JP5623310B2 - ペンタメチレンジアミンまたはその塩、および、その製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ペンタメチレンジアミンまたはその塩、および、その製造方法に関する。
従来より、1,5−ペンタメチレンジアミン(別名:カダベリン)およびその塩は、例えば、医薬や農薬の中間体の他、ポリウレタン原料であるポリイソシアネートの原料や、例えば、ポリアミド原料、ポリイミド原料、エポキシ原料などの樹脂原料として、有用である。
このような1,5−ペンタメチレンジアミン(カダベリン)またはその塩を製造する方法としては、例えば、リジン塩酸塩の水溶液にL−粗精製リジン脱炭酸酵素を作用させ、1,5−ジアミノペンタン塩酸塩を得た後、その1,5−ジアミノペンタン塩酸塩を1,5−ジアミノペンタンに変換し、その後、クロロホルムを用いて反応液から1,5−ジアミノペンタンを抽出する方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−292612号公報(参考例2および3)
しかるに、特許文献1に記載の方法では、効率よく1,5−ジアミノペンタンを得ることができない場合がある。
また、特許文献1に記載の方法では、得られる1,5−ジアミノペンタン中に、不純物が含有される。このような1,5−ジアミノペンタンを、樹脂原料として用いると、得られる樹脂の性質を低下させるという不具合がある。
本発明の目的は、不純物の含有量が低減されたペンタメチレンジアミンまたはその塩を、収率よく製造することのできるペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法、および、その製造方法により得られるペンタメチレンジアミンまたはその塩を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法は、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液から、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、炭素数4〜7の1価アルコールにより抽出することを特徴としている。
また、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液を、90℃以上で熱処理することなく、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を抽出することが好適である。
また、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法では、1価アルコールが、直鎖状1価アルコールであることが好適である。
また、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液を、リシンまたはその塩の脱炭酸酵素反応により得ることが好適である。
また、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩は、上記のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法により得られることを特徴としている。
また、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩は、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の総量に対する、アミノ基とC=N結合とを有する含窒素六員環化合物の含有量が、1.5質量%以下であることが好適である。
また、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩では、アミノ基とC=N結合とを有する含窒素六員環化合物が、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンであることが好適である。
本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、炭素数4〜7の1価アルコールにより抽出するため、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を効率良く抽出することができ、さらには、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の不純物の含有割合を、低減することができる。
そのため、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩によれば、優れた性質を備える樹脂を、効率良く製造することができる。
未知物質の構造解析におけるGC−MS分析1のクロマトグラムを示す。 未知物質の構造解析におけるGC−MS分析1のスペクトルを示す。 未知物質の構造解析におけるGC−MS分析2のクロマトグラムを示す。 未知物質の構造解析におけるH−NMRの結果を示す。 未知物質の構造解析における13C−NMRの結果を示す。 未知物質の構造解析におけるCOSYの結果を示す。 未知物質の構造解析におけるHMQCの結果を示す。 未知物質の構造解析におけるHMBCの結果を示す。 未知物質の構造解析におけるHMBCの結果(拡大図)を示す。
本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液(以下、ペンタメチレンジアミン水溶液とする。)から抽出する。
本発明において、ペンタメチレンジアミンとしては、例えば、1,5−ペンタメチレンジアミン(別名:カダベリン、1,5−ジアミノペンタン)、1,4−ペンタメチレンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミン、2,5−ジアミノペンタン、または、これらの混合物が挙げられる。
これらペンタメチレンジアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ペンタメチレンジアミンとして、好ましくは、1,5−ペンタメチレンジアミンが挙げられる。
また、ペンタメチレンジアミンの塩としては、例えば、上記ペンタメチレンジアミンの、例えば、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、シュウ酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ステアリン酸塩など)、スルホン酸塩などの有機酸塩、例えば、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩などの無機酸塩などが挙げられる。
ペンタメチレンジアミンの塩として、好ましくは、上記ペンタメチレンジアミンの塩酸塩が挙げられる。
このようなペンタメチレンジアミンまたはその塩は、例えば、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液(以下、ペンタメチレンジアミン水溶液とする。)から抽出される。
このようなペンタメチレンジアミンまたはその塩として、好ましくは、ペンタメチレンジアミンが挙げられる。
そして、ペンタメチレンジアミン水溶液は、特に制限されないが、例えば、水中におけるリシンの脱炭酸酵素反応により、得ることができる。
以下において、リシンの脱炭酸酵素反応について詳述する。
リシンの脱炭酸酵素反応では、リシン(化学式:NH(CHCH(NH)COOH、別名:1,5−ペンタメチレンジアミン−1−カルボン酸)に、リシン脱炭酸酵素を作用させる。
リシンとしては、例えば、L−リシンなどが挙げられる。
また、リシンとしては、リシンの塩を用いることもできる。
リシンの塩としては、例えば、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、シュウ酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ステアリン酸塩など)、スルホン酸塩などの有機酸塩、例えば、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩などの無機酸塩などが挙げられる。
リシンの塩として、好ましくは、リシン塩酸塩が挙げられる。
このようなリシン塩酸塩としては、例えば、L−リシン・一塩酸塩などが挙げられる。
リシン(またはその塩)の濃度は、特に制限はされないが、例えば、10〜700g/L、好ましくは、20〜500g/Lである。
リシン脱炭酸酵素は、リシン(またはその塩)をペンタメチレンジアミン(またはその塩)に転換させる酵素であって、特に制限されないが、例えば、公知の生物に由来するものが挙げられる。リシン脱炭酸酵素として、より具体的には、例えば、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、セレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas ruminantium)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis)、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)またはコリネバクテリウム・グルタミカス(Corynebacterium glutamicum)などの微生物に由来するものが挙げられる。安全性の観点から、好ましくは、Escherichia coliに由来するものが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素は、例えば、特開2004−114号公報(例えば、段落番号[0015]〜[0042]など)の記載に準拠するなど、公知の方法により製造することができる。
リシン脱炭酸酵素を製造する方法として、より具体的には、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞内で高発現した組換え細胞(以下、内部発現細胞)を公知の培地で培養し、その後、増殖した内部発現細胞を回収および破砕する方法や、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞表面で局在化した組換え細胞(以下、表面発現細胞)を公知の培地で培養し、その後、増殖した表面発現細胞を回収および必要により破砕する方法などが挙げられる。
このような方法において、組換え細胞としては、特に制限されず、微生物、動物、植物または昆虫由来のものが挙げられる。より具体的には、例えば、動物を用いる場合には、マウス、ラットやそれらの培養細胞などが挙げられ、また、植物を用いる場合には、例えば、シロイヌナズナ、タバコやそれらの培養細胞などが挙げられ、また、昆虫を用いる場合には、例えば、カイコやその培養細胞などが挙げられ、微生物を用いる場合には、例えば、大腸菌などが挙げられる。
