JP5912540B2 - ドグ歯の鍛造装置及び同鍛造方法 - Google Patents
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改良型ドグクラッチに、回転体の一平面に環状溝を設け、この環状溝にドグ歯を設けることで、ドグクラッチの軸方向寸法を小さくした構造のものが知られている。ただし、環状溝にドグ歯を設けると、ドグ歯の加工が難しくなる。そこで、環状溝に設けられるドグ歯のための加工法が提案されてきた(例えば、特許文献1(図5)参照。)。
図16は従来の鍛造装置の原理を説明する図である。
図16(a)に示すように、加工対象物である中間製品100は、一平面(2つの側平面のうちの一方の平面。以下同様)に環状溝101を備え、この環状溝101の内側壁102にドグ粗歯103が前工程で形成されている。
特許文献1の構造では、ダイ駒105の寿命が短く、ダイ駒105の交換コストが嵩む。
基盤と、この基盤に移動可能に取付けられるホルダと、このホルダを前記基盤から離れる方向へ付勢する第1付勢部材と、前記ホルダの外周に前記ホルダの中心を通る放射線に沿って移動可能に配置される分割片であって、前記ホルダの中心側の面に前記ドグ粗歯の谷へ嵌合され前記ドグ粗歯を整形する歯整形部を備え前記ホルダの中心から遠い方の面に前記基盤に近いほど前記ホルダの中心へ近づくような傾斜面を備えており且つ筒を分割してなる複数個の分割片と、前記基盤に固定され前記ホルダが前記基盤に近づくときに、前記分割片の前記傾斜面を前記ホルダの中心へ押し出すテーパ部が先端に備えられ前記複数個の分割片を囲う円筒状のドライバーと、前記基盤に移動可能に取付られ前記ドライバーを囲うバックアップリングと、このバックアップリングを前記第1付勢部材と同方向へ付勢する第2付勢部材と、前記中間製品を相対的に前記基盤に向かって押すパンチ機構とからなる。
前記第1付勢部材及び前記第2付勢部材の付勢作用により、前記ドライバーよりも前記分割片の先端及び前記バックアップリングの先端を前記パンチ機構側へ突出させた状態で待機させる待機工程と、前記分割片の先端及び前記バックアップリングの先端が、前記環状溝に進入するようにして、前記分割片の先端及び前記バックアップリングの先端に前記中間製品を載せる、又は前記パンチ機構に前記中間製品を載せるセット工程と、前記パンチ機構により、前記第1付勢部材及び前記第2付勢部材に抗して、前記中間製品を相対的に前記基盤に近づくように押す前進工程とからなり、
この前進工程で、前記ドライバーのテーパ面で前記分割片が前記ホルダの中心へ押し出され、前記分割片の前記歯整形部で前記ドグ粗歯を整形するようにし、この工程中、バックアップリングを前記環状溝の外周側の壁に当て、このバックアップリングで前記ドライバーが拡径しないようにバックアップさせることを特徴とする。
分割片は歯整形部の背面にあたる傾斜面がドライバーで押されるため、分割片に曲げ応力が発生しない。結果、分割片に亀裂が入ることはなく、分割片の寿命が大幅に延びる。
したがって本発明によれば、ドグ粗歯を鍛造法で仕上げるドグ歯鍛造技術において、分割片を主要素とする鍛造装置の寿命を延ばすことができる技術が提供される。
揺動については、ピンにピン穴を嵌めることで実現できるため、鍛造装置のコンパクト化を図ると共に設備費の圧縮が可能となる。
分割片の外側にドライバーを配置し、このドライバーの外にバックアップリングを配置するため、分割片に加わる反力は、ドライバーを介してバックアップリングに作用する。このバックアップリングを、中間製品に設けた環状溝の外周側の壁に当てることで、バックアップリングを、中間製品でバックアップさせることができ、分割片に加わる反力は中間製品でも受け持たせることができる。結果、バックアップリングの薄肉化及び軽量化が可能となり、鍛造装置のコンパクト化及び低コスト化が図れる。
