JP5909125B2 - ソルボサーマル反応を利用した金属粒子の製造方法 - Google Patents

ソルボサーマル反応を利用した金属粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数の金属イオンを含む混合液(例えば、メッキ廃液などの廃液)からソルボサーマル反応により効率よく金属粒子を製造する方法に関する。
金属イオンが溶存する廃液(廃水)には、例えば、鉱山廃水、化学工場廃水、製錬所廃水、製鉄所廃水、メッキ工場廃水、ごみ焼却所廃水、家電などのリサイクル製品から抽出した酸性水溶液がある。
このような廃水には、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、金などの金属イオンが含まれている。そして、このような廃水から金属イオンを有価物として回収し、再資源化するためには、それぞれ金属イオンを分離するための選択的分離・分解(セパレーション)技術と選択的に分離した金属イオンを再資源化するための溶存イオンの再資源化技術とが必要である。
金属イオンを選択的に分離するセパレーション技術としては、溶媒抽出技術、沈殿化技術、吸着技術、微生物を利用する技術、精錬技術などが開発され、その組み合わせにより、混合物の溶存金属イオンを分離することができるようになりつつある。
選択的な金属イオンの分離に続き、水溶液中に溶存する金属イオンを再資源化する技術としては電解採取技術、不溶化技術、精錬技術、水熱反応を利用する技術が開発されている。しかし、従来の再資源化技術では、経済的に溶存金属イオンを再資源化できず、廃水からの有価金属の回収及び再利用は実用に至るレベルにまで進んでいないことが多い。
例えば、特許第2997110号公報(特許文献1)に記載の方法では、電解採取方法により陰極に高純度の銅を析出させるため、有価金属を回収再利用できるが、金属イオンが溶存した槽に陽極と陰極とを配置して通電するため、極めて大きな電気エネルギーが必要となり、コスト的に見合わず、有価金属の回収方法として実用的ではない。
また、特許第4388091号公報(特許文献2)や特許第4407061号公報(特許文献3)に記載の方法では、溶存している金属イオンを金属塩として回収できるものの、溶存している金属種が多くなればなるほど、使用する薬剤の種類及び固液分離工程が複雑となり、プロセスが複雑化したり、高コストになるという問題がある。また、金属塩の状態では利用価値が低く、回収品を使用するよりも新品を使用するほうが安価であるため、再資源化技術としては成立しがたい。
なお、不溶化やスラッジ化により回収した溶存金属イオンを精錬して再資源化する技術も古くから検討されているが、乾式精錬を行うため、同様に、コストが高くなるなどの問題がある。
近年、新しく開発されている溶存金属イオンの再資源化方法として水熱反応や水熱鉱化処理方法が知られている。例えば、特許第4064850号公報(特許文献4)には、高温、高圧化の水媒体中での反応、すなわち水熱反応(水熱合成とも呼ばれる)で、ジルコニウム、モリブデン、鉄、クロム、パラジウムもしくは銅をそれぞれの酸化物として回収でき、再資源化できることが記載されている。なお、水熱鉱化処理は地殻中で行われている鉱物の生成原理を真似た技術であり、非特許文献1(化学工業 2008年7月号45〜51頁)には、鉱化剤とともに金属イオンを高温、高圧化で加熱することにより、クロム、リン、ヒ素、ホウ素、フッ素などを回収できることが記載されている。
しかし、このような水熱反応による金属イオンの資源化では、再資源化により得られる化合物は、水の酸化力のため金属酸化物に限られている。また、生成した金属酸化物がナノメートルサイズの粒子(ナノ粒子と呼ばれる)になると、ナノ粒子の高い表面エネルギーのため、凝集が起こりやすいという特徴がある。
このように、廃液中の溶存金属イオンは、プロセス効率や経済的な理由から、再利用されず、スラッジ化され廃棄処分されているのが現状であり、廃液中の溶存金属イオンを経済的に再資源化でき、金属酸化物以外のナノ粒子にも効率よく適用できる有価金属もしく有害金属の回収、再利用ができる技術が求められている。
なお、近年、種々の有機溶媒を用いるソルボサーマル反応が注目されている。このソルボサーマル反応の特徴は、有機溶媒を用いることにより、水媒体の場合とは異なり、還元性の雰囲気下で反応が行われるため、得られる粒子が金属酸化物に限られないという点にある。また、別の特徴としては、生成する化合物がナノ粒子になりやすく、表面に使用した有機溶媒由来の有機物が存在する点であり、生成したナノ粒子を比較的容易に溶媒に分散できるという利点を有している。さらに、反応仕込み時に界面活性剤を共存させることで均一液相からナノ粒子を合成できるため、生成したナノ粒子の溶媒に対する分散性を強化することができる。このようなソルボサーマル反応を利用した先行技術として、特開2009−233845号公報(特許文献5)には、エタノールやN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒に、界面活性剤を加えた均一液相中から、金属ナノ粒子や金属酸化物のナノ粒子を凝集することなく合成できたことが記載されている。そして、この文献の方法では、数ナノメートルサイズから数十ナノメートルサイズのナノ粒子が孤立分散の状態で得られている。
なお、この文献では、金属単体からなるナノ粒子の他、複数の金属を含む金属酸化物のナノ粒子などについても想定しているが、複数の金属を別の粒子の形態で生成させることはできず、そのため、複数の金属を分離することはできない。
特許第2997110号公報(特許請求の範囲) 特許第4388091号公報(特許請求の範囲) 特許第4407061号公報(特許請求の範囲) 特許第4064850号公報(特許請求の範囲) 特開2009−233845号公報(特許請求の範囲、実施例)
化学工業 2008年7月号45〜51頁
従って、本発明の目的は、複数の金属イオンを含む混合液からソルボサーマル反応により効率よく金属粒子を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、複数の金属イオンを含む混合液から、各金属イオンを別の粒子として効率よく分離できる方法を提供することにある。
本発明者らは、複数の金属イオンを含む混合液を、(i)所望の金属イオンを特定の金属化合物(すなわち、金属水酸化物)として分離し、ソルボサーマル反応に供するか、又は(ii)所望の金属イオンを還元可能な特定の有機溶媒(例えば、アルコール類)の存在下で、ソルボサーマル反応に供することにより、所望の金属イオンを金属粒子(金属単体粒子など)の形態で混合液から効率よく分離回収できること、また、後者の方法(ii)では、複数の金属イオンを、所望の金属イオンの粒子(金属単体粒子など)とは別の形態の粒子(例えば、金属酸化物粒子)として生成させることができ、所望の金属イオンのみならず、他の金属イオンも容易に分離回収できること、さらに、いずれの方法(i)および(ii)においても、ソルボサーマル反応を利用するため、所望の金属イオンを、反応において使用した有機溶媒や界面活性剤(アミン類など)由来の有機層により表面が被覆され、安定化された金属粒子(特に、金属ナノ粒子)の形態で分離、回収できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法では、金属(a)のイオンと、この金属(a)と金属種が異なる金属(b)のイオンとを含む混合液を用い、下記工程(1)又は(2)を経て、前記金属(a)のイオンを還元し、金属(a)の金属粒子(A)を製造する。
(1)混合液から金属(a)のイオンを分離し、金属(a)の金属水酸化物に変換した後、金属(a)のイオンを還元可能な有機溶媒(C1)の存在下で、前記金属水酸化物をソルボサーマル反応に供し、金属粒子(A)を生成させる工程
(2)混合液を、金属(a)のイオンを還元可能であり、かつ金属(b)のイオンを還元しない有機溶媒(C2)の存在下で、ソルボサーマル反応に供し、金属粒子(A)を生成させる工程。
上記方法において、金属(b)のイオン化傾向は、金属(a)のイオン化傾向よりも大きくてもよい。また、金属(a)の標準酸化還元電位(25℃)と金属(b)の標準酸化還元電位(25℃)との差は、例えば、0.2V以上であってもよい。
