以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
図1は「記録装置」の一実施形態であるインクジェットプリンター(以下「プリンター」という)10の用紙搬送経路を示す側断面図であり、図2は本発明に係るプリンターの斜視図であり、図3はガイドレール上に配置されたキャリッジの斜視図であり、図4(A)は主ガイドレールの斜視図であり、図4(B)は主ガイドレールの取り付け部拡大斜視図であり、図5(A)はキャリッジの筐体前方から見た斜視図であり、図5(B)はキャリッジの筐体後方から見た斜視図である。
また、図6はキャリッジの筐体底面側から見た斜視図であり、図7はギャップ調整手段の斜視図であり、図8(A)は主ギャップ調整手段の斜視図であり、図8(B)は主ギャップ調整手段の摺動部材の斜視図であり、図9(A)は主ギャップ調整手段のカム部材の斜視図であり、図9(B)は主ギャップ調整手段のカム部材の正面図であり、図10は主ギャップ調整手段の係合部材の斜視図であり、図11は図8(A)における主ギャップ調整手段のY軸方向における断面図である。
図12及び図13はギャップ調整の説明図であり、図14は切換レバー部斜視図であり、図15(A)は係合部材の移動領域における切換レバーの進出時の説明図であり、図15(B)は係合部材の移動領域における切換レバーの退避時の説明図である。
また、図16(A)、図16(B)はギャップを大きくする際の動作を説明する図であり、図17(A)、図17(B)はギャップを小さくする際の動作を説明する図であり、図18(A)は副ギャップ調整手段の摺動部材の正面図であり、図18(B)は副ギャップ調整手段の摺動部材の背面図である。
図19(A)は副ギャップ調整手段のカム部材の背面図であり、図19(B)は副ギャップ調整手段のカム部材の正面図であり、図20(A)は主ギャップ調整手段のカム部材のカムの拡大図であり、図20(B)は副ギャップ調整手段のカム部材のカムの拡大図であり、図21はギャップ調整機構の第2の実施例の斜視図である。
尚、図1はプリンター10の用紙搬送経路上に配置されるローラーを図示するために、ほぼ全てのローラーを同一面上に描いているが、その奥行き方向(図1の紙面表裏方向)の位置は必ずしも一致しているとは限らない(一致している場合もある。)。また、各図において示すX−Y−Z座標系はX方向が記録ヘッドの走査方向、Y方向が記録装置の奥行き方向、Z方向がギャップの変化する方向すなわち装置高さ方向を示している。尚、各図において−Y方向を装置前面側とし、+Y方向側を装置背面側とする。
以下、図1を参照しながら用紙搬送経路上の構成要素についてさらに詳説する。装置本体12は、用紙を収容する下段側トレイ14及び下段側トレイ14の上側に位置するとともに「被記録媒体」としての用紙を収容する上段側トレイ16を備えて構成されている給送部18と、給送手段20と、搬送手段22と、記録手段24と、排出手段26とを備えて構成されている。下段側トレイ14及び上段側トレイ16は、装置本体12に対しそれぞれ装置前方側から装着及び取り外し可能に構成されている。また、給送部18は、さらにピックアップローラー28と、分離手段30とを備えている。
また、上段側トレイ16は、図示しないモーターにより装置奥行き方向(図1、Y軸方向)に駆動され、突き当たり位置すなわち給送可能位置(図1参照)と突き当たり位置から−Y方向に所定量変位した退避位置(不図示)との間を移動可能に構成されている。尚、図1においては、下段側トレイ14に収容される用紙を符号P1で、上段側トレイ16に収容される用紙を符号P2で、それぞれ示している(以下特に区別する必要がない場合は「用紙P」という)。尚、用紙Pは、被搬送媒体の一例である。
各トレイの上方には図示しないモーターによって回転駆動されるピックアップローラー28が設けられている。ピックアップローラー28は、揺動軸32を中心に揺動する揺動部材34に設けられている。ピックアップローラー28は、上段側トレイ16が給送可能位置にある場合、上段側トレイ16に収容された用紙P2の最上位のものと接して回転することにより、当該最上位の用紙P2を上段側トレイ16から給送経路へ送り出す。
ピックアップローラー28は、上段側トレイ16が退避位置にある場合、下段側トレイ14に収容された用紙P1の最上位のものと接して回転することにより、当該最上位の用紙P1を下段側トレイ14から給送経路へ送り出す。
また、下段側トレイ14に収容された用紙P1の先端及び上段側トレイ16に収容された用紙P2の先端と対向する位置に分離手段30が設けられている。分離手段30は、下段側トレイ14又は上段側トレイ16からピックアップローラー28の回転により繰り出された用紙Pの先端と接し、用紙Pが分離手段30と接した状態で給送経路下流側へと搬送されることにより、最上位の用紙Pと次位以降の用紙Pとの分離を行う。これにより、給送手段20は、被搬送媒体の一例であるシート材(用紙P)を給送経路下流側へ送り出す。
分離手段30の給送経路下流側には、給送手段20が設けられている。給送手段20は、図示しないモーターにより駆動される給送駆動ローラー36と、分離ローラー38と、給送従動ローラー40とを備えている。分離ローラー38は、給送駆動ローラー36と接するとともに再度用紙Pに対して分離を行い、確実に最上位の用紙Pのみを給送経路下流側に送る。
