JP5907900B2 - 回転式複数部品把持具 - Google Patents
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Description
ここで、ロボットを利用した生産システムにおいて、生産効率向上や変種変量生産に対応するため、1つのハンドで複数部品を把持可能な様々なハンドが提案されている。
人と同じような多指ハンド(例えば特許文献1)の構造を構築し、指の位相や曲がり具合を制御し、様々な部品に対応している。
また、ハンド左右に複数の芯を整列配置し、把持対象部品の形状に合わせて、受動的に動作させ、押し出し量を変化させ、固定することにより、様々な部品に対して、確実な把持を実現している(例えば特許文献2)。
さらには、複数のツール取付け部に従来のハンド機構を取り付け、把持対象に応じて回転させるターレットハンド(例えば特許文献3、特許文献4)などである。
しかし、フレキシビリティが高すぎ、対象部品に対して把持可能な指形状が多数存在するとともに、それらの優位差を判断する基準が不明確であり、最適形状を選択することは困難である。また、把持状態が指形状に大きく依存するとともに、複雑な形状の部品に対し、把持状態の再現性が低いため、生産ラインでの位置・姿勢をあわせた作業時には、毎回視覚センサなどにより把持状態を確認する必要が発生する。これにより、設備費用が増加するとともに、処理時間を要するため、タクト増加を誘発してしまう。
しかし、滑らかな芯の出し入れを実現するためには、すべり軸受けや無給油ブッシュなどの摺動構造が必須で、小型化が困難であるため、部品コストが増加してしまう。ここで、すべり軸受けや無給油ブッシュなどに使用される材料は青銅材などの非磁性体や焼結部材などの透磁率が低い材料が多く、把持時の固定に使用する電磁石が大型化してしまい、ハンドの小型化はさらに困難である。
また、把持状態は、複数の芯とワークとの摩擦状況などに大きく影響されるため、一意に決定されず、生産ラインでの位置・姿勢をあわせた作業時には、毎回視覚センサなどにより把持状態を確認する必要が発生する。これにより、設備費用が増加するとともに、処理時間を要するため、タクト増加を誘発してしまう。
さらに、構造上、爪部の左右には伸縮動作のための大きなスペースが必要であり、部品把持・リリース空間などの他、環境側に干渉防止用のスペースが別途必要となる。
しかし、特許文献3では、干渉回避量に制約がある。構造上、回転ターレットからハンドだけ突出しているため、干渉回避量はこのハンド長さで決定される。ハンド爪部の延長では、把持力が低下するため、ハンド長さを延長するしかない。これは重量の増加、および、大型化を誘発し、切り替え時間が増加するとともに、より出力が大きな回転駆動源が必要となる。また、ロボットの工具軸とハンド中心軸とには、必ずオフセットが存在し、工具軸の回転動作により、ハンド中心軸の水平面位置が変化してしまうため、教示がしにくい構造となっている。
図1に本発明の実施の形態1におけるロボット1と回転式複数部品把持具2の全体概観図を示す。ロボット1の一例として、略鉛直軸に平行な3軸(J1、J2、J3)と、鉛直軸方向の直動軸(J4)の合計4自由度からなる水平多関節ロボットで説明を行う。
最終軸のJ4軸がロボットエンドエフェクタ軸11であり、垂直多関節ロボットなど他の形式のロボットの場合においても、最終軸がロボットエンドエフェクタ軸11となる。
回転式複数部品把持具2は、ロボットエンドエフェクタ軸11に固定されるとともに、部品把持やリリースを行う複数の部品把持部25a、25bを備え、一方の部品把持部25a(下降位置側部品把持部)の中心軸とロボットエンドエフェクタ軸11を一致させている。これにより、ロボットエンドエフェクタ軸11の回転が、部品把持部25aの回転となるため、部品把持部25aを利用した動作での教示が容易となる。また、昇降機構の利用により、作業環境との干渉を容易に回避可能となっている。