前記方法において、代表的には、金属(a)が、周期表第8族金属、周期表第9族金属、周期表第10族金属、周期表第11族金属から選択された少なくとも1種であり、金属(b)が、周期表第4族金属、周期表第5族金属、周期表第6族金属、周期表第7族金属、周期表第8族金属、周期表第12族金属および周期表第13族金属から選択された少なくとも1種であってもよい。特に、金属(a)は、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金から選択された少なくとも1種であり、金属(b)が、チタン、ジルコニウム、マンガン、亜鉛、ガリウムおよびインジウムから選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
本発明では、金属(a)が複数の金属を含む場合、金属粒子(A)としてこれらの複数の金属を含む合金粒子を生成させることもできる。そのため、前記方法は、金属(a)が複数の金属を含み、金属粒子(A)として、これらの複数の金属を含む合金粒子(例えば、ニッケル−コバルト合金粒子、複数の貴金属からなる合金粒子など)を生成させる方法であってもよい。
前記混合液は、廃液、例えば、メッキ廃液であってもよい。
前記工程(1)において、混合液から金属(b)のイオンを抽出して分離することで、金属(a)のイオンを分離してもよい。例えば、工程(1)において、混合液から、金属(a)のイオンを抽出せず、かつ金属(b)のイオンを抽出可能な抽出剤を用いて、金属(b)のイオンを分離してもよい。
特に、工程(1)において、金属(b)のイオンを分離し、金属(a)のイオンを含む分離液から、さらに、抽出により金属(a)のイオンを分離し、金属水酸化物に変換してもよい。例えば、工程(1)において、抽出剤を用いて金属(a)のイオンを分離し、さらに、金属(a)のイオンを含む抽出剤から、金属(a)のイオンを酸成分による逆抽出により金属(a)のイオンを含む酸性溶媒の形態で分離し、金属水酸化物に変換してもよい。
前記方法(工程(1)又は工程(2))において、有機溶媒(C1)又は(C2)は、アルコール類、特にグリコール類(特に、1,4−ブタンジオール)であってもよい。
前記方法(工程(1)又は工程(2))では、さらに、界面活性剤(例えば、アミン類)の存在下で、ソルボサーマル反応を行ってもよい。
前記方法で得られる金属粒子(A)は、通常、ナノ粒子であってもよい。代表的には、前記金属粒子(A)は、金属(a)で構成されたコア粒子と、このコア粒子表面に有機溶媒(C1)又は(C2)(及び界面活性剤)由来の成分で形成された有機層とを含むナノ粒子であってもよい。
前記工程(2)においては、ソルボサーマル反応により、金属粒子(A)(例えば、金属単体粒子、合金粒子)とともに、金属(b)の金属粒子(B)(例えば、金属酸化物粒子)を生成させてもよい。
なお、本明細書において、「金属のイオン」とは、金属がイオン結合性(又は酸化数が0を越える値)であることを示し、混合液においてイオン(カチオン)として存在する場合のみならず、溶解(イオン化)することなく、金属塩や金属化合物においてイオン結合を形成している場合を含む場合がある。
本発明では、特定の工程を経ることにより、複数の金属イオンを含む混合液からソルボサーマル反応により効率よく金属粒子を製造(分離又は回収)できる。すなわち、このような本発明の方法によれば、ソルボサーマル反応を利用できるため、複数の金属イオンを含む混合液(混合系)から、所望の金属イオンを、凝集などが生じにくい安定化された金属粒子(金属ナノ粒子)として分離できる。また、本発明の方法では、複数の金属イオンを含む混合液から、複数の金属を含む粒子(複合金属酸化物粒子など)としてではなく、各金属イオンを、それぞれ、別の粒子として(例えば、金属単体粒子や合金粒子などと、金属酸化物粒子とに分けて)効率よく分離できる。そのため、磁気を作用させるなどの方法により、容易に、各金属の粒子(特に、ナノ粒子)を分離、回収できる。
本発明の方法では、金属(a)のイオンと、この金属(a)と金属種が異なる金属(b)のイオンとを含む混合液を用い、特定の工程(1)又は(2)を経て、前記金属(a)のイオンを還元し、金属(a)の金属粒子(A)(金属(a)を金属成分とする粒子)を製造する。
[混合液]
混合液には、金属(a)のイオンおよび金属(b)のイオンが含まれている。金属(a)および金属(b)としては、分離できる限り、特に限定されず、工程(1)および工程(2)にもよるが、例えば、周期表第2族金属(例えば、マグネシウムなど)、周期表第3族金属(例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタノイドなど)、周期表第4族金属(例えば、チタン、ジルコニウムなど)、周期表第5族金属(例えば、バナジウム、ニオブ、タンタルなど)、周期表第6族金属(例えば、クロム、モリブデン、タングステンなど)、周期表第7族金属(例えば、マンガンなど)、周期表第8族金属(例えば、鉄、ルテニウム、オスミウムなど)、周期表第9族金属(例えば、コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、周期表第10族金属(例えば、ニッケル、パラジウム、白金)、周期表第11族金属(例えば、銅、銀、金)、周期表第12族金属(例えば、亜鉛、カドミウム、水銀)、周期表第13族金属(例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、周期表第14族金属(例えば、ゲルマニウム、スズ、鉛など)、周期表第15族金属(例えば、アンチモン、ビスマスなど)などが挙げられる。金属(a)および金属(b)は、それぞれ、これらの金属を単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、金属(a)と金属(b)とは、異種であれば、分離できる限り、同族の金属であってもよい。
なお、イオン(カチオン)の価数又は酸化数は、金属の種類に応じて適宜選択でき、一価(+1)、二価(+2)、三価(+3)、四価(+4)、五価(+5)、六価(+6)などのいずれであってもよい。例えば、ニッケルイオンの価数は、+2、+4などが代表的であり、特に、+2であってもよい。また、亜鉛イオンの価数は、代表的には、+2であってもよい。
特に、金属(b)は、イオン化傾向において、金属(a)よりも大きい金属であってもよい。換言すれば、金属(b)(金属(b)のイオン)は、標準酸化還元電位(又は標準電極電位)において、金属(a)(金属(a)のイオン)よりも小さい金属(又は金属のイオン)であってもよい。このような組み合わせの金属(a)および金属(b)では、互いに分離しやすい場合が多い。
金属(a)(又はそのイオン)の標準酸化還元電位(25℃)と、金属(b)(又はそのイオン)の標準酸化還元電位(25℃)との差は、例えば、0.1V以上(例えば、0.15〜4V)、好ましくは0.2V以上(例えば、0.25〜3.5V)、さらに好ましくは0.3V以上(例えば、0.35〜3V)、特に0.4V以上(例えば、0.45〜2.5V)であってもよい。
なお、金属(a)が複数の金属を含む場合、後述のように、合金粒子(又は複合金属粒子)を得ることができる。このような場合、各金属(a)(又はそのイオン)の標準酸化還元電位(25℃)と金属(b)(又はそのイオン)の標準酸化還元電位(25℃)との差が、上記範囲を充足してもよい。
また、複数の金属(a)(又はそのイオン)間の標準酸化還元電位(25℃)の差は、金属(b)(又はそのイオン)の標準酸化還元電位(25℃)にもよるが、例えば、2V以下(例えば、0.001〜1.5V)、好ましくは1V以下(例えば、0.005〜0.8V)、さらに好ましくは0.5V以下(例えば、0.01〜0.4V)、特に0.3V以下(例えば、0.015〜0.3V、好ましくは0.015〜0.2V)であってもよい。
代表的な金属(a)には、周期表第8族金属、周期表第9族金属、周期表第10族金属、周期表第11族金属から選択された少なくとも1種などが含まれる。特に、金属(a)は、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、代表的な金属(b)には、周期表第4族金属、周期表第5族金属、周期表第6族金属、周期表第7族金属、周期表第8族金属、周期表第12族金属および周期表第13族金属から選択された少なくとも1種などが含まれる。特に、金属(b)は、チタン、ジルコニウム、マンガン、亜鉛、ガリウムおよびインジウムから選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
