JP5899141B2 - 重合性含フッ素化合物、硬化性組成物、膜、離画壁、反射防止フィルム、及び表示装置 - Google Patents

重合性含フッ素化合物、硬化性組成物、膜、離画壁、反射防止フィルム、及び表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、重合性含フッ素化合物、硬化性組成物、膜、離画壁、反射防止フィルム、及び表示装置に関する。
近年、パーソナルコンピュータ用液晶ディスプレイ、液晶カラーテレビの需要が増加する傾向にあり、このようなディスプレイに不可欠のカラーフィルタの特性向上とコストダウンに対する要求が高まっている。
従来、カラーフィルタの製造方法としては、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法などが実施されているが、これらの方法はいずれも、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色画素を形成するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になる点で共通している。さらに、工程数が多いため、歩留まりが低下しやすいという問題もある。
これらの問題を克服すべく、近年、ブラックマトリックス(離画壁)を顔料分散法で形成し、RGB画素をインクジェット法で作製するカラーフィルタ製造法が検討されている。このインクジェット方式は、ブラックマトリックス(離画壁)の凹部にR、G、B各色を順次付与して画素を形成する。インクジェット方式を利用した方法は、製造プロセスが簡略で、低コストであるという利点がある。
また、インクジェット方式はカラーフィルタの製造に限らず、エレクトロルミネッセンス素子など、他の光学素子の製造にも応用が可能である。
前記インクジェット法において、隣り合う画素領域間におけるインクの混色等の発生や、所定の領域以外の部分にITO溶液や金属溶液が固まりこびりつく現象を防ぐ必要がある。したがって、隔壁(離画壁)は、インクジェットの塗出液である水や有機溶剤等をはじく性質、いわゆる撥水撥油性を有することが要求されている。
上記に関連して、フッ素原子を7つ以上有する繰り返し単位と、エステル基を3つ以上有する繰り返し単位とを有する含フッ素化合物を用いることで、撥水性及び撥インク性(撥油性)に優れた離画壁を形成することが提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献2及び3には、特定の構造を有する多官能の重合性含フッ素化合物が記載されている。
特開2008−202006号公報 特開2008−106036号公報 特開2006−28280号公報
しかしながら、含フッ素化合物と架橋剤等の他の成分とを含有する組成物から基板上に膜を形成した場合に、形成された膜と基板との密着性を確保するために、含フッ素化合物と架橋剤等の他の成分との相溶性を向上させたいという要求があった。
本発明の目的は、例えば、高い撥水及び撥インク性を有し、耐熱性に優れ、基材との密着性に優れ、混色防止性に優れ、表示装置に用いた際に表示ムラが少ない、カラーフィルターの離画壁を形成することができる重合性含フッ素化合物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記重合性含フッ素化合物を含む硬化性組成物、該硬化性組成物を硬化して得られる膜、離画壁、反射防止フィルム、及び表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより上記課題を解決し目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
<1>
下記一般式(I)で表される重合性含フッ素化合物。
Figure 0005899141

一般式(I)中、
は、単結合又は(p1+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p2+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p3+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p4+1)価の連結基を表す。
〜Q は、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、又はエポキシ基を表す。
p1〜p4は、各々独立に、1〜3の整数を表す。
<2>
p1〜p4が、各々独立に、2又は3を表す<1>に記載の重合性含フッ素化合物。
<3>
〜L が、各々独立に、直鎖、分岐、若しくは環状の炭化水素基、芳香族環基、酸素原子、又はこれらを組み合わせて得られる連結基である<1>又は<2>に記載の重合性含フッ素化合物。
ただし、上記炭化水素基及び芳香族環基は、アルキル基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基、又は−CF −O−(CF m1 Fで表される基を置換基として有していてもよい。m1は1〜10の整数を表す。
<4>
〜L が、各々独立に、下記一般式(LL−1)〜(LL−16)のいずれかで表される連結基である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の重合性含フッ素化合物。
Figure 0005899141

Figure 0005899141

一般式(LL−1)〜(LL−16)中、
nは繰り返し単位の繰り返し数を表し、各々独立に、0〜10の整数を表す。
Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
*は窒素原子との結合手を表し、**はQ 〜Q との結合手を表す。
<5>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載の重合性含フッ素化合物を含む硬化性組成物。
<6>
更に、開始剤、バインダー、及びエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を含む<5>に記載の硬化性組成物。
<7>
<5>又は<6>に記載の硬化性組成物を硬化して得られる膜。
<8>
<7>に記載の膜を有する離画壁。
<9>
<7>に記載の膜を有する反射防止フィルム。
<10>
<8>に記載の離画壁又は<9>に記載の反射防止フィルムを有する表示装置。
なお、本発明は上記<1>〜<10>に記載の構成を有するものであるが、以下その他についても参考のため記載した。
[1]
下記一般式(I)で表される重合性含フッ素化合物。
Figure 0005899141
一般式(I)中、
は、単結合又は(p1+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p2+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p3+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p4+1)価の連結基を表す。
〜Qは、各々独立に、重合性基を有する基を表す。
p1〜p4は、各々独立に、1〜3の整数を表す。
[2]
〜Qが、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、又はエポキシ基を表す[1]に記載の重合性含フッ素化合物。
[3]
p1〜p4が、各々独立に、2又は3を表す[1]又は[2]に記載の重合性含フッ素化合物。
[4]
〜Lが、各々独立に、直鎖、分岐、若しくは環状の炭化水素基、芳香族環基、酸素原子、又はこれらを組み合わせて得られる連結基である[1]〜[3]のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物。
ただし、上記炭化水素基及び芳香族環基は、アルキル基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基、又は−CF−O−(CFm1Fで表される基を置換基として有していてもよい。m1は1〜10の整数を表す。
