JP2012083686A - 透明断熱シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、従来の透明断熱シートの性能面及びコスト面での不十分さを克服して、良好な透過性と断熱性を併せ持つ透明断熱シートを、希少材料である高価な銀薄膜や酸化インジウム(ITO)薄膜を使用せずに、フィルム上での低温成膜を安定的に実現し、高性能な透明断熱シートを、安価に提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明による透明断熱シートは、プラスチックからなる透明な基体シート上に、導電性の極薄金属膜と、その上下に積層された透明金属酸窒化物からなるセラミック薄膜とで構成される多層薄膜を設けてなり、その極薄金属膜に近い側から外に向かってセラミック薄膜の屈折率が順次低くなるような積層膜で構成されることを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、住居家屋・ビルの建物や自動車等の窓に使用して、夏季においては窓から入射する太陽熱エネルギーを遮蔽することにより、冬季においては窓からの熱損失を防ぐことにより冷暖房負荷を軽減し、省エネルギーに寄与する透過断熱シートに関し、且つこのシートを低コストで供給可能ならしめる透明断熱ナノ積層薄膜の製造方法に関する。より詳細には太陽エネルギーの光波長選択性に優れ、可視光透過性、紫外線遮蔽性、赤外線遮蔽性を高度に実現する多機能プラスチックシートに関する。
従来、光選択透過性を有する透過断熱シートとしては、熱線反射フィルム、透明断熱フィルム等の名称で市販され、透明断熱積層体としての光学薄膜等多くの提案がなされている。透明断熱積層体は透明セラミック薄膜の多層積層体でも可能であるが、セラミック薄膜のみで高度な光選択性を求めると多くの層数を必要とするため、中間層として屈折率の大きな金属膜を間に挟み、セラミック薄膜と金属膜との組み合わせで透過断熱積層体を形成させるのが一般的である。
特許文献1には、その基本となる酸化チタン層/銀層/酸化チタン層の3層構成の透明断熱積層体(透明な熱反射鏡)が提案されている。(1976/5出願)
また、特許文献2には、ガラス基板上において、2層の銀層を透明誘電体の酸化インジウム層で挟んだ 酸化インジウム層/銀層/酸化インジウム層/銀層/酸化インジウム層の5層構成の透明断熱積層体が開示されている。(1989/1出願)
更に、特許文献3には、透明なプラスチックフィルム上に、酸化インジウム層/銀層/酸化インジウム層を、平行平板式箱型スパッタユニットを用いて、連続成膜することが提案されている。
米国特許第4,337,990号明細書 特許第2901676号公報 特許第4522320号公報
従来、提案されているこれらの透明断熱積層体やフィルム上の透明断熱シートにおいては、金属薄膜として反射率及び導電性が高い銀層が使用され、光補償層としての誘電体層として酸化インジウム層が使われているのが一般的である。
これらの提案に基づく透明断熱材や透明断熱シート等の製品も多く市販されているが、市販の透明断熱シートの採用は一部に留まっており、近年住環境等での省エネルギーが緊急の課題となっているにもかかわらず、住宅やビル、自動車等に広く採用されるに至っていない現状である。
これら従来の透明断熱シートの普及が進まない原因として、透明断熱積層体における性能面での不十分さと、断熱シートが広い面積で使用されるベース資材であるにもかかわらず、使用材料や製法面から価格が高価となっており、性能面、価格面共に不十分であることがあげられる。
従来のこれら断熱シートの価格を高価なものにしている要因として、その透明断熱積層体に多く使用される酸化インジウム層が、その出発材料であるインジウムがレアメタルであり、生産地も中国等に限られており、近年のフラットパネルディスプレイ等への採用による需要増加により、非常な価格高騰を呈している状況がある。このため、金属層として用いられている銀材料と共に、インジウムについても将来的に非常にコストアップの要因となっている。このような状況から、出発材料として銀やインジウムを使用せずに、安価に供給可能である材料を使用する透明断熱積層体が必要であり、それを安定的な量産工法として実現する製法開発が求められている。
また、性能面からは、透明断熱シートにおける、透明性と断熱性は相反する特性であり、十分な透明性即ち可視光透過率が70%以上(目標値としては80%以上)で、且つ、十分な断熱性能即ち赤外線反射率70%以上(目標値としては80%以上)を持つ透明断熱シートは存在していないのが実情である。