なお、混合液は、金属(a)のイオンおよび金属(b)のイオン以外のカチオン[例えば、水素イオン(H)など]を含んでいてもよい。
なお、混合液において、金属(a)のイオンと金属(b)のイオンとの割合は、特に限定されないが、例えば、前者/後者(重量比)=99.9/0.1〜1/99、好ましくは99.5/0.5〜5/95、さらに好ましくは99/1〜10/90程度であってもよい。
そして、混合液には、金属(a)のイオン、金属(b)のイオンや、これら以外のカチオンのカウンターイオンとして、アニオンを含んでいる。このようなアニオンは、特に限定されず、例えば、ハロゲン化物イオン(Cl,Br,Iなど)、無機酸イオン[例えば、硫酸イオン(SO 2−)、硝酸イオン(NO )、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンなど]、有機酸イオン(例えば、酢酸イオン、クエン酸イオンなど)、ジケトン化合物の共役塩基(例えば、アセチルアセトナートなど)などが挙げられる。混合液は、これらのアニオンを単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
混合液を構成する溶媒は、特に限定されず、水、有機溶媒{例えば、アルコール類[例えば、アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのC1−4アルカノール)、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリンなどのポリオール類)など]、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテートなど)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなど)、カルボン酸類(酢酸など)など}などが挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
特に、混合液は、溶媒成分として、水を主成分として含んでいてもよい。このような混合液(例えば、水溶液又は水性溶液)において、溶媒成分全体に対する水の割合は、50重量%以上(例えば、60重量%以上)、好ましくは70重量%以上(例えば、75重量%以上)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、85重量%以上)、特に90重量%以上(例えば、95重量%以上)であってもよい。
混合液は、酸性、中性、アルカリ性(塩基性)のいずれであってもよく、金属(a)と金属(b)との組み合わせなどに応じて、工程(1)において金属(b)のイオンを分離する際やソルボサーマル反応の際に適宜、調整してもよい。特に、混合液が酸性である場合、例えば、pH(25℃)の値は、1〜6.5、好ましくは2〜6、さらに好ましくは3〜5.5程度であってもよい。酸性混合液を構成する酸としては、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素などの前記ハロゲン化物イオンや無機酸イオンに対応する酸などが挙げられる。
混合液は、廃液(例えば、メッキ廃液)であってもよい。廃液は、種々の金属イオンの他、酸成分、溶媒などを含んでいるが、本発明では、このような廃液であっても、効率よく金属イオンを分離回収でき、再資源化できる。なお、混合液として廃液(メッキ廃液など)を使用する場合、酸性である場合が多い。
なお、混合液は、工程(1)又は工程(2)に供するに際し、必要に応じて、溶媒成分の一部を濃縮などにより除去して用いてもよい。
[工程(1)]
工程(1)では、混合液から金属(a)のイオンを分離し、金属(a)の金属水酸化物に変換した後、金属(a)のイオンを還元可能な有機溶媒(C)の存在下で、前記金属水酸化物をソルボサーマル反応に供し、金属粒子(A)を生成させる。なお、このような工程(1)は、後述の工程(2)と異なり、金属(a)のイオンの分離が必要であるが、金属(a)の純度の高い金属粒子(A)を確実に得ることができるため、混合液の組成が複雑である場合や、このような組成が複雑である場合などに起因して後述の適当な有機溶媒(C2)を選択しにくい場合などにおいて有用である。
(金属(a)のイオンの分離方法)
混合液からの金属(a)のイオンの分離方法は、特に限定されず、抽出、吸着、中和などの方法を利用できる。代表的には、混合液から抽出により金属(b)のイオンを分離し、金属(a)のイオンを含む分離液を得てもよい。
金属(b)のイオンの抽出方法は、金属(b)のイオンの種類や金属(a)のイオンとの組み合わせなどにより選択できるが、通常、金属(a)のイオンを抽出(又は吸着)せず、かつ金属(b)のイオンを抽出(又は吸着)可能な抽出剤(抽出剤Bということがある)を用いて行うことができる。
このような抽出剤(又は吸着剤)は、金属(b)のイオンと選択的に錯体を形成する(イオン交換)などの原理により、混合液から金属(b)のイオンを分離する。すなわち、このような抽出剤を用いることで、金属(b)のイオンを抽出剤とともに析出させたり、金属(a)のイオンとは異なる層に移行させることで、混合液から分離できる。例えば、混合液が水溶液である場合、抽出剤Bおよび非水性溶媒(疎水性溶媒)を、混合液に混合することで、金属(a)のイオンを含む層(水層)と、金属(b)のイオンと抽出剤Bとを含む非水性溶媒層とに分離できる。
なお、抽出剤Bは、金属(a)と金属(b)とを分離できる限り特に限定されず、例えば錯体を形成する抽出剤の場合には、金属(a)と金属(b)との組み合わせに応じて、金属(a)よりも金属(b)に対して錯形成しやすい抽出剤を選択することができる。
なお、メッキ廃液中などの亜鉛イオンなどを抽出する場合の抽出剤Bとしては、例えば、リン系抽出剤[例えば、大八化学工業(株)製、「PC−88A」など]などを利用できる。
なお、抽出において、混合液は、酸性、中性、アルカリ性のいずれであってもよい。特に、混合液が酸性である場合、混合液のpH(25℃)の値は、2〜6、好ましくは3〜5.5、さらに好ましくは3.5〜5程度であってもよい。pHは、混合液に酸成分やアルカリ成分を添加するなどして、適宜調整してもよい。
抽出剤Bの使用量は、種類にもよるが、金属(b)のイオン1重量部に対して、例えば、5000〜500重量部、好ましくは2500〜1000重量部、さらに好ましくは2000〜1500重量部程度であってもよい。
このようにして、混合液から金属(b)のイオンが分離され、金属(a)のイオンを含む分離液が得られる。なお、分離した金属(b)のイオンは、再利用してもよい。例えば、抽出剤Bにより分離された金属(b)のイオンは、後述の金属(a)のイオンの場合と同様に、酸性溶媒による逆抽出により回収することができる。
金属(a)のイオンの金属水酸化物への変換は、このような分離液において行ってもよく、さらに、分離液から金属(a)のイオンを分離して行ってもよい。分離液には、通常、金属(a)イオン以外のイオンなども含まれているため、金属(a)の純度を高め、金属水酸化物への変換や後述のソルボサーマル反応を効率よく行うためには、さらに、分離液から金属(a)のイオンを分離するのが好ましい。
分離液からの金属(a)のイオンの分離方法は、特に限定されず、金属(b)のイオンと場合と同様に、抽出、吸着、中和などの方法を利用できる。分離液においては、既に金属(b)のイオンが分離されているため、種々の分離方法が使用できるが、代表的には、前記と同様に、分離液から抽出により金属(a)のイオンを分離してもよい。
金属(a)のイオンの抽出方法は、金属(a)のイオンの種類などに応じて選択でき、金属(b)と同様に、金属(a)のイオンを抽出(又は吸着)可能な抽出剤(抽出剤Aということがある)を用いて行ってもよい。なお、分離液においては、既に金属(b)のイオンが分離されているため、抽出剤Aは、金属(a)のイオンを抽出できれば、必ずしも金属(b)のイオンの抽出しない抽出剤である必要はなく、金属(b)のイオンを抽出可能であってもよい。
このような抽出剤A(又は吸着剤A)が、分離液から金属(a)のイオンを分離する原理は、抽出剤Bと同様(例えば、錯形成するなど)である。そして、このような抽出剤Aを用いることで、金属(a)のイオンを抽出剤Aとともに析出させたり、金属(a)のイオンを分離液中の他の成分が含まれる層とは異なる層に移行させることで、分離液から分離できる。例えば、分離液が水溶液である場合、抽出剤Aおよび非水性溶媒(疎水性溶媒)を、分離液に混合することで、金属(a)のイオン以外の成分を含む層(水層)と、金属(a)のイオンと抽出剤Aとを含む非水性溶媒層とに分離できる。
