以下、発明の実施の形態例を図面を参照して説明する。なお、本形態例では、遊技盤の遊技領域に遊技球(遊技媒体)を発射して遊技するパチンコ機を例に挙げて説明するが、本発明は、メダルによって遊技を行う回胴式遊技機(スロットマシン)などの他の遊技機にも適用可能である。
[遊技機の概略構成]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るパチンコ機Pは、遊技ホールの島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の内側に収容された遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、前面枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、前面枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7等を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。
[遊技機の前面側の構成]
図1及び図2に示すように、遊技盤3は、その盤面に遊技領域31を有し、前面枠2に遊技盤3を装着すると、ガラス板10から遊技領域31を観察することができるようになっている。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、特別図柄表示装置17と、演出表示装置(表示手段)34と、スルーチャッカ21と、普通図柄表示装置22と、電動チューリップ49と、ステージ36と、始動入賞口(始動口)37と、一般入賞口38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、アタッカー装置41等が設けられている。
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置17に変動表示される特別図柄と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)115(図5参照)に記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。つまり、この表示領域の部分が保留球表示領域34aとなっているのである。
また、特別図柄表示装置17は、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、より具体的には、抽選結果を、特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示するものである。この特別図柄表示装置17は、本実施形態では7セグメント表示器が用いられており、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46(図5参照)が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するための普通図柄表示装置22が、特別図柄表示装置17の隣に設けられている。この普通図柄表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普通図柄当たりのときには一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。
電動チューリップ49は、始動入賞口37の入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、始動入賞口37の入口を拡大するようになっている。ステージ36は、演出表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ36の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には始動入賞口37が配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で始動入賞口37へと導かれる。
アタッカー装置41は、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、大当たりとなって大当たり遊技に移行した場合に所定回数開放される装置である。このアタッカー装置41が開放すると、大入賞口42が露呈し、そこに遊技球が入賞することで多くの賞球が獲得できるようになっている。また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、始動入賞口37や一般入賞口38に入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、始動入賞口37、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43〜45(図4参照)が設けられている。