本発明は、かかる実情を鑑みてなされたものであり、良好な透過性と断熱性を併せ持つ透明断熱シートを、高価な銀薄膜や酸化インジウム(ITO)薄膜を使用せずに、フィルム上での低温成膜を安定的に実現し、高性能な透明断熱シートを、安価に提供することを目的とする。
導電性の金属膜は、膜厚を薄くすることにより光を透過するようになるが、膜表面での反射が大きいため、金属薄膜単独では十分な可視光透過率が得られない。本発明者らは、このような金属薄膜の膜表面での反射を抑えるために、比較的屈折率の高いセラミック薄膜で金属膜を挟み込むことにより、導電性を確保しながら可視光透過率を向上できることに着目して鋭意検討を重ねてきた。
その結果、導電性金属(たとえばCu)薄膜と、その上下に積層された金属窒化物、例えば窒化アルミニウム(AlN)からなるセラミック薄膜とで構成される積層膜により、導電性光選択透過シートが実現することを見出した。
特開2001−164382
そして今回発明者らは、プラスチックフィルム上に極薄金属膜や反応性スパッタ法のよるセラミック薄膜を成膜するため、通常のマグネトロンスパッタ法に比べ低温・低ダメージで成膜することが可能なスパッタ法である対向ターゲットスパッタ法(FTS法)を高性能化した低ダメージ反応性スパッタ法(以後New−MHV法という・特許文献5)を用いて、本発明を完成した。
特許第4473852号 公報
すなわち、本発明の透明断熱シートは、プラスチックからなる透明な基体シート上に、導電性の極薄金属膜と、その上下に積層された金属酸窒化物からなるセラミック薄膜とで構成される多層薄膜を設けてなり、その極薄金属膜に近い側から外に向かってセラミック薄膜の屈折率が順次低くなるような積層膜で構成されることを特徴とするものである。
以下に本発明の実施に関連する事項について説明する。
上記基体シートとしては、透光性の良好な各種の高分子フィルム及びシートを用いることができる。シートを構成する高分子は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)等が挙げられる。
該基体シートの透過率としては、波長550nmの可視光透過率で85%以上であることが好ましい。基体シートの厚みは、特に限定されないが、通常は5〜250μmのものが用いられる。
透明断熱シートに使用される金属薄膜は、光透過性を阻害しないように、一般に極薄膜と呼ばれる非常に薄い膜で構成される。詳細には、金属薄膜は、膜厚が1〜50nmである金属極薄膜であることが好ましい。膜厚が50nm以上では、高い光透過性を確保することが困難となり、また1nm以下では、膜形成が島状となり、光吸収が発生し、十分な導電性を得るのが困難になる。
透過率を高めるためには可視光域での透過率を、断熱性を高めるためには赤外光域での反射率をそれぞれ高めることが必要であるが、そのいずれにおいても光吸収が少ないほうが好ましい。光吸収の少ない金属としては、可視光域では銀(Ag)、アルミニウム(Al)が、赤外光域では銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)が好ましい。
透明断熱シートの使用される環境においては、電磁シールド性が要求される場合もあるが、その場合には上記金属薄膜は、透明断熱シートに高い導電性を付与するために、面抵抗値16Ω/sq以下の優れた導電性を有することが好ましい。更に、金属薄膜の面抵抗値は10Ω/sq以下であることがより好ましい。
該金属薄膜を構成する金属は、単一元素の金属でも、2種類以上の金属の合金でもよい。具体的には、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)等が挙げられ、その中でも、光吸収も少なく、低コストで比抵抗が小さいという観点から銅(Cu)が特に好ましい。
上記セラミック薄膜は、金属薄膜の表面での反射を抑えて良好な可視光透過率を得るために、屈折率が比較的高く透明なセラミック薄膜が必要とされる。詳細には、セラミック薄膜は、屈折率が1.4〜2.5であることが好ましい。屈折率が1.4未満では、金属薄膜の膜表面での反射を効果的に抑えることが困難であり、2.5を越えると、可視光透過率を十分に確保することが困難となる。