すなわち、複数の部品把持部25a、25bがロボットエンドエフェクタ軸11と同一円周上に設置されている。そして、部品把持部25a、25bはロボットエンドエフェクタ軸11におけるエンドエフェクタ座標のx軸、あるいはy軸に対して対称となる位相に配置されているものである。また、2つの部品把持部25a、25bの位相間隔は180度である。これより、回転インデックス22bが回転駆動源22aによって回転させられると、2つのエアシリンダ24a、24b、ひいては、部品把持部25a、25bが回転することになる。なお、部品把持部25aの中心軸とロボットエンドエフェクタ軸11とが一致するため、回転インデックス22bが180度回転すると、部品把持部25bの中心軸も、ロボットエンドエフェクタ軸11と一致することとなり、部品把持部25aだけでなく、部品把持部25bに対する教示作業も容易となる。
ここで、圧縮エアが付加されている間、位置規制部21a、21bと位置規制可動部23a、23bとは当接状態であり、部品把持部の中心軸がロボットエンドエフェクタ軸と一致した位相状態を保持することができることから、これらは位相保持手段の機能も兼ねている。
すなわち、圧縮エアを供給するソレノイドバルブとエアシリンダが、部品把持部を昇降動作させる昇降駆動手段を構成している。また、昇降駆動手段とエア配管を共有化している回転駆動源22aが、部品把持部の下降動作に同期して回転インデックスを回転させる回転駆動手段を構成している。
また、回転駆動源22aにも圧縮エア機器を利用していることから、更に配管・配線引き回しが容易になるとともに、把持対象部品の切り替え時に必要となる部品把持部25a、25bの昇降動作と回転動作が同期動作するため、確実な切り替えが実現できるとともに、切り替え時間短縮が実現できる。
本実施の形態では、昇降機構とその空圧回路のみが実施の形態1と異なることから、ここでは、構造の説明は割愛する。図4に本発明の実施の形態2における圧縮エア配管接続に関する模式図を示す。本実施の形態では、昇降機構として単動式を利用する。昇降機構となる単動エアシリンダ31a、31bは、圧縮エア供給時に、それぞれ反対の動作をする。すなわち、引き込み型単動エアシリンダ31aが、ロボットエンドエフェクタ軸11と一致するよう、回転駆動源32の初期位置を決定し、押し出し型単動エアシリンダ31bを、もう一方とする。
エアシリンダ制御用2方向電磁弁で構成されるシングルソレノイドバルブ33の出力ポートから配管34が接続され、回転駆動源32、引き込み型単動エアシリンダ31a、押し出し型単動エアシリンダ31bに接続されている。これより、圧縮エアが付加されると、引き込み型単動エアシリンダ31aはバネに抗して上昇動作を、押し出し型単動エアシリンダ31bは、バネに抗して下降動作を開始する、すなわち、部品把持部25aが上昇動作を、部品把持部25bが下降動作を開始する。これと同期して、回転駆動源32もバネに抗して、部品把持部25bがロボットエンドエフェクタ軸11と一致する方向に回転動作を行うこととなる。
さらに、回転駆動源32にも圧縮エア機器を利用するため、更に配管・配線引き回しが容易になるとともに、把持対象部品の切り替え時に必要となる部品把持部25a、25bの昇降動作と回転動作が同期動作するため、確実な切り替えが実現できるとともに、切り替え時間短縮が実現できる。さらに、単動エアシリンダを利用しているため、圧縮エア使用量が半分で良いため、ランニングコストの低いシステムが構築できる。
次に、部品把持部が4個の場合について説明をする。図5に、本発明の実施の形態3における動作を説明する模式図を示す。図示しない回転式複数把持具を上方から見た概観説明図である。回転インデックス41の同一円周上に、等間隔にて4つの位相43a〜43dが設定されており、その中心軸42が図示しない回転駆動源の中心軸となる。また、位相43aが図示しないロボットエンドエフェクタ軸11に合致している。
図6では、部品把持部45aが把持動作を実施する状況を表しており、シングルソレノイドバルブ46aがONし、圧縮エアが押し出し型単動エアシリンダ44aに供給され、下降位置に部品把持部45aがある状態となる。他のシングルソレノイドバルブ44b〜44dには圧縮エアが供給されていないことから、部品把持部45b〜45dは上昇位置に存在し、作業環境と干渉しない。