[5]
〜Lが、各々独立に、下記一般式(LL−1)〜(LL−16)のいずれかで表される連結基である[1]〜[4]のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物。
Figure 0005899141
Figure 0005899141
一般式(LL−1)〜(LL−16)中、
nは繰り返し単位の繰り返し数を表し、各々独立に、0〜10の整数を表す。
Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
*は窒素原子との結合手を表し、**はQ〜Qとの結合手を表す。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物を含む硬化性組成物。
[7]
更に、開始剤、バインダー、及びエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を含む[6]に記載の硬化性組成物。
[8]
[6]又は[7]に記載の硬化性組成物を硬化して得られる膜。
[9]
[8]に記載の膜を有する離画壁。
[10]
[8]に記載の膜を有する反射防止フィルム。
[11]
[9]に記載の離画壁又は[10]に記載の反射防止フィルムを有する表示装置。
本発明によれば、例えば、高い撥水及び撥インク性を有し、基材との密着性に優れ、混色防止性に優れ、表示装置に用いた際に表示ムラが少ない、カラーフィルターの離画壁を形成することができる重合性含フッ素化合物を提供することができる。また、本発明によれば、上記表面改質剤から形成される膜を有する処理基材、上記上記重合性含フッ素化合物を含む硬化性組成物、該硬化性組成物を硬化して得られる膜、離画壁、反射防止フィルム、及び表示装置を提供することができる。
以下、本発明について説明する。ただし、本発明は以下の記載により制限されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
<重合性含フッ素化合物>
本発明の重合性含フッ素化合物は、下記一般式(I)で表される。
本発明の重合性含フッ素化合物を用いることで基材との密着性に優れ、強度が高く耐熱性に優れる硬化物が得られる。その理由は定かではないが、分子を構成するC、H、O原子に加えてN原子が存在することで生じる極性により分子間の相互作用がより強くなるためと考えられる。
Figure 0005899141
一般式(I)中、
は、単結合又は(p1+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p2+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p3+1)価の連結基を表す。
は、単結合又は(p4+1)価の連結基を表す。
〜Qは、各々独立に、重合性基を有する基を表す。
p1〜p4は、各々独立に、1〜3の整数を表す。
上記一般式(I)中、Q〜Qは、各々独立に、重合性基を有する基を表す。
〜Qは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、又はエポキシ基を表すことが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、又はアリル基がより好ましく、アクリロイル基、又はメタクリロイル基が更に好ましい。
は単結合又は(p1+1)価の連結基を表し、Lは単結合又は(p2+1)価の連結基を表し、Lは単結合又は(p3+1)価の連結基を表し、Lは単結合又は(p4+1)価の連結基を表す。
p1〜p4は、各々独立に、1〜3の整数を表し、2又は3を表すことが、基材との密着性の観点から好ましい。
〜Lは、各々独立に、直鎖、分岐、若しくは環状の炭化水素基、芳香族環基、酸素原子、又はこれらを組み合わせて得られる連結基であることが好ましい。ただし、上記炭化水素基及び芳香族環基は、アルキル基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基、又は−CF−O−(CFm1Fで表される基を置換基として有していてもよい。m1は1〜10の整数を表す。
上記m1は、合成の容易さと共存する他素材との相溶性の観点から、1〜8の整数が好ましく、1〜6の整数がより好ましく、1〜4の整数が更に好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、合成の容易さと共存する他素材との相溶性の観点から、1〜10が好ましく、1〜6より好ましく、1〜4が更に好ましい。
上記炭素数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基は、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
〜Lは、原材料の入手性と合成の容易さの観点から、単結合又は下記一般式(LL−1)〜(LL−16)のいずれかで表される連結基であることがより好ましい。
Figure 0005899141
Figure 0005899141
一般式(LL−1)〜(LL−16)中、
nは繰り返し単位の繰り返し数を表し、各々独立に、0〜10の整数を表す。
Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
*は窒素原子との結合手を表し、**はQ〜Qとの結合手を表す。
硬化膜の強度の観点から、nは0〜6の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましい。
Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましい。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例は、下記一般式(I−1)のRが各構造の基である化合物である。
Figure 0005899141
Figure 0005899141
[一般式(I)で表される化合物の製造方法]
上記一般式(I)で表される化合物の製造方法としては、特開2008−106036号公報に記載されている下記化合物(1)に対して、重合性基を置換基に有するイソシアネート化合物を反応させることで合成することが出来る。
Figure 0005899141
この反応に用いることができる重合性基を置換基に有するイソシアネート化合物は特に限定しないが、脂肪族もしくは芳香族のイソシアネート化合物である。重合性基を有するイソシアネート化合物として、例えば、カレンズMOIやカレンズAOI、カレンズBEI(いずれも昭和電工製)などを用いることが出来る。
この反応の反応溶剤は特に限定しないが、反応時間短縮と反応生成物の純度及び収率の観点から、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N−メチル−2−メチルピロリドン、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートなどを用いることが出来る。
反応温度は使用する溶剤種にも依存するが、反応加速と反応生成物の純度の観点からは室温〜100℃の範囲が好ましい。なお、反応触媒を用いることが好ましく、ジブチルすずジラウレートなどの有機すず化合物やジルコニウムテトラアセチルアセトネートなどの有機ジルコニウム化合物、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)などの有機チタン化合物、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどのアミン化合物及びその塩などを用いることが出来る。更に反応中に重合性基が重合反応を起こすことを抑制するため、ハイドロキノンモノメチルエーテルやベンゾキノン、ジブチルヒドロキシトルエンなどの重合禁止剤を添加することが好ましい。これら重合禁止剤は反応に用いる市販のイソシアネート化合物に既に含まれている場合もある。反応の後処理で用いる抽出有機溶剤は特に限定しないが、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、ヘキサンなどが用いられる。未反応物の除去や分液性の向上を目的として塩化ナトリウムなどの無機塩や塩酸や硫酸などの酸成分を添加してもよい。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、前記一般式(I)で表される重合性含フッ素化合物を含む硬化性組成物である。前記一般式(I)で表される重合性含フッ素化合物は架橋剤(硬化促進剤)として機能することができる。
