以下、本発明に係る内燃機関の可変動弁装置の実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態では、ガソリン仕様の例えば4気筒内燃機関に適用されている。
〔第1実施形態〕
第1実施形態では、内燃機関の排気弁側に適用したもので、一気筒当たり2つの排気弁を有し、可変動弁装置は機関運転状態に応じて前記両排気弁の開閉時期と作動角(開角)を可変制御するものである。
すなわち、可変動弁装置は、図1〜図5に示すように、機関の図外のクランクシャフトによってタイミングチェーンを介して回転駆動されるスプロケット1と、該スプロケット1に対して相対回動可能に設けられた排気側のカムシャフト2と、スプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、該両者1,2の相対回動位相を変換する位相変換機構3と、該位相変換機構3を作動させる油圧回路4と、を備えている。
前記一気筒当たり2つの排気弁01、01は、図外の2つの排気ポートのシリンダ側の各開口端を開閉するもので、図10Aに示すように、それぞれバルブスプリング02、02のばね力によって閉方向に付勢されている。
前記カムシャフト2は、図1及び図2に示すように、内部中空状のアウターカムシャフト5と、該アウターカムシャフト5の内部に相対回転自在に設けられた内部中実状のインナーカムシャフト6と、から構成され、該インナーカムシャフト6はアウターカムシャフト5の内周面に回転自在に支持されている一方、アウターカムシャフト5は図外のシリンダヘッドにカム軸受を介して回転自在に支持されている。
前記アウターカムシャフト5は、外周面所定位置に図10Aに示すバルブリフタ03を介して各気筒中の前記一方側の排気弁01を開作動させる第1駆動カム5aが圧入によって一体的に設けられている。
前記インナーカムシャフト6は、先端部6bの内部軸方向にカムボルト9の軸部9bが螺着する雌ねじ孔6cが形成されていると共に、軸方向の所定位置には、前記アウターカムシャフト5の外周面に摺動しつつ前記同じバルブリフタを介して前記同じく一方側の排気弁を開作動させる第2駆動カム6aが固定されている。
つまり、インナーカムシャフト6の直径方向に形成された貫通孔6dに連結軸7が貫通固定されていると共に、該連結軸7の両端部7a、7bが前記第2駆動カム6aの内部に圧入固定されることによって第2駆動カム6aが前記インナーカムシャフト6に固定されている。また、前記連結軸7は、前記アウターカムシャフト5の直径方向に貫通形成された一対の挿通孔5c、5dを貫通しており、この両挿通孔5c、5dは、アウターカムシャフト5の円周方向に沿って長溝状に形成されて、前記連結軸7を介してインナーカムシャフト6をアウターカムシャフト5に所定角度範囲内で相対回転を許容するようになっている。
前記第1駆動カム5aと第2駆動カム6aは、図1及び図2A,Bに示すように、両者間の僅かな隙間を介して隣接配置されていると共に、外周面5b、6bが互いに卵形の同一のカムプロフィールに形成されて、一気筒中の前記一つの排気弁を独立して開閉作動させるようになっている。
前記位相変換機構3は、図1及び図3、図5に示すように、前記カムシャフト2の一端部側に配置されて、前記スプロケット1と一体のハウジング8と、前記アウターカムシャフト5の一端部に前記カムボルト9によって軸方向から固定されて、前記ハウジング8内に回転自在に収容された第1回転体である第1ベーンロータ10と、前記ハウジング8の内周面に突設された3つの第1〜第3シュー11a〜11cと前記第1ベーンロータ10の後述する3枚の第1〜第3ベーン20〜22とによって隔成されたそれぞれ3つの遅角作動室である遅角油室12及び進角作動室である進角油室13と、を備えている。
前記ハウジング8は、軸方向両端が開口され、前記スプロケット1と兼用した円筒状のハウジング本体14と、該ハウジング本体14の軸方向前後開口を閉塞するフロントプレート15及びリアプレート16とを備え、該ハウジング本体14に対してフロントプレート15とリアプレート16が3本のボルト17によって軸方向から共締めにより一体的に結合されている。
前記ハウジング本体14は、焼結金属材によって筒状一体に形成され、前端外周に前記チェーンが巻回される歯部1aが一体に設けられていると共に、内周面に前記3つの前記第1〜第3シュー11a〜11cが内方へ一体に突設されている。
この各シュー11a〜11cは、それぞれが側面視ほぼ台形状に形成されて、ハウジング本体14の円周方向のほぼ180°の位置に2つ、その間の位置に1つ配置され、それぞれの先端部に軸方向に沿って形成されたシール溝内には、ほぼコ字形状のシール部材18がそれぞれ嵌着固定されている。
また、各シュー11a〜11cの径方向外周側には、前記各ボルト17が挿通するボルト挿通孔11dが貫通形成されている。
前記第1シュー11aは、周方向一側面に平坦な第1凸面11eが形成されている一方、第2シュー11bは、前記第1シュー11aの一側面と周方向で対向する一側面に同じく平坦な第2凸面11fが形成されており、この各凸面11e、1fは、後述する第1ベーン20が図5及び図4に示すように、反時計方向あるいは時計方向へ回転した際に対応する面が当接して、第1ベーンロータ10を最遅角、進角位置に規制保持するようになっている。
前記フロントプレート15は、金属板をプレス成形によって比較的薄肉な円板状に形成され、中央に前記カムボルト9の頭部9aのフランジ状の座部9cが収容配置される大径孔15aが穿設されていると共に、外周側の円周方向等間隔位置には、前記各ボルト17が挿通する3つのボルト挿通孔15bが貫通形成されている。また、このフロントプレート15は、内周部に小径な呼吸孔15cが貫通形成されている一方、外周部にハウジング本体14と図外のピンを介して位置決めを行う小径な位置決め用孔15dが貫通形成されている。
前記リアプレート16は、焼結合金によって前記フロントプレート15によりも肉厚な円盤状に形成されていると共に、中央に後述する第1ベーンロータ10のロータ19の円筒状後端部が挿通して回転自在に支持される支持孔16aが貫通形成されている。また、外周側の円周方向等間隔位置には、前記各ボルト17の先端部の雄ねじが螺着する3つの雌ねじ孔16bが形成されている。
また、前記リアプレート16は、外周部の所定位置に、後述する第1ロック機構28の第1ロック穴31を構成するロック穴構成部31aを保持固定する保持孔16cが貫通形成されている。また、この支持孔16aの孔縁から放射状に3つの進角側油溝16dが形成されていると共に、支持孔16aの内周面前端側には前記各進角側油溝16dと連通する円環溝16eが形成されている。前記各進角側油溝16dと円環溝16eは、前記油圧回路4の一部を構成するものであって、前記各進角油室13に油圧を給排するようになっている。
なお、前記リアプレート16の内周部所定位置には、後述する第2摺動用孔42と連通する呼吸孔16fが貫通形成されていると共に、外周部には前記ハウジング本体14の第2シュー11bに形成された位置決め孔14aに係入してハウジング本体14との位置決めを行う位置決めピン16gが突設されている。
前記第1ベーンロータ10は、図1及び図2に示すように、例えば焼結金属によって一体に形成されており、中央側の第1ロータ19と、該第1ロータ19の外周から放射方向へ突設された3つのベーン20〜22とから構成されている。
前記第1ロータ19は、段差径状の円筒状に形成されて、前端側(フロントプレート15側)の大径本体19aの後端側(リアプレート16側)に小径筒部19bが一体に形成されている。
前記大径本体19aは、内部に比較的大径な円柱状のロータ収容空間19cが形成されていると共に、このロータ収容空間19cが後述する第3ベーン22の内部と連通状態になっている。また、この大径本体19aの各ベーン20〜22との付け根部付近には、前記各遅角油室12に連通する3つの遅角側油孔19dがそれぞれ径方向に沿って貫通形成されており、この各遅角側油孔19dは、前記油圧回路4の一部を構成している。
前記小径筒部19bは、内周面19eを介して前記アウターカムシャフト5の先端部に圧入固定されていると共に、前記大径本体19aとの結合箇所の内周面に環状溝19fが形成されている。また、この小径筒部19bの外周面には、前記リアプレート16の支持孔16aを介してスプロケット1全体が回転自在に支持されている。