これら組換え細胞は、単独使用または2種類以上併用することができる。
組換え細胞の表面にリシン脱炭酸酵素を局在化させる方法としては、特に制限されず、例えば、分泌シグナル配列の一部、細胞表面局在タンパク質の一部をコードする遺伝子配列、および、リシン脱炭酸酵素の構造遺伝子配列をこの順で有するDNAを、大腸菌に導入する方法など、公知の方法を採用することができる。
分泌シグナル配列の一部としては、宿主においてタンパク質を分泌するために必要な配列であれば、特に制限されず、例えば、大腸菌においては、例えば、リポプロテインの配列の一部、より具体的には、例えば、アミノ酸配列としてMKATKLVLGAVILGSTLLAGCSSNAKIDQ(アミノ酸の一文字表記)と翻訳される遺伝子配列などが挙げられる。
細胞表面局在タンパク質の一部をコードする遺伝子配列としては、特に制限されないが、大腸菌においては、例えば、外膜結合タンパク質の配列の一部が挙げられ、より具体的には、例えば、OmpA(外膜結合タンパク質)の46番目のアミノ酸から159番目のアミノ酸までの配列の一部などが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素遺伝子、リポプロテイン遺伝子およびOmpA遺伝子をクローニングする方法としては、特に制限されないが、例えば、既知の遺伝子情報に基づき、PCR(polymerase chain reaction)法を用いて必要な遺伝領域を増幅取得する方法、例えば、既知の遺伝子情報に基づき、ゲノムライブラリーやcDNAライブラリーより相同性や酵素活性を指標としてクローニングする方法などが挙げられる。
なお、これらの遺伝子は、遺伝的多形性(遺伝子上の自然突然変異により遺伝子の塩基配列が一部変化しているもの)などによる変異型の遺伝子も含む。
このような方法として、より具体的には、例えば、Escherichia coli K12の染色体DNAより、PCR法を用いて、リシン脱炭酸酵素をコードする遺伝子であるcadA遺伝子またはldc遺伝子を、クローニングする。なお、このとき採用する染色体DNAは、Escherichia coli由来であれば、制限されず、任意の菌株由来のものを採用することができる。
また、このようにして得られる表面発現細胞の表面にリシン脱炭酸酵素が局在化していることは、例えば、リシン脱炭酸酵素を抗原として作製した抗体により、表面発現細胞を免疫反応させた後、包埋および薄切りし、例えば、電子顕微鏡(免疫電顕法)により観察することによって、確認することができる。
なお、表面発現細胞は、リシン脱炭酸酵素が細胞表面に局在化していればよく、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞表面に局在化するとともに、細胞内部に発現していてもよい。
また、リシン脱炭酸酵素としては、例えば、リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性が上昇した組換え細胞から調製されるものも挙げられる。
細胞内および/または細胞表面でリシン脱炭酸酵素の活性を上昇させる方法としては、特に制限されず、例えば、リシン脱炭酸酵素の酵素量を増加させる方法、例えば、リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性を上昇させる方法などが挙げられる。
細胞内もしくは細胞表面の酵素量を増加させる手段としては、例えば、遺伝子の転写調節領域の改良、遺伝子のコピー数の増加、蛋白への翻訳の効率化などが挙げられる。
転写調節領域の改良とは、遺伝子の転写量を増加させる改変を加えることであって、例えば、プロモーターに変異を導入することによってプロモーターを強化し、下流にある遺伝子の転写量を増加させることができる。プロモーターに変異を導入する以外にも、宿主内で強力に発現するプロモーターを導入することもできる。プロモーターとして、より具体的には、例えば、大腸菌においては、lac、tac、trpなどが挙げられる。また、エンハンサーを新たに導入することによって遺伝子の転写量を増加させることができる。なお、染色体DNAのプロモーターなどの遺伝子導入については、例えば、特開平1−215280号公報の記載に準拠することができる。
遺伝子のコピー数の上昇は、具体的には、遺伝子を多コピー型のベクターに接続して組換えDNAを作製し、その組換えDNAを宿主細胞に保持させることにより達成することができる。ベクターとは、プラスミドやファージなど、広く用いられているものを含むが、これら以外にも、例えば、トランソポゾン(Berg,D.E and Berg.C.M., Bio/Technol.,vol.1,P.417(1983))やMuファージ(特開平2−109985号公報)なども挙げられる。さらには、遺伝子を相同組換え用プラスミドなどを用いた方法で染色体に組み込んで、コピー数を上昇させることもできる。
蛋白の翻訳効率を上昇させる方法としては、例えば、原核生物においては、SD配列(Shine, J. and Dalgarno, L., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 71, 1342−1346 (1974))、真核生物では、Kozakのコンセンサス配列(Kozak, M., Nuc. Acids Res., Vol.15,p.8125−8148(1987))を導入、改変する方法や、使用コドンの最適化(特開昭59−125895)などが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性を上昇させる方法としては、リシン脱炭酸酵素の構造遺伝子自体に変異を導入して、リシン脱炭酸酵素そのものの活性を上昇させることも挙げられる。
遺伝子に変異を生じさせる方法としては、例えば、部位特異的変異法(Kramer,W. and frita,H.J., Methods in Enzymology,vol.154,P.350(1987))、リコンビナントPCR法(PCR Technology,Stockton Press(1989)、特定の部分のDNAを化学合成する方法、遺伝子をヒドロキシアミン処理する方法、遺伝子を保有する菌株を紫外線照射処理、または、ニトロソグアニジンや亜硝酸などの化学薬剤で処理する方法などが挙げられる。
また、このような組換え細胞(内部発現細胞、表面発現細胞など)を培養する方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。より具体的には、例えば、微生物を培養する場合には、培地として、例えば、炭素源、窒素源および無機イオンを含有する培地が用いられる。
炭素源としては、例えば、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、例えば、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、例えば、グルコン酸、フマル酸、クエン酸やコハク酸などの有機酸類などが挙げられる。
これら炭素源は、単独使用または2種類以上併用することができる。
窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機アンモニウム塩、例えば、大豆加水分解物などの有機窒素、例えば、アンモニアガス、アンモニア水などが挙げられる。
これら窒素源は、単独使用または2種類以上併用することができる。
無機イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン、マンガンイオン、鉄イオン、リン酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
これら無機イオンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、培地には、必要に応じて、その他の有機成分(有機微量栄養素)を添加することもでき、そのような有機成分としては、例えば、各種アミノ酸、例えば、ビタミンBなどのビタミン類、例えば、RNAなどの核酸類などの要求物質、さらには、例えば、酵母エキスなどが挙げられる。
このような培地として、より具体的には、LB培地が挙げられる。
培養条件としては、特に制限されないが、例えば、大腸菌を培養する場合には、好気条件下において、培養温度が、例えば、30〜45℃、好ましくは、30〜40℃であり、培養pHが、例えば、5〜8、好ましくは、6.5〜7.5であり、培養時間が、例えば、16〜72時間、好ましくは、24〜48時間である。なお、pHの調整には、例えば、無機または有機の酸性またはアルカリ性物質や、アンモニアガスなどを用いることができる。
そして、このような培地において増殖した組換え細胞(内部発現細胞、表面発現細胞)は、例えば、遠心分離などにより回収することができる。
また、この方法では、回収された細胞を、例えば、休止細胞として用いることもできるが、必要により、破砕し、その細胞破砕液(菌体破砕液)として用いることができる。
細胞破砕液(菌体破砕液)の調製においては、公知の方法を採用することができる。より具体的には、例えば、まず、得られた内部発現細胞および/または表面発現細胞を、例えば、超音波処理、ダイノミル、フレンチプレスなどの方法により破砕し、その後、遠心分離により細胞残渣を除去する。
また、この方法では、必要により、得られた細胞破砕液からリシン脱炭酸酵素を精製することができる。
リシン脱炭酸酵素の精製方法としては、特に制限されず、酵素の精製に通常用いられる公知の方法(例えば、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、等電点沈殿、熱処理、pH処理など)を、必要により適宜組み合わせて採用することができる。
そして、リシン(またはその塩)の脱炭酸酵素反応では、このようにして得られた休止細胞および/またはその細胞破砕液と、リシン(またはその塩)の水溶液とを配合し、水中でリシン脱炭酸酵素をリシン(またはその塩)に作用させる。
反応に使用するリシン(またはその塩)の総質量に対する、反応に使用する菌体(細胞)の乾燥菌体換算質量の比率は、リシン(またはその塩)をペンタメチレンジアミン(またはその塩)に転換させるのに十分な量であれば、特に制限されないが、例えば、0.01以下、好ましくは、0.007以下である。
なお、反応に使用するリシン(またはその塩)の総質量とは、反応開始時に反応系内に存在するリシン(またはその塩)の質量(反応中に反応系にリシン(またはその塩)を加える場合には、それらリシン(またはその塩)の総量)である。
また、菌体の乾燥菌体換算質量とは、乾燥して水分を含まない菌体の質量である。菌体の乾燥菌体換算質量は、例えば、菌体を含む液(菌体液)から、遠心分離や濾過等の方法で菌体を分離し、質量が一定になるまで乾燥し、その質量を測定することにより求めることができる。
