JP5906159B2 - 有機EL素子のアノード電極用Al合金膜、有機EL素子およびAl合金スパッタリングターゲット - Google Patents

有機EL素子のアノード電極用Al合金膜、有機EL素子およびAl合金スパッタリングターゲット Download PDF

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Description

本発明は、有機EL素子のアノード電極用Al合金膜、有機EL素子およびAl合金スパッタリングターゲットに関するものであり、例えば、有機ELディスプレイや有機EL照明において使用される有機EL素子のアノード電極を構成するAl合金膜、該Al合金膜をアノード電極に用いた有機EL素子、および前記Al合金膜形成用のAl合金スパッタリングターゲットに関するものである。
有機EL材料は自発光体である。有機EL材料の発光を利用して、表示装置や発光装置が設計されている。
図1に典型的な有機EL素子の構造を示す。この図1に示す通り、有機EL素子は、基板上にカソード電極とアノード電極に挟まれた有機層(有機発光層)を有しており、酸素や水などの外的要因から上記積層体を保護するため、封止された構造となっている。
上記有機EL素子の発光は、カソード電極とアノード電極から印加された、電子とホールが有機層(有機発光層)中で再結合し、エネルギーが光として放出されることにより生じる。
上記発光現象を生じさせるには、カソード電極として、有機層を構成する材料のLUMO軌道に電子を注入させる必要があるため、仕事関数の小さい材料が利用されるのが一般的である。他方、アノード電極には、有機層を構成する材料のHOMO軌道にホールを注入させる必要があるため、仕事関数の大きい材料を用いる必要がある。
上記アノード電極として、特許文献1では、AgやPdやCuを含む貴金属の合金膜、またはITO膜やIZO膜などの透明導電膜(酸化物導電膜)が利用されている。しかし、上記AgやPdは貴金属であるため材料コストが高い。また、透明導電膜であるITO膜やIZO膜も希少金属であるInを含むためコストが高い。よって、有機EL素子の製造コストを低減すべく、安価な材料でアノード電極を実現することが求められている。
上記安価な材料としてAl系材料が挙げられる。例えば特許文献2には、アノード電極としてAl−Nd合金が用いられている。しかしながら、特許文献2に開示の構造は、有機層として発光に関わる層以外の層(正孔注入層)が更に必要となる。よって、製造コストが高くなると予想する。
特開2003−77681号公報 特開2006−79836号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、有機EL素子のアノード電極として、生産性の点から、低コストのAl系材料を用い、従来の有機層の構成を採用でき(即ち、有機層として、前記特許文献2の様に余分な層を必要とせず)、かつITO等の透明導電膜(酸化物導電膜)を用いずとも、十分な正孔注入特性(高い仕事関数)と電極としての特性(低電気抵抗率)の備わった膜が求められている。
上記課題を解決し得た本発明のAl合金膜は、有機EL素子において、有機層と直接接続するアノード電極を構成するAl合金膜であって、Si、Ge、Bi、In、SnおよびZnよりなる群から選択される1種以上の元素を含むと共に、希土類元素および/または高融点金属を0.2原子%以上5.0原子%以下含み、かつ仕事関数が4.5eV以上であるところに特徴を有する。
好ましい実施形態において、前記希土類元素および/または高融点金属は、Nd、TiおよびTaよりなる群から選択される1種以上の元素(より好ましくはNd)である。
本発明には、前記Al合金膜をアノード電極に用いた点に特徴を有する有機EL素子も含まれる。また、前記有機EL素子を備えた有機ELディスプレイや、前記有機EL素子を備えた有機EL照明も本発明に含まれる。
