JP5683206B2 - 製紙方法及び紙 - Google Patents

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本発明は、製紙方法及び紙に関する。
紙には不透明度、白色度、印刷適性などを改善するために、これらの各機能向上に適した様々な填料が内添されている。填料の紙への内添は、パルプスラリーに填料スラリーを添加して、このパルプスラリーを抄紙することにより行うのが一般的である。この際、不透明度等の紙の品質向上のために填料添加量を増加させても、填料添加における機能向上効果が頭打ちになり、逆に、引張強度や引裂強度等の紙力低下を引き起こすと共に、過剰な填料は、紙中に残留しにくくなり、填料の歩留まりが低下することとなる。
一方、製紙工場の各種工程から排出される製紙スラッジ中の無機物を、いわゆる再生粒子として、製紙用填料等に再利用することが、製紙業界において環境問題に関わる重要な課題となっている。このような再生粒子を製造する方法としては、製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程をこの順に経るものが一般的である。このような再生粒子は、様々な改良が行われているが、原料が廃棄物であるが故に粒径をはじめとした品質が一定ではない。このため、再生粒子を填料として用いた際の歩留まりは高いものとは言えず、白色度や不透明度の向上性能等の点でも改善の余地がある。
そこで、抄紙の際に、再生粒子をはじめとした各種填料を紙中に留まらせる技術として様々な方法が提案されている。例えば、歩留向上剤として、パルプスラリーに高分子物質を添加する方法がある。この高分子物質としては、カチオン化澱粉等の天然高分子誘導体や、ポリエチレンイミン等の合成高分子物質が挙げられる。また、填料の水分散液(スラリー)中において、填料を凝集剤で予め凝集させ、この水分散液をパルプスラリーに添加し、抄紙する技術が提案されている。この填料の予備凝集の具体的方法としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドをモノマーとするカチオン性高分子化合物を用い、混合後の抄紙用填料の平均粒子径を混合前の1.0〜2.0倍とする方法が提案されている(特許第4324073号公報参照)。また、再生粒子などの填料の品質を向上させる他の技術としては、粒子にシリカを被覆させる複合化も試みられている(特開2008−81390号公報、特開2003−49389号公報参照)。
しかしながら、上述の歩留向上剤を用いる技術や複合化技術においても、再生粒子を填料として用いた場合の歩留まり向上には限界があり、更なる改善が求められている。
特許第4324073号公報 特開2008−81390号公報 特開2003−49389号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、再生粒子を填料として用いているにもかかわらず、歩留まりが高く、優れた不透明度を有する紙を得ることができる製紙方法を提供すること、及び再生粒子が填料として内添された不透明度が高い紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られた再生粒子と、重質炭酸カルシウム粒子とを凝集剤により凝集させて凝集粒子スラリーを得る凝集工程、上記凝集粒子スラリーをパルプスラリーに添加する添加工程、及び上記凝集粒子スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙する抄紙工程を有し、上記凝集工程を経て得られた凝集粒子の体積平均粒子径が2μm以上15μm以下であることを特徴とする。
当該製紙方法では、再生粒子に加えて重質炭酸カルシウム粒子を填料として用い、凝集工程においてこの2種類の填料をパルプスラリーに添加する前に予備凝集させている。当該製紙方法によれば、このような凝集工程を経ることで、歩留まりが向上し、得られる紙の不透明度が向上する。
このような凝集工程を経ることで歩留まりが向上する理由は定かではないが、例えば以下の理由が考えられる。不定形でかつ粒度分布の広い再生粒子と、結晶状でかつ粒度分布の広い重質炭酸カルシウム粒子との混合物を組み合わせ凝集させることで、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい傾向を示す。この結果、上記凝集工程を経た填料は、粒度分布が狭くかつ多様な形状及び品質の一次粒子の凝集体となっている。このような凝集体である填料を抄紙すると、平均粒子径に対してばらつきが小さいため歩留まりが高い。さらには、この填料が多様な形状及び品質の一次粒子の凝集体となっていることから光の拡散性能に優れ、その結果、紙の不透明度を高めることができる。
当該製紙方法が、上記凝集粒子表面にシリカを被覆させるシリカ複合工程を上記添加工程前にさらに有し、上記シリカ被覆された凝集粒子の体積平均粒子径が、3μm以上17μm以下とするとよい。当該製紙方法によれば、凝集粒子をシリカで被覆することで白色度、吸油度が高く、低磨耗性のシリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体を得ることができると共に、凝集粒子の表面にシリカが被覆されるため微小なシリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体同士を更に凝集化する傾向が生じ、歩留まりをさらに高め、得られる紙の不透明度をより高めることができる。
上記凝集剤が、カチオン性合成高分子を含み、この凝集剤の質量平均分子量が400万以上2,000万以下、カチオン電荷密度が10meq/g以下であることが好ましい。当該製紙方法によれば、このようなカチオン性合成化合物を凝集剤として用いることで2種類の粒子をより粒度分布の狭い状態で所望する粒径に効率的に凝集させることができるため、歩留まりをさらに高め、得られる紙の不透明度をより高めることができる。
上記再生粒子の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下であり、上記重質炭酸カルシウム粒子の体積平均粒子径が1μm以上3μm以下であることが好ましい。当該製紙方法によれば、再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子の粒子径を上記範囲とすることで、凝集体の粒径を揃えた上で、様々な粒径かつ形状の凝集体とすることができるため、光の散乱性をさらに高め、得られる紙の不透明度をより高めることができる。
本発明の紙は、上記製紙方法により得られるものである。当該紙は、上記製紙方法で製造されることで、優れた不透明度を有している。また、当該紙は、不透明度向上能が優れた填料が内添されているため、この填料の使用量が抑えられ、その結果、高い紙力を備えることができる。
当該紙の好適な灰分としては4%以上20%以下である。灰分を上記範囲とすることで、優れた不透明度と紙力とを高いレベルで両立させることができる。
ここで、体積平均粒子径とは、レーザー回析散乱法により測定された粒度分布における体積中位粒径(D50)をいう。また、灰分は、JIS−P8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した値をいう。
以上説明したとおり、本発明の製紙方法によれば、再生粒子を填料として用いているにもかかわらず、歩留まりが高く、優れた不透明度を有する紙を得ることができる。このため当該製紙方法によれば、再生粒子の利用性を高め、また、紙の生産性を高めることができる。
以下、本発明の製紙方法及びこの製紙方法によって得られる紙について詳説する。
<製紙方法>
当該製紙方法は、
(1)製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られた再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子とを凝集剤により凝集させて凝集粒子スラリーを得る凝集工程、
(2)上記凝集粒子スラリーをパルプスラリーに添加する添加工程、及び
(3)上記凝集粒子スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙する抄紙工程