更に、今回の透過断熱シートにおいては、断熱性能を向上させるため、太陽エネルギーの中でエネルギー強度の特に高い近赤外線領域(780〜1200nm)を選択的に高反射する必要があるため、高透明で屈折率の異なるセラミック薄膜をナノオーダーで積層化して、薄膜干渉を利用することにより実現した。屈折率の異なる材料に光が照射されるとその境界においては反射が起きるが、膜面の表面で反射した光と薄膜の裏面で反射した光が重なり、両反射光の光路差が反射光の波長の1/4の光学的厚さ(屈折率×膜厚)に制御すると反射率は非常に高くなる。この薄膜干渉の原理を利用して、熱線といわれる赤外線の中でも高エネルギー域である近赤外線領域(780〜1200nm)の波長のみを選択的に高反射する積層膜を考案した。
可視光領域(380〜780nm)においては、高透過を維持し、低吸収、低反射であることが必要である。
優れた断熱特性即ち赤外線領域での高反射を実現するためには、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜を組み合わせることが重要で、屈折率の差は大きいほうが良い。透明性を持つセラミック薄膜の中での高屈折率薄膜としては、TiO(光波長550nmにおいて屈折率2.4)、Nb(屈折率2.1)、AlN(屈折率2.1)などがあり、低屈折率薄膜としては、SiO(屈折率1.5)、Al(屈折率1.6)などが挙げられる。このように異なる屈折率の薄膜を、先ほどの薄膜干渉により近赤外線領域で反射率を選択的に強める膜厚にコントロールすることで、選択的赤外線反射膜を作ることが可能となる。
上記の高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の組み合わせにおいて、AlN(屈折率2.1)とAl(屈折率1.6)は同一の出発材料で、反応性スパッタ法によれば、反応ガスを制御することで成膜できる。従来反応性スパッタ法によるセラミック薄膜は、反応性が十分行われないと透明性が悪く、光吸収が起こり、光学薄膜としての特性が得られにくい欠点があった。発明者らは、前述のNew−MHV法により、高密度プラズマによる低エネルギースパッタ法を確立し、反応性を十分高めることに成功した。そして、このNew−MHV法において、ターゲット材料をアルミニウム金属に固定し、反応ガスとして酸素ガス及び窒素ガスを供給し、それぞれの分圧を制御していくと、AlN薄膜、AlOxNy薄膜及びAl薄膜を連続して成膜することが可能であり、且つ成膜されたセラミック薄膜の屈折率を、2.1〜1.6まで制御可能であることを確認した。
このような、セラミック薄膜をプラスチックフィルム上に連続して形成するためには、低温・低ダメージで、十分な反応性が確保される反応性スパッタ法が必要であり、対向スパッタ法を高性能化したNew−MHV法により実現することができた。この低温・低ダメージ反応性スパッタ法New−MHV法によると、一般のマグネトロンスパッタ法に比べて極めて低エネルギー(−300V以下のスパッタ電圧)で成膜が可能で、金属極薄膜においては、欠陥が少なく、結晶性に優れた薄膜が得られ、金属薄膜の導電性と膜表面の平滑性を向上することができる。また反応性スパッタで成膜されるセラミック膜においては、高密度プラズマの下での十分な反応性が確保され、表面が平滑で屈折率の比較的大きな金属酸窒化薄膜を形成することができ、金属薄膜やセラミック薄膜の表面に凹凸損傷を与えることなく積層することができる。
図1は、本発明により作成される透明断熱シートの代表的な積層構造を説明する側断面図である。
図2は、本発明の透明断熱シートを製造するNew−MHV法の構成を示す説明図である。
図3は、図1に示す積層構造(実施例1に詳細記載)の透明断熱シートについての光透過率の波長依存性を示している。
図1に示すように、本発明による透明断熱積層体は、プラスチックの基体シート(1)上に積層した状態に形成されており、積層構成は金属薄膜(2)の上下両側をアルミニウム酸窒化薄膜(3,4,5)で挟み込んだ7層構造の多層膜となっている。即ち一番外側には、屈折率の比較的低い(屈折率1.6)酸化アルミニウム(Al)薄膜(3)を、光学的厚さ(屈折率×膜厚)が近赤外領域の波長(780〜1200nm)の中間点(1000nm)の1/4になるように膜厚を制御して成膜し、次に中間的屈折率(1.8〜1.9)の酸窒化アルミニウム(AlOxNy)薄膜(4)を、そして高屈折率の高い(2.1)の窒化アルミニウム(AlN)薄膜(5)を成膜する。その上に極薄金属膜(2)を成膜(膜厚10〜50nm)して、窒化アルミニウム薄膜(5)、酸窒化アルミニウム薄膜(4)、酸化アルミニウム薄膜(3)の順序で積層した7層構造の積層膜が形成される。