更に本発明には、前記Al合金膜の形成に用いられるAl合金スパッタリングターゲットも含まれる。該Al合金スパッタリングターゲットは、Si、Ge、Bi、In、SnおよびZnよりなる群から選択される1種以上の元素を含むと共に、希土類元素および/または高融点金属を0.2原子%以上5.0原子%以下含む点に特徴を有する。
本発明によれば、安価なAl系材料を用いて、有機EL素子のアノード電極に適したAl合金膜を提供することができる。その結果、アノード電極として従来用いられてきた酸化物導電膜(ITO膜等)を使用する必要がなくなり、また、上記特許文献2のように、余分な有機層を追加せずに安価な有機EL素子を実現できる。よって、発光輝度特性に優れた有機ELディスプレイや有機EL照明等を、安価に製造することができる。
図1は、有機EL素子の概略説明図である。
本発明者らは、前記課題を解決するため、有機EL素子において有機層と直接接続する、高い仕事関数と高反射率を示すアノード電極を、材料コストの安いAl系材料で実現すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、上記アノード電極を構成するAl合金膜として、(1)Si、Ge、Bi、In、SnおよびZnよりなる群から選択される1種以上の元素を含むと共に、(2)希土類元素および/または高融点金属を0.2原子%以上5.0原子%以下含み、かつ(3)仕事関数が4.5eV以上を満たすものがよいことを見出し、本発明を完成した。
以下、まずAl合金膜の成分組成について説明する。
上記(1)のSi、Ge、Bi、In、Sn、Zn(以下、これらの元素を「X群元素」と総称することがある)は、Al合金膜の表面に拡散し濃化する。Al合金膜の表面に濃化したX群元素は、酸化され、その結果、Al合金膜表面が上記X群元素の酸化物で覆われることにより、仕事関数が大きくなる。
上記効果を発揮させるには、X群元素としてBiを含む場合、Bi量を、0.1原子%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.5原子%以上、更に好ましくは1.0原子%以上である。一方、Biが過剰に含まれていると、膜の剥離が生じ易くなることから、2原子%未満であることが好ましく、より好ましくは1.5原子%以下である。
また、上記X群元素として、Bi以外の元素(Si、Ge、In、Sn、Zn)を含む場合、上記効果を発揮させるには、その含有量(単独で含むときは単独の量であり、二種類以上を含むときは合計量を意味する。以下同じ)を、1原子%以上とすることが好ましく、より好ましくは3原子%以上である。一方、これらの元素が過剰に含まれていると、電気抵抗率が増加するため、電極としての特性が悪くなる。よって、これらの元素の含有量の上限は、各元素により多少の相違はあるが、25原子%未満であることが好ましく、より好ましくは20原子%未満である。
上記(2)の希土類元素および/または高融点金属(以下、「希土類元素等」ということがある。)は、Al粒の微細化に寄与する元素である。Al粒が微細化するとAl粒の粒界が増加し、上記X群元素の移動経路が増加する。その結果、X群元素がAl合金膜表面に効率的に移動し、X群元素の濃化が促進されると考えられる。
この様な効果を発揮させるため、希土類元素等の含有量を0.2原子%以上とする。好ましくは0.5原子%以上である。一方、希土類元素等の含有量が5.0原子%を超えると、電気抵抗率が増加し電極としての特性が悪くなる。よって、希土類元素等の含有量は5.0原子%以下とする。好ましくは3.0原子%以下である。
ここで「希土類元素等の含有量」とは、好ましくは下記元素よりなる群から選択される少なくとも一種の高融点金属、および/または、好ましくは下記元素よりなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素を、単独で含むときは単独の量であり、二種類以上を含むときは合計量を意味する。
本発明に用いられる好ましい高融点金属として、Ti、Fe、TaおよびMnよりなる群から選択される少なくとも一種の元素が挙げられる。また、本発明に用いられる希土類元素として、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)、Sc(スカンジウム)およびY(イットリウム)よりなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
