JP5899309B2 - 1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、および、触媒菌体の保存方法 - Google Patents

1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、および、触媒菌体の保存方法 Download PDF

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Description

本発明は、1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造方法、ポリイソシアネート組成物の製造方法、および、触媒菌体の保存方法に関するものである。
1,5−ペンタメチレンジアミンは、バイオマス由来のポリマー原料、例えば、ポリウレタン原料、ポリアミド原料として注目されている。
1,5−ペンタメチレンジアミンおよび/または1,5−ペンタメチレンジアミン塩(1,5−ペンタメチレンジアミン類)を製造する方法として、例えば、リジンおよび/またはリジン塩(リジン類)の溶液を原料とし、これに、微生物由来のリジン脱炭酸酵素(Lysine decarboxylase:LDC)を作用させることにより、1,5−ペンタメチレンジアミン類の溶液を得る方法が開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
一方、リジンまたはリジンの塩からリジン脱炭酸酵素を用いて1,5−ペンタメチレンジアミンまたは1,5−ペンタメチレンジアミンの塩を工業的に製造する場合、使用するリジン脱炭酸酵素が高価であるため、その使用量をできるだけ削減することが望まれている。
また、このような1,5−ペンタメチレンジアミン類をポリアミド樹脂フィルム等の原料として用いる場合には、1,5−ペンタメチレンジアミン溶液中に存在する菌体(微生物)由来のタンパク質やペプチドが、ポリアミド樹脂フィルム等の表面外観の欠陥を招く原因の一つとなっている。
そこで、反応時にリジンの総重量に対して使用する菌体の重量の比率を0.002以下に抑えることや、さらに、反応液への通気速度を0.3vvm以下に制限すること、また、有機酸で中和してpH調整することが、提案されている。これにより、触媒の反応速度を向上させることが可能となり、触媒使用量を削減でき、また、タンパク質やペプチドなどを低減して、フィッシュアイ等の表面外観の欠陥を防止することができる(例えば、下記特許文献2、3参照。)。
また、リジン脱炭酸酵素は、反応至適pHが5〜6にあり、アルカリ側では反応活性の低下が起こることが知られている(例えば、下記非特許文献1参照。)。
また、リジン脱炭酸酵素は、生成する1,5−ペンタメチレンジアミンにより反応阻害を受けることが知られている(例えば、下記非特許文献2参照。)。
特開2009−207495号公報 特開2008−187963号公報 特開2008−220195号公報
Microbiology,(1998), 144,751−60 Biochemistry,(1974), 13,662−670
上記したように、このような方法では、使用するリジン脱炭酸酵素の使用量をできるだけ削減することが望まれているところ、上記特許文献1には、精製酵素50mg/Lで1Mのリジン塩酸塩を脱炭酸し、0.97Mの1,5−ペンタメチレンジアミンが製造できることが開示されているが、酵素の精製には、多大なコストがかかるという不具合がある。
一方、上記特許文献2および3には、触媒使用量を低減できることが開示されている(例えば、特許文献3の実施例1では、リジンの総重量に対して使用する菌体の重量の比率が0.0017)。しかし、その反応液のリジン濃度は10%程度であり、工業的に製造するためには容積効率が悪いため優れた方法とはいえない。
すなわち、このような方法では、上記非特許文献2に記載されるように、生成する1,5−ペンタメチレンジアミンによりリジン脱炭酸酵素が阻害を受けるため、反応液のリジン濃度が高まるとリジンに対する酵素必要量は多くなる。この点、上記のようにリジン濃度を下げれば、そのリジンに由来する1,5−ペンタメチレンジアミンの量が低減されるため、阻害効果が低減され、リジンに対する酵素必要量を低減できる。しかし、その一方で、生産設備が大きくなるという不具合がある。そのため、工業的な生産では、リジン濃度はできるだけ高く、なおかつ酵素量はできるだけ少なくすることが重要である。
また、1,5−ペンタメチレンジアミンの塩の水溶液から1,5−ペンタメチレンジアミンを精製するためには、溶液のpHをアルカリとし、有機溶媒で抽出する方法が一般的である。この点、非特許文献1に記載されるように、リジン脱炭酸酵素反応におけるpH条件を5〜6にすると、必要なアルカリが増大し精製時の負荷が大きくなり、さらに、廃棄物の塩が大量に出るという不具合がある。
この点、上記特許文献2および3に記載される有機酸による中和は、ポリアミドを生産する場合には、原料となるため好ましいが、1,5−ペンタメチレンジアミンをそのまま、またはイソシアネートなどに変換して用いる場合は不純物となるため好ましくない。また、精製工程での加熱などで一部ポリアミドが生成すると製品への不純物となり品質の低下を招くため好ましくない。そのため反応時の中和はできるだけ行なわないことが工業的な生産では重要である。
さらに、このような反応において、リジン脱炭酸酵素は、生物菌体内において生産することができ、そのような菌体(触媒菌体)は、低コスト化の観点から、まとめて多量に製造され、1,5−ペンタメチレンジアミンの生産計画に合わせて使用される。
しかしながら、触媒菌体を製造後に長期間保存すると、生産したリジン脱炭素酵素の活性が低下する場合がある。
本発明の課題は、低コストで、収率よく、さらに、反応液のpH調整を行わずに、1,5−ペンタメチレンジアミンを製造する方法、また、その方法により得られた1,5−ペンタメチレンジアミから1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを製造する方法、さらに、その方法により得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートからポリイソシアネート組成物を製造する方法を提供することである。
また、本発明の別の課題は、リジン脱炭酸酵素を長期間安定に保存できる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、リジン脱炭酸酵素は、反応液中に存在する酸化物質により反応速度の低下または停止を来たし、所定量以下に酵素を削減できないことを見出した。反応系内に存在する酸化物質による酵素の酸化を防ぐことで酵素活性の低下を防ぐことが可能となり、酵素を精製することなく、従来技術以上に酵素量を削減しても高収率で1,5−ペンタメチレンジアミンを製造できることを見出した。また、反応液のリジン濃度を高め、反応時間が長くなっても酵素活性の低下を防ぐことが可能となるため、反応が完結できる。更に、反応液の中和を行わなくとも反応が完結できることを見出し、本発明を完成させた。
また、触媒菌体の保存において、リジン脱炭酸酵素遺伝子の組換え微生物を還元剤の存在下で保存すれば、長期間の保存によるリジン脱炭酸酵の活性の低下を防ぐことができることを見出し発明を完成させた。
すなわち本発明は、
[1] 溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間が1時間以内である反応系内において、L−リジンおよび/またはその塩を、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素によって、リジン脱炭酸反応させることを特徴とする、1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[2] L−リジンおよび/またはその塩1質量部に対して、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素が、乾燥菌体重量換算で、0.0003質量部以上0.0015質量部以下であることを特徴とする、[1]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[3] Y軸を飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度の割合(%)、X軸を時間(分)として、リジン脱炭酸反応における溶存酸素濃度と時間との関係がプロットされた相関線を示す相関図において、相関線とY軸とX軸とに囲まれる部分の面積が、1000未満であることを特徴とする、請求項[1]または[2]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[4] 前記面積が、650以下であることを特徴とする、[3]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[5] 前記溶存酸素濃度が、飽和溶存酸素濃度の65%以下であり、かつ、前記溶存酸素濃度が、飽和溶存酸素濃度の65%以下の状態から20分以内に飽和溶存酸素濃度の1%以下になることを特徴とする、[3]または[4]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[6] 反応系内の酸素を除去する工程、および/または、反応系内に還元剤を存在させる工程を含むことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[7] 反応系内の酸素を除去する工程が、不活性ガスにより溶存酸素を置換する工程であることを特徴とする、[6]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[8] 還元剤の酸化還元電位が、生理食塩水より低いことを特徴とする、[6]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[9] 還元剤が、メルカプト化合物、硫化物、水硫化物、還元性を有する硫黄の酸素酸塩、チオウレアおよびその誘導体、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物、フラボノイド化合物、窒素含有複素環化合物、ヒドラジル基化合物、および、ウロン酸基を有するムコ多糖類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、[8]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[10] 変異型リジン脱炭酸酵素が、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、137、138、286、290、295、303、317、335、352、353、386、443、466、475、553、710および711番目のアミノ酸残基の少なくとも1つが、他のアミノ酸残基に置換されている変異型リジン脱炭酸酵素であることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[11] 変異型リジン脱炭酸酵素が、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、290、335、475および711番目のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基に置換されている変異型リジン脱炭酸酵素であることを特徴とする、[10]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[12] 変異型リジン脱炭酸酵素が、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、286、290、335、475および711番目のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基に置換されている変異型リジン脱炭酸酵素であることを特徴とする、[10]に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、
[13] 上記[1]に記載の方法により得られた1,5−ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、イソシアネート化することを特徴とする、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造方法、
[14] 上記[13]に記載の方法により得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを、下記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有するように変性することを特徴とする、ポリイソシアネート組成物の製造方法、
(a)イソシアヌレート基
(b)アロファネート基
(c)ビウレット基
(d)ウレタン基
(e)ウレア基
[15] リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素を発現させた細胞を、還元剤の存在下で保存することを特徴とする、触媒菌体の保存方法、
[16] 還元剤の酸化還元電位が、生理食塩水より低いことを特徴とする、[15]に記載の触媒菌体の保存方法、
[17] 還元剤が、メルカプト化合物、硫化物、水硫化物、還元性を有する硫黄の酸素酸塩、チオウレアおよびその誘導体、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物、フラボノイド化合物、窒素含有複素環化合物、ヒドラジル基化合物、および、ウロン酸基を有するムコ多糖類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、[15]または[16]に記載の触媒菌体の保存方法
である。
本発明の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法によれば、反応系内の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間が1時間以内なので、リジン脱炭酸酵素または/および変異型リジン脱炭酸酵素の酵素活性の失活を抑制でき、高濃度のリジン反応液であっても低酵素量で収率よく、さらに、反応液のpH調整を行わずに、1,5−ペンタメチレンジアミンを得ることができる。その結果、低コストで高品質な1,5−ペンタメチレンジアミンを製造できる。
そのため、本発明の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造方法、および、ポリイソシアネート組成物の製造方法によれば、低コストで収率よく、高品質な1,5−ペンタメチレンジイソシアネートおよびポリイソシアネート組成物を得ることができる。
また、本発明の触媒菌体の保存方法によれば、リジン脱炭酸酵素を長期間安定に保存することができる。
図1は、Y軸を飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度の割合(%)、X軸を時間(分)として、模式的に、リジン脱炭酸反応における溶存酸素濃度と時間との関係をプロットした相関線を示す模式相関図の一例である。 図2は、Y軸を飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度の割合(%)、X軸を時間(分)として、模式的に、リジン脱炭酸反応における溶存酸素濃度と時間との関係をプロットした相関線を示す模式相関図の他の一例である。
発明の実施形態
以下、本発明について実施の形態を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨を超えない範囲において種々に変更して実施することができる。
本発明において「1,5−ペンタメチレンジアミン」とは、1,5−ペンタンジアミン(HN(CHNH)をいう。1,5−ペンタメチレンジアミンは、ポリマー原料や医薬中間体の合成原料として有用な化合物である。
(1)リジン脱炭酸酵素
本発明におけるリジン脱炭酸酵素とは、国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素番号EC4.1.1.18に分類され、ピリドキサールリン酸(PLP)を補酵素として要求し、L−リジン(リジンとも記載する)から1,5−ペンタメチレンジアミン(ペンタン1,5―ジアミン、1,5―ペンタメチレンジアミン、PDAとも記載する)および炭酸を生成する反応を触媒する酵素、この酵素を遺伝子組み換えなどの技術で高生産している菌体、および、その処理物を指す。本発明のリジン脱炭酸酵素は、その由来は特に限定されるものではなく、例えば、公知の生物に由来するものが挙げられる。リジン脱炭酸酵素として、より具体的には、例えば、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis)、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)またはコリネバクテリウム・グルタミカス(Corynebacterium glutamicum)などの微生物に由来するものが挙げられる。安全性の観点から、好ましくは、Escherichia coliに由来するものが挙げられる。
発現する遺伝子は、同様な効果を示せば特に制限はないが、大腸菌由来のcadA(GenBank Accession No.AP009048)が好適である。
(2)リジン脱炭酸酵素活性
本発明において、リジン脱炭酸酵素活性とは、リジンを脱炭酸して1,5−ペンタメチレンジアミンへと変換する反応を触媒する活性を意味する。本発明においては、リジンからの1,5−ペンタメチレンジアミンの生成量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することにより、算出することができる。
活性の単位は、1分間に1μmolの1,5−ペンタメチレンジアミンを製造する活性を1unit(U)とし、菌体活性は、乾燥菌体換算重量1mg当たりの酵素活性(U/mg dry cells)で表示する。乾燥菌体換算重量とは、乾燥して水分を含まない重量を表わし、例えば、菌体を含む液(菌体液)から遠心分離やろ過などの方法で菌体を分離し、重量が一定になるまで乾燥し、その重量を測定することで乾燥菌体換算重量を求めることができる。
(3)菌体
本発明における菌体とは、複数の種類に分けられる。誤解を避けるため、本発明においては、以下のように定める。リジン脱炭酸酵素を高生産し、野生株より高いリジン脱炭酸活性を有する菌体を「触媒菌体」とする。さらに、生きている触媒菌体を「触媒生菌体」、生育を休止している触媒菌体を「触媒休止菌体」、増殖能を消失している触媒菌体を「触媒死菌体」とする。
(4)変異型リジン脱炭酸酵素
本発明における変異型リジン脱炭酸酵素とは、主に遺伝子組換え技術を利用して、野生型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された変異を有し、かつ、リジン脱炭酸酵素自体の酵素活性が向上したことを特徴とするリジン脱炭酸酵素と定義される。なお、アミノ酸配列中のアミノ酸は、リジン脱炭酸酵素中のアミノ酸残基に対応しており、それらは互いに対応関係にある。以下において、アミノ酸と称する場合には、アミノ酸配列として表記されるアミノ酸を示し、アミノ酸残基と称する場合には、リジン脱炭酸酵素中に含まれるアミノ酸残基を示す。
本発明において、変異型リジン脱炭酸酵素遺伝子の調製を行う方法は、変異を導入する既知の如何なる方法でもよく、通常は公知の方法で行うことができる。例えば、部位特異的変異法(Kramer,W. and frita,H.J.、 Methods in Enzymology,1987年、第154巻、第350頁)、リコンビナントPCR法(PCR Technology、Stockton Press、1989年)、特定の部分の核酸を化学合成する方法、遺伝子をヒドロキシアミン処理する方法、遺伝子を保有する菌株を紫外線照射処理またはニトロソグアニジンや亜硝酸などの化学薬剤で処理する方法などが挙げられる。
このような変異を導入する方法のなかでは、好ましくは、部位特異的変異法が挙げられる。具体的には、野生型リジン脱炭酸酵素遺伝子を基に、市販のキットを利用して、部位特異的な置換を生じさせる方法である。
アミノ酸残基が挿入、欠失または置換されている場合、その挿入、欠失または置換の位置は、リジン脱炭酸活性を消失させなければどの様な位置であっても構わない。挿入、欠失または置換したアミノ酸残基の数としては、1アミノ酸残基または2アミノ酸残基以上が挙げられ、例えば、1アミノ酸残基〜10アミノ酸残基、好ましくは、1アミノ酸残基〜5アミノ酸残基が挙げられる。
本発明において、変異型リジン脱炭酸酵素をコードするアミノ酸配列および塩基配列、または、プライマーの個々の配列に関して、これら互いの相補的な関係に基づいて記述された事項は、特に断らない限り、それぞれの配列と、各配列に対して相補的な配列とについても適用される。各配列に対して相補的な当該配列について本発明の事項を適用する際には、当該相補的な配列が認識する配列について、当業者にとっての技術常識の範囲内で、対応する本明細書に記載された配列に相補的な配列として、明細書全体を読み替えるものとする。
具体的には、本発明において、変異型リジン脱炭酸酵素は、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、そのアミノ酸配列中のアミノ酸の少なくとも1つが、活性が上昇する他のアミノ酸に置換されている。
配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列は、配列表の配列番号3に記載のDNA配列より生成されるタンパク質のアミノ酸配列であって、そのN末端のメチオニンを1番目のアミノ酸として、1〜129番目のアミノ酸がウィングドメインであり、130〜183番目のアミノ酸がリンカードメインであり、これら1〜183番目のアミノ酸が10量体形成ドメインを形成している。また、184〜417番目のアミノ酸がピリドキサールリン酸酵素(PLP酵素)共通ドメインであり、418〜715番目のアミノ酸が基質出入口であり、これら184〜715番目のアミノ酸が活性領域ドメインを形成している。
そして、本発明における変異型リジン脱炭酸酵素では、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、10量体形成ドメインおよび/または活性領域ドメインに存在するアミノ酸が、他のアミノ酸に置換されており、詳しくは、10量体形成ドメイン中のウィングドメインおよび/またはリンカードメインに存在するアミノ酸、および/または、活性領域ドメイン中のピリドキサールリン酸酵素共通ドメインおよび/または基質出入口に存在するアミノ酸が、他のアミノ酸に置換されている。
つまり、変異型リジン脱炭酸酵素において、上記のアミノ酸配列中のアミノ酸に対応するアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基に置換されている。
変異型リジン脱炭酸酵素として、好ましくは、少なくとも137、138、286、290、295、303、317、335、352、353、386、443、466、475、553、711番目のアミノ酸残基及び14、28、39、64、67、70、75、79、83、84、85、88、89、94、95、98、99、104、112、119、139、143、145、148、182、184、253、262、430、446、460、471、506、524、539、544、546、623、626、636、646、648番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に1つ以上置換した変異型酵素が挙げられる。
本発明における少なくとも137、138、286、290、295、303、317、335、352、353、386、443、466、475、553、711番目のアミノ酸残基及び14、28、39、64、67、70、75、79、83、84、85、88、89、94、95、98、99、104、112、119、139、143、145、148、182、184、253、262、430、446、460、471、506、524、539、544、546、623、626、636、646、648番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に1つ以上置換した変異型酵素とは、配列表の配列番号3に記載のDNA配列より生成されるタンパク質のアミノ酸配列(配列表の配列番号4)のN末端のメチオニンを1番目のアミノ酸として137、138、286、290、295、303、317、335、352、353、386、443、466、475、553、711番目のアミノ酸及び14、28、39、64、67、70、75、79、83、84、85、88、89、94、95、98、99、104、112、119、139、143、145、148、182、184、253、262、430、446、460、471、506、524、539、544、546、623、626、636、646、648番目のアミノ酸を少なくとも1つ以上、元のアミノ酸とは異なるアミノ酸に置換した配列の変異型酵素を指す。ただし89番目のアミノ酸をアルギニンに変更したものは除く。変更後のアミノ酸配列は変更前よりも良い性質、例えば比活性の向上、反応中のpH変化に強い性質、反応生成物に対する耐性、阻害の緩和等、があれば特に制限はないが、表1〜6に記載の配列により生成されるアミノ酸配列は特に好ましい。
好ましい変異型リジン脱炭酸酵素として、より具体的には、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、10量体形成ドメインに存在するアミノ酸のうち14番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、28番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからValに変更したもの、64番目のアミノ酸をLeuからLysに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからThrに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからHisに変更したもの、79番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからAspに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからThrに変更したもの、85番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからLysに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからArgに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからAsnに変更したもの、89番目のアミノ酸をLeuからPheに変更したもの、94番目のアミノ酸をAsnからIleに変更したもの、95番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、98番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、99番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからAsnに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからLysに変更したもの、112番目のアミノ酸をAspからGluに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからAsnに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからIleに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからSerに変更したもの、137番目のアミノ酸をPheからValに変更したもの、138番目のアミノ酸をLysからIleに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからValに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからThrに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからSerに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからAsnに変更したもの、143番目のアミノ酸をGlyからGluに変更したもの、145番目のアミノ酸をTyrからArgに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからSerに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからAlaに変更したもの、182番目のアミノ酸をIleからMetに変更したもの、活性領域ドメインに存在するアミノ酸のうち184番目のアミノ酸をValからAlaに変更したもの、253番目のアミノ酸をMetからLeuに変更したもの、262番目のアミノ酸をPheからTyrに変更したもの、286番目のアミノ酸をAlaからAspに変更したもの、290番目のアミノ酸をLysからHisに変更したもの、295番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、303番目のアミノ酸をIleからThrに変更したもの、317番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、335番目のアミノ酸をProからAlaに変更したもの、352番目のアミノ酸をGlyからAlaに変更したもの、353番目のアミノ酸をArgからHisに変更したもの、386番目のアミノ酸をGluからSerに変更したもの、430番目のアミノ酸をGluからPheに変更したもの、443番目のアミノ酸をArgからMetに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからIleに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからAsnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからCysに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからSerに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからAsnに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからGlyに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからSerに変更したもの、471番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、475番目のアミノ酸をGlyからAsnに変更したもの、506番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからCysに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからAlaに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからSerに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、546番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、553番目のアミノ酸をLeuからValに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからCysに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからPheに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからGlnに変更したもの、626番目のアミノ酸をLysからValに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからProに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、648番目のアミノ酸をMetからSerに変更したもの、710番目のアミノ酸をLysからThrに変更したもの、711番目のアミノ酸をGluからAspに変更したものに少なくとも1箇所以上置換されている変異型リジン脱炭酸酵素が挙げられる。