このような構成、制御を行うことにより、圧縮エアの供給が停止した場合には全ての部品把持部45が上昇位置となるため、干渉回避が可能であるとともに、配線・配管も複動エアシリンダと比較し半分ですむことから、安価なシステム構成が可能となる。
さらに、単動エアシリンダを利用しているため、圧縮エアを供給し、上方位置を保持する必要がないため、圧縮エア使用量が抑制でき、ランニングコストの低いシステムが構築できる。
ここで、回転駆動源については詳細な記載はしていないが、インデックステーブルなどの公知の技術を使用すれば容易に実現できる。
なお、ここでは4個の場合を示したが、3個の場合も、5個以上の場合も同様な構成が実現でき、同様な効果を得ることができる。
図7に、本発明の実施の形態4における回転式複数部品把持具5の側面図を示す。接続アダプタ21がロボットエンドエフェクタ軸11に固定されている。また、接続アダプタ21下方には、太陽歯車51が固定されている。太陽歯車51の下方には、回転駆動源52が固定され、回転軸52aを介して、回転保持部52bが回転可能となっている。
太陽歯車51の両端には2つの遊星歯車53a、53bが嵌合されており、その回転軸は、図示しないカップリング、あるいは、図示しないギヤを介して、回転直動変換機構54a、54bへ接続される。ここでは、回転直動変換機構54a、54bとしてボールネジを利用した一般的な機器を想定しているが、公知の変換機構であれば、同様な構成が実現できることは言うまでも無いことである。ここで、回転直動変換機構54は、回転保持部52bに固定されており、回転駆動源52の回転に伴い、遊星歯車53ともども回転動作することとなる。
また、回転直動変換機構54a下方に設置の部品把持部55aは、ロボットエンドエフェクタ軸11と一致しているため、教示が容易に実現できる。また、詳細は後述するが、回転駆動源52の回転により、回転直動変換機構54b下方に設置の部品把持部55bも、ロボットエンドエフェクタ軸11と一致するため、教示が容易に実現できる。
ここで、回転駆動源52の位相検出は、エンコーダなどの公知の技術にて実現できる。また位相保持機構は、サーボやブレーキの利用にて容易に実現できることは、言うまでも無いことである。
次に、部品把持部が4個の場合を説明する。図10に、本発明の実施の形態5における回転式複数部品把持具6の側面図を示す。接続アダプタ21がロボットエンドエフェクタ軸11に固定されている。また、接続アダプタ21下方には、太陽歯車51が固定されている。太陽歯車51の下方には、回転駆動源52が固定され、回転軸を介して、回転保持部62を回転可能となっている。
太陽歯車51の両端には4つの遊星歯車61a〜61dが嵌合されており、その回転軸は、正転・逆転切り替え可能な回転直動変換機構63の駆動軸に接続されている。また、正転・逆転切り替え可能な回転直動変換機構63は、回転保持部62に固定されているため、回転駆動源52の回転軸を中心として、遊星歯車61が回転することにより、それぞれの部品把持部64が回転動作により、ロボットエンドエフェクタ軸11と一致させることが可能となる。
なお、ここでは、正転・逆転切り替え機構として、右ねじ、左ねじのボールネジとクラッチを使用した構造を示したが、公知の技術である反転機構などを利用しても同様な効果を得ることができる。
また、ここでは4個の場合を示したが、3個の場合、5個以上の場合も同様な構成が実現でき、同様な効果を得ることができる。
ここで、実施の形態1、2では、簡単のため、2つの部品把持部を180度間隔、すなわち、等間隔に配置した場合について述べたが、対称配置であれば、180度に限らず、同様な効果を得ることができる。
また、実施の形態1〜3では、昇降動作と回転動作の同期を容易、かつ、確実に実現するために、回転駆動源22a、32を圧縮エアによるエア回転機器を利用したが、電動式などの公知の回転駆動源をソレノイドバルブへの信号に応じて制御することにより、回転駆動源22a、32以外の配管の引き回し削減などは同様な効果が得られる。
さらに、実施の形態1〜3では、圧縮エアを利用したシステムで構築しているが、油圧シリンダの利用など、流体を利用した直動機構など、公知の技術であれば同様な効果が得られることは言うまでも無いことである。
