JP5435416B2 - 磁性粉体及び磁性粉体の製造方法 - Google Patents
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Description
2)焼成工程において,チタン化合物が積層された磁性粒子を不活性ガス中で焼成した後,粉砕してチタン酸化物層を表面に形成した磁性粒子を得る。
3)修飾工程において、焼成工程で得られたチタンコートマグネタイト粒子をシランカップリング処理した後EDTAと反応させてEDTAで修飾された磁性粒子を得る。
2.1 供試試料及び試薬
原料の酸化鉄(マグネタイト)は関東化学(株)製,四三酸化鉄の一級品を使用した。チタンテトラ−n−ブトキシド(TTNB)及びチタンテトライソプロポキシド(TTIP)は,松本製薬工業(株)製,オルガチックス TA−25,オルガチックス TA−10を使用した。ヒドキシプロピルセルロース(2.0〜2.9mPa・S)は和光純薬工業(株)製の一級品,アミノプロピルトリエトキシシランは,信越化学工業(株)製 LS−3150,エチレンジアミン四酢酸二無水物は東京化成工業(株)製を使用した。その他の試薬は,いずれも特級品を使用した。
グリセリン90mL,1-ブタノール130mL,6×10−5mol/L 塩酸3mLを攪拌混合し,この液にTTNB 0.02molをパスツールピペットで滴下し,反応液を作成する。一方,半月型(半径5cm)の攪拌羽根を付けた攪拌機に500mLフラスコを取付け,この中にマグネタイト5g,1−ブタノール20mL,6%ヒドキシプロピルセルロースのブタノール溶液5mLを加え300rpmで攪拌しながら,超音波洗浄器で超音波を加える。30分経過後に前述の反応液の上澄み200mLをフラスコに加え,フラスコ中へ窒素ガスを30mL/minで導入しながら,ウォーターバスで20℃定温とし,反応を開始する。2日後に反応したマグネタイト粉を遠心分離し,イソプロピルアルコール(IPA)で3回洗浄後,50℃の真空乾燥機で4時間乾燥しマグネタイト表面にチタン化合物層を形成する。
横型電気炉内に石英反応管(50mmφ)を設置し,反応管中にチタン化合物層を形成したマグネタイトを灰化皿に載せていれる。一夜,窒素ガスを30mL/minで反応管に流して系内をパージした後,流速500mL/minとして450℃で2時間加熱し焼成する。40℃まで冷却した後反応管を開けて生成物を取り出し,乳鉢で軽くすり潰してチタン化合物層を表面に焼成した生成物を得た。また,同様にマッフル炉にマグネタイトを灰化皿に載せて入れ,窒素流速1000mL/min,400℃で2時間加熱後,40℃まで放冷して得られた粉体を上記と比較した。
還流管と半月型(半径5cm)の攪拌羽根を取り付けた500mLフラスコ中に2.3で作成したチタン化合物層を表面に形成したマグネタイト1.5gとトルエン60mLを入れる。攪拌しながらアミノプロピルトリエトキシシラン600μLを加える。攪拌を続けながら2時間加熱還流させた後,室温まで冷却する。これにエチレンジアミン四酢酸二無水物3mmolとピリジン90mLを加え,2時間還流し,反応終了後室温まで冷却する。得られた生成物をビーカーに入れた0.5Mの炭酸水素ナトリウム水溶液中150mL中に流し込みよく攪拌した後,磁力によりビーカー下部に生成物を集め,上澄み液を廃液し,生成物を3回水で洗浄する。細孔径1μmのガラスろ紙でろ過した後,残渣物を水で洗い,エチルアルコール,ジエチルエーテルの順で洗って,60℃1時間真空乾燥してEDTA修飾マグネタイトを得た。
3.1 マグネタイト粒子表面へチタン化合物層の生成条件の検討
3.1.1 グリセリンがTTNBの加水分解におよぼす影響
TTIPを有機溶媒に溶かし,これに水を加えると,TTIPが加水分解し,水酸化チタンの白色沈殿を生じるが,この際に種粒子が溶液中に介在しているとその表面に水酸化チタンの微粒子が成長し,粒子表面を覆っていく。
この方法における最大の欠点は,成長反応終了時のマグネタイトを回収する時点で水酸化チタンの均一成長が起こってしまうことである。これを防ぐために反応速度を抑えて核成長をおこさせることを目的として,TTIPより反応速度が遅く反応が穏和なTTNBを反応基材として用い,増粘と溶媒の親水を増すためにグリセリンを使用して成長反応を実施した。