リシン(またはその塩)の脱炭酸酵素反応における反応温度は、例えば、28〜55℃、好ましくは、35〜45℃であり、反応時間は、採用されるリシン脱炭酸酵素の種類などにより異なるが、例えば、1〜72時間、好ましくは、12〜36時間である。また、反応pHは、例えば、5.0〜8.0、好ましくは、5.5〜6.5である。
これにより、リシン(またはその塩)が脱炭酸酵素反応して、ペンタメチレンジアミンに転換され、その結果、ペンタメチレンジアミン水溶液が得られる。
ペンタメチレンジアミンまたはその塩の反応収率は、リシン(またはその塩)を基準として、例えば、10〜100モル%、好ましくは、70〜100モル%、より好ましくは、80〜100モル%である。
また、ペンタメチレンジアミン水溶液におけるペンタメチレンジアミンまたはその塩の濃度(ペンタメチレンジアミン塩の場合はペンタメチレンジアミン換算濃度)は、例えば、1〜70質量%、好ましくは、2〜50質量%、より好ましくは、5〜40質量%である。
なお、この反応では,得られるペンタメチレンジアミンがアルカリ性であるため、リシン(またはその塩)がペンタメチレンジアミン(またはその塩)に転換されるに伴って反応液のpHが増加する場合がある。このような場合には、必要により、酸性物質(例えば、有機酸、例えば、塩酸などの無機酸など)などを添加し、pHを調整することができる。
また、この反応では、必要により、例えば、ビタミンBおよび/またはその誘導体を反応液中に添加することもできる。
ビタミンBおよび/またはその誘導体としては、例えば、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキサールリン酸などが挙げられる。
これらビタミンBおよび/またはその誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ビタミンBおよび/またはその誘導体として、好ましくは、ピリドキサールリン酸が挙げられる。
ビタミンBおよび/またはその誘導体を添加することにより、ペンタメチレンジアミンの生産速度および反応収率を向上することができる。
そして、この方法では、得られたペンタメチレンジアミン水溶液から、必要により、水の一部を留去させる。
より具体的には、例えば、連続多段蒸留塔、回分多段蒸留塔などを備えた蒸留装置などにより、0.1kPa〜常圧下、ペンタメチレンジアミン水溶液を加熱(熱処理)し、蒸留することにより、水の一部が留去されたペンタメチレンジアミン水溶液を得る。
加熱温度としては、例えば、25℃以上、90℃未満、好ましくは、25℃以上、85℃以下、より好ましくは、25℃以上、80℃未満、さらに好ましくは、30℃以上、70℃以下である。
ペンタメチレンジアミン水溶液を、90℃以上で加熱(熱処理)すると、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の総量に対する、C=N結合を有する含窒素六員環化合物(後述)の含有量が増加する場合や、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の抽出率が低下する場合がある。
そのため、好ましくは、ペンタメチレンジアミン水溶液を、90℃以上で加熱(熱処理)することなく、より好ましくは、80℃以上で加熱することなく、さらに好ましくは、ペンタメチレンジアミン水溶液を加熱(熱処理)することなく、後述するように、その水溶液からそのままペンタメチレンジアミンまたはその塩を抽出する。
ペンタメチレンジアミン水溶液において、ペンタメチレンジアミンの濃度は、ペンタメチレンジアミン水溶液の総量に対して、例えば、5〜80質量%、好ましくは、15〜60質量%である。
そして、この方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を抽出する。抽出では、例えば、液−液抽出法が採用される。
液−液抽出法では、例えば、(1)回分的、半連続的または連続的にペンタメチレンジアミン水溶液に、抽出溶媒(後述)を接触させ、混合および撹拌することにより、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)し、その抽出溶媒(後述)からペンタメチレンジアミンまたはその塩を分離する方法、(2)多孔板を備えた塔(スプレー塔、段型抽出塔)や、充填物、ノズル、オリフィス板、バッフル、インジェクターおよび/またはスタティックミキサーを備えた塔(向流微分型抽出塔、非撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧、p566から569、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)した後、抽出溶媒(後述)を連続的に流出させ、その抽出溶媒(後述)から、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を分離する方法、(3)邪魔板および撹拌羽根を備えた塔(撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧 p569から574、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)した後、抽出溶媒(後述)を連続的に流出させ、その抽出溶媒(後述)から、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を分離する方法、(4)ミキサーセトラー抽出器、または、遠心式抽出機(改訂五版 化学工学便覧 p563から566、p574、化学工学会編、丸善(1988))を用いて、ペンタメチレンジアミン水溶液に、抽出溶媒(後述)を接触させ、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)し、その抽出溶媒(後述)からペンタメチレンジアミンまたはその塩を分離する方法などが採用される。
これら液−液抽出法としては、単独使用または2種類以上併用することができる。
液−液抽出法として、生産効率の観点から、好ましくは、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、抽出溶媒(後述)へと連続的に抽出(分配)する方法、より具体的には、例えば、上記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
液−液抽出におけるペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶剤(後述)との配合割合は、ペンタメチレンジアミン水溶液(抽出が連続的である場合は、単位時間あたりの供給量。以下同様。)100質量部に対して、抽出溶剤(後述)が、例えば、30〜300質量部であり、経済性および生産性の観点から、好ましくは、50〜200質量部、より好ましくは50〜150質量、とりわけ好ましくは、80〜120質量部である。
また、液−液抽出では、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶剤(後述)とを、例えば、常圧(大気圧)下、例えば、5〜60℃、好ましくは、10〜60℃、より好ましくは、15〜50℃、さらに好ましくは、15〜40℃において、例えば、撹拌羽根などにより、例えば、1〜120分間、好ましくは、5〜90分間、好ましくは、5〜60分間混合する。
撹拌羽根としては、特に限定されないが、例えば、プロペラ、平羽根、角度付平羽根、ピッチ付平羽根、平羽根ディスクタービン、傾斜付羽根ディスクタービン、湾曲羽根、ファウドラー型、ブルーマージン型、ディゾルバー、アンカーなどが挙げられる。
また、混合における回転数としては、例えば、5〜3000rpm、好ましくは、10〜2000rpm、より好ましくは、20〜1000rpmである。
これにより、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、抽出溶剤(後述)中へと抽出する。
次いで、この方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩と抽出溶剤(後述)との混合物を、例えば、5〜300分間、好ましくは、10〜240分間、より好ましくは、20〜180分間静置し、その後、ペンタメチレンジアミンまたはその塩が抽出された抽出溶剤(すなわち、抽出溶剤(後述)とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物)を、公知の方法により取り出す。
なお、1回の液−液抽出によりペンタメチレンジアミンまたはその塩を十分に抽出できない場合には、複数回(例えば、2〜5回)繰り返し液−液抽出することもできる。
これにより、ペンタメチレンジアミン水溶液中のペンタメチレンジアミンまたはその塩を、抽出溶剤(後述)に抽出することができる。
このようにして得られる抽出溶剤(抽出溶剤(後述)とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物)において、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の濃度は、例えば、0.2〜40質量%、好ましくは、0.3〜35質量%、より好ましくは、0.4〜30質量%、とりわけ好ましくは、0.8〜25質量%である。
また、抽出後におけるペンタメチレンジアミンまたはその塩の収率(抽出率)は、リシン(またはその塩)を基準として、例えば、65〜100モル%、好ましくは、70〜100モル%、より好ましくは、80〜100モル%、とりわけ好ましくは、90〜100モル%である。
なお、この方法では、必要により、得られた抽出溶剤(後述)とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物から、例えば、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を単離することもできる。ペンタメチレンジアミンまたはその塩の単離では、特に制限されないが、例えば、連続多段蒸留塔、回分多段蒸留塔などを備えた蒸留装置などにより、例えば、50〜182℃、0.1kPa〜常圧下、抽出溶剤(後述)とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物を蒸留し、抽出溶媒(後述)を除去する。
そして、このような抽出において、抽出溶剤としては、炭素数4〜7の1価アルコールが挙げられる。
炭素数4〜7の1価アルコールとしては、例えば、直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコール、分岐状の炭素数4〜7の1価アルコールなどが挙げられる。