前記第1〜第3ベーン20〜22は、それぞれ先端部にハウジング本体14の内周面に摺接してシールするシール部材27がそれぞれ嵌着固定されている。
前記第1ベーン20は、図5にも示すように、周方向の幅厚さが比較的大きく形成されて、内部軸方向に、後述する第1ロック機構28を構成する摺動用孔29が貫通形成されていると共に、図中、反時計方向の一側面に前記第1凸面11eに当接する突起面20bが一体に設けられている。また、前記第1ベーン20の前端面内周側には、前記摺動用孔29に連通する切欠溝20cが形成されており、この切欠溝20cは、フロントプレート15に形成された前記呼吸孔15cを介して外部に連通している。
なお、前記第2ベーン21は、周方向の幅厚さが薄く形成されている。
前記第3ベーン22は、有底状の扇枠状に形成されて周方向の幅が大きく形成され、内部に前記ロータ19のロータ収容空間19cと連通する扇状のベーン収容空間22aが形成されている。
前記ロータ19のロータ収容空間19cと第3ベーン22のベーン収容空間22aには、第2回転体である第2ベーンロータ23が収容配置されている。
この第2ベーンロータ23は、前記ロータ収容空間19cに回転自在に収容配置された円環状の第2ロータ24と、該第2ロータ24の外周面に一体に突設されて、前記ベーン収容空間22aに回動自在に収容配置された一つの第4ベーン25と、から構成されている。
前記第2ロータ24は、外径が前記ロータ収容空間19cの内径よりも僅かに小さく形成されて、外周面とロータ収容空間19cの内周面との間に円筒状の隙間26が形成されていると共に、その軸方向の長さが前記大径本体19aのロータ収容空間19cの軸方向長さとほぼ同一に形成されている。
また、この第2ロータ24は、図1に示すように、後端面中央に形成された円環状の嵌合溝24aに前記インナーカムシャフト6の先端部6bが嵌合していると共に、中央の内部軸方向に貫通形成された挿通孔24b内に軸方向から挿通した前記カムボルト9によって前記インナーカムシャフト6の先端部6bに軸方向から締結固定されている。また、第2ロータ24は、前記第1ベーンロータ10のロータ収容空間19c内に前記隙間26を介して相対回転自在に収容されている。
さらにこの第2ロータ24の後端部には、前記隙間26に連通する連通孔24cが径方向に沿って貫通形成されている。
前記第4ベーン25は、周方向の幅が比較的厚く形成されて、前記第3ベーン22のベーン収容空間22a内に相対回転自在に収容されていると共に、外周面25cと前記ベーン収容空間22aの内周面との間にクリアランスCが形成されている(図9参照)。
そして、第2ベーンロータ23の外周面全体と前記第1ロータ19及びベーン収容空間22aの各内周面との間、つまり、前記ベーン収容空間22aと前記円筒状の隙間26全体が一つの油圧室として構成されている。この油圧室内に供給された油圧は、第4ベーン25の円周方向の両側面25a、25bに対して同一圧として作用することから、該油圧によっては相対回転しないようになっている。
また、第4ベーン25の内部軸方向には、後述する第2ロック機構41の第2ロックピン43が摺動する第2摺動用孔42が貫通形成されていると共に、前端部には前記第2摺動用孔42の前端側に連通する油溝47が切欠形成されている。
前記油圧回路4は、前記各遅角油室12と各進角油室13に対して油圧を選択的に供給あるいは排出するもので、図1に示すように、前記リアプレート16に形成された円環溝16eを介して各進角側油溝16dに連通する進角側通路36と、前記第1ロータ19に形成された各遅角側油孔19dに連通する遅角側通路37と、該各通路36,37に第1電磁切換弁38を介して油圧を選択的に供給するオイルポンプ39と、前記各通路36,37に電磁切換弁38を介して選択的に連通するドレン通路40と、を備えている。
前記進角側通路36は、図外の軸受の内周面と前記アウターカムシャフト5の外周面との間のグルーブ溝や該グルーブ溝を径方向から貫通すると共にインナーカムシャフト6の径方向孔及び軸方向孔によって連続的に形成された進角油孔36aと、アウターカムシャフト5の先端部に径方向に貫通形成された径方向孔や第1ロータ19の小径部19bの径方向に連続的に形成されて、前記進角油孔36aと前記円環溝16eとを連通する連通孔36bと、を有している。
前記遅角側通路37は、同じく図外の軸受の内周面とアウターカムシャフト5の外周面との間のグルーブ溝やインナーカムシャフト6の内部になどに形成された図外の油通路孔を介して前記各遅角側油孔19dに連通している。
前記第1電磁切換弁38は、4ポート2位置弁であって、図外のコントロールユニット(ECU)から電磁コイルへの出力信号によって内部のスプール弁が軸方向に移動して、各通路36,37に対してオイルポンプ39の吐出通路39aとドレン通路40とを選択的に切り換え制御するようになっている。
前記コントロールユニットは、内部のコンピュータが図外のクランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、スロットルバルブ開度センサなどの各種センサ類からの情報信号を入力して現在の機関運転状態を検出すると共に、かかる機関運転状態に応じて前記電磁切換弁38の電磁コイルに制御電流を出力するようになっている。
前記第1ロック機構28は、図1、図3及び図8に示すように、前記第1ベーン20の摺動用孔29内に摺動自在に収容されて、リアプレート16側に対して進退自在が設けられた第1ロックピン30と、前記リアプレート16の保持穴16cに圧入固定されたカップ状の穴構成部31aに形成され、前記ロックピン30の先端部30aが係合して第1ベーンロータ10をロックするロック穴31と、機関運転状態に応じて前記ロックピン30の先端部30aをロック穴31に係合、あるいは係合を解除する係脱機構と、から構成されている。
前記摺動用孔29は、内周面が段差状に形成されて、先端側の小径孔と後端側の大径孔とを有し、該小径孔と大径孔との間に環状の段差部29aが形成されている。
前記第1ロックピン30は、第1摺動用孔29に対応して外周面が段差径状に形成されて、中実な先端部30aが前記第1ロック穴31内に係合し易いようにほぼ円錐状に形成されていると共に、円筒状の後端部が小径部と大径部に形成されて、この小径部と大径部との間に段差部30bが形成されている。前記第1摺動用孔29の段差部29aとロックピン30の段差部30bとの間に環状の受圧室33が形成されている。
前記第1ロック穴31は、有底状に形成されて、第1ベーンロータ10が最大進角側に相対回転した場合に前記第1ロックピン30と軸方向から係合する位置に形成されている。したがって、前記第1ロックピン30がロック穴31に係合した場合には、ハウジング8と第1ベーンロータ10の相対回転角度が機関始動に最適な最大進角の変換角度(位相)となるように設定されている。
なお、前記フロントプレート15の呼吸孔15cを外気と連通させることによって、前記ロックピン30が前記摺動用孔29内で常に良好な摺動性を確保するようになっている。
前記係脱機構は、第1ロックピン30の後端部とフロントプレート15の内端面との間に弾装されて、第1ロックピン30を進出方向へ付勢する第1コイルスプリング32と、前記第1ベーン20の両側部内に幅方向に沿って形成された一対の解除用油孔34a、34bとから構成されている。前記一つの遅角油室12に連通する一方の解除用油孔34aは、図8にも示すように、第1ベーン20のリアプレート16側の側面に形成されているが、一つの進角油室13に連通する他の解除用油孔34bは、第1ベーン20のリアプレート16側の内側面に形成されている。これらの解除用油孔34a、34bは、図5に示すように、前記遅角油室12と進角油室13にそれぞれ選択的に供給された油圧を前記受圧室33や第1ロック穴31に供給して第1ロックピン30を第1ロック穴31から後退させるようになっている。