上記希土類元素等の中でも、Nd、TiおよびTaよりなる群から選択される1種以上の元素が、スパッタリングターゲットの製造が容易である点で好ましく、より好ましくはNdである。
本発明のAl合金膜は、上記の通り、X群元素を含むと共に、所定量の希土類元素等を含み、残部はAlおよび不可避的不純物である。該不可避的不純物としては、Al合金膜の製造過程で不可避的に混入し得る元素が挙げられる。
上記希土類元素等としてNdを用いる場合、即ち、Al−X群元素−Nd膜の場合の、各X群元素量の好ましい範囲は、下記の通りである。
まず、X群元素=Si、即ちAl−Si−Nd膜の場合、Si量は、1原子%以上20原子%未満であることが好ましい。Si量が1原子%以上であれば、表面にSiを十分拡散させて仕事関数を大きくすることができる。より好ましくは2原子%以上であり、更に好ましくは4原子%以上である。一方、Si量が過剰になると、電気抵抗率が増加するため、電極としての特性が悪くなる。よって、Si量は20原子%未満であることが好ましく、より好ましくは15原子%以下である。
X群元素=Ge、即ち、Al−Ge−Nd膜の場合、Ge量は、1原子%以上25原子%未満であることが好ましい。Ge量が1原子%以上であれば、表面にGeを十分拡散させて仕事関数を大きくすることができる。より好ましくは3原子%以上である。一方、Ge量が過剰になると、電気抵抗率が増加するため、電極としての特性が悪くなる。よって、Ge量は25原子%未満であることが好ましく、より好ましくは15原子%以下、さらに好ましくは10原子%以下である。
X群元素=Bi、即ち、Al−Bi−Nd膜の場合、Bi量は、0.3原子%以上2原子%未満であることが好ましい。Bi量が0.3原子%以上であれば、表面にBiを十分拡散させて仕事関数を大きくすることができる。一方、Bi量が過剰になると、膜が剥離しやすくなる。よって、Bi量は2原子%未満であることが好ましく、より好ましくは1.5原子%以下である。
X群元素=Zn、即ち、Al−Zn−Nd膜の場合、Zn量は、1原子%以上20原子%未満が好ましい。Zn量が1原子%以上であれば、表面にZnを十分拡散させて仕事関数を大きくすることができる。より好ましくは3原子%以上である。一方、Zn量が過剰になると、電気抵抗率が増加するため、電極としての特性が悪くなる。よって、Zn量は、20原子%未満であることが好ましく、より好ましくは15原子%以下である。
In、Snは、Al中の粒界に拡散しやすく、また低融点であることからZnと同様の挙動を示すことが予測される。そのため、In量、Sn量それぞれの好ましい範囲は上記Znと同様の値とする。即ち、Al−In−Nd膜の場合、In量は、1原子%以上(より好ましくは3原子%以上)、20原子%未満(より好ましくは15原子%以下)が好ましい。また、Al−Sn−Nd膜の場合、Sn量は、1原子%以上(より好ましくは3原子%以上)、20原子%未満(より好ましくは15原子%以下)が好ましい。
また、希土類元素等がNdであり、かつX群元素を二種類以上含む場合、即ち、Al−(複数のX群元素)−Nd膜の場合、複数のX群元素のうちいずれかのX群元素が、上述した、Al−X群元素−Nd膜の場合のX群元素量の範囲を満たしていればよい。
本発明において、有機層と直接接続するアノード電極は、ITO等の透明導電膜を用いず、上記Al合金膜からなるものであり、上記(3)の通り該Al合金膜は、有機層との電気的接続の観点から仕事関数が4.5eV以上を示すものである。該仕事関数は好ましくは4.8eV以上である。
本発明のAl合金膜は、規定の元素(特に、X群元素)を含むことにより、上述の通り、X群元素がAl合金膜の表面に拡散して酸化され、Al合金膜表面に酸化物が形成されることにより仕事関数が高まる。