図3に示すように、鍛造装置20は、ベースとなる基盤21と、この基盤21に上下に移動可能に取付けられる円筒状のホルダ22と、このホルダ22を基盤21から離れる方向へ、すなわち上方へ付勢する第1付勢部材23と、ホルダ22に取付けられる分割片24、24と、基盤21に固定され分割片24、24を囲う円筒状のドライバー25と、基盤21に上下に移動可能に取付けられドライバー25を囲うバックアップリング26と、このバックアップリング26を基盤21から離れる方向へ、すなわち上方へ付勢する第2付勢部材27と、中間製品10を基盤21に向かって押す(この例では押し下げる)パンチ機構30と、このパンチ機構30を支える上部フレーム31とからなる。
なお、鍛造装置20は、天地を逆にすることができる。その説明は後述する。
図4に示すように、ホルダ22の外周に、ホルダ22の中心から放射状に伸びる放射線37に沿って所定ピッチでピン38が植えられる。1本のピン38に1個の分割片24(形状の詳細説明は後述する。)が取付けられる。このピン38より上方位置にて、ホルダ22に付勢手段としてのOリング39が嵌められる。
バックアップリング26は、ドライバー25を囲う部材であり、略円筒形状を呈し、図面下方へ延びる複数のロッド42を有する。
図6に示すように、歯整形部44は、上辺44aが広く、下辺44bが上辺44aより狭い、いわゆる逆テーパ形の歯型である。
分割片24の傾斜面45は平坦面である。このような傾斜面45に接するドライバー25のテーパ部41は、多角形の一辺(頂点P1と隣の頂点P2を直線で結んだ辺)で構成されることにより、平坦面とされる。
基盤21に、厚肉の円筒部46が設けられ、この円筒部46に、ロッド42が上下に貫通するようにしてバックアップリング26が載せられる。ロッド42がコイルスプリングなどの第2付勢部材27により、基盤21から離れる方向へ付勢させる。
バックアップリング26は、円筒部46に設けられている第1ストッパ面47で図面上方への移動位置が制限され、第2ストッパ面48で図面下方への移動が制限される。すなわち、バックアップリング26は第1ストッパ面47と第2ストッパ面48との間でのみ移動可能である。
ホルダ22は、コイルスプリングに代表される第1付勢部材23により、基盤21から離れる方向に付勢される。
ホルダ22は、例えばストッパ用突起49を備え、この突起49が円筒部46に設けた第3ストッパ面51で図面上方への移動位置が制限され、第4ストッパ面52で図面下方への移動が制限される。
分割片24は、ピン38を介してホルダ22に支持される。分割片24に設けたピン穴43は、分割片24が図面左右に移動及び揺動可能なように、ピン38の外径より大きな穴径を有する。
Oリング39の弾発力により、分割片24は、ホルダ22から離れるように寄せられる。
すなわち、図9に示すように、第2付勢部材27が縮められ、バックアップリング26が下がり、第1付勢部材23が縮められ、ホルダ22及び分割片24が下がる。静止しているドライバ−25により、分割片24はテーパ部41で押し出され、ホルダ22側へ移動若しくは揺動する。
図8及び図3に示すように、ドライバー25よりも分割片24の先端及びバックアップリング26の先端をパンチ機構30側へ突出させた状態で待機させる(待機工程)。
次に、図10に示すように、分割片24の先端及びバックアップリング26の先端が、環状溝13に進入するようにして、分割片24の先端及びバックアップリング26の先端に中間製品10を載せる(セット工程)。このときには、セットが可能なように、ドグ粗歯14から歯整形部44が所定寸法だけ離れている。
すなわち、前進工程で、ドライバー25のテーパ部41で分割片24がホルダ22の中心へ押し出され、分割片24の歯整形部44でドグ粗歯14を整形する。
結果、図11に示すように、ドグ粗歯14は、歯整形部44で整形される。
すなわち、図12に示すように、バックアップリング26と環状溝13の外周側の壁(外周壁13a)との間に隙間があってもよい。
このピストンロッド35に、環状溝13が上になるようにして中間製品10を載せる。
パンチ機構30で中間製品10を押し上げることで、所定の鍛造処理を行わせる。
次に、パンチ機構30で中間製品10を押し上げる。中間製品10は受け部55で上昇が制限されるためで、中間製品10に所定の鍛造処理を行わせることができる。図14は更に天地を逆にすることもできる。