上記硬化性組成物を硬化して得られる膜は、高い撥水及び撥インク性を有し、耐熱性に優れ、基材との密着性に優れ、混色防止性に優れ、表示装置に用いた際に表示ムラが少ない、カラーフィルターの離画壁を形成することができる。
上記一般式(I)で表される重合性含フッ素化合物の硬化性組成物中における含有量としては、硬化性組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜20質量%であり、最も好ましくは0.1〜10質量%である。重合性含フッ素化合物の含有量が前記範囲内であると、より良好な撥水・撥インク性が得られ、基板上に膜形成したときの基板密着性も高めることができる。例えば、黒色顔料等の着色剤を含んでブラックマトリクス等の離隔壁を形成する場合は、インクジェット法により液滴付与して着色領域を形成するときのインクの離画壁上への乗り上げを抑制でき、混色を防止できると共に、基板密着性及び色濃度の高い離画壁を作製することができる。
硬化性組成物の硬化性組成物は、上記一般式(I)で表される重合性含フッ素化合物以外の成分を含んでいてもよい。
上記硬化性組成物は、開始剤、バインダー、及びエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を含むことが好ましい。
本発明の重合性含フッ素化合物は、他の成分(特に架橋剤として機能するエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物等)との相溶性が高いため、上記硬化性組成物を用いて基板上に膜を形成した場合、該膜と基板との密着性が高い。
以下、重合性含フッ素化合物以外の各成分について詳細に説明する。
[開始剤]
本発明の硬化性組成物は、開始剤の少なくとも1種を用いることにより感光性を有する構成とすることができる。
硬化性組成物を硬化させる方法としては、熱開始剤を用いる熱開始系や光開始剤を用いる光開始系が一般的であるが、本発明では硬化後の離画壁を後述するような形状とすることが重要であることから、光開始系を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射(露光ともいう)により、後述のエチレン性不飽和化合物の重合を開始する活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤もしくは光重合開始剤系の中から適宜選択することができる。
光重合開始剤もしくは光重合開始剤系としては、例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、等を挙げることができる。
好ましい開始剤の具体例は、特開2008−202006号公報の[0062]〜[0066]に記載されたものと同様である。
前記光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
開始剤(特に光重合開始剤)の硬化性組成物における総量としては、硬化性組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。前記総量が前記範囲内であると、硬化性組成物の光硬化を効率良く行なえ、現像の際に欠落や表面荒れの発生のない画像パターンを得ることができる。
なお、本発明において、硬化性組成物の全固形分(質量)とは、硬化性組成物中の溶剤を除いた全成分を意味する。
前記光重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。該水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、メルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここでの「水素供与体」とは、露光により前記光重合開始剤から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
前記水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、形成された画像が現像時に永久支持体上から脱落し難く、かつ強度及び感度も向上させ得る点で、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
メルカプタン系化合物、アミン系化合物、及びこれらの組合せの具体例は、特開2008−202006号公報の[0070]〜[0074]に記載されたものと同様である。
前記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。前記水素供与体の硬化性樹脂組成物における総量としては、硬化性樹脂組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
[バインダー]
本発明の硬化性成物は、バインダーの少なくとも1種を用いて好適に構成することができる。
バインダーとしては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載の、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができる。また、このほかに水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。
また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、あるいは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよい。
バインダーの硬化性組成物中における含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
[エチレン性不飽和化合物]
本発明の硬化性組成物は、エチレン性不飽和化合物の少なくとも1種を用いることにより感光性を有する構成とすることができる。エチレン性不飽和結合基を複数有する化合物は架橋剤(硬化促進剤)として機能することができる。エチレン性不飽和化合物としては、下記化合物を単独で又は他のモノマーとの組合わせて使用することができる。
具体的には、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼンジ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ジアリルフマレート、トリメリット酸トリアリル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する化合物とヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のジイソシアネートとの反応物も使用できる。
これらのうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートである。
エチレン性不飽和化合物の硬化性組成物中における含有量としては、硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。エチレン性不飽和化合物の含有量が前記範囲内であると、組成物の露光部でのアルカリ現像液への耐性を確保でき、硬化性組成物としたときのタッキネスが増加するのを抑えて取り扱い性を保つことができる。
[色材]
本発明の硬化性樹脂組成物は、色材の少なくとも1種を用いて構成することができる。