前記第2ロック機構41は、図1、図3及び図9に示すように、前記第4ベーン25の内部軸方向に形成された前記第2摺動用孔42と、該第2摺動用孔42内に摺動自在に収容されて、フロントプレート15側に対して進退自在が設けられた第2ロックピン43と、前記フロントプレート15の内面に形成されて、前記第2ロックピン43が係合して第2ベーンロータ23をロックする第2ロック穴44と、前記第2ロックピン43の先端部43aを第2ロック穴44に係合、あるいは係合を解除する第2係脱機構と、から構成されている。
前記第2摺動用孔42は、内径がほぼ均一な円柱状に形成されている。
前記第2ロックピン43は、第2摺動用孔42に対応して外周面が段差径状に形成されて、中実な先端部43aが小径な円柱状に形成されていると共に、該先端部43aと大径な円筒状の後端部43bとの間に段差面43cが形成されており、この段差面43cが受圧面として機能するようになっている。
前記第2ロック穴44は、有底円形状に形成されて、第2ベーンロータ23が最大遅角側に相対回転した場合に前記第2ロックピン43と軸方向から係合する位置に形成されている。
なお、前記第2摺動用孔42は、図1に示すように、前記リアプレート16の呼吸孔16fと第1ロータ19の内部軸方向に貫通形成された呼吸孔19gによって外気と連通されることによって、前記第2ロックピン43が前記第2摺動用孔42内で常に良好な摺動性を確保するようになっている。
前記第2係脱機構は、第2ロックピン43の後端部とベーン収容空間22aの底面との間に弾装されて、第2ロックピン43を第2ロック穴44方向へ付勢する第2コイルスプリング45と、前記第2ロック穴44に油圧を供給して第2ロックピン43を第2ロック穴44から後退させてロックを解除する解除用油圧回路46と、から構成されている。
前記解除用油圧回路46は、図1に示すように、前記油圧回路4とは独立して構成され、前記第2ロック穴44に前記油溝47を介して連通する解除通路48と、該解除通路48に対して前記オイルポンプ39の吐出通路39aとドレン通路40とを選択的に連通させる第2電磁切換弁49と、を備えている。
前記解除通路48は、一端側が第2電磁切換弁49を介して前記オイルポンプ39やドレン通路40に適宜連通する一方、他端側48aが前記アウターカムシャフト5の外周面のグルーブ溝や径方向孔及びインナーカムシャフト6の内部軸方向に形成された軸方向孔などを介して前記連通孔24cに連通している。
そして、前記連通孔24cは、前記第2ロータ24とロータ収容空間19cとの間の隙間26やベーン収容空間22a及び油溝47を介して前記第2ロックピン43の段差面43cや第2ロック穴44内に連通している。
〔本実施形態の作用〕
まず、機関始動時は、図5に示すように、予め第1ロックピン30の先端部30aが第1ロック穴31内に係合していると共に、第2ロックピン43の先端部43aも第2ロック穴44内に係合している。
このため、第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23は、スプロケット1に対して始動に最適な進角側の相対回転位置にロックされている。これによって、2つの駆動カム5a、6aは、図2Aに示すように、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6を介して同一の回転位相になって、一つの排気弁の開閉時期特性が図5の太い実線で示すように、初期の進角側の位相に保持されている。
したがって、この状態からイグニッションスイッチをオン操作して機関を始動すると、スムーズなクランキングによって良好な始動性が得られる。
そして、機関始動後の所定の運転域では、前記第1電磁切換弁38のコントロールユニットから制御電流が出力されて、吐出通路39aと遅角側通路37を連通させると共に、進角側通路36とドレン通路40を連通させる。このため、前記オイルポンプ39からの吐出された油圧は、前記遅角側通路37などを通って各遅角油室12に供給されて、該各遅角油室12が高圧になる一方、各進角油室13内の油圧がオイルパンに排出されて内部が低圧になる。
また、前記各遅角油室12に供給された油圧は、第1ベーン20の解除用油孔34aから第1ロック機構28の受圧部33内に供給される。このため、第1ロックピン30は、コイルスプリング32のばね力に抗して後退移動して先端部30aが第1ロック穴31から抜け出して、第1ベーンロータ10の自由な相対回転を許容する。
したがって、前記第1ベーンロータ10は、図6に示すように、前記各遅角油室13の高圧化に伴って、ハウジング8に対して遅角側へ相対回転する。これにより、第1駆動カム5aが、前記アウターカムシャフト5を介して一つの排気弁の開閉時期を遅角側に制御する。
一方、この時点では、前記第2電磁切換弁49には、コントロールユニットから制御電流が出力されずに、解除通路48とドレン通路40が連通された状態にある。このため、前記第2ベーンロータ23は、第2ロックピン43によってロック状態が維持されて、進角側の位置に保持されている。
この結果、インナーカムシャフト6側の第2駆動カム6aは、一つの排気弁の開閉時期を、図12に示すように、始動時と同じく進角側の位置に保持する一方、アウターカムシャフト5側の第1駆動カム5aは、図2Bに示すように、遅角側の回転位置に制御されて、前記第1駆動カム6aとは開いた状態になる(開角状態)。
したがって、一つの排気弁は、その開閉時期特性が、図12に示すように、2つの駆動カム5a、6aによって、前記初期位相時のバルブリフタを押している時間よりも長く時間押すことになる。つまり、一つの排気弁の開いている時間が長くなって、燃焼ガスの掃気時間が連続的に増加することになる。
機関運転状態がさらに変化すると、図4に示すように、前記コントロールユニットから第1電磁切換弁38への制御電流が遮断されて、前記吐出通路39aと進角側通路36が連通されると共に、遅角側通路37とドレン通路40が連通される。これによって、各進角油室13側では、オイルポンプ39の吐出油圧が供給されて高圧になる一方、各遅角油室12側では、内部の作動油がドレン通路40を介してオイルパン内に排出されて低圧状態になる。
このとき、前記各進角油室13に供給された油圧が、今度は前記解除用油孔34bを介して第1ロック穴31内に供給されて、第1ロックピン30を後退移動させた状態を維持する。このため、第1ベーンロータ10は、自由な相対回転が確保された状態が維持されている。
したがって、前記第1ベーンロータ10は、ハウジング8に対して進角側へ相対回転することから、アウターカムシャフト5を介して第1駆動カム5aが排気弁の開閉時期が図11に示す場合と同じく第2駆動カム6aとともに進角側に制御する。
その後、機関運転状態がさらに変化すると、コントロールユニットから第1電磁切換弁38と第2電磁切換弁49にそれぞれ制御電流が出力されて、前記吐出通路39aと遅角側通路37及び解除通路48を連通させる一方、進角側通路36とドレン通路40を連通させる。
このため、前記各進角油室13内の油圧が排出されて低圧になると共に、各遅角油室12内に油圧が供給されて高圧になる。このとき、この各遅角油室12に供給された油圧によって第1ロックピン30もロックが解除された状態が維持されていることから、前記第1ベーンロータ10は、図7に示すように反時計方向に回転して、ハウジング8に対して遅角側へ変換される。
一方、前記オイルポンプ39から吐出された油圧は、解除通路48を通って前記連通孔24cからロータ収容空間19cとベーン収容空間22a内に供給され、ここからさらに油溝47から第2ロック穴44に流入して高圧になる。したがって、前記第2ロックピン43は、第2コイルスプリング45のばね力に抗して後退移動して、先端部43aが第2ロック穴44から抜け出て、第2ベーンロータ23のロック状態を解除して自由な回転を許容する。
しかし、前記第2ベーンロータ23は、油圧を利用して相対回転することができず、つまり、前記各収容空間19c、22aに供給された油圧はロックを解除するだけのものであって、第2ベーンロータ23に回転力を与えることはできず、前記インナーカムシャフト6に発生する正負の交番トルク、特に正の交番トルクによって遅角側へ回転する。