上記X群元素の酸化の方法は特に限定されず、自然酸化でもよいが、上記Al合金膜表面への拡散や酸化を促進させるには、下記の条件で熱処理を行うことが好ましい。即ち、雰囲気:窒素雰囲気または大気雰囲気、加熱温度:150℃〜350℃、加熱時間:30分〜1.5時間の条件で行うことが好ましい。上記窒素雰囲気で熱処理する場合、X群元素のうち例えばSi、Ge、Znは、該熱処理によりAl合金膜表面への拡散が特に促進されると考える。
上記加熱温度は、上記拡散や酸化を促進させるには、上記の通り150℃以上とすることが好ましく、より好ましくは200℃以上である。一方、加熱温度が高すぎてもAlのマイグレーションが生じるため、上記の通り350℃以下とすることが好ましく、より好ましくは300℃以下、更に好ましくは250℃以下である。また上記加熱温度は、上記拡散や酸化を促進させるには、上記の通り30分以上とすることが好ましく、より好ましくは45分以上である。一方、加熱時間が長すぎても生産性が低下するため、上記の通り1.5時間(90分)以下とすることが好ましく、より好ましくは75分以下である。
前記Al合金膜の熱処理は、前記拡散や酸化を目的に行うものであってもよいし、前記Al合金膜形成後の熱履歴が、前記雰囲気、前記加熱温度および前記加熱時間を満たすものであってもよい。
前記Al合金膜の形成方法として、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法などが挙げられる。本発明では、膜厚が均一となり、かつ組成均一性よく成膜できることや、添加元素量を容易にコントロールできるなどの観点から、Al合金膜をスパッタリング法で形成することが好ましい。
前記スパッタリング法の条件(成膜条件)は特に限定されない。例えば、以下のような条件を採用することが挙げられる。
・基板温度:室温〜50℃
・到達真空度:1×10-5Torr以下(1.3×10-3Pa以下)
・成膜時の(Ar)ガス圧:1〜4mTorr
・DCスパッタリングパワー密度(ターゲットの単位面積当たりのDCスパッタリングパワー):1.0〜20W/cm2
スパッタリング法で前記Al合金膜を形成するには、該スパッタリング法で用いるスパッタリングターゲットとして、Si、Ge、Bi、In、SnおよびZnよりなる群から選択される1種以上の元素を含むと共に、希土類元素および/または高融点金属を0.2原子%以上5.0原子%以下含み、残部がAlおよび不可避不純物である、所望のAl合金組成と同一組成のAl合金スパッタリングターゲットを用いるのがよい。該Al合金スパッタリングターゲットを用いれば、組成ズレの恐れがなく、所望の成分組成のAl合金膜を形成できる。
前記Al合金スパッタリングターゲットの形状は、スパッタリング装置の形状や構造に応じて任意の形状(角型プレート状、円形プレート状、ドーナツプレート状など)に加工したものが含まれる。
前記Al合金スパッタリングターゲットの製造方法は特に限定されない。例えば、溶解鋳造法や粉末焼結法、スプレーフォーミング法で製造することができる。
本発明のAl合金膜は、前記成分組成・仕事関数を満たせばよく、Al合金膜の膜厚は特に問わない。Al合金膜の膜厚は、例えば50nm以上(好ましくは100nm以上)、500nm以下(好ましくは300nm以下)とすることが挙げられる。
以上、本発明の特徴部分であるアノード電極を構成するAl合金膜について説明した。以下では、このAl合金膜(アノード電極)を含む有機EL素子の構造について説明する。
図1に、一般的な有機EL素子の構造を示す。この図1では、基板1上にアノード電極2を有し、有機層3、カソード電極4が積層されている。基板1には、一般的にガラス基板が用いられているが、支持できるものであればよく、金属や樹脂材料も適用できる。有機層3には、有機発光層の他に、ホール移動層や電子移動層が含まれる(積層される)場合がある。この有機層3には、汎用材料からなるものを用いればよい。カソード電極4には、一般的に仕事関数の小さいAl−アルカリ金属合金や、アルカリ金属膜とAl系膜の積層膜(例えば、LiFとAl系膜の積層膜)を用いることができる。上記図1では、基板1側から順に、アノード電極2(基板側の電極)、有機層3、カソード電極4の積層構造を示しているがこれに限定されない。素子の構造によっては、基板側から順に、カソード電極(基板側の電極)、有機層、アノード電極の積層構造であってもよい。
