JP5900855B2 - 赤外線反射積層体及びその製造方法 - Google Patents

赤外線反射積層体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、光透過性に優れたダイヤモンド状炭素(DLC)薄膜を用いた赤外線反射積層体の製造方法に関するものである。
具体的には、DLC薄膜と銀系金属膜と組み合わせた積層体であり、熱線を反射して可視光を透過する窓材として利用可能な赤外線反射積層体の効率的な製造方法に関するものである。
近年、DLC薄膜による耐磨耗性や包装材料としてのガスバリア性の効果が注目されてきた。DLC薄膜の製造方法としては化学気相成長(CVD)法を用いることが多く、水素を含むことで可視光線透過率が高くなり、透明な光透過性の光学薄膜としての用途も期待されている。
ところで、DLC薄膜は可視光域における短波長側の光の吸収があるため、膜厚が厚くなるほど茶色の色調となる傾向があった。このように、DLC薄膜の光線透過率は、長波長側に較べて短波長側で低い傾向があるため、短波長側の光線透過率を向上させることが課題であった。
この課題に対して、高透明化する試みもなされて一定の成果が見られている。スパッタ法において、スパッタガスに窒素を用い、DLC薄膜中に窒素を混入させ、後から焼成すると高透明化する方法(特許文献1)、減圧CVD法において非常に遅い成膜速度で膜を形成する方法などである(非特許文献1)。
この様に、従来の方法においては、高光線透過率のDLC薄膜を得るとしても、スパッタ法や減圧CVD法を用いるため、真空引きの時間や遅い成膜速度により、工業的な生産を行う場合には生産性の問題が生じていた。
ところで、熱線を反射して可視光を透過する窓材としての赤外線反射積層体は、銀系金属膜による反射膜と高屈折率の透明層を積層して作られていた。図2では透明基体上に銀系金属膜による反射膜、続いて透明層を形成したものを例示している。また、図3のように透明基体上に透明層、銀系金属膜による反射膜、透明層を形成したものもある。高屈折率透明層としては酸化インジウムスズ(ITO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物層が用いられる。製造方法としては主にスパッタ法が用いられていた。銀系金属膜による反射膜の成膜は、銀系金属膜の膜厚が薄いこと、銀系金属材料のスパッタ成膜速度が早いことなどから比較的生産性は良いが、金属酸化物のスパッタ法による成膜速度は低く、生産性が低かった。また、金属酸化物層から遊離した酸素が銀系反射膜を酸化して信頼性を低くするという問題点もあった。これに対して、DLC薄膜を金属酸化物の代わりにして酸化による劣化を防ぐ事も試みられたが(非特許文献2)、グラファイトターゲットをスパッタする場合の成膜速度が著しく遅く、生産性を大きく下げていた。また、可視光線透過率が低く、特に短波長側の光の吸収があるために茶色の色調となりやすく、窓材としては適切でなかった。
特開2004-315854号公報
S. Yamamoto et al., Diamond & Related Materials 14 (2005) 1112-1115 K. Chiba et al., Applied Surface Science 246 (2005) 48-51
本発明の課題は、DLC薄膜と銀系金属膜と組み合わせることにより熱線を反射して可視光を効率よく透過できる窓材として利用可能な赤外線反射積層体を提供するためのDLC薄膜を製造するに際し、DLC薄膜の短波長における光吸収を減少させ、茶色系の色調になる事を避けながら、かつ量産性を高く安価に生産する製造方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、透明基体上に、銀系金属膜および波長400nmにおける光の吸収係数が3/μm以下であり、厚さが20〜100nmの範囲にあるダイヤモンド状炭素膜がこの順に積層された赤外線反射積層体を提供する。
また、透明基体上に、ダイヤモンド状炭素薄膜、銀系金属膜およびダイヤモンド状炭素薄膜がこの順に積層され、それぞれのダイヤモンド状炭素薄膜の波長400nmにおける光の吸収係数が3/μm以下であり、厚さが20〜100nmの範囲にあることを特徴とする赤外線反射積層体を提供する。
さらに、このためのDLC薄膜を生産するための方法として、常圧の雰囲気下において、対向する電極間に電圧を印加して低温プラズマを発生させ、窒素により1〜40体積%の濃度に希釈されたアセチレンを分解することで反応生成物を堆積させる方法により、波長400nmにおける光の吸収係数が3/μm以下であるDLC薄膜を積層することを特徴とする赤外線反射積層体の製造方法を見出した。
