JP5902973B2 - 車載ledランプ用ヒートシンク - Google Patents

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本発明は、発光ダイオード(LED)素子を発光源とするLEDランプが発光時に発生する熱を、閉空間からなる周囲の空間に放射により放熱するための、車載LEDランプ用ヒートシンクに関するものである。
発光ダイオード(LED)素子を発光源とする照明は、低消費電力であり且つ長寿命であることから徐々に市場に浸透し始めている。その中でも、近年特に注目を集めているのが、自動車のヘッドライトなどの車載LEDランプ(車両用灯具、車両用前照灯)であり、LED素子への置き換えが始まっている。また、この車載LEDランプ(LED照明)を応用して、建物等その他の分野の埋め込み照明でも、LEDランプへの置き換えが始まっている。
しかしながら、このLEDランプの発光源であるLED素子は熱に非常に弱く、例えば100℃などの許容温度を超えると発光効率が低下し、更には、その寿命にも影響を及ぼしてしまうという問題がある。この問題を解決するためには、LED素子の発光時の熱を周囲の空間に放熱する必要があるため、LEDランプには大型のヒートシンクが備えられている。
このLEDランプ(LED照明)用ヒートシンクには、従来から、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)を材料とした、アルミダイキャストや押出形材によるものが多く採用されている。
図8、9に斜視図で例示するように、特許文献1〜4などに例示されるヒートシンクは、共通して、LED素子(光源)Lが正面側に配置固定された基板部30と、その基板部30の背面側に間隔を置いて突出する複数枚の平行に配置されたフィン部40を有してなる。
ただ、このようなヒートシンクを自動車のヘッドライトやテールランプなどの車載照明としてハウジングに組み込んで適用する場合には、必然的に、限られた狭い空間乃至閉鎖空間のなかに設置され、使用されることになる。
このような車載照明用のハウジングの狭い空間内乃至閉鎖空間内では、放熱空間も小さく限定され、前記した従来のヒートシンクの基板部30やフィン部40が位置する周囲の放熱空間(容積)も小さくなり、空気の対流がほとんどない。このような使用環境下では、空気の対流による放熱効果がほとんど期待できず、放射による放熱が必要とされる。
しかし、前記した従来のヒートシンクは、前記フィン部による放熱面の面積を増加させて、この放熱面からの空気の対流による放熱効果を主体としており、前記放射による放熱が考慮されていない。このため、従来のヒートシンクは、必然的に、前記放射による放熱が不十分となり、車載照明用のハウジングの狭い空間内乃至閉鎖空間内では、効率的な放熱が達成できない問題を抱えていた。
これに対して、より軽量化および低コスト化を図ったヒートシンクも提案されている。例えば特許文献5では、車両用灯具のヒートシンクとして、アルミニウム等の高熱伝導率の金属平板を折り曲げ加工されて形成したヒートシンクが提案されている。このヒートシンクは、金属平板を断面がひしゃく状に折り曲げ加工し、縦断面がコの字状のひしゃく部分の放熱部と、縦断面がひしゃくの柄の部分のLED光源を支持する基板とからなる。また、前記放熱部を一定間隔で細断したスリット状の開口部を多数設け、多数の狭幅の開口部と狭幅の放熱部とが交互に平行に並んだ櫛の歯状としている。そして、このように、放熱部にスリット状の開口部が隣接して設けられているため、車載照明用の限られた狭い空間乃至閉鎖空間であっても、灯室内を対流する空気が前記放熱部内に流れ込むと同時に、前記開口部から通り抜けていくという空気の流れが発生するとしている。そして、この空気の流れ(対流)の発生によって、放熱効率を向上することができるとしている。
特開2007−193960号公報 特開2008−7558号公報 特開2009−277535号公報 特開2010−278350号公報 特開2010−146817号公報
ただ、この特許文献5も、前記した特許文献1〜4と同様に、いずれも共通して、空気の対流による放熱効果を主体とし、放射による効率的な放熱を考慮していない。この結果、空気の対流による放熱効果が期待できない、車載照明用の限られた狭い空間内乃至閉鎖空間内では、やはり効率的な放熱が達成できない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、放射による効率的な放熱が可能な車載LEDランプ用ヒートシンクを提供することにある。言い換えると、空気による対流がないか少ない(空気の対流による放熱が期待できない)閉鎖された空間内に設置される場合であっても、LED発光源からの熱を放射主体で効率的に放熱できる、車載LEDランプ用ヒートシンクを提供することにある。