より具体的には、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、ウィングドメインに存在するアミノ酸のうち14番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、28番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからValに変更したもの、64番目のアミノ酸をLeuからLysに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからThrに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからHisに変更したもの、79番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからAspに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからThrに変更したもの、85番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからLysに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからArgに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからAsnに変更したもの、89番目のアミノ酸をLeuからPheに変更したもの、94番目のアミノ酸をAsnからIleに変更したもの、95番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、98番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、99番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからAsnに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからLysに変更したもの、112番目のアミノ酸をAspからGluに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからAsnに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからIleに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからSerに変更したもの、リンカードメインに存在するアミノ酸のうち137番目のアミノ酸をPheからValに変更したもの、138番目のアミノ酸をLysからIleに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからValに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからThrに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからSerに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからAsnに変更したもの、143番目のアミノ酸をGlyからGluに変更したもの、145番目のアミノ酸をTyrからArgに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからSerに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからAlaに変更したもの、182番目のアミノ酸をIleからMetに変更したもの、ピリドキサールリン酸酵素共通ドメインに存在するアミノ酸のうち184番目のアミノ酸をValからAlaに変更したもの、253番目のアミノ酸をMetからLeuに変更したもの、262番目のアミノ酸をPheからTyrに変更したもの、286番目のアミノ酸をAlaからAspに変更したもの、290番目のアミノ酸をLysからHisに変更したもの、295番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、303番目のアミノ酸をIleからThrに変更したもの、317番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、335番目のアミノ酸をProからAlaに変更したもの、352番目のアミノ酸をGlyからAlaに変更したもの、353番目のアミノ酸をArgからHisに変更したもの、386番目のアミノ酸をGluからSerに変更したもの、基質出入口に存在するアミノ酸のうち430番目のアミノ酸をGluからPheに変更したもの、443番目のアミノ酸をArgからMetに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからIleに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからAsnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからCysに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからSerに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからAsnに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからGlyに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからSerに変更したもの、471番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、475番目のアミノ酸をGlyからAsnに変更したもの、506番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからCysに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからAlaに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからSerに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、546番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、553番目のアミノ酸をLeuからValに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからCysに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからPheに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからGlnに変更したもの、626番目のアミノ酸をLysからValに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからProに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、648番目のアミノ酸をMetからSerに変更したもの、710番目のアミノ酸をLysからThrに変更したもの、711番目のアミノ酸をGluからAspに変更したものに少なくとも1箇所以上置換されている変異型リジン脱炭酸酵素が挙げられる。
また、好ましい変異型リジン脱炭酸酵素としては、活性領域ドメイン、具体的には、290、335、475、711番目のアミノ酸残基、286、290、335、475、711番目のアミノ酸残基、148、646番目のアミノ酸残基、471、626番目のアミノ酸残基、626、646番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した変異型酵素が挙げられる。
本発明における290、335、475、711番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した変異型酵素とは配列表の配列番号3に記載のDNA配列より生成されるタンパク質のアミノ酸配列のN末端のメチオニンを1番目のアミノ酸として290、335、475、711番目の4箇所のアミノ酸を元のアミノ酸とは異なるアミノ酸に置換した配列の変異型酵素を指す。
本発明における286、290、335、475、711番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した変異型酵素とは配列表の配列番号3に記載のDNA配列より生成されるタンパク質のアミノ酸配列のN末端のメチオニンを1番目のアミノ酸として286、290、335、475、711番目の5箇所のアミノ酸を元のアミノ酸とは異なるアミノ酸に置換した配列の変異型酵素を指す。
本発明における148、646番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した変異型酵素とは配列表の配列番号3に記載のDNA配列より生成されるタンパク質のアミノ酸配列のN末端のメチオニンを1番目のアミノ酸として148、646番目の2箇所のアミノ酸を元のアミノ酸とは異なるアミノ酸に置換した配列の変異型酵素を指す。
本発明における471、626番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した変異型酵素とは配列表の配列番号3に記載のDNA配列より生成されるタンパク質のアミノ酸配列のN末端のメチオニンを1番目のアミノ酸として471、626番目の2箇所のアミノ酸を元のアミノ酸とは異なるアミノ酸に置換した配列の変異型酵素を指す。
本発明における626、646番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した変異型酵素とは配列表の配列番号3に記載のDNA配列より生成されるタンパク質のアミノ酸配列のN末端のメチオニンを1番目のアミノ酸として626、646番目の2箇所のアミノ酸を元のアミノ酸とは異なるアミノ酸に置換した配列の変異型酵素を指す。
変更後のアミノ酸配列は元の配列の酵素よりも良い性質があれば特に制限はないが、それぞれ表1〜6に記載の配列により生成されるアミノ酸配列は特に好ましい。
また、上記では、変更変異型リジン脱炭酸酵素が、アミノ酸配列のアミノ酸を変更したものとして示したが、変更変異型リジン脱炭酸酵素は、アミノ酸をコードする塩基配列を変更したものとして示すこともできる。
そのような変異型リジン脱炭酸酵素としては、配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列において、10量体形成ドメインに存在するアミノ酸残基のうち14番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTTからGlnをコードする塩基配列であるCAAに変更したもの、22番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTTからLeuをコードする塩基配列であるTTGに変更したもの、28番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからIleをコードする塩基配列であるATTに変更したもの、39番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、39番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、39番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからValをコードする塩基配列であるGTGに変更したもの、64番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTCからLysをコードする塩基配列であるAAAに変更したもの、67番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGCからThrをコードする塩基配列であるACCに変更したもの、67番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGCからLeuをコードする塩基配列であるTTAに変更したもの、70番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからLeuをコードする塩基配列であるTTGに変更したもの、70番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからLeuをコードする塩基配列であるCTGに変更したもの、70番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、75番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAGからProをコードする塩基配列であるCCCに変更したもの、75番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAGからHisをコードする塩基配列であるCACに変更したもの、79番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がTTGからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからLeuをコードする塩基配列であるCTGに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからLeuをコードする塩基配列であるCTAに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからLeuをコードする塩基配列であるCTTに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからAlaをコードする塩基配列であるGCCに変更したもの、84番目のアミノ酸であるAsnをコードする塩基配列がAATからAspをコードする塩基配列であるGACに変更したもの、84番目のアミノ酸であるAsnをコードする塩基配列がAATからThrをコードする塩基配列であるACAに変更したもの、85番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACGからProをコードする塩基配列であるCCAに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからLysをコードする塩基配列であるAAAに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからLysをコードする塩基配列であるAAGに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからArgをコードする塩基配列であるAGAに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、89番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTCからPheをコードする塩基配列であるTTTに変更したもの、94番目のアミノ酸であるAsnをコードする塩基配列がAATからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、95番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGACからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、98番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がTTAからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、99番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからThrをコードする塩基配列であるACTに変更したもの、104番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、104番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからLysをコードする塩基配列であるAAAに変更したもの、112番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからGluをコードする塩基配列であるGAGに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからAsnをコードする塩基配列であるAACに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからIleをコードする塩基配列であるATTに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからThrをコードする塩基配列であるACCに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからSerをコードする塩基配列であるAGTに変更したもの、137番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTTからValをコードする塩基配列であるGTCに変更したもの、138番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからValをコードする塩基配列であるGTAに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからValをコードする塩基配列であるGTGに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからCysをコードする塩基配列であるTGCに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからThrをコードする塩基配列であるACAに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからSerをコードする塩基配列であるAGTに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからAsnをコードする塩基配列であるAACに変更したもの、143番目のアミノ酸であるGlyをコードする塩基配列がGGTからGluをコードする塩基配列であるGAAに変更したもの、145番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからArgをコードする塩基配列であるCGTに変更したもの、145番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからArgをコードする塩基配列であるAGAに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるAGTに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるTCAに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからAlaをコードする塩基配列であるGCGに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからAlaをコードする塩基配列であるGCAに変更したもの、182番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからMetをコードする塩基配列であるATGに変更したもの、活性領域ドメインに存在するアミノ酸残基のうち184番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTAからAlaをコードする塩基配列であるGCCに変更したもの、184番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTAからAlaをコードする塩基配列であるGCAに変更したもの、253番目のアミノ酸であるMetをコードする塩基配列がATGからLeuをコードする塩基配列であるCTAに変更したもの、262番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTCからTyrをコードする塩基配列であるTATに変更したもの、286番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからAspをコードする塩基配列であるGACに変更したもの、290番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからHisをコードする塩基配列であるCACに変更したもの、295番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCA からSerをコードする塩基配列であるTCAに変更したもの、303番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからThrをコードする塩基配列であるACAに変更したもの、317番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTCからGlnをコードする塩基配列であるCAGに変更したもの、335番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCTからAlaをコードする塩基配列であるGCTに変更したもの、352番目のアミノ酸であるGlyをコードする塩基配列がGGCからAlaをコードする塩基配列であるGCAに変更したもの、353番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからHisをコードする塩基配列であるCATに変更したもの、386番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、430番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからPheをコードする塩基配列であるTTCに変更したもの、443番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がAGAからMetをコードする塩基配列であるATGに変更したもの、446番目のアミノ酸であるSerをコードする塩基配列がTCTからTyrをコードする塩基配列であるTACに変更したもの、446番目のアミノ酸であるSerをコードする塩基配列がTCTからGlnをコードする塩基配列であるCAAに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからIleをコードする塩基配列であるATTに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからCysをコードする塩基配列であるTGTに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからGlnをコードする塩基配列であるCAGに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからProをコードする塩基配列であるCCCに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからProをコードする塩基配列であるCCTに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからSerをコードする塩基配列であるTCAに変更したもの、466番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCGからAsnをコードする塩基配列であるAACに変更したもの、466番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCGからGlyをコードする塩基配列であるGGCに変更したもの、466番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCGからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、471番目のアミノ酸であるSerをコードする塩基配列がAGCからTyrをコードする塩基配列であるTATに変更したもの、475番目のアミノ酸であるGlyをコードする塩基配列がGGCからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、506番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGACからProをコードする塩基配列であるCCAに変更したもの、524番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTTからLeuをコードする塩基配列であるTTAに変更したもの、524番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTTからLeuをコードする塩基配列であるCTGに変更したもの、539番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATCからCysをコードする塩基配列であるTGCに変更したもの、539番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATCからLeuをコードする塩基配列であるCTTに変更したもの、539番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATCからLeuをコードする塩基配列であるCTAに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからAlaをコードする塩基配列であるGCGに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからAlaをコードする塩基配列であるGCTに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからSerをコードする塩基配列であるTCTに変
更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからProをコードする塩基配列であるCCTに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、546番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからSerをコードする塩基配列であるAGCに変更したもの、553番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTGからValをコードする塩基配列であるGTAに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからCysをコードする塩基配列であるTGTに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからPheをコードする塩基配列であるTTTに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからPheをコードする塩基配列であるTTCに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからGlnをコードする塩基配列であるCAGに変更したもの、626番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからValをコードする塩基配列であるGTGに変更したもの、636番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTACからCysをコードする塩基配列であるTGTに変更したもの、636番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTACからProをコードする塩基配列であるCCCに変更したもの、646番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCCからLeuをコードする塩基配列であるTTGに変更したもの、646番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCCからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、648番目のアミノ酸であるMetをコードする塩基配列がATGからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、648番目のアミノ酸であるMetをコードする塩基配列がATGからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、710番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからThrをコードする塩基配列であるACGに変更したもの、711番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからAspをコードする塩基配列であるGACに変更したものに少なくとも1箇所以上置換されている変異型リジン脱炭酸酵素が挙げられる。