本発明により、高い生産性を維持しつつ高い可視光線透過率を持つDLC薄膜を製造する事が可能になる。
また、本発明の製造方法によるDLC薄膜を銀系金属膜の反射膜と組み合わせれば、高い赤外線反射率を維持したまま、可視光において高い光線透過率を持ち、特に短波長側の高い光線透過率により茶色系の着色のない赤外線反射積層体を高い生産性で製造することができる。
本発明に用いられる製造装置の一例である。 本発明を適用した赤外線反射積層体の構成である。 本発明を適用した赤外線反射積層体の他の構成である。
図1には本発明に用いる常圧CVDの装置の一例を示す。装置は常圧の大気中に置かれており、基体は外部から連続した空間である対向電極1、2の間に入っていく。対向電極1は接地されており、対向電極2には高周波電圧が印加されて、誘電体3を通して対向電極1との間に高電界を形成し、低温プラズマを生じる。雰囲気ガス供給配管5より供給されたアセチレンと窒素の混合気体である雰囲気ガスはプラズマ化して、対向電極1、2に間に設置した基体4の上にDLC薄膜を堆積させる。
雰囲気ガス供給管5と窒素供給配管9から流入し、排気配管8に吸入される気体の流れが周辺の空気が放電部に流入するのを防ぐエアカーテンを構成し、対向電極1、2間の空間において雰囲気ガスの純度を保っている。
なお、DLC薄膜とは、炭素原子の混成軌道であるsp結合とsp結合が混在する炭素薄膜を言う。その割合としては、ラマン分光のピーク面積比でsp結合が20〜85%の範囲とされている(「DLC成膜とその応用」名古屋大学大学院工学研究科 大竹尚登 ウェブバージョン2008)。
雰囲気ガスとして、アセチレンを含む窒素との混合ガスを用いる。電極1と2の間に交流あるいは矩形パルス電圧を印加してプラズマ7を発生させてアセチレンを分解する。
具体的には、雰囲気ガスがアセチレンを1〜40体積%の比率で含有しているものである。この場合、残りの99〜60体積%の比率は、窒素成分が占めることとなる。
アセチレンは、分子中の炭素比率が炭化水素の中でも高く、被膜形成速度が高いため、雰囲気ガスにアセチレンが原料ガス成分として含有されることにより、被膜形成効率が向上する。雰囲気ガスにおけるアセチレンガスの濃度としては、低いほど短波長側の光線透過率が高くなるが、同時に被膜形成効率が下がるため、1体積%を下限とする。また逆にアセチレンの濃度が高いほど短波長側の光線透過率は下がるので、40体積%を上限とする。被膜形成速度と光線透過率のバランスからは、2〜15体積%が望ましい。
前記雰囲気ガスの希釈ガスは、窒素である。原料ガスの反応に影響を及ぼさないように化学的活性が低く、アーク放電を抑えて放電電圧を下げるガスなら使用可能であるが、特に窒素はこの様な条件を満たしている上に安価で、形成される被膜に粒子を発生させにくく、多孔質化を防止して均一被膜を形成するのに好適である。これらを考慮してさらに最適化のために、窒素には他のアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを30体積%以内で混合しても良い。
この様な雰囲気ガスの調整により、波長400nmにおける光の吸収係数を3/μm以下とでき、本願発明の目的とする赤外線反射積層体として用いる際のDLC薄膜の代表的な膜厚である波長400nmにおける光線透過率を、DLC薄膜単独で80%以上に保つことができる。波長400nmにおける光の吸収係数が3/μmを越えると、波長400nmにおける光線透過率が下がり、黄色みが急激に強くなるため、赤外線反射積層体として使用することができなくなる。
常圧とは、大気圧若しくはその近傍の圧力をいい、具体的には、絶対圧として50k〜150kPaの圧力範囲を指すものとする。この圧力範囲においては、真空容器および真空ポンプからなる大がかりな排気システムが不要である。また、大気圧中で成膜部から外部に向かう雰囲気ガスの流れにより成膜部分への外気の流入を防ぎ、雰囲気ガスの純度を維持することが可能となるため、複雑なシール機構を設けることなく、外部から連続的に成膜領域に基体を搬送でき、高い生産性が実現できる。また、常圧の高い分子密度を持つ事により、大量の雰囲気ガス分子が分解されて高い成膜速度が得られる。
低温プラズマとは、放電等により気体の一部が電離して電子のみがエネルギーの高い高温状態にあり、気体分子は室温と同等な状態をいう。常圧において低温プラズマを安定して発生させるには、一部の場所に放電が集中するアーク放電を防ぐ必要があり、雰囲気ガスの選択、すなわち窒素を主成分とする雰囲気ガスとすること、電極の少なくとも一方を誘電体覆うことが重要であり、さらには印加電圧の波形にも注意する必要がある。
