JP5898372B1 - コーヒードリッパー - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の円錐型コーヒードリッパーは、円錐の頂角が固定であった。そのためコーヒー粉の量とコーヒー粉層の厚みが連動してしまい、異なる量のコーヒーを同じに淹れることが難しかった。また抽出度合いに変化をつけるにあたっても不便があった。これに対し、フィルターに接する内面の開き角度を可変できる構成とし、同時に、分割収納・可搬に適した構成の提案もあった。だが角度の調整にやや手間がかかった。【解決手段】3つ以上の枠部材を組み合わせて、枠部材相互のなす角度を可変に自ら形状を保持するガイドを設ける。これにより、角度調整が容易でコンパクトに畳めるコーヒードリッパーを提供する。【選択図】図11

Description

本発明は、逆円錐形状の紙や布製フィルターをセットしてコーヒーのドリップに用いるコーヒードリッパーに関するものである。
コーヒーの焼き豆を挽いたコーヒー粉からコーヒー液を抽出する方法は数多い。含浸沈殿法は古来からの方法である。サイフォンやエスプレッソ、コーヒープレスやパーコレーター、ハンドドリップなどは専用の器具を用いる。それぞれの方法において、コーヒー粉とお湯または水との接触プロセスが異なる。同じ焼き豆を使用しても趣きの違うコーヒーを楽しむことができ、好みによって使い分けられている。
ハンドドリップによる抽出は、使用する専用器具が単純な部類で、比較的多くのユーザーに浸透している。コーヒードリッパーを使用する。
コーヒードリッパーにも、様々な形態がある。
布製のネルフィルターを用いる開放型のドリッパーや、ドリッパー内面にフィルターをセットするタイプが代表的である。繰り返し使用できるフィルターメッシュのものや、紙製のフィルターと共にドリッパー自体使い捨てのものもある。
本発明はこの中で、ドリッパー内面にフィルターをセットして使用するコーヒードリッパーに関する。セットするフィルターは使い捨ての紙製が多いが、特許文献1のような布製のものも市販されている。
ドリッパーおよびフィルター形状の代表的なものに、台形型と円錐型がある。台形型は、ドリッパーにセットした状態を水平方向ある向きから見ると台形に見えるためこう呼ばれる。
市販されているコーヒードリッパーは、上記の基本的な形状の違いの他、細部に多くの工夫がこらされている。コーヒー流出口の大きさや数、フィルターに内接する面のリブ形状などである。それぞれ想定または推奨するドリップの方法に応じた最適な構成をとる。
本発明で説明する円錐型ドリッパーは、透過型と呼ばれることもある。コーヒー粉の層を通過してきた抽出液をドリッパー内部に滞留させる度合いが低い。比較的すんなりと流出させる傾向にあり、前述した開放型のネルフィルターに近い抽出を行いやすい特徴をもつ。
円錐型ドリッパーに用いるフィルターは、平らな状態で90度の扇型、ドリッパーにセットして頂角が60度となる形状が主流である。ドリッパーの内面、フィルターに内接する部分の開き角度も略60度である。
実用新案登録第3094018号公報 特許第5443643号公報 実開平5ー35021号公報 特許第4806095号公報 特許第5302477号公報 実用新案登録第3166825号公報
上記先行の円錐型ドリッパーには、下記のような問題があった。
必要なコーヒーの抽出量に応じてコーヒー粉の量を変えると、伴ってドリッパー内のコーヒー層の厚みが変化する。異なる量を同じく抽出するのが難しい。
ユーザーがコーヒーの味を安定させられない要因は多くあるが、殆んどは注意して条件を安定化することが可能である。対してこの問題はドリッパーの形状によって決まって発生し、ユーザーの苦手意識につながりかねない。「一杯分のドリップは難しい」と多く言われる根本の問題である。
上記の問題を回避するために、フィルターを通常よりも深く折りこんで円錐の頂角を狭め、コーヒー層の厚みを増す方法が多く取られる。
この方法は、同量の抽出に際しても抽出度合いを変化させる時に有効である。
同等の含水率で抽出する条件下でコーヒー層の厚みを増すと、味が強く抽出される傾向がある。抽出液が層を通過する際に遭遇するコーヒー粉の粒子数が増加するためである。
上記対応は有効だが、市販の従来例コーヒードリッパーとの組み合わせでは使い勝手に問題がある。フィルターを狭角に折ることはできるがコーヒードリッパーの開角を変えられないためである。
特許文献2は、上記の点に鑑みなされたものである。円錐型のコーヒードリッパーのフィルターに接する部分の開き角度を可変する手段を設ける。これにより、逆円錐の頂角を変えたフィルターでの抽出を安定的に行なうことを可能にする。台形フィルターの折り方を工夫して逆円錐にする場合にも使える。
多くの場合市販されているドリッパーは成形されたプラスチックや陶器などである。ユーザーが持ち運ぶ/保管するにあたってややかさばる。商品としても物流面では不利な面がある。
例えば特許文献3に示すような、主にアウトドア向けに市販されている商品ではこの問題は解決されている場合が多い。だが前述した問題の解決には至っていない。
特許文献2ではドリッパーの開角度を可変するため、一般的な従来例にはなかった可動もしくは変形可能な部品が必要になる。
採用する構成に工夫をこらせば、分割収納などにより可搬性や収納性、流通効率の向上を狙った設計が可能になる。こういった特性はこれまで、アウトドア用途のものにしかなかった。
器具サイズよりも取扱いの簡易性を重視する向きには、自動調整などの応用も可能である。
しかしながら特許文献2で示した各実施例は、ドリッパーの開角度を変更するのにやや面倒な面があった。側板3、6をいったん取り外したり、台座83の嵌合をはずす必要がある。深く折り込んだフィルターと角度を合わせ込むのに、場合によって調整を繰り返す必要が生じかねず、さらに面倒になる。