を有し、上記凝集粒子の体積平均粒子径が2μm以上15μm以下である製紙方法である。また、当該製紙方法は、好ましい工程として、
(1’)上記凝集粒子凝集粒子表面にシリカを被覆させるシリカ複合工程
を上記添加工程前に有する。以下、各工程について順に詳説する。
<(1)凝集工程>
当該製紙方法では、再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子とを填料として用いる。(1)凝集工程においては、この2種類の填料をパルプスラリーへ添加する前に予め凝集剤により凝集させ、凝集粒子を含有する凝集粒子スラリーを得る。当該製紙方法によれば、このような凝集工程を経ることで歩留まりが向上し、得られる紙の不透明度が向上する。
このような凝集工程を経ることで歩留まりが向上する理由としては、例えば以下の理由が考えられる。元来粒度分布がシャープな粒度分布を示す微細粒子の組み合わせにおいては、粒子の凝集により、かえって粒度分布がブロードになり、紙中での歩留まりや分布の均一性が損なわれる。一方、不定形でかつ粒度分布の広い再生粒子と、粒度分布が広く不定形であり、表面に多数のナイフエッジを有している重質炭酸カルシウム粒子とを組み合わせた混合物を凝集させることで、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を見出し本件発明を完成させている。この結果、上記凝集工程を経た填料は、粒度分布が狭くかつ多様な形状及び品質の一次粒子の凝集体となっている。このような凝集体である填料を抄紙すると、平均粒子径に対してばらつきが小さいため歩留まりが高い。さらには、この填料が多様な形状及び品質の一次粒子の凝集体となっていることから光の拡散性能に優れ、その結果、紙の不透明度を高めることができる。
上記凝集体の形状としては、例えば再生粒子を核として他の再生粒子や重質炭酸カルシウムが付着しているもの、重質炭酸カルシウム粒子を核として他の再生粒子や重質炭酸カルシウムが付着しているもの、複数の再生粒子及び/又は重質炭酸カルシウム粒子が凝集しているもの、再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子が凝集せずに単独で存在するもの等が挙げられ、一次粒子の形状、粒径、屈折率等の際により、それぞれの凝集体が複雑な光散乱を生じさせると考えられる。なお、本発明の製紙方法が優れた歩留まりを有し、得られる紙の不透明度を向上させる理由は、上述した理由に限定されるものではない。
この凝集工程においては、例えば再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子とを水中へ分散させた粒子スラリーへ、凝集剤を添加することによって行うことができる。再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子との水中へ分散は、この2種の粒子を同時に水中へ分散させてもよいし、再生粒子を水中へ分散させた再生粒子スラリー中に重質炭酸カルシウム粒子を分散させてもよく、その逆であってもよい。
粒子スラリーにおける粒子(再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子との合計)の固形分濃度としては、10質量%以上40%質量以下が好ましく、12質量%以上35質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上25質量%以下が特に好ましい。粒子スラリーの濃度を上記範囲とすることで、粒子の凝集性の効率化と再生粒子に起因するスラリー粘度の上昇の抑制との両立を図ることができ、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を得ることができる。
粒子スラリーの濃度が上記下限未満の場合は、凝集剤の添加によっても、粒子が好適な粒径にまで凝集しないおそれがある。一方、粒子スラリーの濃度が上記上限を超える場合は、粘度が高すぎて作業性が低下したり、また、凝集粒子の粒度分布が広がり、歩留まりが低下するおそれがある。
<再生粒子>
填料として用いられる上記再生粒子は、製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られたものである。このような工程を経て得られた再生粒子は、過燃焼が抑えられており、スラリー化の際の増粘を抑制することができる。なお、この再生粒子の好ましい製造方法については、後に詳述する。
なお、凝集剤を添加する前(本工程の前)の再生粒子の体積平均粒子径としては、特に限定されないが、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上5μm以下がさらに好ましい。再生粒子の平均粒子径を上記範囲とすることで、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果が得られ、凝集粒子の粒径を所望する範囲に制御しやすくなり、抄紙の際の歩留まりをより高めることができる。
再生粒子の体積平均粒子径が上記下限未満の場合は、凝集剤によっても十分な粒径にまで凝集が進まず、歩留まりが十分に高まらない場合がある。逆に、再生粒子の体積平均粒子径が上記上限を超える場合は、得られる凝集体の粒径が大きくなりすぎる場合があり、この結果、紙力が低下するおそれがある。
<重質炭酸カルシウム粒子>
当該製紙方法においては、填料として広い粒度分布を有している重質炭酸カルシウム粒子を用いる。重質炭酸カルシウム粒子は、再生粒子と異なる屈折率や表面に多数のナイフエッジを持つ。従って、重質炭酸カルシウム粒子が再生粒子と共に凝集されることにより、それぞれ凝集体中で様々な光の屈折及び反射を生じさせることができ、その結果、光の散乱性を高め、不透明度を効率的に高めることができる。
この重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石を粉砕・分級する方法で調製することができるし、粉粒体として入手できる市販の重質炭酸カルシウムを必要に応じて粉砕・分級して用いることもできる。ここでいう粉砕には、例えば、ロールミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機等の乾式粉砕機による粉砕、湿式ボールミル、振動ミル、撹拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミル等の湿式粉砕機による粉砕が挙げられ、これらの粉砕機を適宜組み合わせて使用することもできる。
また、分級方法としては、例えば、共振振動ふるい、ローヘッドスクリーン、電磁スクリーン等のふるい分け、ミクロンセパレーター、サイクロン等の乾式分級、デカンタ型遠心分離機、液体サイクロン、ドラッグ分級機等の湿式分級が挙げられ、これらの分級機を適宜組み合わせて使用することができる。
当該製紙方法に用いられる重質炭酸カルシウム粒子の体積平均粒子径としては、1μm以上3μm以下が好ましく、1μm以上2μm以下がさらに好ましい。この重質炭酸カルシウム粒子の体積平均粒子径をこのような範囲とすることで、再生粒子とともに凝集した際に、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果が得られ、効率的に所望する粒径にかつ粒度分布を狭く制御することができ、かつ、得られる凝集体による不透明度向上能を高めることができる。
上記重質炭酸カルシウム粒子の平均体積粒子径が上記下限未満の場合は、個々の重質炭酸カルシウム粒子における光の散乱能が小さく不透明度が向上しにくいことに加え、粒径が小さいため、凝集剤によっても十分に凝集が進行せず、抄紙の際の歩留まりが向上しにくい。逆に、この体積平均粒子径が上記上限を超える場合は、凝集の際、所望するサイズの凝集体を得ることが困難になる場合があるとともに、磨耗性が高くなり抄紙用具を損傷させる問題が生じる。
この重質炭酸カルシウム粒子のレーザー回折法により測定される10%体積平均粒子径と90%体積平均粒子径との差が、1.5μm以上あることが好ましく、2μm以上あることがさらに好ましく、2.5μm以上あることが特に好ましい。このように粒度分布が広い重質炭酸カルシウム粒子を用いることで、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を助長し、様々な波長の光に対する屈折及び反射効果を高め、その結果、不透明度を高めることができる。