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、球払出装置14(図3及び図4参照)から払い出された遊技球も収容可能となっている。球払出装置14又は球払出装置14から受皿5への遊技球の払出通路には、払い出した遊技球を検知するための遊技球払出センサ47(図4参照)が設けられている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が前面枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。発射装置9又は発射装置9から遊技領域31への遊技球の発射通路には、発射された遊技球を検知するための球発射検知センサ48(図4参照)が設けられている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、プリペイドカードの残高からの遊技球の貸し出しを要求する際に遊技者が押下操作する球貸ボタン23と、プリペイドカードの返却を要求する際に遊技者が押下操作する返却ボタン24と、遊技者が押下操作するタッチボタン60とが設けられている。
[遊技機の背面側の構成]
図3に示すように、パチンコ機Pは、その背面側に、主制御処理部(遊技処理実行手段)11と、副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fと、発射制御処理部13と、球払出装置14等を備えている。また、パチンコ機Pの背面側には、図4に示すように、CRユニット端子板15と外部端子板16とが設けられている。
CRユニット端子板15には、CRユニット(外部装置)17と電気的に接続される接続端子(図示省略)が設けられている。CRユニット17は、パチンコ機Pに隣接して設置され、CRユニット17の正面側には、プリペイドカードの挿入口(図示省略)が設けられている。CRユニット17と主制御処理部11との間の信号は、CRユニット端子板15を介して送受信される。
外部端子板16には、遊技ホールに設置されたホールコンピュータ(管理コンピュータ)と電気的に接続される接続端子(図示省略)が設けられている。
[主制御処理部]
図3に示すように、主制御処理部11は、遊技盤3(図2参照)の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等とにより構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理(遊技処理)が行われる。
具体的には、図4に示すように、始動入賞口37に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行う特別図柄抽選部110と、この特別図柄抽選部110が判定した抽選結果に応じて特別図柄を決定する特別図柄決定部120と、遊技コマンドである変動パターンコマンドを決定するための変動パターンコマンド決定部140と、特別図柄抽選部110による抽選結果の判定が大当たりとなった場合にアタッカー装置41のソレノイドを作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部160と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選部170と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180と、CRユニット18との間の信号の送受信を制御する球貸信号制御部(接続検知手段)190と、ホールコンピュータ18への信号の送信を制御する外部出力信号制御部191と、パチンコ機Pが遊技ホールに設置された通常使用状態であるか或いは遊技ホールに設置されていない非通常使用状態であるかを判定する使用状態判定部(使用状態判定手段)192とを備えて主制御処理部11は構成されている。
特別図柄抽選部110は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄用乱数発生部111と、始動入賞口37に遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する特別図柄用乱数取得部112と、この特別図柄用乱数取得部112が取得した乱数が大当たりであるか否かを特別図柄判定テーブル114を参照して決定する特別図柄当否判定部113と、特別図柄用乱数取得部112が乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を4個(所定個数)の上限まで保留球乱数として記憶する保留球乱数記憶部115と、を備えている。
変動パターンコマンド決定部140は、演出態様を決定するためのコマンドである変動パターンコマンドの決定に用いられる変動パターン用乱数の抽選処理を行う変動パターン用乱数抽選部130と、変動パターン用乱数と変動パターンコマンドのパターンNo.(遊技コマンド)とが対応づけられたテーブルが複数記憶されたコマンド参照テーブル135と、を備えている。この変動パターン用乱数抽選部130は、図5に示すように、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(0〜63まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する変動パターン用乱数発生部131と、始動入賞口37に遊技球が入賞したことに基づいて(始動入賞口検知センサ43からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する変動パターン用乱数取得部132と、この変動パターン用乱数取得部132が取得した乱数を記憶する変動パターン用乱数記憶部134と、を備えている。