また、分離ローラー38の下流側には、給送駆動ローラー36との間で用紙Pを挟持して従動回転する給送従動ローラー40が設けられている。さらに、給送従動ローラー40の給送経路下流側には、図示しないモーターにより駆動される搬送駆動ローラー42と、該搬送駆動ローラーに圧接して従動回転する搬送従動ローラー44とを備える搬送手段22が設けられている。この搬送手段22により、用紙Pがさらに下流側へと送られる。
搬送手段22の下流側には、記録手段24が設けられている。記録手段24は、記録ヘッド46と、該記録ヘッドと対向し、用紙Pを支持する支持部としての下部案内部材すなわちプラテン48とを備えている。記録ヘッド46は、キャリッジ50の底部に設けられ、用紙Pと対向する。キャリッジ50は、図示しない駆動モーターによって主走査方向(図1の紙面表裏方向すなわちX軸方向)に往復動する様に駆動される。
下部案内部材48は、用紙Pを支持し、下部案内部材48と記録ヘッド46との距離すなわちギャップPGを規定する。そして下部案内部材48の下流側には、記録の行われた用紙Pを送り出す排出手段26が設けられている。排出手段26は、図示しない駆動源によって駆動される第1ローラー52と、当該第1ローラーに接して従動回転する第2ローラー54とを備えている。
記録手段24により記録の行われた用紙Pは、第1ローラー52と第2ローラー54とに狭持され、装置本体12の前面側(図1右方)に設けられた排紙スタッカー56へ排出される。尚、排紙スタッカー56は、操作パネル部58の装置本体12に対する回動とともに装置本体12の外側に突出する方向に変位するすなわちY軸方向に沿って引き出される状態又は装置本体12の内側に引き込まれる方向に変位する状態に切換可能に構成されている。
また、プリンター10において用紙Pの両面に記録を行う場合には、記録手段24によって用紙Pの第1面に記録が行われた後、用紙Pは搬送手段22及び排出手段26の逆送り動作により前記第1面に記録が実行された際に用紙後端となっていた側が先端となって搬送手段22の上流側に戻される。さらに用紙Pは、搬送手段22の逆戻り動作により反転経路60へと送られる。反転経路60内に送られた用紙Pは、駆動ローラー36と反転ローラー62とにより挟持され、再度給送経路に戻される。
給送経路に戻された用紙Pは、分離ローラー38及び従動ローラー40を経て駆動ローラー36により給送経路下流側の搬送手段22へと再度送られる。このとき、用紙Pの第1面と第2面とは湾曲反転させられ、該第2面が記録ヘッド46と対向する。用紙Pは、搬送手段22により記録手段24へ送られる。記録手段24により前記第2面の記録が行われた用紙Pは、排出手段26に狭持され、装置前方側に設けられた排紙スタッカー56へ排出される。
■■■第1の実施例■■■■■
更に、図2及び図3を参照して本発明に係る第1の実施例の記録手段24について詳細に説明する。記録手段24のキャリッジ50は、記録ヘッド46の走査方向(図2X軸方向)に延びる「ガイド部材」としての一対のガイドレール64にガイドされて前記走査方向に移動する。一対のガイドレール64は、装置背面側すなわち+Y方向側に装置本体12に取り付けられた「第1ガイド部材」としての主ガイドレール66と、装置前面側すなわち−Y方向側に装置本体12に取り付けられた「第2ガイド部材」としての副ガイドレール68とを備えて構成されている。
図4(A)及び図4(B)を参照するに、主ガイドレール66は、摺動面70と、該摺動面70の装置背面側(Y方向側)の端部からZ方向に立設された支持面72と、該摺動面70の装置前面側(−Y方向側)の端部からZ方向に立設された「壁面」としてのガイド面74と、ガイド面74の上端部から装置背面側(Y方向側)に摺動面70と対向するように延びている規制部76とを備えて構成されている。
主ガイドレール66の支持面72には、取り付け部78が走査方向に間隔をおいて複数
設けられている。主ガイドレール66は、取り付け部78を装置本体12側のフレーム79に接触させた状態でねじ等により取り付けられている。尚、取り付け部78には、平坦面80が形成されている。平坦面80は、主ガイドレール66において装置高さ方向の傾き及び走査方向へのねじれを低減し、あるいは防止するために支持面72に平坦面80の領域が大きくなるように形成されている。
再度、図3を参照して副ガイドレール68は、摺動面82と、摺動面82の装置前面側(−Y方向側)の端部からZ方向に立設された壁面84と、該壁面84からキャリッジ50に向けて突出するとともに走査方向に間隔をおいて複数設けられた庇状部86とを備えて構成されている。
各庇状部86は、キャリッジ50の走査方向への移動に伴って、キャリッジ50の前面と係合し、キャリッジ50のZ方向への浮き上がりを防止する。これにより、プリンター10において紙詰まりが発生した際、キャリッジ50が詰まった紙により+Z方向に持ち上げられ、上方に変位したままになることを防止することできる。このため、プリンター10は、該プリンター10内に詰まった紙を取り除くことにより速やかに印刷を再開することができる。
図5(A)、図5(B)及び図6を参照するに第1の実施例に係るキャリッジ50が示されている。キャリッジ50は、筐体88と、筐体88の上部に設けられ、複数のインクカートリッジを収容するインクカートリッジ収容部90と、筐体88の下部に設けられた開口部に下部案内部材48と対向するように配置された記録ヘッド46と、記録ヘッド46と用紙Pを支持する下部案内部材48との間のギャップPGを調整するギャップ調整手段92とを備えている。