また、この重質炭酸カルシウム粒子の最頻値を占める粒子の体積割合は、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置(型番:MT−3300)を用い、測定回数:Avg/2(2回の測定の平均)、測定時間:10秒、分布表示:体積、粒径区分:標準、計算モードMT−3300II、測定上限2000μm、測定下限0.021μmの条件下で測定を行い、0.021μmから2,000μmの範囲を132対数分割して測定した当該複合粒子の粒度分布における最頻値を占める1分割あたりの粒子の頻度割合を云い、この重質炭酸カルシウム粒子の最頻値を占める粒子の割合(体積%)としては、3%以上8%以下が好ましく、4%以上7%以下がさらに好ましい。この割合が上記範囲のように比較的低い重質炭酸カルシウム粒子を用いることで、上述のように粒度分布が広くなり、結果として不透明度をさらに高めることができる。
凝集工程における再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子との配合比(質量比)としては、10:90〜90:10が好ましく、30:70〜70:30がさらに好ましい。再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子との配合比をこのような範囲とすることで、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果が得られ、粒度分布の広い粒子を用いているにもかかわらず、凝集により、相対的に粒度分布が狭い凝集体を得ることができ、この結果、歩留まりをより高めることができる。2種の粒子の配合比が上記範囲外である場合は、得られる凝集体の粒度分布が広く、歩留まりの向上が十分に発揮されない場合がある。
<凝集剤>
粒子スラリーへ添加する凝集剤としては、その高分子鎖により複数の粒子を絡み取り凝集させることができるものであれば特に限定されず、カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物を用いることができるが、本発明者等の知見によると、再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子とを含むスラリーを用い、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を遺憾なく発揮させるには、カチオン性高分子を用いることが好ましく、カチオン性合成高分子を用いることがさらに好ましい。凝集剤としてカチオン性高分子を用いることで、高分子鎖によって粒子を絡みとる作用のみならず、負に帯電している再生粒子及び/又は表面に多数のナイフエッジを持つ重質炭酸カルシウムを電気的に凝集させることができるため好ましい。また、カチオン性合成高分子を用いることで、この凝集剤のカチオン電荷密度及び好適な分子量を容易に調整することができる。
この凝集剤の質量平均分子量の下限としては、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を効果的に発現させため、400万が好ましく、600万がさらに好ましく、700万が特に好ましい。一方、この質量平均分子量の上限としては、2,000万が好ましく、1,200万がさらに好ましく、1,000万が特に好ましい。凝集剤の分子量を上記範囲とすることで、再生粒子及び重質炭酸カルシウムに対する好適な粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい凝集性を発揮することができる。特に、上述のような体積平均粒子径を有する再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子に対しては、このような範囲の分子量を有する凝集剤を用いることで、所望する粒子径を有する凝集体を効率的に得ることができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)を用いて測定した数値である。
凝集剤の質量平均分子量が上記下限未満の場合は、十分な凝集能を発揮することができず、粒子の凝集が進まないため、歩留まりの向上が発揮されないおそれがある。逆に、この平均分子量が上記上限を超える場合は、凝集能が強すぎて、偏凝集の発生や、スラリーの粘度が上昇して抄紙の作業性が低下したり、得られる紙の紙力が低下したりするおそれがある。
また、凝集剤のカチオン電荷密度の上限としては、10meq/gが好ましく、5meq/gがさらに好ましく、3meq/gが特に好ましい。一方、このカチオン電荷密度の下限としては、0.1meq/gが好ましく、0.5meq/gがさらに好ましく、1meq/gが特に好ましい。凝集剤のカチオン電荷密度を上記範囲とすることで、再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子にがもつブロードな粒度分布において、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい好適な凝集性を発揮することができる。なお、凝集剤として複数の成分を用いる場合は、その凝集剤全体としてのカチオン電荷密度をいう。
本発明において、上記カチオン電荷密度は以下の方法で測定した値である。試料をpH4.0の水溶液に調整した後、流動電位法に基づく粒子荷電測定装置(Muteck PCD−03)にて、1/1000規定のポリビニル硫酸カリウム水溶液を用いた滴定によって、アニオン要求量を測定する。下記式(1)により試料1gあたりのカチオン電荷密度を計算する。
カチオン電荷密度=A/B ・・・(1)
A:pH4.0に調整した凝集剤水溶液のアニオン要求量(μeq/l)
B:凝集剤水溶液の固形分濃度(g/l)
凝集剤のカチオン電荷密度が上記上限を超えると、再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子表面全体がカチオン電荷を帯び、電荷による反発で凝集が生じにくくなる場合がある。逆に、凝集剤のカチオン電荷密度が上記下限未満の場合は、負に帯電している再生粒子を電気的に凝集させることができる効果を十分に発揮することができず、ブロードな粒度分布となる場合がある。
なお、このように再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子の凝集においては、質量平均分子量とカチオン電荷密度との両方において上述の好ましい範囲を有する凝集剤を用いることが、再生粒子の凝集性とスラリーの増粘抑制の両方を好適に達成することができるため好ましい。この理由は定かではないが、例えば、凝集に係る理由としては、様々な無機物、無機酸化物等の混合体である再生粒子は表面の電荷分布にバラツキがあるため、所定範囲の分子量及びカチオン電荷密度を有するカチオン性合成高分子を用いることで電気的な凝集(凝結)作用と、高分子鎖による絡みつきによる作用とを共に発揮できるためであると考えられる。
また、再生粒子の製造の際の過燃焼等の影響による酸化カルシウム等の水和硬化性物質の存在による粒子スラリーの増粘においても、適度な分子量を有する凝集剤が再生粒子表面を効率的に被覆し、酸化カルシウムが水酸化カルシウムに反応すること等を抑えることができると考えられる。この際、適度なカチオン電荷密度を有する凝集剤が再生填料中に含まれる酸化カルシウムの反応性を抑制し、その結果、スラリーの増粘を抑制することができると考えられる。
凝集剤として好適に用いられることのできるカチオン性合成高分子としては、(メタ)アクリレート系カチオン性単量体の単独重合物又は非イオン性単量体との共重合物、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)、ジアルキルアミン−エピクロルヒドリン縮合物、アルキレンジクロライド−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリエチレンイミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリビニルアミジン、キトサン、ポリアルキレンポリアミンなどを挙げることができ、これらを1種又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、得られる凝集剤の再生粒子に対する凝集性及びスラリーの増粘抑制性の点から、(メタ)アクリレート系カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合物が好ましく、(メタ)アクリレート系カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合物及びポリアルキレンポリアミンの混合物が特に好ましい。