また、コマンド参照テーブル135は、図6に示すように、取得した特別図柄用乱数が大当たり乱数である場合に参照される大当たり時参照テーブル135aと、ハズレの場合に参照されるハズレ時参照テーブル135bとを有しており、これらのテーブル135a、135bを参照して、変動パターンコマンド決定部140は、変動パターンNo.を決定している。
より具体的に説明すると、大当たり時参照テーブル135aには、遊技コマンドである変動パターンNo.1〜64までが割り当てられ、ハズレ用時参照テーブル135bには遊技コマンドである変動パターンNo.65〜127までが割り当てられている。そして、特別図柄用乱数取得部112が取得した乱数が大当たり乱数である場合には、変動パターンコマンド決定部140は変動パターンNo.1〜64の中から変動パターン用乱数に基づいて1つのパターンを選択して、そのパターンを変動パターンコマンドとして演出制御処理部12aに送信している。
同様に、ハズレの場合には、変動パターンコマンド決定部140は、変動パターンNo.65〜127の中から変動パターン用乱数に基づいて1つのパターンを選択して演出制御処理部12aにそのコマンドを送信している。なお、変動パターンNo.1〜64までは、変動パターンNo.65〜127に比べて全体的に特別図柄の変動時間が長い変動パターンコマンドとなっており、変動時間が長い演出態様が表示されると、遊技者は大当たりの可能性が高いのではないかと予測することができるようになっている。
ここで、本実施形態では、始動入賞口37に遊技球が入賞したタイミングで変動パターン用乱数を取得する。そして、この入賞で直ちに遊技が開始する場合には、この変動パターン用乱数に基づいて、変動パターンコマンド決定部140は変動パターンコマンドを決定している。この入賞が特別図柄の変動中であったため、この入賞に基づいて取得した特別図柄用乱数が保留球乱数として保留球乱数記憶部115に記憶される場合においても、同様に、保留球乱数として保留球乱数記憶部115に記憶される毎に、この入賞のタイミングで取得した変動パターン用乱数に基づいて、変動パターンコマンド決定部140は変動パターンコマンドを決定して、その変動パターンコマンドを先読みコマンドとして演出制御処理部12aに送信している。これは、後述する先読み判定処理を行うためである。
また、保留球乱数として記憶される場合には、当該保留球乱数に基づく遊技が開始するまで、この取得した変動パターン用乱数は、変動パターン用乱数記憶部134に記憶されている。そして、保留球乱数に基づく遊技が開始される際には、変動パターン用乱数記憶部134に記憶されている変動パターン用乱数を再び読み出して、コマンド参照テーブル135を参照して変動パターンコマンドが決定されるようになっている。
つまり、特別図柄用乱数が保留球乱数として記憶される場合には、変動パターンコマンドは2回決定され、その都度、演出制御処理部12aに送信される。1回目の決定は、始動口37への遊技球の入賞のタイミングであり、ここで決定した変動パターンコマンドは先読みコマンドとして演出制御処理部12aに送信される。この先読みコマンドを受けて、演出制御処理部12aは先読み判定処理を行い、所定の条件を達成すると、この先読みコマンドに対応する保留球乱数についての保留球表示を特殊保留球表示態様により行う。
2回目の決定は、保留球乱数に基づく遊技が開始するタイミングであり、このタイミングで当該遊技に関する正式な変動パターンコマンドが決定され、演出制御処理部12aに送信されることとなる。つまり、1回目の決定はあくまで先読み判定処理を行うためであり、2回目の決定が遊技に用いる正式な変動パターンコマンドとなるのである。なお、1つの保留球乱数に係る変動パターン用乱数は同じなので、1回目と2回目の変動パターンコマンドは基本的に同じとなるが、実際の遊技が開始される時点で保留球乱数が4個の上限まで記憶されているような場合には、2回目の変動パターンコマンドは特別図柄の変動時間が短いコマンドとなっている場合があり得る。
ここで、本実施形態では、大当たり時に選択可能な全ての変動パターンNo.1〜64と、ハズレ時に選択可能な変動パターンNo.100〜127とで特定の変動パターンコマンド(特定のコマンド)を構成している。なお、変動パターンNo.100〜127は、大当たりの可能性が高い演出態様であるスーパーリーチや超スーパーリーチが行われるハズレコマンドである(図9参照)。これら変動パターンNo.100〜127が選択されると、演出表示装置34にスーパーリーチや超スーパーリーチが表示され、大当たりとなるのではないかと遊技者を煽りながら、最終的にはハズレと表示される。
特定の変動パターンコマンドの内訳は、大当たり時の変動パターンコマンドがNo.1〜64までの合計64個、ハズレ時の変動パターンコマンドがNo.100〜127までの合計128個となっており、ある遊技において特定の変動パターンコマンドが選択されたときには、そのコマンドは特別図柄用乱数が大当たりである可能性が高いということになる。よって、詳しくは後述するが、大当たりと判定された場合の方が、先読み判定処理にて保留球表示が特殊な表示態様になる可能性が高い。
なお、以下の説明において、1回目の決定に係る変動パターンコマンドと2回目の決定に係る変動パターンコマンドとを区別して表現する必要がある部分については、1回目の決定に係る変動パターンコマンドを先読みコマンド、2回目の決定に係る変動パターンコマンドを正規コマンドと言うことにする。