筐体88の前面側(図5(A)において−Y側)と背面側(図5(B)においてY方向側)には、記録ヘッド46と下部案内部材48との間隔すなわちギャップPGを調整するギャップ調整手段92が配置されている。ギャップ調整手段92については後で詳細に説明するが、筐体88の背面側(図6において右方)には「第1ギャップ調整手段」としての主ギャップ調整手段94が配置され、筐体88の前面側(図6において左方)には「第2ギャップ調整手段」としての副ギャップ調整手段96が配置されている。
筐体88の背面側に配置された主ギャップ調整手段94は、主ガイドレール66の摺動面70に当接するとともに主ガイドレール66に支持されている。筐体88の前面側に配置された副ギャップ調整手段96は、副ガイドレール68の摺動面82に当接するとともに副ガイドレール68に支持されている。キャリッジ50は、主ギャップ調整手段94を摺動面70に、副ギャップ調整手段96を摺動面82にそれぞれ摺動させることにより、前記走査方向に移動することができる。
また、主ガイドレール66と副ガイドレール68との間隔を長くするに伴い、キャリッジ50を走査方向と直行する方向に長くなり、インクカートリッジ収容部90を長くすることができる。これにより、キャリッジの高さ方向を抑えてもインクカートリッジのインク容量を確保することができる。
キャリッジ50において、筐体88の下部に配置された記録ヘッド46は、Y軸方向において主ギャップ調整手段94寄りに配置されている(図6参照)。ところで、プリンター10を組み立てる際、ギャップPGを調整する必要がある。従来、主ガイドレール66及び副ガイドレール68のいずれか一方をZ軸方向に動かしてギャップPGを調整すると、記録ヘッド46が下部案内部材48に支持された用紙Pに対して傾き、用紙Pへの印字精度が低下する。このため、主ガイドレール66及び副ガイドレール68の双方をZ軸方向に動かしてギャップPGを調整する必要があった。
本実施例においては、主ガイドレール66と副ガイドレール68との間隔を長くするとともに記録ヘッド46が主ギャップ調整手段94寄りに配置されていることから、主ガイドレール66をZ軸方向に動かしてギャップPGを調整したとしても記録ヘッド46の前記傾きが印字精度を維持することができる傾きの許容範囲内に収まり用紙Pへの印字精度の影響を少なくすることができる。そのため、本実施例では、副ガイドレール68をZ軸方向に動かしてギャップPGを調整する必要が無く、組み立て工程の簡略化を図ることができる。
図7を参照して、ギャップ調整手段92について更に詳説する。ギャップ調整手段92は、キャリッジ50の筐体88内において背面側に配置された主ギャップ調整手段94と、キャリッジ50の筐体88の前面側に配置された副ギャップ調整手段96と、主ギャップ調整手段94と副ギャップ調整手段96とを同期させる同期手段98とを備えて構成されている。
主ギャップ調整手段94には、走査方向(図7においてX軸方向)に延びるとともに前記走査方向に変移するラック100が設けられ、副ギャップ調整手段96にも前記走査方向に延びるとともに前記走査方向に変移するラック102が設けられている。
同期手段98は、ラック100と係合する第1伝達ギヤ104と、該第1伝達ギヤに係合する第2伝達ギヤ106と、該第2伝達ギヤと係合し、主ギャップ調整手段94と副ギャップ調整手段96との間に延びるピニオンギヤ軸108と、該ピニオンギヤ軸と係合する第3伝達ギヤ110と、該第3伝達ギヤ及びラック102と係合する第4伝達ギヤ112とを備えて構成されている。すなわち、同期手段98の一方は主ギャップ調整手段94と係合し、他方は副ギャップ調整手段96と係合している。
同期手段98は、ラック100が前記走査方向に変移する際、ラック100の直線運動を第1伝達ギヤ104により回転運動に変換し、第2伝達ギヤ106、ピニオンギヤ軸108、第3伝達ギヤ110を介して前記回転運動を第4伝達ギヤ112によりラック102に前記直線運動として伝達する。すなわち、同期手段98は、ラック100が移動する方向と同じ方向に同期してラック102を移動させる。
また、同期手段98は、主ギャップ調整手段94と副ギャップ調整手段96との間を複数のギヤ等の機構で繋げる構成としており、主ギャップ調整手段94がギャップPGを変化させる方向においてキャリッジ50の筐体88を変位させる際、主ギャップ調整手段94の筐体88を変位させる動力を副ギャップ調整手段96に伝達させることができる。
図8(A)を参照するに、主ギャップ調整手段94が示されている。主ギャップ調整手段94は、主ガイドレール66と当接し、主ガイドレール66に対して摺動する「第1摺動部材」としての摺動部材114と、該摺動部材と係合する「第1カム部材」としてのカム部材116と、該カム部材と係合する係合部材118とを備えて構成されている。
摺動部材114は、図8(B)に示すようにX軸方向に延びている。摺動部材114の下面(図8(B)において−Z方向)のX軸方向両端部には主ガイドレール66の摺動面70と当接する摺動部120(図6参照)が設けられている。また、摺動部材114のX軸方向の両端部には、キャリッジ50の筐体88と当接し、該筐体88に対して主ギャップ調整手段94のX軸方向の動きを規制する規制部122が設けられている。