本発明には、上記有機EL素子を含む表示装置(有機ELディスプレイ)および、有機EL照明も含まれる。上記ディスプレイや照明は、これらに用いられる有機EL素子が、基板を有し、本発明のAl合金膜をアノード電極として利用し、かつこれに直接接続する有機層(有機発光層)を有し、更に、一般的な有機EL素子の構造の通り、カソード電極を備えたものであればよく、有機EL素子のその他の構造や、有機EL素子以外の構造は限定されない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(Al合金膜の成膜)
まずガラス基板(コーニング社製の無アルカリガラス#1737、直径:50mm、厚さ:0.7mm)上に、表1に示す成分組成のAl合金膜(いずれも、膜厚:100nm、かつ残部:Alおよび不可避的不純物)を、DCマグネトロンスパッタリング装置を用い、スパッタリング法により成膜した。
上記スパッタリング装置には、複数のターゲットの同時放電が可能な多元スパッタリング装置((株)アルバック製 CS−200)を用いた。スパッタリング条件(成膜条件)は、基板温度:室温、Arガス流量:20sccm、Arガス圧:約0.1Pa、DCスパッタリングパワー密度:2〜5W/cm2、到達真空度:2.0×10-6Torr以下とした。
また上記成膜用のスパッタリングターゲットとして、真空溶解法により作製した下記表1に示す膜組成と同組成であるAl合金スパッタリングターゲット、または、純Alスパッタリングターゲットのスパッタリング面に、下記表1のAl合金膜を構成する金属元素からなる金属チップを接着した複合ターゲットを用いた。
上記の通りAl合金膜を成膜した後、窒素雰囲気中もしくは大気雰囲気中にて、250℃で1時間の熱処理を施して試料を得た。尚、後述する表1のNo.2〜8のAl合金膜には上記熱処理を施さなかった。
上記各試料について、仕事関数の測定と電気抵抗率の測定を下記に示す通り行った。尚、得られたAl合金膜の組成は、ICP発光分光分析装置(島津製作所製のICP発光分光分析装置「ICP−8000型」)を用い、定量分析して確認した。
(仕事関数の測定)
Al合金膜表面(外気にさらされている面)の仕事関数は、理研計器製の仕事関数測定装置(型番:AC−2)を用いて測定した。尚、仕事関数はその表面状態(大気中の有機物汚染など)に敏感であるため、上記AC−2で測定する直前にUV照射を行って、Al合金膜表面を洗浄した。上記UV照射は、GS YUASA社製UV照射装置(型番:DUV−800−6)を使用し、ランプ電圧:300VでUVを1分間照射した。そして、仕事関数が4.5eV以上の場合を合格とした。
(電気抵抗率の測定)
上記試料を用いて電気抵抗率を測定した。詳細には、一般的に用いられる四探針法により、市販の測定器(日置電機株式会社製:3540ミリオームハイテスタ)を用いて測定した。そして下記式(1)に従い、積層体の電気抵抗率を算出した。尚、上記測定には、測定試料面積が探針間隔よりも十分に広い試料を利用し、かつ比例定数Fを下記数値とした。そして、電気抵抗率が21.0μΩ・cm以下の場合を良好、電気抵抗率が20.0μΩ・cm以下の場合を大変良好であると評価した。
電気抵抗率=四探針法測定値×膜厚×F …(1)
[上記式(1)において、F(比例定数)=π/ln2=4.532]
これらの結果を表1に示す。尚、表1には、参考までに、基板−ITO膜(膜厚:10nm)−純Ag膜(膜厚:100nm)の順に積層させた、汎用のアノード電極(ITO/Ag積層膜)の、仕事関数と電気抵抗率(測定条件は、いずれも上記の通り)も示している。
表1では、仕事関数が4.5eV以上であり、かつ電気抵抗率が21.0μΩ・cm以下である場合を、アノード電極に適している(〇)と評価し、上記仕事関数と上記電気抵抗率の少なくともいずれかが上記範囲を満たさない場合を、アノード電極に適していない(×)と評価した。