なお、このセラミック薄膜の積層構造は、中間の酸窒化アルミニウム薄膜のない5層構造の積層膜を形成してもよく、更には窒化アルミニウム薄膜、酸化アルミニウム薄膜の繰り返す多層構造も考えられる。最外層においては、透過光反射率を下げる意味からその下の層より屈折率が低いことが好ましいので、金属層側に低屈折率薄膜を形成すると、間に高屈折率膜を挟む必要が生まれるため、金属層側に高屈折率膜を形成する構成にすると、層数が少なくて済む。このため金属層の両側に高屈折率膜を形成し、順次外に向かって屈折率を低くする構成にしている。
またよく行われているが、基体シート(1)上にアンダーコート層を設けて、シートの保護膜とし、その上に積層膜を形成してもよい。また、上記積層膜最上層の上に別のトップコート層を設けて、特性向上や保護機能を持たせても良い。
これらの金属薄膜とセラミック薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法やスパッタ法等の物理的蒸着(PVD)法、及び化学的蒸着(CVD)法等を上げることができるが、より好ましくは、PVD法の一種である低エネルギースパッタ法である前述のNew−MHV法により、安定的にセラミック積層膜を形成することができる。
図2には、New−MHV法の概略説明図を示している。この装置においては、真空雰囲気内において(表示はしていない)、基体シート(1)に対して、ターゲット(11、12)を左右に相対向した位置に基体シート(1)に向かって開かれた状態で配しており、ターゲット背面のターゲット磁極(12、22)及びターゲットのそれぞれを囲むようにその周縁に沿って配置される筒状の永久磁石を備える補助磁極(13,23)との二重の強力磁極により高密度プラズマ(16)を形成させることができる。そして、対向ターゲットの基板反対面に配置されたスパッタガス供給口(14)と、基板近傍の両側に配置された反応ガス供給口(15、25)よりスパッタ用ガスが供給され、スパッタターゲット近傍では純金属(ターゲット材料)のスパッタが行われ、酸化、窒化等のプラズマ反応によるセラミック薄膜は、基板近傍で活性なスパッタ粒子が反応ガスと反応して形成されるようになっている。このため、ターゲット表面は酸化や窒化等のプラズマ反応に曝されることがなく、安定した反応性スパッタが持続する。
このような構成のターゲット構造のため、ターゲット磁極と補助磁極の二重磁極によって発生する強力なターゲット間磁場空間により、圧力の低い(真空度の高い)状態で、且つスパッタ電圧(放電電圧)を非常に低下させることができた。また、強力な二重磁極により、プラズマの閉じ込め効果、及び二次電子等の荷電粒子の閉じ込め効果がより良好に発揮され、低温・低ダメージの成膜が可能となっている。
このNew−MHVスパッタ装置を用いてセラミック薄膜を成膜する際には、セラミック薄膜を構成する金属酸窒化物の金属材料をターゲット(11,21)に用い、成膜しようとする基体シート(1)を保持体(表示はしていない)にセットし、真空チャンバーを所定の真空度まで真空排気を行い、スパッタガス、と反応ガスを所定量加えて、所定のスパッタパワーで所定時間スパッタして、所定の膜厚のセラミック薄膜が形成されることになる。金属薄膜を成膜する場合は、反応ガスは供給せずスパッタガスのみの供給によりスパッタを行うことになる。
発明の効果
このように本発明による透明断熱シートは、従来の製品で多用されている希少材料のインジウムや銀という高価な材料を使うことなく、金属薄膜としては銅(Cu)、セラミック薄膜としては、アルミニウム(Al)という卑近な単一のターゲット材料を使い、反応性スパッタ法により、屈折率の異なる透明なセラミック薄膜を、屈折率に応じてその膜厚をナノオーダーの厚みで制御することにより、透明性を維持しつつ、高い赤外線反射率を実現させたものである。具体的には、光の波長域で透過域から赤外域に変わる波長780nm近辺において、透過から反射への遷移が急峻で、効果的に透過性と断熱性を両立することを可能にした。そして高い可視光透過率により、採光性、眺望性、開放感を重視する居住用窓材として最適であり、可視光反射率が低く外界等の映り込みも少ない。また導電性があるため、電磁シールド効果も持っているという特徴がある。
またコスト面からも、インジウムや銀等の高価な材料を使うことなく、アルミニウムや銅金属といった一般的な安価な材料で実現しており、製造方法としても安定的に極薄金属膜やセラミック薄膜を形成することが可能なNew−MHV法を採用することにより、安価に高性能透明断熱シートを供給することを可能にした。