本発明は、上記の点に鑑みなされたものである。
少なくとも片側が閉じた3つ以上の枠部材を組み合わせて、枠部材相互のなす角度を可変に自ら形状を保持するガイドを設ける。これにより、フィルターを装着したままの状態でもドリッパーの開角度をフィルター角度に合わせ込み可能となる。より直感的な操作で、ドリッパー形状を最適にできる。
本発明のコーヒードリッパーにより従来よりも容易に、抽出する量に応じた味の調整が可能となる。またユーザー毎の好みの味を探究しやすい環境を実現できる。従来に比べ、フィルターとドリッパーの角度合わせの作業が容易になり、直感的な操作が可能になる。
わかりやすい味の調整方法を提供することで、ユーザーの苦手意識解消に役立ててゆくことができる。
また例えば特許文献4、5に挙げた、カップなどを利用するドリップポットとの組み合わせも有効である。ドリップ性能的にも従来よりも自由度の高い、極めて可搬性・収納性に優れたドリップコーヒーセットを提供できる。
本発明は、ドリップコーヒーにこれまで以上の制御性と機動性を付加するものである。レギュラーコーヒー文化のさらなる浸透と発展に貢献し得ると考える。
は本発明の実施例1におけるドリッパーの構成を示す斜視図、 は本発明の実施例1の枠部材の構成図、 は本発明の実施例1のガイド部を平面に広げた状態を示す図、 は本発明の実施例1における台座の構成を示す斜視図、 は本発明の実施例1のフィルター装着状態を示す側面図、 は本発明の実施例1の別の構成例を示す斜視図、 は図6のドリッパーの収納状態を説明する図、 は本発明の実施例1にドリッパー側板を付加する構成を示す図、 は本発明の実施例2におけるドリッパーの構成を示す斜視図、 は図9のドリッパーの収納状態を説明する図、 は本発明の実施例2におけるドリッパーの別の構成を示す上面図、 は図11のドリッパーの収納状態を説明する図、 は本発明における枠部材の組み合わせ例を示す図、 は従来の円錐ドリッパーにおける動作説明図、 は従来の問題に対する対応の説明図、である。
まず、先行の円錐型ドリッパーの問題点を図14を参照して説明する。
円錐型ドリッパーに限っても、実際のドリップ方法は千差万別であり、まず前提とするドリップ工程を概説する。おおまかな工程としては、次のように区分する場合が多い。コーヒー粉に水分を行き渡らせる第一投、注湯を止めてコーヒー粉を安定させる蒸らし工程、本抽出工程の3工程である。実際は各工程が、ユーザー個人や店舗、団体などごとに、種々の方法・パラメータで実施されている。味に関する信条や好み、使用する焼き豆の傾向をもとに導き出されたものである。ドリップの方法によって味の調整範囲が広い点が、ハンドドリップ方式の特徴でもある。
例えば、第一投前にフィルターに注湯する方法もあれば、フィルターが乾いた状態で始める方法もある。前者は後工程でのドリッパーとフィルターの密着を重視し、後者は蒸らしまでの工程で発生するガスの放散を重視する。蒸らし工程については、前後工程の方法論によっては設けない場合もある。本抽出もいろいろである。ドリッパーごと持ち上げて濡れたコーヒー粉を大きく流動させながら注湯することもある。注湯しながらポットの先端でコーヒー粉をかき混ぜるやり方もある。
優れたものも含め一部の方法論に当てはまらない場合があるが、以下の説明では最も一般的と思われる方法を前提とする。ドリッパーは水平に保った状態でコーヒー粉には触れずにお湯を注ぐ方法である。工程中では前記した本抽出の過程に注目する。
ここにも無数のパラメータと方法論がある。抽出温度、注湯スピードや粉表面内の注湯位置、さらには時間経過とともにこれらに与えるアクセントなどである。中で特に注湯スピードについては、本発明の主旨との関連が深いため必要に応じて触れる。
図14(A)は、通常の円錐ペーパーフィルターに2杯分のコーヒー粉を入れた時のフィルター中央での断面を示す図である。図14(B)は同じ粉1杯分を入れた同断面図である。1はフィルター、2がコーヒー粉である。コーヒー粉は(A)(B)同じ密度で入れられており、(B)のコーヒー粉の体積は(A)の2分の1である。
図はドリップ開始前の、コーヒー粉表面を平らにならした状態を示す。ここにおいて、それぞれのコーヒー粉表面から円錐頂点までの距離が破線で示した141、142である。(A)(B)の円錐は相似なので141に対し142は約1.26分の1(2の3乗根分の1)の深さになる。コーヒー粉上表面の面積は、(B)において(A)の約1.59分の1(2の3乗根の2乗分の1)である。
ドリップを開始して、蒸らし工程までの段階でコーヒー粉の含水率と膨張率を同等に推移させたとする。円錐形のまま膨れたとして、本抽出はほぼ上記の形状比率をもつコーヒー層をろ過層として行われる。
本抽出を、オーバーフローしない程度の含水率で注意深く行なうと、フィルター側面からの流出を少量に抑制できる。その条件下におけるろ過層の流抵抗は、(B)において(A)の約1.26倍(深さ比率/断面比率)と考えられる。
目標の抽出量を(A)(B)同じ時間で淹れることを狙って、(B)の注湯スピードを(A)の半分にする。この場合、流抵抗が2倍に満たないため抽出液は(A)よりも早く流出しやすい傾向にある。このことは簡単な実験で確認することができる。早い流出により、コーヒー粉の含水率は低めに推移する。一方ろ過層が浅めで、抽出液が層を通過する際に遭遇するコーヒー粉の粒子数は少ない。(B)は(A)と全く同じ抽出にはならない。