上記目的達成のために、本発明車載LEDランプ用ヒートシンクは、LED素子を表裏いずれかの面に取り付けた基板に対し、平板状の放熱フィンがこの基板の表裏いずれかあるいは両方の面に一体に形成されており、前記放熱フィンは前記基板の表裏いずれかの面から外方に向かって立設するとともに互いに間隔をあけて形成されており、かつ、前記放熱フィンが、前記基板の表裏いずれかの面あるいは表裏両方の面に、前記LED素子を中間に挟む位置に形成され、これらの放熱フィンの、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数が、前記基板の表裏いずれかの面に直交する任意の断面において2枚以下であり、かつ、前記放熱フィンが前記LED素子を取り付けた側の前記基板のいずれかの面に2枚以上形成されるとともに、前記放熱フィンが前記基板の両方の面の合計で4〜8枚形成されており、自動車のヘッドライトに用いられることとする。
本発明では、LED素子を表裏いずれかの面で支持した基板に対し、前記表裏いずれかの面に立設して外方に張り出す平板状の放熱フィンが、前記基板の面と連続かつ一体に互いに間隔をあけて形成されるものとする。そして、これらの放熱フィンのうち、互いに平行な方向に延在するフィンの枚数が、前記基板の表裏いずれかの面に直交する任意の断面においても(この方向の断面で切断したヒートシンクのいずれの断面においても)2枚以下とする。
これによって、本発明によれば、空気による対流がないか少ない(空気の対流による放熱が期待できない)閉鎖された空間内に設置される場合であっても、LED発光源からの熱を放射主体で効率的に放熱できる、車載LEDランプ用ヒートシンクを提供することができる。言い換えると、具体的には後述する通り、3次元方向のいずれの方向においても、材料のムダがなく、空間占有率が低い割りに熱の放射効率が高い、放射主体の放熱性を有する車載LEDランプ用ヒートシンクを提供することができる。
また、本発明によれば、これらの効果を、ヒートシンクの形状、構造、特に、放熱フィンの形状、構造を複雑化させず、放熱フィンの数を多くせずに達成できる。それどころか、逆に、放熱フィンの形状、構造を単純化し、放熱フィンの数を少なくすることによって達成できる。
更に、本発明によれば、種々の素材材料や製造方法あるいは製造工程を選択することができ(選択肢が広がり)、安価でつくりやすいヒートシンクを提供することができる。例えば、素材材料としては、アルミニウム(純アルミニウム)やアルミニウム合金、銅(純銅)や銅合金、鋼板、樹脂、セラミックなどの種々の素材材料や、種々の製造方法あるいは製造工程を選択することができる。そして、これらのいずれの材料や製法によっても、LED素子取付面に設置されたLED素子から伝導される熱の、3次元のいずれの方向へも、放射による高い放熱効率が得られる。すなわち、その設置、使用箇所が、閉鎖された空気による対流がない又は少ない(空気の対流による放熱がほとんど期待できない))空間においても、LED発光源からの熱を効率的に放射することができる。
また、本発明では、ヒートシンクの前記基板と前記放熱フィンとが一体に形成されているため、前記基板と前記放熱フィンの互いの面同士が連続しており、これらの面あるいは材料による熱伝導の経路が連続して形成されている。このため、前記従来技術のような熱伝導の経路を分断するスリットなどの障害が無く、ヒートシンク内での熱伝導の経路が分断されることが無く、ヒートシンクを構成する各部までLED素子からの熱が伝達される。したがって、ヒートシンクの極めて高い放熱性が確保される。
本発明ヒートシンクの一態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 従来のヒートシンクの一態様を示す斜視図である。 従来のヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 比較のためのヒートシンクの一態様を示す斜視図である。
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1〜7に、本発明のLED照明用ヒートシンクの実施形態を各々斜視図で示す。
ヒートシンクの基本構造:
先ず、図1〜7における、本発明のLED照明用ヒートシンク1の共通する基本構造を説明する。これら図1〜7では、本発明のLED照明用ヒートシンク1は、共通して、LED素子を取りつける平板状の基板2を有している。この基板2は、各図のY方向(上下方向)側に表裏2つの面を各々有し、これらの面は各図のX、Z方向に延在している。この平板状の基板2は、これら表裏2つの面のいずれか一方の面にLED素子を取り付けて支持しており、図1〜7では、便宜的に各図の上側の面をLED素子9の取付面3とし、その平面の中央部に取り付けている。そして、各図の下側の他方の面を、これも便宜的に裏面4としている。
更に、基板2の表裏面3、4は、いずれかあるいは両方の面に直交して(面の延在方向=各図のX、Z方向に直交して)、各図のY方向(上下方向)に張り出して延在する、平板状の放熱フィン10〜13を有する。これら平板状の放熱フィン10〜13は、基板2の表裏面3、4に外方に向かう形で立設されているが、必ずしも図1〜7のように基板2の表裏面3、4に90度の角度で平板状の放熱側面が直交する必要は無い。例えば、放熱側面が90度未満や90度を超える角度で、基板2の表裏面3、4に対して傾斜して外方に向かって立設しても良い。ただ、いずれの場合でも、これら平板状の放熱フィン10〜13は、基板2と、材料的に一体かつ連続して形成されてなる。すなわち、これら平板状の放熱フィン10〜13の少なくとも平板状の各表裏面は、基板2の面3、4と、途切れることなく連続して形成されている。