色材としては、公知の着色剤(染料、顔料など)を使用することができ、具体的には、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤などを好適に用いることができる。
本発明の硬化性組成物には、有機顔料、無機顔料、染料等を好適に用いることができる。特に本発明の硬化性組成物を遮光性の離隔壁形成用に構成するときには、炭素材料(カーボンブラックなど)、酸化チタン、4酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉といった遮光材料、及び赤色、青色、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。中でも、カーボンブラックが好ましい。
顔料を用いる場合は、硬化性組成物中に均一に分散されていることが好ましい。
色材の硬化性組成物中における含有量としては、現像時間を短縮する観点から、硬化性組成物の全固形分に対して、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましく、50〜55質量%であることが更に好ましい。
顔料は分散液として使用されることが望ましい。この分散液は、顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビヒクルとは、塗料が液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、438頁)に記載のニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に、同文献の310頁に記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
色材(顔料)の粒子径は、分散安定性の観点から、数平均粒子径で0.001〜0.1μmが好ましく、0.01〜0.08μmがより好ましい。なお、「粒子径」とは、粒子の電子顕微鏡写真画像から求めた粒子面積をこれと同面積の円で表したときの直径をいい、「数平均粒子径」とは、100個の粒子の粒子径を求めて平均した平均値をいう。
[その他]
硬化性組成物には、前記成分の他に、下記の溶剤、界面活性剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤等、及び特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」その他の添加剤等の他の成分を添加してもよい。
[溶剤]
本発明における硬化性組成物においては、上記成分の他に、更に溶剤を用いてもよい。溶剤の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
[界面活性剤]
本発明の硬化性組成物においては、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラを効果的に防止する観点から、該樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。
界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が好適なものとして挙げられる。
[熱重合防止剤]
本発明における硬化性組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。
熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
[紫外線吸収剤]
本発明における硬化性組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報に記載の化合物、並びにサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
紫外線吸収剤の具体例は、特開2008−202006号公報の[0093]に記載されたものと同様である。
上記硬化性組成物を硬化して得られる膜は、上記のようにカラーフィルターの離画壁などに好ましく用いられる。また、上記硬化性組成物を硬化して得られる膜は、反射防止層として用いることもでき、透明支持体上に上記硬化性組成物を塗布し、硬化して膜を形成することで、反射防止フィルムとすることもできる。
また、本発明の重合性含フッ素化合物、硬化性組成物、及び膜は、上記以外の用途にも用いることができ、例えば、光ファイバー、光導波路、レンズ材料、体積ホログラム、ホログラムメモリー材料、コーティング材料、ナノインプリントモノマー、表面改質剤、工業用チューブ材料、シール材料及び固体高分子燃料電池電解質膜等に好適に用いることができる。
[透明支持体]
本発明において、透明支持体(基板)としては、ガラス、セラミック、合成樹脂フィルム等を使用することができる。特に好ましくは、透明性で寸度安定性の良好なガラスや合成樹脂フィルムが挙げられる。
<離画壁>
本発明の離画壁の形成方法は、特開2008−202006号公報の[0104]〜[0127]に記載されたものと同様である。
離画壁の幅及び高さについては、幅(すなわちカラーフィルタを形成した場合における画素と画素との間隔)としては15〜100μmが好ましく、高さ(すなわち基板法線方向における基板面から離画壁の頂点までの距離)としては1.0〜5.0μmが好ましい。
離画壁の形状は、特開2006−154804号公報の[0054]〜[0055]に記載の形状が、本発明においても好適である。
<表示装置>
本発明の表示装置は、本発明の離画壁又は反射防止フィルムを有する。
表示装置としては、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。なお、分子量は、ゲルパミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量を表し、また、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<合成例1>
例示化合物(HMM−1)の合成
下記合成スキームの通りに合成した。
Figure 0005899141
特開2008−106036号公報に記載の化合物(1)5gに酢酸エチル25mL、ジブチルすずジラウレート0.02gを加えた。この溶液にカレンズBEI(昭和電工(株)製)8.97gを滴下し、酢酸エチル5mLを加えた。室温で2時間かくはんした後、60℃に加熱して13時間かくはんした。2−ジメチルアミノエタノール3.05gを加えて60℃で1.5時間かくはんした後放冷し、酢酸エチル60mL、濃塩酸9mL、10wt%塩化ナトリウム水溶液60mLを加えて抽出、分液操作を行った。水層を廃棄した後、濃塩酸9mL、10wt%塩化ナトリウム水溶液60mLを加えて抽出、分液操作を行った。水層を廃棄した後、25wt%塩化ナトリウム水溶液120mLを加えて抽出、分液操作を行った。水層を廃棄した後、7.5wt%炭酸水素ナトリウム水溶液90mL、25wt%塩化ナトリウム水溶液30mLを加えて抽出、分液操作を行った。水層を廃棄した後、25wt%塩化ナトリウム水溶液120mLで有機層を2回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて室温で30分放置した。硫酸マグネシウムをろ過で除いた後、ハイドロキノンモノメチルエーテル10.95mgを加えてから溶媒を留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、例示化合物(HMM−1)4.86gを得た。
H NMR(300MHz,CDCl) δ1.30(s,12H),4.26(s,16H),4.62(t,J=13.8Hz,8H),5.95(dd,J=1.7Hz,10.2Hz,8H),6.15(dd,J=10.2Hz,17.1Hz,8H),6.34(dd,J=1.7Hz,17.1Hz,8H),7.83(s,4H).19F NMR(282MHz,CDCl) δ−122.78,−85.41,−66.06.