また含水率を同等に抽出しようと(B)の注湯を(A)の1.26分の1にする場合も、層の深さの違いは避けられない。さらに抽出時間が短くなることにより、注ぐお湯の温度低下の度合いも通常変わってくる。これによりコーヒー粉から抽出される成分のプロファイルも変化する。
注湯スピードを落とすことで抽出結果を近づけられると考えられる。つまり含水率を下げてコーヒー粉と抽出液の接触を濃密にし、層の浅さをカバーする。が、上記同様に温度低下や粉との接触反応の差異をきれいに克服するには多くの困難が伴う。多くのユーザーは、このことを肌で感じつつ騙しだましドリップを行なっている。
実際には、半量のドリップで、半量より多めのコーヒー粉を使用することを推奨する例が多い。推奨に従ってほぼ同様の抽出結果を得ることもある程度可能ではある。ドリッパー内のコーヒー粉の一部を高く盛り上げるなどの「技」も考えられる。だが根本解決には、必要な抽出量にかかわらず常に同量のコーヒーをドリップする必要がある。
次に、フィルターを通常より深く折りこむ方法と、同方法における先行ドリッパーでの問題点について図15を参照して説明する。一杯分の抽出を二杯分の抽出と同じ条件で行なう構成を示す図としてある。前述した味調整と、前項で触れたドリップ量対応とを共通に説明する。
図15(A)は、フィルター1を狭角に折りこむ様子を示す図である。フィルターの接合部分151の折り返しを通常より深くする。もとの状態を示す破線から、円周が約1.41分の1(2の平方根分の1)になるよう折り返す。
これを円錐に広げて図14(B)と同量のコーヒー粉を入れた状態の断面が図15(B)である。ろ過層の形状比率を求めると、図14(A)に対して深さ152は同じ、上表面の面積は2分の1、流抵抗は略2倍となる。
本抽出で注湯スピードを2分の1とした時、流出スピードも2分の1になる。つまり含水率も同等で推移させることが可能で、図14(A)と同じ深さのろ過層を同じ時間をかけて抽出できる。同じ抽出を行なえるチャンスが生まれることになる。
またこれは、上記の味調整に利用できる方法でもある。例えば同量のコーヒー粉を使った図14(B)の抽出で物足りない味だった場合に行なうと有効である。
以上、フィルター1とコーヒー粉2を図示して、コーヒードリッパーは図示せずに説明した。
上記対応は有効だが、市販の従来例コーヒードリッパーとの組み合わせでは下記の問題がある。
A.狭角に折ったフィルターがコーヒードリッパーと接するのはドリッパー下方の開放部周辺だけになる。安定感に欠き、ドリップ中に転倒してしまう危険があった。またコーヒー粉の膨張などにより、折ったフィルターがドリップ中に広がってしまう心配もあった。
B.側面流出のコントロールに制限がある。
説明の前提として、本抽出を、オーバーフローしない程度の含水率で注意深く行なうことを条件とした。これによりフィルター側面からの流出を少量に抑制できる。
オーバーフローする注湯スピードは、コーヒー粉の挽き目や焙煎度合い等々により変わるため一概には規定できない。またろ過層下部での発生は把握しにくい。抽出液の流出具合とコーヒー粉表面の濡れ具合から兆候を感知しつつ、抽出してゆく。だがこれは一般に面倒で、じれったい。時間的もしくは性格的に許容できないこともある。
コーヒー粉がオーバーフローする状態の抽出では、ろ過層の流抵抗も側面流出の影響が支配的になる。図14(B)、図15(B)とも図14(A)と大差なく早い流出となり、同じ抽出は望み得ない。その場合の対応として、フィルター側面にある程度ドリッパーを密着させて側面流出をコントロールする方法が考えられる。しかし市販の従来例コーヒードリッパーではこれができない。
A.B.どちらも、フィルターを狭角に折ることはできるがコーヒードリッパーの開角を変えられないことに起因する。
特許文献2のドリッパーはこの問題に対応するが、前述した使い勝手の課題があった。
また実施例3を除いては側板が必須の構成であり、フィルター表面の多くが側板に沿う。側板表面の形状や、側板とフィルターの角度に差を持たせるなどによりある程度、側面流出はコントロールできる。だがネルドリップほどのオープン状態までには調整範囲が及ばない。
上述の課題を解決する本発明について説明する。本発明の枠部材がドリッパーに適したガイド部形状を保持する原理を、図13を参照して説明する。簡単のため、枠部材を全て同一の円形部材とした例である。
図13(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ、枠部材が3本、4本、5本、6本の場合を示す。全ての枠部材が重なる中心部領域139を設け、枠部材どうしを交差させて組み合わせる。
使用する枠部材の本数をnとすると、中心部139から順に外周側に、nー1次までの交差を有する構成となる。(A)には1次交差131と2次交差132、(B)には131から3次交差133まで、(C)には131から4次交差134まで、(D)には131から5次交差135までがある。見やすさのため(C)、(D)には図上方の枠部材1本の交差部分にのみ番号を付した。
任意の枠部材1本に着目すると、中心部139に面した部分から順に1次から最高次交差までを経て外周部に至り、再び順に最高次から1次交差までを経て中心部139に戻る。1本の枠部材は(nー1)×2回、他の枠部材と交差する。
図13各図は、上記各交差における上下関係が順に交互になるよう網目状に組み合わせた例である。
各枠部材は各交差において、交互に逆方向の変形応力を受ける。枠部材が弾性を有する場合、隣り合う交差間の距離を長くとって変形量を低減する力が発生する。中心部139の面積拡大に制限を加えると、各図の外周部は中心部139に対して紙面垂直方向に変位し、枠部材の組み合わせは立ち上がって立体的な構造物を形成する。
