JP5897523B2 - マンコンベア - Google Patents

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本発明の実施形態は、マンコンベアに関する。
一般に、マンコンベアの踏段の踏面の隅部には、利用者が乗らないことが望ましい。そこで、踏段の上面のうち、左右や奥の端部に利用者が乗った場合に、注意喚起がなされるマンコンベアが提案されている。
ところで、踏段の上面のうち下段方向角部は、特に利用者に踏まれ易い。この場所にはデマケーション部材が設けられている場合があるが、該デマケーション部材は、利用者に一定時間以上踏まれると疲労し、最終的に壊れる可能性がある。そこで、デマケーション部材が利用者に一定時間以上踏まれないようにすることが望ましい。
特開平5−338980号公報
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、利用者がデマケーション部材を一定時間以上踏み続けた場合に、その利用者に対して注意を促すことができるマンコンベアを提供することである。
実施形態のマンコンベアは、踏段と、前記踏段の隅部に形成された凹部と、前記凹部を形成する面の上に設けられた荷重検出装置と、前記荷重検出装置の上に設けられ、40kgf/cm2以上の応力がかかった場合に1mm以上変形するデマケーション部材と、乗客に対して注意を促す報知手段と、前記デマケーション部材に上方から荷重がかかったことを検出した前記荷重検出装置から発せられた信号に基づき、前記デマケーション部材に一定以上の荷重が一定時間以上かかり続けたことを認識すると、前記報知手段が作動するよう制御する制御部と、を備える。
実施形態のエスカレータの断面図。 実施形態のエスカレータの踏段の斜視図。 実施形態のエスカレータの踏段の下段方向角部の断面図。
マンコンベアとしてのエスカレータ2について図面に基づき説明する。
(1)エスカレータ2の構造
図1は本実施形態に係るエスカレータ2の断面図である。トラス20が建物の上階側と下階側に架設されている。前記トラス20の上階側の機械室25と下階側の機械室26の内部にはそれぞれスプロケット21、22が配置されている。前記スプロケット21、22に無端状のチェーン23が巻き掛けられている。前記スプロケット21、22の何れか一方は、モータや減速器を有する駆動装置24に連結され、前記駆動装置24の駆動により回転する。この回転により前記チェーン23及びもう一方のスプロケットが駆動する。前記チェーン23には踏段1が等間隔に隙間無く連結されている。前記チェーン23が駆動することにより、これに連結された前記踏段1が図示しないガイドレールに沿って上階側と下階側の間を循環移動する。
(2)エスカレータ2の踏段1の構造
踏段1を図2に示す。踏段1は、利用者を運搬している状態において踏面となる踏板10と、前記状態において蹴上部となるライザー11と、踏段1の移動の際に前記ガイドレールに沿って回転する車輪12a、12bと、側板13を備える。踏板10には踏段1の進行方向に延びる多数の金属製の凸状15が設けられ、凸状15と凸状15の間が溝になっている。ライザー11には上下方向に延びる多数の凸状16が設けられ、凸状16と凸状16の間が溝になっている。踏板2の上段方向及び幅方向の隅部には、デマケーションライン14が引かれている。デマケーションライン14の色は、黄色等の目立つ色である。
図3に示すように、踏段1の下段方向角部を切り欠いて凹部3が形成されている。凹部3は踏段1の幅方向に延びている。凹部3は、踏段1の下段方向角部において踏板2より一段下がった水平面30と、段差部分において踏板2と水平面30とを連結する鉛直面31と、踏段1の幅方向両側で水平面30と鉛直面31に直角に交わる側面とにより形成されている。
凹部3にはデマケーション部材32が設けられている。デマケーション部材32は、幅方向に長い略直方体をしており、凹部3に納まる大きさである。デマケーション部材32の材質は特に限定されず、硬性のものであっても良いし、軟性のものであっても良い。ここで軟性のデマケーション部材32とは、踏段1に取り付けられた状態でそのいずれかの場所(例えば後述する凸状33の先端部分)にいずれかの方向から40kgf/cm以上の応力がかかった場合に、1mm以上変形(弾性変形を含む)するデマケーション部材32を指す。このようなデマケーション部材32の材質として、例えばゴムが挙げられる。また、硬性のデマケーション部材32とは、上記ようにして応力がかかった場合に、変形しないか、変形量が1mm未満であるデマケーション部材32を指す。