直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコールとしては、例えば、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノールなどが挙げられる。
分岐状の炭素数4〜7の1価アルコールとしては、例えば、2−ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、tert−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、イソヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、2−エチル−2−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。
これら炭素数4〜7の1価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
炭素数4〜7の1価アルコールとして、好ましくは、直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコールが挙げられる。
直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコールを用いると、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、高収率で抽出することができ、また、上記の抽出溶媒の除去においても、ペンタメチレンジアミンの性質を維持することができる。
また、直鎖状の炭素数4〜7の1価アルコールとして、より好ましくは、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、さらに好ましくは、n−ブタノール、n−ペンタノールが挙げられる。
また、本発明において、抽出溶剤の沸点は、例えば、60〜250℃、好ましくは、80〜200℃、より好ましくは、90〜150℃である。
抽出溶剤の沸点が、上記下限未満であると、ペンタメチレンジアミン水溶液から抽出により、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を得る際に、抽出溶剤との分離が困難となる場合がある。
一方、抽出溶剤の沸点が、上記上限を超過すると、抽出溶剤とペンタメチレンジアミンまたはその塩との混合物からペンタメチレンジアミンまたはその塩を得る際に、分離工程での消費エネルギーが増大する場合がある。
そして、このようにして得られるペンタメチレンジアミンまたはその塩は、C=N結合を有する含窒素六員環化合物(以下、C=N六員環化合物と称する場合がある。)を含有しないか、または、その含有量が低減されている。
C=N六員環化合物としては、例えば、アミノ基とC=N結合とを有する含窒素六員環化合物(以下、アミノ基含有C=N六員環化合物と称する場合がある。)、C=N結合を有し、アミノ基を有さない含窒素六員環化合物(以下、アミノ基不含C=N六員環化合物と称する場合がある。)などが挙げられる。
アミノ基含有C=N六員環化合物としては、例えば、下記式(1)で示される化合物などが挙げられる。
(式中、Xは、アミノメチル基を示す。)
上記式(1)で示される化合物として、より具体的には、例えば、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンなどが挙げられる。
アミノ基不含C=N六員環化合物としては、例えば、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンなどが挙げられる。
本発明において、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の総量(ペンタメチレンジアミンまたはその塩と、不純物(アミノ基含有C=N六員環化合物およびアミノ基不含C=N六員環化合物を含む)との合計量)に対する、これらC=N六員環化合物の含有量(アミノ基含有C=N六員環化合物とアミノ基不含C=N六員環化合物との総量)は、2質量%以下、好ましくは、1.8質量%以下、より好ましくは、1.5質量%以下、とりわけ好ましくは、1.2質量%以下である。
C=N六員環化合物の含有量が上記上限を超過する場合には、そのペンタメチレンジアミンを樹脂原料として用いた場合に、得られる樹脂の性質を低下させる場合がある。
より具体的には、C=N六員環化合物の含有量が上記上限を超過するペンタメチレンジアミンまたはその塩を用いてペンタメチレンジイソシアネート(後述)を製造し、さらに、そのペンタメチレンジイソシアネート(後述)を反応させ、イソシアネート変性体(後述)を製造する場合において、ペンタメチレンジイソシアネート(後述)の反応速度が十分ではなく、多量の触媒を必要とするなど、生産性に劣る場合があり、また、得られるイソシアネート変性体(後述)の物性(例えば、貯蔵安定性など)を、十分に確保することができない場合がある。
これに対して、C=N六員環化合物の含有量が上記上限以下であれば、そのペンタメチレンジアミンを樹脂原料として用い、優れた性質の樹脂を得ることができる。
より具体的には、例えば、C=N六員環化合物の含有量が上記上限以下であれば、優れた性質を備えるイソシアネート変性体(後述)を効率良く製造することができるペンタメチレンジイソシアネートを、製造することができる。
また、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の総量に対する、アミノ基含有C=N六員環化合物の含有量は、例えば、1.5質量%以下、好ましくは、1.2質量%以下、より好ましくは、1質量%以下、とりわけ好ましくは、0.8質量%以下である。
アミノ基含有C=N六員環化合物の含有量が上記上限を超過する場合にも、やはり、そのペンタメチレンジアミンを樹脂原料として用いた場合に、得られる樹脂の性質を低下させる場合がある。
より具体的には、上記と同様に、アミノ基含有C=N六員環化合物の含有量が上記上限を超過するペンタメチレンジアミンまたはその塩を用いてペンタメチレンジイソシアネート(後述)を製造し、さらに、そのペンタメチレンジイソシアネート(後述)を反応させ、イソシアネート変性体(後述)を製造する場合において、ペンタメチレンジイソシアネート(後述)の反応速度が十分ではなく、多量の触媒を必要とするなど、生産性に劣る場合があり、また、得られるイソシアネート変性体(後述)の物性(例えば、貯蔵安定性など)を、十分に確保することができない場合がある。
これに対して、アミノ基含有C=N六員環化合物の含有量が上記上限以下であれば、そのペンタメチレンジアミンを樹脂原料として用い、優れた性質の樹脂を得ることができる。
より具体的には、例えば、アミノ基含有C=N六員環化合物の含有量が上記上限以下であれば、優れた性質を備えるイソシアネート変性体を効率良く製造することができるペンタメチレンジイソシアネートを、製造することができる。
また、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の総量に対する、アミノ基不含C=N六員環化合物の含有量は、例えば、0.5質量%以下、好ましくは、0.4質量%以下、より好ましくは、0.3質量%以下、とりわけ好ましくは、0.2質量%以下である。
アミノ基不含C=N六員環化合物の含有量が上記上限を超過する場合には、詳述しないが、そのペンタメチレンジアミンを樹脂原料として用いた場合に、得られる樹脂の性質を低下させる場合がある。
より具体的には、アミノ基不含C=N六員環化合物の含有量が上記上限を超過するペンタメチレンジアミンまたはその塩を用いて製造するペンタメチレンジイソシアネート(後述)や、そのペンタメチレンジイソシアネート(後述)を反応させ、得られるイソシアネート変性体(後述)と、活性水素化合物とを反応させたポリウレタン樹脂の物性(例えば、機械強度、耐薬品性など)を十分に確保することができない場合がある。
そして、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法では、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、炭素数4〜7の1価アルコールにより抽出するため、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を効率良く抽出することができ、さらには、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の不純物の含有割合を、低減することができる。
そのため、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩によれば、優れた性質を備える樹脂を、効率良く製造することができる。
その結果、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩は、各種工業原料、例えば、ポリウレタン原料(ポリイソシアネート)や、例えば、ポリアミド原料、ポリイミド原料、エポキシ原料などの樹脂原料として、好適に用いられる。
例えば、本発明のペンタメチレンジアミンまたはその塩を、ポリウレタン原料であるポリイソシアネートの原料として用いる場合には、ポリイソシアネートとして、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアネート変性体などが挙げられる。
ペンタメチレンジイソシアネートは、例えば、特開平7−309827号公報に記載される冷熱2段法(直接法(ホスゲン化法))や造塩法、例えば、特開2004−244349号公報や特開2003−212835号公報などに記載される方法によりアルキルカルバメートを製造し、そのアルキルカルバメートを熱分解する方法(カーボネート法)、例えば、特開昭55−149241号公報や特開昭57−114561号公報などに記載される方法によりウレタンを製造し、そのウレタン化合物を熱分解する方法(尿素法)などの公知の方法により、製造することができる。
そして、このようなペンタメチレンジイソシアネートは、イソシアネート変性体の製造において、好適に用いられる。