上記と同様の合成方法に基づいて、例示化合物(HMM−3)、(HMM−4)、(HMM−7)、(HMM−8)、(HMM−9)、(HMM−10)、(HMM−12)を合成した。
〔実施例101〕
−感光性樹脂組成物K1の調製−
下記表1に記載の量のK顔料分散物1およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、それぞれはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmにて10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、硬化促進剤〔DPHA液、及び本発明の化合物HMM−1(25%2−ブタノン溶液)〕、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmにて30分間攪拌することにより、感光性樹脂組成物K1を調製した。
このとき、HMM−1の感光性樹脂組成物K1中における固形分質量に対する割合は5%であった。なお、表1に記載の量は質量部であり、表1に記載の各成分は、詳しくは以下の組成となっている。
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) ・・・・13.1%
・下記分散剤1 ・・・・0.65%
・ポリマーA(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) ・・・・6.72%
・ポリマーB(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) ・・・・6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・79.53%
Figure 0005899141
<バインダー2>
・ポリマーC(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=78/22[モル比])のランダム共重合物、分子量3.8万) ・・・27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・73%
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) ・・・76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・24%
<界面活性剤1>
・下記構造物1 ・・・30%
・メチルエチルケトン ・・・70%
Figure 0005899141
Figure 0005899141
<カラーフィルタ基板の製造>
−離画壁の形成−
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
このガラス基板を冷却し23℃に温調した後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、前記感光性樹脂組成物K1を塗布した。引き続き、VCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.3μmの感光性樹脂組成物層K1を得た(感光性樹脂層形成工程)。
次に、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と感光性樹脂組成物層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmでパターン露光した(露光工程)。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、感光性樹脂組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を100倍に希釈したものにて23℃で80秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た(現像工程)。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行ない、大気下にて露光量2000mJ/cmにてポスト露光した。続いて、240℃で50分間ポストベーク処理を行ない(加熱処理工程)、膜厚2.0μm、光学濃度4.0、100μm幅の開口部を有するストライプ状の離画壁(離画壁付き基板)を得た。
なお、離画壁の基板密着性及び離隔壁の撥水・撥インク性については後述する。
−着色領域の形成−
(1)画素用着色インク組成物の調製
下記の組成のうち、まず顔料、高分子分散剤、及び溶剤を混合し、3本ロールとビーズミルを用いて顔料分散液を得た。その顔料分散液をディソルバー等で充分に攪拌しながら、その他の材料を少量ずつ添加し、赤色(R)画素用着色インク組成物を調製した。
(赤色画素用着色インク組成物の組成)
・顔料(C.I.ピグメントレッド254) ・・・・5部
・ソルスパース24000(AVECIA社製;高分子分散剤) ・・・・1部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物(分子量:3.7万、バインダー) ・・・・3部
・エピコート154(油化シェル社製;ノボラック型エポキシ樹脂、)・・・・2部
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(エポキシ樹脂) ・・・・5部
・トリメリット酸(硬化剤) ・・・・4部
・3−エトキシプロピオン酸エチル(溶剤) ・・・80部
さらに、上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントグリーン36を同量用いる以外は、R画素用着色インク組成物の場合と同様にして、緑色(G)画素用着色インク組成物を調製した。また、上記組成中のC.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントブルー15:6を同量用いる以外は、R画素用着色インク組成物の場合と同様にして、青色(B)画素用着色インク組成物を調製した。
(2)着色画素の形成
次に、前記R、G、Bの各画素用着色インク組成物を用いて、上記で得られた離画壁付き基板の離画壁で区画された領域内(離画壁で取り囲まれた凹部)に、インクジェット方式の記録装置を用いて所望の濃度になるまでインク組成物の吐出を行ない、R、G、Bのパターン(着色画素)からなるカラーフィルタを作製した。続いて、このカラーフィルタを230℃オーブン中で30分間ベークし、離画壁及び各画素がともに完全に硬化されたカラーフィルタを得た。
−導電膜の形成1−
上記より得たカラーフィルタのR画素、G画素、及びB画素並びに離画壁の上に、更にITO(Indium Tin Oxide)の透明電極を250℃でスパッタリング(蒸着温度;250℃、アニール無し)により形成した。表2に示す「スパッタ温度」は、蒸着温度である。
このITOの抵抗を測定(三菱化学(株)製の「ロレスタ」を用いて四探針法でシート抵抗を測定)したところ80Ω/□(Ω/sq.)であった。
−カラーフィルタ基板の混色評価−
得られたカラーフィルタ基板を下記のように評価した。評価結果は下記表2に示す。
カラーフィルタの画素が形成された側と反対側から200倍の光学顕微鏡で目視観察し、画素間の混色の有無を観察した。評価は、1000画素を観察して下記ランクに分けて行なった。許容範囲は、Aランク及びBランクである。
(評価基準)
・Aランク:混色は全くなかった。
・Bランク:混色は1〜2箇所であった。
・Cランク:混色は3〜10箇所であった。
・Dランク:混色は11箇所以上であった。
<液晶表示装置の作製>
−柱状スペーサパターンの形成−
スペーサパターン形成用の下記感光性樹脂層用塗布液を、上記と同様のスリットコーターにより前記カラーフィルタのITO上に塗布し、乾燥させて、感光性樹脂層SP1を形成した。
−感光性樹脂層用塗布液の処方SP1−
・メタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体(モル比=20/80、重量平均分子量40000;高分子物質) ・・・・・・108部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・・・64.7部
(重合性モノマー)
・2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル〕−s−トリアジン・・・・・6.24部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル ・・・0.0336部
・ビクトリアピュアブルーBOHM(保土ヶ谷化学社製) ・・・・0.874部
・メガファックF780F(大日本インキ化学工業(株)製;界面活性剤)
・・・・0.856部