各次交差131から135のうち任意の一組以上、同じ次数の各交差を結ぶ線が紙面に平行な正多角形をなすように保持する。この時各枠部材に着目すると、受ける力は全ての枠部材において同一である。任意の枠部材と、図13上で相対位置関係を同じくする他の枠部材とは、形成された構造物のなかですべて同一の相対位置関係と姿勢を保つ。
全ての枠部材は、中心部139に面する部分から中心部139を跨いで、同一の傾斜をもって外周部に至る。各次の交差131から135をそれぞれ円周方向に結ぶ紙面に平行な正多角形をなして、ガイド自ら形状を保持する。
中心部139と外周部を結ぶ、中心部139を跨がないフィルター保持部材を設ける。図13には図示していない。実施例1を参照されたい。枠部材の傾斜を調整して保持部材相互の相対角度を適正に保つことで、円錐フィルタードリッパーを構成できる。フィルターの折り込み角度に応じて、無段階に開角度を調整できる。枠部材の数は、多いほど円形に近い水平断面でフィルターを保持できる。使い勝手や外観、部品点数との兼ね合いで決定する。
図13のように完全な網目状ではなく、上下関係が交互でない交差が含まれても形状保持力を発生する場合がある。これには枠部材の形状や材質、断面形状や表面性などが関わり、条件を一概には規定できない。フィルターの円錐形状を大きく歪めない範囲で、この場合もドリッパーを構成できる。
上記を逸脱してガイド自身が形状保持力を持たない場合、フィルターを正規の姿勢に保つ力がないため、転倒防止・形状保持のための別機構が必要になる。極端に、複数のフィルター保持部材を独立に蝶番で角度可変に配置するような構成でも同様である。前記した自動調整などに適するが、本発明の主旨からははずれる。
本発明の方法を、台形型のドリッパーに応用することも可能である。偶数の枠部材を使い、形状を他と変えた枠部材を向かい合わせて台形型を実現する。ただこの場合図14、15での計算は当てはまらず、調整範囲に制限がある。前述した想定/推奨ドリップ方法の違いに注意する必要がある。現状市販されている台形型ドリッパーは、含浸型の抽出を想定するものが多い。円錐形に比して、抽出液をドリッパー内にとどめる傾向にある。含浸型ドリップにおける抽出度合いの調整については、例えば特許文献6などに開示されているような方法が適する。同方法は、前記問題点Bで述べた流出制御の手段としても有効であることが予想できる。対して本発明は、含浸型よりも透過型ドリップの考え方になじむ。もちろん、両方法を組み合わせることも可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の実施例1におけるドリッパーの構成を示す斜視図である。
ガイド部を構成する枠部材には、ステンレスバネ材を用いた4本のフレームワイヤー3を使用している。円錐形状を支えるフィルター保持部は、チェーン4で構成する。5は、コーヒーサーバーやマグカップなど抽出したコーヒーの受け容器にセットするための台座で、これもステンレスバネ材である。
ガイド部分の構成を、図2、図3もあわせて参照しながら説明する。図2は、フレームワイヤー3の投影図であり、図2(A)が正面図、図2(B)が左面図、図2(C)が上面略図である。本実施例においてフレームワイヤー3は、1本のワイヤーに曲げ加工を施して構成している。
4本のフレームワイヤー3は、図1において図13(B)と同じ網目状の組み合わせになっている。部品状態のフレームワイヤー3は上部が開いているが、網目状に組み合わせた後に2箇所のカシメ部26で閉じられる。カシメを2箇所にして2重ワイヤー部28を設けることで、全周に弾性のある枠部材としている。
嵌合部21、22は、図13(B)の1次交差131にあたる部分の位置を規定する。ガイド形状のバランスのため、枠部材のセンター面291を中心に左右対称に、また面291上に中心をもつ同一円周上に嵌合ポイントを設ける。ガイド部を平面に広げた状態を示す図3を参照されたい。21は上交差の嵌合、22は下交差の嵌合で、上交差21は隣り合うフレームワイヤー3の下交差22と、下交差22は反対隣りの上交差21と嵌合する。見やすさのため図1では、フレームワイヤー3各部の番号付けを一部に限っている。
図2(B)に示すように、嵌合部分21、22はフレームワイヤー3のなす平面292からオフセットしている。図2(C)では見やすさのため図示を省略している。図1では下方向、図3では紙面奥方向にオフセットしており、これによりガイド部を平面に広げた図3の状態で嵌合が安定している。このオフセットが、後述する収納状態からの組み立て作業の容易さに寄与する。
図13(B)の原理を忠実に再現する場合には図2(A)で見た嵌合部21、22の位置はフレームワイヤー3全体の外周円周294の上に設ける。ここではやや小さい円周295の周上に嵌合部を置き、円周294からはみ出すフレーム部分をなくしている。後述する収納時の形状サイズをコンパクトにする。
25は、チェーン4を通す上部ループであり、27は予備ループである。
図2(B)、(C)に示すように、ループ25より上方の枠部分にもオフセットがある。ループ25はドリッパーの中心軸方向に、予備ループ27と2重部28はドリッパー外側方向にそれぞれオフセットする。このオフセットにより、特に開角度を狭くした時の円錐フィルターとフレームワイヤー3の干渉を回避する。
23は、チェーン4を通す下部ループである。また嵌合相手のフレームワイヤー3をガイドして後述する収納状態からの組み立て作業を容易にする役割も兼ねる。
ここでは1本のフレームワイヤー左右の上部ループ25から向かい合わせフレームワイヤーの下部ループ23にチェーン4を下ろして結ぶ。下部ループ23はチェーン4の通り道に幅をもつが、テンションをかけると図2(A)のセンター面291近く、最短のルートで安定する。