また摺動部材114には、Y軸方向における一方の側にカム部材116と係合する係合部124(図8(B)において+Y方向側)が形成されている。係合部124は、後述するカム部材116のカム部138の形状に対応して階段状に形成されている。さらに、摺動部材114には、前記一方の側に係合部材118を案内するガイドピン126が設けられている。
また、摺動部材114の上面には、後述するカム部材116のカム部138と接触する接触部130が複数設けられている。更に摺動部材114の上面のX軸方向両端部には、後述する第1の付勢部材としての第1のばね部材128を掛止するフック部132が設けられている。
図9(A)及び図9(B)にはカム部材116が示されている。カム部材116の上面には、ラック100が形成されている。また、カム部材116の上面は、キャリッジ50の筐体88と当接し、該筐体88を支持する支持面134として機能する。カム部材116のY軸方向における一方の側面(図9(B)参照)には、摺動部材114の係合部124と係合する第1の係合ピン136が設けられている。
また、カム部材116の前記一方の側面には、階段状のカム部138が設けられている。カム部138は、「ギャップ維持面」としての第1段部138a、第2段部138c、第3段部138e、第4段部138gと、「ギャップ調整面」としての第1傾斜部138b、第2傾斜部138d、第3傾斜部138fとを有している。
第1段部138a、第2段部138c、第3段部138e、第4段部138gのいずれかが摺動部材114の接触部130と係合して、ギャップPGを規定するとともにギャップPGを維持する。また、第1傾斜部138b、第2傾斜部138d、第3傾斜部138fは、摺動部材114に対してカム部材116がスライドする際、ギャップPGを変化させる。尚、カム部138において各段部138a,138c,138e,138gと各傾斜部138b,138d,138fとは交互に階段状に配置されている。
また、カム部材116のY軸方向における他方の側面(図9(A)において+Y方向側)には、係合部材118と係合する、「突起」としての第2の係合ピン140が形成され、更にキャリッジ50の筐体88と係合する係合部142が形成されている。
図10には、係合部材118が示されている。係合部材118はX軸方向に延びる板状部材として形成されている。係合部材118には、摺動部材114のガイドピン126が遊挿されることにより該ガイドピン126により係合部材118が案内される、X軸方向に延びるガイド溝144が設けられている。また、係合部材118には、カム部材116の第2の係合ピン140が遊挿される長穴146が設けられている。
長穴146は、Z軸方向に延びるとともにX軸方向にも傾斜して延びている。長穴146は、X軸方向において、係合部材118のスライドに伴って第2の係合ピン140が長穴146内で移動すべき方向に案内されるようにZ軸方向すなわちギャップPGの変化方向に対して所定の角度で傾斜している。また、係合部材118には、Y軸方向においてカム部材116と係合する側(図10において−Y方向側)と反対の側(図10において+Y方向側)に突部148が設けられている。
突部148は、前記反対の側からY方向側(図10参照)に突出している。また、本実施例において突部148は、後述する切換レバー152の揺動半径を小さくするために係合部材118のZ軸方向における下端部に設けられている。尚、係合部材118は、摺動部材114に対してスライドする際、X軸方向すなわち走査方向においてスライドし、Z軸方向にはスライドしないように構成されている。このため、突部148は、X軸方向には変位するが、Z軸方向には変位しない。
すなわち、突部148は、ギャップPGが変化する方向において一定の位置を保つ。このため、後述する切換レバー152の先端部152aと当接する突部148のギャップPGが変化する方向における大きさ及び先端部152aのギャップPGが変化する方向における大きさを小さくすることができる。
ここで、図11を参照して、主ギャップ調整手段94における摺動部材114、カム部材116及び係合部材118の関係について説明する。図11は、図8(A)における主ギャップ調整手段94のY軸方向における断面を示している。
主ガイドレール66の摺動面70、ガイド面74及び規制部76に囲まれた領域に摺動部材114が配置されている。このため、摺動部材114はZ軸方向において主ガイドレール66に対する相対的な変位が規制されている。また、摺動面70と摺動部材114の摺動部120とが摺接している。
また、図8(A)に示すように摺動部材114のX軸方向における両端部には「第2の付勢部材」としての第2のばね部材150が設けられている。第2のばね部材150は摺動部材114とキャリッジ50の筐体88との間に配置され、その付勢力により摺動部材114をガイド面74に付勢している。このため、摺動部材114は、主ガイドレール66に対して走査方向すなわちX軸方向に摺動する際、Y軸方向のガタつきを防止することができる。
摺動部材114の係合部124には、カム部材116の第1の係合ピン136が受け入れられている。係合部124は、カム部材116が摺動部材114に対してカム部138の形状に沿ってスライドする際、カム部138の形状に沿ってカム部材116がX軸方向とともにZ軸方向に変位することを許容し、カム部138の形状に沿わずにカム部材116がZ軸方向にのみ変位することを規制している。