イソシアネート変性体としては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネートの多量体(2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート基、および/または、イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート)など)、ビウレット変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートとモノオールまたは低分子量ポリオール(後述)との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと低分子量ポリオール(後述)またはマクロポリオール(後述)との反応より生成するポリオール変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、ペンタメチレンジイソシアネートと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(ペンタメチレンジイソシアネートの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
イソシアネート変性体として、好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネートの3量体が挙げられ、より好ましくは、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートが挙げられる。
そして、ポリイソシアネート組成物は、上記したペンタメチレンジイソシアネートをトリマー化することにより得られるペンタメチレンジイソシアネートの3量体(例えば、イソシアヌレート基、および/または、イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート)を、含んでいる。
ペンタメチレンジイソシアネートをトリマー化する方法としては、特に制限されないが、例えば、特開平2−250872号公報に記載の方法(尿素法)などが挙げられる。
なお、このようなポリイソシアネート組成物には、必要により、例えば、スルホンアミド基を含有する化合物(例えば、芳香族スルホンアミド類、脂肪族スルホンアミド類など)を含有させることもできる。
そして、詳述しないが、上記のペンタメチレンジイソシアネートおよび/またはイソシアネート変性体(ポリイソシアネート組成物を含む)と、活性水素化合物とを反応させることにより、ポリウレタン樹脂を製造することができる。
以下に、実施例、参考例および比較例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例などに用いられる測定方法を、以下に示す。
<ペンタメチレンジアミンの反応収率(単位:mol%)>
L−リシン一塩酸塩(和光純薬工業社製)、および、後述する(ペンタメチレンジアミンの蒸留)で得られた精製ペンタメチレンジアミンを用い、以下のHPLC(高速液体クロマトグラフ)分析条件下で得られたクロマトグラフの面積値から作成した検量線により、ペンタメチレンジアミンの濃度を算出し、L−リシン一塩酸塩およびペンタメチレンジアミンの合計濃度に対するペンタメチレンジアミンの濃度の割合を、ペンタメチレンジアミンの反応収率とした。
カラム;Asahipak ODP−50 4E(昭和電工社製)
カラム温度;40℃
溶離液;0.2mol/L リン酸ナトリウム(pH7.7)+2.3mmol/L 1−オクタンスルホン酸ナトリウム
流量;0.5mL/min
L−リシン一塩酸塩およびペンタメチレンジアミンの検出には、オルトフタルアルデヒドを用いたポストカラム誘導体化法〔J.Chromatogr.,83,353−355(1973)〕を採用した。
<ペンタメチレンジアミンの純度(単位:質量%)>
後述する(ペンタメチレンジアミンの蒸留)で得られた精製ペンタメチレンジアミンを用い、以下のガスクロマトグラフ分析条件で得られたガスクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、ペンタメチレンジアミンの純度を算出した。
装置;GC−6890(アジレント・テクノロジー社製)
カラム;WCOT FUSED SILICA CP−SIL 8CB FOR AMINES(VARIAN社製)
オーブン温度;40℃で3分間保持、40℃から300℃まで、10℃/minで昇温、300℃で11分間保持
注入口温度;250℃
検出器温度;280℃
キャリアガス;ヘリウム
検出法;FID
<抽出率(単位:質量%)>
抽出溶媒によるペンタメチレンジアミンの抽出率を求めるため、上記(ペンタメチレンジアミンの純度)と同様の測定を行い、抽出操作前のペンタメチレンジアミン水溶液中のペンタメチレンジアミン濃度と、抽出操作後の抽出溶媒中のペンタメチレンジアミン濃度とを測定した。
そして、以下の式により、抽出率を算出した。
(a)抽出溶媒中のペンタメチレンジアミンの質量=抽出溶媒中のペンタメチレンジアミン濃度×抽出溶媒の質量/100
(b)仕込んだペンタメチレンジアミン水溶液中のペンタメチレンジアミンの質量=抽出操作前のペンタメチレンジアミン水溶液のジアミノペンタン濃度×仕込んだペンタメチレンジアミン水溶液の質量/100
抽出率(質量%)=(a)/(b)×100
<C=N結合を含む環状構造を有した化合物の総含有量(単位:質量%)>
後述する(2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度)と(2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度)との合計値により求めた。
<2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度(単位:質量%)>
後述する(未知物質の構造解析)で得られた、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを用い、(ペンタメチレンジアミンの純度)に記載と同条件の測定により得られたガスクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度を算出した。
<2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度(単位:質量%)>
後述する(未知物質の構造解析)で得られた、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンを用い、(ペンタメチレンジアミンの純度)に記載と同条件の測定により得られたガスクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度を算出した。
<ペンタメチレンジイソシアネートの純度(単位:質量%)>
ペンタメチレンジイソシアネートの純度は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠し、n−ジブチルアミン法により測定したイソシアネート基濃度から、算出した。
<ペンタメチレンジイソシアネート濃度(単位:質量%)>
後述する実施例1で得られたペンタメチレンジイソシアネート(a)を用い、以下のHPLC分析条件下で得られたクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、ポリイソシアネート組成物中のペンタメチレンジイソシアネートの濃度を算出した。
装置;Prominence(島津製作所社製)
1) ポンプ LC−20AT
2) デガッサ DGU−20A3
3) オートサンプラ SIL−20A
4) カラム恒温槽 COT−20A
5) 検出器 SPD−20A
カラム;SHISEIDO SILICA SG−120
カラム温度;40℃
溶離液;n−ヘキサン/メタノール/1,2−ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
流量;0.2mL/min
検出方法;UV 225nm
<イソシアネート基の転化率(単位:%)>
イソシアネート基の転化率は、以下のGPC測定条件において得られたクロマトグラムにより、全ピーク面積に対するペンタメチレンジイソシアネートのピークよりも高分子量側にあるピークの面積の割合を、イソシアネート基の転化率とした。
装置;HLC−8020(東ソー社製)
カラム;G1000HXL、G2000HXLおよびG3000HXL(以上、東ソー製商品名)を直列に連結
カラム温度;40℃
溶離液;テトラヒドロフラン
流量;0.8mL/min
検出方法;示差屈折率
標準物質;ポリエチレンオキシド(東ソー社製、商品名:TSK標準ポリエチレンオキシド)
<イソシアネート基濃度(単位:質量%)>
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基濃度は、電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠したn−ジブチルアミン法により、測定した。
<粘度(単位:mPa・s)>
東機産業社製のE型粘度計TV−30を用いて、ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度を測定した。
<色相(単位:APHA)>
JIS K−0071に準拠した方法により、ポリイソシアネート組成物の色相を測定した。
(ペンタメチレンジアミンの蒸留)
温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ペンタメチレンジアミン(東京化成社製)を仕込み、塔頂温度が111〜115℃、10KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、精製ペンタメチレンジアミンを得た。蒸留精製したペンタメチレンジアミンは、ガスクロマトグラフィーの面積比が100%であった。
調製例1(菌体破砕液の調製)
(リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニング)
Escherichia coli W3110株(ATCC27325)から常法に従い調製したゲノムDNAをPCRの鋳型に用いた。
PCR用のプライマーには、リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)(GenBank Accession No.AP009048)の塩基配列に基づいて設計した配列番号1および2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いた。これらのプライマーは、5’末端付近にそれぞれKpnIおよびXbaIの制限酵素認識配列を有する。
上記のゲノムDNA1ng/μLおよび各プライマー0.5pmol/μLを含む25μLのPCR反応液を用いて、変性:94℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、2分間からなる反応サイクルを30サイクルの条件で、PCRを行った。