このため、LED素子9からの熱が、基板2のLED素子取付側の面(表面)3を介して、裏面4や、各放熱フィンの周囲の側面や板厚方向の面へ連続して伝熱される連続伝熱面を形成している。また、これら連続伝熱面から連続して熱を放射する連続放熱面も形成されている。
なお、基板2の形状につき、図1〜7では、矩形(四角形)の平板状乃至平面形状を例示している。ただ、この基板2の形状は、LED照明用ヒートシンクの用途に応じて、円形、三角形、多角形、不定形などの平面形状、あるいは全体が円筒形、角筒形や段差を有するなどの3次元形状などが適宜選択できる。
放熱フィンの特徴:
以上説明した本発明のLED照明用ヒートシンク1の基本構造自体は、前記図8、9に例示した従来のヒートシンクの構造と、一見すれば大差無いように見える。しかし、その平板状の放熱フィン10〜13の配置の仕方に、車載照明用のハウジングの狭い空間内乃至閉鎖空間内で必要とされる、放射による放熱を主体とするための工夫がある点が大きく異なる。
先ず、本発明のLED照明用ヒートシンク1は、前記ヒートシンクの基本構造を前提として、平板状の放熱フィン10〜13を、好ましくは基板2の二つの面3、4に各々設けられた合計で2〜8枚の枚数、基板2の面3、4と連続してかつ一体に、互いに間隔をあけて形成している。
そして、これら放熱フィン10〜13のうち、平行な状態を含めて、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数が、基板2の二つの面3、4に直交する任意の断面において2枚以下であるものとしている。すなわち、基板2の二つの面3、4に直交する任意の方向の断面で切断した、ヒートシンク1のいずれの断面においても2枚以下としている。
放熱フィン延在方向の規定の意味:
ここで、本発明でいう「互いに同じ方向に向いて延在する」とは、平行な状態を当然含むものの、厳密な意味での平行だけの意味ではなく、放熱フィン同士の互いの平板状側面の延在方向の角度が多少違っていても良い。本発明では、ヒートシンクの3次元方向のいずれの方向においても、放熱フィン同士の過度な重なり合いを無くして、材料のムダがなく、熱の放射効率が高い性能を得ることを目的としている。したがって、この目的や効果を阻害しない範囲で、放熱フィン同士の互いの平板状側面の延在方向の角度が多少違っていても、それは互いに同じ方向に向いて延在すると見なすことができる。放熱フィン同士の互いの平板状側面の延在方向の角度が多少違っていても、あるいは厳密に平行であってその角度が違っていなくても、図8〜9のように、本発明で規制すべき、同じ方向に放熱フィン同士が向いて互いに重なり合うことには、大差がないからである。
この角度の違いの目安につき、放熱フィン同士の互いの平板状側面の延在方向のなす角度が30度以下であれば、放熱フィン同士が互いに同じ方向に向いて延在すると見なす。逆に、放熱フィン同士の互いの平板状側面の延在方向のなす角度が30度を超えていれば、放熱フィン同士が互いに同じ方向に向いて延在するとは見なさない。
後述する図1〜7では、2枚の放熱フィン同士がLED素子9を挟んで、互いに同じ方向に向いて延在する態様として互いに平行に並び、LED素子9を中心とした矩形状に四周囲を取り囲み、隣り合う放熱フィン同士が互いに直交(直角に交差)した配置としている。
また、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数を、「基板2の二つの面3、4に直交する任意の断面において(この方向の断面で切断したヒートシンクのいずれの断面においても)2枚以下」と規定するのは、三次元空間内のある方向に対して、フィン同士が過度に重なりあうことを防止するためである。なお、後述するように、1枚のフィンであっても、L字状あるいはコの字状のような、異なる方向に延在する平板状の放熱面(放熱側面)を複数有する場合がある。平板状のフィンだけでなく、このような延在方向や形状が異なる複数の放熱面を有する形状のフィンに対しても、例えば平面形状がL字状あるいはコの字状を形成する角直線区間がそれぞれ単一のフィンとみなして、同一方向での枚数(重なり具合)をみる。このような見方によって、基板の表裏いずれかの面に直交する任意の断面において、同じ向きに延在するフィンの枚数が2枚以下とすることにより、放熱フィン同士あるいは放熱フィンの放熱側面同士が向いて互いに重なり合うことを避けることが出来る。すなわち、前記規定は、同じフィンの放熱面であるかどうかにかかわらず、放熱フィンの放熱面(放熱側面)の枚数をフィンの枚数と見なして、基板2の二つの面3、4の位置に関わらず、過度な重なり合いを避けて、前記2枚以下の規定とするためである。
この点で、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数を、前記規定と違う表現として、仮に「基板2のいずれの面3、4においても2枚以下」と規定した場合には、放熱フィンの絶対的な枚数を規定することとなる。このため、L字状あるいはコの字状のような放熱フィンの異なる方向の放熱面をフィンの枚数と見なせず、基板2の二つの面3、4の位置によっては、過度な重なり合いが生じる可能性がある。したがって、前記「基板2の二つの面3、4に直交する任意の断面において(この方向の断面で切断したヒートシンクのいずれの断面においても)2枚以下」と規定とした。