抽出において、分離液は、酸性、中性、アルカリ性のいずれであってもよい。なお、抽出剤Aの種類などに応じて、分離液のpHを調整する必要がある場合には、分離液に、適宜、中和剤、酸成分、アルカリ成分などを添加して、pH調整してもよい。
なお、中性条件下でニッケルイオンなどを抽出する場合の抽出剤Aとしては、例えば、オキシム系抽出剤(例えば、コグニスジャパン(株)製、「LiX−84I」など)やリン系抽出剤(例えば、大八化学工業(株)製、「PC−88A」など)などを利用できる。
抽出剤Aの使用量は、種類にもよるが、金属(a)のイオン1重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは20〜50重量部、さらに好ましくは30〜40重量部程度であってもよい。
抽出剤Aを用いて分離した金属(a)のイオンは、そのまま、金属水酸化物に変換してもよいが、好ましくは抽出剤Aと分離した後、金属水酸化物に変換してもよい。すなわち、抽出後、金属(a)のイオンは抽出剤Aに含まれるが、このような金属(a)のイオンを含む抽出剤から、さらに金属(a)のイオンを分離し、金属水酸化物に変換してもよい。
抽出剤A(金属(a)のイオンを含む抽出剤A)からの金属(a)のイオンの分離方法は、特に限定されないが、通常、逆抽出を利用できる。逆抽出は、金属(a)のイオンと抽出剤Aとを分離できる限り特に限定されないが、代表的には、酸成分により(酸成分を用いて)行うことができる。酸成分としては、抽出剤Aの種類にもよるが、通常、硫酸などの強酸を用いることができる。なお、酸成分は、通常、適当な溶媒(例えば、水など)に溶解させて酸性溶媒(例えば、酸成分を含む水溶液)の形態で用いる場合が多い。このような場合、金属(a)のイオンは、金属(a)のイオンを含む酸性溶媒の形態で、抽出剤Aから分離される。具体的には、金属(a)のイオンを含む抽出剤Aと、酸性成分(又は酸性溶媒)とを混合する(又は接触させる)ことで、金属(a)のイオンは、酸性成分(又は酸性溶媒)に抽出(逆抽出)される(又は金属(a)のイオンを含む酸性溶媒の形態で分離される)。
(金属(a)のイオンの金属水酸化物への変換方法)
工程(1)では、複数の金属イオンを含む混合系において、特定の金属(a)を分離して金属水酸化物に変換し、ソルボサーマル反応に供する。このような金属水酸化物に変換することで、複数の金属イオンを含む混合系からの金属回収プロセスを、効率よく行うことができる。例えば、この方法では、必要に応じてpHを調整するなどの簡便かつ低コストプロセスにより、効率よく金属を回収できる。
金属水酸化物への変換方法は、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。例えば、金属(a)のイオンが、水酸化物の形成により沈殿又は析出するイオンであれば、金属(a)のイオン(又は金属(a)のイオンを含む分離液又は酸性溶媒)と、水酸化物イオン源[例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化カルシウムなど)など]とを接触させることにより、容易に金属水酸化物を得ることができる。なお、水酸化物において、金属(a)のイオンは、通常還元されておらず、水酸化物における価数は混合液における金属(a)の価数と同じである。例えば、金属(a)のイオンが、Ni2+であるとき、Ni(OH)に変換される。
このようにして得られた金属水酸化物は、特定の有機溶媒(C1)の存在下で、ソルボサーマル反応に供される。
(有機溶媒(C1))
有機溶媒(C1)は、ソルボサーマル反応において、金属(a)のイオン(又は金属水酸化物)を還元可能であれば、特に限定されず、例えば、アルコール類{例えば、アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノールなどのC1−20アルカノール、好ましくはC1−12アルカノール、さらに好ましくはC1−8アルカノール、特にC1−4アルカノール)、シクロアルカノール(例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのC5−10シクロアルカノール)、グリコールモノアルキルエーテル[例えば、アルカンジオールモノアルキルエーテル(例えば、メトキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのC2−6アルカンジオールモノC1−6アルキルエーテル、好ましくはC2−4アルカンジオールモノC1−4アルキルエーテル)、ポリアルカンジオールモノアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのジ乃至テトラC2−6アルカンジオールモノC1−6アルキルエーテル、好ましくはジC2−4アルカンジオールモノC1−4アルキルエーテル)]などのモノオール類;グリコール[例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのC2−6アルカンジオール、好ましくはC2−4アルカンジオール)、ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジ乃至テトラC2−6アルカンジオール、好ましくはジC2−4アルカンジオール)]、3以上のヒドロキシル基を有するポリオール(例えば、グリセリンなど)などのポリオール類}、エーテル類[例えば、ジエチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アルカンジオールジアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールジメチルエーテルなどのC2−6アルカンジオールジC1−6アルキルエーテル)、ポリアルカンジオールジアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのジ乃至テトラC2−6アルカンジオールジC1−6アルキルエーテル)など]、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステル)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、カーボネート類(例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの有機溶媒のうち、アルコール類[例えば、アルカノール類(例えば、メタノール、エタノールなどのC1−4アルカノール)、グリコール類など]が好ましい。アルコール類の中でも、グリコール類、特に、アルカンジオール(特に、1,4−ブタンジオール)が好ましい。有機溶媒は、ソルボサーマル反応において、還元剤として作用するとともに、反応過程や反応後における粒子の分散安定性に関与するようであるが、1,4−ブタンジオールのように複数のヒドロキシル基を有する有機溶媒は、このような分散安定化の効果に優れているためか、効率よく金属ナノ粒子を生成させることができる。また、金属単体粒子を生成させやすい。
有機溶媒(C1)の割合(使用割合)は、金属水酸化物(又は金属(a))1重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
(界面活性剤)
ソルボサーマル反応は、有機溶媒(C1)の他に、界面活性剤の存在下で行ってもよい。このような界面活性剤を併用すると、より一層、金属粒子の分散安定化を高め、安定化された金属粒子を効率よく得ることができる。
界面活性剤としては、特に限定されず、酸素含有有機化合物、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物[例えば、スルフィド類(例えば、ジブチルスルフィドなどのジアルキルスルフィド)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなどのジアルキルスルフィド)、硫黄含有複素環化合物(例えば、チオフェンなど)など]、リン含有有機化合物(リン酸エステルなど)などが含まれる。界面活性剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