・メチルエチルケトン ・・・・・・328部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート ・・・・・・475部
・メタノール ・・・・・16.6部
次に、所定のフォトマスクを介して超高圧水銀灯により300mJ/cmでプロキシミティー露光した。露光後、KOH現像液〔CDK−1(商品名)の100倍希釈液(pH=11.8)、富士フイルム(株)製〕を用いて未露光部の感光性樹脂層を溶解除去した。
続いて、230℃で30分間ベークし、ガラス基板上のITO膜の上の離画壁の上部に位置する部分に直径16μm、平均高さ3.7μmの柱状スペーサパターンを形成した。その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
−液晶配向分割用突起の形成−
下記の突起用感光性樹脂層用塗布液を、上記と同様のスリットコーターにより前記カラーフィルタ基板のITO上に塗布し、乾燥させて突起用感光性樹脂層を形成した。次に、突起用感光性樹脂層上に下記処方P1から中間層用塗布液を塗布し、乾燥膜厚1.6μmの中間層を設けた。
<突起用感光性樹脂層用塗布液の処方A>
・ポジ型レジスト液 ・・・53.3部
(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製、FH−2413F)
・メチルエチルケトン ・・・46.7部
・前記界面活性剤1 ・・・0.04部
<中間層用塗布液の処方P1>
・PVA205(ポリビニルアルコール、クラレ(株)製、鹸化度=88%、重合度550) ・・・32.2部
・ポリビニルピロリドン ・・・14.9部
(アイエスピー・ジャパン(株)製、K−30)
・蒸留水 ・・・・524部
・メタノール ・・・・429部
次に、フォトマスクが突起用感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティー露光機を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー150mJ/cmでプロキシミティー露光した。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃で30秒間基板に噴霧しながら現像し、突起用感光性樹脂層の不要部(露光部)を現像除去した。すると、前記カラーフィルタ基板のITO膜上のR、G、Bの画素の上部に位置する部分に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる突起が形成された。次いで、該突起が形成されたカラーフィルタ基板を240℃下で50分間ベークすることにより、カラーフィルタ基板上に高さ1.5μm、縦断面形状が蒲鉾様の配向分割用突起を形成した。
更に、得られたカラーフィルタ基板に対して、駆動側基板及び液晶材料を組合せることによって配向分割垂直配向型液晶表示素子を作製した。具体的には、駆動側基板としてTFTと画素電極(導電層)とが配列形成されたTFT基板を準備し、このTFT基板及び上記より得たカラーフィルタ基板を、TFT基板の画素電極等が設けられた側の表面とカラーフィルタ基板の配向分割用突起等が形成された側の表面とが対向するように配置し、スペーサ分の間隙を設けて固定した。この間隙に液晶材料を封入することにより画像表示を担う液晶層を設け、液晶セルを得た。このようにして得た液晶セルの両面に(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、冷陰極管のバックライトを構成し、これを液晶セルの偏光板が設けられた側と反対側(背面側)に配置し、配向分割垂直配向型液晶表示装置とした。
−評価−
(1)離画壁の撥水・撥インク性
上記と同様にして形成した感光性樹脂組成物層K1に対し、マスクを使用しない以外は上記と同様の方法で露光し、その後ポストベーク処理(加熱処理工程)までの操作を同様の条件で行なってテスト用感光性樹脂組成物層を得た。そして、このテスト用感光性樹脂組成物層をポストベーク処理後1時間室温にて放冷した後、接触角測定器(協和界面科学(株)製の接触角計CA−A)を用いて、前記R画素用着色インク組成物を20メモリの大きさの液体試料(インク試料)として針先から出し、テスト用感光性樹脂組成物層に接触させることにより、テスト用感光性樹脂組成物層上にR画素用着色インク組成物の液滴(インク滴)を形成した。そして、このインク滴の形状を接触角計の覗き穴から観察し、25℃下、着滴から10秒放置後のインク滴のインク接触角θを求めた。
また、接触角を測定したインク滴を水滴に変更し、同様の手順で水接触角θを測定した。
ポストベーク後の値を撥水・撥インク性を評価する指標とし、下記評価基準にしたがって評価した。許容範囲は、Aランク及びBランクである。評価結果は下記表2に示す。
[評価基準]
・Aランク:インク接触角≧50°、水接触角≧100°
・Bランク:インク接触角≧40°、水接触角≧90°
・Cランク:インク接触角≧35°、水接触角≧80°
・Dランク:インク接触角<35°、水接触角<80
(2)離画壁の基板密着性
上記「離画壁の形成」において同条件で露光工程までを終了したガラス基板3枚を用意し、現像時間を90秒、130秒、180秒と長くして処理を行なったこと以外は同様の現像条件にて現像処理し、それぞれの現像時間での離画壁の欠けの発生の有無を、1000画素分目視により下記評価基準にしたがって評価した。許容範囲は、Aランク及びBランクである。評価結果は下記表2に示す。
[評価基準]
・Aランク:離画壁欠けは全くなかった。
・Bランク:離画壁欠けは1〜2箇所であった。
・Cランク:離画壁欠けは3〜10箇所であった。
・Dランク:離画壁欠けは11箇所以上であった。
(3)液晶表示装置の表示ムラ
上記で作製した液晶表示装置について、グレイのテスト信号を入力させたときのグレイ表示を目視にて観察し、表示ムラの発生の有無を下記評価基準にしたがって評価した。
[評価基準]
・Aランク:表示ムラはなく、非常に良好な表示画像が得られた。
・Bランク:ガラス基板のふち部分に微かにムラがあったものの、表示部への影響はなく表示画像は良好であった。
・Cランク:表示部に微かにムラがみられたが、実用上許容範囲内であった。
・Dランク:表示部にムラがみられた。
〔実施例102〜108、114〕
実施例101において、本発明の化合物HMM−1を、本発明の化合物(HMM−3、HMM−4、HMM−7、HMM−8、HMM−9、HMM−10、HMM−12、HMM−18)に代えたこと以外、実施例101と同様にして、感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
〔比較例101〕
実施例101において、本発明の化合物HMM−1の代わりにDPHA液を添加(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)した以外は実施例101と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。
〔実施例109、110〕
実施例101において、表2に示すように、DPHA液の代わりにペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名A−TMMT)液(76%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を5.4部)、または、エトキシレーテッドグリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名A−GLY−9E)液(76%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を5.4部)それぞれを添加した以外は実施例101と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
〔比較例102〜104〕
実施例101において、本発明の化合物HMM−1の代わりに、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名A−TMMT)液(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)、エトキシレーテッドグリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名A−GLY−9E)液(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジアクリレート(以下OFHDAと表記、SynQuest Laboratories, Inc.製)液(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)から選択される成分を表2に示すように、それぞれを添加した以外は実施例101と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