(メタ)アクリレート系カチオン性単量体としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリレート系カチオン性単量体の中でも、得られる凝集体の再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子に対する凝集性及びスラリーの増粘抑制性の点から(メタ)アクリル系単量体を用いることが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドが、より好ましく、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドが特に好ましい。
(メタ)アクリレート系カチオン性単量体との共重合に用いられる非イオン性単量体としては、アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N、N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トのなどを挙げることができる。これらの中でもアクリルアミドを用いることが、所望の分子量及び電荷密度を有するカチオン性合成高分子を得られやすい点から好ましい。
凝集剤は水溶液として粒子スラリーに添加することが好ましい。また、凝集剤の添加量としては、再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子の合計固形分に対して、固形分換算で200ppm以上3,000ppm以下が好ましく、1,000ppm以上2,500ppm以下がさらに好ましく、1,500ppm以上2,000ppm以下が再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子がもつブロードな粒度分布において、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を効果的に発揮するため特に好ましい。
凝集剤の添加量が上記下限未満の場合は、十分な凝集を発揮させることができず、歩留まりの向上効果が発揮されない場合がある。逆に、凝集剤の添加量が上記上限を超えると、スラリーの増粘が顕著に生じたり、三次、四次凝集が生じ、得られる紙の紙力が低下する場合がある。
本工程を経て得られる凝集粒子の体積平均粒子径の上限としては、15μmであり、10μmが好ましく、8μmが特に好ましい。一方、凝集再生粒子の体積平均粒子径の下限としては、2μmであり、3μmが好ましい。凝集粒子の体積平均粒子径を上記範囲とすることで、均一な歩留まりや地合い形成を得ることが容易になり、抄紙工程における填料の歩留まりを効率的に向上させることができる。
凝集粒子の体積平均粒子径が上記上限を超えると、凝集粒子スラリーの粘度が高くなりすぎて作業性が低下したり、得られる紙の紙力が低下したりする。逆に、この体積平均粒子径が上記下限未満の場合は、抄紙における填料の歩留まりが十分に向上しない。
発明者らの知見によると、好適な凝集粒子スラリーの粘度は、500cpsを境に大きく変化し、500cpsを超える粘度だと作業性が悪化するとともに、抄紙系内の汚れが顕在化する不都合が生じる。特に好ましくは、450cps以下、さらには350cps以下に調整することで、作業性の改善と得られる凝集粒子の粒度分布をよりシャープにすることができ、本件発明の課題である、填料の歩留まりにより高い不透明性を有する紙の製造方法及びこの製造方法によって得られる紙の提供をより効果的に実現することができる。
<(1’)シリカ複合工程>
このシリカ複合工程においては、上記工程で得られた凝集粒子の表面にシリカを被覆させる。このシリカの被覆方法としては、凝集粒子スラリーに珪酸アルカリ水溶液と鉱酸とをこの順に添加し、凝集粒子表面にシリカを被覆させる方法や、ケイ酸アルカリ水溶液に凝集粒子スラリーを加えて混合し、その後鉱酸を添加してシリカを被覆させる方法などを挙げることができる。
上記珪酸アルカリ水溶液は特に限定されないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が入手に容易である点で望ましい。珪酸アルカリ溶液の濃度は水溶液中の珪酸分(SiO2換算)で3〜10質量%が好適である。10質量%を超えると形成される再生粒子−重質炭酸カルシウムにシリカが被覆された複合体は再生粒子−重質炭酸カルシウムシリカ複合凝集体ではなく、再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体がホワイトカーボンで被覆されてしまい、芯部の再生粒子又は重質炭酸カルシウム凝集体の、多孔性、光学的特性が全く発揮されなくなってしまうおそれがある。また、3質量%未満では再生粒子−重質炭酸カルシウム複合粒子中のシリカ成分が低下するため、シリカが被覆された再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体粒子が形成しにくくなってしまうおそれがある。
上記鉱酸としては希硫酸、希塩酸、希硝酸などの鉱酸の希釈液等が挙げられるが、価格や、ハンドリングの点、再生粒子や重質炭酸カルシウム中のカルシウム分の溶出防止や設備・装置の腐食対策と言った理由で希硫酸が最も好ましい。さらに、希硫酸を使用する場合の添加時の濃度は、0.2〜4.0モル濃度が好ましい。また、鉱酸添加量が多いほど短時間内にシリカが析出するので、それらの条件に合わせて添加速度を調整することが好ましい。なお、5分以内の添加は、均一な反応系の構成が不十分になるおそれがある。
本工程における反応温度に関しては、60〜100℃の範囲が好ましい。本発明者らの鋭意検討の結果から、本発明に使用する再生粒子−重質炭酸カルシウムとの反応温度はシリカの生成、結晶成長速度および形成された再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体のシリカ被覆再生粒子の力学的強度に影響を及ぼす。反応温度が60℃未満ではシリカの生成・成長速度が遅く、形成された再生粒子−重質炭酸カルシウムシリカ被覆再生粒子の被覆性に劣り、被覆の剥落が生じやすく、填料内添紙の抄造時にかかる剪断力で被覆が壊れやすい。また、100℃を超えると、水系反応であるためオートクレーブを使用しなければならないため反応工程が複雑になってしまう。最適反応温度は60〜80℃である。
また、本工程における反応保持時間(鉱酸の添加時間)としては、20分以上3時間以下が好ましく、30分以上2時間以下がさらに好ましい。反応保持時間が上記下限未満の場合は、十分なシリカ被覆が行われないおそれがある。逆に、反応保持時間が上記上限を超えると、シリカ被覆量が多すぎて、凝集粒子の粒径が大きくなりすぎ、この結果、紙力の低下などが生じるおそれがある。
また、再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体のシリカ被覆凝集体を製造する場合、例えば再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加、分散しスラリーを調製するが、このスラリー濃度は、3〜35質量%が好ましい。スラリー濃度を調整することにより、形成される再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体のシリカ被覆再生粒子の粒径がコントロールされると同時に再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体とシリカの組成比率が決まる。