酸素含有有機化合物としては、例えば、カルボン酸が挙げられる。カルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸[飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸などのC1−30脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC1−24脂肪族モノカルボン酸など)、不飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、アビエチン酸などのC4−34不飽和脂肪族カルボン酸、好ましくはC10−30不飽和脂肪族カルボン酸)]、芳香族モノカルボン酸(安息香酸など)などのモノカルボン酸;脂肪族ポリカルボン酸[例えば、脂肪族飽和ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC2−14脂肪族飽和ポリカルボン酸、好ましくはC2−10脂肪族飽和ポリカルボン酸など)、脂肪族不飽和ポリカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸などのC4−14脂肪族不飽和ポリカルボン酸など)など]、芳香族ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、トリメリット酸など)などのポリカルボン酸;ヒドロキシモノカルボン酸[脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸などのC2−50脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸など)、芳香族ヒドロキシモノカルボン酸(サリチル酸、オキシ安息香酸など)など]、ヒドロキシポリカルボン酸[脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、タルトロン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などのC2−10脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸など)など]などのヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
窒素含有有機化合物としては、アミン類、アミド類などが挙げられる。アミン類は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれであってもよく、特に第1又は第2級アミンであってもよい。具体的なアミン類としては、例えば、脂肪族アミン類[例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ラウリルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ミリスチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミンなどのC1−30アルカンアミン(好ましくはC4−28アルカンアミン、さらに好ましくはC6−24アルカンアミン、特にC8−20アルカンアミン);オレイルアミンなどのC2−30アルケニルアミン(好ましくはC4−28アルケニルアミン、さらに好ましくはC6−24アルケニルアミン、特にC8−20アルケニルアミン);トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアルキレンポリアミンなど;シクロヘキシルアミンなどのC5−10シクロアルキルアミンなど]、芳香族アミン類(例えば、アニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジンなど)、芳香脂肪族アミン類(例えば、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミンなどのアラルキルアミン)、ヘテロ環式アミン類(例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリンなど)、ヒドロキシル基含有アミン[例えば、アルカノールアミン(例えば、メチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ヘキサノールアミンなどのC2−10アルカノールアミン)など]などを挙げることができる。
これらの界面活性剤のうち、アミン類が好ましい。アミン類の中でも、特に、脂肪族アミン(例えば、オレイルアミンなどの炭素数6以上の飽和又は不飽和脂肪族アミン)が好ましい。特に、このようなアミン類と、多座配位性の有機溶媒(C1)(例えば、1,4−ブタンジオールなど)とを組み合わせると、効率よく粒子を分散安定化できる。
界面活性剤の割合は、金属水酸化物1重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
また、有機溶媒(C1)と界面活性剤との割合(使用割合)は、前者/後者(重量比)=95/5〜5/95(例えば、90/10〜10/90)、好ましくは85/15〜15/85(例えば、80/20〜20/80)、さらに好ましくは75/25〜25/75(例えば、70/30〜30/70)程度であってもよい。
なお、ソルボサーマル反応は、必要に応じて、有機溶媒(C1)や界面活性剤以外の溶媒成分の存在下で行ってもよい。
なお、ソルボサーマル反応は、容器の腐食などの観点から、通常、非酸性の(すなわち、中性又はアルカリ性の)混合液(反応混合液)において行う場合が多い。すなわち、ソルボサーマル反応に供する混合液は、中性又はアルカリ性である場合が多い。工程(1)では、金属水酸化物(さらには、アミン類などの塩基性の界面活性剤など)を使用するため、効率よく非酸性の混合液をソルボサーマル反応に供することができるが、必要に応じて、アルカリ成分を添加するなどにより、混合液のpHを調整してもよい。
ソルボサーマル反応は、高温、高圧(加圧)下で行われる。反応温度は、例えば、130〜500℃、好ましくは150〜450℃、さらに好ましくは200〜400℃(例えば、250〜350℃)程度であってもよい。なお、ソルボサーマル反応の熱源は、特に限定されないが、廃熱(例えば、メッキにおける廃熱)を利用すれば、再資源化の効率をより一層高めることができる。
また、反応圧力は、例えば、0.5MPa以上(例えば、0.5〜30MPa)、好ましくは1.0MPa以上(例えば、1.0〜25MPa)、さらに好ましくは2MPa以上(例えば、2.0〜20MPa)、特に2.5MPa以上(例えば、2.5〜15MPa)程度であってもよい。
反応時間は、例えば、10分以上(例えば、15分〜24時間)、20分以上(例えば、30分〜24時間)、好ましくは40分以上(例えば、50分〜12時間)、さらに好ましくは1時間以上(例えば、1.5〜6時間)であってもよい。
ソルボサーマル反応は、臨界状態(超臨界状態又は亜臨界状態)で行ってもよい。
なお、ソルボサーマル反応は、通常、不活性雰囲気下で行ってもよい。また、ソルボサーマル反応は、バッチ式、流通式のいずれで行ってもよい。
[工程(2)]
工程(2)では、混合液を、金属(a)のイオンを還元可能であり、かつ金属(b)のイオンを還元しない有機溶媒(C2)の存在下で、ソルボサーマル反応に供し、金属粒子(A)を生成させる。すなわち、工程(2)では、金属(a)のイオンと金属(b)のイオンとが共存する系において、金属(a)のイオンを分離することなく、直接的に、金属粒子(A)を生成させる。なお、工程(2)では、少なくとも金属粒子(A)(金属(a)の粒子)を生成させればよいが、後述するように、本発明では、ソルボサーマル反応により、金属粒子(A)とは異なる粒子として、金属(b)の粒子も生成させることができる。
有機溶媒(C2)は、金属(a)のイオンを還元できるという点では、有機溶媒(C1)と同じであるが、金属(b)のイオンを還元しない(金属(b)のイオンに対する還元能を有しない)ことを必要とする。そのため、有機溶媒(C2)は、金属(a)のイオンと金属(b)のイオンとの組み合わせにより選択できる。このような有機溶媒(C2)の選択方法は、特に限定されないが、金属(a)のイオンの酸化還元電位と金属(b)のイオンの酸化還元電位とを指標として、選択してもよい。すなわち、有機溶媒(C2)の酸化還元電位をEcとし、金属(a)のイオンの酸化還元電位をEaと、金属(b)のイオンの酸化還元電位をEbとするとき、Eb<Ec<Eaとなるように、溶媒(C2)を選択すればよい。