また、摺動部材114のフック部132には第1のばね部材128の一端が掛止され、第1のばね部材128の他端はキャリッジ50の筐体88に取り付けられている。このため、カム部材116は、摺動部材114を介して第1のばね部材128の付勢力により筐体88に付勢されている。このため、摺動部材114と筐体88との間のZ軸方向におけるガタつきを少なくすることができる。
尚、摺動部材114は、キャリッジ50の自重で主ガイドレール66の摺動面70に押し付けられることから、キャリッジ50が走査方向に移動する際、摺動面70からキャリッジ50が浮き上がることが抑制され、或いは浮き上がりを防止できる。
また、カム部材116の係合部142は、キャリッジ50の筐体88の一部と係合し、カム部材116が筐体88から脱落しないようにZ軸方向における変位を規制している。係合部材118は、カム部材116と筐体88との間に配置され、カム部材116とともにX軸方向にスライド可能である。
次いで、図12及び図13を参照してギャップPGについて説明する。図12において、カム部材116のカム部138の第1段部138aと摺動部材114の接触部130とが接触している状態である。この際、第1段部138aのZ軸方向における厚さは、用紙Pを支持する下部案内部材48とキャリッジ50の記録ヘッド46との間のギャップPGが最小となるように設定されている。
図13は、カム部材116のカム部138の第4段部138gと摺動部材114の接触部130とが接触している状態である。この際、第4段部138gのZ軸方向における厚さは、用紙Pを支持する下部案内部材48とキャリッジ50の記録ヘッド46との間のギャップPGが最大となるように設定されている。
係合部材118を摺動部材114に対してX軸方向にスライドさせると、長穴146に遊挿されたカム部材116の第2の係合ピン140が長穴146に沿って案内される。その結果、カム部材116は摺動部材114に対してX軸方向にスライドするとともにZ軸方向にもスライドする。このスライドに伴って、摺動部材114の接触部130は、カム部材116のカム部138の第1段部138a、第1傾斜部138b、第2段部138c、第2傾斜部138d、第3段部138e、第3傾斜部138f、第4段部138gの順に係合していく。
すなわち、カム部材116が摺動部材114に対してX方向にスライドする際、接触部130が各段部138a,138c,138e,138gに順に係合し、あるいはカム部材116が摺動部材114に対して−X方向にスライドする際、接触部130が各段部138g,138e,138c,138aに順に係合することにより、ギャップPGの距離を変化させることができる。
次いで、図14ないし図17を参照して、主ギャップ調整手段94の切換手段及びギャップPGの切換方法について説明する。図14には、「切換部材」としての切換レバー152が示されている。切換レバー152は、X軸方向におけるキャリッジ50の移動可能な範囲の一方の側端近傍(例えば、キャリッジ50のホームポジションと反対側(80桁側))に設けられている。切換レバー152が設けられた位置に対応して主ガイドレール66には開口部154が設けられている。切換レバー152は、揺動軸156に取り付けられ、図示しない駆動源により、揺動軸156の周りを揺動する。
図15(A)及び図15(B)は切換レバー152の揺動状態を示している。図15(A)は、揺動軸156を中心に反時計回りに切換レバー152を揺動させ、切換レバー152の先端部152aを開口部154を通して主ギャップ調整手段94の移動領域に突出させた状態である。この状態において、切換レバー152の先端部152aは、X軸方向に移動する主ギャップ調整手段94の係合部材118の突部148と係合することができる。
尚、突部148は係合部材118の下端部に設けられていることから、揺動軸156から切換レバー152の先端部152aまでの距離を短くすることができる。これにより切換レバー152の揺動半径を短くすることができ、主ガイドレール66の開口部154の大きさを小さくすることができる。
図15(B)は、切換レバー152を揺動軸156を中心に時計回りに揺動させ、切換レバー152の先端部152aを主ギャップ調整手段94の移動領域から退避させた状態である。この状態において、切換レバー152の先端部152aは、X軸方向に移動する主ギャップ調整手段94の係合部材118の突部148と当接しない。
次いで図16(A)及び図16(B)を参照して、記録ヘッド46と用紙Pを支持する下部案内部材48との間のギャップPGを大きくする際の動作を説明する。図16(A)はギャップPGを大きくする前である。一方、図16(B)はギャップPGを大きくしたときである。図16(A)に示すように用紙Pを送っていない状態において、先ず、キャリッジ50をX軸方向における切換レバー152が設けられている一端側に向けて(図16(A)において−X方向)移動させる。
そして、係合部材118の突部148が、図16(A)において切換レバー152の右側方となる位置まで、キャリッジ50を移動させて停止させる。その後、切換レバー152を揺動させて図15(A)に示すように切換レバー152の先端部152aを主ギャップ調整手段94の移動領域に突出させた状態とする。すなわち、切換レバー152の先端部152aは、係合部材118の突部148と当接可能な状態となる。