この平板状の放熱フィン10〜13の形状につき、図1〜7では、全体形状や平板状側面が矩形(四角形)の形状を例示しているが、この矩形に限らない平面形状や3次元形状が選択できる。例えば、平板状の放熱面(放熱側面)を、異なる方向(例えば90度以上)に複数延在させる場合として、隣接する放熱フィン10、11同士、あるいは12、13が一体となったようなL字状、隣接する放熱フィン10、11、10同士、あるいは12、13、12が一体となったようなコの字状であっても良い。製造できるならば、これら平板状の放熱面(放熱側面)だけでなく、円弧状や曲線状の放熱面(放熱側面)あるいは全体形状を有していても良い。また、外方へ向かう板厚断面の形状や厚みが高さ位置でL字状や階段状に異なるようにしても良い。更に、放熱面を円形、三角形、多角形、不定形などの面形状とすることも適宜選択できる。
以下に、図1〜7の本発明の具体的な実施形態を説明するが、その中で、本発明の平板状の放熱フィン10〜13の枚数や配置の規定の意義を説明する。すなわち、平板状の放熱フィン10〜13の枚数を好ましくは合計で2〜8枚とする点の意義についても説明する。また、これら放熱フィン10〜13のうち、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数を、基板2のいずれの面3、4に直交する任意の方向の断面で切断した、ヒートシンク1のいずれの断面においても2枚以下としている意義についても説明する。
図1:
図1の平板状の放熱フィン10、11は、基板2の、LED素子9を支持したLED素子取付面3側に合計4枚、基板2の面3と、その平板状の各側面が一体かつ連続して設けられている。他方の裏面4側には放熱フィンは設けられておらず、平板状の裏面4のみ存在する。
そして、これらLED素子取付面3側に設けられた放熱フィン10、11が、LED素子9を間に挟んで対称的に2枚ずつ、図の左右側の放熱フィン10、10同士、および図の上下側の放熱フィン11、11同士、互いに同じ方向に向いて延在する態様として、互いに平行に並んで設けられている。すなわち、互いに対向する平板状の放熱フィン10、10同士が、また11、11同士が、LED素子取付面3である表面側に、LED素子9を中間に挟む位置に形成されている。そして、これら放熱フィン10、11のうち、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数が、基板2の面3、4に直交する任意の断面においても(この方向の断面で切断したヒートシンク1のいずれの断面においても)2枚としている。
また、LED素子9を間に挟んだ(LED素子9を中心とした)矩形状四周囲を、放熱フィン10、11が、隣り合う放熱フィン同士が互いに直交(直角に交差)して、形成、配置されて取り囲み、熱の放射率が大きな放熱フィン10、11の各平板状側面がX方向、Z方向に各々向いている。そして、基板2の、熱の放射率が大きなLED素子取付面3と他方の裏面4がY方向を向いている。
この他、基板2の四周囲の板厚(厚み)方向の各面5、6、7、8(5は図の左側、6は図の下側、7は図の右側、8は図の上側)も、前記各面よりも面積的には比較的小さいが、X、Zの各方向への各方向へ向いており、これらの方向への熱の放射面となる。これは、各放熱フィン10、11の板厚(厚み)方向の各面(上面、両端部面)も同様で、前記平板状側面よりも面積的には比較的小さいが、面の数は多く、上面、両端部面とも、X、Y、Zの各方向へ各々合計で4面ずつ向いており、これらの方向への熱の放射面となる。
したがって、放熱フィン10、11の平面上側面の中で,LED素子9が取り付けられる側の互いに向かい合う対をなす2面では放射面が互いに重なり合うことになるものの、これらX、Y、Zの3次元方向のいずれの方向においても、放熱フィンの放熱面が過度に重複することが無く、材料のムダがない。このため、前記した、LED素子9からの熱が基板2の取付面3を介して、裏面4や、各放熱フィンの周囲の側面や板厚方向の面へ連続して伝熱される連続伝熱面の形成や、これら連続伝熱面から連続して熱を放射する連続放熱面の形成効果との相乗効果で、高い熱放射効率が得られる。
放熱フィンの枚数:
互いに同じ方向に向いて延在する放熱フィンの枚数を、更に減らして、基板2の面3、4に直交する任意の断面においても、好ましい下限である2枚だけ設ける場合には、図1の左右側の放熱フィン10、10のいずれかまたは両方、図の上下側の放熱フィン11、11のいずれかまたは両方の、2枚のみを残して、他の放熱フィンを除く形にする。この場合、図1の左右側の放熱フィン10、10同士を残してもよく、図1の上下側の放熱フィン11、11同士を残してもよく、放熱フィン10、11のどちらか片方ずつを残しても良い。
これに対して、平板状の放熱フィンの枚数が多くなった場合には、X、Y、Zの3次元方向のいずれかの方向において、放熱フィンの放熱面が重複することとなり、材料のムダが生じ、空間占有率が高い割りに、熱の放射効率(放熱効率)が低くなる。したがって、設ける放熱フィンの枚数を、基板2の表裏二つの面3、4に各々設けられた枚数の合計で8枚以下、好ましくは2〜8枚の範囲とする。但し、図1〜7において、同じ放熱フィン10〜13を、各々そのまま、放熱側面の延在方向で、単にいくつかにあるいは細かく、分離、分割しただけのような態様の場合には、同じ放熱フィン1枚とみなす。