好ましいシリカ複合工程としては、再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加・分散し凝集粒子スラリーとして調製する。その後、このスラリーを攪拌しながら、液温を60〜100℃の範囲に保持して鉱酸を添加し、シリカゾルを生成させる。この混合液(凝集粒子、ケイ酸アルカリ及び鉱酸の混合液)のpHを中性〜弱アルカリ性、好ましくは混合液を8〜11の範囲に調整することによりシリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体を得ることができる。
得られたシリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体の好適な態様は、体積平均粒子径が3μm以上17μm以下であり、更に好適には4μm以上15μm以下であり、体積平均粒子径を3μm以上とすることで、白色度、吸油度が高く、低磨耗性のシリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体を得ることができ、17μm以下とすることで、核となる再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体により得られる多様な粒径と形状、光の拡散性能を維持できる。更に、凝集粒子の表面にシリカが被覆されるため微小なシリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体同士を更に凝集化する傾向が生じ、歩留まりをさらに高め、得られる紙の不透明度をより高めることができる。
シリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体の体積平均粒子径が3μm未満では、シリカ被覆による向上効果が得られ難く、シリカ被覆再生粒子−重質炭酸カルシウム凝集体の体積平均粒子径が17μmを超えると、得られる紙の強度が低下する傾向が生じる場合が有る。
<(2)添加工程>
(2)添加工程においては、上記凝集工程で得られた凝集粒子スラリー、または、必要に応じてシリカ複合工程を経た凝集粒子スラリーをパルプスラリーに添加する。
このパルプスラリーに配合される原料パルプとしては、紙の製造の際に公知のものが用いられ、例えば、LBKPやNBKP等の化学パルプ、各種機械パルプ、DIP等を用いることができる。これらのパルプの中でも、コストや環境への影響等を考慮すると、化学パルプ、DIP、特には新聞古紙由来のDIPが好適である。
また、上記パルプスラリーには、助剤として、凝結剤、凝集剤、サイズ剤、紙力剤等を適宜配合することができる。
さらには、上記パルプスラリーには、再生粒子及び重質炭酸カルシウム以外の他の填料を配合してもよい。この他の填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、クレー、焼成カオリン、タルク、二酸化チタン、ホワイトカーボン等の公知のものを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
凝集粒子スラリーのパルプスラリーに対する添加量としては、パルプ1tに対して填料(再生粒子と重質炭酸カルシウム粒子との凝集粒子)として10kg以上300kg以下が好ましく、20kg以上200kg以下がさらに好ましい。填料の添加量が上記下限未満の場合は、好ましい灰分を有する不透明度等に優れた紙を得ることができないおそれがある。逆に、この添加量が上記上限を超える場合は、紙中に残らない填料の割合が高まり、歩留まりが低下し、生産性が低下するおそれがある。
<(3)抄紙工程>
(3)抄紙工程においては、上記工程にて凝集粒子スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙することによって、紙を得ることができる。この抄紙方法としては、特に限定されず、公知の抄紙機によって抄紙することができる。また、必要に応じ、抄紙後に紙表裏面にサイズ剤を塗布したり、カレンダー装置に通紙し、加圧、平滑化処理等を施してもよい。
上記抄紙工程に用いるサイズ剤としては、一般的に用いられるサイズ剤を適宜用いれば良く、このようなサイズ剤としては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸半エステル共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体等、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、ロジン、トール油とフタル酸等のアルキド樹脂ケン化物、石油樹脂とロジンのケン化物等のアニオン性低分子化合物、イソジアネート系ポリマー等のカチオン性ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、水溶性高分子が好ましく、澱粉がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウム等による酸化反応によって低分子量化され分子中へカルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基等が導入された加工澱粉が更に好ましい。上記サイズ剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらのサイズ剤を添加することにより、コールドセット型オフセットインキのビヒクル分が素早く吸収され、輪転機の高速化や両面カラー用タワープレス機の使用によって印刷インキ量が増加しても、充分な吸収乾燥性が発現され、また、填料が確実に繊維に固着されるため、填料の脱落を防止し、優れた印刷不透明度、印刷適性等を確保することができる。
<紙>
上記製紙方法で得られた紙は、填料としての再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子の歩留まりが高く、高い灰分を有している。当該製紙方法で得られる紙の灰分の下限としては4%が好ましく、6%がさらに好ましく、8%がより好ましく、10%が特に好ましい。一方、この灰分の上限としては、20%が好ましく、18%がさらに好ましい。得られた紙が、灰分をこのような範囲とすることで、紙力を保ちつつ、不透明度等の優れた特性を発揮することができる。
当該紙の灰分が上記下限未満の場合は、填料等の含有量が少なく十分な不透明度を発揮できない場合がある。逆に、この灰分が上記上限を超える場合は、填料等の含有量が多いため、この填料等がパルプ繊維同士の相互作用を弱め、紙力が低下するおそれがある。
当該紙の用途としては特に限定されないが、例えば新聞用紙として好適に用いることができる。上記製造方法は填料の歩留性が高いため、不透明度や白色度等の印刷特性に優れた新聞用紙が得られる。その結果、当該製造方法で得られる新聞用紙は、高速のオフセット輪転印刷に好適に用いることができる。
<再生粒子の製造方法>
ここで、本発明の製紙方法に好適な再生粒子の製造方法について、原料並びに脱水、熱処理及び粉砕の各工程の順に詳説する。なお、熱処理工程と粉砕工程との間に、配合・スラリー化工程を有することが好ましく、さらに必要に応じてその他の工程を設けることができる。
(原料)
再生粒子の原料としては、主原料として製紙スラッジが用いられ、製紙スラッジの中でも、脱墨フロスが好適に用いられる。脱墨フロスとは、古紙パルプを製造する古紙処理工程において、主に、古紙に付着したインクを取り除く脱墨工程でパルプ繊維から分離されるものをいう。製紙における古紙パルプ製造工程では、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産する目的から、使用する古紙の選定、選別を行い、一定品質の古紙を使用する。そのため古紙パルプ製造工程に持ち込まれる無機物の種類やその比率、量が基本的に一定になる。しかも古紙中に未燃物の変動要因となるビニールやフィルムなどのプラスチック類が含まれていた場合も、これらの異物は脱墨フロスを得る脱墨工程に至る前段階で除去される。したがって、脱墨フロスは、工場排水工程や製紙原料調成工程等の、他の工程で発生する製紙スラッジと比べて、極めて安定した品質の再生粒子を製造するための原料となる。
(脱水工程)
脱水工程は、脱墨フロス等の原料の水分を所定割合まで除去する工程である。例えば、古紙パルプを製造する脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスは、種々の操作を経て、公知の脱水設備により脱水される。