本発明により作成される透明断熱シートの代表的な積層構造を説明する側断面図である。 本発明の透明断熱シートを製造するNew−MHV法の構成を示す説明図である。 図1に示す積層構造(実施例1に詳細記載)の透明断熱シートについての光透過率の波長依存性を示している。
1 透明断熱シートの基体シート
2 極薄金属膜
3 窒化アルミニウム薄膜
4 酸窒化アルミニウム薄膜
5 窒化アルミニウム薄膜
11 ターゲット
12 ターゲット背面磁極
13 周辺補助磁極
14 スパッタガス供給口
15 反応ガス供給口
16 プラズマ領域
21 対向側ターゲット
22 対向側ターゲット背面磁極
23 対向側周辺補助磁極
25 対向側反応ガス供給口
最初に試験例として、各単層での成膜条件及びその成膜結果を記載し、その後それらを多層化した場合の実施例を記載する。
試験例1 銅薄膜の作成
基体シートとして50mm×50mm×50μmのPETフィルム(波長550nmの可視光透過率95%)を用いて、図2に示すNew−MHVスパッタ装置により該シート上に膜厚50、30nmのCu薄膜を形成した。
詳細には、Cuをターゲット(11,12)として、上記PETフィルムを脱脂、洗浄、乾燥後、基体シートを基板保持板にセットし、真空チャンバー内を10−5Pa以下に真空排気し、スパッタガスであるArガスを流量調節しながら供給して、真空チャンバーを所定の真空度0.3Paに設定し、スパッタ電力300Wを印加し、3分間のスパッタリングで、30nmの銅薄膜を形成した。得られたシートについて、波長550nmの可視光透過率を測定した結果を表1に示す。
試験例2 窒化アルミニウム薄膜の作成
試験例1と同じPETフィルムを用いて、図2に示すNew−MHVスパッタ装置により、該シート上に膜厚100nmの窒化アルミニウム(AlN)薄膜を形成した。
詳細には、アルミニウム(Al)をターゲット(11、21)として、真空チャンバー内を10−5Pa以下に真空排気し、スパッタガスであるArガスを所定流量加えていき、真空チャンバーを0.3Paに設定し、更には反応性ガスである窒素ガスを、0.15Paだけ混合して、スパッタ電力を300Wで10分間スパッタリングして、膜厚100nmのAlN薄膜を形成した。
得られたシートについて、波長550nmの可視光透過率と屈折率を測定した結果を表1に示す。
試験例3 酸窒化アルミニウム薄膜の作成
試験例2と同様に、PETフィルム上に図2に示すNew−MHVスパッタ装置により、該シート上に膜厚100nmの酸窒化アルミニウム(AlON)薄膜を形成した。
詳細には、アルミニウム(Al)をターゲット(11、21)として、真空チャンバー内を10−5Pa以下に真空排気し、スパッタガスであるArガスを所定流量加えていき、真空チャンバーを0.3Paに設定し、更には反応性ガスである窒素ガスを、8×10−2Pa及び酸素ガスを5×10−2Pa混合して、スパッタ電力を300Wで13分間スパッタリングして、膜厚100nmのAlON薄膜を形成した。
得られたシートについて、波長550nmの可視光透過率と屈折率を測定した結果を表1に示す。
試験例4 酸化アルミニウム薄膜の作成
試験例1と同様に、PETフィルム上に図2に示すNew−MHVスパンタ装置により、該シート上に膜厚100nmの酸化アルミニウム(Al)薄膜を形成した。
詳細には、アルミニウム(Al)をターゲット(11、21)として、真空チャンバー内を10−5Pa以下に真空排気し、スパッタガスであるArガスを所定流量加えていき、真空チャンバーを0.3Paに設定し、更には反応性ガスである酸素ガスを、0.10Pa混合して、スパッタ電力を300Wで15分間スパッタリングして、膜厚100nmのAl薄膜を形成した。
得られたシートについて、波長550nmの可視光透過率と屈折率を測定した結果を表1に示す。
Figure 2012083686
表1に示すように、New−MHVスパッタ法で成膜した薄膜は、欠陥が少なく,結晶性がよいと考えられ、表面の平滑性にも優れ、AlN,AlON,ALにおいて、それぞれ高い可視光透過率であり、窒素酸素分圧に応じて屈折率が変化していることが確認された。
実施例1
上記した試験例の方法と同様にNew−MHVスパッタ装置を用いて、PETフィルム上に、表2に示す膜厚で、
Al/AlON/AlN/Cu/AlN/AlON/Al
の7層構造の透明断熱シートを作成した。この積層体においては、中間の金属膜を挟んで、表面に向かって、屈折率が低くなるようになっており、表2の測定結果で示すように、近赤外線域での透過率は低く、反射率が高くなっていることが推定される。表2に、波長550nmの可視光透過率と波長800nmの近赤外域光透過率の測定結果を示す。