なお、酸化還元電位は、ソルボサーマル反応における反応温度および反応圧力で設定するのが好ましいが、標準酸化還元電位(25℃)を利用すれば、容易に溶媒(C2)を選択しやすく、また、標準酸化還元電位を利用しても、ソルボサーマル反応における反応温度や反応圧力における結果と同様の結果が得られる(相関性がある)場合が多い。
例えば、金属(a)のイオンがNi2+、金属(b)のイオンがZn2+であるとき、これらの標準酸化還元電位(25℃)は、それぞれ、−0.26V、−0.76Vであるから、溶媒(C2)として、標準酸化還元電位(25℃)が−0.26Vを越えて−0.76V未満の溶媒を使用すればよいことになる。なお、溶媒や金属イオンの標準酸化還元電位の一部が既知でない場合には、慣用の方法により、標準酸化還元電位を測定すればよい。このような場合でも、一部の標準酸化還元電位を測定するだけで、溶媒(C2)を選択できる。
有機溶媒(C2)は、上記のような観点を前提として、前記有機溶媒(C1)と同様の溶媒を使用できる。好ましい溶媒(C2)もまた、溶媒(C1)と同じであり、アルコール類[例えば、アルカノール類(例えば、メタノール、エタノールなどのC1−4アルカノール)、グリコール類など]が好ましい。アルコール類の中でも、グリコール類、特に、アルカンジオール(特に、1,4−ブタンジオール)が好ましい。このような溶媒は、金属(b)を金属酸化物などとして生成させやすく、金属(a)との分離を効率よく行うことができる。
アルコール類は、前記理由の他、酸化還元電位において、金属(a)のイオンの酸化還元電位と金属(b)のイオンの酸化還元電位との間に位置する場合が多く、好適に使用できる。例えば、メタノールの標準酸化還元電位(25℃)は0.588V、エタノールの標準酸化還元電位(25℃)は−0.5V、1,4−ブタンジオールの標準酸化還元電位(25℃)は−0.75Vである。
有機溶媒(C2)の割合(使用割合)は、金属(a)1重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
また、有機溶媒(C2)の割合は、金属(a)および金属(b)の総量1重量部に対して、例えば、0.5〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部程度であってもよい。
ソルボサーマル反応は、前記工程(1)と同様に、界面活性剤の存在下で行ってもよい。界面活性剤としては、前記と同様の界面活性剤が使用でき、好ましい界面活性剤も前記と同様である。
界面活性剤の割合は、金属(a)1重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
また、界面活性剤の割合は、金属(a)および金属(b)の総量1重量部に対して、例えば、0.5〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部程度であってもよい。
有機溶媒(C2)と界面活性剤との割合(使用割合)は、前者/後者(重量比)=95/5〜5/95(例えば、90/10〜10/90)、好ましくは85/15〜15/85(例えば、80/20〜20/80)、さらに好ましくは75/25〜25/75(例えば、70/30〜30/70)程度であってもよい。
なお、ソルボサーマル反応は、必要に応じて、有機溶媒(C2)や界面活性剤以外の溶媒成分の存在下で行ってもよい。
ソルボサーマル反応において、反応温度、反応圧力、反応時間は、前記工程(1)の場合と同様の範囲から選択できる。
ソルボサーマル反応は、臨界状態(超臨界状態又は亜臨界状態)で行ってもよい。
また、ソルボサーマル反応は、前記工程(1)と同様に、通常、非酸性の(すなわち、中性又はアルカリ性の)混合液(反応混合液)において行う場合が多い。
なお、ソルボサーマル反応は、通常、不活性雰囲気下で行ってもよい。また、ソルボサーマル反応は、バッチ式、流通式のいずれで行ってもよい。
上記工程(1)又は工程(2)を経て、金属粒子(A)が生成する。金属粒子(A)は、金属(a)のイオンが還元されて得られる粒子である。そのため、金属粒子(A)は、金属(a)のイオンよりも酸化数が大きい金属(a)を含む粒子であればよく、通常、金属単体粒子(酸化数0の金属(a)の粒子)であってもよい。なお、金属(a)のイオンが、複数のイオンからなる場合、これらの金属(a)は、それぞれ別個の粒子又は合金粒子(又は複合金属粒子)として得られるが、この場合でも、複数の金属(a)は、いずれも還元されている。本発明では、金属(a)(又はそのイオン)が複数の金属(又はそのイオン)からなる場合であっても、金属粒子(A)として、複数の金属を含む合金粒子(例えば、ニッケル−コバルト合金粒子、複数の貴金属からなる合金粒子など)を得ることができる。
金属粒子(A)は、前記のようにソルボサーマル反応により得られるため、その表面が、有機溶媒(C1)又は(C2)由来の成分(及び界面活性剤由来の成分)で形成された有機層で被覆されている場合が多い。すなわち、金属粒子(A)は、通常、金属(a)で構成されたコア粒子(金属コア粒子)と、このコア粒子表面に、有機溶媒(C1)又は(C2)由来の成分(及び界面活性剤由来の成分)で形成された有機層とを含んでいる場合が多い。金属粒子(A)(金属コア粒子)は、このような有機層により、ナノ粒子であるにもかかわらず、凝集することなく(又は凝集が抑制され)、安定化された粒子として存在する。なお、有機層を構成する有機溶媒(C1)又は(C2)由来の成分(及び界面活性剤由来の成分)は、結合(共有結合、イオン結合、配位結合など)、静電気力(静電的相互作用)などによりコア粒子表面に結合又は吸着することで、コア粒子表面に存在しているようである。
このような有機層の割合は、金属粒子(A)全体に対して、例えば、1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%程度であってもよい。
金属粒子(A)は、通常ナノ粒子(金属(a)のナノ粒子)として得られる。このような金属粒子(A)の平均粒子径は、例えば、1〜800nm、好ましくは5〜700nm、さらに好ましくは10〜500nm、特に20〜400nm(例えば、30〜350nm)程度であってもよい。
なお、工程(2)では、金属粒子(A)の他に(金属粒子(A)とは別個に)、通常、金属(b)の粒子(金属粒子(B))も得ることができる。すなわち、工程(2)では、ソルボサーマル反応により、金属粒子(A)とともに、金属(b)の粒子(B)を生成させることができる。本発明の工程(2)では、このように金属(b)も粒子化されるので、金属(a)の分離、回収のみならず、金属(b)の分離、回収も効率よく行うことができる。
金属(b)のイオンは、還元されることなく(又は金属(b)のイオンの酸化数又は価数を維持したまま)、金属化合物の粒子として生成する。金属化合物としては、混合液の組成などにより選択でき、金属硫化物、金属ハロゲン化物、金属炭酸塩などであってもよいが、通常、金属酸化物である場合が多い。なお、金属(b)のイオンが、複数のイオンからなる場合、これらの金属(b)は、それぞれ別個の粒子(例えば、金属酸化物)又は複合金属粒子(例えば、複合酸化物など)として得られる。
なお、金属粒子(B)もまた、金属粒子(A)と同様に、前記のようにソルボサーマル反応により得られるため、その表面が、有機溶媒(C1)又は(C2)由来の成分(及び界面活性剤由来の成分、例えば、有機溶媒(C1)又は(C2)又はその残基、界面活性剤又はその残基)を含んでいる場合が多い。すなわち、金属粒子(B)は、通常、金属(b)で構成されたコア粒子(金属コア粒子)と、このコア粒子表面に、有機溶媒(C1)又は(C2)由来の成分(及び界面活性剤由来の成分)で形成された有機層とを含んでいる場合が多い。
また、金属粒子(B)も、通常、ナノ粒子である場合が多く、金属粒子(B)の平均粒子径は、例えば、1〜800nm、好ましくは5〜700nm、さらに好ましくは10〜500nm、特に20〜400nm(例えば、30〜350nm)程度であってもよい。
なお、ソルボサーマル反応後、反応液から、生成した金属粒子(A)や金属粒子(B)の分離、回収は、慣用の方法(例えば、濾過、遠心分離など)により行うことができる。
また、工程(2)において、金属粒子(A)と金属粒子(B)とを生成させる場合、これらの分離は、金属粒子の属性などを利用して容易に分離できる。例えば、金属粒子(A)は金属単体粒子であるため、磁性(特に、強磁性)を示す場合が多い一方で、金属酸化物のような金属粒子(B)は金属単体粒子に比べて、弱い磁性である。このような場合、磁性の強弱の相違を利用して(例えば、磁気又は磁場を作用させるなどにより)、濾過および抽出などにより回収した金属粒子(A)と金属粒子(B)とを含む粒子混合物からこれらを分離することができる。
