JP5901235B2 - ドライフィルムレジスト工程用感光性樹脂積層体 - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1、2には、ベースフィルムを構成する基材フィルムの一方の面に、中密度ポリエチレンを押し出しラミネート法によって15μmの厚みで積層して、離型層を設け、基材フィルムの他の面に感光性樹脂組成物層を設ける方法が開示されている。しかし、中密度ポリエチレンからなる離型層は厚く、消費するポリエチレンの量が多くてコスト高であり、積層体ロールも大きく、重くなりハンドリング性が低下し、その後の作業性も低下する。さらには、廃棄物の量も多くなり、廃棄に関するコストも増大する。
また、特許文献1〜3には、ベースフィルムを構成する基材フィルムの一方の面に、有機溶剤に溶解したポリエチレンイミンアルキル変性体を0.1μmの厚みで塗布して、離型層を設け、基材フィルムの他の面に感光性樹脂組成物層を設ける方法が開示されている。しかし、ポリエチレンイミンアルキル変性体からなる離型層は、剥離強度が高すぎる上、温度変化に対する剥離強度の安定性も十分ではないなどの問題があった。
(1)基材フィルムの一方の表面に感光性樹脂組成物層が積層された構造を有する、ドライフィルムレジスト工程で用いられる感光性樹脂積層体であって、
基材フィルムの他方の表面に離型層が積層され、
離型層が酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを含有し、
酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性成分1〜10質量%と(メタ)アクリル酸エステル成分0.5〜40質量%とを含有し、
架橋剤が、カルボジイミド化合物および/またはオキサゾリン化合物を含有し、カルボジイミド化合物および/またはオキサゾリン化合物の含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
(2)基材フィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする(1)に記載の感光性樹脂積層体。
(3)離型層におけるシリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類および界面活性剤の合計含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1質量部以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の感光性樹脂積層体。
(4)離型層面に、アクリル系粘着剤を用いた粘着材料を、室温で貼り合わせて測定したときの離型層と粘着材料との間の剥離強度(熱圧着処理無し)と、室温で貼り合わせた後、70℃、20時間、2kPa荷重で圧着処理してから測定したときの剥離強度(熱圧着
処理後)との比(離型層剥離強度比=剥離強度(熱圧着処理後)/剥離強度(熱圧着処理無し))が1.2以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
また、本発明のベースフィルムの離型層は、感光性樹脂組成物層との剥離特性、特に熱安定性が向上しており、輸送時や保管時および加工時に熱にさらされても、ブロッキングなどの不具合を生じて使用不能となることがなく、生産性向上、コスト削減に寄与する。
また離型層は、有機溶剤を使用せずに形成することができるので、ベースフィルム生産時の環境汚染がない。
本発明のベースフィルムは、感光性樹脂積層体を構成するフィルムであり、基材フィルムと離型層とを有し、基材フィルムの一方の表面に離型層が積層されてなるものである。また、本発明の感光性樹脂積層体は、基材フィルムのもう一方の表面(離型層が積層された面の反対面)に、感光性樹脂組成物層が積層された構造を有している。
中でも、寸法安定性、耐熱性、機械的性能に優れ、かつ、離型層との接着性に優れたポリステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムの具体例として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリ乳酸やこれらの共重合体からなるフィルムが挙げられる。中でも、コストと性能からポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材フィルムは、寸法安定性の点から、少なくとも一方向に延伸したフィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがさらに好ましい。
基材フィルムは、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。
基材フィルムは、離型層との接着性を良くするために、離型層を積層する表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等を施したものでもよい。
基材フィルムの厚みは、通常、5〜50μmであり、さらに好ましくは10〜40μm、最も好ましくは15〜30μmである。
酸変性成分の量が少なすぎる場合は、基材フィルムとの十分な接着性が得られないことがあり、感光性樹脂組成物層を汚染する可能性がある。さらに、この酸変性ポリオレフィン樹脂を、後述する水性分散化するのが困難になる傾向がある。一方、酸変性成分の量が多すぎる場合は、感光性樹脂組成物層との剥離性が低下する。
酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が挙げられる。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、樹脂の分散安定性の面から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂の0.5〜40質量%であることが必要であり、基材フィルムとの良好な接着性を持たせるために、1〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、ベースフィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の、反応性2重結合を有する化合物が挙げられる。
ベースフィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂および架橋剤を含有する離型層形成用塗工液を、基材フィルム上に塗工したのち乾燥して離型層を形成する方法によって、工業的に簡便に製造することができる。
またポリビニルアルコールを含有させる場合には、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとの混合物の分散液又は溶液に、架橋剤の分散液または溶液を添加して混合する方法が挙げられる。ポリビニルアルコールの分散液または溶液を用いる場合、その溶質濃度は特に制限されるものではない。しかし、取り扱いやすさの点から、5〜10質量%が好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールを一緒に液状媒体中に添加した後、架橋剤の分散液または溶液を添加すればよい。
他の成分を添加する場合は、上記製造方法における任意の段階で添加を行うことができる。
水性媒体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような粒径は国際公開WO02/055598号に記載の製法により達成可能である。
基材フィルムに塗工液を塗布し、乾燥して得られるベースフィルムは、ロール状に一旦巻き取られる。ベースフィルムロールは、離型層の剥離性が経時変化しないように、エージングすることが好ましい。
乾燥時間は5秒〜5分であることが好ましく、10秒〜1分であることがより好ましい。乾燥時間が5秒未満では、離型層の架橋反応が十分に進行しないため、感光性樹脂組成物層との密着性が高くなり、ベースフィルムに感光性樹脂組成物層が付着したりして好ましくない。乾燥時間が5分を超えるようにするためには、乾燥工程におけるフィルムの送り速度を極端に遅くする必要があり、経済的ではない。
本発明の感光性樹脂積層体を構成する感光性樹脂組成物層としては、従来からのフォトレジスト層を用いることができる。通常、DFR用のフォトレジスト層としてはネガ型レジストが用いられ、主として現像液に溶解または膨潤する熱可塑性樹脂と感光性材料からなる。このような感光性樹脂組成物層は一般にアルカリ水溶性を有するものであり、DFR工程において露光された部分が現像によって回路(画像)を形成し、かつ未露光部が現像液によって溶解除去される。
熱可塑性樹脂としてはこれらを単体でまたは2種類以上の混合物を用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は通常、熱可塑性樹脂と感光性材料の合計量100質量部に対して0.1〜10質量部である。
可塑剤は、当該技術分野で一般に使われる量であって感光性樹脂組成物の望ましい性能を阻害しない量で用いることができる。
保存安定剤は、当該技術分野で一般に使われる量であって感光性樹脂組成物の望ましい性能を阻害しない量で用いることができる。
これらの界面活性剤の添加量は、水現像性、相溶性、インキ溶剤の膨潤性等で適宜決められる。この添加量が少なすぎると、現像性が悪くなり、多すぎると、相溶性、溶剤膨潤性の面で性能が悪くなる。一般的に、熱可塑性樹脂と感光性材料との合計量100質量部に対して0.1〜10質量部である。
感光性樹脂組成物層を作成するには、例えば、前記の感光性樹脂組成物を構成する各成分を、水または有機溶剤に溶解し、十分に混合して均質な溶液とした後、ベースフィルムの離型層積層面の反対面である基材フィルム表面上に、従来の方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、キスコート法、キスリバースコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法、含浸法などによって塗布した後、溶剤を蒸発除去して、該ベースフィルム上に厚さ1〜1000μmの感光性樹脂組成物層を形成する方法を用いることができる。
あるいは感光性樹脂組成物の溶剤を留去したものをベースフィルム上にニップロール等により加熱圧着してベースフィルム上に感光性樹脂組成物層を形成する方法も用いることができる。
さらに、感光性樹脂組成物を構成する各成分をニーダー、バンバリミキサー等で十分に混合したものをベースフィルム上にプレス成形して感光性樹脂組成物層を形成する方法や、その他キャスト成形、押出し成形等により感光性樹脂組成物層を形成する方法等も用いることができる。
感光性樹脂組成物層はベースフィルム上でさらに直接成形して成形と同時に接着することもできるし、接着剤を用いてベースフィルム上に接着してもよい。
ベースフィルムと感光性樹脂組成物層との間には接着層以外にアンチハレーション層を設けることも有利である。
以下、本発明の感光性樹脂積層体を用いて回路基板を作製する方法について説明する。
現像液はアルカリ水溶液および/または水溶性有機溶剤の水溶液が使用される。
アルカリ水溶液を構成するアルカリ物質としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等が使用できる。
水溶性有機溶剤は後述の含有量で水と均一系を形成できる程度の水溶性を有していればよい。そのような水溶性有機溶剤として、例えば、エーテル類、およびアルコール類が使用できる。エーテル類の具体例として、例えば、オクチルフェノキシポリオキシエーテル等が挙げられる。アルコール類の具体例として、例えば、メタノール、エタノール等が挙げられる。
水溶液中のアルカリ物質または/および水溶性有機溶剤の含有量は、保護層および感光性樹脂組成物層未露光部が溶解・除去されれば特に制限されず、通常は水100質量部に対して0.1〜50質量部が適当である。