脱水工程の一例としては、以下の工程が挙げられる。まず一の脱水手段であるスクリーンによって、脱墨フロスから水を分離して脱水する。このスクリーンにおいて水分率を70%〜90%に脱水した脱墨フロスは、別の脱水手段である例えばスクリュープレスに送り、更に所定の水分率まで脱水する。
脱水後の原料(脱墨フロス)は、60%以下、好ましくは30%以上50%未満、より好ましくは30%以上45%以下、特に好ましくは30%超40%以下の含水状態とするとよい。
脱水後の原料の水分率が60%を超えると、熱処理工程における処理温度の低下を招き、加熱のためのエネルギーロスが多大になるとともに、原料の燃焼ムラが生じやすくなり均一な燃焼を進め難くなる。また、排出される排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる不都合を有する。他方、脱水後の原料の水分率が30%未満と低いと、脱水処理エネルギーの削減に反する。
上述のように、原料(脱墨フロス)の脱水を多段工程で行い急激な脱水を避けると、無機物の流出が抑制でき脱墨フロスのフロックが硬くなりすぎるおそれがない。脱水処理においては、脱墨フロスを凝集させる凝集剤等の脱水効率を向上させる助剤を添加しても良いが、凝集剤には、鉄分を含まないものを使用することが好ましい。鉄分が含有されると、鉄分の酸化により再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
脱水工程のための設備は、再生粒子の他の工程の設備に隣接することが生産効率の面で好ましいが、予め古紙パルプ製造工程に隣接して設備を設け、脱水を行った物を搬送することも可能であり、トラックやベルトコンベア等の搬送手段によって定量供給機まで搬送し、この定量供給機から熱処理工程に供給することもできる。
脱水後の原料は、熱処理工程に供給する前に、粉砕機(又は解砕機)等により、平均粒子径40mm以下、好ましくは平均粒子径3mm〜30mm、より好ましくは平均粒子径5mm〜20mmに粒子径を揃えると好適であり、また、粒子径50mm以下の割合が70質量%以上となるように粒子径を揃えると好適である。平均粒子径が3mm未満では過燃焼になりやすい。逆に、平均粒子径が40mmを超えると原料芯部まで均一に燃焼を図るのが困難になる。
上記脱水工程における平均粒子径及び粒子径の割合は、攪拌式の分散機で充分分散させた試料溶液を用いて測定した値である。なお、後述する各熱処理工程における粒子径は、JIS−Z8801−2:2000に基づき、金属製の板ふるいにて測定した値である。
(熱処理工程)
熱処理工程は、脱水された原料の更なる水分除去のための乾燥と、比較的低温の第1の燃焼とを一連で行う第1熱処理工程、及び第1熱処理工程で得られた熱処理物を再度、第1熱処理工程より高温で熱処理(燃焼)する第2熱処理工程を含む。このように順に温度を上げていく2段階の熱処理工程を経ることで、原料の過燃焼を抑え、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。また、熱処理温度としては、比較的低温で行うことで、同様に原料の過燃焼を抑え、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。熱処理温度の上限としては、具体的には780℃が好ましく、750℃がさらに好ましい。
(第1熱処理工程)
脱水工程を経た原料は、第1熱処理工程として、例えば本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉を用いて、熱処理される。
この内熱キルン炉においては、熱風発生炉にて生成された熱風が、排出口側から原料の流れと向流するように送り込まれる。この内熱キルン炉の一方側には排ガスチャンバーが、他方側には排出チャンバーが設けられている。排出チャンバーを貫通して熱風が内熱キルン炉の他方側から吹き込まれ、上記一方側から装入され、内熱キルン炉の回転に伴って上記他方側へ順次移送される原料の乾燥及び燃焼を行うようになっている。
このように第1熱処理工程においては、原料を、本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉によって乾燥・燃焼することにより、供給口から排出口に至るまで、緩やかに乾燥と有機分の燃焼とを行うことができ、熱処理物の微粉化が抑制され、凝集体形成、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する原料の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。なお、乾燥を別工程に分割し、例えば吹上げ式の乾燥機によって乾燥させることもできる。
第1熱処理工程における熱処理温度(例えば、内熱キルン炉の出口温度(熱風温度))は、300℃以上600℃未満、好ましくは400℃以上550℃未満、より好ましくは400℃以上500℃以下が好適である。第1熱処理工程においては、容易に燃焼可能な有機物を緩やかに燃焼させ、燃焼し難い残カーボンの生成を抑える目的から、上記範囲の温度で熱処理するのが好ましい。過度に温度が低いと、有機物の燃焼が不十分であり、他方、過度に温度が高いと過燃焼が生じ、炭酸カルシウムの分解によって酸化カルシウムが生成し易くなる。また、温度が600℃以上の場合は、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する脱水物の粒揃えが進行するよりも早くに乾燥・燃焼が局部的に進むため、粒子表面と粒子内部との未燃率の差を少なくし、均一にするのが困難になる。
第1熱処理工程は、原料に含有される燃焼容易な有機物を緩慢に燃焼させ、残カーボンの生成を抑制するため、上記条件下で、30分〜90分の滞留(熱処理)時間で熱処理させるのが好ましい。熱処理時間が30分未満では、十分な燃焼が行われず残カーボンの割合が多くなる。他方、熱処理時間が90分を超えると、脱水物の過燃焼による炭酸カルシウムの熱分解が生じ、また、得られる再生粒子が極めて硬くなる。有機物の燃焼及び生産効率の面では、40分〜80分の滞留時間で熱処理させるのが好ましい。恒常的な品質を確保するためには、50分〜70分の滞留時間で熱処理燃焼させるのが好ましい。
(第2熱処理工程)
第1熱処理工程を経た原料は、第2熱処理工程として、例えば本体が横置きで中心軸周りに回転する外熱ジャケットを有する外熱キルン炉を用いて、熱処理される。このように、第1及び第2熱処理工程を経ることで、原料中の有機分が燃焼除去され、無機物が熱処理物として排出されることができる。
第2熱処理工程においては、第1熱処理工程で燃焼しきれなかった残留有機物、例えば残カーボンを燃焼させるため、第1熱処理工程において供給される原料の粒子径よりも小さい粒子径に調整された熱処理物を用いることが好ましい。第1熱処理工程後の熱処理物の粒揃えは、平均粒子径10mm以下となるように調整するのが好ましく、平均粒子径1〜8mmとなるように調整するのがより好ましく、平均粒子径1〜5mmとなるように調整するのが特に好ましい。第2熱処理工程における外熱キルン炉入口での平均粒子径が1mm未満では過燃焼の危惧があり、平均粒子径10mm超では、残カーボンの燃焼が困難であり、芯部まで燃焼が進まず得られる再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
外熱キルン炉の外熱源としては、外熱キルン炉内の温度制御が容易で、かつ長手方向の温度制御が容易な電気加熱方式の熱源が好適であり、したがって、電気ヒーターによる外熱キルン炉が好ましい。外熱源に電気を使用することにより、炉内の温度を細かく、かつ均一にコントロールすることができ、凝集体の形成、硬い・柔らかい等のさまざまな性質を有する熱処理物の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。また、電気炉は、電気ヒーターを炉の流れ方向に複数設けることで、任意に温度勾配を設けることが可能であると共に、熱処理物の温度を一定時間、一定温度に保持することができ、第1熱処理工程を経た熱処理物中の残留有機分、特に残カーボンを第2熱処理工程で炭酸カルシウムの分解を来たすことなく限りなくゼロに近づけることができ、例えば重質炭酸カルシウムと比べて低いワイヤー摩耗度で、高白色度の再生粒子を得ることができる。