すなわち、前記インナーカムシャフト6の第2駆動カム6aには、図10A、Bに示すように、排気弁01を閉方向に付勢するバルブスプリング02のばね力がバルブリフタ03を介して常時押し付ける方向(図10A(a)の矢印方向)に作用しており、第2駆動カム6aが回転してカム山6cの立ち上がり面がバルブリフタ03を押し込む位置になると、図10A(b)に示すように、バルブリフタ03のばね力によって、これと反対方向(矢印)の正のトルクが作用する。この正のトルクは、図10Bに示すように、インナーカムシャフト6を遅角側へ回転させる力として作用する。
その後、前記第2駆動カム6aがさらに回転して、図10A(c)に示すように、カム山6cの頂部でバルブリフタ03を押圧すると、この時点では交番トルクが図10Bに示すようにほぼ0の状態になる。その後、さらに回転して、図10A(d)に示すように、カム山6cの立ち下がり面がバルブリフタ03を押圧する状態になると、今度は第2駆動カム6aに回転方向と同方向の負のトルクが発生してインナーカムシャフト6を進角側へ回転させる力として作用する(図10B)。
このように、インナーカムシャフト6には、機関回転中に常時正負の交番トルクが作用しているが、第2駆動カム6aの外周面6bとバルブリフタ03の上面との摩擦トルクからすると、回転方向の前記負のトルクよりも回転方向と反対の正のトルクの方が大きくなっている。
したがって、前述のように、第1ベーンロータ10が遅角側に相対回転した際には、第2ベーンロータ23は、ベーン収容空間22a内で当初は進角側の相対回転位置になっているが、前記正の交番トルクが作用することによって、図7に示すように、同じく遅角側に相対回転して、前記第4ベーン25の一側面25aが第3ベーン22の対向側面である規制面22bに当接して最大遅角側の相対回転位置に保持される。
これによって、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6は、ハウジング8に対して、同期し遅角側に相対回転することから、一つの排気弁の開閉時期は、図13に示すように、開角がなくなって全体的に遅角側の位相に変換される。
また、さらに機関運転状態の変化に伴って、前記コントロールユニットから前記第1、第2電磁切換弁38、49への制御通電を遮断すると、前記吐出通路39aが各進角油室13に連通すると共に、ドレン通路40が遅角油室12に連通し、また、解除通路48は吐出通路39aとの連通が遮断されてドレン通路40と連通される。
したがって、アウターカムシャフト5(第1ベーンロータ10)は、初期位相方向、つまり、図5に示す進角側の相対回転位置に変換されるが、このとき、インナーカムシャフト6(第2ベーンロータ23)は、前記第1ベーンロータ10が進角側へ変換されることから、図7に示す状態、つまり第4ベーン25の一側面25aが第3ベーン22の規制面22bに当接した状態から該規制面22bに時計方向へ押圧されながら進角側へ連れ回り回転する。
そして、図5に示す最遅角側の回転位置に到達すると、前記第2ロックピン43の先端部43aが第2コイルスプリング45のばね力によって第2ロック穴44に係合して第2ベーンロータ23の回転をロックする。
これにより、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6は、ハウジング8に対して同期して進角側に変換されることになる。
このように、本実施形態では、第1ベーンロータ10の相対回転と第1ロック機構28のロック解除を同一の油圧回路4によって行うと共に、第2ベーンロータ23の第2ロック機構41のロック解除を一つの解除通路48によって行うようにしたことから、油通路の構造が簡素化される。
すなわち、各遅角油室12や各進角油室13に対する油圧の給排を遅角側通路37と進角側通路36の2本の通路によって行うと共に、第1ロックピン30のロック解除も各油室12,13内の油圧を用いており、また、第2ロックピン43のロック解除は、1本の解除通路48を用いた全体に3系統の油圧で成立させることができるのであるから、油通路構造が簡素化することができる。
換言すれば、本実施形態では、第2ベーンロータ23の相対回転を、油圧を用いずに、前記インナーカムシャフト6に発生する交番トルクや第1ベーンロータ10の回転力を有効に利用したことから、油通路の構造を簡素化することができる。
したがって、製造作業や組立作業が容易になると共に、コストの低減化が図れると共に、可変動弁装置の小型化が図れる。
さらに、本実施形態では、第2ベーンロータ23を、第1ベーンロータ10の第3ベーン22の内部に収容して、両ベーンロータ10,23を並列に配置したことから、装置の軸方向の長さを十分に短くすることが可能になる。この結果、機関への搭載性が向上する。
特に、前記第1ロータ19を円筒状に形成すると共に、第3ベーン22を扇枠状に形成して、この第1ロータ19と第3ベーン22の内部に第2ベーンロータ23を収容配置したことから、装置のコンパクト化が促進されて、装置全体の小型化が図れる。
また、前記第1ロック機構28と第2ロック機構41の各ロック穴31,44を、互いに反対側にあるリアプレート16とフロントプレート15に形成したことから、互いの独立性が確保されるので、ロックとロック解除の制御精度が向上する。
〔第2実施形態〕
図14〜図19は第2実施形態を示し、この実施形態では可変動弁装置を吸気弁側に適用したものである。
第1、第2ベーンロータ10、23の向きが反対になっているだけで、油圧回路や基本構造は第1実施形態とものと同じであるから、同一構成箇所は同一の符番を付して説明する。
すなわち、ハウジング8の内部に第1ベーンロータ10が相対回転自在に収容されていると共に、該第1ベーンロータ10のロータ収容空間19cやベーン収容空間22a内に第4ベーン23が相対回転自在に収容されている。
前記第1ベーンロータ10は、吸気弁側のカムシャフトである図外の円筒状のアウターカムシャフトの一端部に結合されている一方、第2ベーンロータ23は、アウターカムシャフトの内部に回転自在に設けられたインナーカムシャフトの一端部に結合されている。
前記ハウジング8と第1〜第3ベーン20〜22の間には、それぞれ3つの遅角油室12と進角油室13が隔成されている。また、前記第1ベーン20の内部に、第1ロック機構28が設けられていると共に、第4ベーン25の内部に第2ロック機構41が設けられている。
また、前記各遅角油室12と各進角油室13には、油圧回路のオイルポンプの吐出通路とドレン通路と適宜連通路する遅角側通路と進角側通路を介して油圧が選択的に給排されるようになっていると共に、第1ロック機構28の受圧室と第1ロック穴31には、遅角油室12と進角油室13に連通する解除用油孔34a、34bから油圧が選択的に給排されるようになっている。
一方、第2ロック機構41の第2ロック穴44には、第1実施形態と同じく解除通路を介してオイルポンプの吐出通路とドレン通路が適宜連通するようになっている。
そして、初期位相としては、第1ベーンロータ10が、ハウジング8に対して機関始動に適した遅角側に相対回転していると共に、第2ベーンロータ23も第1ベーンロータ10に対して同じく遅角側に相対回転している。
〔本実施形態の作用〕
まず、機関始動時には、図14に示すように、予め第1ロックピン30の先端部30aが第1ロック穴31内に係合しているが、第2ロックピン43は、先端部43aが第2ロック穴44から抜け出てロックが解除された状態になっている。
すなわち、第1ベーンロータ10は、スプロケット1に対して始動に最適な遅角側の相対回転位置にロックされている。一方、第2ベーンロータ23は、第2ロックピン43によってロックされておらず、イグニッションスイッチをオン操作すると、前記インナーカムシャフト6に発生する交番トルクを受け、特に正のトルクによって遅角側へ回転してこの最大遅角側で規制面22bによりそれ以上の回転が規制される。
したがって、2つの駆動カム5a、6aは、図2Aに示すように、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6を介して同一の回転位相になって、一つの吸気弁の開閉時期特性が図17の太い実線で示すように、初期の遅角側の位相に保持されている。
これによって、スムーズなクランキングによって良好な始動性が得られる。