PCR反応産物およびプラスミドpUC18(宝酒造社製)をKpnIおよびXbaIで消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡社製)を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、Eschrichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体を、アンピシリン(Am)100μg/mLおよびX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性でかつ白色コロニーとなった形質転換体を得た。このようにして得られた形質転換体よりプラスミドを抽出した。
通常の塩基配列の決定法に従い、プラスミドに導入されたDNA断片の塩基配列が配列番号3に示す塩基配列であることを確認した。
得られたリシン脱炭酸酵素をコードするDNAを持つプラスミドをpCADAと命名した。pCADAを用いて形質転換した大腸菌を培養することで、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するリシン脱炭酸酵素を生産することができた。
(形質転換体の作製)
pCADAを用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADAと命名した。
この形質転換体をバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にてOD(660nm)が0.5になるまで振盪培養した後、IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)が0.1mmol/Lとなるように添加し、さらに14時間振盪培養した。培養液を8000rpmで20分間遠心分離し、菌体を得た。この菌体を20mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁した後、超音波破砕を行い、菌体破砕液を調製した。
調製例2(ペンタメチレンジアミン水溶液の製造)
フラスコに、L−リシン一塩酸塩(和光純薬製を、終濃度が45質量%となるように、および、ピリドキサールリン酸(和光純薬製)を、終濃度が0.15mmol/Lとなるように調製した基質溶液120質量部を加えた。次に、上記のW/pCADA菌体破砕液(仕込み乾燥菌体換算重量0.3g)を添加し反応を開始した。反応条件は37℃、200rpmとした。反応液のpHは6mol/Lの塩酸にてpH6に調整した。24時間後のペンタメチレンジアミンの反応収率は99%に達していた。上記の反応24時間後の反応液を、6mol/Lの塩酸にてpH2に調整し、0.6質量部の活性炭(三倉化成社製 粉末活性炭PM−SX)を添加し、25℃で1時間攪拌を行った後、濾紙(ADVANTEC社製 5C)にて濾過を行った。次に、この濾液を水酸化ナトリウムにてpH12に調整し、ペンタメチレンジアミン水溶液(17.0質量%水溶液)を得た。
実施例1(ペンタメチレンジアミン(a)の調製)
分液ロートに、調製例2で得られたペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−ブタノール(抽出溶媒)100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。次いで、有機層(ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)を抜き出し、抽出率を測定した。その結果、抽出率は、91.8%であった。
次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、有機層の抽出液(ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)100質量部を仕込み、10kPaの減圧下、オイルバス温度を120℃として、n−ブタノールを留去させ、純度99.9質量%のペンタメチレンジアミン(a)を得た。
すなわち、ペンタメチレンジアミン(a)は、ペンタメチレンジアミン水溶液をn−ブタノールにより溶媒抽出し、さらにn−ブタノールを留去させることにより、調製することができた。
得られたペンタメチレンジアミン(a)には、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを含む不純物が含有されていた。
参考例2(ペンタメチレンジアミン(b)の調製)
分液ロートに、調製例2で得られたペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とイソブタノール(抽出溶媒)100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。次いで、有機層(ペンタメチレンジアミンを含むイソブタノール)を抜き出し、抽出率を測定した。その結果、抽出率は、86.0%であった。
次いで、実施例1と同様の条件および操作にてイソブタノールを留去させ、純度99.7質量%のペンタメチレンジアミン(b)を得た。
すなわち、ペンタメチレンジアミン(b)は、ペンタメチレンジアミン水溶液をイソブタノールにより溶媒抽出し、さらにイソブタノールを留去させることにより、調製することができた。
得られたペンタメチレンジアミン(b)には、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを含む不純物が含有されていた。
実施例3(ペンタメチレンジアミン(c)の調製)
分液ロートに、調製例2で得られたペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−ヘプタノール(抽出溶媒)100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。次いで、有機層(ペンタメチレンジアミンを含むn−ヘプタノール)を抜き出し、抽出率を測定した。その結果、抽出率は、68.5%であった。
次いで、実施例1と同様の条件および操作にてn−ヘプタノールを留去させ、純度99.6質量%のペンタメチレンジアミン(c)を得た。
すなわち、ペンタメチレンジアミン(c)は、ペンタメチレンジアミン水溶液をn−ヘプタノールにより溶媒抽出し、さらにn−ヘプタノールを留去させることにより、調製することができた。
得られたペンタメチレンジアミン(c)には、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを含む不純物が含有されていた。
比較例1(ペンタメチレンジアミン(d)の調製)
分液ロートに、調製例2で得られたペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−オクタノール(抽出溶媒)100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。次いで、有機層(ペンタメチレンジアミンを含むn−オクタノール)を抜き出し、抽出率を測定した。その結果、抽出率は、60.5%であった。
次いで、実施例1と同様の条件および操作にてペンタメチレンジアミンを留出させた。これにより、純度99.8質量%のペンタメチレンジアミン(d)を得た。
すなわち、ペンタメチレンジアミン(d)は、ペンタメチレンジアミン水溶液をn−オクタノールにより溶媒抽出した後、ペンタメチレンジアミンを留出させることにより、調製することができた。
得られたペンタメチレンジアミン(d)には、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを含む不純物が含有されていた。
比較例2(ペンタメチレンジアミン(e)の調製)
分液ロートに、調製例2で得られたペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とクロロホルム(抽出溶媒)100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。次いで、有機層(ペンタメチレンジアミンを含むクロロホルム)を抜き出し、抽出率を測定した。その結果、抽出率は、62.0%であった。
次いで、実施例1と同様の条件および操作にてクロロホルムを留去させ、純度97.8質量%のペンタメチレンジアミン(e)を得た。
すなわち、ペンタメチレンジアミン(e)は、ペンタメチレンジアミン水溶液をクロロホルムにより溶媒抽出し、さらにクロロホルムを留去させることにより、調製することができた。
得られたペンタメチレンジアミン(e)には、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンおよび未知物質を含む不純物が含有されていた。
実施例4(ペンタメチレンジアミン(f)の調製)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、調製例2で得られたペンタメチレンジアミン水溶液110質量部を装入し、38kPa、80℃で水を留去させ、19.6質量%のペンタメチレンジアミン水溶液を得た。
分液ロートに上記ペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−ブタノール(抽出溶媒)100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。次いで、有機層(ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)を抜き出し、抽出率を測定した。その結果、抽出率は、93.4%であった。
次いで、実施例1と同様の条件および操作にてn−ブタノールを留去させ、純度99.6質量%のペンタメチレンジアミン(f)を得た。
得られたペンタメチレンジアミン(f)には、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを含む不純物が含有されていた。
参考例5(ペンタメチレンジアミン(g)の調製)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、調製例2で得られたペンタメチレンジアミン水溶液110質量部を装入し、大気圧、還流温度(105℃)で水を留去させ、19.4質量%のペンタメチレンジアミン水溶液を得た。
分液ロートに上記ペンタメチレンジアミン水溶液100質量部とn−ブタノール(抽出溶媒)100質量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。次いで、有機層(ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)を抜き出し、抽出率を測定した。その結果、抽出率は、89.2%であった。
次いで、実施例1と同様の条件および操作にてn−ブタノールを留去させ、純度99.2質量%のペンタメチレンジアミン(g)を得た。
得られたペンタメチレンジアミン(g)には、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを含む不純物が含有されていた。