表1より次のように考察できる。
No.1は、アノード電極として一般的に利用されているITO/Ag積層膜の仕事関数と電気抵抗率を示している。No.1より、ITO/Ag積層膜の仕事関数は5eV以上であり、かつ電気抵抗率も十分低いことが分かる。
これに対しNo.2〜6は、Al−Nd合金膜の例であり、X群元素を含んでいないため、仕事関数が小さい。
No.7〜9は、Al−Si膜の例であり、希土類元素等を含んでいないため、仕事関数が小さい。特にNo.8は、Siを多く含んでおり、かつ熱処理を行っていない例であり、電気抵抗率も高い。
No.10〜14は、Al−Nd材にX群元素としてSiを加えた、Al−Si−Nd膜の例であり、Si量を変化させている。これらの例から、より低い電気抵抗率を達成するには、Si量を20原子%未満とするのがよいことがわかる。
No.15〜19は、Al−Nd材にX群元素としてGeを加えた、Al−Ge−Nd膜の例であり、Ge量を変化させている。これらの例から、より低い電気抵抗率を達成するには、Ge量を25原子%未満とするのがよいことがわかる。
No.20〜23は、Al−Nd材にX群元素としてZnを加えた、Al−Zn−Nd膜の例であり、Zn量を変化させている。これらの例から、より低い電気抵抗率を達成するには、Zn量を20原子%未満とするのがよいことがわかる。
No.24〜26は、Al−Nd材にX群元素としてBiを加えた、Al−Bi−Nd膜の例であり、Bi量を変化させている。これらの例から、Bi量が2原子%以上では膜が剥離してしまうため、アノード電極に適さないことがわかる。
No.27〜31は、Al−Nd材にX群元素としてSiとGeを加えた、Al−Si−Ge−Nd膜の例であり、Si量とGe量を変化させている。これらの結果から、X群元素を複数含む場合も、アノード電極として良好な特性を示すことがわかる。
1 基板
2 アノード電極(Al合金膜)
3 有機層(有機発光層)
4 カソード電極
5 封止材

Claims (9)

  1. 有機EL素子において、有機層と直接接続するアノード電極を構成するAl合金膜であって、
    Si、Bi、In、SnおよびZnよりなる群から選択される1種以上のX群元素を含むと共に、希土類元素および/または高融点金属を0.2原子%以上5.0原子%以下含み、かつ仕事関数が4.5eV以上であることを特徴とする有機EL素子のアノード電極用Al合金膜。
  2. 前記X群元素、ならびに前記希土類元素および/または高融点金属を含み、残部はAlおよび不可避的不純物である請求項1に記載のAl合金膜。
  3. 前記X群元素としてBiを含む場合、Bi量は0.1原子%以上2原子%未満であり、前記X群元素としてBi以外の元素を含む場合、その含有量は合計で1原子%以上25原子%未満である請求項1または2に記載のAl合金膜。
  4. 前記希土類元素および/または高融点金属は、Nd、TiおよびTaよりなる群から選択される1種以上の元素である請求項1〜3のいずれかに記載のAl合金膜。
  5. 前記希土類元素および/または高融点金属は、Ndである請求項に記載のAl合金膜。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のAl合金膜をアノード電極に用いたことを特徴とする有機EL素子。
  7. 請求項に記載の有機EL素子を備えた有機ELディスプレイ。
  8. 請求項に記載の有機EL素子を備えた有機EL照明。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のAl合金膜の形成に用いられるAl合金スパッタリングターゲットであって、
    Si、Bi、In、SnおよびZnよりなる群から選択される1種以上のX群元素を含むと共に、希土類元素および/または高融点金属を0.2原子%以上5.0原子%以下含むことを特徴とするAl合金スパッタリングターゲット。
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