より具体的には、配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列において、ウィングドメインに存在するアミノ酸残基のうち14番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTTからGlnをコードする塩基配列であるCAAに変更したもの、22番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTTからLeuをコードする塩基配列であるTTGに変更したもの、28番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからIleをコードする塩基配列であるATTに変更したもの、39番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、39番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、39番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからValをコードする塩基配列であるGTGに変更したもの、64番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTCからLysをコードする塩基配列であるAAAに変更したもの、67番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGCからThrをコードする塩基配列であるACCに変更したもの、67番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGCからLeuをコードする塩基配列であるTTAに変更したもの、70番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからLeuをコードする塩基配列であるTTGに変更したもの、70番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからLeuをコードする塩基配列であるCTGに変更したもの、70番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、75番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAGからProをコードする塩基配列であるCCCに変更したもの、75番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAGからHisをコードする塩基配列であるCACに変更したもの、79番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がTTGからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからLeuをコードする塩基配列であるCTGに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからLeuをコードする塩基配列であるCTAに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからLeuをコードする塩基配列であるCTTに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、83番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからAlaをコードする塩基配列であるGCCに変更したもの、84番目のアミノ酸であるAsnをコードする塩基配列がAATからAspをコードする塩基配列であるGACに変更したもの、84番目のアミノ酸であるAsnをコードする塩基配列がAATからThrをコードする塩基配列であるACAに変更したもの、85番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACGからProをコードする塩基配列であるCCAに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからLysをコードする塩基配列であるAAAに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからLysをコードする塩基配列であるAAGに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからArgをコードする塩基配列であるAGAに変更したもの、88番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACTからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、89番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTCからPheをコードする塩基配列であるTTTに変更したもの、94番目のアミノ酸であるAsnをコードする塩基配列がAATからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、95番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGACからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、98番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がTTAからIleをコードする塩基配列であるATAに変更したもの、99番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからThrをコードする塩基配列であるACTに変更したもの、104番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、104番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからLysをコードする塩基配列であるAAAに変更したもの、112番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからGluをコードする塩基配列であるGAGに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからAsnをコードする塩基配列であるAACに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからIleをコードする塩基配列であるATTに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからThrをコードする塩基配列であるACCに変更したもの、119番目のアミノ酸であるGlnをコードする塩基配列がCAGからSerをコードする塩基配列であるAGTに変更したもの、リンカードメインに存在するアミノ酸残基のうち137番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTTからValをコードする塩基配列であるGTCに変更したもの、138番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからValをコードする塩基配列であるGTAに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからValをコードする塩基配列であるGTGに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからCysをコードする塩基配列であるTGCに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからThrをコードする塩基配列であるACAに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからSerをコードする塩基配列であるAGTに変更したもの、139番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからAsnをコードする塩基配列であるAACに変更したもの、143番目のアミノ酸であるGlyをコードする塩基配列がGGTからGluをコードする塩基配列であるGAAに変更したもの、145番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからArgをコードする塩基配列であるCGTに変更したもの、145番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTATからArgをコードする塩基配列であるAGAに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるAGTに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからSerをコードする塩基配列であるTCAに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからAlaをコードする塩基配列であるGCGに変更したもの、148番目のアミノ酸であるCysをコードする塩基配列がTGTからAlaをコードする塩基配列であるGCAに変更したもの、182番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからMetをコードする塩基配列であるATGに変更したもの、ピリドキサールリン酸酵素共通ドメインに存在するアミノ酸残基のうち184番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTAからAlaをコードする塩基配列であるGCCに変更したもの、184番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTAからAlaをコードする塩基配列であるGCAに変更したもの、253番目のアミノ酸であるMetをコードする塩基配列がATGからLeuをコードする塩基配列であるCTAに変更したもの、262番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTCからTyrをコードする塩基配列であるTATに変更したもの、286番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCTからAspをコードする塩基配列であるGACに変更したもの、290番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからHisをコードする塩基配列であるCACに変更したもの、295番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCA からSerをコードする塩基配列であるTCAに変更したもの、303番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATTからThrをコードする塩基配列であるACAに変更したもの、317番目のアミノ酸であるPheをコードする塩基配列がTTCからGlnをコードする塩基配列であるCAGに変更したもの、335番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCTからAlaをコードする塩基配列であるGCTに変更したもの、352番目のアミノ酸であるGlyをコードする塩基配列がGGCからAlaをコードする塩基配列であるGCAに変更したもの、353番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がCGTからHisをコードする塩基配列であるCATに変更したもの、386番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、基質出入口に存在するアミノ酸残基のうち430番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからPheをコードする塩基配列であるTTCに変更したもの、443番目のアミノ酸であるArgをコードする塩基配列がAGAからMetをコードする塩基配列であるATGに変更したもの、446番目のアミノ酸であるSerをコードする塩基配列がTCTからTyrをコードする塩基配列であるTACに変更したもの、446番目のアミノ酸であるSerをコードする塩基配列がTCTからGlnをコードする塩基配列であるCAAに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからIleをコードする塩基配列であるATTに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからCysをコードする塩基配列であるTGTに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからGlnをコードする塩基配列であるCAGに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからProをコードする塩基配列であるCCCに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからProをコードする塩基配列であるCCTに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、460番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGATからSerをコードする塩基配列であるTCAに変更したもの、466番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCGからAsnをコードする塩基配列であるAACに変更したもの、466番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCGからGlyをコードする塩基配列であるGGCに変更したもの、466番目のアミノ酸であるProをコードする塩基配列がCCGからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、471番目のアミノ酸であるSerをコードする塩基配列がAGCからTyrをコードする塩基配列であるTATに変更したもの、475番目のアミノ酸であるGlyをコードする塩基配列がGGCからAsnをコードする塩基配列であるAATに変更したもの、506番目のアミノ酸であるAspをコードする塩基配列がGACからProをコードする塩基配列であるCCAに変更したもの、524番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTTからLeuをコードする塩基配列であるTTAに変更したもの、524番目のアミノ酸であるValをコードする塩基配列がGTTからLeuをコードする塩基配列であるCTGに変更したもの、539番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATCからCysをコードする塩基配列であるTGCに変更したもの、539番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATCからLeuをコードする塩基配列であるCTTに変更したもの、539番目のアミノ酸であるIleをコードする塩基配列がATCからLeuをコードする塩基配列であるCTAに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからAlaをコードする塩基配列であるGCGに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからAlaをコードする塩基配列であるGCTに変更したもの、544番目のアミノ酸で
あるThrをコードする塩基配列がACCからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからProをコードする塩基配列であるCCTに変更したもの、544番目のアミノ酸であるThrをコードする塩基配列がACCからProをコードする塩基配列であるCCGに変更したもの、546番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからSerをコードする塩基配列であるAGCに変更したもの、553番目のアミノ酸であるLeuをコードする塩基配列がCTGからValをコードする塩基配列であるGTAに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからCysをコードする塩基配列であるTGTに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからPheをコードする塩基配列であるTTTに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからPheをコードする塩基配列であるTTCに変更したもの、623番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCAからGlnをコードする塩基配列であるCAGに変更したもの、626番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからValをコードする塩基配列であるGTGに変更したもの、636番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTACからCysをコードする塩基配列であるTGTに変更したもの、636番目のアミノ酸であるTyrをコードする塩基配列がTACからProをコードする塩基配列であるCCCに変更したもの、646番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCCからLeuをコードする塩基配列であるTTGに変更したもの、646番目のアミノ酸であるAlaをコードする塩基配列がGCCからIleをコードする塩基配列であるATCに変更したもの、648番目のアミノ酸であるMetをコードする塩基配列がATGからSerをコードする塩基配列であるTCTに変更したもの、648番目のアミノ酸であるMetをコードする塩基配列がATGからSerをコードする塩基配列であるTCCに変更したもの、710番目のアミノ酸であるLysをコードする塩基配列がAAAからThrをコードする塩基配列であるACGに変更したもの、711番目のアミノ酸であるGluをコードする塩基配列がGAAからAspをコードする塩基配列であるGACに変更したものに少なくとも1箇所以上置換されている変異型リジン脱炭酸酵素が挙げられる。
変更後の塩基配列は元の配列の酵素よりも良い性質があれば特に制限はないが、それぞれ表1〜6に記載の配列により生成される塩基配列は特に好ましい。
(5)変異型リジン脱炭酸酵素の製造方法
本発明にかかる上記変異型リジン脱炭酸酵素の製造方法(以下、単に「製造方法」とも言う。)は、上記変異型リジン脱炭酸酵素の形質転換体を培養し、培養された上記変異型リジン脱炭酸酵素の形質転換体および該形質転換体の培養物のうち少なくともいずれか一方から、上記変異型リジン脱炭酸酵素を回収するものである。
ここで上記変異型リジン脱炭酸酵素の形質転換体とは、上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列で示される核酸を含む発現ベクターで形質転換されたものを示す。
本発明にかかる上記変異型リジン脱炭酸酵素の製造方法は、上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列で示される核酸を含む発現ベクターで形質転換された形質転換体を培養することにより、上記変異型リジン脱炭酸酵素を製造するものである。当該製造方法により、酵素が失活しやすい厳しい条件下においても、安定した活性を示すとともに、対応する野生型リジン脱炭酸酵素と比較しても反応の初速度が大きく低下することのない上記変異型リジン脱炭酸酵素を、低コストで製造することができる。
以下に、製造方法に含まれうる各工程を説明するが、本発明にかかる上記変異型リジン脱炭酸酵素の製造方法は、上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列で示される核酸を含む発現ベクターで形質転換された形質転換体を培養する工程(宿主細胞培養工程)、および、培養された形質転換体および該形質転換体の培養物のうち少なくともいずれか一方から、上記変異型リジン脱炭酸酵素を回収する工程(変異型リジン脱炭酸酵素回収工程)を含んでいればよく、必要に応じてさらに他の工程を含んでいてもよい。
(6)形質転換体培養工程
形質転換体培養工程は、野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列で示される核酸を含む発現ベクターで形質転換された形質転換体を培養する工程である。
〔形質転換体〕
本発明にかかる製造方法において、形質転換体とは、野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列で示される核酸を含む発現ベクターで形質転換されたものであれば、特に限定されない。
上記形質転換体は、例えば、細菌、酵母、放線菌、糸状菌など由来の細胞を宿主細胞とするものが挙げられ、大腸菌、コリネバクテリウム属細菌由来の細胞を宿主細胞とするものが好ましい。
〔核酸〕
上記核酸は、野生型および上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列で示される。
上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、対応する野生型リジン脱炭酸酵素をコードする塩基配列に変異点を導入する方法などにより、合成することができる。
〔発現ベクター〕
上記発現ベクターは、野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列で示される核酸を含むものであれば、特に限定されるものではないが、形質転換効率や翻訳効率を向上させるなどの観点より、以下に示すような構成を示すプラスミドベクターや、ファージベクターであることがより好ましい。
〔発現ベクターの基本構成〕
発現ベクターは、野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素をコードする塩基配列を含み、上記宿主細胞を形質転換しうるものであれば、特に限定されない。必要に応じて、該塩基配列の他に、他の領域を構成する塩基配列(以下、単に「他の領域」とも言う。)を含んでいてもよい。
他の領域としては、例えば、上記形質転換体が、野生型および上記変異型リジン脱炭酸酵素を産生するために必要とする制御領域や、自律複製に必要な領域などが挙げられる。
また、上記形質転換体の選択を容易にするという観点より、選択マーカーとなりうる選択遺伝子をコードする塩基配列をさらに含んでいてもよい。
野生型および上記変異型リジン脱炭酸酵素を産生するために必要となる制御領域としては、例えば、プロモーター配列(転写を制御するオペレーター配列を含む。)、リボゾーム結合配列(SD配列)、転写終結配列などを挙げることができる。
〔原核生物を宿主細胞とした場合の発現ベクター〕
原核生物を宿主細胞とする場合、発現ベクターは、野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素をコードする塩基配列の他に、野生型および上記変異型リジン脱炭酸酵素の産生効率の観点より、プロモーター配列を含んでいることが好ましい。また、プロモーター配列の他に、リボゾーム結合配列や転写終結配列などを含んでいてもよい。
プロモーター配列の例としては、例えば、大腸菌由来のトリプトファンオペロンのtrpプロモーターおよびラクトースオペロンのlacプロモーター、ラムダファージ由来のPLプロモーターおよびPRプロモーターや、枯草菌由来のグルコン酸合成酵素プロモーター(gnt)、アルカリプロテアーゼプロモーター(apr)、中性プロテアーゼプロモーター(npr)およびα−アミラーゼプロモーター(amy)などが挙げられる。
また、tacプロモーターのように、独自に改変または設計されたプロモーター配列も利用できる。
リボゾーム結合配列としては、例えば、大腸菌由来または枯草菌由来の配列が挙げられるが、大腸菌や枯草菌などの所望の宿主細胞内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。
上記リボゾーム結合配列としては、例えば、16SリボゾームRNAの3’末端領域に相補的な配列のうち、4塩基以上連続したコンセンサス配列をDNA合成により作成した配列などが挙げられる。
転写終結配列は、必ずしも必要ではないが、例えば、ρ因子非依存性のもの、例えば、リポプロテインターミネーター、trpオペロンターミネーターなどが利用できる。
これら制御領域の発現ベクター上での配列順序は、特に制限されるものではないが、転写効率を考慮すると5’末端側上流からプロモーター配列、リボゾーム結合配列、目的蛋白質をコードする遺伝子、転写終結配列の順に並ぶことが望ましい。
ここでいう発現ベクターの具体例として、例えば、大腸菌中での自律複製可能な領域を有しているpBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、pKK223−3、pSC101など、例えば、枯草菌中での自律複製可能な領域を有しているpUB110、pTZ4、pC194、ρ11、φ1、φ105などを発現ベクターとして利用することができる。
また、2種類以上の宿主内での自律複製が可能な発現ベクターとして、例えば、pHV14、TRp7、YEp7、pBS7などを発現ベクターとして利用することができる。
〔形質転換体の作製方法〕
本発明にかかる形質転換体は、公知の方法により作製することができる。例えば、本発明にかかる野生型および変異型リジン脱炭酸酵素をコードする塩基配列と、必要に応じて上記他の領域とを含む上記発現ベクターを構築し、該発現ベクターを所望の宿主細胞に形質転換する方法などが挙げられる。具体的には、例えば、Sambrook,J.,et.al.,“Molecular Cloning A Laboratory Manual, 3rd Edition”,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(2001)などに記載されている分子生物学、生物工学および遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法を利用することができる。
また、相同組換えを利用した染色体への導入方法を用いることもできる。
本発明にかかる形質転換体は、上記宿主細胞に上記発現ベクターを組み込むだけではなく、必要に応じて、上記宿主細胞での使用頻度の低いコドンを、使用頻度の高いコドンにするように、サイレント変異を導入することなどを併せて行い作製することもできる。
これにより、発現ベクターに組み込んだ野生型および上記変異型リジン脱炭酸酵素由来のタンパク質の生産量を増加させることができる可能性がある。
サイレント変異の導入方法は、宿主細胞でのコドン使用頻度に発現ベクターのコドンを合わせるものであれば、その手法、変異点、変更する塩基の種類などは特に制限されない。
〔形質転換体の培養方法〕
本発明の形質転換体を培養する培地は、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、例えば、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボース、澱粉の加水分解物などの糖類、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトールなどのアルコール類、例えば、グルコン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸類などが挙げられる。
このような炭素源は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機アンモニウム塩、例えば、大豆加水分解物などの有機窒素、例えば、アンモニアガス、アンモニア水などが挙げられる。
このような窒素源は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
無機イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン、マンガンイオン、鉄イオン、リン酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
このような無機イオンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、培地には、必要に応じて、その他の有機成分(有機微量栄養素)を添加することもできる。そのような有機成分としては、例えば、各種アミノ酸、例えば、ビタミンB1などのビタミン類、例えば、RNAなどの核酸類などの要求物質、さらには、例えば、酵母エキスなどが挙げられる。
このような培地としては、例えば、LB培地、YT培地、M9培地などが挙げられる。
このような培地のなかでは、好ましくは、LB培地が挙げられる。
形質転換体の培養条件は、上記形質転換体、培地、培養方法の種類により適宜選択すればよく、形質転換体が生育し、本発明にかかる野生型リジン脱炭酸酵素および変異型リジン脱炭酸酵素を産生できる条件であれば特に制限はないが、例えば、大腸菌を培養する場合には、好気条件下において、培養温度が、例えば、20〜45℃、好ましくは、25〜40℃であり、培養pHが、例えば、5.0〜8.5、好ましくは、6.5〜8.0であり、培養期間は半日間〜7日間の範囲で、目的の変異型リジン脱炭酸酵素活性を有する蛋白質の含量が最大になるまで培養すればよい。
形質転換体の培養期間として、好ましくは、12〜72時間、より好ましくは、14〜48時間である。なお、培養pHの調整には、例えば、無機または有機の酸性またはアルカリ性物質や、アンモニアガスなどを用いることができる。
培養は、例えば、上記培地を含有する液体培地中で、上記形質転換体を振とう培養、通気攪拌培養、連続培養、流加培養などの通常の培養方法を用いて行なうことが出来る。
このようにして、形質転換体を、触媒生菌体として得ることができる。
(7)リジン脱炭酸酵素の回収工程
リジン脱炭酸酵素の回収工程は、培養された形質転換体および該形質転換体の培養物のうち少なくともいずれか一方から、野生型リジン脱炭酸酵素および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素を回収する工程である。
形質転換した形質転換体を培養した後、本発明にかかる野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素を回収する方法は、この分野で慣用されている方法を使用することができる。
本発明にかかる野生型リジン脱炭酸酵素および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素が、形質転換した形質転換体外に分泌される場合は、該形質転換体の培養物を、例えば、遠心分離、ろ過などを行うことで、粗酵素液を容易に得ることができる。また、本発明にかかる野生型および上記変異型リジン脱炭酸酵素が、形質転換した形質転換体内に蓄積される場合は、培養した該形質転換体を遠心分離などの手段により回収し、回収した該形質転換体を水、もしくは緩衝液に懸濁し、例えば、リゾチーム処理、凍結融解、超音波破砕などの公知の方法に従い該形質転換体の細胞膜を破壊することにより、粗酵素液を回収すればよい。
上記粗酵素液を、例えば、限外ろ過法などにより濃縮し、例えば、防腐剤などを加えて濃縮酵素として利用することが可能である。また、濃縮した後、例えば、スプレードライ法などによって、野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素の粉末酵素を得ることもできる。
回収されたリジン脱炭酸酵素活性を有する粗酵素液について、分離精製を必要とする場合は、例えば、硫酸アンモニウムなどによる塩析、例えば、アルコールなどによる有機溶媒沈殿法、例えば、透析および限外ろ過などによる膜分離法、例えば、イオン交換体クロマトグラフィー、逆相高速クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどの公知のクロマト分離法を適宜組み合わせて行うことができる。
以上のようにして得られた野生型および/または上記変異型リジン脱炭酸酵素は、本発明の範囲に含まれる。
(8)触媒死菌体の製造方法
リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素を発現させた細胞を、加熱により死滅させることで、触媒死菌体を得ることができる。
具体的には、まず、上述のように得られた触媒生菌体を、例えば、水などの溶剤に懸濁して、菌体懸濁液を調製する。菌体懸濁液中の触媒生菌体の濃度は、乾燥菌体換算濃度で、通常、0.1〜20質量%、好ましくは、1〜15質量%である。
次いで、この菌体懸濁液を、温浴などで加熱することにより死滅させ、触媒死菌体を得る。加熱の温度としては、触媒生菌体を死滅できれば構わないが、通常、45〜80℃、好ましくは、50〜70℃である。加熱時間は、通常、5分〜1時間、好ましくは、10〜30分間である。
(9)触媒菌体の保存方法
本発明の触媒菌体の保存方法では、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素を発現させた細胞を、還元剤の存在下で保存する。具体的には、触媒菌体を含有する上記菌体懸濁液に還元剤を添加する。
触媒菌体としては、触媒生菌体、触媒休止菌体または触媒死菌体のいずれであってもよい。
還元剤としては、公知の還元剤が用いられるが、好ましくは、溶存酸素を除くことができ、リジン脱炭酸酵素の反応を阻害しない還元剤である。
還元剤としては酸化還元電位が低いものが挙げられ、さらに好ましくは、生理食塩水の、20℃における酸化還元電位(+160mVから+180mV)より低い電位を有する還元剤が挙げられる。
なお、酸化還元電位は、酸化還元電位計により測定される。
このような還元剤として、具体的には、メルカプト化合物、硫化物、水硫化物、還元性を有する硫黄の酸素酸塩、チオウレアおよびその誘導体、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物、フラボノイド化合物、窒素含有複素環化合物、ヒドラジル基化合物、ウロン酸基を有するムコ多糖類などが挙げられる。
メルカプト化合物としては、例えば、システイン、N―アセチルシステイン、2−メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、ジチオスレイトール(別名ディチオスレイトール)、グルタチオン、S−アセチルメルカプト無水琥珀酸などが挙げられる。
硫化物としては、例えば、硫化ナトリウムなどが挙げられる。
水硫化物としては、例えば、水硫化ナトリウムなどが挙げられる。
還元性を有する硫黄の酸素酸塩としては、例えば、亜硫酸、重亜硫酸、チオ硫酸、メタ重亜硫酸、亜二チオン酸などの、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、他の生理的に安全な塩などが挙げられる。これらの塩は、酸性亜硫酸塩(重亜硫酸塩)であってもよい。
チオウレアおよびその誘導体としては、例えば、チオウレア、ジメチルチオウレアなどが挙げられる。
ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物としては、例えば、アセチルサリチル酸、アスコルビン酸またはそのナトリウム塩などの生理的に安全な塩などが挙げられる。
フラボノイド化合物としては、例えば、素環化合物に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物が挙げられ、具体的には、ケルセチン二水和物(Quercetin dihydrate)、カテキン(Catechin)、エピカテキン(Epicatechin)、または、それらの水和物などが挙げられる。
窒素含有複素環化合物としては、例えば、チアゾール環、チアゾリン環、チアゾリジン環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、イミダゾール環、ピリヂン環またはピリミヂン環を有する化合物などが挙げられる。
チアゾール環を有する化合物として、具体的には、N−(2−チアゾリル)スルファニルアミド(N−(2−Thiazolyl)sulfanilamide)、N−フェナシルチアゾールブロマイドなどが挙げられる。
チアゾリン環を有する化合物として、具体的には、2−メルカプトチアゾリンなどが挙げられる。
チアゾリジン環を有する化合物として、具体的には、2−オクソー4−チアゾリジンカルボン酸などが挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物として、具体的には、4−(1,2,3,4−チアトリアゾ−5−リルアミノ)フェノール水和物などが挙げられる。
インドール環を有する化合物として、具体的には、N−アセチルトリプトファンなどを挙げることができる。
ヒドラジル基化合物としては、例えば、アミノグアニジン塩酸塩などが挙げられる。
ウロン酸基を有するムコ多糖類としては、例えば、ヘパリンなどが挙げられる。
これら還元剤のうち、好ましくは、メルカプト化合物、還元性を有する硫黄の酸素酸塩が挙げられ、さらに好ましくは、ジチオスレイトール(別名ディチオスレイトール)、亜硫酸のナトリウム塩(亜硫酸ナトリウム)、亜二チオン酸のナトリウム塩(ハイドロサルファイト)が挙げられる。
さらに、このような還元剤を、後述するビタミンB6および/またはその誘導体(リジン脱炭酸酵素の補酵素、具体的には、ピリドキサールリン酸など)と共存させることで、高い触媒安定化効果を発揮することができる。
これら還元剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
還元剤の濃度は、リジン反応液中の溶存酸素を十分に除去できる濃度であって、リジン脱炭素酵素を失活させない濃度であれば、特に限定されないが、菌体懸濁液に対して、通常、0.1〜10g/L、好ましくは、0.5〜5g/Lである。還元剤の濃度が上記した下限に満たないと、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素を長期間安定に保存できない場合がある。
このような触媒菌体は、例えば、凍結や冷蔵で長期(例えば、80日以上、好ましくは、30日以上)に保存することができる。
菌体懸濁液の保存の温度は、例えば、20℃以下、好ましくは、4℃以下である。
(10)1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法
本発明の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法では、溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間が1時間以内の反応系内において、L−リジンおよび/またはその塩を、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素によって、リジン脱炭酸反応させる。
より具体的には、例えば、反応系内の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間を1時間以内にし、リジンに上述の野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素を接触させることにより、1,5−ペンタメチレンジアミンを製造する。
すなわち、リジンと、野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素、野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素を発現する形質転換体(例えば、触媒生菌体)、形質転換体の処理物(例えば、触媒死菌体)、形質転換体およびその処理物の固定化物からなる群から選択された少なくとも1種と、反応溶媒とを混合して反応液を調製し、反応液中で、野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素と、リジンとを接触させて、リジンの脱炭酸酵素反応により、1,5−ペンタメチレンジアミンを製造する。
なお、このリジン脱炭酸反応では、野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素とリジンとが最初に接触した時点を、反応開始点とする。また、野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素とリジンとの接触が断たれた時点、または、1,5−ペンタメチレンジアミンの生成量が飽和した時点を、反応終了点とする。
そして、このリジン脱炭酸反応では、反応開始点から反応終了点までの間において、溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間が1時間以内に制限される。
このような1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法は、反応系内の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間を1時間以内にするため、例えば、反応系内の酸素を除去する工程、反応系内に還元剤を添加する工程などを含むことができる。
反応系内の酸素を除去する工程では、反応系内、すなわち、反応液に溶解している酸素を除くことができる公知の方法が実施される。反応液中の酸素を除去する工程として、具体的には、例えば、不活性ガスにより溶存酸素を置換する工程などが挙げられる。
この工程では、具体的には、反応液に不活性ガスを通気して、溶解している酸素と不活性ガスとを交換する。
不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを用いることができる。反応開始前に溶存酸素を置換するとともに、反応中も酸素が溶け込まないように外部から酸素が入り込まないようにすることが好ましい。
不活性ガスの通気量は、反応液100質量部に対して、例えば、0.05〜10L/hr、好ましくは、0.1〜5L/hrである。また、不活性ガスの通気時間は、例えば、0.5〜5時間、好ましくは、0.1〜1時間である。
また、通気法としては、特に限定されず、バブリングさせることもできる。
不活性ガスに置換した後、不活性ガスの通気を止めることで、反応液中の炭酸ガスの放出を抑制でき、反応液のpH上昇を抑制できるためより好ましい。
また、この方法では、反応開始前の反応液、反応開始後の反応液、および、その両方に不活性ガスを通じることができるが、好ましくは、反応開始前の反応液(例えば、触媒菌体が添加される前のリジン溶液)に不活性ガスを通じる。
このような場合、反応開始前における溶存酸素濃度は、例えば、飽和溶存酸素濃度の90%以下、好ましくは、70%以下、より好ましくは、65%以下、さらに好ましくは、50%以下である。
一方、反応系内に還元剤を添加する工程では、反応系内、すなわち、反応液に還元剤を添加する。
還元剤としては、公知の還元剤が用いられるが、溶存酸素濃度を低減できる還元剤であり、リジン脱炭酸酵素を阻害しない還元剤が用いられる。好ましくは酸化還元電位が低いものが挙げられ、さらに好ましくは、生理食塩水の、20℃における酸化還元電位(+160mVから+180mV)より低い電位を有する還元剤が挙げられる。
このような還元剤として、具体的には、上記したメルカプト化合物、上記した硫化物、上記した水硫化物、上記した還元性を有する硫黄の酸素酸塩、上記したチオウレアおよびその誘導体、上記したヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物、上記したフラボノイド化合物、上記した窒素含有複素環化合物、上記したヒドラジル基化合物、上記したウロン酸基を有するムコ多糖類などが挙げられる。
これら還元剤のうち、好ましくは、還元性を有する硫黄の酸素酸塩、さらに好ましくは、亜硫酸のナトリウム塩(亜硫酸ナトリウム)が挙げられる。
これら還元剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
還元剤の反応液中の濃度は、リジン脱炭酸酵素を失活させない濃度であれば構わないが、通常、0.1〜10g/L、好ましくは、0.1〜4g/L程度である。
また、この方法では、反応開始前の反応液、反応開始後の反応液、および、その両方に還元剤を添加することができるが、好ましくは、反応開始前の反応液(例えば、触媒菌体が添加される前のリジン溶液)に還元剤を添加する。
このような場合、反応開始前における溶存酸素濃度は、例えば、飽和溶存酸素濃度の90%以下、好ましくは、70%以下、より好ましくは、65%以下、さらに好ましくは、50%以下である。
反応系内の溶存酸素濃度が、飽和溶存酸素濃度に対して上記した上限を超えると、十分な収率が得られない場合がある。
なお、反応系内の飽和溶存酸素濃度は、反応系内の溶存酸素が、空気中の酸素で飽和している状態の溶存酸素であり、下記のようにして測定することができる。
予め亜硫酸ナトリウム溶液に硫酸銅6水和物を添加し溶存酸素濃度をゼロにした溶液に、発酵用酸素電極(CSL−1 エイブル社製)を浸漬して、溶存酸素インジケーター(MODEL M−1032 エイブル社製)の指示がゼロになるように調整する。次いで、反応液に空気を通気し、溶存酸素インジケーターの値が安定したところで、飽和溶存酸素濃度とする。
また、反応系内の飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度の割合(%)は、上述のように調整した溶存酸素インジケーターにより測定することができる。
また、この方法では、リジン脱炭酸反応の進行とともに、反応系内の酸素が低減される場合がある。
具体的には、例えば、リジンの脱炭酸反応により生じた炭酸ガスが、反応系内の酸素を追い出す場合、さらには、反応開始後に不活性ガスを通じる場合や、還元剤を添加する場合などには、反応の進行とともに、反応系内の酸素が低減される。
このようなリジン脱炭酸反応において、好ましくは、反応液中の溶存酸素濃度が、反応開始点から反応終了点までを通じて、飽和溶存酸素濃度の65%以下であり、かつ、溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の65%以下である点(すなわち、反応開始点)から20分以内に、飽和溶存酸素濃度の1%以下になることが好ましい。
すなわち、このリジン脱炭酸反応において、好ましくは、溶存酸素濃度が、反応開始時において、飽和溶存酸素濃度の65%以下に低減されており、また、反応中に溶存酸素濃度が増減する場合には、その溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の65%を超過することがない範囲で増減し、また、反応の進行に伴って飽和溶存酸素濃度の1%以下にまで減少し、その所要時間が、20分以内である。
このような条件で反応させることにより、1,5−ペンタメチレンジアミンの収率の向上を図ることができる。
また、このように、リジン脱炭酸反応の反応中に溶存酸素濃度が増減する場合、そのリジン脱炭酸反応における溶存酸素濃度と経過時間との関係を相関線として表すことができる。例えば、反応中に溶存酸素濃度が減少する場合には、溶存酸素濃度と経過時間との関係は、例えば、Y軸を飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度の割合(%)、X軸を時間(分)として、例えば、一次関数的な相関線として示される(図1参照。)。
そして、Y軸を飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度の割合(%)、X軸を時間(分)として、リジン脱炭酸反応における溶存酸素濃度と時間との関係がプロットされた相関線を示す相関図において、相関線とY軸とX軸とに囲まれる部分の面積が、好ましくは、1000未満、より好ましくは、650以下である。なお、面積単位は、例えば、(%・min)である。
このような条件で反応させることにより、1,5−ペンタメチレンジアミンの収率の向上を図ることができる。
なお、図1には、模式概念図として溶存酸素濃度と経過時間との相関線を一次関数的に示しているが、実際の相関線は反応系によって異なり、種々の曲線状とされる。
例えば、図2に示すように、相関線が不規則的な曲線状であってもよく、また、相関線とY軸とX軸とに囲まれる部分が、不連続であってもよい。そのような場合、相関線とY軸とX軸とに囲まれる部分の面積は、各部分の面積の総面積として算出される。
本発明で原料として用いられるリジンは、その塩であってもよい。リジンの塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。
ただし、炭酸塩および炭酸水素塩は、その製造工程において二酸化炭素を多量に使用し、温暖化ガスの発生が多いので、環境保護の観点から、好ましくは、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。
このようなリジンの塩の中で、好ましくは、リジンの塩酸塩が挙げられる。
さらに、リジンとして、リジンを精製する工程で、還元剤を添加して精製したリジンまたはその塩を用いることもできる。
反応溶媒中におけるリジンの濃度は、特に制限されないが、例えば、1〜70質量%、好ましくは、10〜70質量%、より好ましくは、20〜50質量%である。
本発明における野生型および変異型リジン脱炭酸酵素の必要量は、野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素、野生型および/または変異型リジン脱炭酸酵素を発現する形質転換体(例えば、触媒生菌体)、形質転換体の処理物(例えば、触媒死菌体)、形質転換体およびその処理物の固定化物からなる群から選択された少なくとも1種を用いる場合、L−リジンおよび/またはその塩1質量部に対して、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素が、乾燥菌体重量換算で、0.0003質量部以上0.0015質量部以下である。
野生型および変異型リジン脱炭酸酵素の使用量が上記範囲であれば、1,5−ペンタメチレンジアミンを効率よく製造することができる。
反応溶媒としては、例えば、水、水性媒体、有機溶媒、水もしくは水性媒体と有機溶媒との混合液が挙げられる。
水性媒体としては、例えば、リン酸緩衝液などの緩衝液などが挙げられる。
有機溶媒としては、反応を阻害しないものであればいずれでもよい。
リジンの脱炭酸酵素反応の条件としては、温度が、例えば、28〜55℃、好ましくは、35〜45℃、時間が、例えば、0.1〜72時間、好ましくは、1〜72時間、さらに好ましくは、12〜36時間である。また、反応pHが、例えば、5.0〜9.0、好ましくは、5.5〜8.5である。
反応は、振盪、攪拌または静置条件下で行なうことができる。
これにより、リジンが脱炭酸され、1,5−ペンタメチレンジアミンへと変換し、1,5−ペンタメチレンジアミンが製造される。
本発明で製造される1,5−ペンタメチレンジアミンは、その塩であってもよい。
1,5−ペンタメチレンジアミンの塩としては、例えば、1,5−ペンタメチレンジアミンの塩酸塩、酢酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。
このような1,5−ペンタメチレンジアミンの塩のなかでは、好ましくは、塩酸塩が挙げられる。
なお、この反応では、得られる1,5−ペンタメチレンジアミンがアルカリ性であるため、リジンが1,5−ペンタメチレンジアミンに変換されるに伴って、反応液のpHが増加する場合がある。このような場合には、必要により、酸性物質(例えば、有機酸、例えば、塩酸などの無機酸など)などを添加し、pHを調整することができる。
また、この反応では、必要により、例えば、ビタミンB6および/またはその誘導体を反応液中に添加することもできる。
ビタミンB6および/またはその誘導体としては、例えば、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキサールリン酸などが挙げられる。
このようなビタミンB6および/またはその誘導体は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
ビタミンB6および/またはその誘導体のなかでは、好ましくは、ピリドキサールリン酸が挙げられる。
ビタミンB6および/またはその誘導体を添加することにより、1,5−ペンタメチレンジアミンの生産速度および反応収率を向上することができる。
また、この方法では、得られたペンタメチレンジアミン水溶液から、必要により、水の一部を留去させることができる。
より具体的には、例えば、連続多段蒸留塔、回分多段蒸留塔などを備えた蒸留装置などにより、例えば、0.1kPa〜常圧下、ペンタメチレンジアミン水溶液を加熱(熱処理)し、蒸留することにより、水の一部が留去されたペンタメチレンジアミン水溶液を得ることができる。
加熱温度としては、例えば、25℃以上、90℃未満、好ましくは、25℃以上、85℃以下、さらに好ましくは、25℃以上、80℃未満、とりわけ好ましくは、30℃以上、70℃以下である。
ペンタメチレンジアミン水溶液を、90℃以上で加熱(熱処理)すると、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)の抽出率が低下する場合がある。
本発明の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法によれば、反応系内の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間が1時間以内なので、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素の活性の低下を低減することができる。そのため、酵素を精製しなくとも、優れた反応効率でリジン脱炭素反応をさせることができ、さらに、反応液のpHを調製することなく、反応を完結させることができる。
つまり、この1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法によれば、低コストで収率よく、さらに、反応液のpH調整を行わずに1,5−ペンタメチレンジアミンを製造することができる。
(11)1,5−ペンタメチレンジアミンの精製
そして、この方法では、好ましくは、上記により得られたペンタメチレンジアミン水溶液から、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を抽出する。抽出では、例えば、液−液抽出法が採用される。
液−液抽出法では、例えば、(1)回分的、半連続的または連続的にペンタメチレンジアミン水溶液に、抽出溶媒(後述)を接触させ、混合および撹拌することにより、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)し、その抽出溶媒(後述)からペンタメチレンジアミン(またはその塩)を分離する方法、(2)多孔板を備えた塔(例えば、スプレー塔、段型抽出塔など)や、充填物、ノズル、オリフィス板、バッフル、インジェクターおよび/またはスタティックミキサーを備えた塔(向流微分型抽出塔、非撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧、p566から569、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を、抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)した後、抽出溶媒(後述)を連続的に流出させ、その抽出溶媒(後述)から、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を分離する方法、(3)邪魔板および撹拌羽根を備えた塔(撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧 p569から574、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を、抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)した後、抽出溶媒(後述)を連続的に流出させ、その抽出溶媒(後述)から、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を分離する方法、(4)ミキサーセトラー抽出器、または、遠心式抽出機(改訂五版 化学工学便覧 p563から566、p574、化学工学会編、丸善(1988))を用いて、ペンタメチレンジアミン水溶液に、抽出溶媒(後述)を接触させ、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)し、その抽出溶媒(後述)からペンタメチレンジアミン(またはその塩)を分離する方法などが採用される。
これら液−液抽出法としては、単独使用または2種類以上併用することができる。
液−液抽出法として、生産効率の観点から、好ましくは、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を、抽出溶媒(後述)へと連続的に抽出(分配)する方法、より具体的には、例えば、上記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
液−液抽出におけるペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)との配合割合は、ペンタメチレンジアミン水溶液(抽出が連続的である場合は、単位時間あたりの供給量。以下同様。)100質量部に対して、抽出溶媒(後述)が、例えば、30〜300質量部であり、経済性および生産性の観点から、好ましくは、50〜200質量部、さらに好ましくは、50〜150質量部、とりわけ好ましくは、80〜120質量部である。
また、ペンタメチレンジアミン水溶液を、90℃以上で加熱(熱処理)すると、その水溶液から得られたペンタメチレンジアミンを用いてペンタメチレンジイソシアネート(後述)を製造し、さらに、そのペンタメチレンジイソシアネートからイソシアネート変性体を製造する場合に、反応速度が低い場合や、得られるイソシアネート変性体(後述)の貯蔵安定性が低い場合がある。
そのため、好ましくは、ペンタメチレンジアミン水溶液を、90℃以上で加熱(熱処理)することなく、さらに好ましくは、80℃以上で加熱することなく、とりわけ好ましくは、ペンタメチレンジアミン水溶液を加熱(熱処理)することなく、その水溶液からそのままペンタメチレンジアミン(またはその塩)を抽出する。
具体的には、液−液抽出では、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)とを、例えば、常圧(大気圧)下、例えば、5〜60℃、好ましくは、10〜60℃、さらに好ましくは、15〜50℃、とりわけ好ましくは、15〜40℃において、例えば、撹拌羽根などにより、例えば、1〜120分間、好ましくは、5〜90分間、さらに好ましくは、5〜60分間混合する。
撹拌羽根としては、特に限定されないが、例えば、プロペラ、平羽根、角度付平羽根、ピッチ付平羽根、平羽根ディスクタービン、傾斜付羽根ディスクタービン、湾曲羽根、ファウドラー型、ブルーマージン型、ディゾルバー、アンカーなどが挙げられる。
また、混合における回転数としては、例えば、5〜3000rpm、好ましくは、10〜2000rpm、さらに好ましくは、20〜1000rpmである。
これにより、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を、抽出溶媒(後述)中へと抽出する。
次いで、この方法では、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)と抽出溶媒(後述)との混合物を、例えば、5〜300分間、好ましくは、10〜240分間、さらに好ましくは、20〜180分間静置し、その後、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)が抽出された抽出溶媒(ペンタメチレンジアミン抽出液、すなわち、抽出溶媒(後述)とペンタメチレンジアミン(またはその塩)との混合物)を、公知の方法により取り出す。
なお、1回の液−液抽出によりペンタメチレンジアミン(またはその塩)を十分に抽出できない場合には、複数回(例えば、2〜5回)繰り返し液−液抽出することもできる。
これにより、ペンタメチレンジアミン水溶液中のペンタメチレンジアミン(またはその塩)を、抽出溶媒(後述)に抽出することができる。
このようにして得られる抽出溶媒(抽出溶媒(後述)とペンタメチレンジアミン(またはその塩)との混合物)において、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)の濃度は、例えば、0.2〜40質量%、好ましくは、0.3〜35質量%、さらに好ましくは、0.4〜30質量%、とりわけ好ましくは、0.8〜25質量%である。
また、抽出後におけるペンタメチレンジアミン(またはその塩)の収率(抽出率)は、リジン(またはその塩)を基準として、例えば、65〜100モル%、好ましくは、70〜100モル%、さらに好ましくは、80〜100モル%、とりわけ好ましくは、90〜100モル%である。
なお、この方法では、必要により、得られた抽出溶媒(後述)とペンタメチレンジアミン(またはその塩)との混合物から、例えば、ペンタメチレンジアミン(またはその塩)を単離することもできる。ペンタメチレンジアミン(またはその塩)の単離では、特に制限されないが、例えば、連続多段蒸留塔、回分多段蒸留塔などを備えた蒸留装置などにより、例えば、50〜182℃、0.1kPa〜常圧下、抽出溶媒(後述)とペンタメチレンジアミン(またはその塩)との混合物を蒸留し、抽出溶媒(後述)を除去する。
そして、このような抽出において、抽出溶媒としては、例えば、非ハロゲン系有機溶剤などが挙げられる。
非ハロゲン系有機溶剤は、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を分子中に含有しない有機溶剤であって、例えば、非ハロゲン脂肪族系有機溶剤、非ハロゲン脂環族系有機溶剤、非ハロゲン芳香族系有機溶剤などが挙げられる。
非ハロゲン脂肪族系有機溶剤としては、例えば、直鎖状の非ハロゲン脂肪族系有機溶剤、分岐状の非ハロゲン脂肪族系有機溶剤などが挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族系有機溶剤としては、例えば、直鎖状の非ハロゲン脂肪族炭化水素類、直鎖状の非ハロゲン脂肪族エーテル類、直鎖状の非ハロゲン脂肪族アルコール類などが挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族炭化水素類としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカンなどが挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテルなどが挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族アルコール類としては、例えば、直鎖状の炭素数1〜3の1価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなど)、直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコール(例えば、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノールなど)、直鎖状の炭素数8以上の1価アルコール(例えば、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノールなど)などが挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族系有機溶剤としては、例えば、分岐状の非ハロゲン脂肪族炭化水素類、分岐状の非ハロゲン脂肪族エーテル類、分岐状の非ハロゲン脂肪族1価アルコール類、分岐状の非ハロゲン脂肪族多価アルコール類などが挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族炭化水素類としては、例えば、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、n−オクタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、3−エチルへキサン、2,2−ジメチルへキサン、2,3−ジメチルへキサン、2,4−ジメチルへキサン、2,5−ジメチルへキサン、3,3−ジメチルへキサン、3,4−ジメチルへキサン、2−メチル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン、2,2,5−トリメチルヘキサンなどが挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族エーテル類としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテルなどが挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族1価アルコール類としては、例えば、分岐状の炭素数4〜7の1価アルコール(例えば、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、tert−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、イソヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、2−エチル−2−メチル−1−ブタノールなど)、分岐状の炭素数8以上の1価アルコール(例えば、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、5−エチル−2−ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、3,9−ジエチル−6−トリデカノール、2−イソヘプチルイソウンデカノール、2−オクチルドデカノールなど)が挙げられる。