この平板状の放熱フィンの合計枚数が多くなった場合の問題は、図10の比較例のように、互いに同じ方向に向いて(平行に)延在するフィンの枚数が、基板2の表裏二つの面3、4に直交する任意の断面において3枚以上(基板2の表裏二つの面3、4に直交する任意の方向の断面で切断したヒートシンク1のいずれかの断面においても3枚以上)と、多すぎる場合も同様に生じる。図10の比較例では、基板2の両方の表裏面3、4において、互いに平行な方向に延在するフィンの枚数が4枚ずつ存在する。これでは、図8、9の従来例の多数平行に並ぶ放熱フィンと同じとなって、X、Y、Zの3次元方向のいずれかの方向において、放熱フィンの放熱面が重複して、材料のムダが生じ、空間占有率が高い割りに熱の放射効率が低くなる。
図2:
図2の平板状の放熱フィンは、図1のような基板2のLED素子取付面(表面)3の片側だけでなく、更に、基板2の他方の裏面4側にも放熱フィンを設けた形態を示している。具体的には、図1の基板2のLED素子取付面3の片側に4枚設けた平板状の放熱フィン10、11に加えて、更に、他方の裏面4側にも、LED素子取付面3と対照に、放熱フィン12、13を2枚ずつ4枚、合計で8枚の枚数の好ましい上限だけ設けている。
これら裏面4側に設けられた放熱フィン12、13は、前記基板2のLED素子取付面3の側に4枚設けた平板状の放熱フィン10、11と全く同様で、かつ図の上下方向で対称な配置をしている。すなわち、LED素子9を間に挟んで対称的に2枚ずつ、図の左右側の放熱フィン12、12同士、および図の上下側の放熱フィン13、13同士、互いに同じ方向に向いて延在する態様として、互いに平行に並んで設けられている。すなわち、裏面4側でも、互いに対向する平板状の放熱フィン12、12同士が、また13、13同士が、LED素子取付面3である表面側の平板状の放熱フィン10、10同士や11、11同士と同様に、裏面側のLED素子9取り付け位置に相当する位置を中間に挟む位置に形成されている。言い換えると、平板状の放熱フィンが基板2の表裏の両方の面に、LED素子9を中間に挟む位置に形成されている。そして、これら放熱フィン12、13のうち、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数が、基板2の面4に直交する任意の断面においても(この方向の断面で切断したヒートシンク1のいずれの断面においても)2枚としている。
このような、裏面4のLED素子9の取り付け対応位置を中心とした矩形状四周囲を放熱フィン12、13が、隣り合う放熱フィン同士が互いに直交(直角に交差)した形で取り囲み、熱の放射率が大きな放熱フィン12、13の各平板状側面がX方向、Z方向に各々向いている。そして、基板2の、熱の放射率が大きなLED素子取付面3と他方の裏面4がY方向を向いている。
この他、基板2の四周囲の板厚方向の各面5、6、7、8や、前記基板2のLED素子取付面3の側に4枚設けた平板状の放熱フィン10、11の板厚方向の各面(上面、両端部面)だけでなく、裏面4側の各放熱フィン12、13の板厚方向の各面(下面、両端部面)も熱の放射面となる。これら各放熱フィンの板厚方向の各面は面積的には比較的小さいが、上下面、両端部面とも、面の数は図1の2倍になり、X、Y、Zの各方向へ各々合計で8面ずつ向いており、これらの方向への熱の放射面となる。
したがって、図2の場合も、これらX、Y、Zの3次元方向のいずれの方向においても、特に放熱フィンの放熱面が重複することが無く、材料のムダがなく、空間占有率が低い割りに、熱の高い放射効率が得られる。
図3、4、5:
図3、4、5の平板状の放熱フィンは、枚数が上限である図2の場合から、基板2のLED素子取付面3の片側、あるいは基板2の他方の裏面4側の、いずれかの放熱フィンを省いた実施形態を示している。
図3は、図2の放熱フィンの配置に対して、基板2のLED素子取付面3側を、放熱フィン11の2枚のうち図の下側の1枚を省いた3枚としている。そして、他方の裏面4側も、図の上下方向での非対称な放熱フィンの配置として、放熱フィン12の2枚のうち図の左側の1枚を省いた3枚とし、合計で6枚の放熱フィンを設けている。
図4は、図2の放熱フィンの配置に対して、基板2のLED素子取付面3側を、図の上下側の放熱フィン11、11の2枚を省いた、図の左右側の放熱フィン10、10の2枚のみとしている。そして、他方の裏面4側も、図の上下方向での対称な放熱フィンの配置を維持して、図の上下側の放熱フィン13、13の2枚を省いた、図の左右側の放熱フィン12、12の2枚のみとし、合計で4枚の放熱フィンを設けている。
図5は、図2の放熱フィンの配置に対して、基板2のLED素子取付面3側を、図の上下側の放熱フィン11、11の2枚を省いた、図の左右側の放熱フィン10、10の2枚のみとしている点は図4と同じである。そして、図の上下方向での非対称な放熱フィンの配置として、他方の裏面4側を、図の左右側の放熱フィン12、12の2枚を省いた、図の上下側の放熱フィン13、13の2枚のみとし、合計で4枚の放熱フィンを設けている。
図6、7:
図6、7に示すLED照明用ヒートシンク1は、例えばアルミニウムなどの、一定の板厚を有する金属薄板から、基板2(面3、4)、平板状の放熱フィン10〜12を一体に成形してなる実施形態を示している。
この場合、平板状の放熱フィン10〜12は、基板2の端部側から、それぞれの面の延在方向であるZ方向(図の上下方向)に向かって折り曲げ加工されて、材料的に一体に形成される。図6はフィン10、10、11、11が互いに向き合う形に、図の上方側に折り曲げられている。図7はフィン11、11が互いに向き合う形に図の上方側に、フィン10、10が互いに向き合う形に図の下方側に、折り曲げられている。そして、これら平板状の放熱フィン10〜12の配置や枚数は、図6は図1の場合と、図7は図5の場合と同じである。但し、放熱フィン10、11が基板2の端部を折り曲げてできているゆえに、基板2の端部に各々位置している配置構造は異なる。
放熱の原理、作用:
このような本発明のヒートシンク1を、空気の対流のない空間に設置してLED照明を行う場合の放熱の原理(作用)について説明する。LED素子取付面3に装着されたLED素子9を発光させると、これに伴ってLED素子9の発する熱(熱流束)Qが、基板2のLED素子取付面3に、LED素子9の底部の装着部(図示せず)を通じて伝導される。これに引き続き,LED素子取付面3に伝導された熱Qは、取付面3側の放熱フィン10、11だけでなく、裏面4や、この裏面4側の放熱フィン12、13にも、前記した各放熱面に連続して速やかに(遅滞無く)、しかもほぼ等しく高いレベルで伝達(伝導)される。このため、これらフインの放熱表面からの対流、そして特に放射による放熱が等しく一定レベル以上で行われ、放熱効率を高めることができる。
前記本発明の規定の通り、放熱フィン10〜13は、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数が、基板2の面3、4に直交する任意の断面においても2枚以下とされ、同じ方向に過度に重なり合ってはいない。したがって、前記伝達された熱Qは、X、Y、Zの3次元方向に各々向くとともに、基板2の取付面3や裏面4、放熱フィン10〜13の前記各放熱面の表面などから、周囲の閉鎖空間(放熱空間)に各々速やかで効率的に放射される。したがって、LED素子9の発する熱は3次元のX、Y、Zのいずれの方向へも、放熱量が一定以上の高い放射効率で放熱される。これは、本発明のヒートシンク1が、放熱フィン10〜13の枚数が少ない割には、そして、その放熱の効率が放射によって支配される空気対流の少ない、照明具内の閉鎖された放熱空間においても、X、Y、Zの方向のどの方向に対する各投影面積も大きいからである。本発明のヒートシンク1は、放熱フィン10〜13の枚数が少ない簡単な構造でありながら、放熱単位面積当たりの放熱効率が良いという優れた特性を有する。
車載照明用のハウジングの狭い空間内乃至閉鎖空間内で必要とされる、放射による放熱の場合には、図1〜図10の左下あるいは右下に表示したX、Y、Z軸方向(3次元方向)での投影面積の大きさがその効率を左右することになり、この投影面積が大きいほど、熱の放射効率が向上することになる。
この点、図8〜図10の従来例あるいは比較例のヒートシンクHは、Y方向の投影面積は、基板部30の平面とフィン部40の上側の平面との合計となるので、フィン部40同士の重なりがないので、材料のムダがなく、投影面積が大きい。しかし、Z方向の投影面積は、基板部30の側面とフィン部40の側面との合計となり、櫛歯状となり空間が多いため、基板部30の長さとフィン部40の高さを掛けた総面積の50%に満たない小さな面積となる。また、X方向の投影面積は、基板部30の正面とフィン部40の正面の合計となり、フィン部30が例えば4枚もあるにもかかわらず、これらが重複して1枚と同じ投影面積であり、材料のムダが多く、放熱面積当りの熱の放射効率が低い。すなわち、X方向においては、多数のフィンが重複して空間を占有しているが、この空間占有率が高い割には投影面積が小さく、熱の放射効率が低い。更には、このX方向フィンの枚数が過剰で、この過剰なフィンのために材料のムダも大きく、重量が重くなる問題もある。
言い換えると、図8〜図10の従来例あるいは比較例のヒートシンクHは、X、Y、Z軸方向(3次元方向)のいずれかの方向の熱の放射効率が必ず低くなる。この結果、3次元方向のいずれの方向の熱の放射効率を高めることができないので、総合的な熱の放射効率が低くなる。また、前記したX方向などでフィンの枚数が過剰となって材料のムダも大きい。すなわち、これら従来技術に共通するのは、ヒートシンクの三次元のいずれの方向においても、材料のムダがなく、空間占有率が低い割りに、熱の放射効率が高いヒートシンクとはできなかったいう点である。
ちなみに、この点は、前記特許文献5も同様であって、多数配列されたコの字状のひしゃく部分の放熱部が重複する方向では、空間占有率が高い割に、熱の放射効率が低く、3次元の3つの方向の総合的な熱の放射効率からすると、特にX方向の材料のムダが多い。また、前記スリット状の開口部の幅には、ヒートシンクの大きさ自体や前記放熱部の側の面積を確保するための大きな制約があって、必然的に狭幅となるため、閉鎖された空間内に適用される場合、空気の対流による放熱効率の向上も、実際に期待するほどには発揮されない。