〔比較例105〕
実施例101において、本発明の化合物HMM−1の代わりに特開2008−202006号に記載の含フッ素化合物(1)(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)〔表1では、「含F化合物(1)」と記載〕を添加した以外は実施例101と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
〔実施例111〜113、比較例106〜108〕
実施例101、102、105及び比較例101、102、104において、液晶表示装置の作成時、ITO透明電極のスパッタリング温度を250℃から280℃(蒸着温度;280℃、アニール無し)に変更した以外は実施例101、102、105及び比較例101、102、104と同様にして液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す
〔比較例109〕
実施例101において、本発明の化合物HMM−1の代わりに、下記構造の含フッ素重合性化合物(Z−1)(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)〔表1では、「Z−1」と記載〕を添加した以外は実施例101と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。なお、化合物(Z−1)は、SynQuest Laboratories, Inc.製の化合物である。
評価結果は下記表2に示す。
Figure 0005899141
〔比較例110〕
実施例101において、本発明の化合物HMM−1の代わりに、下記構造の含フッ素重合性化合物(Z−2)(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)〔表1では、「Z−2」と記載〕を添加した以外は実施例101と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
−含フッ素重合性化合物(Z−2)の合成−
含フッ素重合性化合物(Z−2)は、次のようにして得た。
内容量200mlのガラス製反応容器に1,4−ビス(5’,6’−エポキシヘキシル)ペルフルオロブタン(6.2g)、アクリル酸(4.2g)、テトラエチルアンモニウムブロマイド(0.1g)、tert−ブチルカテコール(0.01g)を仕込み、95℃で4時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、50mLの塩化メチレンで希釈して、水洗した。溶媒を除去した後、100mLのジメチルアセトアミドを加え、氷冷下でアクリル酸クロライド(7.2g)を滴下した。滴下終了後、50℃に加熱して2時間攪拌した後、溶媒を除去し、シリカゲルカラムで精製することによって、下記構造を有する化合物(Z−2)が得られた。
Figure 0005899141
〔比較例111〕
実施例101において、本発明の化合物HMM−1の代わりに、下記構造の含フッ素重合性化合物(Z−3)(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)〔表1では、「Z−3」と記載〕を添加した以外は実施例101と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
−含フッ素重合性化合物(Z−3)の合成−
含フッ素重合性化合物(Z−3)は、次のようにして得た。
特開平11−80312号公報の実施例2と同様の操作により下記構造を有する化合物(Z−3)が得られた。
Figure 0005899141
上記化合物(Z−3)の構造中、aおよびbは、それぞれ独立に、1〜50の整数を示す。
Figure 0005899141
表2中、「硬化促進剤」の「本発明の化合物」の「量」に示す数値は、全硬化促進剤中の特定化合物の質量割合〔%〕を表す。
表2に示すように、実施例では、加熱処理後の離画壁上の撥水・撥インク性に優れており、混色の発生がなく、基板密着性も良好であった。また、液晶表示装置を作製して表示した際の表示ムラの発生も効果的に抑えられ、表示特性に優れた画像が得られた。
これに対して比較例101〜103では特に混色評価において劣っており、これは撥インク性能が不十分であることに由来すると考えられる。比較例4では特に基板密着性に劣っているが、これは緻密な架橋構造が形成されないため、離画壁の形成が不十分であるためと考えられる。比較例105では特に基板密着性に劣っているが、これは硬化促進剤であるDPHAとフッ素化合物とで一部相分離のような不均一性が生じて離画壁の形成が不十分であるためと考えられる。また、実施例111〜113と比較例106〜108の結果から、本発明の離画壁は耐熱性にも優れることが分かる。
〔実施例201〕
無アルカリガラス基板(以下、単に「ガラス基板」という。)を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、さらに純水シャワーにより洗浄した。洗浄後、このガラス基板を基板予備加熱装置により100℃で2分間加熱した。
シランカップリング処理後のガラス基板に、下記の感光性転写材料K1からカバーフィルムを除去して露出した感光性樹脂組成物層の表面を、該ガラス基板の表面と接するように重ね合わせ、ラミネータ(LamicII型、株式会社日立インダストリイズ製)を用いて、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。続いて、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離して除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)を用いて、ガラス基板とマスク(画像パターンを有する石英露光マスク)とを垂直に立てた状態で、露光マスク面と感光性樹脂組成物層との間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cmでパターン露光した。
次いで、KOH現像液〔富士フイルム(株)製のCDK−1(商品名)の100倍希釈液(pH=11.8)〕にて現像して、感光性樹脂組成物層の未露光部分及びその下の中間層、熱可塑性樹脂層を除去し、ガラス基板上にパターンを形成した。続いて、大気下アライナーにてガラス基板のパターン形成面側からガラス基板の全面を2000mJ/cmでポスト露光し、240℃で50分間ポストベークを行なった。以上により、光学濃度4.0の離画壁(ブラックマトリックス)を得た。
その後、導電膜を後述する方法「導電膜の形成2」で形成したほかは、実施例101と同様にして、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、実施例101と同様の評価を行なった。評価結果は下記表3に示す。
−導電膜の形成2−
上記より得たカラーフィルタが形成されたガラス基板をスパッタ装置に入れて、カラーフィルタのR画素、G画素、及びB画素並びに離画壁の上に、更にITO(Indium
Tin Oxide)の透明電極を250℃でスパッタリング(蒸着温度;100℃、アニール温度;250℃)により形成した。
なお、導電膜の形成2における「250℃でのスパッタリング」の詳細は次の通りである。
R画素、G画素、及びB画素並びに離画壁の上に、100℃でITO(インジウムスズ酸化物)を全面真空蒸着した後、250℃で90分間アニールしてITOを結晶化し、ITO透明電極を形成した。表3に示す「スパッタ温度」は、アニール温度である。
このITOの抵抗を測定(三菱化学(株)製の「ロレスタ」を用いて四探針法でシート抵抗を測定)したところ80Ω/□であった。
<感光性転写材料K1の作製>
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET仮支持体)上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成した。次に、形成された熱可塑性樹脂層上に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させて中間層(酸素遮断膜)を積層した。更に、この中間層上に実施例1で調製した感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、ブラック(K)の感光性樹脂組成物層K1を積層した。このとき、感光性樹脂組成物K1中における本発明の化合物HMM−1の固形分質量に対する割合は5%である。