現像液には界面活性剤、消泡剤、分散剤、乳化剤、腐食抑制剤、腐敗防止剤、pH調整剤等が添加されてもよい。
1H−NMR分析装置(バリアン社製 GEMINI2000/300、300MHz)により求めた。オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。
樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線から融点を求めた。
JIS K7206に記載の方法で測定した。
JIS K6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n−ブタノール]を用い、水性分散体または水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱することで、固形分濃度を求めた。
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径を求めた。粒子径算出に用いた樹脂の屈折率は1.57とした。
離型層形成用塗工液の貯蔵安定性を下記のように評価した。○が好ましいが、△でも使用は可能である。×は操業上問題がある。
×;23℃で一週間以内にゲル化または増粘する。
△;23℃で一ヶ月以内にゲル化または増粘する。
○;23℃で一ヶ月以上変化なし。
離型層を形成したベースフィルムの全体の厚さを接触式膜厚計により測定し、その測定値から基材フィルムの厚さを減じて、求めた。
粘着材料として、巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)を用いて、これを得られたベースフィルムの離型層面に、ゴムロールで圧着(200g/cm)して、試料1とした。
また、試料1を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で20時間放置し、その後30分以上冷却して常温に戻して、試料2を得た。
これら試料1および2について、粘着テープとベースフィルム離型層との剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180℃、剥離速度は300mm/分とした。試料1の剥離強度(熱圧着処理無し)と、試料2の剥離強度(熱圧着処理後)との比、剥離強度(熱圧着処理後)/剥離強度(熱圧着処理無し)を離型層剥離強度比として求めた。
得られた感光性樹脂積層体のベースフィルムの離型層面と、感光性樹脂組成物層面とを重ね合わせ、上記(10)における試料2と同様の条件で熱圧着処理した後に、重ね合わせたベースフィルムの離型層面と感光性樹脂組成物層面とを剥がしたときの剥離の状態を評価した。○が望ましいが、△でも一応は実用上使用できる。
○;簡便に剥離できる。このとき、ベースフィルムの離型層面には感光性樹脂組成物層の付着がなく、また感光性樹脂組成物層面にもベースフィルムの離型層の付着がない。
△;剥離する速度と力に注意すれば、剥離の際に音を生じることなく剥離できる。このとき、剥離する速度と力に注意して剥離すれば、ベースフィルムの離型層面には感光性樹脂組成物層の付着がない。なお、感光性樹脂組成物層面にはわずかにベースフィルムの離型層の付着があってもよい。
×;剥離する速度と力に注意しても、剥離する際に音が生じ、きれいに剥離できない。このとき、ベースフィルムの離型層面に感光性樹脂組成物層の付着が認められるか、または、感光性樹脂組成物層面にベースフィルムの離型層の付着が認められる。
得られた感光性樹脂積層体をロール状に巻取り、40℃で3ヶ月、60℃で12時間それぞれ保管した後、巻き出してブロッキングの有無を確認した。
〔水性分散体E−1〕
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「ボンダイン LX−4110」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)、90.0gのIPA(和光純薬社製)、3.0gのDMEA(和光純薬社製)および147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、30分間撹拌した。その後、水性分散体から、DMEAおよびIPAを除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒留去した。その後、空冷にて回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂として「ボンダイン HX−8210」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)を用い、水性分散体E−1の製造の際と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂として「ボンダイン HX−8290」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)を用い、水性分散体E−1の製造の際と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「ボンダイン AX−8390」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)、100.0gのNPA(和光純薬社製)、2.5gのDMEA(和光純薬社製)および137.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を120℃に保って、20分間撹拌した。その後、水性分散体から、DMEAおよびNPAを除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温85℃で溶媒留去した。