機関始動後に所定の運転状態に変化した場合には、コントロールユニットから第1電磁切換弁38と第2電磁切換弁49の両方に制御電流が出力されて、オイルポンプ39の吐出通路39aが進角側通路36に連通すると共に、ドレン通路40に遅角側通路37が連通する。一方、吐出通路39aと解除通路48が連通された状態になる。
したがって、前記各進角油室13が高圧になると共に、各遅角油室12が低圧になって、進角油室13内の油圧が第1ロック穴31に供給されて第1ロックピン30によるロックが解除され、第1ベーンロータ10の相対回転が許容される。このため、前記第1ベーンロータ10は、図15に示すように時計方向へ回転してハウジング8に対して進角側に相対回転する。
このとき、第2ベーンロータ23は、第1ベーンロータ10の時計方向の回転に伴い第4ベーン25の一側面25aが第3ベーン22の規制面22bによって時計方向に押圧されて、第1ベーンロータ10と一緒に進角側へ相対回転する。この進角位置において第2ロック穴44に油圧が供給されていることから、第2ロックピン43は第2コイルスプリング45のばね力によって第2ロック穴44に係合することなく進角側の相対回転位置に保持される。
よって、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6は、互いに進角側に回転することから、両駆動カム5a、6aも図2Aに示す同一の回転位相になって、一つの吸気弁の開閉時期特性が図18に示すように、進角側の位相に変換される。
機関運転状態がさらに変化した場合は、コントロールユニットから第1電磁切換弁38への通電が遮断されて、前記吐出通路39aと遅角側通路37を連通すると共に、ドレン通路40と進角側通路36を連通する。同時に、第2電磁切換弁49への通電も遮断される。
したがって、前記各遅角油室12内が高圧になる一方、各進角油室13が低圧になることから、第1ベーンロータ10は、図16に示すように第1ベーン20が反時計方向へ回転して第1シュー11aの一側面に当接した時点でそれ以上の回転が規制されて、ハウジング8に対して最大遅角側の相対回転位置に保持される。このとき、受圧室33には遅角油室12の油圧が供給されることから、第1ロックピン30は第1ロック穴31から抜け出てロックが解除された状態になっている。
一方、前記第2ロック穴44には、吐出油圧が供給されず第2ロックピン43がロック状態になる。このため、第2ベーンロータ23は、進角側への相対回転位置になっている。
したがって、前記アウターカムシャフト5のみが遅角側へ相対回転してインナーカムシャフト6は進角側の相対回転位置を維持していることから、第1駆動カム5aと第2駆動カム5bが、図2Bに示すように、互いに開角状態になる。
よって、一つの吸気弁は、その開閉時期特性が、図19に示すように、2つの駆動カム5a、6aによって、前記初期位相時などのバルブリフタを押している時間よりも長く時間押すことになる。つまり、一つの吸気弁の開いている時間が長くなって、吸入空気量の充填時間が連続的に増加して十分な空気量を確保することができる。この結果、機関の出力トルクを十分に高くすることができる。
そして、例えば、この状態で、コントロールユニットから第1電磁切換弁38への通電が遮断された状態が維持されると共に、第2電磁切換弁49に通電されて、前記各遅角油室12に油圧が供給されて高圧になると共に、各進角油室13が低圧になる一方、解除側通路48を介して第2ロック穴44に油圧が供給されて高圧になる。
これによって、第1ベーンロータ10は、最遅角側の相対回転位置に保持され、また、第2ロックピン43が後退移動して第2ロック穴44から抜け出し、第2ベーンロータ23のロックが解除される。
この状態で、イグニッションスイッチがオフ操作されると、コントロールユニットが第2電磁切換弁49への通電をも遮断すると共に、オイルポンプ39の駆動が停止される。
このため、第1ベーンロータ10は、前記最遅角の相対回転位置を維持しているが、第2ベーンロータ23は、前述したように、前記インナーカムシャフト6に発生する正の交番トルクによって第1ベーンロータ10と同じく遅角側へ相対回転して、両者10,23が図14に示す初期の遅角側の位置に保持される。
以上のように、この第2実施形態によれば、油通路の構造が簡素化されると共に、第2ベーンロータ23を第1ベーンロータ10の第2ベーン21の内部に並列状態に配置したことから、装置の軸方向の長さを短尺化することが可能になる。この結果、装置の小型化が図れ、機関への搭載性が向上する。
〔第3実施形態〕
図20〜図25は第3実施形態を示し、この実施形態では第2実施形態と同じく可変動弁装置を吸気弁側に適用したものであって、基本構造は第2実施形態と同様であるが、特徴点は前記第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23をロック(結合)あるいはロックを解除する第3ロック機構50を設けたものである。第2実施形態と同一の構成箇所には同一の符番を付して説明する。
すなわち、ハウジング8の内部に相対回転自在に設けられた第1ベーンロータ10は、図23に示すように、第2ベーン21が第3ベーン22と同じく底壁21bを有する扇枠状に形成されて、この内部に扇状の第2のベーン収容空間21aが形成されている。一方、第2ベーンロータ23は、前記第2ロータ24外周の前記第4ベーン25と異なる位置、つまり前記第2ベーン収容空間21aに対応した位置に第5ベーン51が一体に設けられている。この第5ベーン51は、前記第2のベーン収容空間21a内に第1ベーンロータ10に対して相対回転自在に収容されている。
また、前記第4ベーン25と第5ベーン51の各外周面に形成された嵌着溝には、対応する第2ベーン21と第3ベーン22の内周面に摺接する2つのシール部材52、52が嵌着固定されている一方、第1ロータ19の内周面所定位置に形成された嵌着溝には、第2ロータ24の外周面に摺接する2つのシール部材53,53が嵌着固定されている。これらの各シール部材52〜53によって前記各ベーン収容空間21a、22aとの間の連通や、該各収容空間21a、22aとロータ収容空間26との間の連通を遮断するようになっている。
そして、前記第5ベーン51と第1ベーンロータ10との間には、該第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23との間をロックする、あるいはロックを解除する第3ロック機構50が設けられている。
この第3ロック機構50は、図21、図22に示すように、前記第5ベーン51の内部軸方向に形成された前記第3摺動用孔54と、該第3摺動用孔54内に摺動自在に収容されて、第2ベーン21の底壁21bに対して進退自在が設けられた第3ロックピン55と、前記第2ベーン21の底壁21bの底面に形成されて、前記第3ロックピン55が係合して第1ベーンロータ10に対して第2ベーンロータ23をロックする第3ロック穴56と、前記第3ロックピン55の先端部55aを第3ロック穴56に係合、あるいは係合を解除する第3係脱機構と、から構成されている。
前記第3摺動用孔54は、内径がほぼ均一な円柱状に形成されている。
前記第3ロックピン55は、第3摺動用孔54に対応して外周面が段差径状に形成されて、中実な先端部55aが小径な円柱状に形成されていると共に、該先端部55aと大径な円筒状の後端部55bとの間に段差面55cが形成されており、この段差面55cが受圧面として機能するようになっている。
前記第3ロック穴56は、有底円形状に形成されて、第2ベーンロータ23が第1ベーンロータ10に対して最大進角側に相対回転した場合に前記第3ロックピン55が軸方向から係合する位置に形成されている。
なお、前記第3摺動用孔54は、図外の呼吸孔を介して外気と連通されており、これによって、前記第3ロックピン55が前記第3摺動用孔54内で常に良好な摺動性を確保するようになっている。
前記第3係脱機構は、第3ロックピン55の後端部とフロントプレート15の内側面との間に弾装されて、第3ロックピン55を第3ロック穴54方向へ付勢する第3コイルスプリング57と、前記第3ロック穴54(受圧面55c)に油圧を供給して第3ロックピン55を第3ロック穴54から後退させてロックを解除する解除用油圧回路58と、から構成されている。