このようなデマケーション部材32の材質として、例えば鋼が挙げられる。デマケーション部材32の色は、黄色等の目立つ色である。デマケーション部材32は、図示しないボルト等で、踏段1の骨格部分等に固定される。デマケーション部材32の上部には踏段1の進行方向に延びる多数の凸状33が設けられ、凸状33と凸状33の間が溝になっている。デマケーション部材32の下段方向部分には上下方向に延びる多数の凸状34が設けられ、凸状34と凸状34の間が溝になっている。凹部3にデマケーション部材32が設けられた状態では、踏板10の凸状15の上端とデマケーション部材32の凸状33の上端の高さが一致する。また、ライザー11の凸状16とデマケーション部材32の凸状34の先端が一致する。これが凹部3内にデマケーション部材32が納まった状態であり、これによりデマケーション部材32が踏段1の下段方向角部の切り欠き部分を埋め合わせることになる。この状態において、デマケーション部材32の下面と凹部3内の水平面30との間には、隙間が空いている。
この隙間には、デマケーション部材32に荷重がかかったことを検出する荷重検出装置35が設けられている。荷重検出装置35の種類は限定されないが、ここではパッドセンサを用いる場合について説明する。パッドセンサの形状は薄板状であり、その上面はデマケーション部材32の下面に、その下面は凹部3の水平面30に、それぞれ接している。パッドセンサは圧電素子を用いたものであり、薄板状の部分にある検出部に圧力がかかると、圧力の大きさに応じた電気信号が出力されるものである。この実施形態においてパッドセンサの上面はデマケーション部材32の下面に密着しているため、デマケーション部材32に上方から荷重がかかると、パッドセンサの検出部に圧力がかかり、電気信号が出力される。出力された電気信号は、上階側の機械室25の内部に設けられている制御部27に送られる。
また、エスカレータ2の上階側と下階側には、制御部27からの指示に基づき乗客に対して注意を促す報知手段28を備えている。この実施形態の報知手段28はスピーカであり、「黄色(デマケーション部材32の色が別の色の場合はその色)い線の内側にお入りください。」等のアナウンスを行う。荷重検出装置35と報知手段28と制御部27は安全装置を構成し、以下の動作を実施する。
(3)エスカレータ2の安全装置の動作
上記の構成のエスカレータ2において、利用者がデマケーション部材32を踏むと、荷重検出装置35が荷重がかかったことを検出し、信号が制御部27へ送られる。利用者がデマケーション部材32を踏み続けていると、荷重検出装置35が制御部27へ信号をその間送り続ける。そして、信号が送られている状態が一定時間継続すると、制御部27が報知手段28を作動させる。ここで、一定時間とは予め定められた時間であり、数秒程度とするのが一般的である。
報知手段28が作動している時に利用者がデマケーション部材32から足を離すと、荷重検出装置35から制御部27へ送られる信号が停止し、報知手段28が停止する。
荷重検出装置35から制御部27へ信号が送られている状態が一定時間継続しなかった場合は、制御部27は報知手段28を作動させない。
(4)効果
以上のマンコンベアの安全装置を用いれば、利用者がデマケーション部材32を一定時間以上踏み続けると、報知手段28が作動するため、その利用者に対して注意を促すことができる。その後、その利用者がデマケーション部材32から足を離すため、デマケーション部材32に荷重が一定時間以上かかり続けることを防ぐことができる。そのため、デマケーション部材32が壊れることを防ぐことができる。
軟性のデマケーション部材32は特に壊れやすいため、このような安全装置を設けると効果的である。
(5)変更例
荷重検出装置35は、凹部3の水平面30の幅方向に複数個設けられていても良い。その場合、いずれか1つの荷重検出装置により、デマケーション部材32に荷重が一定時間以上かかり続けたことが検出されると、乗客に対して注意を促すことが望ましい。
荷重検出装置35としては、パッドセンサの他に様々な装置を用いることができる。例えば、検出部に歪みゲージを備えるものを用いることができる。具体的には、歪みゲージをデマケーション部材32の下面に取り付けておく。この状態でデマケーション部材32に荷重がかかると、荷重の大きさに応じた量だけデマケーション部材32が歪み、それに伴って歪みゲージが歪む。そのため、デマケーション部材32にかかった荷重の大きさに応じた出力が、歪みゲージから得られる。デマケーション部材32に荷重がかかり続けると、歪みゲージからの出力が継続するため、デマケーション部材32に荷重が一定時間以上かかり続けたことを検出することができる。