その後、空冷にて回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「プリマコール5980I」(ダウケミカル社製、アクリル酸変性ポリオレフィン樹脂)、16.8gのDMEA(和光純薬社製)、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、30分間撹拌した。その後、水性分散体から、DMEAを除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒留去した。その後、空冷にて回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)した。これによって、微白濁の水性分散体E−5を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、30.0gのレクスパールEAA「A210K」(日本ポリエチレン社製、アクリル酸変性ポリエチレン樹脂)、105.0gのNPA(和光純薬社製)、7.8gのDMEA(和光純薬社製)、および157.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとした。そして系内温度を170℃に保って30分間撹拌した。その後、水性分散体から、DMEAおよびNPAを除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒留去した。その後、空冷にて回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)した。これによって、微白濁の水性分散体E−6を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
これに対し、水性分散体E−5に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「プリマコール5980I」は、酸変性成分が10質量%を超えており、本発明に適合しないものであった。また、水性分散体E−6に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「レクスパールEAA A210K」は、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有しておらず、本発明に適合しないものであった。
<離型層形成用塗工液の調製>
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、固形分が50質量部となる量のポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製「VC−10」、重合度1,000)を10質量%の水溶液として添加したものと、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分が5質量部となる量のオキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製、「エポクロス WS−700」、固形分濃度25質量%)とを混合して、塗工液を得た。
ポリエステルチップ(相対粘度1.38(20℃、フェノール/テトラクロロエタン=50/50、0.5g/dl))を280℃で溶融押出しし、Tダイ法−静電ピニング方式でキャスティングドラムに密着急冷し、厚さ210μmの未延伸フィルムを成形した。続いてこの未延伸フィルムを90℃に加熱した縦延伸ロールで3.8倍に延伸した。この縦延伸したフィルムの片面に、リバースクラビアコーターを用いて、上記にて調製した塗工液を塗布し、58℃オーブンで乾燥した後、横延伸テンターで120℃で4.8倍延伸した。次いで230℃で10秒間熱処理したのち、冷却し巻き取った。得られたベースフィルムの厚さは20μmであり、離型層の厚さはおよそ0.3μmであった。
上記にて調製したベースフィルムの離型層が形成された面の反対面に、熱可塑性樹脂としてのメタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレートからなる共重合ポリマーと、感光性材料としてのトリメチロールプロパントリアクリレートおよびポリエチレングリコール(数平均分子量600)ジメタクリレートと、光重合開始剤としてのベンゾフェノンおよびジメチルアミノベンゾフェノンと、安定剤としてのハイドロキノンと、着色剤としてのメチルバイオレットとからなる感光性樹脂組成物(フォトレジスト)を暗室にて20μmの厚みになるように塗布した。
実施例1における、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに、E−2〜E−6を用いた。それ以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
架橋剤とポリビニルアルコールの添加量を、表2に記載の量に変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
離型層形成用塗工液の塗布条件、ポリビニルアルコールの添加量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
実施例1におけるオキサゾリン化合物水性溶液に代えて、カルボジイミド化合物の水分散体(日清紡社製、「カルボジライト E−02」、固形分濃度40質量%)を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対してカルボジイミド化合物固形分が5質量部となるように混合した以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
実施例1におけるオキサゾリン化合物水性溶液に代えて、カルボジイミド化合物の水性溶液(日清紡社製、「カルボジライト V−04」、固形分濃度40質量%)を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対してカルボジイミド化合物固形分が30質量部となるように混合した以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