電極部に誘電体を用いているので直流は使用せず、高周波を用いる。高周波電圧は、矩形波、正弦波または三角波の電圧波形を有することが好ましい。アーク放電の発生を防止するために、上記矩形波としては、具体的には、周波数2kHz〜20kHz、パルス幅2〜10μs、デューティ比(波形の半周期とパルス幅との時間の比)0.01〜0.2のパルス波であることが好ましい。一方、上記正弦波または三角波は、所定のパルス幅とデューティ比を有する断続的なパルス波であってもよく、また、連続波であってもよいが、無電界時にイオンと電子とが再結合することによるダストの発生を抑制しつつ放電を維持する観点から、周波数10kHz〜50kHzの連続波であることが好ましい。
図1において、基体4は対向電極の一方の電極側に置き、他方の電極に向いた側に膜を形成する。基体が厚い場合は、放電領域を狭めて放電を阻害しない様に、対向電極の間隔を広げて高電圧を印加すればよい。
本発明における基体材料としては、本発明の目的である透明性を活かすため、光線透過率の高い事が望ましい。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフテレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。この中で、強度、耐熱性も備えているポリエチレンテレフテレートなどポリエステル樹脂は適している。
また、無機材料としては、硼酸珪酸ガラス、ソーダライムガラスなど量産性を備えて薄板化可能なガラスが用いられる。
プラスチックフィルムの場合は、成膜時の熱負荷を低減するために、1回当たりの成膜膜厚を薄くしておき、複数回に分けて成膜して望む膜厚としても良い。ガラスなど無機材料においては、熱の問題は考慮せず成膜可能である。
本願発明のDLC薄膜の製造方法を、銀系金属膜の反射膜と組み合わせて可視光透過率の高い赤外線反射積層体を高い生産性にて製造することができる。銀系金属膜と高屈折率の透明膜との積層において、スパッタ法により作成した高屈折透明膜である金属酸化物のの代わりに、上記の方法で製造したDLC薄膜を使用すれば、製造工程の中で成膜速度の低いことが問題であった高屈折率透明膜の生産性が飛躍的に増大する。銀系金属膜は従来の技術のままのスパッタ法を用いて形成される。
すなわち、図2の構成の場合には、スパッタ法により透明基体14の上に銀系金属膜16を形成した後、本発明によるDLC薄膜15を形成する。銀系金属膜16がDLC膜15で覆われるため、信頼性に対しては有利であるが、要求される信頼性のレベルによっては形成の順は逆であっても良い。図3の構成においては、透明基体上14に本発明のDLC薄膜15を形成した後、スパッタ法により銀系金属膜16を形成し、その上に本発明によるDLC薄膜15を形成する。
さらに本発明の赤外線反射積層体は、これらDLC薄膜を積層した後に、通常のウェットコート手法により、アクリル系に代表されるハードコートによる保護層を必要に応じて積層しても良い。
銀系金属膜16の膜厚としては、遠赤外線反射能を有するためにある程度の領域で連続性を持つ必要があることから、5nm以上であることが好ましく、充分な遠赤外線反射能を有するためには、10nm以上がより好ましい。さらに、透明性の点から50nm以下が好ましく、より透明性を増すには、20nm以下がより好ましい。
銀系金属膜は純銀であっても良いが、化学的安定性を高める目的でAu、Pt、Pd、Cu、Bi、Ni、Nd、Mg、Zn、Alなどとの単独や2種以上との合金であっても良い。混入量としては、その効果と銀の反射率の低下とのバランスで決めればよいが、5%以下が望ましく、10%は超えないことが望ましい。
DLC薄膜15の膜厚は可視光域での光線透過率を向上させるために20〜100nmの範囲にあることが必要であり、30〜90nmがより好ましい。前述の、DLC薄膜により銀系金属膜を挟む構成においては、DLC薄膜のそれぞれの厚さが20〜100nmの範囲にあることが必要である。
これらの膜を形成するにあたって、透明基体14には予め付着特性や耐久性を改良するためのアンカーコートなどを形成しておいても良い。また、銀系金属膜16やDLC薄膜15形成後に保護コートやさらに光学特性を改良するための複数の銀系金属膜や透明膜を形成しても良い。銀系金属膜16の上下には化学的劣化を防ぐため、銀への酸素の到達を防ぐための金属膜、あるいはそれ自身が酸化することで酸素の透過を防ぐ犠牲層など、銀の反射特性を劣化させない程度の薄いTi、Sn、Zn、Al、Ni、Crなどの金属層を付加してもよい。