分岐状の非ハロゲン脂肪族多価アルコール類としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
これら非ハロゲン脂肪族系有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
非ハロゲン脂肪族系有機溶剤として、好ましくは、直鎖状の非ハロゲン脂肪族系有機溶剤、さらに好ましくは、直鎖状の非ハロゲン脂肪族アルコール類が挙げられる。
直鎖状の非ハロゲン脂肪族アルコール類を用いると、ペンタメチレンジアミンを、高収率で抽出することができる。
また、非ハロゲン脂肪族系有機溶剤として、好ましくは、炭素数4〜7の1価アルコール(直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコール、分岐状の炭素数4〜7の1価アルコール)が挙げられる。
炭素数4〜7の1価アルコールを用いると、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を効率良く抽出することができ、さらには、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の不純物の含有割合を、低減することができる。
非ハロゲン脂環族系有機溶剤としては、例えば、非ハロゲン脂環族炭化水素類(例えば、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシクロヘキシルなど)が挙げられる。
これら非ハロゲン脂環族系有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
非ハロゲン芳香族系有機溶剤としては、例えば、非ハロゲン芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、エチルベンゼンなど)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾールなど)などが挙げられる。
これら非ハロゲン芳香族系有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、非ハロゲン系有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類と芳香族炭化水素類との混合物なども挙げられ、そのような混合物としては、例えば、石油エーテル、石油ベンジンなどが挙げられる。
これら非ハロゲン系有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、抽出溶媒としては、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、例えば、ハロゲン系有機溶剤(ハロゲン原子を分子中に含有する有機溶剤)を用いることもできる。
ハロゲン系有機溶剤としては、例えば、ハロゲン系脂肪族炭化水素類(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、テトラクロロエチレンなど)、ハロゲン系芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)などが挙げられる。
これらハロゲン系有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
一方、抽出溶媒として、ハロゲン系有機溶剤を用いると、得られるペンタメチレンジアミンまたはその塩を用いてペンタメチレンジイソシアネート(後述)を製造し、さらに、そのペンタメチレンジイソシアネート(後述)を反応させて、イソシアネート変性体(後述)や、ポリウレタン樹脂(後述)を製造する場合において、イソシアネート変性体(後述)の生産性や物性(例えば、耐黄変性など)に劣る場合がある。
また、そのようなペンタメチレンジイソシアネート(後述)やイソシアネート変性体(後述)と、活性水素化合物(後述)とを反応させ、ポリウレタン樹脂を製造する場合にも、やはり、得られるポリウレタン樹脂の物性(例えば、機械強度、耐薬品性など)に劣る場合がある。
そのため、抽出溶媒として、好ましくは、非ハロゲン系有機溶剤、さらに好ましくは、非ハロゲン脂肪族系有機溶剤が挙げられる。
ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、非ハロゲン脂肪族系有機溶剤により抽出する場合には、得られるペンタメチレンジアミンまたはその塩を用いて、ペンタメチレンジイソシアネートを製造する場合に、優れた性質を備えるイソシアネート変性体や、優れた性質を備えるポリウレタン樹脂を効率良く製造することができるペンタメチレンジイソシアネートを、製造することができる。
また、本発明において、抽出溶媒の沸点は、例えば、60〜250℃、好ましくは、80〜200℃、さらに好ましくは、90〜150℃である。
抽出溶媒の沸点が、上記下限未満であると、ペンタメチレンジアミン水溶液から抽出により、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を得る際に、抽出溶媒との分離が困難となる場合がある。
一方、抽出溶媒の沸点が、上記上限を超過すると、抽出溶媒とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物からペンタメチレンジアミンまたはその塩を得る際に、分離工程での消費エネルギーが増大する場合がある。
また、ペンタメチレンジアミン水溶液からペンタメチレンジアミンまたはその塩を得る方法としては、上記の抽出に限定されず、例えば、蒸留など、公知の単離精製方法を採用することもできる。
(12)1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造方法
また、本発明は、このようにして得られた1,5−ペンタメチレンジアミン(またはその塩)から1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(以下、単にペンタメチレンジイソシアネート、PDIと称する場合がある。)を製造する方法を含んでいる。
1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを合成する方法としては、例えば、1,5−ペンタメチレンジアミン(またはその塩)をホスゲン化する方法(以下、ホスゲン化法と称する場合がある。)や、1,5−ペンタメチレンジアミン((またはその塩))をカルバメート化し、その後、熱分解する方法(以下、カルバメート化法と称する場合がある。)などが挙げられる。
ホスゲン化法として、より具体的には、例えば、ペンタメチレンジアミンを直接ホスゲンと反応させる方法(以下、冷熱二段ホスゲン化法と称する場合がある。)や、ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を不活性溶媒(後述)中に懸濁させてホスゲンと反応させる方法(以下、アミン塩酸塩のホスゲン化法と称する場合がある。)などが挙げられる。
冷熱二段ホスゲン化法では、例えば、まず、撹拌可能とされ、かつ、ホスゲン導入管を備えた反応器に、不活性溶媒を装入し、反応系内の圧力を、例えば、常圧〜1.0MPa、好ましくは、常圧〜0.5MPaとし、また、温度を、例えば、0〜80℃、好ましくは、0〜60℃とする。
不活性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの脂肪酸エステル類、例えば、サリチル酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、安息香酸メチルなどの芳香族カルボン酸エステル類、例えば、モノジクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの塩素化芳香族炭化水素類、例えば、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素化炭化水素類などが挙げられる。
これら不活性溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
不活性溶媒の配合量(総量)は、原料であるペンタメチレンジアミン100質量部に対して、例えば、400〜3000質量部、好ましくは、500〜2000質量部である。
次いで、この方法では、ホスゲンを、ペンタメチレンジアミンのアミノ基1つに対して、例えば、1〜10倍モル、好ましくは、1〜6倍モル導入し、上記の不活性溶媒に溶解したペンタメチレンジアミンを添加する。また、この間、反応液を、例えば、0〜80℃、好ましくは、0〜60℃に維持するとともに、発生する塩化水素を、還流冷却器を通じて反応系外に放出する(冷ホスゲン化反応)。これにより、反応器の内容物をスラリー状とする。
そして、この冷ホスゲン化反応では、ペンタメチレンジカルバモイルクロリドおよびアミン塩酸塩が生成される。
次いで、この方法では、反応系内の圧力を、例えば、常圧〜1.0MPa、好ましくは、0.05〜0.5MPaとし、例えば、30分〜5時間で、例えば、80〜180℃の温度範囲に昇温する。昇温後、例えば、30分〜8時間反応を継続して、スラリー液を完全に溶解させる(熱ホスゲン化反応)。
なお、熱ホスゲン化反応において、昇温時および高温反応時には、溶解ホスゲンが気化して還流冷却器を通じて反応系外に逃げるため、還流冷却器からの還流量が確認できるまでホスゲンを適宜導入する。
なお、熱ホスゲン化反応終了後、反応系内を、例えば、80〜180℃、好ましくは、90〜160℃において、窒素ガスなどの不活性ガスを導入し、溶解している過剰のホスゲンおよび塩化水素をパージする。
この熱ホスゲン化反応では、冷ホスゲン化反応で生成したペンタメチレンジカルバモイルクロリドが熱分解され、ペンタメチレンジイソシアネートが生成され、さらに、ペンタメチレンジアミンのアミン塩酸塩がホスゲン化され、ペンタメチレンジイソシアネートが生成される。
一方、アミン塩酸塩のホスゲン化法では、ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を十分に乾燥し、微粉砕した後、上記の冷熱二段ホスゲン化法と同様の反応器内で、ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を、上記の不活性溶媒中で撹拌し、分散させて、スラリーとする。
次いで、この方法では、反応温度を、例えば、80〜180℃、好ましくは、90〜160℃、反応圧力を、例えば、常圧〜1.0MPa、好ましくは、0.05〜0.5MPaに維持し、ホスゲンを、例えば、1〜10時間かけて、ホスゲン総量が、例えば、化学量論の1〜10倍になるように導入する。
これにより、ペンタメチレンジイソシアネートを合成することができる。
なお、反応の進行は、発生する塩化水素ガスの量と、上記の不活性溶媒に不溶のスラリーが消失し、反応液が澄明均一になることより推測できる。また、発生する塩化水素は、例えば、還流冷却器を通じて反応系外に放出する。また、反応の終了時には、上記の方法で溶解している過剰のホスゲンおよび塩化水素をパージする。その後、冷却し、減圧下において、不活性溶媒を留去する。
ペンタメチレンジイソシアネートは、加水分解性塩素の濃度(HC)が上昇しやすい傾向にあるため、ホスゲン化法を採用する場合において、HCを低減する必要がある場合には、例えば、ホスゲン化反応させ、脱溶剤させた後、留去させたペンタメチレンジイソシアネートを、例えば、窒素などの不活性ガスを通気しながら、例えば、150℃〜200℃、好ましくは、160〜190℃で、例えば、1〜8時間、好ましくは、3〜6時間加熱処理する。その後、精留処理することによって、ペンタメチレンジイソシアネートのHCを著しく低減することができる。
本発明において、ペンタメチレンジイソシアネートの加水分解性塩素の濃度は、例えば、100ppm以下、好ましくは、80ppm以下、さらに好ましくは、60ppm以下、とりわけ好ましくは、50ppm以下である。
なお、加水分解性塩素の濃度は、例えば、JIS K−1556(2000)の附属書3に記載されている加水分解性塩素の試験方法に準拠して測定することができる。
加水分解性塩素の濃度が100ppmを超過すると、トリマー化(後述)の反応速度が低下し、多量のトリマー化触媒(後述)を必要とする場合があり、トリマー化触媒(後述)を多量に用いると、得られるポリイソシアネート組成物(後述)の黄変度が高くなる場合や、数平均分子量が高くなり、粘度が高くなる場合がある。
また、加水分解性塩素の濃度が100ppmを超過すると、ポリイソシアネート組成物(後述)の貯蔵工程、および、ポリウレタン樹脂(後述)の製造工程において、粘度、色相が大きく変化する場合がある。
カルバメート化法としては、例えば、尿素法などが挙げられる。
尿素法では、例えば、まず、ペンタメチレンジアミンをカルバメート化し、ペンタメチレンジカルバメート(PDC)を生成させる。
より具体的には、反応原料として、ペンタメチレンジアミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとを反応させる。
N−無置換カルバミン酸エステルとしては、例えば、N−無置換カルバミン酸脂肪族エステル類(例えば、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、カルバミン酸プロピル、カルバミン酸iso−プロピル、カルバミン酸ブチル、カルバミン酸iso−ブチル、カルバミン酸sec−ブチル、カルバミン酸tert−ブチル、カルバミン酸ペンチル、カルバミン酸iso−ペンチル、カルバミン酸sec−ペンチル、カルバミン酸ヘキシル、カルバミン酸ヘプチル、カルバミン酸オクチル、カルバミン酸2−エチルヘキシル、カルバミン酸ノニル、カルバミン酸デシル、カルバミン酸イソデシル、カルバミン酸ドデシル、カルバミン酸テトラデシル、カルバミン酸ヘキサデシルなど)、N−無置換カルバミン酸芳香族エステル類(例えば、カルバミン酸フェニル、カルバミン酸トリル、カルバミン酸キシリル、カルバミン酸ビフェニル、カルバミン酸ナフチル、カルバミン酸アントリル、カルバミン酸フェナントリルなど)などが挙げられる。
これらN−無置換カルバミン酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
N−無置換カルバミン酸エステルとして、好ましくは、N−無置換カルバミン酸脂肪族エステル類が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、1〜3級の1価のアルコールが挙げられ、より具体的には、例えば、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類などが挙げられる。
脂肪族アルコール類としては、例えば、直鎖状の脂肪族アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール(1−ブタノール)、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール(1−オクタノール)、n−ノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノールなど)、分岐状の脂肪族アルコール類(例えば、iso−プロパノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ペンタノール、sec−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、iso−デカノールなど)などが挙げられる。
芳香族アルコール類としては、例えば、フェノール、ヒドロキシトルエン、ヒドロキシキシレン、ビフェニルアルコール、ナフタレノール、アントラセノール、フェナントレノールなどが挙げられる。
これらアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルコールとして、好ましくは、脂肪族アルコール類、さらに好ましくは、直鎖状の脂肪族アルコール類が挙げられる。
また、アルコールとして、好ましくは、上記した炭素数4〜7の1価アルコール(直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコール、分岐状の炭素数4〜7の1価アルコール)が挙げられる。
さらには、上記した抽出において、抽出溶媒としてアルコール(炭素数4〜7の1価アルコールなど)が用いられる場合には、好ましくは、そのアルコールを、反応原料アルコールとして用いる。
そして、この方法では、ペンタメチレンジアミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとを配合し、好ましくは、液相で反応させる。
ペンタメチレンジアミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとの配合割合は、特に制限はなく、比較的広範囲において適宜選択することができる。
通常は、尿素およびN−無置換カルバミン酸エステルの配合量、および、アルコールの配合量が、ペンタメチレンジアミンのアミノ基に対して等モル以上あればよく、そのため、尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルや、アルコールそのものを、この反応における反応溶媒として用いることもできる。
また、上記した抽出において抽出溶媒としてアルコール(炭素数4〜7の1価アルコールなど)が用いられる場合には、好ましくは、そのアルコールをそのまま、反応原料および反応溶媒として用いる。
なお、尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルや、アルコールを反応溶媒として兼用する場合には、必要に応じて過剰量の尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルやアルコールが用いられるが、過剰量が多いと、反応後の分離工程での消費エネルギーが増大するので、工業生産上、不適となる。
そのため、尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルの配合量は、カルバメートの収率を向上させる観点から、ペンタメチレンジアミンのアミノ基1つに対して、例えば、0.5〜20倍モル、好ましくは、1〜10倍モル、さらに好ましくは、1〜5倍モルであり、アルコールの配合量は、ペンタメチレンジアミンのアミノ基1つに対して、0.5〜100倍モル、好ましくは、1〜20倍モル、さらに好ましくは、1〜10倍モルである。
また、この方法においては、触媒を用いることもできる。
触媒としては、特に制限されないが、例えば、周期律表第1族(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 22 June 2007)に従う。以下同じ。)金属化合物(例えば、リチウムメタノラート、リチウムエタノラート、リチウムプロパノラート、リチウムブタノラート、ナトリウムメタノラート、カリウム−tert−ブタノラートなど)、第2族金属化合物(例えば、マグネシウムメタノラート、カルシウムメタノラートなど)、第3族金属化合物(例えば、酸化セリウム(IV)、酢酸ウラニルなど)、第4族金属化合物(例えば、チタンテトライソプロパノラート、チタンテトラブタノラート、四塩化チタン、チタンテトラフェノラート、ナフテン酸チタンなど)、第5族金属化合物(例えば、塩化バナジウム(III)、バナジウムアセチルアセトナートなど)、第6族金属化合物(例えば、塩化クロム(III)、酸化モリブデン(VI)、モリブデンアセチルアセトナート、酸化タングステン(VI)など)、第7族金属化合物(例えば、塩化マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)など)、第8族金属化合物(例えば、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、リン酸鉄、シュウ酸鉄、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)など)、第9族金属化合物(例えば、酢酸コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、ナフテン酸コバルトなど)、第10族金属化合物(例えば、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、ナフテン酸ニッケルなど)、第11族金属化合物(例えば、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、ビス−(トリフェニル−ホスフィンオキシド)−塩化銅(II)、モリブデン酸銅、酢酸銀、酢酸金など)、第12族金属化合物(例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセトニルアセタート、オクタン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヘキシル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛など)、第13族金属化合物(例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウム−イソブチラート、三塩化アルミニウムなど)、第14族金属化合物(例えば、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸鉛、リン酸鉛など)、第15族金属化合物(例えば、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、塩化ビスマス(III)など)などが挙げられる。
さらに、触媒としては、例えば、Zn(OSOCF(別表記:Zn(OTf)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSOCH(p−トルエンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(BF、Zn(PF、Hf(OTf)(トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム)、Sn(OTf)、Al(OTf)、Cu(OTf)なども挙げられる。
これら触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、触媒の配合量は、ペンタメチレンジアミン1モルに対して、例えば、0.000001〜0.1モル、好ましくは、0.00005〜0.05モルである。触媒の配合量がこれより多くても、それ以上の顕著な反応促進効果が見られない反面、配合量の増大によりコストが上昇する場合がある。一方、配合量がこれより少ないと、反応促進効果が得られない場合がある。
なお、触媒の添加方法は、一括添加、連続添加および複数回の断続分割添加のいずれの添加方法でも、反応活性に影響を与えることがなく、特に制限されることはない。
また、この反応において、反応溶媒は必ずしも必要ではないが、例えば、反応原料が固体の場合や反応生成物が析出する場合には、溶媒を配合することにより操作性を向上させることができる。
溶媒としては、反応原料であるペンタメチレンジアミン、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、および、アルコールと、反応生成物であるウレタン化合物などに対して不活性であるか反応性に乏しいものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、リグロイン、シクロドデカン、デカリン類など)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、メチルナフタレン、クロロナフタレン、ジベンジルトルエン、トリフェニルメタン、フェニルナフタレン、ビフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニルなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)、カーボネート類(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリルなど)、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタンなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ニトロ化合物類(例えば、ニトロメタン、ニトロベンゼンなど)や、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
さらに、反応溶媒として、例えば、上記した抽出における抽出溶媒も挙げられる。
これら反応溶媒のなかでは、経済性、操作性などを考慮すると、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類が好ましく用いられる。
また、反応溶媒として、好ましくは、上記した抽出における抽出溶媒が挙げられる。
抽出溶媒を反応溶媒として用いることにより、抽出されたペンタメチレンジイソシアネートをそのままカルバメート化反応に供することができ、操作性の向上を図ることができる。
また、このような反応溶媒は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、反応溶媒の配合量は、目的生成物のペンタメチレンジカルバメートが溶解する程度の量であれば特に制限されないが、工業的には、反応液から反応溶媒を回収する必要があるため、その回収に消費されるエネルギーをできる限り低減し、かつ、配合量が多いと、反応基質濃度が低下して反応速度が遅くなるため、できるだけ少ない方が好ましい。より具体的には、ペンタメチレンジアミン1質量部に対して、通常、0.1〜500質量部、好ましくは、1〜100質量部の範囲で用いられる。
また、この反応においては、反応温度は、例えば、100〜350℃、好ましくは、150〜300℃の範囲において適宜選択される。反応温度がこれより低いと、反応速度が低下する場合があり、一方、これより高いと、副反応が増大して目的生成物であるペンタメチレンジカルバメートの収率が低下する場合がある。
また、反応圧力は、通常、大気圧であるが、反応液中の成分の沸点が反応温度よりも低い場合には加圧してもよく、さらには、必要により減圧してもよい。
また、反応時間は、例えば、0.1〜20時間、好ましくは、0.5〜10時間である。反応時間がこれより短いと、目的生成物であるペンタメチレンジカルバメートの収率が低下する場合がある。一方、これより長いと、工業生産上、不適となる。
そして、この反応は、上記した条件で、例えば、反応容器内に、ペンタメチレンジアミン、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、アルコール、および、必要により触媒、反応溶媒を仕込み、攪拌あるいは混合すればよい。そうすると、温和な条件下において、短時間、低コストかつ高収率で、ペンタメチレンジカルバメートが生成する。
なお、得られるペンタメチレンジカルバメートは、通常、原料成分として用いられる上記のペンタメチレンジアミンに対応し、より具体的には、1,5−ペンタメチレンジカルバメートが得られる。
また、この反応においては、アンモニアが副生される。
また、この反応において、N−無置換カルバミン酸エステルを配合する場合には、そのエステルに対応するアルコールが副生される。
なお、この反応において、反応型式としては、回分式、連続式いずれの型式も採用することができる。
また、この反応は、好ましくは、副生するアンモニアを系外に流出させながら反応させる。さらには、N−無置換カルバミン酸エステルを配合する場合には、副生するアルコールを系外に留出させながら反応させる。
これにより、目的生成物であるペンタメチレンジカルバメートの生成を促進し、その収率を、より一層向上することができる。
また、得られたペンタメチレンジカルバメートを単離する場合には、例えば、過剰(未反応)の尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、過剰(未反応)のアルコール、触媒、ペンタメチレンジカルバメート、反応溶媒、副生するアンモニア、場合により副生するアルコールなどを含む反応液から、公知の分離精製方法によって、ペンタメチレンジカルバメートを分離すればよい。
次いで、このペンタメチレンジイソシアネートの製造方法では、得られたペンタメチレンジカルバメートを熱分解して、ペンタメチレンジイソシアネートを製造する。
すなわち、このようなイソシアネートの製造方法では、上記によって得られたペンタメチレンジカルバメートを熱分解し、ペンタメチレンジイソシアネート、および、副生物であるアルコールを生成させる。
なお、得られるペンタメチレンジイソシアネートは、通常、原料成分として用いられる上記のペンタメチレンジアミンに対応し、より具体的には、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートが得られる。
また、アルコールとしては、通常、原料成分として用いられるアルコールと同種のアルコールが、副生する。
この熱分解は、特に限定されず、例えば、液相法、気相法などの公知の分解法を用いることができる。
気相法では、熱分解により生成するペンタメチレンジイソシアネートおよびアルコールは、気体状の生成混合物から、分別凝縮によって分離することができる。また、液相法では、熱分解により生成するペンタメチレンジイソシアネートおよびアルコールは、例えば、蒸留や、担持物質としての溶剤および/または不活性ガスを用いて、分離することができる。
熱分解として、好ましくは、作業性の観点から、液相法が挙げられる。
液相法におけるペンタメチレンジカルバメートの熱分解反応は、可逆反応であるため、好ましくは、熱分解反応の逆反応(ペンタメチレンジイソシアネートとアルコールとのウレタン化反応)を抑制するため、ペンタメチレンジカルバメートを熱分解するとともに、反応混合物からペンタメチレンジイソシアネート、および/または、副生するアルコールを、例えば、気体として抜き出し、それらを分離する。