前記解除用油圧回路58は、図20及び図21に示すように、前記油圧回路4や第2ロック機構41の解除用油圧回路46とは独立して構成され、第5ベーン51の一方側壁に形成された第3油孔59と第2のベーン収容空間21aとを介して第3ロック穴54に連通する解除通路60と、該解除通路60に対して前記オイルポンプ39の吐出通路39aとドレン通路40とを選択的に連通させる第3電磁切換弁61と、を備えている。
前記解除通路60は、一端側60aが第3電磁切換弁61を介して前記オイルポンプ39やドレン通路40に適宜連通する一方、他端側60bが前記アウターカムシャフト5の外周面のグルーブ溝や径方向孔及びインナーカムシャフト6の内部軸方向に形成された図外の軸方向孔及び径方向に形成された径方向孔60c(図23参照)などを介して前記第3油孔59側のベーン収容空間21aに連通している。前記第3油孔59は、前記第3ロックピン55の段差面55cを介して第3ロック穴56内に連通している。
そして、初期位相としては、第1ベーンロータ10が、ハウジング8に対して機関始動に適した遅角側に相対回転していると共に、第2ベーンロータ23は第1ベーンロータ10に対して進角側に相対回転している。
〔本実施形態の作用〕
まず、機関始動時には、図23に示すように、予め第1ロックピン30の先端部30aが第1ロック穴31内に係合していると共に、第2ロックピン43の先端部43aと第3ロックピン55の先端部55aがそれぞれ第2ロック穴44と第3ロック穴56内に係合している。
すなわち、第1ベーンロータ10は、スプロケット1に対して始動に最適な遅角側の相対回転位置にロックされている一方、第2ベーンロータ23は、第2ロックピン43によってロックされていると共に、第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ10も第3ロックピン55によってロックされている。
したがって、2つの駆動カム5a、6aは、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6を介して同一の回転位相になって、一つの吸気弁の開閉時期特性が第2実施形態と同じく図17の太い実線で示すように、初期の遅角側の位相に保持されている。
よって、この状態でイグニッションスイッチをオン操作すると、スムーズなクランキングによって良好な始動性が得られる。
機関始動後に所定の運転状態に変化した場合には、コントロールユニットから第1電磁切換弁38と第2電磁切換弁49の両方に制御電流が出力されて、オイルポンプ39の吐出通路39aが進角側通路36に連通すると共に、ドレン通路40に遅角側通路37が連通する。一方、吐出通路39aと解除通路48が連通された状態になる。
また、この時点では、前記第3電磁切換弁61に制御電流が出力されずに、解除用油圧回路58はドレン通路40に連通した状態になっている。このため、第3ロックピン55は第3ロック穴56に係合した状態が維持されて、第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23とは互いにロック状態になっている。
したがって、前記各進角油室13が高圧になると共に、各遅角油室12が低圧になって、進角油室13内の油圧が第1ロック穴31に供給されて第1ロックピン30によるロックが解除され、第1ベーンロータ10の相対回転が許容される。このため、前記第1ベーンロータ10は、図24に示すように時計方向へ回転してハウジング8に対して進角側に相対回転する。
一方、第2ロック穴44には、解除通路48などを介してベーン収容空間22aに供給されたポンプ吐出圧が油溝47から供給されて、受圧面43cに作用した油圧によって第2ロックピン43が後退移動し、これによって、第2ロック穴44から抜け出して第2ベーンロータ23のロックが解除される。
したがって、この第2ベーンロータ23は、図24に示すように、第1ベーンロータ10の時計方向の回転に伴って同じく時計方向へ同期回転して、第1ベーンロータ10と一緒に進角側へ相対回転する。この進角位置において第2ロック穴44に油圧が供給されていることから、第2ロックピン43は第2コイルスプリング45のばね力によって第2ロック穴44に係合することはなく、進角側の相対回転位置に保持される。
よって、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6は、互いに進角側に回転することから、両駆動カム5a、6aも同一の回転位相になって、一つの吸気弁の開閉時期特性が、第2実施形態と同じく図18に示すように、進角側の位相に変換される。
機関運転状態がさらに変化した場合は、コントロールユニットから第1電磁切換弁38への通電が遮断されて、前記吐出通路39aと遅角側通路37を連通すると共に、ドレン通路40と進角側通路36を連通する。同時に、第2電磁切換弁49への通電も遮断される。
したがって、前記各遅角油室12内が高圧になる一方、各進角油室13が低圧になることから、第1ベーンロータ10は、図23に示すように第1ベーン20が反時計方向へ回転して第1シュー11aの一側面に当接した時点でそれ以上の回転が規制されて、ハウジング8に対して最遅角側の相対回転位置に保持される。このとき、受圧室33には遅角油室12の油圧が供給されることから、第1ロックピン30は第1ロック穴31から抜け出てロックが解除された状態になっていることは勿論である。
一方、第2ベーンロータ23は、第3ロック機構50によって第1ベーンロータ10と一体的に結合されていることから、一緒に反時計方向へ回転して同じく最遅角側の相対回転位置に変換される。このとき、前記第2ロック穴44には、吐出油圧が供給されていないことから、第2ロックピン43が第2コイルスプリン45のばね力によって第2ロック穴44に係合してロック状態になる。
これによって、機関始動時と同じく、第1、第2ベーンロータ10、23が共に最遅角側の相対回転位置に変換されて、一つの吸気弁の開閉時期特性が始動時と同じく最遅角側に制御される。
さらに、機関運転状態が変化した場合には、第1、第2ベーンロータ10,23が、例えば前記図23に示す相対回転位置から、コントロールユニットから第1電磁切換弁38と第3電磁切換弁61へ通電されて、前記吐出通路39aと進角側通路36及び解除通路58がそれぞれ連通して、各進角油室13が高圧になると共に、第3ロック穴56内が高圧になる。一方、第2電磁切換弁49には、コントロールユニットから通電されないことから、第2ロック穴44へ油圧が供給されない。
このため、前記進角油室13内に油圧が第1ロック穴31に供給されて第1ロックピン30が後退移動して、ハウジング8に対する第1ベーンロータ10のロックが解除されると共に、第3ロック穴56内の高圧化により第3ロックピン55が後退移動して、第1ベーンロータ10に対する第2ベーンロータ23のロックも解除される。しかし、第2ロック穴44には、油圧が供給されていないことから、第2ロックピン43は第2ロック穴44に係合した状態が維持されている。
したがって、前記第1ベーンロータ10は、図25に示すように、時計方向へ回転してハウジング8に対して進角側へ相対回転するが、第2ベーンロータ23は、第2ロック機構41によってロックされて、ハウジング8に対する自由な相対回転が規制されて、前記最遅角側への回転位置に保持されている。
このため、前記アウターカムシャフト5のみが進角側へ相対回転してインナーカムシャフト6は遅角側の相対回転位置を維持していることから、第1駆動カム5aと第2駆動カム5bが、互いに開角状態になる。
よって、一つの吸気弁は、その開閉時期特性が、第2実施形態の場合と同様に、図19に示すように、2つの駆動カム5a、6aによって、前記初期位相時などのバルブリフタを押している時間よりも長く時間押すことになる。つまり、一つの吸気弁の開いている時間が長くなって、吸入空気量の充填時間が連続的に増加して十分な空気量を確保することができる。この結果、機関の出力トルクを十分に高くすることができる。
以上のように、この第3実施形態も第2実施形態と同様な構成であるから、油通路の構造が簡素化されるなど第1実施形態と同じ作用効果が得られると共に、第2ベーンロータ23を、第1ベーンロータ10の第2、第3ベーン21,22などを介して内部に並列状態に配置したことから、装置の軸方向の長さを短尺化することが可能になる。この結果、装置の小型化が図れ、機関への搭載性が向上する。