なお、本発明では、金属(a)(および金属(b))のイオンを効率よく回収でき、例えば、混合液から分離した金属(a)(又は金属(b))のイオンの回収率は、例えば、40重量%以上(例えば、45〜100重量%)、好ましくは50重量%以上(例えば、55〜99重量%)、さらに好ましくは60重量%以上(例えば、60〜98重量%)であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、粒子の粒径は、以下のようにして測定した。
(粒径測定方法)
透過型電子顕微鏡の視野におけるスケールバーにより測定した。また、平均粒径は、透過型顕微鏡写真における各粒子の粒径をスケールバーにおいて測定し、これらの粒子の粒径の相加平均として算出した。
[実施例1]
(ニッケルイオンと亜鉛イオンの選択的分離)
作成したニッケルメッキの模擬廃液[Ni2+を5800重量ppm、Zn2+を95重量ppm、SO 2−を5895重量ppm)の割合で含む酸性水溶液、pH=4.8]0.5Lと、有機リン系抽出剤(C17P(O)(OC17)OH、商品名「PC−88A」、大八化学工業(株)社製)10体積%を含む有機溶媒(炭化水素系溶媒成分:ShellSol D70、Shell Chemicals社製)440mLとを混合し、ニッケルイオンを含む水層と、亜鉛イオンを含む有機層(抽出剤層)とを分離(分液)した。
そして、分離した水層のpHを7に調節するため、炭酸水素ナトリウム2.7gを加えた。pHを7に調整したニッケル水溶液と、オキシム系抽出剤(2−ヒドロキシ−5−ノニルアセトフェノンオキシム、商品名LiX−84I(コグニスジャパン(株)社製)20体積%を含む有機溶媒(溶媒成分:ShellSol D70、Shell Chemicals社製)488mLとを混合し、水層と、ニッケルイオンを含む有機層とを分離(分液)した。
さらに、ニッケルイオンを含む有機層(LiX−84Iを含むD70層)を1.2モル/Lの硫酸水溶液でニッケルイオンを逆抽出し、分液した。分液した硫酸性水溶液のニッケルイオン濃度は3100mg/Lであった。得られた硫酸性水溶液には、亜鉛イオンは含まれていなかった。
なお、分離した亜鉛イオンを含む有機層(PC−88Aを含むD70層)を、1.2モル/Lの硫酸水溶液で亜鉛イオンを逆抽出し、分液した。分液した硫酸性水溶液中の亜鉛イオン濃度は110mg/Lであった。模擬液に用いた亜鉛換算で、98重量%の亜鉛を回収できた。得られた硫酸性水溶液には、ニッケルイオンは含まれていなかった。
(水酸化物への変換工程)
上記で得られたニッケルイオンを含む硫酸性水溶液200mLに、水酸化ナトリウム20.54gを加えて、pHを9から10に調整し、水酸化ニッケルを得た。得られた水酸化ニッケルを蒸留水100mLで2回洗浄したあと、アセトン懸濁液から遠心沈降させて乾燥した。得られた水酸化ニッケルは、1.28gであり、模擬液に用いたニッケル換算で64重量%の割合で回収できた。
(水酸化ニッケルのソルボサーマル反応)
180mLのガラス容器に35mlの1,4−ブタンジオールと35mlのオレイルアミン35mLを入れ、次いで先に得た水酸化ニッケル1.17gを加えて撹拌した。オレイルアミンと水酸化ニッケルの仕込み比率は、重量比で25:1であった。得られた溶液をオートクレーブ内にセットして密閉し、系内をアルゴン置換した後、2時間かけて300℃まで昇温し、その後300℃で2時間保持した後放冷した。この時、オートクレーブ内の圧力は2.9MPaであった。オートクレーブを開けたところ、ガラス容器内には黒色の析出物を含む反応液が得られた。得られた析出物を遠心沈降した後、アセトンを加えて溶媒置換して遠心沈降して得た粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、50〜500nmの粒子(平均粒子径300nm)が生成していた。
得られた粒子を乾燥させた後、X線回折(XRD)により分析したところ、金属ニッケル(ニッケル単体)であることが分かった。また、得られた金属ニッケルを示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)で分析したところ、金属ニッケルの表面に1,4−ブタンジオールおよびオレイルアミン由来の有機物が6.1重量%存在していた。
[実施例2]
ガラス容器に、ニッケルメッキ廃液[重量基準で、Ni2+を6000ppm、Zn2+を70ppm、Fe2+を3ppm、Naを24000ppm、SO 2−を7000ppm、HPO を19000ppm、HPO 2−を17000ppm、マレイン酸を24000ppm含む水溶液、pH=4.8]1kgを濃縮して得られた混合液50mL[重量基準で、Ni2+を2%、Zn2+を230ppm、Fe2+を10ppm、Naを8%、SO 2−を2.3%、HPO を6.3%、HPO 2−を5.7%、マレイン酸を12%含む水溶液、pH=4.6]と、1,4−ブタンジオール35mL(ニッケル1g対して35mL(35g))と、オレイルアミン35mL(ニッケル1gに対して35mL(25g))とを入れ、得られたアルカリ性溶液をオートクレーブ内にセットして密閉し、系内をアルゴン置換した後、2時間かけて300℃まで昇温し、その後300℃で2時間保持した後、放冷した。
この時、オートクレーブ内の圧力は4MPaであった。オートクレーブを開いたところ、ガラス容器内には、黒色の析出物が生成していた。析出物を遠心分離およびろ過して、アセトンおよび水で洗浄した。このようにして得たニッケル粒子A(ニッケルナノ粒子)と酸化亜鉛粒子B(酸化亜鉛ナノ粒子)の混合物を乾燥したあと、この混合物に磁場を掛けることにより、ニッケル粒子Aのみを磁気により回収して、酸化亜鉛粒子Bから分離した。
回収した粒子Aを分析(TEM観察)したところ、粒径50〜500nmのニッケルナノ粒子(平均粒子径300nm)が生成していた。また、粒子Aには、亜鉛は含まれていないことを走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)及び誘導結合プラズマ発光分析(ICP発光分析)により確認した。
さらに、粒子AをTG−DTAで分析したところ、金属ニッケルの表面に1,4−ブタンジオールおよびオレイルアミン由来の有機物が6.1重量%存在していた。そして、この値から算出した廃液からのニッケルの回収割合は81重量%であった。
一方、回収した粒子Bを分析(TEM観察)したところ、10〜300nmの酸化亜鉛粒子(平均粒子径50nm)が生成していた。また、粒子Bには、酸化亜鉛のみ含まれており、ニッケルは含まれていないことをSEM−EDS及びICP発光分析により確認した。
さらに、粒子BをTG−DTAで分析したところ、酸化亜鉛の表面に1,4−ブタンジオールおよびオレイルアミン由来の有機物が12.3重量%存在していた。そして、この値から算出した廃液からの亜鉛の回収割合は90重量%であった。
[実施例3]
ガラス容器に、作成したコバルトを含む模擬廃液[重量基準で、Co2+を5000ppm、Mn2+を70ppm、Fe2+を3ppm、Naを24000ppm、SO 2−を7000ppm、HPO を19000ppm、HPO 2−を17000ppm、酢酸を24000ppm含む水溶液、pH=4.6]1kgを濃縮して得られた混合液50mL[重量基準で、Co2+を2%、Mn2+を230ppm、Fe2+を10ppm、Naを8%、SO 2−を2.3%、HPO を6.3%、HPO 2−を5.7%、酢酸を12%含む水溶液、pH=4.4]と、1,4−ブタンジオール35mL(コバルト1g対して35mL(35g))と、オレイルアミン35mL(コバルト1gに対して35mL(25g))を入れ、得られた溶液をオートクレーブ内にセットして密閉し、系内をアルゴン置換した後、2時間かけて300℃まで昇温し、その後300℃で2時間保持した後、放冷した。
この時、オートクレーブ内の圧力は5.34MPaであった。オートクレーブを開いたところ、ガラス容器内には、黒色の析出物が生成していた。析出物を遠心分離およびろ過して、アセトンおよび水で洗浄した。このようにして得たコバルト粒子A(コバルトナノ粒子)と酸化マンガン粒子B(酸化マンガンナノ粒子)の混合物を乾燥したあと、この混合物に磁場を掛けることにより、コバルト粒子Aのみを磁気により回収して、酸化マンガン粒子Bから分離した。
