JP5905805B2 - 油圧緩衝器及びバルブ - Google Patents
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そして、例えば、特許文献1に記載の油圧緩衝器のリーフバルブは、吸込不足や閉じ遅れを生じることのない新たな構成を提供するべく、以下のように構成されている。すなわち、リーフバルブは、バルブシートの内周側上面への定着を可とするように形成された内周固定部と内周固定部と分離されてその外方に位置決められるように形成された外周本体部とを有してなるとともに、外周本体部と内周固定部との間には両端を連結する連結部を有する。ここで、このリーフバルブに設けられる連結部は、内周固定部の半径方向以外の方向に延在される。また、リーフバルブは、内周固定部と外周本体部と連結部とにより区画されるように形成された切欠部を有する。
本発明は、周方向に延びる貫通穴が形成されたバルブの耐久性を向上させることを目的とする。
ここで、前記バルブの前記貫通穴は、当該貫通穴の前記周方向端部の曲率半径を、当該貫通穴の前記周方向中心における曲率半径よりも小さくするとよい。
また、前記バルブの前記貫通穴は、当該貫通穴の前記周方向端部の径方向における幅を、当該貫通穴の前記周方向中心の径方向における幅よりも小さくするとよい。
また、前記覆い部材は、前記区分部材から離れる方向に変形可能な部材であるとよい。
また、前記バルブの前記貫通穴は、前記区分部材の前記通路の開口端に対峙して配置されるとよい。
<油圧緩衝器100>
図1は、本実施の形態に係る油圧緩衝器100の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る油圧緩衝器100は、ストラット型サスペンションの一部を構成する複筒型式油圧緩衝器である。
油圧緩衝器100は、図1に示すように、薄肉円筒状の外シリンダ11と、外シリンダ11内に収容される薄肉円筒状の内シリンダ12と、円筒状の外シリンダ11の円筒の軸方向(図1では上下方向)の一方の端部を塞ぐ底蓋13とを有するシリンダ10を備えている。以下では、外シリンダ11の円筒の軸方向を、単に「軸方向」と称す。
さらに説明をすると、本実施の形態に係る油圧緩衝器100においては、内シリンダ12の外周と外シリンダ11の内周とで、リザーバ室Rを形成している。図示は省略するが、リザーバ室Rの内部は、オイルが封入された油室と、エア、不活性ガス等が封入されたガス室とで区画される。第1バルブ装置30は、図1に示すように、バルブボディ31により第1油室Y1とリザーバ室Rとを区分する。
第2バルブ装置40は、上述のピストン41を備えている。ここで、ピストン41は、通路の一例であり、軸方向に形成された第1油路411、第2油路412を有する。また、第2バルブ装置40は、ピストン41に形成された第1油路411における軸方向の一方の端部(開口端)を塞ぐ第1バルブ42と、ピストン41に形成された第2油路412における軸方向の他方の端部を塞ぐ第2バルブ51とを備えている。
先ずは、油圧緩衝器100の圧縮行程時の作用について説明する。
図2は、油圧緩衝器100の圧縮行程時のオイルの流れを示す図である。
ピストンロッド22が、白抜き矢印のようにシリンダ10に対して軸方向の一方の端部側(図2においては下方)へ移動すると、ピストン41の移動により第1油室Y1内の圧力は高まる。そして、この第1油室Y1内のオイルは、第2バルブ装置40の第2油路412を塞ぐ第2バルブ51を開き、第2バルブ装置40の上方の第2油室Y2に流入する(矢印A参照)。この第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れは、第2油路412および第2バルブ51で絞られ、油圧緩衝器100の圧縮行程時における減衰力を得る。
また、第1油室Y1のオイルは、第1油路311を閉塞する第1バルブ32を開き、内シリンダ12と外シリンダ11との間に形成されるリザーバ室Rに流入する(矢印B参照)。この第1油室Y1からリザーバ室Rへのオイルの流れは、第1油路311および第1バルブ32で絞られ、油圧緩衝器100の圧縮行程時における減衰力を得る。
図3は、油圧緩衝器100の伸張行程時のオイルの流れを示す図である。
ピストンロッド22が、白抜き矢印のようにシリンダ10に対して軸方向の他方の端部側(図3においては上方)へ移動すると、その体積分のオイルが第1油室Y1に不足することにより第1油室Y1内は負圧となる。これにより、第2油室Y2内のオイルが第2バルブ装置40の第1油路411を閉塞する第1バルブ42を開き、第1油室Y1に流入する(矢印C参照)。この第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れは、第2バルブ装置40の第1油路411および第1バルブ42で絞られ、油圧緩衝器100の伸張行程時における減衰力を得る。