試験例1(ペンタメチレンジアミンに含有される未知物質の構造解析)
固相抽出カートリッジ(VARIAN社製、型式1225−6067)を用いて、ペンタメチレンジアミンに含まれる不純物の分取を行い、GC−MS分析およびNMR分析により構造解析を行った。
固相抽出カートリッジをコンディショニングするため、メタノール50mLとクロロホルム450mLの混合溶液を通液した。ペンタメチレンジアミン(e)500mgをメタノール50mLとクロロホルム450mLの混合溶液に溶解させた後、固相抽出カートリッジに通液し、流出液を得た。次いで、5回に分けて以下に示した割合のメタノールとクロロホルムの混合溶液を通液し、固相抽出カートリッジからの流出液を分取した。
1回目;メタノール100mLとクロロホルム900mLの混合溶液
2回目;メタノール50mLとクロロホルム450mLの混合溶液
3回目;メタノール100mLとクロロホルム400mLの混合溶液
4回目;メタノール100mLとクロロホルム400mLの混合溶液
5回目;メタノール100mLとクロロホルム400mLの混合溶液
1、2回目の流出液を窒素パージにより溶媒除去し、得られた化合物を、下記GC−MS分析1の条件で測定した。その結果、ペンタメチレンジアミンは検出されず、面積比99%の2,3,4,5−テトラヒドロピリジンが検出された。
1、2回目の流出液と同様の操作により、3回目から得られた化合物を、GC−MS分析1で測定した。その結果、ペンタメチレンジアミンは検出されず、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンと未知物質が検出された。
1、2回目の流出液と同様の操作により、4、5回目から得られた化合物を、GC−MS分析1で測定した。その結果、ペンタメチレンジアミンと2,3,4,5−テトラヒドロピリジンとは検出されず、面積比99%の未知物質が検出された。
4、5回目の化合物のGC−MS分析1のクロマトグラムを図1に示す。
なお、図1において、4:08のピークがクロロホルムであり、13:26のピークが未知物質である。
また、4、5回目の化合物のGC−MS分析1のスペクトルを図2に示す。
次いで、未知物質の化学式を決定するために、4、5回目の化合物に標準物質として前述の(ペンタメチレンジアミンの蒸留)で得られた蒸留精製したペンタメチレンジアミンを加え、下記GC−MS分析2の条件で測定した。得られたクロマトグラムを図3に示す。
なお、図3において、11:61のピークがペンタメチレンジアミンであり、13:34のピークが未知物質である。
GC−MS分析2の結果から、未知物質の化学式は、C12であることが確認された。
次いで、未知物質の構造解析を行うため、4、5回目の化合物を下記NMR分析の条件で測定を行った。
未知物質のH−NMRの結果を図4に、13C−NMRの結果を図5に、COSYの結果を図6に、HMQCの結果を図7に、HMBCの結果を図8および図9に示す。なお、図9には、図8に示す結果の拡大図を示す。
GC−MS分析およびNMR分析の結果から、未知物質は、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンであることが確認された。
なお、GC−MS分析およびNMR分析の装置および条件を以下に示す。
<GC−MS分析1>
装置;Q1000GC K9(日本電子社製)
イオン化法;EI
カラム;WCOT FUSED SILICA CP−SIL 8CB FOR AMINES(VARIAN社製)、0.25mmφ×30m
オーブン温度;40℃で3分間保持、40℃から300℃まで、10℃/minで昇温、300℃で11分間保持
注入口温度;250℃
He流量 ; 0.7mL/min
注入モード ; スプリット
<GC−MS分析2>
装置;JMS−T100GC(日本電子製)
イオン化法;FI
カラム;WCOT FUSED SILICA CP−SIL 8CB FOR AMINES(VARIAN製)、0.25mmφ×30m
オーブン温度;40℃で3分間保持、40℃から300℃まで、10℃/minで昇温、300℃で11分間保持
注入口温度;250℃
He流量 ; 0.7mL/min
注入モード ; スプリット
<NMR分析>
装置;核磁気共鳴装置 ECA500(日本電子製)
測定法;1H−NMR、13C−NMR、COSY、HMQC、HMBC
試験例2(不純物濃度の測定)
各実施例、各参考例および各比較例により得られたペンタメチレンジアミンに含まれる不純物(2,3,4,5−テトラヒドロピリジン、および、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン)の濃度を、以下に示す手法により、算出した。
すなわち、2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度が2質量%、0.5質量%、0.05質量%となるように、前述の(ペンタメチレンジアミンの蒸留)で得られた精製ペンタメチレンジアミンと試験例1で得られた2,3,4,5−テトラヒドロピリジンを混合した。次いで、内部標準物質として、一定量のo−ジクロロベンゼン(以下、ODCBと略する場合がある。)、および、溶剤のメタノールを加えた溶液を、それぞれ3回、(ペンタメチレンジアミンの純度)に記載と同条件の測定を行い、横軸をODCBと2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの面積比、縦軸をODCBと2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの濃度比とした検量線を作成した。
各実施例、各参考例および各比較例で得られたペンタメチレンジアミンに、一定量のODCB、および、溶剤のメタノールを加え、(ペンタメチレンジアミンの純度)に記載と同条件の測定を行い、検量線から2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度を算出した。
2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度の算出手法と同様にして、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの濃度を算出した。
その結果、ペンタメチレンジアミン(a)の2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度は、0.1質量%、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度は、検出限界未満(検出限界:0.0006質量%)であり、それらの総量(検出可能範囲における総量)は、0.1質量%であった。
ペンタメチレンジアミン(b)の2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度は、0.1質量%、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度は、検出限界未満(検出限界:0.0006質量%)であり、それらの総量(検出可能範囲における総量)は、0.1質量%であった。
ペンタメチレンジアミン(c)の2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度は、0.1質量%、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度は、検出限界未満(検出限界:0.0006質量%)であり、それらの総量(検出可能範囲における総量)は、0.1質量%であった。
ペンタメチレンジアミン(d)の2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度は、0.1質量%、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度は、検出限界未満(検出限界:0.0006質量%)であり、それらの総量(検出可能範囲における総量)は、0.1質量%であった。
ペンタメチレンジアミン(e)の2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度は、0.6質量%、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度は、1.6質量%であり、それらの総量(検出可能範囲における総量)は、2.2質量%であった。
ペンタメチレンジアミン(f)の2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度は、0.3質量%、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度は、検出限界未満であり、それらの総量(検出可能範囲における総量)は、0.3質量%であった。
ペンタメチレンジアミン(g)の2,3,4,5−テトラヒドロピリジン濃度は、0.6質量%、2−(アミノメチル)−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン濃度は、検出限界未満であり、それらの総量(検出可能範囲における総量)は、0.6質量%であった。
これら各ペンタメチレンジアミン中の各不純物の濃度を、表1に示す。
製造例1(ペンタメチレンジイソシアネート(a)の製造)
圧力制御弁、還流冷却器、気液分離器、攪拌装置を備えたSUS製オートクレーブに、ペンタメチレンジアミン(a)51質量部、尿素72質量部およびn−ブタノール222質量部の混合物を仕込み、窒素ガスを毎分0.3L流通、500rpmで攪拌させながら、反応温度215℃で保つように内圧を圧力制御弁で調節しながら3時間反応させた。得られた反応液を、0.5KPa、150℃で減圧蒸留して軽沸分をカットし、純度96.1%のビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン150質量部を得た。
次いで、撹拌機、温度計および冷却器を備えた精留塔を備え付けた4つ口フラスコを反応器とし、冷却器には80℃の温水を流し、受器は冷アセトンで冷却したコールドトラップを通して真空ラインに連結した。フラスコにビス(ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン70質量部、バーレルプロセス油B−30(松村石油社製)70質量部、ジラウリン酸ジブチルスズ0.14質量部を仕込んだ。反応系内を窒素置換した後、3.0kPaに減圧し、反応液を250℃まで昇温させ2時間反応させた。反応終了後、受器に集められた反応液をガスクロマトグラフィーにより定量した結果、純度99.9質量%のペンタメチレンジイソシアネート(a)を得た。
ガスクロマトグラフィーの分析条件を、以下に示す。
装置;GC-14B(島津製作所製)