また、実施の形態2、3では単動エアシリンダを利用したが、エアシリンダ外部に弾性体を設置し、一方向への付勢をかける構造でも、同様な効果を得ることができる。
また、部品把持具の間隔を等間隔としているが、回転駆動源に電動モータとエンコーダなどの公知の技術を使用することにより、等間隔に限られるものではなく、同様な効果が得られることは言うまでも無いことである。
さらに、ここでは簡単のため、部品把持部として爪形状が異なる複数のチャック式を1個ずつ配置した場合に関して説明しているが、チャック式以外の真空吸着式、磁石吸着や電磁石吸着式であっても、1つの昇降機構に設置する部品把持部個数が複数個でもよいことは言うまでも無いことである。
Claims (9)
- 軸方向の直動軸からなるロボットエンドエフェクタ軸と、それぞれ前記ロボットエンドエフェクタ軸に平行な回転軸からなる3軸とを備えるものであって、昇降機構を有する複数の部品把持部と、前記複数の部品把持部が前記ロボットエンドエフェクタ軸と同一円周上に設置される回転インデックスと、前記複数の部品把持部の昇降機構を選択的に駆動し前記複数の部品把持部のいずれかについて部品把持のための下降動作を行わせる昇降駆動手段と、前記昇降駆動手段による前記部品把持部の下降動作に同期して前記回転インデックスを前記部品把持部の中心軸が前記ロボットエンドエフェクタ軸と一致するように回転させる回転駆動手段とを備え、前記複数の部品把持部の中心軸が前記ロボットエンドエフェクタ軸と一致した位相状態を検出する位置検出センサからなる位相検出手段を設けるとともに、前記位相検出手段により検出された前記位相状態で前記回転インデックスを保持する位相保持手段を設けたことを特徴とする回転式複数部品把持具。
- 前記昇降機構がエアシリンダから構成され、エアシリンダ制御用電磁弁を切替作動することにより、昇降動作させる前記部品把持部を選択するようにしたことを特徴とする請求項1記載の回転式複数部品把持具。
- 前記部品把持部が2個で、前記2個の部品把持部の昇降動作が上下方向反転動作するように配管接続されたことを特徴とする請求項2記載の回転式複数部品把持具。
- 前記昇降機構が2つの単動エアシリンダから構成され、一方の単動エアシリンダが押し出し型、他方の単動エアシリンダが引き込み型となるよう、単動エアシリンダ内に設置されている圧縮バネによる付勢方向を相対する前記昇降機構において互いに反対となるように構成したことを特徴とする請求項3記載の回転式複数部品把持具。
- 前記回転インデックスの回転動作を、圧縮バネと、この圧縮バネに加圧力を加える圧縮エアを供給するエアシリンダによって実現するとともに、このエアシリンダに圧縮エアを供給する配管を前記昇降機構のエア配管と共有化したことを特徴とする請求項3記載の回転式複数部品把持具。
- 前記部品把持部を等間隔に設置し、ボールネジ直動機器と、正転・逆転機構部から構成された前記昇降機構の入力軸側に遊星歯車が設置されるとともに、前記ロボットエンドエフェクタ軸側には太陽歯車、回転駆動源が固定され、前記回転インデックスがキャリアとなる遊星歯車機構を構成し、前記回転インデックスの回転にあわせて正転・逆転機構が切り替わることにより、昇降動作させる前記部品把持部を選択する請求項1記載の回転式複数部品把持具。
- 前記正転・逆転機構部を右ねじ、左ねじ、クラッチから構成し、昇降方向に応じて右ねじ、左ねじを切り替えることを特徴とする請求項6記載の回転式複数部品把持具。
- 前記2個の昇降機構が、右ねじ、左ねじで構成されたボールネジ直動機器で、その上方に前記遊星歯車がボールネジ回転軸に軸支されるとともに、前記ロボットエンドエフェクタ軸側には前記太陽歯車、前記回転駆動源が固定され、前記回転インデックスがキャリアとなる遊星歯車機構を構成したことを特徴とする請求項6記載の回転式複数部品把持具。
- 前記昇降機構において、前記遊星歯車と前記ボールネジ間に増速ギヤを設置したことを特徴とする請求項7または請求項8記載の回転式複数部品把持具。
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