5gをガラス板にとり、精製あまに油(酸価4以下のもの)をビュレットから少量ずつ複合粒子サンプルの中央に滴下するとともに都度ヘラで練り合わせ、この作業を繰り返してサンプル全体が滑らかな硬さを有する1本の棒状体に成形された時点の精製あまに油の滴下量を求め、下記式(2)によって吸油量を算出した。
吸油量=(あまに油滴下量(ml)×100)/複合粒子質量(g) (2)
〔再生粒子の製造〕
原料として脱墨フロスを用い、水分率が55質量%、平均粒径が10mm、また、50mm以下の粒子の割合が90質量%となるように脱水工程を行った。この脱水物にシャワー水による洗浄を経て、第1熱処理工程、その後、第2熱処理工程を以下の条件で行い熱処理物を得た。
第1熱処理工程条件
燃焼形式:内熱キルン
燃焼温度:420℃
酸素濃度:12%
滞留時間:50分
第1熱処理工程後の未燃率:3%
第2熱処理工程条件
燃焼形式:外熱キルンと内熱キルンの併用
入口の平均粒子径:5mm
燃焼温度:700℃
酸素濃度:8%
滞留時間:140分
出口の平均粒子径:5mm
得られた熱処理物100質量部に対して、配合・スラリー調製工程として、硫酸カルシウム二水和物0.3質量部を添加し、この添加物を水中に懸濁させて、濃度(スラリーの全質量に対する熱処理物の質量比)35質量%のスラリーを得て、粉砕装置にて粉砕した。なお未燃率とは、電気マッフル炉を予め600℃に昇温後、ルツボに試料を入れ約3時間で完全燃焼させて、燃焼前後の質量変化から未燃分を算出することによって求めた値である。
(実施例1)
上記方法にて得られた再生粒子を水に分散させ、固形分濃度が20質量%の再生粒子スラリーを得た。この再生粒子スラリーに、第一添加薬品として再生粒子100質量部に対して15質量部のアルミン酸ソーダを添加し、さらに第二添加薬品として濃度が0.2〜4.0mol/Lの希硫酸をpHが9となる量を添加して加熱攪拌し、アルミニウム複合粒子を得た。攪拌時の温度は80℃とした。
(実施例2〜10)
上記実施例1と同様の方法を用い、表1に示した反応条件等によって複合粒子を製造した。表1に記載されていない条件は、実施例1と同様である。ただし、実施例4は、再生粒子スラリーに希硫酸を添加した後にアルミン酸ソーダを添加して加熱攪拌を行った。
(比較例1)
実施例1と同じ条件で得た再生粒子をそのまま用いた。
実施例1〜10及び比較例1の粒子について、上述した方法で体積平均粒子径(D50)、アルミニウム含有率、灰分歩留及び吸油量を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005912601
表1に示すように、本発明の製造方法によれば、紙へ添加した際の歩留りが高く、高い吸油量を有するアルミニウム複合粒子を得ることができる。
本発明のアルミニウム複合粒子の製造方法によれば、スラリーの増粘を抑えつつ、填料として紙へ添加した際の歩留りが高く、かつ紙の白色度等を向上させることができるアルミニウム複合粒子を得ることができる。このアルミニウム複合粒子は、紙への填料や顔料として好適に用いることができる。
1 第一薬品添加槽
2 第二薬品添加槽
3 貯槽
X1 再生粒子
X2 アルミニウム複合粒子
A アルミン酸ソーダ
N 鉱酸

Claims (3)

  1. 再生粒子に酸化アルミニウムを複合する複合工程を有し、
    上記複合工程で、第一槽に連続的に再生粒子及びアルミニウム塩を供給し、第一槽で得られたスラリーを第二槽に連続的に移送し鉱酸を添加することでアルミニウム複合粒子を連続的に製造するアルミニウム複合粒子の製造方法。
  2. 上記アルミニウム塩がアルミン酸ソーダである請求項1に記載のアルミニウム複合粒子の製造方法。
  3. 再生粒子とこれに複合される酸化アルミニウムとを有し、
    アルミニウム含有率が15質量%以上40質量%以下であり、
    吸油量が50ml/100g以上150ml/100g以下であるアルミニウム複合粒子。
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