第2熱処理工程における熱処理温度は、好ましくは550℃〜780℃、より好ましくは600℃〜750℃である。第2熱処理工程では、先に述べたように、第1熱処理工程で燃焼しきれなかった残留有機物、特に残カーボンを燃焼させる必要があるため、第1熱処理工程よりも高温で熱処理するのが好ましく、熱処理温度が550℃未満では、十分に残留有機物の燃焼を図ることができないおそれがあり、熱処理温度が780℃を超えると、熱処理物中の炭酸カルシウムの脱炭酸が進行し、粒子が硬くなるおそれがある。
第2熱処理工程としての外熱キルン炉における滞留(熱処理)時間としては、好ましくは60分以上、より好ましくは60分〜240分、特に好ましくは90分〜150分、最適には120分〜150分が、残カーボンを完全に燃焼させるに望ましい。特に残カーボンの燃焼は炭酸カルシウムの分解をできる限り生じさせない高温で、緩慢に燃焼させる必要があり、滞留時間が60分未満では、残カーボンの燃焼には短時間で不十分であり、他方、滞留時間が240分を超えると、炭酸カルシウムが分解するおそれがある。また、熱処理物の安定生産を行うにおいては、滞留時間を60分以上、過燃焼防止、生産性確保のためには、滞留時間を240分以下とするのが好適である。
第2熱処理工程としての外熱キルン炉から排出される熱処理物の平均粒子径は、10mm以下、好ましくは1mm〜8mm、より好ましくは1mm〜4mmに調整すると好適である。この調整は、例えば、熱処理物を一定のクリアランスを持った回転する2本ロールの間を通過させること等により行うことができる。
第2熱処理工程を経た熱処理物は、好適には凝集体であり、例えば冷却機により冷却された後、振動篩機などの粒径選別機により選別され、燃焼品サイロに一時貯留される。この後、配合・スラリー化工程及び粉砕工程で目的の粒子径に調整された後、再生粒子として填料等の用途先に仕向けられる。
なお、以上では、脱墨フロスを原料として用いた場合を例示したが、脱墨フロスを主原料に、抄紙工程における製紙スラッジ等の他の製紙スラッジを適宜混入させたものを原料とすることなどもできる。
(配合・スラリー化工程)
配合・スラリー化工程は、上記第2熱処理工程から排出される熱処理物に酸及び/又は塩を配合し、その熱処理物を水中に懸濁させてスラリー化させる工程である。
この熱処理物は、後工程である粉砕工程において、効果的な粉砕を図るために、ミキサー等を使用して水中に懸濁させ、スラリーとした後に粉砕するのが好ましい。この際のスラリー濃度(スラリー全体に対する添加された熱処理物の質量比)の下限としては、15%が好ましく、20%がさらに好ましい。また、このスラリー化濃度の上限としては、50%が好ましく、40%がさらに好ましい。スラリー化濃度が上記下限未満であると最終的に得られた粒子を固形状とする際に、多大なエネルギーが生じるなど生産効率が低下する。逆に、スラリー化濃度が上記上限を超えると、のちの粉砕工程において効果的な粉砕が困難となる、また凝固、固化が生じやすくなるなどのおそれがある。
上記酸及び/又は塩は、カルシウムイオンの存在下でカルシウム塩を析出し得るものである。当該酸及び/又は塩によれば、過燃焼によって生じた酸化カルシウムやメタカオリンに起因しスラリー中に溶け出したカルシウムイオンと反応し、カルシウム塩を析出させることで、カルシウムイオンとスラリー中に共存する珪酸イオンやアルミン酸イオンとの反応を抑え、硬化物質の生成を抑制させることができる。この結果、この酸及び/又は塩を用いることで、スラリーの凝固、固化を抑えることができる。
(粉砕工程)
粉砕工程は、上記工程にて得られたスラリーを粉砕し、微粒子化することで再生粒子を得る工程である。この粉砕工程においては、公知の粉砕装置等を用いることができる。この粉砕工程を経て、スラリーを適宜必要な粒子径に微細粒化することで、得られる再生粒子を塗工用の顔料、内添用の填料として好適に使用することができる。
(その他の工程)
再生粒子の製造方法においては、原料の凝集工程、造粒工程や、各工程間における分級工程、スラリーを炭酸化する炭酸化工程等を設けてもよい。
(炭酸化工程)
得られた再生粒子のスラリーは、そのままではpHが12以上とアルカリ性を呈し、例えば、塗工用顔料用途における塗工液調整工程で他の薬品と反応して品質低下をまねくおそれがある。従って、熱処理物又は再生粒子中の酸化カルシウムを炭酸カルシウムに戻してpHを低減させるために、第1熱処理燃焼工程や第2熱処理工程において排出された排ガス中の二酸化炭素を利用して、例えば7〜9にpH調整すると好適である。
なお、この炭酸化工程は、配合・スラリー化工程と粉砕工程との間、粉砕工程と同時、又は粉砕工程の後に行ってもよい。なお、この二酸化炭素の吹き込みは、他の酸及び/又は塩の配合に替えて、又は加えて、炭酸の配合として、配合・スラリー化工程とすることもできる。
炭酸化に際しては、反応槽の底部にガス吹き込み口を設けるとともに、槽内のpHを測定するpH計を設け、バッチ処理で、スラリーのpHが所定の値以下になるまで槽中のスラリーに対してガスを吹き込むことで実施することが出来る。また、VFポンプのような歯車が噛み合う部分にガス吹き込み口を設け、スラリーに対して粉砕とガスの吹き込みを同時に実施することが出来る。
炭酸化のための二酸化炭素としては、CO分離工程として、例えばPSA型分離装置等の二酸化炭素分離装置を用いて排ガスから二酸化炭素を分離して用いることができる。また、排ガスを直接利用したり、市販の二酸化炭素ガスを利用、併用したりすることもできる。
二酸化炭素の吹き込み速度は、一定とすることも、また可変とすることも可能であり、可変とする場合、pHの推移に応じて適宜調整すること等ができる。
本形態において、再生粒子のいっそうの品質安定化を図るためには、被処理物の粒子径を、各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大や微小粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロス(脱水物)を造粒することが好ましく、更には造粒物の粒子径を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。造粒においては、公知の造粒設備を使用できるが、回転式、攪拌式、押し出し式等の設備が好適である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定値は以下の方法にて測定した値である。
(ア)粒子(凝集体を含む)の体積平均粒子径(単位:μm)
粒子(凝集体を含む)10mgを超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。この分散液をレーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 マイクロトラックMT−3000II、にて測定、日機装社製)により、平均粒子径を測定した。
(イ)粘度(単位:cps)
デジタル式B型粘度計(東機産業社製、型番:TVB−10M)No.2のローターを使用し60rpm、25℃にて測定した。
(ウ)灰分(再生粒子)歩留(単位:%)
抄紙前のスラリーと抄紙後抜け落ちた白水(白水と記述する)について、それぞれ固形分濃度と灰分濃度を測定した。下記式(2)により灰分(填料)歩留りを測定した。なお、灰分の測定は、抄紙前のスラリーと白水とについて、その固形分を525℃で灰化し、質量を測定した。
灰分歩留=100×(A−B)/A ・・・(2)
A:抄紙前のスラリーの灰分濃度(g/l)
B:白水の灰分濃度(g/l)
(エ)印刷後不透明度(単位:%)
坪量40g/mの紙とともに、それぞれ坪量50g/mの紙を作成し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.45(2000)に記載の「新聞用紙−印刷後不透明度試験方法」に準拠し、オフセット輪転印刷機(型番:RI−2型、石川島産業機械社製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業社製)のインキ量を変えて、18万部/時の速度で印刷し、印刷面反射率が10%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率:(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100(%)をそれぞれ算出した後、坪量43g/mに換算した。