カラム;UA−20EX−2.0F、1.2mmφ×20m(フロンティア・ラボ社製)
オーブン温度;100℃で2分間保持、100℃から240℃まで、10℃/minで昇温、240℃で14分間保持
注入口温度;250℃
検出器温度;250℃
キャリアガス;ヘリウム
検出方法;FID
製造例2(ペンタメチレンジイソシアネート(b)の製造)
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、オルトジクロロベンゼン2000質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300質量部をホスゲン導入ラインから加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、ペンタメチレンジアミン(a)400質量部をオルトジクロロベンゼン2600質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。
次いで、反応器の内液を徐々に160℃まで昇温しながら、0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間熱ホスゲン化した。なお、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲン1100質量部を、さらに添加した。熱ホスゲン化の過程で、加圧反応器内液は、淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃において、窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
次いで、減圧下でオルトジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下でペンタメチレンジイソシアネートを留去させた。
次いで、留去させたペンタメチレンジイソシアネートを、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、200℃、3時間加熱処理を行った。
次いで、加熱処理後のペンタメチレンジイソシアネートを、ガラス製フラスコに装入し、充填物(住友重機械工業社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学社製、商品名:蒸留頭K型)、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、純度99.9質量%のペンタメチレンジイソシアネート(b)を450質量部得た。
製造例3(ペンタメチレンジイソシアネート(c)の製造)
ペンタメチレンジアミン(a)に代え、ペンタメチレンジアミン(b)を用いた以外は、製造例1と同様の条件および操作にて、純度99.9質量%のペンタメチレンジイソシアネート(c)を得た。
製造例4(ペンタメチレンジイソシアネート(d)の製造)
ペンタメチレンジアミン(a)に代え、ペンタメチレンジアミン(e)を用いた以外は、製造例1と同様の条件および操作にて、純度99.1質量%のペンタメチレンジイソシアネート(d)を得た。
製造例5(ペンタメチレンジイソシアネート(e)の製造)
ペンタメチレンジアミン(a)に代え、ペンタメチレンジアミン(e)を用いた以外は、製造例2と同様の条件および操作にて、純度99.0質量%のペンタメチレンジイソシアネート(e)を得た。
合成例1(ポリイソシアネート組成物(A)の製造)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ペンタメチレンジイソシアネート(a)を500質量部、イソブチルアルコールを1.0質量部、2,6−ジ(tert-ブチル)−4−メチルフェノールを0.25質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.25質量部装入し、80℃で3時間反応させた。この溶液を60℃に降温した後、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.1質量部添加した。1時間反応させた後、o−トルエンスルホンアミドを0.12質量部添加した(イソシアネート基の転化率:10質量%)。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを除去し、得られた組成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部添加しポリイソシアネート組成物(A)を得た。
このポリイソシアネート組成物(A)のペンタメチレンジイソシアネート濃度は0.3質量%、イソシアネート基濃度1は25.2質量%、25℃における粘度1は1700mPa・s、色相1はAPHA20であった。これらの測定値を、加熱促進試験前の測定値とし、表2に示す。
次いで、金属製の容器にポリイソシアネート組成物(A)を移し、窒素パージ後、60℃のオーブン中に4日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のポリイソシアネート組成物の、イソシアネート基濃度2は24.7質量%であり、25℃における粘度2は1870mPa・sであり、色相2はAPHA30であった。これらの測定値を、加熱促進試験後の測定値とし、表2に示す。
合成例2(ポリイソシアネート組成物(B)の製造)
ペンタメチレンジイソシアネート(a)に代えて、ペンタメチレンジイソシアネート(b)を用い、合成例1と同様の方法にてポリイソシアネート組成物(B)を得た。
このポリイソシアネート組成物(B)のペンタメチレンジイソシアネート濃度は0.5質量%、イソシアネート基濃度1は25.0質量%、25℃における粘度1は1790mPa・s、色相1はAPHA20であった。これらの測定値を、加熱促進試験前の測定値とし、表2に示す。
次いで、金属製の容器にポリイソシアネート組成物(B)を移し、窒素パージ後、60℃のオーブン中に4日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のポリイソシアネート組成物の、イソシアネート基濃度2は24.5質量%であり、25℃における粘度2は1990mPa・sであり、色相2はAPHA30であった。これらの測定値を、加熱促進試験後の測定値とし、表2に示す。
合成例3(ポリイソシアネート組成物(C)の製造)
ペンタメチレンジイソシアネート(a)に代えて、ペンタメチレンジイソシアネート(c)を用い、合成例1と同様の方法にてポリイソシアネート組成物(C)を得た。
このポリイソシアネート組成物(C)のペンタメチレンジイソシアネート濃度は0.5質量%、イソシアネート基濃度1は25.1質量%、25℃における粘度1は1750mPa・s、色相1はAPHA20であった。これらの測定値を、加熱促進試験前の測定値とし、表2に示す。
次いで、金属製の容器にポリイソシアネート組成物(C)を移し、窒素パージ後、60℃のオーブン中に4日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のポリイソシアネート組成物の、イソシアネート基濃度2は24.6質量%であり、25℃における粘度2は1940mPa・sであり、色相2はAPHA30であった。これらの測定値を、加熱促進試験後の測定値とし、表2に示す。
比較合成例1(ポリイソシアネート組成物(D)の製造)
ペンタメチレンジイソシアネート(a)に代えて、ペンタメチレンジイソシアネート(d)を用い、合成例1と同様の方法にてイソシアヌレート化反応を行ったが、イソシアネート基濃度の測定から反応速度が低いことが確認されたため、トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・2−エチルヘキサノエートを0.2質量部加えた。
イソシアネート基濃度の測定後、さらにトリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・2−エチルヘキサノエートを0.1質量部加え、反応を3時間継続し、ポリイソシアネート組成物(D)を得た。
このポリイソシアネート組成物(D)のペンタメチレンジイソシアネート濃度は0.7質量%、イソシアネート基濃度1は20.2質量%、25℃における粘度1は2200mPa・s、色相1はAPHA100であった。これらの測定値を、加熱促進試験前の測定値とし、表2に示す。
次いで、金属製の容器にポリイソシアネート組成物(D)を移し、窒素パージ後、60℃のオーブン中に4日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のポリイソシアネート組成物の、イソシアネート基濃度2は17.2質量%であり、25℃における粘度2は2950mPa・sであり、色相2はAPHA150であった。これらの測定値を、加熱促進試験後の測定値とし、表2に示す。
比較合成例2(ポリイソシアネート組成物(E)の製造)
ペンタメチレンジイソシアネート(a)に代えて、ペンタメチレンジイソシアネート(e)を用い、合成例1と同様の方法にてイソシアヌレート化反応を行ったが、イソシアネート基濃度の測定から反応速度が低いことが確認されたため、トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・2−エチルヘキサノエートを0.2質量部加えた。
イソシアネート基濃度の測定後、さらにトリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム・2−エチルヘキサノエートを0.1質量部加え、反応を3時間継続し、ポリイソシアネート組成物(E)を得た。
このポリイソシアネート組成物(E)のペンタメチレンジイソシアネート濃度は0.8質量%、イソシアネート基濃度1は19.8質量%、25℃における粘度1は2380mPa・s、色相1はAPHA100であった。これらの測定値を、加熱促進試験前の測定値とし、表2に示す。
次いで、金属製の容器にポリイソシアネート組成物(E)を移し、窒素パージ後、60℃のオーブン中に4日間静置し、加熱促進試験を実施した。試験後のポリイソシアネート組成物の、イソシアネート基濃度2は16.6質量%であり、25℃における粘度2は3240mPa・sであり、色相2はAPHA150であった。これらの測定値を、加熱促進試験後の測定値とし、表2に示す。

Claims (1)

  1. リシンまたはその塩の脱炭酸酵素反応により得られるペンタメチレンジアミンまたはその塩を含有する水溶液から、ペンタメチレンジアミンまたはその塩を、90℃以上で熱処理することなく、
    炭素数4〜7の直鎖状1価アルコールにより抽出することを特徴とする、ペンタメチレンジアミンまたはその塩の製造方法。
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