2.2に示した方法に従って7日間成長反応を行なった。この際,マグネタイトの分散性を上げるためにヒドキシプロピルセルロース用いた。また,TTNBが安定と考えられる酸性領域のpH5〜6の水(塩酸酸性)を原料に用いた。さらに,反応開始から1日毎に反応液2mLを取り出しこの溶液中に含まれるチタン量を測定し,成長に伴うチタン消費量を調べた。チタン量の測定は取り出した溶液を孔径0.45μmのPTFEメンブランフィルターでろ過後,1mLを採取し1N塩酸溶液10mLに溶解後,水で100mLに希釈し,この溶液を水でさらに10倍希釈して得られた液を,島津製作所(株)製プラズマ発光分析装置ICPS−8000にてチタン量を測定することにより実施した。また,成長後の粒子の状態を(株)日立製作所製電子顕微鏡S−4700にて測定した。
表1に示す組成の反応液を作成し,TTNBが加水分解してマグネタイト表面に成長していく際のグリセリンが与える影響について調べた。成長の速度の目安として反応液中のチタン減少量を指標として径時変化を図1に示す。ブタノールのみのものとグリセリンを含んだものを比較すると,グリセリンを含んだ系では,ブタノール単独のものよりゆっくりと反応が進んでいることがわかった。反応終了時の遠心分離等の処理時においてもグリセリンを含んだものは上澄み液に水酸化物の均一生成物が見られず,扱いやすい。
図2に図1の横軸を対数プロットし,グラフの傾きが成長速度を表すようにしたものを示す。グリセリンを加えたものは,成長期間中一定の速度で反応が進んでいたが,ブタノールのみのものは反応初期に急激に反応が進み,その後一定速度を保つことがわかった。
また,電子顕微鏡写真にてその結晶が成長していることを確認したが成長時間が長すぎるため単分散性は損なわれ,多くの粒子が結合していた。
反応液に加える水の有無の影響について調べるため,表2に示す反応液を作成し,3.1.1と同様な方法で成長の過程について調べた。比較対照は水を加えないもの,水及び6×10−5mol/L 塩酸で行った。なお,この反応においては,使用したグリセリン中の水分量が無視できない可能性があるため,カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製 MKA−3)を用いて水分量を測定したところ,0.4%であった。試験の結果を図3に示す。グラフはチタン濃度の対数値の径時変化で表した。チタン濃度は水及び塩酸酸性のものを加えたときは直線を示した。しかし,水を加えないものは,反応開始後1〜2日で急激に減少し,その後ゆっくり減少する。水を加えない系のものは,加えたものとは反応自体が異なる可能性が高い。水を加えない場合はグリセリンとTTNBに結合しているブトキシ基の交換反応が支配的になる可能性がある。また,水と6×10−5mol/L塩酸溶液では,塩酸酸性のものの反応速度が速い。TTNBはアルカリ側で水酸化物を作るなど不安定となることから,微酸性溶液で制御することが有利と考えられる。
反応溶液中のグリセリン濃度とブタノール濃度の比率を変えて,結晶を成長させた時のチタン濃度の変化(反応速度)について調べた結果を示す。反応溶液は表3に示す3種配合で作成した。各々のグリセリンとブタノールの配合比率(G/B比)は,グリセリン量少(G/B比=70/150),グリセリン量標準(90/130),グリセリン量多(120/100)である。
この結果を図4に示す。グリセリンの比率を上げたものほどチタンの反応速度が遅くなる。グリセリン比率を下げると反応曲線はグリセリンを含まないものに近づいていく。また,反応液調整時にTTNBを加えると瞬時に均一核生成が起こり,水酸化チタンと考えられる白色沈殿が生じ,チタンが損失する。図4におけるG/B比=70/150の初期濃度が低い値となっているのはこのためで,デカンテーションによって沈殿を除いて試験を実施した。一方,グリセリン量を多くすると反応は進まなくなる。G/B比=120/100以上では粘度が高くなり,溶液作成時にTTNBを加えた時点で局所的にTTNB濃度が高くなり,グリセリンとTTNBのブトキシ基の交換反応により白色沈殿ができてしまう。