熱分解反応の反応条件として、好ましくは、ペンタメチレンジカルバメートを良好に熱分解できるとともに、熱分解において生成したペンタメチレンジイソシアネートおよびアルコールが蒸発し、これによりペンタメチレンジカルバメートとペンタメチレンジイソシアネートとが平衡状態とならず、さらには、ペンタメチレンジイソシアネートの重合などの副反応が抑制される条件が挙げられる。
このような反応条件として、より具体的には、熱分解温度は、通常、350℃以下であり、好ましくは、80〜350℃、さらに好ましくは、100〜300℃である。80℃よりも低いと、実用的な反応速度が得られない場合があり、また、350℃を超えると、ペンタメチレンジイソシアネートの重合など、好ましくない副反応を生じる場合がある。また、熱分解反応時の圧力は、上記の熱分解反応温度に対して、生成するアルコールが気化し得る圧力であることが好ましく、設備面および用役面から実用的には、0.133〜90kPaであることが好ましい。
また、この熱分解に用いられるペンタメチレンジカルバメートは、精製したものでもよいが、上記反応(すなわち、ペンタメチレンジアミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとの反応)の終了後に、過剰(未反応)の尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、過剰(未反応)のアルコール、触媒、反応溶媒、副生するアンモニア、場合により副生するアルコールを回収して分離されたペンタメチレンジカルバメートの粗原料を用いて、引き続き熱分解してもよい。
さらに、必要により、触媒および不活性溶媒を添加してもよい。これら触媒および不活性溶媒は、それらの種類により異なるが、上記反応時、反応後の蒸留分離の前後、ペンタメチレンジカルバメートの分離の前後の、いずれかに添加すればよい。
熱分解に用いられる触媒としては、例えば、イソシアネートと水酸基とのウレタン化反応に用いられる、Sn、Sb、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cr、Ti、Pb、Mo、Mnなどから選ばれる1種以上の金属単体またはその酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、リン酸塩、有機金属化合物などの金属化合物などが用いられる。これらのうち、この熱分解においては、Fe、Sn、Co、Sb、Mnが副生成物を生じにくくする効果を発現するため、好ましく用いられる。
Snの金属触媒としては、例えば、酸化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、ギ酸スズ、酢酸スズ、シュウ酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、オレイン酸スズ、リン酸スズ、二塩化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシジスタノキサンなどが挙げられる。
Fe、Co、Sb、Mnの金属触媒としては、例えば、それらの酢酸塩、安息香酸塩、ナフテン酸塩、アセチルアセトナート塩などが挙げられる。
なお、触媒の配合量は、金属単体またはその化合物として、反応液に対して、例えば、0.0001〜5質量%の範囲、好ましくは、0.001〜1質量%の範囲である。
また、不活性溶媒は、少なくとも、ペンタメチレンジカルバメートを溶解し、ペンタメチレンジカルバメートおよびイソシアネートに対して不活性であり、かつ、熱分解における温度において安定であれば、特に制限されないが、熱分解反応を効率よく実施するには、生成するイソシアネートよりも高沸点であることが好ましい。このような不活性溶媒としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシルなどのエステル類、例えば、ジベンジルトルエン、トリフェニルメタン、フェニルナフタレン、ビフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニルなどの熱媒体として常用される芳香族系炭化水素や脂肪族系炭化水素などが挙げられる。
また、不活性溶媒は、市販品としても入手可能であり、例えば、バーレルプロセス油B−01(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルプロセス油B−03(芳香族炭化水素類、沸点:280℃)、バーレルプロセス油B−04AB(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルプロセス油B−05(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルプロセス油B−27(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルプロセス油B−28AN(芳香族炭化水素類、沸点:430℃)、バーレルプロセス油B−30(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルサーム200(芳香族炭化水素類、沸点:382℃)、バーレルサーム300(芳香族炭化水素類、沸点:344℃)、バーレルサーム400(芳香族炭化水素類、沸点:390℃)、バーレルサーム1H(芳香族炭化水素類、沸点:215℃)、バーレルサーム2H(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルサーム350(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルサーム470(芳香族炭化水素類、沸点:310℃)、バーレルサームPA(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルサーム330(芳香族炭化水素類、沸点:257℃)、バーレルサーム430(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、(以上、松村石油社製)、NeoSK−OIL1400(芳香族炭化水素類、沸点:391℃)、NeoSK−OIL1300(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、NeoSK−OIL330(芳香族炭化水素類、沸点:331℃)、NeoSK−OIL170(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、NeoSK−OIL240(芳香族炭化水素類、沸点:244℃)、KSK−OIL260(芳香族炭化水素類、沸点:266℃)、KSK−OIL280(芳香族炭化水素類、沸点:303℃)、(以上、綜研テクニックス社製)などが挙げられる。
不活性溶媒の配合量は、ペンタメチレンジカルバメート1質量部に対して、例えば、0.001〜100質量部の範囲、好ましくは、0.01〜80質量部、さらに好ましくは、0.1〜50質量部の範囲である。
また、この熱分解反応は、ペンタメチレンジカルバメート、触媒および不活性溶媒を一括で仕込む回分反応、また、触媒を含む不活性溶媒中に、減圧下でペンタメチレンジカルバメートを仕込んでいく連続反応のいずれでも実施することができる。
また、熱分解では、ペンタメチレンジイソシアネートおよびアルコールが生成するとともに、副反応によって、例えば、アロファネート、アミン類、尿素、炭酸塩、カルバミン酸塩、二酸化炭素などが生成する場合があるため、必要により、得られたペンタメチレンジイソシアネートは、公知の方法により精製される。
また、カルバメート法としては、詳しくは述べないが、上記した尿素法の他、公知のカーボネート法、すなわち、ペンタメチレンジアミンと、炭酸ジアルキルあるいは炭酸ジアリールとからペンタメチレンジカルバメートを合成し、そのペンタメチレンジカルバメートを、上記と同様に熱分解して、ペンタメチレンジイソシアネートを得る方法などを採用することもできる。
このようにして得られる本発明のペンタメチレンジイソシアネートの純度は、例えば、95〜100質量%、好ましくは、97〜100質量%、さらに好ましくは98〜100質量%、とりわけ好ましくは、99〜100質量%、最も好ましくは、99.5〜100質量%である。
また、ペンタメチレンジイソシアネートには、例えば、安定剤などを添加することができる。
安定剤としては、例えば、酸化防止剤、酸性化合物、スルホンアミド基を含有する化合物、有機亜リン酸エステルなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、具体的には、例えば、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−メチリデン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−[4−メチル−6−(1−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル]−メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル−メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、N,N’−ヘキサメチレン−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−ブタン、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メシチレン、エチレングリコール−ビス−[3,3−ビス−(3’−t−ブチルー4’−ヒドロキシフェニル)−ブチレート、2,2’−チオジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジ−(3−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ジシクロペンタジエン、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベジルホスホネート、トリエチレングリコール−ビス−3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオネート、さらには、例えば、IRGANOX1010、IRGANOX1076、IRGANOX1098、IRGANOX1135、IRGANOX1726、IRGANOX245、IRGANOX3114、IRGANOX3790(以上、BASFジャパン社製、商品名)などが挙げられる。
これら酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸性化合物としては、例えば、有機酸性化合物が挙げられ、具体的には、例えば、リン酸エステル、亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、スルホン酸、スルホン酸エステル、フェノール、エノール、イミド、オキシムなどが挙げられる。
これら酸性化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
スルホンアミド基を含有する化合物としては、例えば、芳香族スルホンアミド類、脂肪族スルホンアミド類などが挙げられる。
芳香族スルホンアミド類としては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、ジメチルベンゼンスルホンアミド、スルファニルアミド、o−およびp−トルエンスルホンアミド、ヒドロキシナフタレンスルホンアミド、ナフタレン−1−スルホンアミド、ナフタレン−2−スルホンアミド、m−ニトロベンゼンスルホンアミド、p−クロロベンゼンスルホンアミドなどが挙げられる。
脂肪族スルホンアミド類としては、例えば、メタンスルホンアミド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジメチルエタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、N−メトキシメタンスルホンアミド、N−ドデシルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−1−ブタンスルホンアミド、2−アミノエタンスルホンアミドなどが挙げられる。
これらスルホンアミド基を含有する化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
有機亜リン酸エステルとしては、例えば、有機亜リン酸ジエステル、有機亜リン酸トリエステルなどが挙げられ、より具体的には、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイトなどのモノフォスファイト類、例えば、ジステアリル・ペンタエリスリチル・ジホスファイト、ジ・ドデシル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ジ・トリデシル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ジノニルフェニル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、テトラフェニル・テトラ・トリデシル・ペンタエリスリチル・テトラホスファイト、テトラフェニル・ジプロピレングリコール・ジホスファイト、トリペンタエリスリトール・トリホスファイトなどの多価アルコールから誘導されたジ、トリあるいはテトラホスファイト類、さらに、例えば、炭素数が1〜20のジ・アルキル・ビスフェノールA・ジホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ・トリデシル)ホスファイトなどのビスフェノール系化合物から誘導されたジホスファイト類、例えば、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー(分子量2400〜3000)などのポリホスファイト類、例えば、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトなどが挙げられる。
これら有機亜リン酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
安定剤として、好ましくは、酸化防止剤、酸性化合物、スルホンアミド基を含有する化合物が挙げられる。さらに好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネートに、酸化防止剤と、酸性化合物および/またはスルホンアミド基を含有する化合物とを配合し、含有させる。
これら安定剤を添加することにより、そのペンタメチレンジイソシアネートを用いて得られるイソシアネート変性体(後述)の、貯蔵安定性の向上を図ることができる。
なお、安定剤の配合割合は、特に制限されず、必要および用途に応じて、適宜設定される。
具体的には、酸化防止剤の配合割合は、ペンタメチレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、0.0005〜0.05質量部である。
また、酸性化合物および/またはスルホンアンド基を含有する化合物の配合割合(併用される場合には、それらの総量)は、ペンタメチレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、0.0005〜0.02質量部である。
(13)ポリイソシアネート組成物の製造方法
また、本発明は、さらに、ポリイソシアネート組成物の製造方法を含んでいる。
ポリイソシアネート組成物は、より具体的には、ペンタメチレンジイソシアネートを変性することにより得られ、下記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有している。
(a)イソシアヌレート基
(b)アロファネート基
(c)ビウレット基
(d)ウレタン基
(e)ウレア基
上記(a)の官能基(イソシアヌレート基)を含有するポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートのトリマー(三量体)であって、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートを公知のイソシアヌレート化触媒の存在下において反応させ、三量化することにより、得ることができる。
上記(b)の官能基(アロファネート基)を含有するポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体であって、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートとモノアルコールとを反応させた後、公知のアロファネート化触媒の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。
上記(c)の官能基(ビウレット基)を含有するポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートのビウレット変性体であって、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと、例えば、水、第三級アルコール(例えば、t−ブチルアルコールなど)、第二級アミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)などとを反応させた後、公知のビウレット化触媒の存在下でさらに反応させることにより、得ることができる。
上記(b)の官能基(ウレタン基)を含有するポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートのポリオール変性体であって、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートとポリオール成分(例えば、トリメチロールプロパンなど。詳しくは後述)との反応により、得ることができる。
上記(e)の官能基(ウレア基)を含有するポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートのポリアミン変性体であって、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと水、ポリアミン成分(後述)などとの反応により、得ることができる。
なお、ポリイソシアネート組成物は、上記(a)〜(e)の官能基を少なくとも1種含有していればよく、2種以上含有することもできる。そのようなポリイソシアネート組成物は、上記の反応を適宜併用することにより、生成される。
ポリイソシアネート組成物として、好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネートのトリマー(イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート組成物)が挙げられる。
なお、ペンタメチレンジイソシアネートのトリマーは、イソシアヌレート基の他、さらに、イミノオキサジアジンジオン基などを有するポリイソシアネートを、含んでいる。
そして、上記のペンタメチレンジイソシアネート、および/または、上記のポリイソシアネート組成物と、活性水素化合物とを反応させることにより、ポリウレタン樹脂を得ることができる。
活性水素化合物としては、例えば、ポリオール成分(水酸基を2つ以上有するポリオールを主として含有する成分)、ポリアミン成分(アミノ基を2つ以上有するポリアミンを主として含有する化合物)などが挙げられる。
本発明において、ポリオール成分としては、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(炭素数7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリプロピレングリコールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールまたは芳香族/脂肪族ポリアミンを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)などが挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(C11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、植物由来のポリエステルポリオール、具体的には、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類や、例えば、L−ラクチド、D−ラクチドなどのラクチド類などを開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
また、ポリウレタンポリオールは、例えば、上記により得られたポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基(NCO)に対する水酸基(OH)の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、ポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
エポキシポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールなどが挙げられる。
植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、または、ひまし油脂肪酸とポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレートと、ヒドロキシル基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体などが挙げられる。
ヒドロキシル基含有アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
また、その他、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが挙げられる。
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
ビニルモノマー変性ポリオールは、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールから選択される高分子量ポリオールが挙げられる。
また、ビニルモノマーとしては、例えば、上記したアルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニルまたはシアン化ビニリデンなどが挙げられる。これらビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
そして、ビニルモノマー変性ポリオールは、これら高分子量ポリオール、および、ビニルモノマーを、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ系化合物など)の存在下などにおいて反応させることにより得ることができる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられ、とりわけ好ましくは、植物由来のポリエステルポリオールが挙げられる。
これらポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリアミン成分としては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、アミノアルコール、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンなどが挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミンなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジアミンまたはその混合物などが挙げられる。
脂環族ポリアミンとしては、例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびそれらの混合物などが挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン(水和物を含む。)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンなどが挙げられる。
アミノアルコールとしては、例えば、N−(2−アミノエチル)エタノールアミンなどが挙げられる。
第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有モノアミン、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミンなどのポリオキシアルキレンエーテルジアミンなどが挙げられる。より具体的には、例えば、日本油脂社製のPEG#1000ジアミンや、ハンツマン社製のジェファーミンED―2003、EDR−148、XTJ−512などが挙げられる。
これらポリアミン成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、本発明では、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、さらには、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合・溶解時に添加してもよく、さらには、合成後に添加することもできる。
そして、ポリウレタン樹脂は、例えば、バルク重合や溶液重合などの重合方法により製造することができる。
バルク重合では、例えば、窒素気流下において、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物を撹拌しつつ、これに、活性水素化合物を加えて、反応温度、例えば、50〜250℃、さらに好ましくは、50〜200℃で、例えば、0.5〜15時間程度反応させる。
溶液重合では、有機溶剤に、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物、活性水素化合物を加えて、反応温度、例えば、50〜120℃、さらに好ましくは、50〜100℃で、例えば、0.5〜15時間程度反応させる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
さらに、有機溶剤としては、例えば、非極性溶剤(非極性有機溶剤)が挙げられ、これら非極性溶剤としては、脂肪族、ナフテン系炭化水素系有機溶剤を含む、アニリン点が、例えば、10〜70℃、好ましくは、12〜65℃の、低毒性で溶解力の弱い非極性有機溶剤や、ターペン油に代表される植物性油などが挙げられる。
かかる非極性有機溶剤は、市販品として入手可能であり、そのような市販品としては、例えば、ハウス(シェル化学社製、アニリン点15℃)、スワゾール310(丸善石油社製、アニリン点16℃)、エッソナフサNo.6(エクソン化学社製、アニリン点43℃)、ロウス(シェル化学社製、アニリン点43℃)、エッソナフサNo.5(エクソン社製、アニリン点55℃)、ペガゾール3040(モービル石油社製、アニリン点55℃)などの石油炭化水素系有機溶剤、その他、メチルシクロヘキサン(アニリン点40℃)、エチルシクロヘキサン(アニリン点44℃)、ガムテレピンN(安原油脂社製、アニリン点27℃)などのターペン油類などが挙げられる。
さらに、上記重合反応においては、必要に応じて、例えば、ウレタン化触媒を添加することができる。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫系化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられる。
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、上記重合反応においては、(未反応の)ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去することができる。
バルク重合および溶液重合では、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物と、活性水素化合物とを、活性水素化合物中の活性水素基(水酸基、アミノ基)に対するペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.75〜1.3、好ましくは、0.9〜1.1となるように配合する。
また、上記重合反応をより工業的に実施する場合には、ポリウレタン樹脂は、その用途に応じて、例えば、ワンショット法およびプレポリマー法などの公知の方法により、得ることができる。また、その他の方法により、ポリウレタン樹脂を、例えば、水系ディスパージョン(PUD)などとして得ることもできる。
ワンショット法では、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物と活性水素化合物とを、活性水素化合物中の活性水素基(水酸基、アミノ基)に対するペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.75〜1.3、好ましくは、0.9〜1.1となるように処方(混合)した後、例えば、室温〜250℃、好ましくは、室温〜200℃で、例えば、5分〜72時間、好ましくは、4〜24時間硬化反応させる。なお、硬化温度は、一定温度であってもよく、あるいは、段階的に昇温または冷却することもできる。
また、プレポリマー法では、例えば、まず、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物と活性水素化合物の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)とを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素化合物の残部(好ましくは、低分子量ポリオールおよび/またはポリアミン成分)とを反応させて、硬化反応させる。なお、プレポリマー法において、活性水素化合物の残部は、鎖伸長剤として用いられる。
イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物と活性水素化合物の一部とを、活性水素化合物の一部中の活性水素基に対するペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.1〜20、好ましくは、1.3〜10、さらに好ましくは、1.3〜6となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば、室温〜150℃、好ましくは、50〜120℃で、例えば、0.5〜18時間、好ましくは、2〜10時間反応させる。なお、この反応においては、必要に応じて、上記したウレタン化触媒を添加してもよく、また、反応終了後には、必要に応じて、未反応のペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により、除去することもできる。
次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素化合物の残部とを反応させるには、イソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素化合物の残部とを、活性水素化合物の残部中の活性水素基に対するイソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、0.75〜1.3、好ましくは、0.9〜1.1となるように処方(混合)し、例えば、室温〜250℃、好ましくは、室温〜200℃で、例えば、5分〜72時間、好ましくは、1〜24時間硬化反応させる。
また、ポリウレタン樹脂を水系ディスパージョンとして得るには、例えば、まず、ペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート組成物と、後述する親水基を含有する活性水素化合物(以下、親水基含有活性水素化合物と略する。)を含む活性水素化合物とを反応させることにより、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。