この製造方法により、可視光線の短波長側の吸収の少ないDLC薄膜による透明層が形成されるため、光線透過率が高く色調が茶色系に偏らない高品質の赤外線反射積層体が高い生産性で製造できる。
(条件1)
図1の装置を用いた。対向電極1、2の放電部面積は500cm(幅(図の奥行きに相当)500mm×長さ100mm)である。電極間の隙間は1.0mmとした。基体4には190×300mm、厚さ125μmのPETフィルム(東レ“ルミラー”T60)を用い、速度3.6m/minで電極1の上を通した。雰囲気ガスとして、アセチレン4体積%を含む窒素との混合ガスを雰囲気ガス供給配管5より供給して排気配管8より吸入した。電極1と2の間に電圧 15kV、幅3μsの矩形パルスを周波数30kHzで印加してプラズマ7を発生させてアセチレンを分解し、膜厚40nmのDLC薄膜を得た。膜厚は、エポキシ樹脂中に埋め込んで補強したサンプルを、ライカマイクロシステムズ社製ウルトラミクロトームUC−7により切断して露出させた断面を、走査式電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズS−4800)にて加速電圧を5kVとして測定した。電極の長さを送り速度で割って算出した成膜時間は約2秒であった。
分光光度計により測定した波長400nmでの光線透過率T、光線反射率R、基体の光線透過率T、同光線反射率R、DLC薄膜の厚さdより下記の近似的な式1、2により吸収係数aを求めた。
式1において、100%の入射光から光線反射率R(%)を除いたDLC薄膜に入射した光(100%−R)は、DLC膜の厚さd、吸収係数aによる吸収と、基体による吸収Aの結果、光線透過率T(%)となる。厳密には光線反射率R(%)は、DLC薄膜表面、DLC薄膜と基材界面、基材裏面とで多重に反射した光を含み、DLC薄膜表面からの反射以外はDLC膜やフィルムの吸収を受けるが、ここでは光線透過率の高い領域を対象とするので、式1による近似とした。フィルムによる吸収Aは式2の関係から、基材単独で測定した光線透過率TF、光線反射率RFの測定値より算出される。そして、成膜に要した時間とともに表1にまとめた。
測定器 島津製作所 分光光度計 MPC−3100PC
測定条件 波長範囲 380nm〜2500nm、サンプリングピッチ 1nm、スキャン速度 中速、絶対反射モード
Figure 0005900855
Figure 0005900855
(条件2、3)
条件1において、アセチレンの濃度を35体積%(条件2)、45体積%(条件3)とし、膜厚を合わせる様に送り速度を調整した以外はすべて実施例1と同じ条件とした。
波長400nmでの吸収係数はそれぞれ2.6/μmと3.4/μmとなった。成膜時間は実施例1と同様に短い。
(条件4)
DLC薄膜を作成する方法を以下のように変更した。
マグネトロンスパッタ装置のチャンバー中に基材フィルムをセットして1.5×10−4Paまで70分かけて真空引きした後、アルゴンガスに水素を4体積%導入したスパッタガスを流し0.3Paの圧力として、グラファイトターゲット(56mm×212mm×5mmt)を装着したカソードに直流電力200Wを印加して搬送速度0.1m/minにてDLC薄膜を成膜した。波長400nmでの吸収係数は4.3/μmと大きくなった上に、成膜時間が長く生産性を低くする条件である。
(実施例1)
アクリル系ハードコートを有するフィルムとして東レフィルム加工(株)製“タフトップ”C0T0(100μm厚)をスパッタ装置にセットして、到達圧力8×10−3Paまで真空引きした後、アルゴンガスを流し圧力0.5Paとした。Ag合金ターゲット(56mm×212mm×5mmt:1質量%Au含有)に直流電力210Wを印加して、搬送速度0.3m/minにて、非ハードコート面に厚さ14nmの銀系金属膜を形成した。
次に条件1の方法にて膜厚40nmのDLC薄膜を積層した。
続いて、アクリル系ハードコート剤としてJSR(株)製“オプスター”Z7535を希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度7.5質量%に希釈し、バーコーター(番手No.10)を用いて塗布し、80℃で3分乾燥した後、UV硬化(水銀ランプ使用、670mJ/cm)させた。ハードコート層の膜厚は0.6μmであった。
このように作成した赤外線反射積層体の分光光度計により測定した波長400nmでの光線透過率と2.5μmでの光線反射率を表1にまとめた。波長400nmでの光線透過率は59%とこの種の用途としては高い値となった。また2.5μmにおける光線反射率は80%と高い値となった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で銀系金属膜を形成した上に、条件2によるDLC薄膜を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて赤外線反射積層体を作成した。