チェーン4は、上部ループ25と下部ループ23を順次通って、フィルターの全周、円錐の母線からやや傾いた方向に8本のフィルター保持部10を形成する。チェーン4の長さを調整することで隣り合うフレームワイヤー3どうしのループ25間隔を定め、ドリッパーの開角度を決定する。チェーン4の端部はフレームワイヤー3の2重部28に挟んで、調整した長さを固定している。別途固定具を設けてもよい。
上記構成のガイド部分を保持する台座5の構成を、合わせて図4を参照しながら説明する。
図4は、台座5の構成を示す斜視図である。ここでは台座5を1本のワイヤーで、変形によりサイズ縮小可能に構成している。
ガイド部を保持する中央ループ部分46と、受け容器に接するウィング部分47からなる。中央ループ部分46に、下方にやや鋭角に折り込んだガイド保持部41を8箇所有する。ガイド保持部41が2重になる部分44と交差部分42、43を経て、ウィング47を同一平面内に形成して、中央ループ46対辺側にフック45で止められる。畳む時にはフック45、交差42、43を外してサイズを縮小できる。ウィング部分47に滑り止めのコーティングやカバーを施せば使い勝手が向上する。
ガイド保持部41は、図1および図2(A)、図3フレームワイヤー3の水平部24と嵌合して、ガイド部分を保持する。対向するワイヤーフレーム3の水平部24どうしを平行に、間隔を規定して固定する。図2(A)に示すように、水平部24が通る水平軸293は嵌合部21、22よりも上方にある。フレームワイヤー3の角度変更の軸は嵌合部21、22を通るため、ドリッパーの開角度を狭めると対向する水平部24どうしの間隔は広がる方向に応力を生ずる。ガイド保持部41で水平部24の間隔を一定以下に固定することで逆に、ドリッパー開角度を広げる方向に応力を発生する。この応力は前記したチェーン4の狭角方向のテンションと拮抗し、所望の開角度でガイド部分の形状保持力を高める。
図5は、以上説明したドリッパーにフィルター1を装着した状態を示す側面図である。見やすさのため台座5は図示していない。例えば図5(A)は3杯分、図5(B)は1.5杯分抽出する場合を示す。
隣接するフレームワイヤー3の上部ループ25どうしを結ぶチェーン4の区間51の長さが(A)と(B)とで異なっている。(B)では区間51を短く調整することでドリッパーの開角度を狭く固定している。
(B)では(A)よりもフィルター1はやや下方まで入り込む。受け容器が浅い場合などを考慮して、開角度によるフィルター1の設置高さ変動を緩和している。フィルター1の下方への入り込み量の差は嵌合部21と22の間の距離に比例するので、各フレームワイヤーの嵌合部21と22の間の距離を短めに設定する。嵌合を複数段設けて、組み立て時にいくつかの嵌合間距離から選択する構成も可能である。コーヒー粉量が多い場合など、フィルター1の装着安定度を優先する場合は広い嵌合間距離を選ぶ。
下部ループ23を通過する前後のチェーン4は、図5の区間52が円錐面に沿うのに対し区間53がやや円錐面から離れる。抽出開始前、フィルターが乾燥した状態では実際にこの浮きが保たれる。ただフィルターが濡れてくると微妙な変形が生じて区間53にも沿うようになり、実用上の問題はない。下部ループ23を逆向きにくぐるチェーンを追加したり、ループの形状構成を工夫するなど、対応をとることも可能である。ループの設け方とチェーンの通し方には、無数の選択肢がある。
図1の構成は、フレームワイヤー3の本数を除き最低限の部品点数からなる例である。多少部品を追加して使い勝手とデザイン性を改善することもできる。図6は、図1と同一のガイド部分を有する他の構成例を示す斜視図である。
ここにおいて63はチェーンフックで、開角度調整で余った部分のチェーン4をフレームワイヤーに引っ掛ける。垂れたチェーン4が受け容器のコーヒーに浸かるような事態を避ける。
円形台座61はスライド式のウィング62を4本有し、よりスマートなサイズの縮小を可能にする。図4のガイド保持部41と同一の位置関係でガイド部分を保持するスリット64を4箇所もつ。円形台座は、強度的・衛生的に問題がなければ材質の選択肢が広い。やや複雑なワイヤー組み合わせ部分の削減・目隠しにもつながり、全体のデザイン性の向上をもたらす。
図示しないが、フレームワイヤー3の予備ループ27とウィング62の根元部分65を順次結ぶチェーンを設けても良い。ドリッパー開角度を広げる方向の応力を格段に増してドリッパーにより強固な形状保持力を持たせることが可能になる。
ドリッパーの畳み方を、図3と図7を参照して説明する。
チェーン4をゆるめ台座を取り外してフレームワイヤーを平面に広げた図3の状態から、外周部をやや紙面奥方向に押しながら、嵌合部21、22の嵌合をはずす。続いてそれぞれのフレームワイヤーを時計回りにずらして、嵌合していた相手の下部ループ23に突起部分31をくぐらせる。これにより各フレームワイヤー3は、隣りの下部ループ23にガイドされながら比較的自由に重なることができるようになる。図7は、完全に畳んだ時近くまでフレームワイヤーを互いに重ねた状態の図である。フレームワイヤー3どうしの重なり構造がわかる程度で図示している。実際には全体でほぼフレームワイヤー3単体の径になる程度まで重ねることができる。
図6で示した円形台座61とウィング62も、このサイズにおさめることが可能である。
組み立て時は上記と逆である。収納状態からフレームワイヤー3を四方に引き出して重なり部分を狭める。反時計回りにずらして各下部ループ23に突起部31をくぐらせ、嵌合部21、22を嵌合させる。各水平部24を台座に嵌合させた後、開角度を狭めてチェーン4で固定する。
図8は、問題点Bで述べた側面流出対応を説明する図である。