特に、この第3実施形態では、第2実施形態のように、各カムシャフト5,6に作用する交番トルクを利用することなく、第3ロック機構50によって第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23をロック(結合)することにより第2ベーンロータ23を第1ベーンロータ10と同方向へ同期相対回転させ、また、第3ロック機構50によるロックを解除して、両者10,23をそれぞれ独立に相対回転させるようにしたため、前記相対回転位相変換と開角(作動角)拡大制御を、前記連続的かつ精度良く行うことができる。
また、前述した第3ロック機構50による第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23のロック、ロック解除制御は、機関運転状態の変化によってコントロールユニットによって任意に行うことができる。
〔第4実施形態〕
図26〜図28は第4実施形態を示し、この実施形態では第1実施形態と同じく可変動弁装置を排気弁側に適用したものである。
この実施形態では、第3実施形態の第1、第2ベーンロータ10、23の向きが反対になっているだけで、油圧回路や第3ロック機構50を備えているなどの基本構造は同じであるから、同一の構成箇所には同一の符番を付して説明する。
すなわち、ハウジング8の内部に相対回転自在に設けられた第1ベーンロータ10は、図26に示すように、第2ベーン21が第3ベーン22と同じく底壁21bを有する扇枠状に形成されて、この内部に扇状の第2のベーン収容空間21aが形成されている。一方、第2ベーンロータ23は、前記第2ロータ24外周の前記第4ベーン25と異なる位置、つまり前記第2ベーン収容空間21aに対応した位置に第5ベーン51が一体に設けられている。この第5ベーン51は、前記第2のベーン収容空間21a内に第1ベーンロータ10に対して相対回転自在に収容されている。
また、前記第4ベーン25と第5ベーン51の各外周面に形成された嵌着溝には、対応する第2ベーン21と第3ベーン22の内周面に摺接する2つのシール部材52、52が嵌着固定されている一方、第1ロータ19の内周面所定位置に形成された嵌着溝には、第2ロータ24の外周面に摺接する2つのシール部材53,53が嵌着固定されている。これらの各シール部材52〜53によって前記各ベーン収容空間21a、22aとの間の連通や、該各収容空間21a、22aとロータ収容空間26との間の連通を遮断するようになっている。
そして、前記第5ベーン51と第1ベーンロータ10との間には、該第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23との間をロックする、あるいはロックを解除する第3ロック機構50が設けられている。
この第3ロック機構50は、図22に示す第3実施形態のものと同じ構造であって、前記第5ベーン51の内部軸方向に形成された前記第3摺動用孔54と、該第3摺動用孔54内に摺動自在に収容されて、第2ベーン21の底壁21bに対して進退自在が設けられた第3ロックピン55と、前記第2ベーン21の底壁21bの底面に形成されて、前記第3ロックピン55が係合して第1ベーンロータ10に対して第2ベーンロータ23をロックする第3ロック穴56と、前記第3ロックピン55の先端部55aを第3ロック穴56に係合、あるいは係合を解除する第3係脱機構と、から構成されている。
この第3ロック機構50の具体的な構造は、図22と同じであり、また、解除用油圧回路58も図20に示す第3実施形態のものと同じであるから説明を省略する。
〔本実施形態の作用〕
まず、機関始動時には、図26に示すように、予め第1ロックピン30の先端部30aが第1ロック穴31内に係合していると共に、第2ロックピン43の先端部43aと第3ロックピン55の先端部55aもそれぞれ対応する第2ロック穴44と第3ロック穴56内に係合している。
すなわち、第1ベーンロータ10は、スプロケット1(ハウジング8)に対して始動に最適な最進角側の相対回転位置にロックされている一方、第2ベーンロータ23も、ハウジング8に対して第2ロックピン43によって最進角側の相対回転位置でロックされている。また、第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ10も第3ロックピン55によってロックされている。
したがって、2つの駆動カム5a、6aは、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6を介して同一の回転位相になって、一つの排気弁の開閉時期特性が第1実施形態と同じく図11の太い実線で示すように、進角側の位相に保持されている。
よって、この状態でイグニッションスイッチをオン操作すると、スムーズなクランキングによって良好な始動性が得られる。
機関始動後に所定の運転状態に変化した場合には、コントロールユニットから例えば第1電磁切換弁38と第3電磁切換弁61の両方に制御電流が出力されて、オイルポンプ39の吐出通路39aが遅角側通路37に連通すると共に、ドレン通路40に進角側通路36が連通する。一方、吐出通路39aと第3ロック機構50の解除通路60が連通された状態になる。
また、この時点では、前記第2電磁切換弁49に制御電流が出力されずに、解除通路48はドレン通路40に連通した状態になっている。このため、第2ロックピン43は第2ロック穴44に係合した状態が維持されて、第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23とは互いに独立して相対回転可能状態になっている。
したがって、前記各遅角油室12が高圧になると共に、各進角油室13が低圧になって、遅角油室12内の油圧が第1ロック穴31に供給されて第1ロックピン30によるロックが解除され、第1ベーンロータ10の相対回転が許容される。このため、前記第1ベーンロータ10は、図27に示すように反時計方向へ回転してハウジング8に対して遅角側に相対回転する。
一方、第3ロック穴56には、解除通路60などを介してベーン収容空間21aに供給されたポンプ吐出圧が第3油孔59から供給されて、受圧面55cに作用した油圧によって第3ロックピン55が後退移動し、これによって、第3ロック穴56から抜け出して第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23のロックが解除される。また、この時点では、第2ロックピン43は、第2ロック穴44に係合して第2ベーンロータ23のハウジング8に対するロック状態が継続している。
したがって、図27に示すように、第2ベーンロータ23は、ハウジング8に対して進角側の相対回転位置を維持しているのに対して、第1ベーンロータ10のみが遅角側の相対回転位置になる。
この結果、インナーカムシャフト6側の第2駆動カム6aは、一つの排気弁の開閉時期を、始動時と同じく進角側の位置に保持する一方、アウターカムシャフト5側の第1駆動カム5aは、遅角側の回転位置に制御されて、前記第1駆動カム6aとは開いた状態になる(開角状態)。
したがって、一つの排気弁は、第1実施形態と同じく、その開閉時期特性が、図12に示すように、2つの駆動カム5a、6aによって、前記初期位相時のバルブリフタを押している時間よりも長く時間押すことになる。つまり、一つの排気弁の開いている時間が長くなって、燃焼ガスの掃気時間が連続的に増加することになる。
さらに機関運転状態が変化して、コントロールユニットから例えば第1、第2電磁切換弁38、49に制御電流が出力されて、吐出通路39aと遅角側通路37を継続的に連通させると共に、吐出通路39aと第2ロック機構41の解除通路48を連通させる。
このため、オイルポンプ39から吐出された作動油は、同じく遅角側通路37を介して各遅角油室12に供給されて、該各遅角油室12が高圧になる一方、進角油室13内の作動油がドレンされて低圧になる。同時に、前記作動油が吐出通路39aから解除通路48やベーン収容空間22aを介して第2ロック穴44に供給されて第2ロックピン43が後退移動することによって、第2ベーンロータ23とハウジング8とのロックを解除する。