(実施例3)
アクリル系ハードコートを有するフィルムとして東レフィルム加工(株)製“タフトップ”C0T0(100μm厚)の非ハードコート面に、条件1の方法にて膜厚40nmのDLC薄膜を得た。次に、スパッタ装置にセットして、到達圧力8×10−3Paまで真空引きした後、アルゴンガスを流し圧力0.5Paとした。Ag合金ターゲット(56mm×212mm×5mmt:1質量%Au含有)に直流電力210Wを印加して、搬送速度0.3m/minにて銀系金属膜を厚さ14nm形成した。
さらに条件1の方法にて膜厚40nmのDLC膜を得た。
続いて、アクリル系ハードコート剤としてJSR(株)製“オプスター”Z7535を希釈溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度7.5質量%に希釈し、バーコーター(番手No.10)を用いて塗布し、80℃で3分乾燥した後、UV硬化(水銀ランプ使用、670mJ/cm)させた。ハードコート層の膜厚は0.6μmであった。
分光光度計により測定した波長400nmでの光線透過率と2.5μmでの光線反射率を表1にまとめた。波長400nmでの光線透過率は55%とこの種の用途としては高い値となった。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で銀系金属膜を形成した上に、条件1によるDLC薄膜の2回の成膜を続けて行い、DLC薄膜を80nm形成した以外は、実施例1と同様の方法にて赤外線反射積層体を作成した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で銀系金属膜を形成した上に、条件4によりスパッタリングでDLC薄膜を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて赤外線反射積層体を作成した。
DLC薄膜の黄色みが強く、波長400nmでの光線透過率は31%と、低いものとなった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で銀系金属膜を形成した上に、条件3によりスパッタリングでDLC薄膜を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて赤外線反射積層体を作成した。
DLC薄膜の黄色みが強く、波長400nmでの光線透過率は43%と、不十分なものであった。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で銀系金属膜を形成した上に、条件1により、15m/minの基材搬送速度でDLC薄膜の成膜を行い、DLC薄膜を10nm形成した以外は、実施例1と同様の方法にて赤外線反射積層体を作成した。
波長400nmでの光線透過率は45%と、不十分なものであった。
(比較例4)
実施例1と同様の方法で銀系金属膜を形成した上に、条件1によるDLC薄膜の4回の成膜を続けて行い、DLC薄膜を160nm形成した以外は、実施例1と同様の方法にて赤外線反射積層体を作成した。
Figure 0005900855
1、2 対向電極
3 誘電体
4 基体
5 雰囲気ガス供給配管
6 雰囲気ガス
7 プラズマ化雰囲気ガス
8 排気配管
9 窒素供給配管
10 高周波電源
11 雰囲気ガス供給装置
12 窒素供給装置
13 ガス吸気装置
14 透明基体
15 DLC薄膜
16 銀系金属膜

Claims (1)

  1. 透明基体上に、銀系金属膜および波長400nmにおける光の吸収係数が3/μm以下であり、厚さが20〜100nmの範囲にあるダイヤモンド状炭素膜がこの順に積層された赤外線反射積層体、または、透明基体上に、ダイヤモンド状炭素薄膜、銀系金属膜およびダイヤモンド状炭素薄膜がこの順に積層され、それぞれのダイヤモンド状炭素薄膜の波長400nmにおける光の吸収係数が3/μm以下であり、厚さが20〜100nmの範囲にある赤外線反射積層体の製造方法であって、常圧の雰囲気下において、対向する電極間に電圧を印加して低温プラズマを発生させ、窒素により1〜40体積%の濃度に希釈されたアセチレンを分解することで反応生成物を堆積させる方法によりダイヤモンド状炭素膜を積層することを特徴とする赤外線反射積層体の製造方法
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