図8(A)のドリッパー側板8はシリコンシート等の材質で構成され、180度強の扇型をなす。柔軟で必要な形状保持力と食品衛生上の安全性、耐熱性を有する。81は形成する開角度の目安を示す目盛で、ここではドリップする量で1杯から4杯までの目盛を例示した。扇型の端部82を所望の目盛81に沿わせて、外周を揃えて巻いた時に、側板8は所望のドリップ量の標準開角度の円錐面をなす。
図8(B)は側板8とフィルター1をドリッパーに装着した状態を示す側面図である。1.5杯分の抽出を行なう場合を例示した。
ここで側板8は、上方で上部ループ25に、下方で下部ループ23に接してガイド部に保持されている。
この状態では側板8自身がフィルター保持部材として機能する。側板8の使用を前提とする場合には、必要なドリッパー開角度の範囲で側面8が上下でガイド部に保持されれば、チェーン4を装備しなくてもよい。図8(B)は、チェーン4を装備しない例である。ループは必要なくなり、フレームワイヤー3の構造も簡略化できる。(図では簡略化していない。)
本実施例では、チェーン4のテンションでガイド部の形状保持力を強化する例を説明したが、これは必須ではない。嵌合部21、22の位置、フレームワイヤー3の断面積や断面形状、表面の摩擦係数に工夫を加えて実用的な保持力を得ることもできる。またはより積極的に段差や噛み合いなどによる固定手段を設ける方法もある。ガイド部自身が均等な形状保持力を有するので、固定手段は必ずしも全ての枠部材に設けなくてもよい。1箇所での固定も可能である。図8(B)に他の強化策は図示していない。
チェーン等でガイド部に側板8以外のフィルター保持部材を装備すれば、側板8を使用しない場合も含めて抽出度合いの調整範囲を広く確保できる。
本実施例では枠部材を略円形としているため、ドリッパーの上部開口から下方において枠部材とフィルターの間に空間がある。そのため抽出中ガイド部を持ってドリッパーを持ち上げてもフィルターに手は触れにくい。フィルター各部の濡れ具合や抽出液の滴下をチェックするにも好都合な形状になっている。
円錐の開角度を60度以上にもできる。この場合これまでの説明と逆にフィルターを、図15(A)の頂点側において深く折り込む。ただこの場合円錐の母線が片側短くなるのでフィルターの縁に低い方向ができ、粉の収容量が制限される。大きなフィルターを使うか、角度を変えて複数枚重ねるなどの対応をとる。
以上、図1・図6に示す本実施例を中心に説明したが、他の構成の選択肢も広い。
枠部材は3本以上何本でも良い。本数が多いほど、開角度を狭くしても上部ループのなす多角形は円形に近くなる。図2で説明した上部構造のオフセットは必要性が低くなり、枠部材の構造は簡略になる。枠部材の本数に応じて上部ループの間隔を狭め、枠部材下部の形状と台座の構成を工夫する。
ステンレスワイヤーをかしめて閉じた枠部材を説明したが、もちろん溶接してもよい。適切な箇所で分割構造にして曲げ加工や組み立ての難易度を下げれば、生産性を向上できる。強度・耐熱・食品衛生上問題ない他の材質でも良い。分割構成として2次交差以上の交差部分を前記した保持力強化に適した材質・形状にする方法もある。構成の単純化と生産性の両立が可能である。一体成形できる材質にすれば大量生産もできる。
衛生面や使用・洗浄後の排水性を考慮してチェーンを採用したが、強度・耐熱・食品衛生上問題ない紐、帯状の部材であれば使用できる。柔軟なものであれば、簡易的な結びによる固定など使い勝手の幅も広がる。
またチェーン切れなど緊急時には、手近なひも等で代用できる。
ガイド部の開角度を広げる応力をチェーン等で発生すれば、台座のない構成も可能である。断面形状を保持しつつ、前記131から135の異なる次数の交差間に引っ張り応力をかければよい。前記したように枠部材のみで実用的な形状保持力を得る場合も同様である。ドリッパー全体が略球形となり、枠部材の径以下の受け容器にはそのまま置くことができる。受け容器内への沈みは大きくなるが、安定して自由な姿勢にセットできる。岩場など受け容器の水平を保つことが困難な場合など状況によっては却って好適である。ドリッパーの転倒防止や水平支持を補助する突起や取手などを設けても良い。
1本のチェーン4で全てのフィルター保持部を構成する例を示したが、チェーン切れ時の非常使用を想定すると各保持部に別のチェーンを設ける考え方もある。この場合角度調整用のチェーンは上部を1周させる等、保持部とは別の構成にすれば調整が煩雑にならない。前段で述べたチェーン以外の固定手段を採用すれば、各保持部のみをチェーン等で構成するシンプルな応用も可能である。
さらに、枠部材自身にフィルター保持部の形状を付加すればよりシンプルである。本実施例における略円形の枠部材内側に枠部材の一部として保持部を設ける方法がある。ただ上記実施例のチェーン4による保持部と全く同じ角度の保持部にはならない。保持部のなす角度と下端部の開口、フィルターの保持高さの安定化に注意して設計する。枠部材の組み合わせ部分を適切なサイズにして上方または下方に延長した保持部を設ける構成もある。これは枠部材が円形でない応用である。上記実施例の保持部と全く同じ角度の保持部にはならない点は同じである。ガイド部の、ある水平位置での断面形状を固定するために枠部材の交差部分を嵌合等させる場合、それは1次交差131に限らず何次でも構わない。同様に保持部のなす角度と下端部の開口、フィルターの保持高さの安定化に注意する。
図9は、本発明の実施例2におけるドリッパーの構成を示す斜視図である。
ガイド部の枠部材には、ステンレスバネ材を用いた4本のフレームワイヤー93を使用している。フレームワイヤー93のつなぎ部分をカバーして弾力性を確保するトップカバー94を最外周の頂点部分に有する。95は2部品からなる台座で、これもステンレスバネ材である。台座95は図の左右で幅が異なっており、細い側の台座951と広い側の台座952を組み合わせて固定し、受け容器に接する平面を構成している。