次に、大当たり遊技制御部160は、大当たりの種類に応じて所定のラウンド数だけアタッカー装置41の開閉を行うように制御している。また、普通図柄抽選部170は、特別図柄用乱数発生手段111が発生させる乱数の数より少ないが同様の構成からなる普通図柄用乱数発生部と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する普通図柄用乱数取得部と、この普通図柄用乱数取得部が取得した乱数が普通図柄当たりであるか否かを普通図柄判定テーブルを参照して決定する普通図柄当否判定部と、普通図柄用乱数取得部が乱数を取得したときに普通図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を普通図柄用保留球乱数として記憶する普通図柄用保留球乱数記憶部と、を備えている。また、電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄抽選部170による電子抽選で普通図柄当たりに当選したコマンドに基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。
球貸信号制御部190は、CRユニット端子板15を介してCRユニット17との間で信号を送受信することによって、パチンコ機PとCRユニット17とが電気的に接続されているか否かを所定時間毎に繰り返して検知する。
パチンコ機PとCRユニット17とが接続された状態で遊技者が球貸ボタン24を押すと、球貸信号制御部190は、所定個数(例えば125個)の球貸が要求されたことを示す球貸要求信号をCRユニット17へ送信する。球貸要求信号を受信したCRユニット17は、残高が所定個数以上であるプリペイドカードが挿入されている場合には、所定個数の遊技球の貸し出しを許可することを示す球貸許可信号をパチンコ機Pへ送信する。なお、挿入されたプリペイドカードの残高がゼロではなく且つ所定個数未満である場合には、その残高に対応した個数の遊技球の貸し出しを許可することを示す球貸許可信号をパチンコ機Pへ送信する。球貸許可信号を受信した球貸信号制御部190は、受信した球貸許可信号が示す個数(貸出実行数)の遊技球の貸し出しを指示する貸出指示信号を払出制御処理部12eへ送信する。貸出指示信号を受信した払出制御処理部12eは、貸出実行数の遊技球が貸し出されるように球払出装置14を制御する。貸出指示信号が払出制御処理部12eへ送信された後に、遊技球払出検知センサ47が上記貸出実行数の遊技球の払い出しを検知すると、球貸し信号制御部190は、上記貸出実行数の遊技球が貸し出されたことを示す球貸完了信号をCRユニット18へ送信する。球貸完了信号を受信したCRユニット18は、挿入されたプリペイドカードの残高を、上記貸出実行数に応じて減算して更新する。
また、パチンコ機PとCRユニット17とが接続された状態で遊技者が返却ボタン24を押すと、球貸信号制御部190は、プリペイドカードの返却が要求されたことを示す返却要求信号をCRユニット17へ送信する。返却要求信号を受信したCRユニット17は、挿入されているプリペイドカードを排出する。
外部出力信号制御部191は、特別図柄当否判定部113による判定結果が大当たりであることを示す大当り情報出力信号や、始動入賞口37に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄用乱数取得部112が乱数を取得したことを示す始動口入賞情報出力信号などのように、パチンコ機Pの管理に必要な各種の情報信号を、外部端子板16からホールコンピュータへ送信する。
使用状態判定部192は、パチンコ機PとCRユニット17とが電気的に接続していることを球貸信号制御部190が検知している場合、パチンコ機Pが遊技ホールに設置された通常使用状態であると判定して、演出制御処理部12aへCRコード表示許可信号を送信する。一方、パチンコ機PとCRユニット17とが電気的に接続していないことを球貸信号制御部190が検知している場合、パチンコ機Pが遊技ホールに設置されていない非通常使用状態であると判定して、演出制御処理部12aへCRコード表示禁止信号を送信する。
[副制御処理部]
続いて、主制御処理部11からの指令(コマンド)を受けて各種装置を制御する副制御処理部について説明する。副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fは、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられており、主制御処理部11が生成した処理情報に従って、演出表示装置34やスピーカ20、その他の演出装置(LED装置など)などの制御を行っている。副制御処理部も、主制御装置11と同様に、CPUと、予め定められた制御プログラムを格納するROMと、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM等とにより構成され、CPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、所定の処理が行われる。