次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを水中で反応させて分散させる。これによって、イソシアネート基末端プレポリマーが鎖伸長剤によって鎖伸長された水性ポリウレタン樹脂を、内部乳化型の水系ディスパージョンとして得ることができる。
イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを水中で反応させるには、例えば、まず、イソシアネート基末端プレポリマーを水に添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを分散させる。次いで、これに鎖伸長剤を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長する。
親水基含有活性水素化合物は、親水基と活性水素基とを併有する化合物であって、親水基としては、例えば、アニオン性基(例えば、カルボキシル基など)、カチオン性基、ノニオン性基(例えば、ポリオキシエチレン基など)が挙げられる。親水基含有活性水素化合物として、より具体的には、カルボン酸基含有活性水素化合物、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物などが挙げられる。
カルボン酸基含有活性水素化合物としては、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸、例えば、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸、または、それらの金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。
ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物は、主鎖または側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の活性水素基を有する化合物であって、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオール(側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の活性水素基を有する化合物)などが挙げられる。
これら親水基含有活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
鎖伸長剤としては、例えば、上記した2価アルコール、上記した3価アルコールなどの低分子量ポリオール、例えば、脂環族ジアミン、脂肪族ジアミンなどのジアミンなどを使用することができる。
これら鎖伸長剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
このように、親水基含有活性水素化合物を含む活性水素化合物を使用する場合には、必要により、親水基を公知の中和剤で中和する。
また、活性水素化合物として、親水基含有活性水素化合物を使用しない場合には、例えば、公知の界面活性剤を用いて乳化することにより、外部乳化型の水系ディスパージョンとして得ることができる。
そして、高生産速度、高反応収率および高品質で得られる1,5−ペンタメチレンジアミンを原料とした、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネート組成物およびポリウレタン樹脂は、例えば、ポリカーボネート、ABS、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリオレフィンなどへの各種プラスチックコート材料、太陽電池のバックシート部材へのコーティング原材料や自動車、二輪車などへの外装、金属などへのコート材料、インキなどのバインダーにも好適に使用できる。また、イソシアネート基あるいは水酸基末端のポリウレタンプレポリマーに誘導することにより、ラミネート工法や工業用、住宅・建築用接着材料やシーリング材料にも適用できる。さらには、熱可塑性あるいは熱硬化性ポリウレタンエラストマーとして、フィルム、シート、チューブ、ホース、パウダーあるいは柔軟なゲルなどにも誘導でき、各種産業用途、例えば、医療、衣料、工業部材、電子・電気部材、化粧品などのヘルスケア分野にも展開できる。また、アミノ基を有した化合物と本イソシアネートおよびポリイソシアネート組成物を反応させることにより、各種香料、薬剤などのカプセル材にも適用できる。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。
なお、L−リジンおよび1,5−ペンタメチレンジアミンは高速液体クロマトグラフ(HPLC)により定量した。これらの分析条件およびリジン脱炭酸酵素活性の測定方法は次の通りである。
<1,5−ペンタメチレンジアミンの分析条件>
カラム:Asahipak ODP−50 4E(昭和電工社製)
カラム温度:40℃
溶離液:0.2M リン酸ナトリウム(pH7.7)+2.3mM 1−オクタンスルホン酸ナトリウム
溶離液の流量:0.5mL/min
検出には、オルトフタルアルデヒドを用いたポストカラム誘導体化法〔J.Chromatogr.,83,353−355(1973)〕を用いた。
<リジン脱炭酸酵素活性の測定方法>
200mM L−リジン一塩酸塩および0.15mM ピリドキサールリン酸(広島和光工業社製)を含む200mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に、菌体懸濁液またはその処理物を添加して、合計0.2mLとし、37℃で6分間反応した。反応液に、0.2M 塩酸を1mL添加して、反応を停止した。この反応停止液を水で適当に希釈し、生成した1,5−ペンタメチレンジアミンを、HPLCにより定量した。
活性の単位は、1分間に1μmolの1,5−ペンタメチレンジアミンを生成する活性を、1unitとした。
<ペンタメチレンジイソシアネート濃度(単位:質量%)>
後述する実施例13で得られたペンタメチレンジイソシアネートを用い、以下のHPLC分析条件下で得られたクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、ポリイソシアネート組成物中のペンタメチレンジイソシアネートの濃度を算出した。
装置:Prominence(島津製作所社製)
1) ポンプ LC−20AT
2) デガッサ DGU−20A3
3) オートサンプラ SIL−20A
4) カラム恒温槽 COT−20A
5) 検出器 SPD−20A
カラム:SHISEIDO SILICA SG−120
カラム温度:40℃
溶離液:n−ヘキサン/メタノール/1,2−ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
流量:0.2mL/min
検出方法:UV 225nm
<イソシアネート基の転化率(単位:%)>
イソシアネート基の転化率は、以下のGPC測定条件において得られたクロマトグラムにより、全ピーク面積に対するペンタメチレンジイソシアネートのピークよりも高分子量側にあるピークの面積の割合を、イソシアネート基の転化率とした。
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:G1000HXL、G2000HXLおよびG3000HXL(以上、商品名、東ソー社製)を直列に連結
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.8mL/min
検出方法:示差屈折率
標準物質:ポリエチレンオキシド(東ソー社製、商品名:TSK標準ポリエチレンオキシド)
<イソシアネート3量体濃度(単位:質量%)>
上記した(イソシアネート基の転化率)と同様の測定を行い、ペンタメチレンジイソシアネートの3倍の分子量に相当するピーク面積比率を、イソシアネート3量体濃度とした。
<イソシアネート基濃度(単位:質量%)>
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基濃度は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠したn−ジブチルアミン法により、測定した。
<粘度(単位:mPa・s)>
東機産業社製のE型粘度計TV−30を用いて、ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度を測定した。
<色相(単位:APHA)>
JIS K−0071に準拠した方法により、ポリイソシアネート組成物の色相を測定した。
(参考例1)
[リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニング]
Escherichia coli W3110株(ATCC27325)から常法に従い調製したゲノムDNAをPCRの鋳型に用いた。
PCR用のプライマーには、リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)(GenBank Accession No.AP009048)の塩基配列に基づいて設計した配列番号1および2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いた。これらのプライマーは、5’末端付近にそれぞれKpnIおよびXbaIの制限酵素認識配列を有する。
上記のゲノムDNA1ng/μLおよび各プライマー0.5pmol/μLを含む25μLのPCR反応液を用いて、変性:94℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、2分間からなる反応サイクルを30サイクルの条件でPCRを行った。
PCR反応産物およびプラスミドpUC18(タカラバイオ社製)をKpnIおよびXbaIで消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡社製)を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、Eschrichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体を、アンピシリン(Am)100μg/mLおよびX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性でかつ白色コロニーとなった形質転換体を得た。このようにして得られた形質転換体よりプラスミドを抽出した。
通常の塩基配列の決定法に従い、プラスミドに導入されたDNA断片の塩基配列が配列表の配列番号3に示す塩基配列であることを確認した。
得られたリジン脱炭酸酵素をコードするDNAを持つプラスミドをpCADA1と命名した。
また、配列表の配列番号3に記載のDNA配列をアミノ酸配列に翻訳した配列を、配列表の配列番号4に示した。
[形質転換体の調製]
pCADA1を用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADA1と命名した。
該形質転換体を2Lのバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にて26.5時間振盪培養した。その後、培養液を8000rpmで10分間遠心分離し、菌体を回収した(乾燥菌体換算濃度は31%(w/w))。
[触媒菌体の超音波破砕物の調製]
得られた形質転換体W/pCADA1の回収菌体を希釈液(0.15mM ピリドキサールリン酸および5g/L ウシアルブミン(SIGMA社製)を含む10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0))に懸濁し、菌体懸濁液を調製した。そして、菌体懸濁液をそれぞれバイオラピュター(オリンパス社製)により氷水中で15分間破砕した。
[触媒死菌体の調製]
形質転換体W/pCADA1の回収菌体を水に懸濁し、乾燥菌体換算濃度12.5質量%の菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液を58℃の湯浴で30分間保温し、熱処理を施し、使用するまで−20℃で凍結保存した。
[還元剤添加による触媒死菌体の調製]
形質転換体W/pCADA1の回収菌体を水に懸濁し、乾燥菌体換算濃度12.5質量%の菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液に亜硫酸ナトリウムを1.0g/Lとなるように加え58℃の湯浴で30分間保温し、熱処理を施し、使用するまで−20℃で凍結保存した。
[酵素活性の測定]
精製酵素は上記の方法で形質転換体を培養し、回収した菌体をSaboら(Biochemistry 13(1974)pp.662−670.)の方法により精製した。精製した酵素の酵素活性を測定したところ1000unit/mgの精製酵素が得られた。
また、触媒死菌体の活性を測定したところ、100unit/mg−乾燥菌体(Dry Cell)であった。
(参考例2)
[変異酵素の作製]
pCADA1を鋳型として表1〜6に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いて、PCRを行った。
即ち、pCADA1を鋳型として配列表の配列番号5と配列番号6を用いて変性:96℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、5分間20秒からなる反応サイクルを16サイクルの条件でPCRを行った。
得られた増幅断片をDpnI処理し、ライゲーション・ハイを用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、または、DpnI処理した増幅断片を直接コンピテントセルDH5αに添加し、大腸菌DH5α株を形質転換した。作成した株よりプラスミドを調製して塩基配列を決定し目的の塩基が置換されていることを確認した。得られたプラスミドをpCAD2と命名した。
同様にpCAD3からpCAD20およびpCAD23からpCAD119のプラスミドを構築した。使用したオリゴヌクレオチドの配列を表1〜6に示す。
pCADA2からpCADA20を用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADA2〜W/pCADA20と命名した。同様にpCAD23からpCAD119を用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADA23〜W/pCADA119と命名した。
該形質転換体を2Lのバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にて26.5時間振盪培養した。その後、培養液を8000rpmで10分間遠心分離し、菌体を回収した(乾燥菌体換算濃度は31質量%)。
触媒菌体の超音波破砕物の調製及び触媒死菌体の調製は参考例1の方法に従った。
また、変異酵素の変異前と変異後との対応関係を、表7〜9に示す。

(参考例3)
[多重変異株の作成]
pCADA5を鋳型として配列番号19および20に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いて、PCRを行った。
そして、変性:96℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、5分間20秒からなる反応サイクルを16サイクルの条件でPCRを行った。
得られた増幅断片をDpnI処理し、ライゲーション・ハイを用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、大腸菌DH5α株を形質転換した。作成した株よりプラスミドを調製して塩基配列を決定し目的の塩基が置換されていることを確認した。このプラスミドを鋳型として同様に配列番号35および36に示す塩基配列を用いて同様にプラスミドを作製し、さらにこのプラスミドに配列番号41および42に示す塩基配列を用いて上記の方法でプラスミドを作製することにより4重変異体の配列をもつプラスミドpCADA21を作製した。得られた4重変異体のDNA配列を配列表の配列番号43に示す。アミノ酸配列を配列表の配列番号44に示す。
さらにこのプラスミドに配列番号9および10に示す塩基配列を用いて上記の方法でプラスミドを作製することにより5重変異体の配列をもつプラスミドpCADA22を作製した。このプラスミドを通常の方法でEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADA21およびW/pCADA22と命名した。得られた5重変異体のDNA配列を配列表の配列番号45に示す。アミノ酸配列を配列表の配列番号46に示す。
次にpCADA73を鋳型として配列番号235および236に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いて、PCRを行った。そして、変性:96℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、5分間20秒からなる反応サイクルを16サイクルの条件でPCRを行った。得られた増幅断片をDpnI処理し、この断片を用いて、大腸菌DH5α株を形質転換した。作成した株よりプラスミドを調製して塩基配列を決定し目的の塩基が置換されていることを確認した。得られたプラスミドをpCADA120と命名した。
次にpCADA95を鋳型として配列番号227および228に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いて、PCRを行った。そして、変性:96℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、5分間20秒からなる反応サイクルを16サイクルの条件でPCRを行った。得られた増幅断片をDpnI処理し、この断片を用いて、大腸菌DH5α株を形質転換した。作成した株よりプラスミドを調製して塩基配列を決定し目的の塩基が置換されていることを確認した。得られたプラスミドをpCADA121と命名した。
次にpCADA113を鋳型として配列番号235および236に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いて、PCRを行った。そして、変性:96℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、5分間20秒からなる反応サイクルを16サイクルの条件でPCRを行った。得られた増幅断片をDpnI処理し、この断片を用いて、大腸菌DH5α株を形質転換した。作成した株よりプラスミドを調製して塩基配列を決定し目的の塩基が置換されていることを確認した。得られたプラスミドをpCADA122と命名した。
これらのプラスミド、pCADA120、pCADA121、pCADA122を通常の方法でEscherichia coli W3110株を形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADA120、W/pCADA121、およびW/pCADA122と命名した。
該形質転換体を2Lのバッフル付き三角フラスコ中のアンピシリン100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にて26.5時間振盪培養した。その後、培養液を8000rpmで10分間遠心分離し、菌体を回収した(乾燥菌体換算濃度は31質量%)。
触媒菌体の超音波破砕物の調製および触媒死菌体の調製は参考例1の方法に従った。
(実施例4)
[窒素置換の反応例:野生型酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、窒素ガスを反応液に通気(0.3L/hr)し、溶存酸素センサー(発酵用酸素電極(CSL−1、エイブル社製)による溶存酸素濃度が0ppmとなるまで攪拌(1時間)した。このときの反応液中のpHは、5.6であった。次に、参考例1で調製したW/pCADA1の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、7.9であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、窒素ガスで置換しない場合の反応収率は95%であった。
(実施例5)
[窒素置換の反応例:4重変異酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、窒素ガスを反応液に通気(0.3L/hr)し、溶存酸素センサーにより溶存酸素濃度が0ppmとなるまで攪拌(1時間)した。このときの反応液中のpHは、5.6であった。次に、実施例3で調製したW/pCADA21の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、8.0であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、窒素ガスで置換しない場合の反応収率は、96%であった。
(実施例6)
[窒素置換の反応例:5重変異酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、窒素ガスを反応液に通気(0.3L/hr)し、溶存酸素センサーにより溶存酸素濃度が0ppmとなるまで攪拌(1時間)した。このときの反応液中のpHは、5.6であった。次に、実施例3で調製したW/pCADA22の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、8.0であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、窒素ガスで置換しない場合の反応収率は、96%であった。
(実施例7)
[還元剤添加の反応例:野生型酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が10質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、亜硫酸ナトリウム、ディチオスレイトール、ハイドロサルファイトナトリウムをそれぞれが1.0g/Lとなるように添加し、溶存酸素センサーにより溶存酸素濃度が0ppmとなるまで攪拌した。このときの反応液中のpHは、5.6であった。次に、参考例1で調製したW/pCADA1の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0036g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0003g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、亜硫酸ナトリウムを添加しない場合の反応収率は、90%であった。
(実施例8)
[窒素による部分置換の反応例:野生型酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、窒素ガスを反応液に通気(0.3L/hr)し、溶存酸素センサー(発酵用酸素電極(CSL−1、エイブル社製)による溶存酸素濃度が5ppmとなるまで攪拌した。このときの反応液中のpHは、5.6であった。
次に、参考例1で調製したW/pCADA1の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、7.9であった。
このときの反応収率は、98%であった。
なお、窒素ガスで置換しない場合の反応収率は95%であった。
(実施例9)
[亜硫酸ナトリウム添加の反応例:野生型酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、亜硫酸ナトリウムを1.7g/Lとなるように添加し、溶存酸素センサーにより溶存酸素濃度が0ppmとなるまで攪拌した。このときの反応液中のpHは、5.6であった。次に、参考例1で調製したW/pCADA1の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、8.0であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、亜硫酸ナトリウムを添加しない場合の反応収率は、95%であった。
(実施例10)
[亜硫酸ナトリウム添加の反応例:単独変異型酵素]
W/pCADA1、および、W/pCADA23〜119を3mlのLB培地(Difco Cat.244620)を入れた試験管に植菌し、IPTG(イソプロピルーβーチオガラクトピラノシド)が0.1mMとなるように添加し、33℃、200rpmで24時間培養した。得られた培養液1mlを1.5mlチューブに入れ、使用するまで−20℃で保存した。10質量%となるようにリジン塩酸塩(Wako)を溶解し、亜硫酸ナトリウムを1.7g/Lとなるように加えた液をそれぞれ5mlとり、15mlスクリューキャップつきのPP容器に入れ、0.4%PLP水溶液を50μl、及び上記で凍らせた培養液を溶解した後、良く攪拌したものを200μl添加した。
反応は容器を振盪方向に並行、水平に設置し、200rpm、45℃、2時間反応を行った。反応液に2M塩酸を1mL添加して反応を停止した。この反応停止液を水で適当に希釈し、生成した1、5−ペンタメチレンジアミンをHPLCにより定量した。
反応収率は、何れの変異型酵素も亜硫酸ナトリウムを添加しなかった反応に比べて1.3倍以上高い収率を示した。
(実施例11)
[亜硫酸ナトリウム添加の反応例:4重変異酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、亜硫酸ナトリウムを1.7g/Lとなるように添加した。次に、実施例3で調製したW/pCADA21の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、8.0であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、亜硫酸ナトリウムを添加しない場合の反応収率は、96%であった。
(実施例12)
[亜硫酸ナトリウム添加の反応例:5重変異酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、亜硫酸ナトリウムを1.7g/Lとなるように添加した。次に、実施例3で調製したW/pCADA22の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、8.0であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、亜硫酸ナトリウムを添加しない場合の反応収率は、96%であった。
(実施例13)
[亜硫酸ナトリウム添加の反応例:4重変異酵素(最小触媒添加反応)]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、亜硫酸ナトリウムを1.7g/Lとなるように添加した。次に、実施例3で調製したW/pCADA21の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0324g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.00075g)を添加して、42℃、200rpmで、48時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、8.20であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、亜硫酸ナトリウムを添加しない場合の反応収率は、91%であった。
(実施例14)
[亜硫酸ナトリウム添加の反応例:5重変異酵素(最小触媒添加反応)]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次に、亜硫酸ナトリウムを1.7g/Lとなるように添加した。次に、実施例3で調製したW/pCADA22の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0324g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.00075g)を添加して、42℃、200rpmで、48時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を行った。反応期間中の溶存酸素濃度は、0ppmであり、42℃における飽和溶存酸素濃度(7.4ppm)の0%であった。また、反応終了直後の反応液中のpHは、8.0であった。
このときの反応収率は、99%であった。
なお、亜硫酸ナトリウムを添加しない場合の反応収率は、91%であった。
(実施例15)
[亜硫酸ナトリウムの後添加の反応例:野生型酵素]
300mLのフラスコに、L−リジン塩酸塩の終濃度が45質量%となるように、かつ、ピリドキサールリン酸の終濃度が0.15mMとなるように調製した基質溶液120gを加えて、反応液を調製した。次いで、参考例1で調製したW/pCADA1の触媒死菌体(乾燥菌体重量換算0.0648g、リジン1gに対する触媒死菌体の比率0.0015g)を添加した後、さらに、亜硫酸ナトリウムを1.7g/Lとなるようにを添加して、42℃、200rpmで、24時間、反応器に酸素が入らない様に注意して反応を開始した。
反応開始30分後には、溶存酸素濃度は、42℃における飽和溶存酸素濃度の0%となった。反応開始時のpHは5.6であり、反応終了直後の反応液中のpHは、8.0であった。
このときの反応収率は、99%であった。
(実施例16)
[還元剤存在下での触媒死菌体の保存安定性]
参考例1で調製したW/pCADA1の触媒死菌体を、4℃で80日間保存した。
亜硫酸ナトリウム存在下で調製した触媒死菌体の残存活性は、80%であった。
無添加で調製した触媒死菌体の残存活性は、40%であった。
(実施例17)
[1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造]
(窒素置換した反応液からのPDA精製)
実施例5で調製した反応終了後の反応液を硫酸でpHを6.0に調整した後、8000rpm、20分の遠心分離により、菌体などの沈殿物を除去し、上清を得た。次に、この上清に、30%水酸化ナトリウム溶液を加えて、pHを12に調整した。
(精製PDAの濃縮)
分液ロートに1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液100質量部をn−ブタノール(抽出溶媒)100質量部と仕込み、10分間混合し、その後、30分間静置した。次いで、有機層(1,5−ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)を抜き出した。
次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、有機層の抽出液(1,5−ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)100質量部を仕込み、100kPaの減圧下、オイルバスの温度を120℃として、n−ブタノールを留去させ、純度99.9質量%の1,5−ペンタメチレンジアミンを得た。
(PDIの合成)
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器および原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、オルトジクロロベンゼン2000質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300質量部をホスゲン導入ラインから加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、ペンタメチレンジアミン400質量部をオルトジクロロベンゼン2600質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。