このとき、遅角油室12内の油圧が、第1ロック穴31に継続的に供給されて第1ロックピン30による第1ベーンロータ10とハウジング8とのロックが解除された状態が維持されている。このため、第1ベーンロータ10は、図28に示すように反時計方向へさらに回転して、アウターカムシャフト5はスプロケット1に対して最遅角側に変換される。一方、第2ベーンロータ23は、第2ロックピン30によるロックが解除されていることから、ハウジング8とのロック状態が解除されるが、第3ロックピン55が第3ロック穴56に係合して第1ベーンロータ10とロックされた状態になる。
このため、前記第1ベーンロータ10の最遅角側への相対回転と一緒に第2ベーンロータ23も最遅角側へ同期回転する。
したがって、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6とは同位相になって、各駆動カム5a、6aによる排気弁の開閉時期特性が、図13に示すように、全体が遅角側に制御されることになる。
なお、この状態で、コントロールユニットから第1電磁切換弁38への通電を遮断すると、各遅角油室12内の作動油がドレンされる一方、各進角油室13内に作動油が供給されて、第1ベーンロータ10が進角側へ相対回転すると同時に第2ベーンロータ23も一緒に進角側へ相対回転する。したがって、アウターカムシャフト5とインナーカムシャフト6は、同じ方向へ同時に連続的に相対回転する。
このように、第4実施形態においても第3実施形態と同様に装置の小型化などの作用効果が得られる。
本発明は、前記各実施形態の構成や制御作用に限定されるものではなく、第1ベーンロータ10と第2ベーンロータ23を機関運転状態に応じて任意にロックあるいはロックを解除する制御を行うことが可能である。
また、前記各実施形態では、一つの排気弁や一つの吸気弁に対して2つの駆動カム5a、6aを用いているが、一気筒当たり2つの排気弁や2つの吸気弁に対して、前記駆動カム5aと駆動カム6aによって別々に開閉作動させると共に、開角状態に制御することも可能である。
さらに、本発明は、前記第1回転体と第2回転体は、ベーンロータに限定されるものではなく、ベーンロータに代わる例えば複数のギア歯車など用いることも可能である。
さらに、前記駆動回転体に対する第1回転体のロック解除や、第1回転体と第2回転体のロック解除などを油圧以外の例えば電気モータなどの電気的な手段によって行うことも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕請求項1に記載された内燃機関の可変動弁装置であって、
前記収容室は、前記第1回転体の軸方向の一端側に開口部が形成されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項b〕請求項aに記載された内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第2回転体は、前記収容室内に収容され、前記両シャフトの他方側に固定されたロータと、該ロータの外周に突設されて前記収容室内を周方向に回動するベーンと、を備えていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項c〕請求項bに記載された内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第2回転体のベーンは、前記第1回転体のベーンに形成された前記収容室内に収容配置されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項d〕請求項bに記載された内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第2回転体のロータが前記インナーカムシャフトに固定され、前記第1回転体のロータが前記アウターカムシャフトに固定されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項e〕請求項1に記載された内燃機関の可変動弁装置であって、
前記駆動回転体と第2回転体の相対回転をロックまたはロックを解除できる第2ロック機構を備えていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項f〕請求項eに記載された内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第2回転体には、少なくとも前記駆動回転体が回転している間は、常に前記第1回転体に対して遅角方向に回転トルクが作用するようになっていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項g〕請求項eに記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第2ロック機構は、前記第1回転体が前記駆動回転体に対して最進角位置となった相対回転位置で、かつ、前記第2回転体が前記第1回転体に対して最遅角となった相対回転位置でロックすることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項h〕請求項eに記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第2ロック機構は、前記進角作動室または遅角作動室に供給される油圧と独立した油圧によって作動するようになっていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項i〕請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第1回転体が前記駆動回転体に対して最進角位置または最遅角の相対回転位置で、前記駆動回転体と第1回転体の相対回転をロックまたはロックを解除する第1ロック機構を備えていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項j〕請求項iに記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記インナーカムとアウターカムは、ともに同一気筒の一つの排気弁を駆動するカムであり、
前記第1ロック機構は、前記第1回転体が駆動回転体に対して最遅角位置でロックするようになっていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項k〕請求項iに記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記インナーカムとアウターカムは、ともに同一気筒の一つの吸気弁を駆動するカムであり、
前記第1ロック機構は、前記第1回転体が駆動回転体に対して最遅角位置でロックすることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項l〕請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第1回転体と第2回転体の相対回転をロック、またはロックを解除する第3ロック機構を備えていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項m〕請求項lに記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第3ロック機構は、前記第2回転体が前記第1回転体に対して最進角位置または最遅角位置でロックまたはロックを解除することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項n〕請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置であって、
前記第3ロック機構は、前記第1ロック機構によって前記第1回転体が駆動回転体に対してロックされる側と逆方向へ前記第1回転体に対して第2回転体が位置したときにロックするようにしたことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。