演出制御処理部12aは、図7に示すように、処理部として、演出態様決定部210と、演出表示制御部(演出表示制御手段)220と、先読み抽選許可部(予告抽選許可手段)230、先読み演出抽選部(予告表示決定手段)231と、フラグ設定部(フラグ設定手段)240と、フラグ消去部(フラグ消去手段)241と、保留球表示パターン決定部250とを備え、記憶部として、演出態様記憶部260と、フラグ記憶部270と、大当たり遊技演出データ記憶部280と、特典情報テーブル281と、メニュー画面データ記憶部282と、履歴情報記憶部283とを備えている。演出態様記憶部260、大当たり遊技演出データ記憶部280、特典情報テーブル281及びメニュー画面データ記憶部282は、ROMに設定され、フラグ記憶部270及び履歴情報記憶部283は、RAMに設定される。
演出態様決定部210は、正規コマンドに基づいて、演出態様記憶部260に記憶されている大当たり用演出テーブル260aまたはハズレ用演出テーブル260bを参照して、遊技に用いる演出を決定している。ここで、大当たり用演出テーブル260aは、図8に示すように、変動パターンNo.1〜No.64までの変動パターンコマンドに1対1で対応するように演出態様が割り当てられている。例えば、変動パターンNo.1には「ロングリーチA」が、変動パターンNo.2には「ロングリーチB」が、変動パターンNo.30には「超スーパーリーチA」が、変動パターンNo.64には「プレミアリーチC」が割り当てられている。これらの演出態様は全てリーチ(複数の演出図柄のうち変動中の演出図柄を一つ残して、その他の演出図柄が全て同一図柄で停止した状態の演出態様のこと)を含んでおり、リーチを含まない演出に比べて長時間の演出が行われる態様となっている。
ハズレ用演出テーブル260bは、図9に示すように、変動パターンNo.65〜No.127までの変動パターンコマンドに1対1で対応するように演出態様が割り当てられている。例えば、変動パターンNo.65には「リーチなしA」が、変動パターンNo.66には「リーチなしB」が、変動パターンNo.80には「ノーマルリーチA」が、変動パターンNo.85には「ロングリーチA」が、変動パターンNo.127には「超スーパーリーチC」が割り当てられている。このように、このハズレ用演出テーブル260bは、リーチなしの演出が多数含まれた構成となっている。
演出態様決定部210が決定した演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御するのが演出表示制御部(演出表示制御手段)220である。この演出表示制御部220は、後述する保留球表示パターン決定部250が決定した保留球表示パターンを演出表示装置34の保留球表示領域34aに表示する制御も行っている。
フラグ記憶部270は、2次元コード表示フラグの設定領域を含む。演出制御処理部12aが使用状態判定部192からCRコード表示許可信号を受信すると、フラグ設定部240は、2次元コード表示フラグをオン状態に設定する。また、CRコード表示禁止信号を受信すると、フラグ消去部241は、2次元コード表示フラグをオフ状態に設定する。
大当たり遊技演出データ記憶部280には、大当たり遊技演出データが予め記憶されている。大当たり遊技演出データとは、大当たり遊技中(アタッカー装置41の開閉制御実行中)に表示する演出画像のデータであり、大当たり遊技が開始されると、演出表示制御部220は、大当たり遊技中の演出画像を大当たり遊技演出データに従って演出表示装置34に表示する。
特典情報テーブル281には、大当たり時の正規コマンドのうち1又は複数の所定のコマンドに1対1で対応するように特典情報が割り当てられている。特典情報とは、主制御処理部11が実行した遊技処理に応じて提供される特典を享受するために必要な情報である。上記特典とは、例えば特別な画像やアイテムや楽曲などのコンテンツであり、本実施形態では、所定の特典を取得可能なインターネット上のアドレス(例えば、パチンコ機Pの製造販売会社のホームページ内に設定されたウエヴサイトのアドレス(URL))が特典情報として記憶されている。なお、特典は上記に限定されるものではなく、例えば後述する遊技履歴も特典に含まれる。
演出表示制御部220は、大当たり遊技中の演出画像を表示する際、当該大当たり遊技の正規コマンドが特典情報テーブル281に設定されているか否か(2次元コード対象演出であるか否か)を参照して判定し、設定されている場合には、フラグ記憶部270の2次元コード表示フラグがオン状態か否かを判定する。2次元コード表示フラグがオン状態の場合、演出制御処理部12aは、正規コマンドに対応する特典情報を特典情報テーブル281から読み出し、その特典情報をエンコードして2次元コード(例えば、QRコード(登録商標))を生成し、生成した2次元コードを、大当たり遊技中の演出画像に貼り付けて演出表示装置34に表示する。一方、2次元コード表示フラグがオフ状態の場合、演出制御処理部12aは、2次元コードの生成及び表示を実行しない。