このようにして、PET仮支持体の上に、乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.3μmの感光性樹脂組成物層とを積層し、さらに感光性樹脂組成物層の表面に保護フィルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着することにより、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂組成物層K1とが一体となった感光性転写材料K1を作製した。
−熱可塑性樹脂層用塗布液の処方H1−
・メタノール ・・・11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・6.36部
・メチルエチルケトン ・・・52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃) ・・・5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) ・・・13.6部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) ・・・・9.1部
・前記界面活性剤1 ・・・0.54部
−中間層用塗布液の処方P1−
・PVA205 ・・・32.2部
(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550)
・ポリビニルピロリドン ・・・14.9部
(アイエスピー・ジャパン社製、K−30)
・蒸留水 ・・・・524部
・メタノール ・・・・429部
〔実施例202〜204、211〕
実施例201において、本発明の化合物HMM−1を、本発明の特定化合物(HMM−3、HMM−7、HMM−8、HMM−18)に代えたこと以外、実施例201と同様にして、感光性樹脂組成物K1を調製し、感光性転写材料K1を作製し、さらにカラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製した。また、実施例101と同様の評価を行ない、評価結果を下記表3に示す。
〔比較例201〕
実施例201において、本発明の化合物HMM−1の代わりにDPHA液を添加(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)した以外は実施例201と同様にして感光性樹脂組成物K1を調製し、感光性転写材料K1を作製し、さらにカラーフィルタ基板、液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表3に示す。
〔実施例205〕
実施例204において、液晶表示装置の作成時、ITO透明電極のスパッタリング温度を250℃から280℃(蒸着温度;100℃、アニール温度;280℃)に変更した以外は実施例204と同様にして液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表3に示す。
〔比較例202〕
実施例201において、本発明の化合物HMM−1の代わりに特開2008−202006号に記載の含フッ素化合物(1)(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を3.0部)を添加し、液晶表示装置の作成時、ITO透明電極のスパッタリング温度を250℃から2800℃(蒸着温度;100℃、アニール温度;280℃)に変更した以外は実施例201と同様にして液晶表示装置を作製すると共に、同様の評価を行なった。評価結果は下記表3に示す。
〔実施例206〕
実施例205において、DPHA液の代わりに本発明の化合物HMM−1を添加(76%2−プロパノン溶液を5.4部)した以外は実施例205と同様にして、感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作成すると共に同様の評価を行った。
〔実施例207〕
実施例205において、DPHA液の添加量を0.64部とし、本発明の化合物HMM−1(76%2−プロパノン溶液)を4.8部追添加した以外は実施例205と同様にして、感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作成すると共に同様の評価を行った。
〔実施例208〕
実施例205において、DPHA液の添加量を3.2部とし、本発明の化合物HMM−1(76%2−プロパノン溶液)を2.2部追添加した以外は実施例205と同様にして、感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作成すると共に同様の評価を行った。
〔実施例209〕
実施例205において、DPHA液の添加量を3.8部とし、本発明の化合物HMM−1(76%2−プロパノン溶液)を1.6部追添加した以外は実施例205と同様にして、感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ、液晶表示装置を作成すると共に同様の評価を行った。
〔実施例210〕
実施例205において、本発明の化合物HMM−1(25%2−プロパノン溶液)DPHA液の添加量を1.9部とし、DPHA液(25%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)を1.1部追添加した以外は実施例205と同様にして、感光性樹脂組成物K1を調製し、カラーフィルタ基板、液晶表示装置を作成すると共に同様の評価を行った。
Figure 0005899141
表3中、「硬化促進剤」の「本発明の化合物」の「量」に示す数値は、全硬化促進剤中の特定化合物の質量割合〔%〕を表す。
前記表3に示すように、実施例では、加熱処理後の離隔壁上の撥水・撥インク性に優れており、混色の発生がなく、基板密着性も良好であった。また、液晶表示装置を作製して表示した際の表示ムラの発生も効果的に抑えられ、表示特性に優れた画像が得られた。これに対して比較例201では特に混色評価に劣っているが、これは撥インク性が不十分であることに由来すると考えられる。また、実施例205と比較例202の結果から、本発明の離画壁は耐熱性にも優れることが分かる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表される重合性含フッ素化合物。
    Figure 0005899141

    一般式(I)中、
    は、単結合又は(p1+1)価の連結基を表す。
    は、単結合又は(p2+1)価の連結基を表す。
    は、単結合又は(p3+1)価の連結基を表す。
    は、単結合又は(p4+1)価の連結基を表す。
    〜Qは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、又はエポキシ基を表す。
    p1〜p4は、各々独立に、1〜3の整数を表す。
  2. p1〜p4が、各々独立に、2又は3を表す請求項に記載の重合性含フッ素化合物。
  3. 〜Lが、各々独立に、直鎖、分岐、若しくは環状の炭化水素基、芳香族環基、酸素原子、又はこれらを組み合わせて得られる連結基である請求項1又は2に記載の重合性含フッ素化合物。
    ただし、上記炭化水素基及び芳香族環基は、アルキル基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基、又は−CF−O−(CFm1Fで表される基を置換基として有していてもよい。m1は1〜10の整数を表す。
  4. 〜Lが、各々独立に、下記一般式(LL−1)〜(LL−16)のいずれかで表される連結基である請求項1〜のいずれか1項に記載の重合性含フッ素化合物。
    Figure 0005899141

    Figure 0005899141

    一般式(LL−1)〜(LL−16)中、
    nは繰り返し単位の繰り返し数を表し、各々独立に、0〜10の整数を表す。
    Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
    *は窒素原子との結合手を表し、**はQ〜Qとの結合手を表す。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の重合性含フッ素化合物を含む硬化性組成物。
  6. 更に、開始剤、バインダー、及びエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を含む請求項に記載の硬化性組成物。
  7. 請求項又はに記載の硬化性組成物を硬化して得られる膜。
  8. 請求項に記載の膜を有する離画壁。
  9. 請求項に記載の膜を有する反射防止フィルム。
  10. 請求項に記載の離画壁又は請求項に記載の反射防止フィルムを有する表示装置。
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