以上のように構成された油圧緩衝器100は、この油圧緩衝器100が取り付けられた車両の走行時における衝撃力を吸収する。
ここで、図4および図5を参照しながら、第2バルブ装置40の構成について説明をする。図4は、第2バルブ装置40の分解した構成を示す図である。また、図5は、第2バルブ装置40の概略構成を示す図である。なお、図4および図5(さらに、後述する図6および図8)は、図1乃至図3と上下方向が反対となっている。
第2バルブ装置40は、上述のように第1油路411および第2油路412(図1参照)が形成されたピストン41を有する。また、第2バルブ装置40は、複数の略円板状部材を含んで構成される第1バルブ42と、ピストン41との間で第1バルブ42を挟んで固定するバルブストッパ48およびナット49とを備える。図示の例においては、ピストン41、第1バルブ42、バルブストッパ48およびナット49はピストンロッド22と同軸に設けられている。
微低速バルブ43は、複数の貫通穴43Dを有するとともに、外周部がピストン41の内周円環部413と接触する寸法で形成されている。この微低速バルブ43は、ピストンロッド22の先端側の端面41Aに対峙して配置される。なお、微低速バルブ43の詳細な構成については後述する。
スリットバルブ45は、微低速バルブ43およびバルブシート44よりも大径であり、かつピストン41の外周円環部415と接触する寸法で形成されている。このスリットバルブ45は、バルブシート44の背面に重ねて配置される。また、スリットバルブ45の外縁には、スリットバルブ45の半径方向に延びるスリット45Aが複数(図示の例では5つ)形成されている。このスリット45Aは、スリットバルブ45がピストン41の外周円環部415と接触して配置された際に、外周円環部415の内側と外側とを連続させる。
以上のように、第2バルブ装置40は、ピストンロッド22の微低速から高速までの移動速度に対応させた減衰力を発生させる。
ここで、図7を参照しながら、微低速バルブ43の構成について説明をする。
なお、図7は、微低速バルブ43の概略構成を示す図である。より詳細には、図7(a)は微低速バルブ43の平面図であり、図7(b)は図7(a)における円内を拡大した構成を示す図である。
また、微低速バルブ43は、上述のように、複数(2つ)の貫通穴43Dが形成されている。この貫通穴43Dは、それぞれ微低速バルブ43の略円周方向に沿って形成された円弧状の長穴である。なお、貫通穴43Dは、内環部43Aと外環部43Bと接続部43Cとにより区画される。
なお、図8は、微低速バルブ43およびバルブシート44の断面を示す図である。より詳細には、図8(a)は図7(a)におけるVIIIa―VIIIa断面を示す図であり、図8(b)は図7(a)におけるVIIIb―VIIIb断面を示す図である。
まず、図7(a)に示すように、外環部43Bは微低速バルブ43の円周方向に連続している。また、図8(a)および図8(b)に示すように、オイルの流れにより外環部43Bの外縁43Fがピストン41から離れる方向(図中上方)へ撓むとき、外環部43Bがバルブシート44により反力を受けることで、外環部43Bの内縁43Gはバルブシート44から離れる方向(図中下方)に移動しようとする。このとき、外環部43Bが円周方向に連続していることから、内縁43Gのバルブシート44から離れる方向への移動は制限される状態となる。この状態は、図8(a)および図8(b)に示すように、いわば、梃子である外環部43Bが、バルブシート44の外周面44Aを支点43Eとして、外縁43Fと内縁43Gとにそれぞれ力(図中の力F1、F2、F3参照)を受けている状態として考えることもできる。
すなわち、図8(a)に示すように、貫通穴43Dの円周方向の中央部43D2においては、外縁43Fに加わる力F1と、内縁43Gに加わる力F2と、距離L1、L2との関係は、F1×L1=F2×L2となる。また、図8(b)に示すように、貫通穴43Dの円周方向の端部43D1においては、内縁43Gに加わる力F3とすると、力F1と力F3と、距離L1、L3の関係は、F1×L1=F3×L3となる。
なお、図9は、本実施の形態とは異なる比較例の微低速バルブ143の概略構成を示す図である。より詳細には、図9(a)は比較例の微低速バルブ143の平面図であり、図9(b)は図9(a)における円内を拡大した構成を示す図である。