別の荷重検出装置35としては、通電状態のONと絶縁状態のOFFの切り替えがなされるスイッチで、荷重がかかるとONとなるものを用いることができる。このスイッチを検出部としてデマケーション部材32の下に接した状態で設けておくと、デマケーション部材32に荷重がかかった場合にスイッチにも荷重がかかり、スイッチがONとなる。デマケーション部材32に荷重がかかり続けると、スイッチがONの状態が継続するため、デマケーション部材32に荷重が一定時間以上かかり続けたことを検出することができる。
報知手段28としては、スピーカの他に様々なものを用いることができる。例えば、ブザーやパトライト等がある。
踏段の下段方向角部以外の隅部、具体的には上段方向隅部や左右方向隅部に凹部が形成され、そこにデマケーション部材及び荷重検出装置が設けられていても良い。これにより、これらの隅部に利用者が一定時間乗っていると、その利用者に注意が促される。そのため、乗っている踏段の踏板と、その上段のライザーやスカートガードパネルとの間に、その利用者の衣服等が挟まれることを防ぐことができる。これらの隅部及び下段方向角部のうち、いずれか1又は2以上の場所に、凹部が形成され、そこにデマケーション部材及び荷重検出装置が設けられていれば良い。
デマケーション部材に荷重がかかっている時間の計測は、かかっている荷重が一定の値以上の間のみに限って行われても良い。ここで、一定の値とは、予め定められた値である。この場合、デマケーション部材32に一定以上の荷重が一定以上の時間かかり続けたことを制御部27が認識すると、報知手段28が作動することになる。これにより、デマケーション部材に人以外の軽いものが載っているような場合に安全装置が作動することを防ぐことができる。
デマケーション部材は、バネ等の弾性部材を介して踏段に取り付けられ、利用者に踏まれた場合に弾性力により変位可能となっていても良い。
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以上の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以上の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…踏段、10…踏板、11…ライザー、12a…車輪、12b…車輪、13…側板、14…デマケーションライン、15…凸状、16…凸状、2…エスカレータ、20…トラス、21…スプロケット、22…スプロケット、23…チェーン、24…駆動装置、25…上階側の機械室、26…下階側の機械室、27…制御部、28報知手段、3…凹部、30…水平面、31…鉛直面、32…デマケーション部材、33…凸状、34…凸状、35…荷重検出装置

Claims (7)

  1. 踏段と、
    前記踏段の隅部に形成された凹部と、
    前記凹部を形成する面の上に設けられた荷重検出装置と、
    前記荷重検出装置の上に設けられ、40kgf/cm2以上の応力がかかった場合に1mm以上変形するデマケーション部材と、
    乗客に対して注意を促す報知手段と、
    前記デマケーション部材に上方から荷重がかかったことを検出した前記荷重検出装置から発せられた信号に基づき、前記デマケーション部材に一定以上の荷重が一定時間以上かかり続けたことを認識すると、前記報知手段が作動するよう制御する制御部と、
    を備えるマンコンベア。
  2. 前記凹部が踏段の下段方向角部に形成されている請求項1に記載のマンコンベア。
  3. 前記凹部が踏段の上段方向隅部に形成されている請求項1又は2に記載のマンコンベア。
  4. 前記凹部が踏段の左右方向隅部に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のマンコンベア。
  5. 前記デマケーション部材1つにつき前記荷重検出装置が1つ設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載のマンコンベア。
  6. 前記デマケーション部材1つにつき前記荷重検出装置が複数個設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載のマンコンベア。
  7. 前記荷重検出装置が圧電素子を用いたものである請求項1〜のいずれか1項に記載のマンコンベア。
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