(オ)灰分(単位:%)
JIS−P8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法」に準拠して測定した。
(カ)引裂強度(単位:mN)
JIS−P8116に記載の「紙−引裂強さ試験方法−エレメンドルフ形引裂試験機法」に準拠して測定した。
〔再生粒子の製造〕
原料として脱墨フロスを用い、水分率が45質量%、平均粒径が10mm、また、50mm以下の粒子の割合が90質量%となるように脱水工程を行った。この脱水物にシャワー水による洗浄を経て、第1熱処理工程、その後、第2熱処理工程を以下の条件で行い熱処理物を得た。
第1熱処理工程条件
燃焼形式:内熱キルン
燃焼温度:500℃
酸素濃度:10%
滞留時間:50分
第2熱処理工程条件
燃焼形式:外熱キルンと内熱キルンの併用
入口の平均粒子径:5mm
燃焼温度:700℃
酸素濃度:14%
滞留時間:140分
出口の平均粒子径:5mm
得られた熱処理物100質量部に対して、配合・スラリー化工程として、硫酸カルシウム二水和物0.3質量部を添加し、この添加物を水中に懸濁させて、濃度(スラリーの全質量に対する熱処理物の質量比)35質量%のスラリーを得て、粉砕装置にて粉砕した。この粉砕物を分級し、体積平均粒子径1.5μm、3μm及び7μmの再生粒子をそれぞれ得た。
<実施例1>
上記方法にて得られた体積平均粒子径3μmの再生粒子50質量部と重質炭酸カルシウム粒子A50質量部とを水に分散させ、17.4質量%(固形分濃度)の粒子スラリーを得た。この粒子スラリーに、凝集剤Aを1,750ppm添加し、得られた凝集粒子の体積平均粒子径及びスラリー粘度を測定した。なお、凝集剤Aは、固形分濃度0.1質量%に希釈して添加した。
次に、新聞古紙由来のDIP90部とTMP10部との混合パルプからなるパルプスラリーに、得られた凝集粒子スラリーをパルプ1kg(固形分)に対し30g(固形分)配合し、直後に抄紙(手抄き)し、カレンダーにて平坦化処理することにより、坪量40g/mの実施例1の紙(手抄きシート)を得た。
<実施例2〜17及び比較例1〜5>
用いた再生粒子及び重質炭酸カルシウム粒子の種類及び配合比並びに凝集剤の種類及び添加量を表1に示した通りとしたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜17及び比較例1〜5の紙を得た。
なお、用いた各重質炭酸カルシウム粒子及び凝集剤は以下の通りである。
・重質炭酸カルシウム粒子A:備北粉化工業社製「ハイドロカーブ75F」
体積平均粒子径:1.62μm
10%体積平均粒子径:0.67μm
90%体積平均粒子径:3.51μm
最頻値を占める粒子の体積割合:4.8体積%
ここで、最頻値を占める粒子の体積割合は、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置(型番:MT−3300)を用い、測定回数:Avg/2(2回の測定の平均)、測定時間:10秒、分布表示:体積、粒径区分:標準、計算モードMT−3300II、測定上限2,000μm、測定下限0.021μmの条件下で測定を行い、0.021μmから2,000μmの範囲を132対数分割して測定した当該複合粒子の粒度分布における最頻値を占める1分割あたりの粒子の頻度割合である。
・重質炭酸カルシウム粒子B:イメリス社製「カービタル#60」
体積平均粒子径:2.23μm
10%体積平均粒子径:0.77μm
90%体積平均粒子径:5.24μm
最頻値を占める粒子の体積割合:4.6体積%
・重質炭酸カルシウム粒子C:イメリス社製「カービラックス#100」
体積平均粒子径:0.67μm
10%体積平均粒子径:0.39μm
90%体積平均粒子径:1.38μm
最頻値を占める粒子の体積割合:7.2体積%
・凝集剤A:ハイモ社製「ハイモロックFR−740」
アクリルアミドとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの共重合体及びポリアルキレンポリアミン混合物
質量平均分子量:850万
カチオン電荷密度:8.0meq/g
・凝集剤B:ハイモ社製「ハイモロックND−270」
カチオン性ポリアクリルアミド
質量平均分子量:1,500万
カチオン電荷密度:2.0meq/g
・凝集剤C:アベベジャパン社製「アミロファックスT―2600」
カチオン化澱粉
・凝集剤D:
質量平均分子量:350万
カチオン電荷密度:5.0meq/g
・凝集剤E:
質量平均分子量:2,100万
カチオン電荷密度:5.0meq/g
<実施例18>
実施例1の過程で得られた凝集粒子(凝集粒子1とする)を用いて固形分濃度10%の凝集粒子スラリーを調整し、このスラリー200gに珪酸ナトリウム水溶液(5質量%)60gを添加して、ホモミキサーを使用して回転数3,000rpmで20分間、分散処理を行い珪酸ナトリウムを含むスラリーを調製した。次に、このスラリーを攪拌機、温度センサー、還流冷却器の付いた1Lの四口フラスコに入れ、攪拌しながら油浴にて75℃に昇温した。次に容器内のスラリーを75℃に保ちながら、1規定の硫酸150mLを定量ポンプを使用して、滴下速度2.5mL/分で1時間かけて滴下し、シリカで被覆された凝集粒子を含む凝集粒子スラリーを得た。このときの反応液のpHは8.8であった。
次に、新聞古紙由来のDIP90部とTMP10部との混合パルプからなるパルプスラリーに、得られた凝集粒子スラリーをパルプ1kg(固形分)に対し30g(固形分)配合し、直後に抄紙(手抄き)し、カレンダーにて平坦化処理することにより、坪量40g/mの実施例18の紙(手抄きシート)を得た。
<実施例19〜27>
凝集粒子として、表2に記載の実施例3で得られたもの(凝集粒子3)又は実施例4で得られたもの(凝集粒子4)、更に実施例5で得られたもの(凝集粒子5)を用い、シリカ被覆の際の反応条件を表2に記載のとおりとした以外は、実施例18と同様にして実施例19〜27の紙を得た。なお反応pH及び反応温度は、粒子種や反応時間等によって変化した。
この抄紙の際の灰分歩留まり、並びに得られた紙の印刷不透明度、灰分及び引裂強度を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005683206
Figure 0005683206
表1及び表2に示すように、本発明の製造方法によれば、灰分(填料)の歩留まりが高く、印刷不透明度に優れ、高い強度を有する紙を得ることができる。
本発明の紙の製造方法によれば、再生粒子を填料として効率的に使用することができるため、製紙工場等において好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られた再生粒子と、重質炭酸カルシウム粒子とを凝集剤により凝集させて凝集粒子スラリーを得る凝集工程、
    上記凝集粒子スラリーをパルプスラリーに添加する添加工程、及び
    上記凝集粒子スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙する抄紙工程
    を有し、
    上記凝集工程を経て得られた凝集粒子の体積平均粒子径が2μm以上15μm以下である製紙方法。
  2. 上記凝集粒子表面にシリカを被覆させるシリカ複合工程
    を上記添加工程前にさらに有し、
    上記シリカ被覆された凝集粒子の体積平均粒子径が、3μm以上17μm以下である
    請求項1に記載の製紙方法。
  3. 上記凝集剤が、カチオン性合成高分子を含み、
    この凝集剤の質量平均分子量が400万以上2,000万以下、カチオン電荷密度が10meq/g以下である請求項1又は請求項2に記載の製紙方法。
  4. 上記再生粒子の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下であり、
    上記重質炭酸カルシウム粒子の体積平均粒子径が1μm以上3μm以下である請求項1から請求項3のいずれかに記載の製紙方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製紙方法により得られる紙。
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