そして、図16(B)に示すようにキャリッジ50を−X方向に移動させる。この際、カム部材116及び係合部材118は、キャリッジ50とともに−X方向に移動しようとするが、切換レバー152の先端部152aが係合部材118の突部148と当接することにより、−X方向への移動が妨げられる。
これにより、キャリッジ50に対してカム部材116及び係合部材118が相対的にX方向に移動することとなる。そして、カム部材116における摺動部材114の接触部130との接触箇所を第1段部138aから第2段部138c、第3段部138e、第4段部138gのいずれかに変えることができる。尚、一例として図16(B)では、第2段部138cに変えた様子を示している。
そして、キャリッジ50を停止させてから、切換レバー152を揺動させて図15(B)に示すように切換レバー152の先端部152aを主ギャップ調整手段94の移動領域から退避させた状態とする。その結果、キャリッジ50の筐体88を支持する支持面134と接触部130との間の距離を長くすることができ、記録ヘッド46と用紙Pを支持する下部案内部材48との間のギャップPGを大きくすることができる。
尚、第1段部138aから第2段部138c、第3段部138e、第4段部138gのいずれかに変えるかは、キャリッジ50の移動量を制御することにより行う。また、一例として第1段部138aから第2段部138c、第3段部138e、第4段部138gのいずれかに変えることについて説明したが第2段部138cから第3段部138eまたは第4段部138gに変えても良いし、第3段部138eから第4段部138gに変えても良い。係る場合も動作は同様であるから、説明は省略する。尚、上記説明において切換レバー152の先端部152aと突部148と係合する位置は走査方向(X軸方向)においてキャリッジ50の筐体88の内側である。
次いで図17(A)及び図17(B)を参照して、記録ヘッド46と用紙Pを支持する下部案内部材48との間のギャップPGを小さくする際の動作を説明する。図17(A)はギャップPGを小さくする前である。一方図17(B)はギャップPGを小さくしたときである。図17(A)に示すように用紙Pを送っていない状態において、先ず、キャリッジ50をX軸方向における切換レバー152が設けられている一端側に向けて(図17(A)においてX方向)移動させる。
そして、係合部材118の突部148が、図17(A)において切換レバー152の左側方となる位置まで、キャリッジ50を移動させて停止させる。その後、切換レバー152を揺動させて図15(A)に示すように切換レバー152の先端部152aを主ギャップ調整手段94の移動領域に突出させた状態とする。
そして、図17(B)に示すようにキャリッジ50をX方向に移動させる。この際、カム部材116及び係合部材118は、キャリッジ50とともにX方向に移動しようとするが、切換レバー152の先端部152aが係合部材118の突部148と当接することにより、X方向への移動が妨げられる。
これにより、キャリッジ50に対してカム部材116及び係合部材118が相対的に−X方向に移動することとなる。そして、カム部材116における摺動部材114の接触部130との接触箇所を第4段部138gから第1段部138a、第2段部138c、第3段部138eのいずれかに変えることができる。尚、一例として図16(B)では、第1段部138aに変えた様子を示している。
そして、キャリッジ50を停止させてから、切換レバー152を揺動させて図15(B)に示すように切換レバー152の先端部152aを主ギャップ調整手段94の移動領域から退避させた状態とする。その結果、キャリッジ50の筐体88を支持する支持面134と接触部130との間の距離が短くすることができ、記録ヘッド46と用紙Pを支持する下部案内部材48との間のギャップPGを短くすることができる。
尚、第4段部138gから第1段部138a、第2段部138c、第3段部138eのいずれかに変えるかは、キャリッジ50の移動量を制御することにより行う。また、一例として第4段部138gから第1段部138a、第2段部138c、第3段部138eのいずれかに変えることについて説明したが第3段部138eから第2段部138cまたは第1段部138aに変えても良いし、第2段部138cから第1段部138aに変えても良い。係る場合も動作は同様であるから、説明は省略する。尚、上記説明において切換レバー152の先端部152aと突部148と係合する位置は走査方向(X軸方向)においてキャリッジ50の筐体88の内側である。
次いで、図7に示した副ギャップ調整手段96を説明する。副ギャップ調整手段96は、キャリッジ50の筐体88の前面側に配置された「第2摺動部材」としての摺動部材158と、主ギャップ調整手段94の動作を同期手段98により伝達され、摺動部材158と係合する「第2カム部材」としてのカム部材160とを備えている。副ギャップ調整手段96は係合部材を備えていない点で主ギャップ調整手段94と相違する。
図18(A)及び図18(B)を参照して、摺動部材158を説明する。摺動部材158のY軸方向における一方の側(図18(A)参照)には、カム部材160と係合する係合部162が設けられている。さらに摺動部材158のY軸方向における他方の側(図18(B)参照)には、X軸方向において筐体88に対する摺動部材158の相対変位を規制する規制ピン164が設けられている。規制ピン164は、図6に示すようにキャリッジ50の筐体88の下面の前面寄り(図6において左方)に設けられた規制部166と係合している。