このような関係からこの成長反応は,疎水性のTTNB,ブタノールと親水性のグリセリン及び水を含む系の中で徐々にTTNBの加水分解とTTNBブトキシ基のグリセリン交換反応が起こることによって生成物がマグネタイト表面に析出して起こるものと考えられる。特にG/B比=90/130近辺においては,反応速度は測定した径時変化の期間中は直線関係に近いものを示す。また,反応後の結晶洗浄処理についても,ブタノールより疎水性の強いものを使用すると,逆反応によりマグネタイト表面の生成物が溶け出す可能性が高いため,イソプロパノール等を使用することが望ましい。実際,ブタノールで長時間処理すると生成物は再溶解してしまう。G/B比=70/150において成長途中のマグネタイトを1日ごとに取り出し洗浄,乾燥後の試料について電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM5310LV・JED2110)のEDS分析を行い得られた特性X線強度のTi/Fe強度比を調べた結果が,図5である。成長時間が増すごとにTi/Fe比が増加し,成長が進んでいることがわかる。また,G/B比=70/150におけるチタン濃度の減少とチタン粒子の成長過程の電子顕微鏡写真の対照図を図5の上段に示す。この条件で試験を行うと24時間程度でも十分にコーティングできていることがうかがえる。この際の条件としては,チタン濃度で約0.015mol/Lの減少があったことから,マグネタイト5gに対してチタン量で0.14g程度で十分な成長を示すと考えられる。この条件をG/B比=90/130に適用すると,2〜3日間の成長時間が妥当と考えられた。
3.2.1 生成物の熱分析
TTNBを原料として結晶表面にチタン化合物を成長したマグネタイトを熱処理するにあたって2.2に示した方法で作成した熱処理前の試料を,示差熱熱重量計(SII NanoTechnology社製 TG/DTA6300)によって熱分析を行った。測定温度範囲:100℃〜850℃,昇温速度:10℃/分,炉内雰囲気:空気及び窒素400mL/分で熱分析を行った。図6に空気雰囲気,図7に窒素雰囲気における分析結果を示す。
空気雰囲気では300℃までに2段階の重量減少が起こり,300℃近辺に発熱ビークが現れ,生成物の有機成分が酸化分解していると考えられる。また,窒素雰囲気下では,380℃までに3段階の重量減少が起こり,340℃に発熱ピークが認められた。このピークは有機物の熱分解が起こっているものと考えられるが,残存有機物中の酸素原子の影響で一部が酸化分解していると考えられる。
2.2に示した方法で2日間反応させ,チタン化合物を表面に成長させたマグネタイトを得る。この試料をマッフル炉((株)デンケン製KDF S80G)に入れて窒素を一夜パージした後,窒素雰囲気で熱処理を行った。また,比較対照として炉内に石英反応管(50mmφ)を設置し,炉中に導入できる窒素ガスと酸素ガス量をを制御できるように改良した横型電気炉に同じ試料を入れて窒素ガスのみで加熱した。表4にこの時使用した熱処理条件をまとめて示す。
表4に示す加熱条件1は加熱後マッフル炉から出した状態では粉体は黒色であった。加熱条件2で加熱したものは,冷却時に炉内が一時的に陰圧になったためか,粉体色は赤褐色に変化していた。一方,加熱条件3で加熱したものは黒色を保っていた。この3試料を示差熱熱重量分析に供したところ,条件1のものは,空気,窒素両雰囲気で図6,図7と同様な発熱ピークと重量減少が観察され,有機物の残留が確認された。条件2,3は条件1のような大きな発熱ピークはみられなかった。生成した粉体の結晶形を確認するため,条件2,3の粉体をX線回折((株)マックサイエンスMPX−3A)に供した。条件2で生成した粉体はγ-酸化鉄の回折線,条件3はマグネタイトの回折線が得られた。しかし,表層に付いたチタン層の回折線は,加熱温度が低いことや,薄層であることなどから,情報が得られなかった。
そこで表層に付いたチタン層を確認するため,条件3で加熱した得られた粉体を電子顕微鏡のEDS分析を行ったものを図8に示す。倍率3500倍で横軸方向に比較的広い範囲で鉄,チタン,酸素の元素分布を線分析した。粉体の凹凸の影響を受けて粉体中心部の分布が高いものとなったが,均質な構造をとっているものと考えられた。
加熱処理による生成粉体の比表面積が異なる可能性があるため,比表面積計((株)島津製作所製マイクロメリティックス・フォローソープII2300)によってBET1点法によってその比表面積を測定した。この結果を表5に示す。マグネタイト,加熱条件1,2,3について比較した。さらに,野村らの方法(特許文献2)にしたがってシリカゲルにγ−酸化鉄を担持した粉体を作成し,この比表面積も比較対照として表5中に示した。