本発明ヒートシンクは、周囲の放熱空間が閉鎖されて容積が小さく空気の対流がほとんどないような使用(設置)状態で、空気の対流による放熱がほとんど期待できない使用(設置)環境で最適である。このような使用環境では、放熱のためには、放射による放熱を中心とする必要があり、フィンなどの放熱面表面積の増加によって空気の対流を主たる放熱性能とする、前記従来のヒートシンク構造では、この放射による放熱が不十分となり、全体として効率的な放熱が達成できない。これに対して、本発明ヒートシンクは、前記放熱側面などの放熱面からの熱の放射による放熱が主体であり、空気の対流による放熱がほとんど期待できない使用(設置)環境に最適なヒートシンクと言える。
しかも、LED素子取り付け面3と放熱フィンを含めた各放熱面が、その間に接合面を介さない一体構造であるため、別個に製作されたこれら両者を接合する場合に発生するような接触熱抵抗が生じない。このため、LED素子取り付け面3と各放熱面の間の熱伝導が容易で、結果としてヒートシンク全体の放熱性能が著しく高くなる。また、ヒートシンク1の構造が、放熱フィンが3次元のX、Y、Zのいずれの方向へも向いている構造ゆえに剛性が高い。このため、車載照明等において振動を受けるような用途であっても、特段の補強部材等を用いることなく、その形状を保つことができ、メンテナンスフリーや高寿命化を達成できる。
実施形態の共通事項:
以上説明した、基板2の取付面3や裏面4、放熱フィン10〜13の各放熱面に、ヒートシンク1の用途や取り付け部位に応じて、部品取付け用の空間やスリットあるいは部分形状などが、これら各面の一部に、これらの面を切り欠く加工や、凹凸あるいは段差などを設ける三次元の成形加工によって設けられても良い。更には、放熱側面は、部品取付け等の必要に応じて、各面の一部が省略あるいは形状が変更されていても良い。
本発明のヒートシンク1は、優れた放熱効果を、ヒートシンクの形状、構造、特に、放熱フィンの形状、構造を複雑化させず、放熱フィンの数を多くせず、逆に、構造を単純化し、放熱フィンの数を少なくすることによって達成できる。この結果、種々の素材材料や製造方法あるいは製造工程を選択することができ、安価でつくりやすいヒートシンクを提供することができる。素材、材料は、例えば、アルミニウム(純アルミニウム)やアルミニウム合金、銅(純銅)や銅合金、鋼板、樹脂、セラミックなどの種々の素材材料や、板を素材とする絞り加工、折り曲げ加工、ダイキャストや鋳造、鍛造、押出などの製造方法あるいは製造工程を選択することができる。
(アルミニウム)
ただ、ヒートシンク1としての必要特性である、強度、剛性、軽量化、耐食性、熱伝達性、熱放熱性、加工性などを兼備する素材としては、アルミニウム(純アルミニウム)やアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム(純アルミニウム)やアルミニウム合金は、ヒートシンクに求められる熱伝導特性と放熱特性が特に大きく、AA乃至JIS規格に規定される1000系の純アルミニウムが好ましい。
基板2、放熱フィン10〜13の板厚(厚み)、あるいは素材が金属薄板の場合の板厚(厚み)は、ヒートシンクの軽量化や、必要強度や剛性および絞り加工性(成形性)を考慮すると、0.4mm〜4mmの範囲から選択することが好ましい。この板厚が薄すぎると、ヒートシンクの必要強度や剛性あるいは加工性(成形性)が確保できない。一方、この板厚が厚すぎると、ヒートシンクの軽量化が犠牲になる。
(放熱面の表面放射率)
本発明のヒートシンクが高い放熱性を得るためには、前記金属薄板の表面放射率εは0.6以上であることが好ましい。このため、素材金属薄板の全表面に、絞り加工前に放熱率が高い、黒色、グレー、白色などの塗料のプレコート処理(塗装皮膜)を施しても良い。あるいは絞り加工後に、放射率が高いこれら塗料のアフターコート処理(塗装皮膜)を施しても良い。これによって、ヒートシンクとしての、放射による伝達熱量を増大することができる。このプレコート処理は、絞り加工前に予め素材金属薄板に施せば、絞り加工における潤滑剤の役割も果たす。
この放射率εとは、実際の物体の熱放射の理論値(理想的な熱放射体である黒体の熱放射)に対する割合であって、実際の測定は、特開2002−234460号公報に記載された方法でもよく、市販のポータブル放射率測定装置によって測定してもよい。
(車載ランプへの装着)
車載LEDランプなどへの本発明ヒートシンクの装着は、これまで汎用されているヒートシンクの装着と同様に行うことができ、この点が利点でもある。通常、車載LEDランプ(車両用灯具)は、光源としてのLED素子が実装されたLED基板、LEDからの光を光照射方向前方に向かって反射するリフレクタ、これらのLED基板及びリフレクタを包囲するハウジング、ハウジングの開放した前端を閉鎖する透明材料から成るアウターレンズ、LED基板に熱的に接触して配置されたヒートシンクなどを含んでいる。前記リフレクタは、金属や樹脂材料などから形成されていて、LED基板上のLED付近に焦点を有する放物面状の反射面を備えている。ここで、本発明のヒートシンクは、前記LED基板あるいはLED基板に熱的に接触して配置されたヒートシンクとして用いられる。この場合でも、車載LEDランプとして、本発明ヒートシンクは、従来のヒートシンクのような空気に熱伝達された空気の対流による放熱ではなく、熱の放射による放熱が主体である点が大きく異なる。