すなわち、基盤21が静止している形態と基盤21が移動している形態の何れも採用でき、中間製品10を相対的に基盤21に向かって押し出すことで所定の鍛造処理を行うことができる。
図15(a)は前進工程の開始時の形態を示し、(b)は前進工程の完了時の形態を示す。図15(a)に示すように、隣り合う分割片24、24の間に、隙間57、57が存在する。分割片24は、隙間57の範囲で図面左右方向へ揺動可能である。また、図10において、ピン穴43の径がピン38の外径より、大きい分だけ、図面左右に揺動し得る。
すなわち、分割片24が揺動可能なため、ドグ粗歯14の寸法精度が多少悪くても、歯整形部44をドグ粗歯14の谷14aに柔軟に嵌合させることができる。
Claims (5)
- 円板状ワークの一平面に環状溝が設けられ、この環状溝の内周側の壁に複数のドグ粗歯が前工程で形成されている中間製品を対象とし、前記ドグ粗歯を鍛造法により整形するドグ歯の鍛造装置において、
基盤と、
この基盤に移動可能に取付けられるホルダと、
このホルダを前記基盤から離れる方向へ付勢する第1付勢部材と、
前記ホルダの外周に前記ホルダの中心を通る放射線に沿って移動可能に配置される分割片であって、前記ホルダの中心側の面に前記ドグ粗歯の谷へ嵌合され前記ドグ粗歯を整形する歯整形部を備え前記ホルダの中心から遠い方の面に前記基盤に近いほど前記ホルダの中心へ近づくような傾斜面を備えており且つ筒を分割してなる複数個の分割片と、
前記基盤に固定され前記ホルダが前記基盤に近づくときに、前記分割片の前記傾斜面を前記ホルダの中心へ押し出すテーパ部が先端に備えられ前記複数個の分割片を囲う円筒状のドライバーと、
前記基盤に移動可能に取付られ前記ドライバーを囲うバックアップリングと、
このバックアップリングを前記第1付勢部材と同方向へ付勢する第2付勢部材と、
前記中間製品を相対的に前記基盤に向かって押すパンチ機構と、からなるドグ歯の鍛造装置。 - 前記ホルダに前記放射線に沿って延びるピンを設け、前記ピンに嵌合させたときに前記分割片が揺動可能になるように前記ピンより大径にしたピン穴が前記分割片に設けられ、前記ピンで前記分割片を揺動可能に支持するようにしたことを特徴とする請求項1記載のドグ歯の鍛造装置。
- 前記分割片の前記傾斜面は平坦面であり、このような前記傾斜面に接触させる前記ドライバーの前記テーパ部は、多角形の一辺とすることで平坦面にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のドグ歯の鍛造装置。
- 前記分割片を、前記ホルダの中心から離れる方向へ付勢する付勢手段を備え、この付勢手段は、前記ピンより前記パンチ機構側位置にて、前記ホルダに取付けたOリングであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のドグ歯の鍛造装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のドグ歯の鍛造装置を用いて実施するドグ歯の鍛造方法において、
前記第1付勢部材及び前記第2付勢部材の付勢作用により、前記ドライバーよりも前記分割片の先端及び前記バックアップリングの先端を前記パンチ機構側へ突出させた状態で待機させる待機工程と、
前記分割片の先端及び前記バックアップリングの先端が、前記環状溝に進入するようにして、前記分割片の先端及び前記バックアップリングの先端に前記中間製品を載せる、又は前記パンチ機構に前記中間製品を載せるセット工程と、
前記パンチ機構により、前記第1付勢部材及び前記第2付勢部材に抗して、前記中間製品を相対的に前記基盤に近づくように押す前進工程とからなり、
この前進工程で、前記ドライバーのテーパ面で前記分割片が前記ホルダの中心へ押し出され、前記分割片の前記歯整形部で前記ドグ粗歯を整形するようにし、この工程中、バックアップリングを前記環状溝の外周側の壁に当て、このバックアップリングで前記ドライバーが拡径しないようにバックアップさせることを特徴とするドグ歯の鍛造方法。
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