また、メニュー画面データ記憶部282には、メニュー画面データが予め記憶されている。メニュー画面データとは、遊技者が遊技を実行していない(球発射検知センサ48が所定時間継続して遊技球を検知していない)状態で、遊技者がタッチボタン60を押したときに表示するメニュー画面のデータである。メニュー画面には、「遊技履歴を記憶する」、「遊技履歴を出力する」、「メニュー画面を終了する」などのように、遊技者が任意に選択可能な指示内容が表示される。遊技者は、タッチボタン60を押下操作することによって、所望の指示内容を選択することができる。「遊技履歴を記憶する」が選択されると、演出制御処理部12aは、その後の遊技履歴(例えば、特別図柄の変動回数や、大当たりの発生回数や、大当たり発生時の変動パターンの種別など)を、履歴情報として履歴情報記憶部283に記憶する。なお、「遊技履歴を記憶する」が選択された際に、既に履歴情報が記憶されている場合には、その履歴情報を削除して、新たに履歴情報を記憶する。また、「遊技履歴を出力する」が選択されると、演出制御処理部12aは、フラグ記憶部270の2次元コード表示フラグがオン状態か否かを判定する。2次元コード表示フラグがオン状態の場合、演出制御処理部12aは、履歴情報記憶部283に記憶された履歴情報を読み出し、その履歴情報をエンコードして2次元コードを生成し、生成した2次元コードを演出表示装置34に表示する。一方、2次元コード表示フラグがオフ状態の場合、演出制御処理部12aは、2次元コードを表示しない旨を演出表示装置34に表示した後、メニュー画面の表示を終了する。
なお、履歴情報を直接エンコードした2次元コードに代えて、予め設定された所定のポイント換算プログラムに従って履歴情報をポイント情報に換算し、換算したポイント情報をエンコードして2次元コードを生成してもよい。また、2次元コードに代えて1次元コード(例えばバーコード)などを用いてもよく、特典情報をそのまま表示してもよい。
遊技者は、撮像機能及び2次元コードのデコード機能を有する携帯電話などの携帯端末を用いて2次元コードを撮像してデコードすることによって、インターネット上のアドレスや遊技履歴を取得することができる。インターネット上のアドレスを取得した遊技者は、そのアドレスにアクセスすることによって、特別なコンテンツを取得することができる。また、遊技履歴を取得した遊技者は、自己の遊技履歴をデータとして保持することができる。さらに、パチンコ機Pの製造販売会社等が、登録された会員(遊技者)に対して個々の遊技履歴の送信を求め、送信された遊技履歴に応じた特典を付与するサービス(システム)をインターネット上で提供している場合、遊技履歴を取得した遊技者は、取得した遊技履歴を所定のウエヴサイトに送信することによって、特典を享受することができる。
図4に説明を戻すと、特別図柄表示制御部12bは、主制御処理部11の特別図柄決定部120が決定した特別図柄のコマンドと、変動パターンコマンド決定部140が決定した正規コマンドに基づき、特別図柄表示装置17に特別図柄を所定の時間だけ変動させた後に停止させる態様で特別図柄決定部120が決定した特別図柄を表示する。一方、普通図柄表示制御部12fは、普通図柄抽選部170による普通図柄に係る抽選結果のコマンドを受け、そのコマンドに基づいて普通図柄表示装置22に普通図柄を変動させた後に停止させる態様で表示するよう制御している。なお、普通図柄表示制御部12fは、上記した特別図柄表示制御部12bによる表示制御と比べて表示する図柄の対象が相違するものの、表示制御の基本構成はほぼ同じである。また、ランプ制御処理部12cは、主制御処理部11からコマンドを受けて各種ランプや電飾の点灯制御を行うものである。
払出制御処理部12eは、CRユニット17からの信号を受けて遊技球を遊技者に貸し出すように球払出装置14を制御する他、主制御処理部11からの払出指令を受けて、所定個数の賞球を遊技者に対して払い出すように球払出装置14を制御する。この球払出装置14は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示せず)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。そして、モータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。具体的には、始動入賞口検知センサ43、一般入賞口検知センサ44、大入賞口検知センサ45等が遊技球の通過を検知したら、球払出装置14は主制御処理部11を経由して受けたコマンドに基づき遊技球を払い出す。
発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて、発射装置9に対する作動の制御を行う装置である。より具体的に言うと、発射装置9に対して通電させたり、通電を停止したり、あるいは、通電電流を変化させるといった制御処理を行う。なお、この発射制御処理部13は、払出制御処理部12eと接続されており、CRユニットが接続されていない場合に発射停止信号が受信されるようになっている。
[特典情報表示制御処理]
次に、パチンコ機Pが実行する特典情報表示制御処理について、図10及び図11のフローチャートを参照して説明する。特典情報表示制御処理は、大当たり遊技中にパチンコ機Pが能動的に実行する処理と、メニュー画面の表示中に遊技者からの要求に応じてパチンコ機Pが受動的に実行する処理とを含む。通常使用状態において、所定条件(能動的な表示処理では2次元コード対象演出の選択、受動的な表示処理では遊技者からの所定の入力)を満たしたときに、2次元コードが表示される。
大当たり遊技中にパチンコ機Pが能動的に実行する特典情報表示処理は、始動入賞口37への遊技球の入賞を契機として開始される。本処理が開始されると、図10に示すように、主制御処理部11の特別図柄抽選部110は、特別図柄に係る電子抽選(内部抽選処理)を実行し(ステップS1)、特別図柄決定部120及び変動パターンコマンド決定部140は、ステップ1での抽選結果に応じて特別図柄の決定及び変動パターンコマンドの決定処理(演出抽選処理)を実行し、決定した変動パターンコマンド(正規コマンド)を演出制御処理部12aへ送信する(ステップS2)。