また、摺動部材158の下面のX軸方向中央近傍には、副ガイドレール68の摺動面82と接して摺動する摺動部168(図6参照)が設けられている。摺動部168はX軸方向に沿って中央近傍がわずかに摺動面82側に突出する円弧状に形成されている。また、摺動部材158の上面にはカム部材160のカム部176と接触する接触部170が複数設けられている。
次いで、図19(A)及び図19(B)を参照して、カム部材160を説明する。カム部材160の上面には、ラック102が形成されている。また、カム部材160の上面は、キャリッジ50の筐体88と当接し、該筐体88を支持する支持面172として機能する。さらに、カム部材160のY軸方向における一方の側面(図19(A)参照)には、摺動部材158の係合部162と係合する係合突部174が設けられている。
また、カム部材160の前記一方の側面には、階段状のカム部176が設けられている。カム部176は、「ギャップ維持面」としての第1段部176a、第2段部176c、第3段部176e、第4段部176gと、「ギャップ調整面」としての第1傾斜部176b、第2傾斜部176d、第3傾斜部176fとを有している。
第1段部176a、第2段部176c、第3段部176e、第4段部176gのいずれかが摺動部材158の接触部170と係合して、ギャップPGを規定するとともにギャップPGを維持する。また、第1傾斜部176b、第2傾斜部176d、第3傾斜部176fは、摺動部材158に対してカム部材160がスライドする際、ギャップPGを変化させる。尚、カム部176において各段部176a,176c,176e,176gと各傾斜部176b,176d,176fとは交互に階段状に配置されている。また、カム部材160のY軸方向における他方の面(図19(B)参照)には、キャリッジ50の筐体88の前面と係合する係合部178が設けられている。
副ギャップ調整手段96において、同期手段98によりラック102が主ギャップ調整手段94と同じ方向に移動させられると、カム部材160は、筐体88に保持された摺動部材158に対してX軸方向にスライドする。この際、接触部170は、カム部材160のカム部176の各段部176a,176c,176e,176gのいずれかと係合することとなる。
次いで図20(A)及び図20(B)を参照して、主ギャップ調整手段94のカム部材116のカム部138と副ギャップ調整手段96のカム部材160のカム部176の対比について説明する。図20(A)は主ギャップ調整手段94のカム部材116のカム部138を示しており、図20(B)は副ギャップ調整手段96のカム部材160を示している。
尚、図20(A)及び図20(B)において、t1〜t8は支持面134,172と各段部138a,138c,138e,138g、176a,176c,176e,176gとの間の距離を示し、L1〜L8は各段部138a,138c,138e,138g、176a,176c,176e,176gのX軸方向における段部の長さを示している。また、X軸方向における座標X1〜X7、X8からX14は各段部の始点及び終点の位置を示している。また、第4段部の終点については図示していない。
ここで、カム部138の第1段部138aと支持面134との間の距離t1は、カム部176の第1段部176aと支持面172との間の距離t5と一致している。またカム部138の第2段部138cと支持面134との間の距離t2、第3段部138eと支持面134との間の距離t3及び第4段部138gと支持面134との間の距離t4は、それぞれカム部176の第2段部176cと支持面172との間の距離t6、第3段部176eと支持面172との間の距離t7及び第4段部176gと支持面172との間の距離t8と一致している。
すなわち主ギャップ調整手段94のZ軸方向における変化量と、副ギャップ調整手段96のZ軸方向における変化量とが一致するように各段部138a,138c,138e,138g、176a,176c,176e,176gと支持面134,172との距離t1〜t8は規定されている。このため、キャリッジ50がY軸方向すなわち装置奥行き方向において傾くことを防止することができる。
ところで、ギャップPGを調整するために主ギャップ調整手段94及び副ギャップ調整手段96をX軸方向に移動させた際、同期手段98において主ギャップ調整手段94側の動き始めに対して副ギャップ調整手段96側の動き始めが遅延した結果、ピニオンギヤ軸108にねじれが生じることがある。また、各歯車のバックラッシによっても主ギャップ調整手段94の動き始めに対して副ギャップ調整手段96の動き始めが遅延することがある。
このため、主ギャップ調整手段94における摺動部材114の接触部130とカム部138とのX軸方向における当接位置に対して、副ギャップ調整手段96における摺動部材158の接触部170とカム部176とのX軸方向における当接位置が走査方向すなわちX軸方向において主ギャップ調整手段94及び副ギャップ調整手段96のスライド方向と反対方向にずれることがある。
そのため、カム部176の各段部176a,176c,176e,176gの走査方向における長さL5〜L8のうちいずれか少なくとも1つは、それぞれ対応するカム部138の各段部138a,138c,138e,138gの走査方向における長さL1〜L4よりも長く形成されている。