次いで、反応器の内液を、徐々に160℃まで昇温しながら、0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間、熱ホスゲン化した。なお、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲン1100質量部を、さらに添加した。熱ホスゲン化の過程で、加圧反応器内液は、淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃において、窒素ガスを100L/hrで通気し、脱ガスした。
次いで、減圧下でオルトジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下でペンタメチレンジイソシアネートを留去させた。
次いで、留去させたペンタメチレンジイソシアネートを、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、190℃、3時間加熱処理を行った。
次いで、加熱処理後のペンタメチレンジイソシアネートを、ガラス製フラスコに装入し、充填物を充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、純度99.8質量%のペンタメチレンジイソシアネートを450質量部得た。
(実施例18)
[ポリイソシアネート組成物の製造]
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ペンタメチレンジイソシアネートを500質量部、トリメチロールプロパン(以下、TMPと略する場合がある。)を5.8質量部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.25質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.25質量部装入し、80℃で3時間反応させた。この溶液を60℃に降温した後、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.1質量部添加した。1時間半反応させた後、o−トルエンスルホンアミドを0.12質量部添加した(イソシアネート基の転化率:20質量%)。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のペンタメチレンジイソシアネートを除去し、さらに、得られた組成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部添加し、ポリイソシアネート組成物を得た。
このポリイソシアネート組成物のペンタメチレンジイソシアネート濃度は0.3質量%、イソシアネート3量体濃度は29質量%、イソシアネート基濃度は21.8質量%、25℃における粘度は9850mPa・s、色相はAPHA40であった。
本発明の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法により得られる1,5−ペンタメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、および、ポリイソシアネート組成物は、例えば、バイオマス由来のポリマー原料として、コーティング、接着剤、シーラント、エラストマー、ゲル、バインダー、フィルム、シートおよびカプセルなどの材料、農薬、医薬の中間体などの種々の産業分野において、好適に用いることができる。
また、本発明の触媒菌体の保存方法により保存される触媒菌体は、リジン脱炭酸酵素を長期間安定に保存することができるため、例えば、バイオマス由来のポリマー原料などの製造において、好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. リジン脱炭酸反応の反応開始から反応終了までの間のうち溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間が1時間以内である反応系内において、
    L−リジンおよび/またはその塩を、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素によって、リジン脱炭酸反応させ
    Y軸を飽和溶存酸素濃度に対する溶存酸素濃度の割合(%)、X軸を反応開始からの経過時間(分)として、リジン脱炭酸反応における溶存酸素濃度と時間との関係がプロットされた相関線を示す相関図において、
    相関線とY軸とX軸とに囲まれる部分の面積が、1000未満であり、
    反応開始点から反応終了点までを通じて、前記溶存酸素濃度が、飽和溶存酸素濃度の65%以下であり、かつ、
    前記溶存酸素濃度が、反応開始点から20分以内に飽和溶存酸素濃度の1%以下になり、
    前記変異型リジン脱炭酸酵素は、
    配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、10量体形成ドメインに存在するアミノ酸のうち14番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、28番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからValに変更したもの、64番目のアミノ酸をLeuからLysに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからThrに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからHisに変更したもの、79番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからAspに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからThrに変更したもの、85番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからLysに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからArgに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからAsnに変更したもの、89番目のアミノ酸をLeuからPheに変更したもの、94番目のアミノ酸をAsnからIleに変更したもの、95番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、98番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、99番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからAsnに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからLysに変更したもの、112番目のアミノ酸をAspからGluに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからAsnに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからIleに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからSerに変更したもの、137番目のアミノ酸をPheからValに変更したもの、138番目のアミノ酸をLysからIleに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからValに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからThrに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからSerに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからAsnに変更したもの、143番目のアミノ酸をGlyからGluに変更したもの、145番目のアミノ酸をTyrからArgに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからSerに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからAlaに変更したもの、182番目のアミノ酸をIleからMetに変更したもの、活性領域ドメインに存在するアミノ酸のうち184番目のアミノ酸をValからAlaに変更したもの、253番目のアミノ酸をMetからLeuに変更したもの、262番目のアミノ酸をPheからTyrに変更したもの、286番目のアミノ酸をAlaからAspに変更したもの、290番目のアミノ酸をLysからHisに変更したもの、295番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、303番目のアミノ酸をIleからThrに変更したもの、317番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、335番目のアミノ酸をProからAlaに変更したもの、352番目のアミノ酸をGlyからAlaに変更したもの、353番目のアミノ酸をArgからHisに変更したもの、386番目のアミノ酸をGluからSerに変更したもの、430番目のアミノ酸をGluからPheに変更したもの、443番目のアミノ酸をArgからMetに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからIleに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからAsnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからCysに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからSerに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからAsnに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからGlyに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからSerに変更したもの、471番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、475番目のアミノ酸をGlyからAsnに変更したもの、506番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからCysに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからAlaに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからSerに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、546番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、553番目のアミノ酸をLeuからValに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからCysに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからPheに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからGlnに変更したもの、626番目のアミノ酸をLysからValに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからProに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、648番目のアミノ酸をMetからSerに変更したもの、710番目のアミノ酸をLysからThrに変更したもの、711番目のアミノ酸をGluからAspに変更したものに少なくとも1箇所以上置換されている変異型リジン脱炭酸酵素
    である
    ことを特徴とする、1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  2. 前記面積が、650以下であることを特徴とする、請求項1に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  3. 反応系内の酸素を除去する工程、および/または、反応系内に還元剤を存在させる工程を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  4. 反応系内の酸素を除去する工程が、不活性ガスにより溶存酸素を置換する工程であることを特徴とする、請求項3に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  5. 還元剤の酸化還元電位が、生理食塩水より低いことを特徴とする、請求項3に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  6. 還元剤が、メルカプト化合物、硫化物、水硫化物、還元性を有する硫黄の酸素酸塩、チオウレアおよびその誘導体、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物、フラボノイド化合物、窒素含有複素環化合物、ヒドラジル基化合物、および、ウロン酸基を有するムコ多糖類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  7. リジン脱炭酸反応の反応開始から反応終了までの間のうち溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度である時間が1時間以内である反応系内において、
    L−リジンおよび/またはその塩を、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素によって、リジン脱炭酸反応させ
    反応系内の酸素を除去する工程、および/または、反応系内に還元剤を存在させる工程を含み、
    反応系内の酸素を除去する工程が、不活性ガスにより溶存酸素を置換する工程であるか、または、前記還元剤の酸化還元電位が、生理食塩水より低く、
    前記変異型リジン脱炭酸酵素は、
    配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、10量体形成ドメインに存在するアミノ酸のうち14番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、28番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからValに変更したもの、64番目のアミノ酸をLeuからLysに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからThrに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからHisに変更したもの、79番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからAspに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからThrに変更したもの、85番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからLysに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからArgに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからAsnに変更したもの、89番目のアミノ酸をLeuからPheに変更したもの、94番目のアミノ酸をAsnからIleに変更したもの、95番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、98番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、99番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからAsnに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからLysに変更したもの、112番目のアミノ酸をAspからGluに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからAsnに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからIleに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからSerに変更したもの、137番目のアミノ酸をPheからValに変更したもの、138番目のアミノ酸をLysからIleに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからValに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからThrに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからSerに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからAsnに変更したもの、143番目のアミノ酸をGlyからGluに変更したもの、145番目のアミノ酸をTyrからArgに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからSerに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからAlaに変更したもの、182番目のアミノ酸をIleからMetに変更したもの、活性領域ドメインに存在するアミノ酸のうち184番目のアミノ酸をValからAlaに変更したもの、253番目のアミノ酸をMetからLeuに変更したもの、262番目のアミノ酸をPheからTyrに変更したもの、286番目のアミノ酸をAlaからAspに変更したもの、290番目のアミノ酸をLysからHisに変更したもの、295番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、303番目のアミノ酸をIleからThrに変更したもの、317番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、335番目のアミノ酸をProからAlaに変更したもの、352番目のアミノ酸をGlyからAlaに変更したもの、353番目のアミノ酸をArgからHisに変更したもの、386番目のアミノ酸をGluからSerに変更したもの、430番目のアミノ酸をGluからPheに変更したもの、443番目のアミノ酸をArgからMetに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからIleに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからAsnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからCysに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからSerに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからAsnに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからGlyに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからSerに変更したもの、471番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、475番目のアミノ酸をGlyからAsnに変更したもの、506番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからCysに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからAlaに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからSerに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、546番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、553番目のアミノ酸をLeuからValに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからCysに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからPheに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからGlnに変更したもの、626番目のアミノ酸をLysからValに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからProに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、648番目のアミノ酸をMetからSerに変更したもの、710番目のアミノ酸をLysからThrに変更したもの、711番目のアミノ酸をGluからAspに変更したものに少なくとも1箇所以上置換されている変異型リジン脱炭酸酵素
    である
    ことを特徴とする、1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  8. 還元剤が、メルカプト化合物、硫化物、水硫化物、還元性を有する硫黄の酸素酸塩、チオウレアおよびその誘導体、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物、フラボノイド化合物、窒素含有複素環化合物、ヒドラジル基化合物、および、ウロン酸基を有するムコ多糖類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  9. L−リジンおよび/またはその塩1質量部に対して、リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素が、乾燥菌体重量換算で、0.0003質量部以上0.0015質量部以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  10. リジン脱炭酸酵素および/または変異型リジン脱炭酸酵素を発現させた細胞を、還元剤の存在下で保存し、
    前記変異型リジン脱炭酸酵素は、
    配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、10量体形成ドメインに存在するアミノ酸のうち14番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、28番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからIleに変更したもの、39番目のアミノ酸をArgからValに変更したもの、64番目のアミノ酸をLeuからLysに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからThrに変更したもの、67番目のアミノ酸をCysからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、70番目のアミノ酸をIleからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからProに変更したもの、75番目のアミノ酸をGluからHisに変更したもの、79番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、83番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからAspに変更したもの、84番目のアミノ酸をAsnからThrに変更したもの、85番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからLysに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからArgに変更したもの、88番目のアミノ酸をThrからAsnに変更したもの、89番目のアミノ酸をLeuからPheに変更したもの、94番目のアミノ酸をAsnからIleに変更したもの、95番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、98番目のアミノ酸をLeuからIleに変更したもの、99番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからAsnに変更したもの、104番目のアミノ酸をGluからLysに変更したもの、112番目のアミノ酸をAspからGluに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからAsnに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからIleに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからThrに変更したもの、119番目のアミノ酸をGlnからSerに変更したもの、137番目のアミノ酸をPheからValに変更したもの、138番目のアミノ酸をLysからIleに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからValに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからThrに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからSerに変更したもの、139番目のアミノ酸をTyrからAsnに変更したもの、143番目のアミノ酸をGlyからGluに変更したもの、145番目のアミノ酸をTyrからArgに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからSerに変更したもの、148番目のアミノ酸をCysからAlaに変更したもの、182番目のアミノ酸をIleからMetに変更したもの、活性領域ドメインに存在するアミノ酸のうち184番目のアミノ酸をValからAlaに変更したもの、253番目のアミノ酸をMetからLeuに変更したもの、262番目のアミノ酸をPheからTyrに変更したもの、286番目のアミノ酸をAlaからAspに変更したもの、290番目のアミノ酸をLysからHisに変更したもの、295番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、303番目のアミノ酸をIleからThrに変更したもの、317番目のアミノ酸をPheからGlnに変更したもの、335番目のアミノ酸をProからAlaに変更したもの、352番目のアミノ酸をGlyからAlaに変更したもの、353番目のアミノ酸をArgからHisに変更したもの、386番目のアミノ酸をGluからSerに変更したもの、430番目のアミノ酸をGluからPheに変更したもの、443番目のアミノ酸をArgからMetに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、446番目のアミノ酸をSerからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからIleに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからAsnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからCysに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからGlnに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、460番目のアミノ酸をAspからSerに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからAsnに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからGlyに変更したもの、466番目のアミノ酸をProからSerに変更したもの、471番目のアミノ酸をSerからTyrに変更したもの、475番目のアミノ酸をGlyからAsnに変更したもの、506番目のアミノ酸をAspからProに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、524番目のアミノ酸をValからLeuに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからCysに変更したもの、539番目のアミノ酸をIleからLeuに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからAlaに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからSerに変更したもの、544番目のアミノ酸をThrからProに変更したもの、546番目のアミノ酸をAlaからSerに変更したもの、553番目のアミノ酸をLeuからValに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからCysに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからPheに変更したもの、623番目のアミノ酸をAlaからGlnに変更したもの、626番目のアミノ酸をLysからValに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからCysに変更したもの、636番目のアミノ酸をTyrからProに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからLeuに変更したもの、646番目のアミノ酸をAlaからIleに変更したもの、648番目のアミノ酸をMetからSerに変更したもの、710番目のアミノ酸をLysからThrに変更したもの、711番目のアミノ酸をGluからAspに変更したものに少なくとも1箇所以上置換されている変異型リジン脱炭酸酵素
    であることを特徴とする、触媒菌体の保存方法。
  11. 還元剤の酸化還元電位が、生理食塩水より低いことを特徴とする、請求項10に記載の触媒菌体の保存方法。
  12. 還元剤が、メルカプト化合物、硫化物、水硫化物、還元性を有する硫黄の酸素酸塩、チオウレアおよびその誘導体、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する環状化合物、フラボノイド化合物、窒素含有複素環化合物、ヒドラジル基化合物、および、ウロン酸基を有するムコ多糖類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項10または11に記載の触媒菌体の保存方法。
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