フレームワイヤー93は円形ではなく、やや縦長の楕円を複数合成した形状である。図13(B)同様、網目状に組み合わされている。各台座951、952はそれぞれの端部96を、各フレームワイヤー93の2次交差132外周側に回動可能に取り付けられている。図では明確でないが、各台座端部96は取付けループの下方が外周側に広がって形成されており、相対する台座のアーム部分97を水平にロックする。
本実施例は、ガイド部に特別な形状保持力の強化部材を設けない例である。図9ではフィルター保持の別部材も設けず、フレームワイヤー93のみでフィルターを保持する。フレームワイヤー93の3次交差133付近の上方と、下方は最内周部分でフィルターを保持する。調整によっては、上方部分のみで保持する使い方もできる。
2次交差132の配置を固定するので、ガイドの開角度に応じて最内周部分の断面積が変化する。開角度が狭まると最内周部分は小さくなり、フィルター頂角による落ち込み量変化の低減に寄与する。
フレームワイヤー93下部はほぼ一定の曲率半径で滑らかなため、各フレームワイヤーの回転、つまり各々の平面方向の姿勢変化が生じやすい。回転による傾きが大きくなり各交差部分が曲率半径の異なる部分に達すると、円錐頂角方向の姿勢変化が生じ、ガイド形状に歪みが出る。この点を考慮し、図示しないがフレームワイヤー93の形状に工夫を加える。例えば外側を通る交差近辺の曲率半径を微妙に小さくするなど形状的なアクセントを与えることで、無用な回転を抑制できる。
図10は、図9のドリッパーをたたんだ収納状態を示す図である。各交差の上下関係は、正確には示されていない。
台座端部96とアーム97のロック状態を解除して、細い台座951を広い台座952にくぐらせて下方で両台座を反転させる。伴ってリンクするガイド部分は2次交差132の形状保持から解放されて図9左右方向の厚みが縮小し、フレームワイヤー93が平行になって平板状になる。反転した両台座951、952もやや広がって両側から被さり、全体でほぼフレームワイヤー93ひとつ程度のサイズに折り畳まれる。
逆の操作で、使用状態に組み立てる。
ドリッパーの部材が全て一体に組み合わされており、大変シンプルに組み立て・収納できる。
前述したように本例は、上下方向2箇所もしくは1箇所でフィルターを保持する。そのうち上方の保持は3次交差133近辺であり、開角度が狭くなると上方に移動する。実施例1に比してフレームワイヤー93下部の曲率半径を小さくすることで、ガイド形状の保持力強化と共に、フィルター保持位置の変化を抑制している。多くの場合、問題なく使える。
狭角に折り込んだフィルターに少量のコーヒー粉しか入れず、上記上方保持位置まで粉が届かない状況でやや不便が生ずることがある。ドリップ中フィルターが濡れてくると、フィルター自身の形状変化や外的要因で粉のないフィルター上方とフレームワイヤーが干渉することがある。歪んだフィルターがコーヒー粉を覆ったり座屈する可能性もなくはない。
上記を想定する場合は、フィルター保持部材を追加する。もちろん実施例1のドリッパー側板8を使用しても回避できるが、前述したように抽出度合いの調整範囲が限られてくる。
円錐断面を水平に略円形で支えるか、円錐の略母線方向の線分で支える形で保持部材を追加する。種々の頂角をもつ円錐にぴったり寄り沿うフレームワイヤー93が理想だが、頂角に応じてフレームワイヤーの楕円形状を変化させる必要がある。
トップカバー94から、向かいのフレームワイヤー最下部を結ぶ線が円錐の母線に沿う。ここを結ぶ場合、ガイドの開角度によって距離が変わる点に注意する。弾性部材を使用すると、引っ張り力がガイドを広げる方向の応力になるため、ガイド自身の形状保持力をさらに強化するなどの手当てが必要な場合がある。
トップカバー94から下方、フレームワイヤー93に平行に弱い弾性部材を伸ばす方法もある。フィルターに押されてならう格好になるが、この時もガイドを広げる力が働く。
図11は、実施例2の別の構成を示す上面図である。上記したフィルター保持部材をスライド式で設けている。ガイドの形状保持力を阻害する応力を生じない。
フレームワイヤー113のトップ部分にスリット116を設け、ステンレスの細ワイヤー114を通し、向かいのフレームワイヤーの1次交差131に係合させている。後述する収納時を考慮して、縦係合と横係合を対角に配す。図示していないがスリット116上方の細ワイヤー114は、折り曲げ等で下方への抜け止めを施してある。開角度が広い時には細ワイヤー114がフレームワイヤー113よりも上方に出て、フィルター上方の保持を安定にする。
フレームワイヤー113はステンレスバネ材である。図13(B)同様、網目状に組み合わされている。フィルター保持部材の装備を前提に、上方までフレーム幅を確保して保持の安定と手持ち使用の快適を優先する形状としている。回転の抑制については、前の例と同様、曲率半径のアクセントで安定させる。
2つの保持材115はフレームワイヤー113の2次交差132に取付けられる。2次交差132のなす四角形の対向する2辺の長さを等しく、図9よりも厳格に規定する。端部のループ1151を図示しない台座に取付けて2辺間の距離を固定し、ガイド部を正立させる。台座は、受け容器への載置に適して保持材115を平行に保てればどのようなものでもよい。端部ループ1151も、ループに限らず台座取付けに適する別の形状でもよい。2次交差132が、4辺の長さの等しい四角形をなすよう保持材115間の距離を保つ。