実施例1において、架橋剤として、オキサゾリン系化合物の水性溶液(日本触媒社製、「エポクロス WS−700」、固形分濃度25質量%)とカルボジイミド化合物の水分散体(日清紡社製、「カルボジライト E−02」、固形分濃度40質量%)とを併用して、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、オキサゾリン系化合物固形分が5質量部、カルボジイミド系化合物固形分が5質量部となるように混合した。さらに、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、ポリビニルアルコール固形分が0質量部となるように変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
実施例1において、架橋剤として、オキサゾリン系化合物の水性溶液(日本触媒社製、「エポクロス WS−700」、固形分濃度25質量%)とカルボジイミド化合物の水性溶液(日清紡社製、「カルボジライト V−04」、固形分濃度40質量%)とを併用して、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、オキサゾリン系化合物固形分が5質量部、カルボジイミド系化合物固形分が5質量部となるように混合した。さらに、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、ポリビニルアルコール固形分が30質量部となるように変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
ポリビニルアルコールを日本酢ビ・ポバール社製「JC−40」(重合度4,000)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
実施例1における、架橋剤(オキサゾリン化合物の水性溶液「WS−700」)の代わりに、イソシアネート化合物の水性溶液(第一工業製薬製、「E−37」、固形分濃度40質量%)を用いた。それ以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
離型層形成用塗工液を塗布しない以外は実施例1と同様の操作を行って、ベースフィルムおよび感光性樹脂積層体を得た。
比較例1で得られた積層体は、離型層において本発明で規定する変性ポリオレフィン以外の樹脂を用いたために、ベースフィルムの離型層と感光性樹脂組成物層間の剥離性が劣る傾向にあるだけでなく、長期経過後ブロッキングが生じた。
比較例2で得られた積層体は、離型層において本発明で規定する変性ポリオレフィン以外の樹脂を用いたために、ベースフィルムの離型層と感光性樹脂組成物層との剥離強度の熱安定性が低く、ブロッキングが生じた。
比較例3で得られた積層体は、離型層に架橋剤を配合しなかったために、感光性樹脂組成物層との剥離性が経時によって変化し、また高温処理によって変化しやすく、ブロッキングが生じた。
比較例4で得られた積層体は、離型層に配合した架橋剤の量が多すぎたために感光性樹脂積層体をロール状にした際にブロッキングが生じた。
比較例5では、酸変性ポリオレフィン樹脂に対する架橋剤やポリビニルアルコールの量が多いために、離型層形成用塗工液の安定性が悪く、増粘する傾向が見られた。また、得られた積層体は、ベースフィルムの離型層と感光性樹脂組成物層間の剥離性が劣る傾向にあるだけでなく、長期経過後ブロッキングが生じた。
比較例6で得られた積層体は、離型層において本発明で規定する架橋剤以外の架橋剤を用いたために、ベースフィルムの離型層と感光性樹脂組成物層との剥離強度の熱安定性が低く、ブロッキングが生じた。
比較例7で得られた積層体は、ベースフィルムに離型層を積層しなかったために、ブロッキングが生じた。
Claims (4)
- 基材フィルムの一方の表面に感光性樹脂組成物層が積層された構造を有する、ドライフィルムレジスト工程で用いられる感光性樹脂積層体であって、
基材フィルムの他方の表面に離型層が積層され、
離型層が酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを含有し、
酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性成分1〜10質量%と(メタ)アクリル酸エステル成分0.5〜40質量%とを含有し、
架橋剤が、カルボジイミド化合物および/またはオキサゾリン化合物を含有し、カルボジイミド化合物および/またはオキサゾリン化合物の含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とする感光性樹脂積層体。 - 基材フィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
- 離型層におけるシリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類および界面活性剤の合計含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1質量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂積層体。
- 離型層面に、アクリル系粘着剤を用いた粘着材料を、室温で貼り合わせて測定したときの離型層と粘着材料との間の剥離強度(熱圧着処理無し)と、室温で貼り合わせた後、70℃、20時間、2kPa荷重で圧着処理してから測定したときの剥離強度(熱圧着処理後)との比(離型層剥離強度比=剥離強度(熱圧着処理後)/剥離強度(熱圧着処理無し))が1.2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
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