その結果,原料マグネタイトに比べ加熱条件2,3の高温で処理したものは,有機物が熱分解するときにポーラスとなったためか,比表面積が増加していた。加熱条件1の200℃処理のものはわずかに増加しただけだった。また,シリカゲルとの比較ではマグネタイト系のものとは比表面積は1/7程度でしかなかった。
加熱処理の条件によってマグネタイト粉体は結晶形が変化することから,その磁化率を測定し評価を行った。測定には試料振動型磁力計(理研電子(株)製 BHV−55)を使用した。
原料のマグネタイトと加熱条件2,3で処理した粉体のヒステリシス曲線を図9,10,11に示す。原料マグネタイトの磁化率は,10KOeにおいて75.6emu/gであり,それに比較して加熱条件2では45.9emu/g,加熱条件3では74.8emu/gであり,加熱条件を換えることによりマグネタイトと遜色のないものが作成可能である。また,特徴として残余磁化が生じる。特に加熱条件2では粉体にγ-酸化鉄が含まれていることが磁化率の減少したことに起因するものと考えられる。一方,野村らの方法によって作成した磁性シリカゲルは10KOeにおいて4.0emu/gであり,本法で作成した粉体の方が磁性の面では高性能であった。
異なる加熱条件で作成した粉体の酸性・アルカリ性領域における金属類の溶出試験を行った。試験方法は0.1,0.01,0.001mol/L HCl溶液を溶出液として用いた。各加熱条件で作成した粉体試料150mgを溶出液1.5mLに入れ,20分間振とうし,15,000回転で遠心分離を30分間行い,上澄み0.5mLに5mLの純水を加えて希釈し,得られた溶液をプラズマ発光分析装置にて,鉄,チタン,ケイ素量を測定した。
同様に溶出液として0.1,0.01,0.001mol/L NaOH溶液を用いて,鉄,チタン,ケイ素の溶出量を測定した。
酸性条件の溶出結果を表6に,アルカリ性条件溶出結果を表7に示す。酸性領域においては,野村らの磁性シリカゲルにくらべて,鉄の溶出量は少ない。また,原料マグネタイトと比較すると,チタン層を表面に作成した加熱条件1,2,3いずれも溶出を抑制する効果があることがわかったが,特にマッフル炉でやや酸化雰囲気で加熱した加熱条件2のものが比表面積が高いのにもかかわらず溶出量が少なかった。これは,マグネタイトがγ-酸化鉄になっていることと,次節で述べる表層の状態が影響しているものと考えられる。一方,チタンの溶出は,200℃の加熱(加熱条件1)では防げず,高温での処理が必要と考えられる。
アルカリ性側では,鉄の溶出量は少なかった。また,チタンは加熱条件2,3で溶出量は低く抑えられていた。シリカゲルにおいてケイ素が多く溶出し,鉄系のものが有利であることがわかった。
チタン層の結晶構造が明確にできなかったことから,2.2に示した方法で7日間結晶を厚く成長させ,横型電気炉で600℃,2時間加熱した。この時の試験条件を表8に示す。雰囲気を変え2種の条件で粉体を作成した。加熱条件で焼成雰囲気は,窒素流速500mL/min(加熱条件4)及び窒素80%,酸素20% 全流速500mL/min(加熱条件5)の2種類で行った。
得られた粉体をX線回折にかけて回折パターンを比較した。図12に加熱条件4で得られた回折図,図13には加熱条件5の時の回折図を示す。なお,図12には市販試薬のマグネタイト(Fe3O4)とチタン酸鉄(FeTiO3),図13にはα-酸化鉄(α−Fe2O3)と酸化チタン(アナターゼTiO2)をX線測定した結果を重ね合わせで表示した。加熱条件4で得られた主回折パターンはマグネタイトのものであったがその中に表面層の弱いパターンが表れており,このパターンはチタン酸鉄のものと推定される。したがって,窒素雰囲気で加熱した場合は成長界面を超えて拡散し,チタンと鉄の複酸化物となっているものと考えられる。
また,加熱条件5の場合はマグネタイトも酸化されα−酸化鉄となる。その,表層は酸化チタンとなっていることが推定される。
3.3.1 EDTAの修飾量の比較