回収した粒子Aを分析(TEM観察)したところ、粒径100〜600nmのコバルトナノ粒子(平均粒子径350nmの不定形粒子)が生成していた。また、粒子Aには、マンガンは含まれていないことを走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)及び誘導結合プラズマ発光分析(ICP発光分析)により確認した。
また、得られた粒子Aを、X線回折(XRD)により分析したところ、六方晶系の金属コバルト(コバルト単体)であることが分かった。さらに、得られた金属コバルトを示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)で分析したところ、金属コバルトの表面に1,4−ブタンジオール由来の有機物(吸着層)が0.23重量%存在していた。そして、この値から算出した廃液からのコバルトの回収割合は89重量%であった。
一方、回収した粒子Bを分析(TEM観察)したところ、酸化マンガン粒子(平均粒子径80nm)が生成していた。また、粒子Bには、酸化マンガンのみ含まれており、コバルトは含まれていないことをSEM−EDS及びICP発光分析により確認した。
さらに、粒子BをTG−DTAで分析したところ、酸化マンガンの表面に1,4−ブタンジオールおよびオレイルアミン由来の有機物が9.8重量%存在していた。そして、この値から算出した廃液からのマンガンの回収割合は85重量%であった。
[実施例4]
ガラス容器に、作成したコバルトおよびニッケルを含む模擬廃液[重量基準で、Co2+を3000ppm、Ni2+を3000ppm、Mn2+を70ppm、Fe2+を3ppm、Naを24000ppm、SO 2−を70000ppm、HPO を19000ppm、HPO 2−を17000ppm、酢酸を24000ppm含む水溶液、pH=4.8]1kgを濃縮して得られた混合液50mL[重量基準で、Co2+を1%、Ni2+を1%、Mn2+を230ppm、Fe2+を10ppm、Naを8%、SO 2−を2.3%、HPO を6.3%、HPO 2−を5.7%、酢酸を12%含む水溶液、pH=4.4]と、1,4−ブタンジオール35mL(コバルト1gに対して17.5mL(17.5g)、ニッケル1gに対して17.5mL(17.5g))と、オレイルアミン35mL(コバルト1gに対して17.5mL(12.5g)、ニッケル1gに対して17.5mL(12.5g))を入れ、得られた溶液をオートクレーブ内にセットして密閉し、系内をアルゴン置換した後、2時間かけて300℃まで昇温し、その後300℃で2時間保持した後、放冷した。
この時、オートクレーブ内の圧力は3.70MPaであった。オートクレーブを開いたところ、ガラス容器内には、黒色の析出物が生成していた。析出物を遠心分離およびろ過して、アセトンおよび水で洗浄した。このようにして得た粒子A(ニッケル−コバルト合金ナノ粒子)と酸化マンガン粒子B(酸化マンガンナノ粒子)の混合物を乾燥したあと、この混合物に磁場を掛けることにより、粒子Aのみを磁気により回収して、酸化マンガン粒子Bから分離した。
回収した粒子Aを分析(TEM観察)したところ、長さ500nm、直径30nmのロッド状粒子が生成していた。また、粒子Aには、マンガンは含まれていないことを走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)及び誘導結合プラズマ発光分析(ICP発光分析)により確認した。
また、得られた粒子Aを、X線回折(XRD)により分析したところ、立方晶系のニッケル−コバルト合金(ニッケル/コバルト(モル比)=6/4)であること(ニッケル単体では立方晶、コバルト単体では六方晶であることから、固溶化により結晶系が変化していたこと)が分かった。
さらに、得られたニッケル−コバルト合金を示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)で分析したところ、ニッケル−コバルト合金の表面に1,4−ブタンジオール由来の有機物(吸着層)が0.3重量%、オレイルアミン由来の有機物(吸着層)が0.07重量%存在していた。そして、この値から算出した廃液からのニッケルおよびコバルトの回収割合は93重量%であった。
一方、回収した粒子Bを分析(TEM観察)したところ、酸化マンガン粒子(平均粒子径100nm)が生成していた。また、粒子Bには、酸化マンガンのみ含まれており、コバルトおよびニッケルが含まれていないことをSEM−EDS及びICP発光分析により確認した。
さらに、粒子BをTG−DTAで分析したところ、酸化マンガンの表面に1,4−ブタンジオールおよびオレイルアミン由来の有機物が8.9重量%存在していた。そして、この値から算出した廃液からのマンガンの回収割合は84重量%であった。
本発明の方法は、複数の金属イオンを含む混合液からの金属分離方法として種々の用途において有用である。例えば、本発明の方法では、有価金属を含む廃液(メッキ廃液など)から、ソルボサーマル反応により、結晶化を促進させ、有価金属を粒子として再資源化でき、有価金属を効率よく回収できる。さらには、ナノ粒子としての機能を付加しつつ、有価金属を分離回収できる。このようにして、再資源化により省資源化と有価物の再利用を達成することができ、産業上利用価値のある粒子を製造できる。
特に、金属ナノ粒子は、バルク状態の固体物質とは異なる優れた電子的、電気的、光学的、磁気的、化学的、機械的特性を示すため、近年産業分野の多方面で大きな注目を集め、製品の高機能化、小型化、薄型化に寄与しており、種々の用途に適用可能である。例えば、金属ニッケルは、積層セラミックコンデンサの内部電極に使用でき、ナノ粒子であるため積層枚数の増加及び性能向上に繋がる。

Claims (8)

  1. コバルト又はニッケルである金属(a)のイオンと、マンガン又は鉛であり、かつ前記金属(a)との標準酸化還元電位(25℃)の差が0.2V以上である金属(b)のイオンとを含む混合液を用い、下記工程(1)又は(2)を経て、前記金属(a)のイオンを還元し、金属(a)の金属粒子(A)を製造する方法。
    (1)金属(a)のイオンを抽出せず、かつ金属(b)のイオンを抽出可能な抽出剤を用いて金属(b)のイオンを抽出して分離することで、混合液から金属(a)のイオンを分離し、さらに金属(a)のイオンを抽出可能な抽出剤で金属(a)のイオンを抽出し、金属(a)のイオンを含む抽出剤から、金属(a)のイオンを酸成分による逆抽出により金属(a)のイオンを含む酸性溶媒の形態で分離し、金属(a)の金属水酸化物に変換した後、1,4−ブタンジオール(C1)及びアミン類の存在下、圧力0.5MPa以上で、前記金属水酸化物をソルボサーマル反応に供し、金属粒子(A)を生成させる工程
    (2)混合液を、1,4−ブタンジオール(C2)の存在下で、ソルボサーマル反応に供し、金属粒子(A)とともに、金属(b)の金属酸化物粒子を生成させる工程
  2. 金属(b)のイオン化傾向が、金属(a)のイオン化傾向よりも大きい請求項1記載の製造方法。
  3. 金属(a)が複数の金属を含み、金属粒子(A)として、これらの複数の金属を含む合金粒子を生成させる請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 混合液が、メッキ廃液である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程(2)において、さらに、アミン類の存在下で、ソルボサーマル反応を行う請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 金属粒子(A)が、金属(a)で構成されたコア粒子と、このコア粒子表面に1,4−ブタンジオール(C1)及びアミン類、又は1,4−ブタンジオール(C2)由来の成分で形成された有機層とを含むナノ粒子である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. 工程(2)において、金属粒子(A)が金属単体粒子である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 工程(2)において、金属粒子(A)が合金粒子である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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