均一に広がろうとする同一次数交差の形状を正多角形にする場合、幾何学的には最大外形となる円周を規定または最低1辺の長さを規定、もしくは両者を併用すれば良い。ただ現実にはフレームワイヤー113の形状や表面性ばらつき等で形状に歪みが生ずる。この例では、全辺の長さを決定することでガイド形状の歪みを抑制する。
台座取付け前、2次交差132のなす四角形は保持材115により対向する2辺の長さのみが決められている。この四角形は、正方形または長さの決められた2辺を短辺とする長方形、または保持材115が略くっついて潰れた四角形に安定する。フレームワイヤー113の均一な形状保持力で、平行四辺形や前記正方形より小さな四角形状への変形には抵抗力を持つ。この特性により、使用状態と後述する収納状態との間の移行がワンタッチで可能となる。
細ワイヤー114、保持材115は2本のフレームワイヤー113を通して取付ける。使用中あるいは後述する収納時、取付け部が交差をくぐって取付け場所がずれる面倒が発生しない。
図12は、図11のドリッパーをたたんだ収納状態を示す図である。各交差の上下関係は、正確には示されていない。図11の状態から前記したガイド部の抵抗力を越えて保持材115を互いに近づけると、フレームワイヤー113がほぼ平板状に重なった折り畳み状態にまた安定点がある。使用状態に広げる場合は逆の操作をすればよく、
保持材115の押し引き操作のみのワンタッチで収納・展開できる。
追加した細ワイヤー114は収納状態ではほとんどスリット116から突出しない。台座部分の構成にも工夫が可能であり、非常に簡便に、先の例と同じ程度のサイズに収納・組立てできる。保持材115に台座機能を盛り込んで一体化することもできる。
もちろん実施例1のドリッパー側板8の使用も可能である。
本例では2次交差132で断面形状を保持し、かつ枠部材の幅を広く確保しているため、特に下方において枠部材とフィルターの間に空間が確保できる。そのため抽出中ガイド部を持ってドリッパーを持ち上げてもフィルターに手は触れにくい。フィルター各部の濡れ具合や抽出液の滴下をチェックするにも好都合な形状になっている。
以上、ガイド部の自己形状保持力のみ利用する実施例2を説明した。実施例1よりも簡易な構造と操作性を得ることができる。台座へのガイド固定箇所を実施例1と変えて例示した。1次交差131で取付けてもよい。手持ちドリップの快適さや受け容器への沈み込みの具合が変わってくる。実際には使用者のドリップ作法や使用する他の器具との相性などから適切に選択する。
枠部材は3本以上何本でも良い。本数が多いほど、フィルターを保持する断面は円形に近くなる。ただし、図10、12同様の折りたたみには偶数本構成が望ましい。正多角形の規定はやや複雑になるが、長さを決める辺と最大外形を決める頂点を最適に選択して形状保持のための構造を簡略化できる。前例同様ワンタッチの折り畳み構造も可能である。
円錐の開角度を60度以上にもできる。この場合これまでの説明と逆にフィルターを、図15(A)の頂点側において深く折り込む。ただこの場合円錐の母線が片側短くなるのでフィルターの縁に低い方向ができ、粉の収容量が制限される。大きなフィルターを使うか、角度を変えて複数枚重ねるなどの対応をとる。
ステンレスワイヤーの枠部材や台座は、かしめ等で製作しても、溶接してもよい。適切な箇所で分割構造にして曲げ加工や組み立ての難易度を下げれば、生産性を向上できる。強度・耐熱・食品衛生上問題ない他の材質でも良い。枠部材を分割構成として2次交差以上の交差部分を前記した保持力強化に適した材質・形状にする方法もある。構成の単純化と生産性の両立が可能である。一体成形できる材質にすれば大量生産もできる。
台座の構造は、ガイド部の構成等の条件から最適な形をとる。収納サイズにこだわらなければ、複数ピース構成でなく一体型でも構わない。他の素材を使用して、安定性やデザイン性を追求する方策もある。たたんだガイド部の収納ケースを台座とするなど、別の次元で使い勝手を向上できる可能性もある。
衛生面や使用・洗浄後の排水性を考慮して保持部材にステンレス細ワイヤーを採用したが、強度・耐熱・食品衛生上問題ない部材であれば使用できる。板状または網状の部材を使用してフィルター保持の安定度を増すこともできる。
断面形状の保持を工夫すれば、台座のない構成も可能である。枠部材の径以下の受け容器にはそのまま置くことができる。受け容器内への沈みは大きくなるが、安定して自由な姿勢にセットできる。岩場など受け容器の水平を保つことが困難な場合など状況によっては却って好適である。ドリッパーの転倒防止や水平支持を補助する突起や取手などを設けても良い。キッチンや店舗での使用を考慮すれば、本品単体では台座や断面形状の保持手段も最小限もしくは省略し、市販のコーヒードリッパーなどに装着して抽出度合いをカスタマイズする器具としての展開にも可能性を見出すことができる。
調理用品産業、コーヒー関係産業、アウトドア用品産業などで利用される。
1はフィルター、
2はコーヒー粉、
3、93、113はフレームワイヤー、
4はチェーン、
5、95は台座
である。

Claims (2)

  1. 円錐フィルターを保持する部分の開き角度を可変するコーヒードリッパーにおいて、
    少なくとも片側が閉じた3つ以上の枠部材を組み合わせて、該枠部材相互のなす角度を可変に自ら形状を保持するガイド
    を有することを特徴とするコーヒードリッパー。
  2. 請求項1のコーヒードリッパーにおいて、
    それぞれの前記枠部材と他の枠部材との交差において上下関係が交互になるよう網目状に組み合わせた前記ガイド
    を有することを特徴とするコーヒードリッパー。
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