正規コマンドを受信した演出制御処理部12aは、2次元コード対象演出であるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、受信した正規コマンドが特典情報テーブル281に設定されているか否かを判定し、設定されている場合には2次元コード対象演出であると判定し、設定されていない場合には2次元コード対象演出ではないと判定する。
2次元コード対象演出であると判定した場合(ステップS3:YES)、演出制御処理部12aは、CRユニット端子板15にCRユニット17が接続されているか否か(フラグ記憶部270の2次元コード表示フラグがオン状態か否か)を判定する(ステップS4)。
CRユニット端子板15にCRユニット17が接続されている(2次元コード表示フラグがオン状態である)と判定した場合(ステップS3:YES)、演出制御処理部12aは、対応する特典情報を特典情報テーブル281から読み出し、その特典情報をエンコードして2次元コードを生成し、生成した2次元コードを、大当たり遊技中の演出画像に貼り付けて演出表示装置34に表示して(ステップ5)、本処理を終了する。
一方、2次元コード対象演出ではないと判定した場合(ステップS3:NO)、及びCRユニット端子板15にCRユニット17が接続されていない(2次元コード表示フラグがオフ状態である)と判定した場合(ステップS3:NO)、本処理を終了する。従って、演出制御処理部12aは、2次元コードの生成及び表示を実行しない。
メニュー画面の表示中に遊技者からの要求に応じてパチンコ機Pが実行する特典情報表示処理は、遊技者が遊技を実行していない状態でのタッチボタン60の押下(メニュー画面の表示)を契機として開始される。本処理が開始されると、図11に示すように、演出制御処理部12aは、遊技者が遊技履歴の出力要求を選択したか否か(「遊技履歴を出力する」が選択されたか否か)を判定し(ステップS11)、遊技履歴の出力要求を選択した場合(ステップS11:YES)、CRユニット端子板15にCRユニット17が接続されているか否か(フラグ記憶部270の2次元コード表示フラグがオン状態か否か)を判定する(ステップS12)。
CRユニット端子板15にCRユニット17が接続されている(2次元コード表示フラグがオン状態である)と判定した場合(ステップS12:YES)、演出制御処理部12aは、履歴情報記憶部283に記憶された履歴情報を読み出し、その履歴情報をエンコードして2次元コードを生成し、生成した2次元コードを演出表示装置34に表示して(ステップS13)、本処理を終了する。
一方、遊技者が遊技履歴の出力要求を選択しなかった場合(ステップS11:NO)、及びCRユニット端子板15にCRユニット17が接続されていない(2次元コード表示フラグがオフ状態である)と判定した場合(ステップS12:NO)、本処理を終了する。従って、演出制御処理部12aは、2次元コードの生成及び表示を実行しない。
以上説明したように、本形態例では、パチンコ機Pが遊技ホールに設置されていない非通常使用状態であると使用状態判定部192が判定した場合、演出制御処理部12aは、主制御処理部11が実行した遊技処理に応じて提供される特典(例えばコンテンツやポイントなど)を享受するために必要な特典情報(2次元コード)を演出表示装置34に表示しないので、遊技者等は、遊技ホール以外でのパチンコ機Pの使用によって特典を享受することはできない。従って、パチンコ機Pの製造販売会社等の特典の提供者は、特典の価値の低下を防止して、特典の提供による効果(遊技ホールにおけるパチンコ機Pの稼働率の向上)を維持することができる。
なお、上記形態例では、CRユニット17との電気的な接続を検知することによってパチンコ機Pが通常使用状態であるか否かを判定したが、パチンコ機Pが通常使用状態であるか否かの判定方法は、これに限定されるものではない。例えば、ホールコンピュータ18や履歴表示装置などの他の外部装置との電気的な接続を検知し、その接続を検知している場合に通常使用状態であると判定(接続を検知していない場合に悲通常使用状態であると判定)してもよく、これらの外部装置との接続(端子間の構造上の接続)を検知するセンサを設け、当該センサが端子間の接続を検知している場合に通常状態であると判定(接続を検知していない場合に非通常使用状態であると判定)してもよい。また、パチンコ機Pの所定の内部経路を移動する遊技球を検知するセンサ(例えば、遊技球払出検知センサ47や遊技球発射検知センサ48など)が遊技球を検知しないとき、非通常使用状態であると判定してもよい。
また、使用状態判定部192を主制御処理部11に設けたが、例えば演出制御処理部12aなどの副制御処理部に設けてもよい。
また、スロットマシンの場合にも、パチンコ機Pと同様に、CRユニットや他の外部装置との電気的な又は構造上の接続の検知や、スロットマシンの所定の内部経路を移動するメダルの検知(例えば、ホッパから払い出されるメダルの検知や、投入されたメダルの判別や枚数を検知するセレクタによるメダルの検知など)によって、スロットマシンが通常使用状態であるか否かを判定し、特典情報の表示を制限することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。