実施例2
実施例1の透明断熱シートは、可視光波長域から近赤外波長域に変わる700nm〜800nmの波長域で急峻な遷移特性を示し、極めて良好な透過断熱多層膜といえるが、全体で7層構造であり、より層数の少ないプロセスでの高性能化が求められる。そこで、実施例2として、セラミック薄膜の積層において、AlON薄膜を省いた、
Al/AlN/Cu/AlN/Al
の5層構造の透明断熱シートを、New−MHVスパッタ装置を用いて、上記した実施例1の方法と同様の方法により、PETフィルム上に、表2に示す膜厚で作成した。この5層構造透過断熱シートの波長550nmの可視光透過率と波長800nmの近赤外域光透過率の測定結果を表2に示す。
比較例1
金属薄膜を挟むセラミック薄膜として、単層の窒化アルミニウム(AlN)薄膜を使用した3層構造の場合について、実施例1及び実施例2と同様に、New−MHVスパッタ装置を用いて、PETフィルム上に、表2に示す膜厚で作成した。この5層構造透過断熱シートの波長550nmの可視光透過率と波長800nmの近赤外透過率の測定結果を表2に示す。
Figure 2012083686
表2に示すように、実施例1(7層)、実施例2(5層)、比較例1(3層)と層数を減らしていくと、可視光透過率はあまり変わらないが、近赤外線透過率が上がっており、セラミック薄膜の多層化により、近赤外域での熱線反射率が向上していることが分かる。
図3に、実施例1、実施例2及び比較例1における光透過率の波長依存性を示した。図に示すように、実施例1においては、波長550nmを中心とする可視光領域では概ね80%以上の透過率を示し、且つ赤外透過率では20%以下であり、実施例2においても赤外透過率は25%前後と断熱特性は若干低下するが、従来の3層構造品に比べると、断熱性は非常に向上していることが確認された。このことからアルミニウム酸窒化薄膜によるセラミック薄膜の積層数を増やすことにより、断熱特性を向上させることができることができており、高性能な透過断熱シートを実現している。
このように本発明によれば、インジュームや銀といった希少金属を使うことなく、銅、アルミニウムといった一般的な金属を使用して、優れた可視光透過率を維持しつつ、赤外線域での反射率を高めて、高性能な透明断熱シートを実現した。

Claims (4)

  1. プラスチックからなる透明な基体シート上に、導電性の金属薄膜とその上下に積層された金属酸窒化物からなるセラミックス薄膜とで構成される多層膜を設けてなり、その金属薄膜に近い側から表面に向かってセラミックス薄膜の屈折率が順次低くなるような多層膜で構成されることを特徴とする透明断熱シート。
  2. 上記透明断熱シートにおいて、積層されるセラミック薄膜が、アルミニウム酸窒化膜であって、導電性の金属膜に近いほうから、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化アルミニウムの順序で構成される、請求項1記載の透明断熱シート。
  3. 請求項1記載の導電性の金属薄膜が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金であり、上下に積層されるセラミック薄膜がアルミニウム、アルミニウム合金を反応性スパッタ法により成膜することにより構成され、セラミック薄膜が単一のターゲットを用いて反応ガスを制御することにより作成された、透明断熱シートとその製法。
  4. 請求項1記載の導電性金属薄膜が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金であって、その金属材料に微量(0.1〜3.0w%)の炭素分子を含有することを特徴とする透明断熱シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5110723B1 (ja) * 2012-03-28 2012-12-26 倉一 小川 透明断熱シート
WO2015011928A1 (ja) * 2013-07-26 2015-01-29 コニカミノルタ株式会社 透明導電体の製造方法
JP2017007215A (ja) * 2015-06-23 2017-01-12 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所 透明断熱材料及びその製造方法

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