前記図6、図2の各発明例、前記図8、9の従来例や図10の比較例の各形状のヒートシンクを各々実際に製造し、LED素子を装着して、電流を加え、発光させた上で、LED素子の温度を測定した。この結果を表1に示す。
前記図2の発明例、前記図8、9、10の従来例や比較例の各形状のヒートシンクは、素材のJISの1100系アルミニウムの押出棒材から切削加工などの機械加工により製造した。前記図6の発明例のヒートシンクのみは、プレス成形にてJISの1100系アルミニウム冷延板の端部を放熱フィンに折り曲げ加工して製造した。
各例とも共通して、基板の矩形形状の大きさは100mm(Z方向)×100mm(X方向)×板厚2mm、放熱フィンの矩形形状は70mm(平板状側面のZ方向の長さ)×30mm(平板状側面のY方向の高さ)×板厚2mmとした。発明例の互いに平行な放熱フィン同士、左右側の10と10、上下側の11と11の間隔は80mm以上とした(LED素子中心からの距離は35mm以上)。従来例、比較例の隣り合う放熱フィン同士の間隔は10mmとした。また、各例とも共通して、表面には、市販の黒色のカチオン系樹脂皮膜を電着塗装した。このときの表面放射率は、宇宙航空研究開発機構が開発した市販のポータブル放射率測定装置で測定すると各例とも基板2と放熱フィン10〜13の各放熱面はいずれも共通して同じ0.86であった。
各例とも共通して、基板市販のLED素子を装着した上で、直流電源より、3.7V、0.85Aの電流を加えてLED素子を発光させた。この際、LED素子の温度を熱電対でモニタしながら、車載LEDランプの空気の対流の無い閉空間を模擬した300mm×300mm×300mmの木製の筒体内にヒートシンクを密閉して置き、20℃とした室内雰囲気中で発光させた。そして、一定時間経過後に上昇あるいは下降せずに定常状態となった温度を計測した。計測は各例とも5回行い、その平均温度を求めて評価した。
表1に示す通り、前記図6、図2に相当する発明例1、2は、車載LEDランプの空気の対流の無い閉空間の中でも、定常時のLED素子温度は、素子の発光効率が低下しない許容温度が例示した前記100℃以下の、42℃以下の極めて低温に保持できており、熱の放射による優れた放熱性能(冷却性能)を有することが確認できた。ちなみに、フィンの枚数が、好ましい上限の8枚と多い図2の発明例2の方が、フィンの枚数が4枚の図6の発明例2よりも、当然ながら放熱能が優れるが、重量は重くなり、放熱効率の点では大差ない。
一方、前記図8、9に相当する従来例1、2や、前記図10に相当する比較例3のヒートシンクは、定常時のLED素子温度は、許容温度100℃以下ではあるが、発明例よりも高温となっている。この結果、車載LEDランプの空気の対流の無い閉空間の中では、熱の放射による放熱性能(冷却性能)が、発明例よりも劣ることが確認できた。なお、これら一連の試験は、実際の車に搭載時に想定されるエンジンや熱交換器、各種の電気機器からの入熱、直射日光による入熱などが考慮されていない。このため、LED素子温度は、実際の車載LED(実車搭載LED)でのLED素子温度よりも低めに出ていると考えられる。ただ、これら一連の試験は、ヒートシンクの性能比較としては十分な精度と再現性とを有する。
以上の事実から、本発明ヒートシンクの特に放熱フィンの枚数と配置との規定の臨界的な意義が裏づけられる。
以上、本発明ヒートシンクは、前記放熱側面などの放熱面からの熱の放射による放熱が主体であり、空気対流がほとんどない(空気の対流による放熱がほとんど期待できない)狭い使用空間(使用、設置環境)に最適なヒートシンクである。このため、車載LEDランプなど車両用照明灯具向け放熱部品に使用することができる。
1:ヒートシンク、2:基板、3:基板のLED素子取付面、4:基板の裏面、5、6、7、8:基板の板厚方向面、9:LED素子、10、11、12、13:放熱フィン

Claims (2)

  1. LED素子を表裏いずれかの面に取り付けた基板に対し、平板状の放熱フィンがこの基板の表裏いずれかあるいは両方の面に一体に形成されており、前記放熱フィンは前記基板の表裏いずれかの面から外方に向かって立設するとともに互いに間隔をあけて形成されており、かつ、前記放熱フィンが、前記基板の表裏いずれかの面あるいは表裏両方の面に、前記LED素子を中間に挟む位置に形成され、これらの放熱フィンの、互いに同じ方向に向いて延在するフィンの枚数が、前記基板の表裏いずれかの面に直交する任意の断面において2枚以下であり、かつ、前記放熱フィンが前記LED素子を取り付けた側の前記基板のいずれかの面に2枚以上形成されるとともに、前記放熱フィンが前記基板の両方の面の合計で4〜8枚形成されており、自動車のヘッドライトに用いられることを特徴とするLED照明用ヒートシンク。
  2. 前記ヒートシンクが熱伝導率が120W/(m・K)以上であるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる請求項に記載のLED照明用ヒートシンク。
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