また、カム部176における各段部176a,176c,176e,176gの始点位置X8,X10,X12,X14のうちいずれか少なくとも1つは、それぞれ対応するカム部138における各段部138a,138c,138e,138gの始点位置X1,X3,X5,X7に対して走査方向すなわちX軸方向において主ギャップ調整手段94及び副ギャップ調整手段96のスライド方向と反対方向にずらして配置されている。
このため、同期手段98において主ギャップ調整手段94側の動き始めに対して副ギャップ調整手段96側の動き始めが遅延したとしても、カム部176の各段部の走査方向における長さがカム部138の各段部の走査方向における長さより大きくされており、またカム部176の各段部の始点位置が位置をずらして配置されていることから、主ギャップ調整手段94が規定するギャップPGと副ギャップ調整手段96が規定するギャップPGが同期する。
これにより、キャリッジ50ひいては記録ヘッド46が装置の奥行き方向すなわちY軸方向において用紙Pに対して傾くことがなく、記録品質を低下させる虞がない、あるいは虞が少ない。
上記説明をまとめると本実施形態のプリンター10は、用紙Pに記録を行う記録ヘッド46を備え、当該記録ヘッド46の走査方向(X軸方向)に移動可能なキャリッジ50と、該キャリッジ50を前記走査方向にガイドするガイドレール64と、キャリッジ50の筐体88とガイドレール64との間に介在し、用紙Pを支持する下部案内部材48と記録ヘッド46との間のギャップPGが変化する方向にキャリッジ50の筐体88を変位させる、キャリッジ50に設けられたギャップ調整手段92と、を備えている。ギャップ調整手段92は、ガイドレール64に対して摺動する摺動部材114と、筐体88の一部と摺動部材114との間に介在し、筐体88と摺動部材114に対して走査方向(X軸方向)に相対的にスライドすることによりキャリッジ50の筐体88をギャップPGが変化する方向に変位させる形状を備えたカム部材116と、前記走査方向に対してはカム部材116とともにスライドし、ギャップPGが変化する方向に対してはカム部材116の移動を許容する様にカム部材116と係合し、キャリッジ50の移動領域に対して進退可能な切換レバー152と当接してカム部材116をスライドさせる係合部材118とを備えて構成されている。
係合部材118はギャップPGが変化する方向への移動が規制された状態に設けられている。ガイドレール64と摺動部材114とが、ギャップPGが変化する方向への相対的な変位が規制された状態で係合し、摺動部材114とカム部材116とが、ギャップPGが変化する方向への相対的な変位が規制された状態で係合し、カム部材116と筐体88とが、ギャップPGが変化する方向への相対的な変位が規制された状態で係合する。
カム部材116に形成された第2の係合ピン140は係合部材118に形成された長穴146に遊挿されることによりカム部材116と係合部材118とが係合している。また、長穴146は、係合部材118のスライドに伴っての第2の係合ピン140が長穴146内で移動すべき方向に第2の係合ピン140を案内する様にギャップPGの変化方向に対して所定の傾斜角を有する方向に延設されている。
プリンター10はキャリッジ50の筐体88と摺動部材114との間でカム部材116を挟む方向に付勢力を発揮する第1のばね部材128を備えている。ガイドレール64は、ギャップPGが変化する方向に沿って立設されたガイド面74を有し、摺動部材114が、ガイド面74とキャリッジ50の筐体88との間で付勢力を発揮する第2のばね部材150によってガイド面74に向けて付勢されている。
<<<<第1の実施例の変形例>>>>
(1)同期手段98において、ピニオンギヤ軸108に変えて、図21に示すように第2伝達ギヤ106と第3伝達ギヤ110との間を複数の歯車輪列180により構成しても良い。
(2)同期手段98に代えて、主ギャップ調整手段94と副ギャップ調整手段96とを連結部材等で連結し、主ギャップ調整手段94と副ギャップ調整手段96とを同期させても良い。
(3)また主ガイドレール66側に設けた切換レバー152を副ガイドレール68側に設け、切換レバー152と係合する突部148を副ギャップ調整手段96に設ける構成としても良い。尚、この構成においては、同期手段98は、ギャップPGを変化させる方向においてキャリッジ50の筐体88を変位させる動力を副ギャップ調整手段96から主ギャップ調整手段94へ伝達させる。
(4)主ガイドレール66側に設けた切換レバー152を走査方向と直行する方向において主ガイドレール66と副ガイドレール68との間に設け、切換レバー152と係合する突部148をピニオンギヤ軸108に設ける構成としても良い。尚、この構成においては、同期手段98は、ギャップPGを変化させる方向においてキャリッジ50の筐体88を変位させる動力を突部148を介してピニオンギヤ軸108に伝達させ、該ピニオンギヤ軸を回転させて、主ギャップ調整手段94及び副ギャップ調整手段96の双方に伝達させる。
(5)同期手段98において主ギャップ調整手段94と副ギャップ調整手段96との間に駆動モーターを設けて、該駆動モーターにより主ギャップ調整手段94と副ギャップ調整手段96とをギャップPGを変化させる方向においてキャリッジ50の筐体88を変位させるように動作させる構成としても良い。
また、本実施形態では本発明に係るギャップ調整手段92を記録装置の一例としてのインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。