この微低速バルブ143を、上述の円形のバルブシート44とともに用いた場合、油圧緩衝器100の伸張行程時に微低速バルブ143に生じる応力は、端部143D1付近(図9(b)の着色部参照)に集中することが確認された。さらに説明をすると、貫通穴143Dの中央部143D2よりも端部143D1において生じる応力が大きいことが確認された。
ここで、微低速バルブ43に形成される貫通穴43Dの位置を、油圧緩衝器100の伸張行程(図3参照)において微低速バルブ43に生じる応力を分散するべく、単に支点43Eから離した(微低速バルブ43の半径方向内側に配置した)場合、バルブシート44と微低速バルブ43とが接触する領域が大きくなる。この場合、油圧緩衝器100の圧縮行程(図2参照)において、バルブシート44と微低速バルブ43とが接触する領域でオイルが受ける抵抗が増加することにより、オイルの流れが抑制され得る。
したがって、本実施の形態の微低速バルブ43は、油圧緩衝器100の圧縮行程(図2参照)におけるバルブシート44と微低速バルブ43との間におけるオイルの流れを促進するべく、貫通穴43Dの中央部43D2における支点43Eからの距離を、貫通穴43Dの端部43D1における支点43Eからの距離よりも小さくするものとして捉えることができる。
次に、図10を参照しながら、微低速バルブ43の変形例について説明をする。なお、図10は、微低速バルブ43の変形例の概略構成を示す図である。
上記では、図7等を参照しながら本実施の形態の微低速バルブ43を説明した。しかしながら、微低速バルブ43は、略円周方向に延びる貫通穴43Dを有するとともに、その円周方向の端部43D1が、円周方向の中央部43D2と比較して微低速バルブ43の中心軸CL側に配置されていれば、図7等に示す形状に限定されない。
また、例えば、図10(a)に示すように、微低速バルブ430が、その外縁に外周切り欠き43Hを形成してもよい。図示の例においては、微低速バルブ430の外縁であって、直径方向において互いに対向する位置に2つの外周切り欠き43Hが形成されている。なお、外周切り欠き43Hが形成されることにより、外周切り欠き43Hが形成されない場合と比較して、微低速バルブ430の外環部43Bはより撓みやすくなる。
Claims (6)
- 閉ざされた空間を区分するとともに、当該閉ざされた空間を当該閉ざされた空間の外部と連続させる通路が形成された区分部材と、
前記区分部材に対して中心側が固定され、当該区分部材の前記通路の開口端を覆うとともに、当該区分部材側から力を受けた際に当該区分部材から離れる方向に変形可能な部材であり、周方向に貫通穴が形成されるバルブと、
前記区分部材との間に前記バルブを挟むとともに、当該バルブの前記貫通穴を覆い当該貫通穴よりも当該バルブの径方向外側に外周が位置する覆い部材と
を備え、
前記バルブは、前記貫通穴の周方向端部から前記覆い部材の外周までの径方向の距離を、当該貫通穴の周方向中心から当該覆い部材の外周までの径方向の距離よりも大きくする
ことを特徴とする油圧緩衝器。 - 前記バルブの前記貫通穴は、当該貫通穴の前記周方向端部の曲率半径を、当該貫通穴の前記周方向中心における曲率半径よりも小さくすることを特徴とする請求項1記載の油圧緩衝器。
- 前記バルブの前記貫通穴は、当該貫通穴の前記周方向端部の径方向における幅を、当該貫通穴の前記周方向中心の径方向における幅よりも小さくすることを特徴とする請求項1記載の油圧緩衝器。
- 前記覆い部材は、前記区分部材から離れる方向に変形可能な部材であることを特徴とする請求項1記載の油圧緩衝器。
- 前記バルブの前記貫通穴は、前記区分部材の前記通路の開口端に対峙して配置されることを特徴とする請求項1記載の油圧緩衝器。
- 油圧緩衝器内において閉ざされた空間を区分するとともに、当該閉ざされた空間を外部と連続させる通路が形成された区分部材に対して中心側が固定され、当該区分部材の前記通路の開口端を覆うとともに、当該区分部材側から力を受けた際に当該区分部材から離れる方向に変形可能な部材であり、周方向に貫通穴が形成され、かつ当該貫通穴を覆い当該貫通穴よりも径方向外側に外周が位置する覆い部材と当該区分部材とにより挟まれて配置されるバルブであって、
前記貫通穴の周方向端部から前記覆い部材の外周までの径方向の距離が、当該貫通穴の周方向中心から当該覆い部材の外周までの径方向の距離よりも大きいバルブ。
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