作成した粉体粒子の表面に重金属を捕捉する機能を付加し,粉体を重金属捕捉剤として活用する方法について検討した。EDTAを表面に修飾する手法については,前記2.4に示す方法で行った。シランカップリング剤で粉体表面にアミノ基を持つサイトを導入した後に,EDTAのカルボキシル基にアミド結合させることによりEDTAを導入し,最終的に残ったカルボキシル基端にナトリウムをつけ親水性を付与する。この際のEDTA導入率を比較するため,磁性シリカゲル,マグネタイト及び前述の加熱条件2,3にて作成したチタンコートマグネタイトを用いた。
EDTAを導入した際に表面にケイ素及びナトリウムが付加されるため,これを電子顕微鏡のEDS分析によって確認を行った。図14に一例として,加熱条件3にて作成したチタンコートマグネタイトにEDTAを修飾した粉体の,EDS分析の結果を示す。チャート上に鉄,チタン,酸素の他にケイ素,ナトリウムのピークが得られ,定性的に粉体上にカップリング反応とEDTAが付いていることが確認できた。
さらに,定量的に比較を行うため元素分析装置(パーキンエルマー社製2400II)によって炭素量,窒素量について調べた結果を表9に示す。EDTAを修飾するとEDTA中の窒素量の多少を比較できる。表9によるとマグネタイト粒子にチタンコーティングしたものを加熱条件2,3で焼成して得られた粉体のEDTA修飾物は,EDTA修飾マグネタイト,EDTA修飾磁性シリカゲルより1gあたりのEDTAの修飾率が高い。
さらに,実験に使用したシリカゲルの表面積がマグネタイトより格段に大きいことから(3.2.3),単位表面積あたりの修飾率はマグネタイトや本法で作成した粉体の方が高いものと考えられる。
製作した粉体の金属除去性能を確かめるため,以下の方法により試験を行った。3本のポリプロピレン製50mL遠沈管に水2.5mL,100μg/mLカドミウム標準液2.5mLを入れ,これにpH6.0に調整した25mMクエン酸緩衝液20mLを入れる。このうちの2本に遠沈管に各々EDTAを修飾した粉体,無修飾のマグネタイト50mgを入れ,他の1本はブランクとする。3本の遠沈管をすべて2時間振とうし,磁性で分離し,上澄み液をプラズマ発光分析装置にてカドミウム含量を測定し,その減少量から修飾の有無の金属除去率を比較した。さらに同様な方法によりインジウムの除去率も調べた。表10にこの結果を示す。カドミウムの総除去率は97%,インジウムの総除去率は96%であった。
Claims (6)
- マグネタイト粒子とチタンアルコキシド又は/及びチタンキレートを有機溶媒に水を加えた溶液中で反応させてマグネタイト粒子表面にチタン化合物微粒子を集積させチタン化合物層を表層に成長させる際に、前記溶液にグリセリンを添加して反応速度を制御して、チタン化合物積層マグネタイト粒子を得る工程と、前記工程で得られたチタン化合物積層マグネタイト粒子を不活性ガス雰囲気中、200℃〜600℃で焼成し、チタン酸化物層を表層とするマグネタイト粒子を得る焼成工程を備えてなることを特徴とする磁性粉体の製造方法。
- マグネタイト粒子とチタンアルコキシド又は/及びチタンキレートを有機溶媒に水を加えた溶液中で反応させてマグネタイト粒子表面にチタン化合物微粒子を集積させチタン化合物層を表層に成長させる際に、前記溶液にグリセリンを添加して反応速度を制御して、チタン化合物積層マグネタイト粒子を得る工程と、前記工程で得られたチタン化合物積層マグネタイト粒子を不活性ガス雰囲気中、200℃〜600℃で焼成し、チタン酸化物層を表層とするマグネタイト粒子を得る焼成工程と、前記焼成工程で得られたチタン酸化物層を表層とするマグネタイト粒子に金属除去用機能性基を導入して金属除去用機能性基修飾マグネタイト粒子を得る修飾工程を備えてなることを特徴とする磁性粉体の製造方法。
- 請求項1または2記載の磁性粉体の製造方法において、有機溶媒としてブタノール又はイソプロピルアルコールもしくはそれらの混合物を用い、グリセリンと前記有機溶媒の容積比率を70/150〜120/100としたことを特徴とする磁性粉体の製造方法。
- 請求項1または2記載の磁性粉体の製造方法において、チタンアルコキシドとしてチタンテトラ−n−ブトキシドを用いることを特徴とする磁性粉体の製造方法。
- 請求項1または2記載の磁性粉体の製造方法において、有機溶媒に添加する水が微酸性溶液であることを特徴とする磁性粉体の製造方法。
- 前記機能性基としてエチレンジアミン四酢酸を用いてなることを特徴とする請求項2記載の磁性粉体の製造方法。
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